JP3929001B2 - 長尺可撓性シートのラビング装置およびラビング方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶パネル及び光学補償シートなどの製造に有利に利用できる配向膜を備えた長尺可撓性シートの製造法、特に配向膜形成材料層を備えた長尺可撓性シートの配向膜形成材料層をラビング処理により配向膜とする際のラビング処理に用いるラビング装置及びラビング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブラウン管型画像表示装置であるCRTに対して、薄型、軽量、低消費電力という大きな利点をもつ液晶表示装置は、特に、携帯用のワードプロセッサやパーソナルコンピュータの表示装置として一般的に使用されている。現在普及している液晶表示素子(以下LCDと称す)の多くは、ねじれネマチック液晶を用いている。このような液晶表示素子は、一般に、液晶セルとその両側に設けられた偏光板からなり、液晶セルは液晶パネルと液晶パネルに電圧を印加するための電極部からなる。さらに、この液晶パネルは透明な配向膜と液晶層からなり、液晶層は配向膜に挟まれた構成とされる。このような液晶を用いた表示方式は、複屈折モードと旋光モードとの二つの方式に大別できる。
【0003】
複屈折モードを利用する超ねじれ(スーパーツィスティッド)ネマチック液晶表示装置(以下STN−LCDと称す)は、90度を超えるねじれ角及び急峻な電気光学特性を有するスーパーツィスティッドネマチック液晶を用いている。このため、このようなSTN−LCDは、時分割駆動による大容量の表示が可能である。しかしながら、STN−LCDで実用的なコントラストが得られるのは、イエローモード(黄緑/濃紺)及びブルーモード(青/淡黄)であり、白黒モードを得るには位相差板(一軸延伸ポリマーフィルムや補償用液晶セル)を設ける必要があった。
TN−LCDの表示モードである旋光モードでは、高速応答性(数十ミリ秒)及び高いコントラストが得られる。従って、旋光モードは、複屈折モードや他のモードに比べて多くの点で有利である。しかしながら、TN−LCDは、STN−LCDのように位相差板を備えていないので、表示色や表示コントラストが液晶表示装置を見る時の角度によって変化し易い(視野角特性)との問題がある。
【0004】
上記TN−LCDにおける視野角特性を改善するため(即ち、視野角の拡大のため)、一対の偏光板と液晶セルとの間に位相差板(光学補償シートともいう)を設けることが知られている。この位相差板は、液晶セルに対して垂直方向の位相差はほぼ0であるため真正面からは何ら光学的作用を与えないが、傾けた時に位相差が発現し、この作用によって液晶セルで発生する位相差を補償するものである。
【0005】
また負の複屈折を有し、かつ、光軸が傾いている光学補償シートも知られている。このシートは、ポリカーボネートやポリエステル等のポリマーを延伸することにより製造され、そしてシートの法線から傾いた主屈折率の方向を持つ。しかし延伸処理によりこのようなシートを製造するには、極めて複雑な延伸処理が必要とされるため、一般に知られている方法で大面積の光学補償シートを製造することは極めて困難である。
【0006】
一方、液晶性ポリマーを用いた光学補償シートも知られている。例えば、液晶性を有するポリマーを支持フィルム上の配向膜表面に塗布することにより得られる光学補償シートや支持体と液晶性及び正の複屈折を有する重合性棒状化合物からなる光学補償シート(複屈折板)が知られている。さらには、簡単な製法により全方向視野角が拡大した光学補償シートとして、透明フィルム上に配向膜を形成し、配向膜上に液晶性ディスコティック化合物の層が形成された光学補償シートも知られている。
【0007】
