JP3928453B2 - サッシ窓の嵌殺し障子の排水装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サッシ枠の室内側に嵌殺し障子を備え、室外側に引障子を備えたサッシ窓に使用するもので、上記したサッシ窓の嵌殺し障子における下桟の室内側から結露水を排水する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上述したサッシ窓の嵌殺し障子の排水装置としては、実開昭59−140691号公報に示すように、サッシ下枠の室内側上面に結露水受溝を設けたものが知られている。結露水受溝は、嵌殺し障子の嵌合溝の横に位置し、嵌殺しガラスとサッシ下枠の室内側上面と立ち上がり壁とで上向きのコ字状に形成してある。
【0003】
ところが、上記した従来例の構造では、ガラス保持部(ガラスを前後から支持する部分)の前後幅を現状と同一幅にしたまま、現状よりも厚いガラスを嵌めることができなかった。つまり、結露水受溝を形成するには底となるサッシ下枠の室内側上面部分が必要であるにも関わらず、現状よりも厚いガラスを嵌め込むためにガラス嵌合溝の間口を幅広くすると、サッシ下枠の室内側上面部分がなくなり、ひいては結露水受溝が形成できなくなる。かといって、現状よりも厚いガラスを嵌めるためにその厚みの増加分だけガラス保持部の前後幅を現状よりも室内側に広げたのでは、その分、室内空間が狭くなる。なお、従来例としては、実開平3−99183号の発明もあり、これも同様の問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情を考慮して開発されたもので、その目的は、嵌殺し障子のガラス厚が厚い場合でも結露水の排水効果が得られ、しかも、室内空間をできる限り広く取ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、サッシ枠の室内側に嵌殺し障子を備え、室外側に引障子を備えたサッシ窓において、嵌殺し障子の下桟をサッシ下枠の上に起立し、下桟の室内側見付け面に凹溝を下桟のガラス保持部よりも下側に設けると共に、凹溝の深さ方向を斜め下向きに形成してあり、室内側見付け面を凹溝よりも上側部分では鉛直面に形成すると共に、凹溝の下部に水抜穴をあけ、水抜穴と室外を連通する排水孔をサッシ下枠に設けたことを特徴とする。
【0006】
嵌殺し障子の下桟をサッシ下枠の上に起立してあるので、下桟の室内側見付け面に凹溝を形成することができる。
【0007】
嵌殺し障子の室内面に発生した結露水は、ガラス表面に沿って落下して、嵌殺し障子の下桟の鉛直な室内側見付け面、凹溝、凹溝の水抜穴、サッシ下枠の排水孔を順次通過して室外に排出される。なお、水抜穴の形成箇所を凹溝の下部にしたのは、仮に凹溝の上部だと、結露水の排水効率が悪いからである。
【0008】
室外側から風が吹いたりした場合は、水抜穴から水が逆流する可能性もあるので、それを阻止するには、例えば、凹溝の水抜穴に逆流防止機能付きの水抜きピースを取り付けてあることが望ましい。
【0009】
また、上述した請求項1記載の発明では、室内側見付け面に凹溝を形成してあったが、別の手法で結露水を排水しても良い。それには、サッシ枠の室内側に嵌殺し障子を備え、室外側に引障子を備えたサッシ窓において、嵌殺し障子の下桟をサッシ下枠の上に起立し、下桟における室内側見付け面に鍔を、下桟のガラス保持部よりも下側から室内側に向かって斜め上向きに突出して設け、室内側見付け面を鍔よりも上側部分では鉛直面に形成すると共に、室内側見付け面には水抜穴を、室内側から下桟を水平視した場合に鍔で覆われる部分にあけ、水抜穴に逆流防止機能付きの水抜きピースを取り付け、水抜穴と室外を連通する排水孔をサッシ下枠に設けてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
サッシ窓は図1又は図2に示すように、サッシ枠1の室外側に引障子2を有し、サッシ枠1の室内側に嵌殺し障子3を備えている。
【0011】
サッシ枠1は、下枠4の上面が略水平なもので、上枠(図示せず)、下枠4、左縦枠5、右縦枠6とからなり、下枠4の上面室内側に嵌殺し障子3の係止孔7をあけ、下枠4の上面室外側に引障子2の戸車8が滑走する窪み9を設けてある。
【0012】
嵌殺し障子3は、ガラス10の上側を上桟を介してサッシ上枠に固定し(図示せず)、ガラス10の下側を下桟11を介してサッシ下枠4に固定し、ガラス10の左側を左縦桟12で囲み、ガラス10の右側をサッシ右縦枠6に固定してある。なお、左縦桟12は、サッシ上枠と下枠4の横幅中間部に立ててある。符号Sは、シール材である。
【0013】
下桟11は、サッシ下枠4の略水平な上面(躯体への水平な取付片T)よりも上側に起立するもので、その上部には、上向きに開口するコ字状のガラス保持部13を有し、その下部の前後幅中央部には、サッシ下枠4の係止孔7に差し込む一対の係止片14,14を前後に間隔をあけて垂下してある。
【0014】
