JP4517499B2 - ダイアタッチペースト及び半導体装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着性及び信頼性に優れた半導体接着用ダイアタッチペーストに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年半導体パッケージの生産量は増加の一歩をたどっており、これに伴い製造コストの削減は重要な課題となっている。半導体素子とリードフレームの接合方法として、金−シリコン共晶体等の無機材料を接着剤として用いる方法があるが、コストが高く、また熱応力により半導体素子の破壊が起こるため、有機材料等に銀粉等を分散させたペースト状の接着剤(ダイアタッチペースト)を使用する方法が主流となっている。
【0003】
一方、半導体装置としての信頼性は、特に耐半田クラック性が重要であるが、半導体素子とリードフレームの接着に用いられるダイアタッチペーストにも、半導体装置の耐半田クラック性を向上させるため、半導体素子とリードフレームとの線膨張の差を緩和するために低弾性率化が求められている。
従来から、ゴム等の低応力物質を使用したダイアタッチペーストが知られているが、半導体装置の耐半田クラック性を向上させるため、更に低弾性率化したダイアタッチペーストが求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、接着性及び耐半田クラック性に優れた半導体接着用ペーストを見いだすべく鋭意検討した結果完成させるに至ったものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)分子量500以上、5000以下でかつ1分子内に少なくとも1つの2重結合を有する炭化水素あるいはその誘導体、(B)1分子内に少なくとも1つのフッ素元素を有する(メタ)アクリルモノマー、(C)ラジカル重合触媒、(D)充填材を必須成分であることを特徴とするダイアタッチペースト。また、本発明のダイアタッチペーストを用いて製作された半導体装置である。
【0006】
更に好ましい形態としては、該(A)分子量500以上、5000以下でかつ1分子内に少なくとも1つの2重結合を有する炭化水素あるいはその誘導体と該(B)1分子内に少なくとも1つフッ素元素を有する(メタ)アクリルモノマーとの重量比が90/10から20/80であるダイアタッチペーストである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる(A)分子量500以上、5000以下でかつ1分子内に少なくとも1つの2重結合を有する炭化水素あるいはその誘導体としては、例えば、ブチルゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、液状ポリブタジエン等のジエン系ゴム、あるいはその誘導体等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。(A)成分としては上記の化合物の1種類あるいは複数種の併用物を使用することができる。
【0008】
本発明で使用される(B)1分子内に少なくとも1つフッ素元素を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、例えばトリフロロエチル(メタ)アクリレートやテトラフロロプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0009】
(B)としては上記の化合物の1種類あるいは複数種の併用物を使用することができる。また、脂環式(メタ)アクリル酸エステルや脂肪族(メタ)アクリル酸エステル等のフッ素元素を有さないアクリルモノマーと併用して使用することも出来る。
【0010】
本発明に用いられるベース樹脂は、(A)と(B)の重量比が90/10〜20/80であることが好ましい。90/10より高いとペースト粘度が高すぎ塗布作業性が著しく悪くなるので好ましくなく、20/80より小さいと接着性が悪くなるので好ましくない。
【0011】
本発明で用いられる(C)ラジカル重合触媒は、急速加熱試験(資料1gを電熱板の上にのせ、4℃/分で昇温したときの分解開始温度)における分解温度が40℃から140℃であることが好ましい。分解温度が40℃に満たない場合は、常温における保存性が悪くなり、140℃を越えると硬化時間が極端に長くなるためである。
【0012】
(C)ラジカル重合触媒の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。例としては、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,6−トリメチルシクロヘキサン等がある。
【0013】
これら(C)ラジカル重合触媒は単独あるいは硬化性をコントロールするため2種類以上を混合して用いることもできる。さらに、樹脂の保存性を向上するために各種重合禁止剤を予め添加しておくことも可能である。
【0014】
これら(C)ラジカル重合触媒の添加量は、成分(A)、(B)の合計100重量部に対して、0.1重量部から10重量部であることが好ましい。10重量部より多いとペーストのライフ(粘度経時変化)が大きく作業性に問題が生じる。0.1重量部より少ないと硬化性が著しく低下するので好ましくない。
【0015】
本発明に用いる(D)充填材としては、銀粉、金粉、ニッケル粉、銅粉等の導電性フィラー、窒化アルミニウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ等の絶縁フィラーが挙げられる。充填材の配合量は、特に限定されないが、ペースト組成物総量に対して20〜95重量%とするのが好ましい。この配合量が20重量%未満であると、接着強度が低下する傾向があり、95重量%を超えると、粘度が増大しペースト組成物の作業性が低下する傾向がある
