JP3928924B2 - インモールド容器の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、開口を有する有底円筒状の容器本体の外周面にラベル本体を密着成形させたインモールド容器の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、焼きプリンを収容するための容器としては、上面に開口を有する有底円筒状をなす容器本体の周壁外面に、ラベル本体よりなるインモールド容器用ラベルがインモールド成形法により密着成形されたインモールド容器が使用されている。前記容器本体は耐熱ポリプロピレン樹脂により形成され、また、容器本体の開口端部には、容器本体の周方向に沿って外方へ延びるフランジが形成されている。
【0003】
そして、インモールド容器内に焼きプリンを製造するには、まず、プリンの原料がインモールド容器内に収容され、インモールド容器とともに、プリンの原料が蒸される。続けて、インモールド容器とともに、固化したプリンがオーブンにより加熱され、プリンに焼き目が付けられる。最後に、フランジ部分にトップフィルムが熱融着されてインモールド容器の開口が閉塞される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のインモールド容器を形成する耐熱ポリプロピレン樹脂は130度を越えると軟化する性質を有している。そのため、前記オーブンによる加熱時、インモールド容器が130度を超えた室内に晒されると、フランジが軟化、さらには変形してフランジ上面に凹凸が形成されてしまう。その結果、トップフィルムとフランジとの接触面積が小さくなり、フランジに対してトップフィルムを安定して熱融着することができず、トップフィルムとフランジとの間のシール性が悪くなってしまうといった不具合が発生していた。
【0005】
従って、製造者はオーブンによる加熱温度を130度より低く設定し、さらに加熱時間を短く設定しなければならず、インモールド容器を高温状態に晒す作業における規制が多くなり、作業効率が非常に悪いといった問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、フランジにラベル本体を容易に密着成形することができ、そのラベル本体によりフランジが熱により変形する温度を高めて、インモールド容器を高温状態に晒す作業における作業効率を向上させることができるインモールド容器の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、開口を有する有底筒状をなすとともに、開口に沿って外方へ延びるフランジを備えた容器本体の外面にラベル本体が密着成形されたインモールド容器の製造方法であって、複数層から構成される層構造を有するラベル本体を形成するとともに、該ラベル本体の一側縁部の端縁からラベル本体の内部に向かって延びる切り込み又はハーフカットを形成し、一対の金型のうち、キャビティ型の内周面に前記ラベル本体を密着させるとともに、前記キャビティ型から前記ラベル本体の一側縁部を突出させ、前記キャビティ型に対してコア型を近接配置する際に、前記ラベル本体の一側縁部が前記コア型に当接することで外方へ向けて押し広げられるようにして型締めされ、前記型締め後に、一対の金型によってもたらされるキャビティ内に溶融樹脂を注入することを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、開口を有する有底筒状をなすとともに、開口に沿って外方へ延びるフランジを備えた容器本体の外面にラベル本体が密着成形されたインモールド容器の製造方法であって、複数層から構成される層構造を有するラベル本体を形成するとともに、該ラベル本体の一側縁の延びる方向に沿って延びるミシン目又はハーフカットを形成し、一対の金型のうち、キャビティ型の内周面に前記ラベル本体を密着させるとともに、前記キャビティ型から前記ラベル本体の一側縁部を突出させ、前記キャビティ型に対してコア型を近接配置する際に、前記ラベル本体の一側縁部が前記コア型に当接することで外方へ向けて押し広げられるようにして型締めされ、前記型締め後に、一対の金型によってもたらされるキャビティ内に溶融樹脂を注入することを要旨とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、焼きプリン収容用のインモールド容器に密着成形されたインモールド容器用ラベルの一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