上述したような液晶パネル及び光学補償シートにおいて、配向膜は液晶層中の液晶分子を液晶の動作モードに適した配列や傾きに制御する役割をもつ。この配向膜を作成する方法として、酸化珪素(SiO)や有機物など蒸着する方法、LB膜を生成する方法、ポリイミドやポリビニルアルコール、有機シランなど(以下、配向膜形成材料という)の薄膜をラビング処理する方法などがあるが、生産性やコスト性などからラビング処理による方法が一般に行われている。ラビング処理は、ラビングシート(ラビング布)をラビングローラ円筒軸に貼り合わせたラビングローラを配向膜形成材料の搬送方向に対して逆方向に回転させ、ラビングシートと配向膜形成材料とを物理的に擦ることにより行われる。
【0008】
さらに、最近では薄型、軽量、低消費電力という大きな利点を有する液晶表示装置は大型CRTの代替品として大型化が望まれており、液晶パネル及び光学補償シートの大面積化が図られている。大面積の液晶パネルや光学補償シートを作成するためには、大面積の配向膜をほとんど欠陥のない状態で形成する必要がある。しかしながら、上記のラビング法では、配向膜の配向性はラビング処理の色々な条件に左右されるため、その工程はノウハウに依存するところが多く、連続工程で配向欠陥のない大面積の配向膜を形成するのは難しかった。
【0009】
一方ではこのような問題に対して、種々の改善がなされ、その結果が開示されつつある。例えば、光学補償シートにおいて、ラビングシートを除塵しながらラビング処理を施すことにより、ラビング時に発生する配向膜形成材料の微粉やラビングシートから発生する塵埃による配向欠陥を抑制する方法が提案されている(特開平9−166784号公報)。この方法によれば、ラビング時に発生する塵埃などによる配向欠陥のない配向膜を、連続工程で形成することができ大面積の光学補償シートを比較的容易に得ることができるので、一部工業的にも利用されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
配向膜形成のためのラビング処理において、ラビングローラと配向膜形成材料層とは常に一定の方向、一定の速度で接触している(擦れている)ことが必要である。しかし、本発明者の検討によると、連続工程で長尺可撓性シートをラビング処理を行う場合、ラビングローラの前後に設置されている搬送ローラから一定の方向、速度で長尺可撓性シートが搬送されずに、配向膜形成材料層に強く擦れてしまった(ラビング過多)部分とあまり擦られなかった(ラビング不足)部分とができてしまい配向むらが発生し、配向欠陥となりやすいという問題が判明した。特に長尺可撓性シートは、厳密にはその幅や厚さにわずかではあるがばらつきがある。わずかでも幅や厚さにばらつきあると、搬送時に長尺可撓性シートにかかる張力が幅方向で均一にならないため一定の方向、一定の速度でラビング処理するのは難しいという問題があった。
【0011】
従って、本発明の目的は、連続工程で配向膜形成材料層を備えた長尺可撓性シートの配向膜形成材料層をラビング処理により配向膜とする際に、長尺可撓性シートの幅や厚さのばらつきによる影響を受けずに、常に均一なラビング処理を行うことができる、すなわち配向欠陥のない配向膜を形成することができるラビング装置及び方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、表面に配向膜形成材料層を備えた長尺可撓性シートをその長さ方向に移動させながら、その配向膜形成材料層の表面をラビング処理して配向膜を形成するための、少なくとも一つのラビングローラと、そのラビングローラの前後に少なくとも一つずつ備えられた長尺可撓性シートに張力を付与しながら該長尺可撓性シートを案内搬送する搬送ローラとからなる装置であって、該搬送ローラのうちの少なくとも一つに長尺可撓性シートの幅方向の張力の差を感知する装置と該装置により感知された張力の差が所定の値以上になった場合に該搬送ローラの軸受をラビングローラの中心線に対して傾ける駆動装置とが備えられていることを特徴とする長尺可撓性シートのラビング装置にある。
この発明の好ましい態様は、ラビングローラの前後に設けられた搬送ローラのそれぞれが、長尺可撓性シートの幅方向の張力の差を感知する装置と該装置により感知された張力の差が所定の値以上になった場合に該搬送ローラの軸受をラビングローラの中心線に対して傾ける駆動装置とを備えているラビング装置である。