【0016】
銀粉は導電性を付与するために用いられ、ハロゲンイオン、アルカリ金属イオン等のイオン性不純物の含有量は10ppm以下であることが好ましい。また、銀粉の形状としては、フレーク状、樹枝状、球状等が用いられる。必要とするペーストの粘度により、使用する銀粉の粒径は異なるが、通常平均粒径は2〜10μm、最大粒径は50μm程度のものが好ましい。また、比較的粗い銀粉と細かい銀粉とを混合して用いることもでき、形状についても各種のものを便宜混合してもよい。
【0017】
次に、絶縁フィラーの一つであるシリカフィラーは平均粒径1〜20μmで最大粒径50μm以下のものが好ましい。平均粒径が1μm未満だと粘度が高くなり、20μmを越えると塗布または硬化時に樹脂分が流出するのでブリードが発生するため好ましくない。また、最大粒径が50μmを越えるとディスペンサーでペーストを塗布するときに、ニードル詰まりを起こすため好ましくない。更に、比較的粗いシリカフィラーと細かいシリカフィラーを混合して用いることもでき、形状についても各種のものを便宜混合してもよい。
【0018】
本発明における樹脂ペーストは必要によりカップリング剤、消泡剤、界面活性剤、エラストマー等の添加剤を用いることができる。
【0019】
本発明のダイアタッチペーストの製造方法としては、例えば予備混合した後三本ロール等を用いて混練し、ペーストを得て真空下脱泡する。
本発明のダイアタッチペーストを用いて製作された半導体装置は、信頼性、生産性の高い半導体装置である。半導体装置の製造方法は従来の公知の方法を使用することが出来る。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を実施例で具体的に説明する。
<実施例1〜3、比較例1〜2>
(A)成分として、アクリル変性ポリブタジエン(数平均分子量:約1000、日本石油化学(株)製、MM−1000−80)、エポキシ変性ポリブタジエン(数平均分子量:約1000、日本石油化学(株)製、E−1000−8)、(B)成分として、トリフロロエチルメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステルM−3F)、(C)成分として、ジクミルパーオキサイド(急速加熱試験における分解温度:126℃、日本油脂(株)製、パークミルD)、(D)成分として、フレーク状銀粉(平均粒径3μm、最大粒径20μm)、粉砕シリカ(平均粒径3μm、最大粒径20μm)、カップリング剤としてアルコキシシラン(信越化学工業(株)製、KBM−403E)、フッ素元素を有さない(メタ)アクリルモノマーとして1.6ヘキサンジオールジメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステル1.6HX)を表1の割合で配合し、3本ロールを用いて混錬し、脱泡後ダイアタッチペーストを得た。得られたダイアタッチペーストを以下の方法により評価した。
なお、比較例では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、室温で液体、以下ビスAエポキシ)、クレジルグリシジルエーテル(エポキシ当量185、以下CGE)、フェノールノボラック樹脂(水酸基当量104、軟化点85℃、以下PN)、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業(株)製、キュアゾール2PHZ)を使用した。
【0021】
<評価方法>
・粘度:25℃でE型粘度計を用いて回転数2.5rpmでの粘度を測定した。
・接着強度:ダイアタッチペーストを用いて、6×6mmのシリコンチップを銅フレームにマウントし、175℃、30分で硬化接着した。硬化後、自動せん断強度測定装置(DAGE社製、PC2400)を用いて260℃での熱時ダイシェア強度を測定した。
・弾性率:10×150×0.1mmの試験片を作成し(硬化条件175℃、30分)、引っ張り試験により加重−変位曲線を測定し、その初期勾配より弾性率を求めた(測定長:100mm、試験速度:1mm/分、測定温度:25℃)。
・耐半田クラック性:表1の配合割合のダイアタッチペーストを用い、下記のリードフレーム(銅)とシリコンチップ(6×6mm)を、175℃、30分で硬化接着した。その後、スミコンEME−7026(住友ベークライト(株)製)の封止材料を用い、封止したパッケージ(QFP)を60℃、相対湿度60%の雰囲気下、192時間吸湿処理した後、IRリフロー(260℃、10秒)にかけ、断面観察により内部クラックの数を測定し、耐半田クラック性の指標とした。(n=8)
【0022】
評価結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0004517499
【0023】
【発明の効果】
本発明のダイアタッチペーストは、低弾性率の特性を有しており、これを用いた半導体装置は、耐半田クラック性が優れているので、信頼性の優れた半導体装置を得ることが出来る。

Claims (3)

  1. (A)分子量500以上、5000以下でかつ1分子内に少なくとも1つの2重結合を有する炭化水素あるいはその誘導体、(B)1分子内に少なくとも1つのフッ素元素を有する(メタ)アクリルモノマー、(C)ラジカル重合触媒、(D)充填材を必須成分とすることを特徴とするダイアタッチペースト。
  2. (A)分子量500以上、5000以下でかつ1分子内に少なくとも1つの2重結合を有する炭化水素あるいはその誘導体と(B)1分子内に少なくとも1つフッ素元素を有する(メタ)アクリルモノマーとの重量比が90/10から20/80である請求項1記載のダイアタッチペースト。
  3. 請求項1または2記載のダイアタッチペーストを用いて製作された半導体装置。
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