【0011】
図1(a)、(b)に示すように、インモールド容器用ラベル11は、開口を有する有底筒状をなすとともに、開口に沿って外方へ延びるフランジ12cを備えた容器本体12に密着成形されるラベル本体13よりなるものである。そして、インモールド容器用ラベル11がインモールド成形法により前記容器本体12に密着成形されてインモールド容器としてのプリン容器10が形成される。
【0012】
まず、前記容器本体12について説明する。前記容器本体12は円板状をなす底壁12aと、その底壁12aの周縁に沿って立設された周壁12bとより形成されている。前記周壁12bは開口側に向かうに連れて広がるテーパ形状に形成されている。周壁12bの開口端部には、容器本体12の開口端に沿って外側方へ延びるフランジ12cが突設されている。
【0013】
次に、前記インモールド容器用ラベル11について説明する。図2(a)に示すように、前記ラベル本体13は、ラベル本体13の一側縁部としての第1円弧13a及び同第1円弧13aより短く、第1円弧13aの延びる方向に沿って延びる第2円弧13bと、当該第1円弧13a及び第2円弧13bの各端部同士を結ぶ直線13cとにより囲まれた平面形状に形成されている。
【0014】
また、前記ラベル本体13は複数層から構成される層状構造を有し、図2(b)に示すように、外側(図2(b)では下側)から順に基材層14、印刷層15、中間層16及び接着層17の4層から構成されている。前記中間層16は第1中間層と第2中間層とに分けられる場合もある。なお、前記基材層14と印刷層15との間又は印刷層15と中間層16との間には接着剤層(図示せず)が設けられ、その接着剤層により基材層14と印刷層15又は印刷層15と中間層16とが接着されている。
【0015】
ラベル本体13の構成としては、基材層14としての延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、単にPETと記す)(50μm)、印刷層15、中間層16としての未延伸ポリプロピレンフィルム(以下、単にCPPと記す)(20〜30μm)及び接着層17よりなるものが挙げられる。また、その他のラベル本体13の構成としては、基材層14としてのPET(12μm)、印刷層15、中間層16のうちの第1中間層としてのアルミ蒸着PET(12μm)と第2中間層としてのCPP(20〜30μm)及び接着層17よりなるものが挙げられる。
【0016】
さらに、その他のラベル本体13の構成としては基材層14としてのPET(12μm)、印刷層15、中間層16のうちの第1中間層としてのPET(12μm)と第2中間層としてのCPP(20〜30μm)及び接着層17よりなるものが挙げられる。ラベル本体13は上記3種類のうちのいずれか一つが使用されるが、本実施形態では基材層14としてのPET(50μm)、印刷層15、中間層16としてのCPP(20〜30μm)及び接着層17よりなるものを使用した。
【0017】
なお、前記印刷層15や接着剤層としては汎用されているものが好適に使用され、前記接着層17としてはヒートシール剤の他、汎用されているものが好適に使用される。また、上記構成を有するラベル本体13は二軸延伸により延伸されたものである。そして、ラベル本体13はPET及びCPPより主に構成され、CPPは耐熱温度が130℃であり、PETは耐熱温度が240℃であるため、ラベル本体13は240℃を越えた雰囲気に晒されると軟化する性質を有している。
【0018】