【0013】
また本発明は、表面に配向膜形成材料層を備えた長尺可撓性シートをその長さ方向に移動させながら、その配向膜形成材料層の表面をラビング処理して配向膜を形成するための、少なくとも一つのラビングローラと、そのラビングローラの前後に少なくとも1つずつ備えられた長尺可撓性シートに張力を付与しながら該長尺可撓性シートを案内搬送する搬送ローラとからなる装置であって、該ラビングローラが、長尺可撓性シートの幅方向の張力の差を感知する装置と該装置により感知された張力の差が所定の値以上になった場合に該ラビングローラの軸受を搬送ローラの中心線に対して傾ける駆動装置とを備えていることを特徴とする長尺可撓性シートのラビング装置にもある。
【0014】
またさらに本発明は、表面に配向膜形成材料層を備えた長尺可撓性シートを搬送ローラを用いてその長さ方向に移動させながら、その配向膜形成材料層の表面をラビングロールによりラビング処理して配向膜を形成することからなるラビング方法であって、そのラビング処理を、移動中の長尺可撓性シートの幅方向の張力を感知し、感知された張力の差が所定の値以上になった場合に、該搬送ローラまたはラビングローラの軸受を、それぞれ、ラビングローラの中心線または搬送ローラの中心線に対して傾けるように調整しながら行なうことにより、長尺可撓性シートの幅方向に均一に施すことを特徴とする長尺可撓性シートのラビング方法にもある。
この発明の好ましい態様は、長尺可撓性シートの幅方向の一方の側の縁部の張力と他方の側の縁部の張力との差が、シート幅1cm当り0.1N以内となるように長尺可撓性シートの幅方向の張力を調整するラビング方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のラビング装置について詳細に説明する。
長尺可撓性シートの搬送方向から見た搬送ローラの一例を図1に示す。搬送ローラ5の両端はそれぞれ、搬送ローラ軸受7、張力検出(感知)器4、搬送ローラ軸受を上下に移動させるための搬送ローラ軸受作動用モータ3からなり、搬送ローラ軸受は支柱1に固定されたスライドレール2の上をモータによって上下に動くことができるようにされている。
配向膜の配向性のばらつきは、長尺可撓性シートがラビングローラと一定の面圧で接触しない時に発生する。長尺可撓性シートが一定の面圧で接触しない場合とは、すなわち長尺可撓性シートのどちらかの縁部が強く引っ張られ、その結果、それぞれの縁部に張力差が生じている状態である。本発明では、張力検出器でその両縁部間の張力差を常に測定(感知)し、張力差が一定以上になった場合には、モータ3が作動し搬送ローラの軸受を上下に移動させることで、搬送ローラはラビングローラ6の中心線に対して傾くため、長尺可撓性シートの両縁部間の張力差を調整することができる。
この張力の調整は、ラビングローラの前後の搬送ローラのどちらか一方でのみ行ってもよいが、前後両方の搬送ローラで張力差を調整した方が、より配向欠陥の少ない配向膜を得ることができるので望ましい。なお、搬送ローラの両縁部間の張力差の調整は、ラビングローラに対して搬送ローラを上下ではなく前後に傾けることによっても実現できる。
【0016】
また、ラビングローラを搬送ローラに対して傾けることによっても、縁部の張力差を調整することができる。このラビングローラの一例を図2に示す。両縁部間に張力差が発生した場合、支点14からラビングローラを搬送ローラ5の中心線に対して傾けることにより長尺可撓性シートの縁部の張力差を調整することできる。
【0017】
本発明の配向膜形成材料層が形成された長尺可撓性シートをラビング処理する方法について、図3を参照しながら以下に説明する。
図3(A)はラビング装置の平面図、図3(B)はラビング装置の断面図である。
配向膜形成材料層を備えた長尺可撓性シート24は、搬送ローラ5a、5bにより上部から押えられながら、矢印の方向に搬送され、下側より押圧されたラビングローラ(例えば、外径300mmのもの)6が、上記搬送方向と反対向きに回転することにより可撓性シートの配向膜形成層表面がラビングされる。ラビングローラは、ラビングローラ円筒軸にベルベット等のラビングシート6aが貼り付けられており、ラビングローラ表面のラビングシートと配向膜形成層が擦れ合って配向膜になる。
