JP3929220B2 - ダイアタッチペースト及び半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着性、速硬化性及び信頼性に優れた半導体接着用ペーストに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年半導体パッケージの生産量は増加の一歩をたどっており、これに伴い製造コストの削減は重要な課題となっている。半導体パッケージ組立の中でダイアタッチペーストで半導体とリードフレームを接着する工程が有るが、この工程に関しては時間短縮、及び低温硬化がキーポイントになっている。硬化の過程はバッチ式オーブン法、インラインで硬化させる方法に大別されるが、インラインで用いられる速硬化性ペーストを用いた通常のダイマウントは、150℃から200℃で30秒から60秒の間で行われる。しかし、今後より低温、短時間硬化可能なペーストの開発が望まれている。
【0003】
一方、パッケージとしての信頼性は、特に耐半田クラック性が重要であるが、ダイアタッチペーストとしてはさらにシリコンチップとリードフレームとの線膨張の差を緩和するために低応力性が重要である。
ダイアタッチペーストのベースレジンはエポキシ樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミド樹脂系等が知られているが、例えば30秒以内に硬化が可能であり、それぞれの用途に適した特性(接着性、低応力性等)を維持する材料は全く見いだされていなかった。又、特性を満足したとしても常温での粘度上昇が激しすぎ、使用に適さない材料しかなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のダイアタッチペーストの特性を維持し、且つ非常に短時間でも硬化が可能なダイアタッチペーストを見いだすべく鋭意検討した結果完成させるに至ったものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)一般式(1)で示される(メタ)アクリレート基含有ポリブタジエン3〜20重量部、(B)一般式(2)で示されるエポキシ基含有ポリブタジエン1〜10重量部、(C)反応性希釈剤5〜30重量部、(D)有機過酸化物及び/又はアゾ化合物0.01〜5重量部、(E)無機フィラー20〜90重量部、(F)硫黄原子を含むシランカップリング剤0.001〜10重量部からなるダイアタッチペーストである。また、本発明のダイアタッチペーストを用いて製作された半導体装置である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる(メタ)アクリレート基含有ポリブタジエンは一般式(1)で示される。
【化3】
【0007】
本発明に用いられる成分(A)の配合量は、ペースト組成物100重量部に対して3〜20重量部とするのが好ましい。3重量部未満であると硬化性が悪くなるので好ましくなく、20重量部を越えると作業性に問題が生じるので好ましくない。
【0008】
本発明に用いられるエポキシ基含有ポリブタジエンは一般式(2)で示される。
【化4】
【0009】
本発明に用いられる成分(B)の配合量は、ペースト組成物100重量部に対して1〜10重量部とするのが好ましく、1重量部未満であると硬化性が悪くなるという問題があり、10重量部を越えると作業性が悪くなるという問題が生じるので好ましくない。成分(A)100重量部に対して成分(B)の配合量は、50〜100重量部とするのが好ましく、50重量部未満であると硬化性が悪くなるので好ましくなく、100重量部を越えると作業性に問題が生じるので好ましくない。
【0010】
反応性希釈剤としては、モノ-(メタ)アクリル酸エステル化合物若しくはジ-(メタ)アクリル酸エステル化合物若しくは多官能(メタ)アクリル酸エステル化合物である。例をあげると、トリデシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ラウリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、2―ヒドロキシ1.3ジメタクリロキシプロパン、ポリプロピレンジメタクリレート、1.6ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等がある。
【0011】
反応性希釈剤としては、上記の化合物を1種類あるいは複数種と併用して使用することができる。反応性希釈剤はペースト組成物100重量部に対して5〜30重量部とするのが好ましく、5重量部未満であると硬化性、作業性が悪くなるという問題があり、30重量部を越えると硬化性、作業性が悪くなるという問題が生じるので好ましくない。成分(A)と成分(B)の総量100重量部に対して75〜150重量部とするのがより好ましい。75重量部未満であると硬化性が悪くなるので好ましくなく、150重量部を越えると作業性に問題が生じるので好ましくない。
【0012】
有機過酸化物は、急速加熱試験(資料1gを電熱板の上にのせ、4℃/分で昇温したときの分解開始温度)における分解温度が40℃から140℃であることが好ましい。分解温度が40℃に満たない場合は、常温における保存性が悪くなり、140℃を越えると硬化時間が極端に長くなるためである。
【0013】
本発明で用いられる有機過酸化物の例としては、キュミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカネート、1,1,3,3−テトラメチルパーオキシネオデカネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、ビス(4−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサネート等がある。
アゾ化合物の例としては、2,2’−アゾビスイソブチルニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)等がある。
【0014】
これら有機過酸化物、アゾ化合物は単独あるいは硬化性をコントロールするため2種類以上を混合して用いることもできる。さらに、樹脂の保存性を向上するために各種重合禁止剤を予め添加しておくことも可能である。