図2(a)、(b)に示すように、ラベル本体13の第1円弧13a側には、同第1円弧13aの端縁からラベル本体13の内部方向へ直線状に延びる切り込み13dが一定間隔をおいて複数箇所に形成されている。前記切り込み13dはプリン容器10のインモールド成形の際に、ラベル本体13の第1円弧13a側の容器本体12の周壁12bからフランジ12cに沿った変形、即ち外方への広がり、さらには溶融樹脂圧による折り曲げを補助する機能を有している。そして、ラベル本体13の第1円弧13a側の周縁部には隣接する切り込み13d間にそれぞれラベル片13eが形成され、各ラベル片13eの先端側はそれぞれ自由端となっている。
【0019】
さらに、図2(a)、(c)に示すように、ラベル本体13の第1円弧13a側には、当該第1円弧13aの延びる方向に沿って延びるミシン目13fが形成されている。そして、前記ミシン目13fはプリン容器10のインモールド成形の際に、ラベル本体13の第1円弧13a側の容器本体12の周壁12bからフランジ12cに沿った変形、即ち溶融樹脂圧による折り曲げを補助する機能を有している。前記ミシン目13fのラベル本体13の厚みに対する深さは、プリン容器10のインモールド成形の際に、ラベル本体13の第1円弧13a側が折り曲げられるように形成されていればよく、本実施形態では、ミシン目13fの深さをラベル本体13の厚みのほぼ半分に設定した。
【0020】
図2(a)に示すように、前記各切り込み13dは、前記ミシン目13fに対し、正面逆T字状に繋がるように形成され、そのミシン目13fにより前記各ラベル片13eの基端部の両側がそれぞれ切り込まれている。また、図2(a)、(d)に示すように、ラベル本体13の両直線13c側の端部に位置するミシン目13fはラベル本体13を切断するように形成されている。
【0021】
そして、図1(a)、(b)に示すように、前記周壁12bの外周面のほぼ全体、さらには周壁12bからフランジ12cの裏面(下面)にかけてラベル本体13がインモールド成形法により密着成形されてインモールド容器用ラベル11と容器本体12とが一体化されたプリン容器10が形成されている。前記インモールド容器用ラベル11はフランジ12cの裏面のほぼ全体に亘って密着成形されている。そして、そのインモールド容器用ラベル11によりフランジ12cが熱により変形する温度が、耐熱ポリプロピレン樹脂の耐熱温度130℃よりも高くなっている。
【0022】
容器本体12のフランジ12c表面(上面)に貼着されるトップフィルム(図示せず)としてはイージーオープンフィルムが使用される。このイージーオープンフィルムは各層の合成樹脂を選定することにより、ヒートシール性を有し、異種材料のプラスチックに対してピールオープン性を有する二軸延伸フィルムにより形成されたものである。
【0023】
前記トップフィルムの構成としては、前記PET(50μm)、印刷層及びポリプロピレン(以下、PPと記す)系イージーピールフィルム(30μm)のもの、PET(12μm)、印刷層、アルミ蒸着PET(12μm)及びPP系イージーピールフィルム(30μm)よりなるもの又はPET(12μm)、印刷層、PET(12μm)及びPP系イージーピールフィルム(30μm)よりなるものが挙げられる。トップフィルムは上記3種類の内のいずれか一つが使用されるが、本実施形態では、PET(12μm)、印刷層、アルミ蒸着PET(12μm)及びPP系イージーピールフィルム(30μm)よりなる構成のトップフィルムとして使用した。
【0024】
なお、前記印刷層としては汎用されているものが好適に使用され、印刷層の表面側又は裏面側のいずれかに隣接する層との接着を行うための接着剤層が設けられている。また、印刷層は透明フィルムに印刷が施されている。
【0025】
次に、図3に示すように、前記インモールド容器用ラベル11を使用してプリン容器10のインモールド成形を行うための成形型18について説明する。成形型18は一対の金型としてのキャビティ型19と、コア型20とより構成され、上下方向に型締め及び型開きすることができるようになっている。
【0026】
前記キャビティ型19内には容器本体12の外周形状とほぼ対応する凹部19aが凹設されている。凹部19aの開口側は前記フランジ12cを成形すべく外方へ拡径され、その拡径された部分に拡径凹部19cが凹設されている。
【0027】