搬送ローラあるいはラビングローラには上述したように張力測定器が取り付けてあって、長尺可撓性シートの幅方向の張力を調整しながら、搬送あるいはラビング処理を行うことができ、その長尺可撓性シートの幅方向の両側の縁部の張力差は0.1N/cm以下とするのが好ましい。この長尺可撓性シートの縁部の張力差が0.1N/cmより大きいと両縁部で配向性にばらつきが生じやすくなり配向欠陥となりやすいからである。
また、ラビングローラは表面が平坦なラビングローラ円筒軸にラビングシートを貼り合わせてもよいが、ラビングローラ円筒軸に幅方向に延びた溝を設けて、ラビングシートの両端を溝に差し込んで貼り合わせた方が望ましい。その一例を図4に示す。ラビングシート6aの両端をラビングローラ円筒軸に設けられた溝に差し込むことによって、ラビングシートをラビングローラ円筒軸から剥がれにくくすることができるからである。
【0018】
ラビングローラ6は、モータ12により作動し、例えば、1000rpm程度まで回転速度を制御することができる。また、配向膜の平面方向のラビング角度を調整することができる。例えば、ラビングローラを可撓性シートの搬送方向に対して、平面方向に傾けることによって、容易にラビング角度を調整することができる。このようにラビング角度を調整した後、可撓性シートを搬送装置によって、一定張力一定速度(一般に5m/分以上)で搬送しながら、ラビングローラをシートの搬送方向とは反対の方向に一定の回転速度で回転させる。これにより連続的にラビングを行なうことができる。このように連続的にラビングを行なうことにより、シートはエアフォイル効果により浮上して搬送されるので、シートが幅方向に動くことはなく、安定して連続的にラビングを行なうことができる。ラビング時のシート搬送速度は、一般に10〜50m/分であり、ラビングローラの直径は、一般に100〜500mm(好ましくは150〜300mm)であり、ラビングローラの回転数は150〜300rpmが一般的である。ベースラップ角は、4〜20度が好ましく、シートに対する張力は、1〜3N/1cm(シート幅)が好ましい。ラビングローラの回転軸は、一般に0〜45度の範囲で調整可能である。ラビングローラの着脱は、搬送用ローラ上下装置により接合部で着脱できることが好ましい。
【0019】
ラビングローラ6のラビングシート6aの表面は、ラビングローラ側面に近接して設置された表面除塵器21により、ラビングを行なった直後に除塵することが望ましい。この除塵を行うことにより、ラビング時に発生する塵埃がラビングローラのラビングシート表面にはほとんど留まることがなく、ラビングシート表面から長尺可撓性シート表面への塵埃の移動もほとんど起こることがない。表面除塵器としては、超音波振動する圧縮空気を吹き付けると共に発生する塵埃を吸引する機能を有する超音波除塵器(装置)を使用することが好ましい。このような超音波除塵器は、例えば、ニューウルトラクリーナ(UVU−Wタイプ)として(株)伸興から市販されている。
超音波除塵器の吹き出し風速は100〜300m/秒が一般的で、150〜250m/秒が好ましい。ローラ表面との除塵器先端との距離は1〜3mmが好ましい。また表面除塵器は一定周期で幅方向に反復移動させることが望ましい。表面除塵器による除塵むらや風圧差による局部的なラビングシートの劣化を抑制することができるからである。
【0020】
さらに、配向膜形成層は長尺可撓性シート面側から、軟X線除電器23から発生する軟X線を配向膜形成層とラビングローラとの接触面に照射しながらラビングするのが望ましい。軟X線除電器としては、例えば浜松ホトニクス(株)社製フォトイオナイザなどが市販されており、この時の軟X線は管球にイオン生成管を用い、管電圧+9.5kV、電流150μAで使用される。次いで、シート搬送のためのバックアップローラ25に近接して設置された表面除塵器26により配向膜表面及びシート裏面(配向膜でない面)の塵埃が除去される。上記塵埃の除去は、配向膜面のみについて行なっても良い。なお、ここで使用される表面除塵器26はラビングシートの除塵に使用される表面除塵器21と同様のものが望ましい。またバックアップローラの直径は50〜150mmが好ましい。