【0015】
これら有機過酸化物、アゾ化合物の添加量は、ペースト組成物100重量部に対して、0.01重量部から5重量部であることが好ましい。5重量部より多いとペーストのライフ(粘度経時変化)が大きく作業性に問題が生じる。0.01重量部より少ないと硬化性が著しく低下するので好ましくない。
【0016】
本発明に用いる無機フィラーとしては、銀粉、金粉、ニッケル粉、銅粉等の導電性フィラー、窒化アルミニウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ等の絶縁フィラーが挙げられる。
無機フィラーの配合量は、特に限定されないが、ペースト組成物総量100重量部に対して20〜90重量部とするのが好ましい。この配合量が20重量部未満であると、接着強度が低下する傾向があり、90重量部を超えると、粘度が増大しペースト組成物の作業性が低下する傾向がある。
【0017】
銀粉は導電性を付与するために用いられ、ハロゲンイオン、アルカリ金属イオン等のイオン性不純物の含有量は10ppm以下であることが好ましい。また、銀粉の形状としては、フレーク状、樹枝状、球状等が用いられる。必要とするペーストの粘度により、使用する銀粉の粒径は異なるが、通常平均粒径は2〜10μm、最大粒径は50μm程度のものが好ましい。また、比較的粗い銀粉と細かい銀粉とを混合して用いることもでき、形状についても各種のものを便宜混合してもよい。
【0018】
次に、絶縁フィラーの一つであるシリカフィラーは平均粒径1〜20μmで最大粒径50μm以下のものが好ましい。平均粒径が1μm未満だと粘度が高くなり、20μmを越えると塗布または硬化時に樹脂分が流出するのでブリードが発生するため好ましくない。また、最大粒径が50μmを越えるとディスペンサーでペーストを塗布するときに、ニードル詰まりを起こすため好ましくない。更に、比較的粗いシリカフィラーと細かいシリカフィラーを混合して用いることもでき、形状についても各種のものを便宜混合してもよい。
【0019】
本発明に用いられる成分(F)の硫黄原子を含むシランカップリング剤は樹脂に配合することにより、密着性を格段に向上させることが出来る。添加量はペースト組成物に対して、0.001重量部から10重量部であることが好ましい。0.001重量部より少ないと耐熱性及び接着性向上の効果が乏しく、10重量部より多いと硬化速度を低下させるので好ましくない。成分(F)の例を挙げると、ビス(3―トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン等がある。
【0020】
本発明における樹脂ペーストは必要によりカップリング剤、消泡剤、界面活性剤、エラストマー等の添加剤を用いることができる。
【0021】
本発明のダイアタッチペーストの製造方法としては、例えば、全ての原材料を予備混合し、三本ロール等を用いてダイアタッチペーストを得た後、真空下脱泡する。
本発明によるダイアタッチペーストを用いて製作された半導体装置は、高生産性、高信頼性の半導体装置である。半導体装置の製造方法は公知の方法を用いることが出来る。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例で具体的に説明する。
<実施例1〜3>
一般式(1)で示されるメタクリル変性ポリブタジエン(日本石油化学(株)製、MM−1000−80)、一般式(2)で示されるエポキシ変性ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製、PB3600)、反応性希釈剤としてモノメタクリレート(新中村化学工業(株)製、ライトエステル9EG)、重合開始剤として有機過酸化物(日本油脂(株)製、パーブチルND)、更に無機フィラーとして平均粒径3μm、最大粒径20μmのフレーク状銀粉、硫黄原子を含むシランカップリング剤(日本ユニカー(株)製、A−1289)、カップリング剤としてリン酸基含有メタクリレート(日本化薬(株)製、PM−21)及びアルコキシシラン(信越化学工業(株)製、KBM403E)を表1のように配合し、3本ロールを用いて混錬し、脱泡後ペーストを得た。
得られたペーストを以下の方法により評価した。
【0023】
<評価方法>
・粘度:25℃でE型粘度計を用いて回転数2.5rpmでの粘度を測定した。
・接着強度:ペーストを用いて、6×6mmのシリコンチップを銅フレームにマウントし、200℃のホットプレート上で60秒硬化した。硬化後、自動接着力測定装置を用い260℃での熱時ダイシェア強度を測定した。
・反り:低応力性の評価として反りを測定した。厚み200ミクロンの銅フレームに6mm×15mm×0.3mmのシリコンチップをペーストを用いて200℃60秒でペースト厚みが20μmになるよう接着し、表面粗さ計を用いて、長手方向のチップの変位を測定しその高低差により反り量を測定した。
・耐パッケージクラック性:表1に示すペースト組成物を用い、下記のリードフレームとシリコンチップを、下記の硬化条件により硬化し、接着した。その後スミコンEME−7351(住友ベークライト(株)製)の封止材料を用い、封止したパッケージを60℃、相対湿度60%、168時間吸水処理した後、IRリフロー(260℃、10秒)にかけ、断面観察により内部クラックの数を測定し、耐パッケージクラック性の指標とした。
パッケージ:QFP
チップサイズ:10×10mm
フレーム:Cu
硬化条件:225℃80秒で硬化させる。
【0024】
<比較例1〜3>
実施例1と同様に、表1の配合処方により実施例1と同様にダオアタッチペーストを製作し、実施例1と同様の評価を行った。
【0025】
評価結果を表1に示す。
【表1】
【0026】
【発明の効果】
本発明のダイアタッチペーストは、接着強度、チップ反りで良好であり、且つ銅リードフレームにおいて耐半田クラック性が優れている。この結果、本発明のダイアタッチペーストを使用することで信頼性の優れた半導体装置を製造することができる。
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