キャビティ型19には凹部19a内に挿入されたインモールド容器用ラベル11を凹部19aの内周面に密着させるためのバキューム装置(図示せず)が設けられている。また、キャビティ型19内には前記バキューム装置に連結されたエア吸引管21が凹部19a内に臨むように配設されている。そして、バキューム装置によりエアを吸引することによりエア吸引管21から凹部19a内のエアを吸引し、凹部19a内周面にインモールド容器用ラベル11を吸着させることができるように形成されている。さらに、キャビティ型19の内底面には図示しないゲートを介して樹脂射出器22が連結されている。
【0028】
前記コア型20は前記凹部19aの開口を閉塞可能な大きさに形成された蓋部20aと、同蓋部20aから延設され、先端へ向かうに従い連れて直径が縮径するテーパ形状に形成されたコア部20bとより形成されている。前記蓋部20aの裏面において、コア部20bの基端側の外周部分には前記フランジ12cを成形すべく円環状をなす環状凹部20cが凹設されている。
【0029】
そして、図4に示すように、前記コア部20bが凹部19a内に挿入されてキャビティ型19とコア型20とが型締めされると、凹部19aの内周面とコア部20bの外周面との間に容器本体12の周壁12bに対応する周壁キャビティ23が形成される。さらに、前記拡径凹部19cと環状凹部20cとの間には、フランジ12cに対応するフランジキャビティ24が形成される。そして、前記樹脂射出器22から周壁キャビティ23さらにはフランジキャビティ24に溶融樹脂が注入されるように形成されている。
【0030】
次に、上記成形型18を使用してプリン容器10をインモールド成形法により成形する方法について説明する。
まず、図3に示すように、凹部19a内に、ラベル本体13の基材層14が凹部19aの内周面側に位置するようにインモールド容器用ラベル11を挿入する。次いで、バキューム装置によりエアを吸引し、インモールド容器用ラベル11を凹部19aの内周面に吸着させる。さらに、ラベル本体13の第1円弧13a側の周縁部が凹部19aの開口より若干上方へ突出するようにインモールド容器用ラベル11の位置を調節する。なお、ラベル本体13のミシン目13fが、凹部19aの内周面と拡径凹部19cとの境目に形成される段差部と同じ位置又は上側に位置するようにインモールド容器用ラベル11を配置するのが好ましい。
【0031】
次に、図4に示すように、凹部19a内にコア部20bを挿入し、キャビティ型19とコア型20とを型締めする。すると、ラベル本体13の第1円弧13a側の周縁部は拡径凹部19cの内面によりキャビティ型19側へ押される。このとき、ラベル本体13の第1円弧13a側は切り込み13dにより複数のラベル片13eに細分化されている。そのため、切り込み13dによりラベル本体13の第1円弧13a側はそれぞれ外方へ容易に押し広げられる。
【0032】
そして、型締めが完了すると、成形型18内に周壁キャビティ23及びフランジキャビティ24が形成される。この型締め状態において、バキューム装置のエア吸引により、インモールド容器用ラベル11が容器本体12の外周面側に位置すべく周壁キャビティ23の外周側に密着されている。また、ラベル本体13の第1円弧13a側がフランジキャビティ24内に配置されている。
【0033】
続いて、樹脂射出器22から凹部19a内へ溶融樹脂が注入される。すると、溶融樹脂は周壁キャビティ23からフランジキャビティ24内へと注入されていく。このとき、インモールド容器用ラベル11は凹部19aの内周面に吸着されているため、溶融樹脂はコア部20bの外周面とラベル本体13の接着層17との間に注入されていく。そして、溶融樹脂の熱によりラベル本体13の接着層17が溶融される。
【0034】
さらに、図5に示すように、フランジキャビティ24内に溶融樹脂が注入されると、溶融樹脂圧により各ラベル片13eはさらに外方へ折り曲げられ、フランジキャビティ24内へ配置される。このとき、切り込み13d及びミシン目13fにより各ラベル片13eが外方へ容易に折り曲げられ、最終的には各ラベル片13eの外面、即ち基材層14が拡径凹部19cの内底面に密接する。
【0035】
そして、溶融樹脂の注入が終了した後、冷却すると、溶融樹脂が固化するとともに、溶融した接着層17が固化して周壁12bに対して接着される。続けて、成形型18を型開きをすることにより容器本体12にインモールド容器用ラベル11が密着されたプリン容器10が成形される。得られたプリン容器10はフランジ12cの裏面全体にラベル本体13の第1円弧13a側の周縁部、即ちラベル片13eが密着成形されている。