【0021】
本発明で利用することができるラビング方法は、図3で説明した方法だけでなく、長尺状シートを連続的にラビングすることができる方法であればどのようなものでも利用することができる。
例えば、搬送される長尺状シートがパスローラ(バックアップローラ)で支持された位置でラビングローラを押しつけるバックアップラビング方式、特開昭61−160720号公報に記載されている、搬送される長尺状シートが支持されているパスローラ(バックアップローラ)間で押しつけるラップラビング方式、さらに特開平6−110059号公報に記載されている、バックアップラビング方式でラビングローラの両側でスプロケットにより支持する方法等を利用することができる。
なお、上記ラビング処理が中断された際に、クリーニングシートを上記ラビング及び除塵システムの装置内を搬送させて、これらに付着した微粉等の塵埃を除去しても良い。そして、配向欠陥が発生した場合には、その後ラビングを行っても配向欠陥は回復しないことから、できるだけ工数を少なくすることが望ましく、このためには一つのラビングローラによりラビング処理を行うことがより望ましい場合もある。
【0022】
【実施例】
[実施例1]
(配向膜形成材料層を備えた長尺状透明フィルムの作成)
セルローストリアセテート(フジタック、富士写真フィルム(株)製、厚さ:100μm、幅:500mm)の長尺状フィルムの一方の側に、長鎖アルキル変性ポリビニルアルコール(MP−203、クラレ(株)製)5重量%水溶液を塗布し、90℃4分間乾燥させた。こうして、厚さ2.0μmの配向膜形成材料層を形成した。
【0023】
(配向膜形成材料層のラビング処理)
配向膜形成材料層を備えた長尺状透明フィルムを図3に記載の装置を用いて配向膜形成材料層表面にラビング処理を施した。
上記配向膜形成材料層を備えた長尺状透明フィルム24は、矢印の方向に連続して20m/分で搬送した。長尺状透明フィルム24は搬送ローラ(ローラ外径:65mm、長さ:700mm)5a、5bにより上部から押えながら搬送し、下側より押圧されたラビングローラ(外径:300mm)6を上記搬送方向と反対向きに300rpmで回転させながら、ラビングローラに貼り合わせたラビングシート(ベルベット)を配向膜形成材料層に接触させることによりラビング処理を施した。
このラビング装置において、搬送ローラ5a、5bはともに、搬送ローラの両縁部間の張力差が7N以下になるよう設定した。両縁部間の張力差が7Nより大きくなった場合には、ラビングローラ軸受を上下に移動させラビングローラ6の中心線に対して傾けて両縁部間の張力差を調整した。また、この時(20m/分で搬送した時)、両縁部にかかる張力の合計は約200Nであった。すなわち、搬送ローラの両縁部間の張力差はローラ幅1cmに対して0.1N以下であり、かかる張力はローラ幅1cmに対して約2.9Nであった。長尺状透明フィルムにおいてもフィルム幅1cmに対する両縁部間の張力差は0.1N以下であり、かかる張力はフィルム幅1cmに対して約4.0Nである。また、上記ラビングにおいて、ベースラップ角は6度であった。
【0024】
上記ラビング装置において、ラビングローラ円筒軸は幅方向に幅5mm、深さ5mmの溝が設けてあり、ラビングシート6a(ベルベット)はその溝に両端部を差し込んで貼り付けた。またラビングを実施している間、ラビングシート(ベルベット)の表面は、ラビングローラ6側面に近接して配置されている表面除塵器21により除塵を行った。なお、この時表面除塵器は振幅20mm、速度5mm/秒でラビングロール軸芯と平行に反復移動させた。表面除塵器としては、超音波除塵器(ニューウルトラクリーナ(UVU−Wタイプ、(株)伸興製)を使用し、ヘッド圧3000mmAq、超音波除塵器の吹き出し風速220m/秒、ロール表面との除塵器先端との距離3mmで除塵を行なった。