【0036】
さて、上記プリン容器10を使用して焼きプリンを製造するには、まず、プリン容器10のフランジ12cを製造ラインの機器に固定して、同機器にプリン容器10を保持させ、そのプリン容器10内にプリンの原料を充填する。このとき、フランジ12cの裏面全体に亘ってインモールド容器用ラベル11が一体化されている。そのため、フランジ12cにインモールド容器用ラベル11が一体化されていない場合と比較して、同フランジ12cの荷重に対する強度が高められている。その結果、プリンの原料の荷重がフランジ12cに作用しても、同フランジ12cが変形することが防止される。
【0037】
次に、プリン容器10の開口側に前記トップフィルム(図示せず)を配置する。そして、そのトップフィルムの裏面の周縁部を部分的にフランジ12cの表面(上面)に加熱融着し、プリン容器10の上部開口を部分的に開放しておく。
【0038】
次に、プリンの蒸し工程を行ってプリンを固化させる。このときのプリン容器10は、フランジ12cにインモールド容器用ラベル11が一体化され、そのインモールド容器用ラベル11には耐熱温度が240℃の物性を有するPETが使用されている。そのため、フランジ12cが耐熱ポリプロピレン樹脂のみで成形されている場合と異なり、フランジ12cが熱により変形される温度が高くなっている。また、トップフィルムにはアルミ蒸着PET層が形成されているため、そのアルミ蒸着PET層により熱が反射され、フランジ12cの温度上昇を妨げるようになっている。そのため、蒸し工程によりフランジ12cが変形することが防止され、フランジ12cに融着されたトップフィルムがフランジ12cから剥がれる不具合が防止される。
【0039】
続けて、加熱工程において、オーブンによりプリン容器10全体は170〜180℃に加熱されて高温状態に晒され、プリンに焼き目が形成される。このときも、フランジ12cが熱により変形する温度は、耐熱ポリプロピレン樹脂の耐熱温度130℃より高くなっている。また、トップフィルムのアルミ蒸着PET層によりフランジ12cの温度上昇が妨げられている。そのため、熱によりフランジ12cが変形することが防止され、フランジ12cの表面は平面状に維持される。
【0040】
そして、加熱工程後、トップフィルムの周縁部全体をフランジ12cの表面に加熱融着して、プリン容器10の開口をトップフィルムにより閉塞する。このとき、フランジ12cの表面は平面状に維持されているため、トップフィルムが安定した状態でフランジ12cに融着され、トップフィルムとフランジ12cとの間のシール機能の低下が防止される。
【0041】
上記実施形態のインモールド容器用ラベル11によれば、以下のような特徴を得ることができる。
(1)ラベル本体13の第1円弧13a側は切り込み13dにより複数のラベル片13eに細分化されている。そのため、切り込み13dが形成されず、ラベル片13eが形成されていない場合と比較して、成形型18の型締めの際に、ラベル本体13の第1円弧13a側の周縁部を外方へ容易に押し広げ、さらに溶融樹脂圧によりラベル片13eを確実に折り曲げることができる。従って、得られるプリン容器10のフランジ12cの裏面にインモールド容器用ラベル11を確実に密着成形することができる。
【0042】
(2)ラベル本体13にはミシン目13fが周方向に沿って形成され、ミシン目13fはラベル片13eの基端側に位置している。そのため、ミシン目13fが形成されていない場合と異なり、成形型18の型締めの際に、各ラベル片13eを外方へ容易に折り曲げさせることができる。さらには、溶融樹脂の注入の際に、溶融樹脂圧により各ラベル片13eを拡径凹部19c側へ容易に折り曲げさせることができ、ラベル片13eをフランジ12cの裏側に確実に密着成形することができる。
【0043】
(3)フランジ12cにインモールド容器用ラベル11が密着成形され、そのインモールド容器用ラベル11には耐熱温度が240℃の物性を有するPETが設けられているため、フランジ12cが耐熱ポリプロピレン樹脂だけで形成されていた従来と異なり、フランジ12cが変形する温度を耐熱ポリプロピレン樹脂の耐熱温度130℃より高めることができる。
【0044】
従って、プリン容器10が加熱工程により170〜180℃の高温状態に晒されてもフランジ12cの熱による変形を防止することができる。その結果、フランジ12cの軟化、変形等を防止するため、加熱時間や加熱時間の規制が存在した従来と異なり、プリン容器10を高温状態に晒す作業の簡易化を図り、その作業効率を向上させることができる。また、フランジ12cの軟化、変形によるトップフィルムの剥離を防止することができ、得られる製品の不具合量を低下させて、プリン容器10を使用して製造される製品の生産効率を向上させることができる。さらには、フランジ12cから剥離したトップフィルムをフランジ12cに再度融着させる手間を省いて生産効率の向上に寄与することができる。
【0045】
(4)ラベル本体13にはミシン目13fが形成されているため、型締めの際に、ラベル本体13の第1円弧13a側の周縁部を外方へ容易に押し広げることができる。従って、ミシン目13fが形成されず、型締めの際にラベル片13eが外方へ変形せず、インモールド容器用ラベル11の中央部等にしわが形成されたり、インモールド容器用ラベル11が凹部19aの内周面から離れたりしてプリン容器10のインモールド容器用ラベル11部分における外観が低下するといった不具合を防止することができる。
【0046】
(5)各切り込み13dとミシン目13fとが繋がるように形成され、ラベル片13eの基端部の両側にもミシン目13fが形成されているため、型締めの際にラベル片13eをより一層容易に押し広げることができ、溶融樹脂圧によりラベル片13eをより一層容易に折り曲げることができる。
【0047】
(6)ラベル本体13の両直線13c側の端部はそれぞれ切断されているため、型締めの際、インモールド容器用ラベル11の長さ方向における両直線13c側の端部を容易に外方へ押し広げることができ、さらには、溶融樹脂圧により容易に折り曲げることができる。
【0048】
(7)成形型18の型締め及び溶融樹脂の注入の際に、ミシン目13fと切り込み13dとの協働によりラベル片13eをより効果的に外方へ押し広げ、さらに折り曲げることができる。従って、フランジ12cの裏面にインモールド容器用ラベル11が配置されたプリン容器10をより確実に製造することができる。
【0049】
(8)フランジ12cとインモールド容器用ラベル11とが一体化されているため、フランジ12cにインモールド容器用ラベル11が一体化されていない場合と比較して、フランジ12cの荷重等の外力に対する強度が高められている。そのため、例えば、フランジ12cが機器に固定された状態でプリン容器10内にプリンの原料が充填されたとき、プリンの原料の荷重によりフランジ12cが変形する不具合を防止することができる。従って、フランジ12cの変形により機器によるフランジ12cの固定が不安定となり、機器からプリン容器10が落下するおそれをなくすことができる。
【0050】
(9)フランジ12cの裏面の幅方向に沿った長さの半分以上、具体的にはフランジ12cの裏面のほぼ全体にインモールド容器用ラベル11が密着成形されている。そのため、フランジ12c全体を熱により変形しにくくすることができる。
【0051】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 実施形態では、切り込み13dと各ミシン目13fとが逆T字状に繋がるように形成したが、切り込み13dと各ミシン目13fとが繋がらなく、それぞれ独立していてもよい。また、実施形態では、切り込み13dと各ミシン目13fとが逆T字状に繋がるように形成したが、各ラベル片13eの基端部の一側のみに各ミシン目13fが形成されるように切り込み13dと各ミシン目13fとをL字状又は逆L字状に繋がるように形成してもよい。
【0052】
・ 実施形態では、各ミシン目13fを直線状に形成したが、各ミシン目13fを円形状に形成し、その円形状をなすミシン目13fと切り込み13dとを繋がるように形成してもよく、繋がっていなくてもよい。
【0053】