【0025】
更に、ラビング時にはラビングローラ6に対向して設置された、軟X線除電装置23(フォトイオナイザL7120、浜松ホトニクス(株)製)により配向膜形成層とラビングローラの接触面を除電し、フィルム搬送のためのバックアップローラ25に対向して設置した表面除塵器26により配向膜表面及びその裏面(配向膜のない面)の塵埃を除去した。表面除塵器としては、上記と同じ超音波除塵器(ニューウルトラクリーナ(UVU−Wタイプ、(株)伸興製)を使用し、ヘッド圧3000mmAq、超音波除塵器の吹き出し風速220m/秒、ローラ表面との除塵器先端との距離3mmで除塵を行なった。またバックアップローラの直径は75mmであった。
【0026】
(配向膜を用いた光学補償シートの作成)
1)得られた配向膜を有するフィルムを、連続して20m/分で搬送しながら、配向膜上に、ディスコティック化合物物に、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)を上記混合物に対して1重量%添加した混合物の10重量%メチルエチルケトン溶液(塗布液)を、ワイヤーバー塗布機により、塗布速度20m/分、塗布量5cc/m2 で塗布し、次いで乾燥及び加熱ゾーンを通過させた。乾燥ゾーンは常温、加熱ゾーンは130℃に調製した。塗布後3秒後に乾燥ゾーンに入り、3秒後加熱ゾーンに入った。加熱ゾーンは約3分で通過した。
【0027】
2)次いで、この配向膜及び液晶層が塗布されたフィルムを、連続して20m/分で搬送しながら、液晶層の表面に紫外線ランプにより紫外線を照射した。即ち、上記加熱ゾーンを通過したフィルムは、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、液晶層を架橋させた。
【0028】
3)さらに配向膜及び液晶層が形成された透明フィルムは、検査装置により透明フィルム表面の光学特性が測定され、検査を行ない、次いで、液晶層表面に保護フィルムをラミネート機により積層し、巻き取り装置により巻き取って、長尺状光学補償シートを得た。
【0029】
[比較例1]
実施例において、搬送ローラをラビングシートの中心線に対して平行に固定した以外は、実施例と同様にして長尺状光学補償シートを得た。
【0030】
(光学補償シートの評価)
1)上記のようにして長尺状の光学補償シートを1時間製造した後、得られる光学補償シートを顕微鏡により観察し(検査工程で行なった)、シート1m2 当たりに直径20μm以上の点欠陥があるか否か(またある場合にはその数)を観察した。
2)上記1)の1時間製造後の光学補償シートを、TN型液晶表示装置に装着し、得られた画像について、表示欠陥の有無及び視認性(表示画像の乱れの有無等)を評価した。
上記結果を表1に示す。
【0031】
【0032】
【発明の効果】
本発明のラビング装置及び方法を用いてラビング処理を行うことにより、長尺可撓性シートの幅や厚さのばらつきによる配向欠陥がない配向膜を得ることができる。また、本発明のラビング装置及び方法を用いて製造された配向膜から得られる光学補償シートは、配向むらによる配向欠陥がなく、これを液晶表示装置に装着した場合、ディスコティック層の液晶層に由来する視野角の拡大が得られるだけでなく、画像欠陥もほとんどないものとなる。
また、配向欠陥のない配向膜を、連続工程により効率よく得ることができることから、本発明の製造装置及び方法により光学補償シートや液晶パネルの大量生産を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】搬送方向から見た本発明の搬送ローラの一例を示す概略図である。
【図2】搬送方向から見た本発明のラビングローラの一例を示す概略図である。
【図3】本発明の製造方法に従うラビング装置の一例の平面図(A)及び(A)のラビング装置の断面図(B)である。
【図4】ラビングローラの一例の断面図である。
【符号の説明】
1 搬送ローラ用支柱
2 スライドレール
3 搬送ローラ軸受作動用モータ
4 張力測定器
5、5a、5b 搬送ローラ