・ ラベル本体13の両直線13c側の端部を切断したが、ラベル本体13の両直線13c側の端部を切断しなくてもよい。また、切断する代わりにミシン目又はハーフカットを形成し、そのミシン目又はハーフカットの深さを任意に調節してもよい。
【0054】
・ 実施形態では、ラベル本体13に切り込み13d及びミシン目13fを形成したが、切り込み13d及びミシン目13fのいずれか一方のみをラベル本体13に形成してもよい。
【0055】
・ 実施形態では、フランジ12cの裏面に沿ってインモールド容器用ラベル11を密着成形させたが、図6(a)に示すように、フランジ12cの裏面からさらにフランジ12cの側端縁に沿ってインモールド容器用ラベル11が密着するようにしてもよい。このとき、図6(b)に示すように、インモールド容器用ラベル11の第1円弧13a側縁部に別のミシン目13f又はハーフカットを形成し、インモールド容器用ラベル11の第1円弧13a側端縁を折り曲げやすくしてもよい。
【0056】
・ また、実施形態では、フランジ12cの裏面に沿ってインモールド容器用ラベル11を密着成形させたが、フランジ12c内にインモールド容器用ラベル11の第1円弧13a側の周縁部が埋め込まれた状態でフランジ12cとインモールド容器用ラベル11とを一体成形してもよい。
【0057】
・ 実施形態では、フランジ12cの裏面ほぼ全体にインモールド容器用ラベル11が位置するようにプリン容器10をインモールド成形したが、フランジ12cの幅方向に沿った長さの半分以上にインモールド容器用ラベル11が位置し、フランジ12cが熱により変形する温度が130℃より高くなる位置であればいずれに位置にしていてもよい。このとき、型締めによりラベル片13eが押し広げられない場合が生じるが、溶融樹脂圧によりラベル片13eを外方へ折り曲げることができる。
【0058】
・ 実施形態では、ミシン目13fをラベル本体13の厚みに対してほぼ半分程度の深さとなるように形成したが、ラベル本体13の厚みを貫通するようにミシン目13fを形成してもよい。
【0059】
・ 実施形態では、ラベル本体13にミシン目13fを形成したが、ミシン目13fを省略してもよい。又はミシン目13fの代わりに第1円弧13aの周方向に沿って延びるハーフカットを形成してもよい。
【0060】
さらには、ラベル本体13の第1円弧13aに沿って延びるミシン目13f又はハーフカットをラベル本体13に二本以上形成してもよい。このように構成した場合、一本のミシン目13f又はハーフカットが凹部19aの内周面と拡径凹部19cとの境目に形成される段差部より下側に位置していても、別のミシン目13f又はハーフカットが前記段差部より上側に位置していればラベル片13eを外方へ折り曲げることができる。
【0061】
・ 実施形態では、切り込み13dを第1円弧13aの周方向の長さに沿って複数箇所に形成したが、一箇所だけでもよく、第1円弧13aの周方向の長さを二等分する位置、三等分する位置、四等分する位置又は任意に分割する位置等に切り込み13dを形成してもよい。
【0062】
・ 実施形態では、切り込み13dによりラベル本体13の第1円弧13a側を細分化して外方へ押し広げやすくしたが、切り込み13dの代わりにラベル本体13の第1円弧13a側端縁からラベル本体13内方へ延びるハーフカットを形成してもよい。
【0063】
・ 実施形態では、インモールド容器を焼きプリン収容用のプリン容器10に具体化したが、茶碗蒸、プリン、ケーキ、ゼリー等の食品の収容用に具体化してもよい。
【0064】
次に上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(1) 前記ラベル本体の一側縁部に、当該一側縁の延びる方向に沿って延びるミシン目又はハーフカットを形成することを特徴とする請求項1に記載のインモールド容器の製造方法。このように構成した場合、切り込み又はハーフカットとミシン目又はハーフカットとの協働によりインモールド成形の際に、ラベル本体の一側縁部を外方へより一層容易に折り曲げさせることができる。従って、フランジにラベル本体を容易に密着成形することができ、そのラベル本体によりフランジが熱により変形する温度を高めて、インモールド容器を高温状態に晒す作業における作業効率を向上させることができる。
【0065】
(2) 前記ラベル本体の一側縁部の両端側を切断するとともに、インモールド成形の際に、前記切断部分によりラベル本体の一側縁部の両端側における溶融樹脂圧による外方へ折り曲げが補助されていることを特徴とする請求項1及び請求項2及び前記技術的思想(1)のいずれか一項に記載のインモールド容器の製造方法。このように構成した場合、インモールド成形の際、ラベル本体の一側縁部の両端側を外方へ容易に折り曲げることができる。
【0066】
(3) 前記切り込み又はハーフカットの間に形成されるラベル片の基端側に前記ミシン目又はハーフカットが形成されるべく切り込みとミシン目又はハーフカットとが繋がるように形成することを特徴とする前記技術的思想(1)に記載のインモールド容器の製造方法。このように構成した場合、ラベル本体の一側縁部をより一層折り曲げやすくすることができる。
【0067】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1又は請求項2に記載の発明によれば、フランジにラベル本体を容易に密着成形することができ、そのラベル本体によりフランジが熱により変形する温度を高めて、インモールド容器を高温状態に晒す作業における作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はプリン容器を示す斜視図、(b)はプリン容器を示す部分断面図。
【図2】(a)はインモールド容器用ラベルを示す正面図、(b)はインモールド容器用ラベルを示す平面図、(c)は図2(a)の2c−2c線断面図、(d)はインモールド容器用ラベルを示す側面図。
【図3】キャビティ型内にインモールド容器用ラベルを挿入した状態を模式的に示す断面図。
【図4】成形型を型締めした状態を模式的に示す断面図。
【図5】成形型内に溶融樹脂を注入した状態を模式的に示す断面図。
【図6】(a)はフランジにおける別例を示す部分断面図、(b)は別例のインモールド容器用ラベルを示す部分正面図。
【符号の説明】
10…インモールド容器としてのプリン容器、11…インモールド容器用ラベル、12…容器本体、12c…フランジ、13…ラベル本体、13d…切り込み、13f…ミシン目、19…一対の金型を構成するキャビティ型、20…一対の金型を構成するコア型、23…周壁キャビティ、24…フランジキャビティ。
Claims (2)
- 開口を有する有底筒状をなすとともに、開口に沿って外方へ延びるフランジを備えた容器本体の外面にラベル本体が密着成形されたインモールド容器の製造方法であって、
複数層から構成される層構造を有するラベル本体を形成するとともに、該ラベル本体の一側縁部の端縁からラベル本体の内部に向かって延びる切り込み又はハーフカットを形成し、
一対の金型のうち、キャビティ型の内周面に前記ラベル本体を密着させるとともに、前記キャビティ型から前記ラベル本体の一側縁部を突出させ、
前記キャビティ型に対してコア型を近接配置する際に、前記ラベル本体の一側縁部が前記コア型に当接することで外方へ向けて押し広げられるようにして型締めされ、
前記型締め後に、一対の金型によってもたらされるキャビティ内に溶融樹脂を注入することを特徴とするインモールド容器の製造方法。 - 開口を有する有底筒状をなすとともに、開口に沿って外方へ延びるフランジを備えた容器本体の外面にラベル本体が密着成形されたインモールド容器の製造方法であって、
複数層から構成される層構造を有するラベル本体を形成するとともに、該ラベル本体の一側縁の延びる方向に沿って延びるミシン目又はハーフカットを形成し、
一対の金型のうち、キャビティ型の内周面に前記ラベル本体を密着させるとともに、前記キャビティ型から前記ラベル本体の一側縁部を突出させ、
前記キャビティ型に対してコア型を近接配置する際に、前記ラベル本体の一側縁部が前記コア型に当接することで外方へ向けて押し広げられるようにして型締めされ、
前記型締め後に、一対の金型によってもたらされるキャビティ内に溶融樹脂を注入することを特徴とするインモールド容器の製造方法。
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