6 ラビングローラ
6a ラビングシート
7 搬送ローラ軸受
11 ラビングローラ軸受
12 ラビングローラ回転モータ
13 ラビングローラ用支柱
14 支点
15 シリンダー
21 表面除塵器
23 軟X線除電器
24 配向膜形成材料層を備えた長尺状透明フィルム
25 バックアップローラ
26 表面除塵器
Claims (8)
- 表面に配向膜形成材料層を備えた長尺可撓性シートをその長さ方向に移動させながら、その配向膜形成材料層の表面をラビング処理して配向膜を形成するための、少なくとも一つのラビングローラと、そのラビングローラの前後に少なくとも一つずつ備えられた長尺可撓性シートに張力を付与しながら該長尺可撓性シートを案内搬送する搬送ローラとからなる装置であって、該搬送ローラのうちの少なくとも一つに長尺可撓性シートの幅方向の張力の差を感知する装置と該装置により感知された張力の差が所定の値以上になった場合に該搬送ローラの軸受をラビングローラの中心線に対して傾ける駆動装置とが備えられていることを特徴とする長尺可撓性シートのラビング装置。
- 駆動装置がモータである請求項1に記載の長尺可撓性シートのラビング装置。
- 該駆動装置が、搬送ローラの軸受をラビングローラの中心線に対して上下に傾ける装置である請求項1もしくは2に記載の長尺可撓性シートのラビング装置。
- ラビングローラの前後に設けられた搬送ローラのそれぞれが、長尺可撓性シートの幅方向の張力の差を感知する装置と該装置により感知された張力の差が所定の値以上になった場合に該搬送ローラの軸受をラビングローラの中心線に対して傾ける駆動装置とを備えている請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載の長尺可撓性シートのラビング装置。
- 表面に配向膜形成材料層を備えた長尺可撓性シートをその長さ方向に移動させながら、その配向膜形成材料層の表面をラビング処理して配向膜を形成するための、少なくとも一つのラビングローラと、そのラビングローラの前後に少なくとも1つずつ備えられた長尺可撓性シートに張力を付与しながら該長尺可撓性シートを案内搬送する搬送ローラとからなる装置であって、該ラビングローラが、長尺可撓性シートの幅方向の張力の差を感知する装置と該装置により感知された張力の差が所定の値以上になった場合に該ラビングローラの軸受を搬送ローラの中心線に対して傾ける駆動装置とを備えていることを特徴とする長尺可撓性シートのラビング装置。
- 該駆動装置が、ラビングローラの軸受を搬送ローラの中心線に対して上下に傾ける装置である請求項5に記載の長尺可撓性シートのラビング装置。
- 表面に配向膜形成材料層を備えた長尺可撓性シートを搬送ローラを用いてその長さ方向に移動させながら、その配向膜形成材料層の表面をラビングロールによりラビング処理して配向膜を形成することからなるラビング方法であって、そのラビング処理を、移動中の長尺可撓性シートの幅方向の張力を感知し、感知された張力の差が所定の値以上になった場合に、該搬送ローラまたはラビングローラの軸受を、それぞれ、ラビングローラの中心線または搬送ローラの中心線に対して傾けるように調整しながら行なうことにより、長尺可撓性シートの幅方向に均一に施すことを特徴とする長尺可撓性シートのラビング方法。
- 長尺可撓性シートの幅方向の一方の側の縁部の張力と他方の側の縁部の張力との差が、シート幅1cm当り0.1N以内となるように長尺可撓性シートの幅方向の張力を調整することを特徴とする請求項7に記載の長尺可撓性シートのラビング方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12833798A JP3929001B2 (ja) | 1998-04-22 | 1998-04-22 | 長尺可撓性シートのラビング装置およびラビング方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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