上述したサッシ窓に使用する本発明のサッシ窓の嵌殺し障子の排水装置の第一実施形態は図1から図4に示すように、下桟11の室内側見付け面に凹溝15を、ガラス保持部13よりも下側部分に設け、室内側見付け面における凹溝15よりも上側部分を鉛直面に形成し、凹溝15の底には水抜穴16を長手方向に間隔をあけて設け、水抜穴16に水抜きピース17を取り付け、サッシ下枠4には水抜穴16よりも下側に、排水孔18を室外に連通する状態であけてある。また、上述した下桟の両係止片14,14の間隔も、排水孔18と同様の機能を果たす。なお、水抜穴16と排水孔18は平面視して異なる位置にあけてある。
【0015】
下桟11は凹溝15をその深さ方向が斜め下向きとなる状態で形成し、凹溝15の開口端下側部分をわずかに室内側に突出してある。また、凹溝15の左右は、サッシ右縦枠6と左縦桟12で覆われているので、凹溝15内に結露水が確実にたまる。なお、ガラス保持部13に収容するシール材Sは、室内側見付け面の上端に向かってその上面を斜め下向きにして、結露水が室内側見付け面に流れやすくしてある。
【0016】
水抜きピース17は図1又は図5に示すように、中空のブロック19を、水抜穴16に係止し、ブロック19の上部の入口20から水を取り込み、ブロック19の下部の出口21から水を排水するもので、その出口21に羽根22を開閉可能に軸支して逆流防止機能を果たしている。
【0017】
ブロック19は図6に示すように、横幅方向に貫通した筒型であって、上部の横幅を広く形成し、前後面の横幅中央部には水抜穴16に引っ掛ける凸部23を有し、前後面の左右端部には、羽根22を軸支する軸支孔24をあけてある。また、羽根22の前後面にも図7に示すように、軸支孔24に対応する箇所に突起25を設けてある。
【0018】
サッシ下枠4は、室外面の排水孔18の上部に受溝26を室外に向かって開口し、その受溝26に蓋27の上部の膨大部28を収容して、室外面の排水孔18を蓋27で開閉自在に塞ぎ、結露水の自重によって蓋27を開いて排水すると共に、室外からの風の吹き込み等による排水の逆流を防止してある。
【0019】
本発明のサッシ窓の嵌殺し障子の排水装置の第二実施形態は図8に示すように、サッシ下枠4がレール29で引障子2を開閉する構造のサッシ窓に適用したことを特徴とするものである。
【0020】
本発明のサッシ窓の嵌殺し障子の排水装置の第三実施形態は図9に示すように、嵌殺し用のガラス10に複層ガラスを用い、前後幅が室内側に広がった下桟11を用いた構造のサッシ窓に適用したことを特徴とするものである。
【0021】
本発明のサッシ窓の嵌殺し障子の排水装置の第四実施形態は図10に示すように、第一実施形態の凹溝15を形成する代わりに、下桟11の室内側見付け面に鍔30を、下桟11のガラス保持部13よりも下側から室内側に向かって斜め上向きに突出し、室内側見付け面を鍔30よりも上側部分では鉛直面に形成すると共に、室内側見付け面には水抜穴16を鍔30の根元部分の上にあけ、水抜穴16に水抜きピース17を取り付けたことを特徴とする。
【0022】
鍔30は、その突出量を躯体への取付片Tの内部側先端よりも室外側とし、その上面の前後幅中間部には、水抜きピース17の凸部23を引っ掛ける抜止め部31を突出してある。また、鍔30と室内側見付け面とで形成される断面三角形状の空間の左右を塞ぐために、鍔30と見付け面の左右端部にキャップを取り付け(図示せず)、水が確実に溜まるようにする。
【0023】
なお、上述した本発明は図11に示す外動片引き窓や、図12に示す中央引き分け両袖嵌殺し窓に使用できる。
【0024】
【発明の効果】
請求項1の発明は、嵌殺し障子の下桟の見付け面に凹溝を形成し、しかも、ガラス保持部の下側に凹溝を形成してあると共に、凹溝の深さ方向を斜め下向きに形成してあるので、鉛直な室内側見付け面から凹溝の上面に沿って結露水が流れ込みやすくなり、排水効率が向上する。また、ガラスの厚みに関係なく凹溝を下桟に形成することができ、従って、嵌殺し障子のガラスが厚い場合でも結露水の排水効果が得られ、そのうえ下桟の前後幅を従来の下桟と同幅に維持できるので、室内空間を広くとることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 サッシ窓の嵌殺し障子の排水装置の第一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】 サッシ窓の嵌殺し障子の排水装置の第一実施形態を示す横断面図である。
【図3】 サッシ窓の嵌殺し障子の排水装置の第一実施形態を室内側から視た状態を示す一部切欠斜視図である。
【図4】 サッシ窓の嵌殺し障子の排水装置の第一実施形態を室外側から視た状態を示す一部切欠斜視図である。
【図5】(イ)(ロ)(ハ) 水抜きピースを示す側面図、正面図、A−A線断面図である。
【図6】(イ)(ロ)(ハ) 水抜きピースのブロックを示す正面図、側面図、B−B線断面図である。
【図7】(イ)(ロ) 水抜きピースの羽根を示す正面図、左側面図である。
【図8】 サッシ窓の嵌殺し障子の排水装置の第二実施形態を示す縦断面図である。
【図9】 サッシ窓の嵌殺し障子の排水装置の第三実施形態を示す縦断面図である。
【図10】 サッシ窓の嵌殺し障子の排水装置の第四実施形態を示す縦断面図である。
【図11】 外動引き窓を示す概略正面図である。
【図12】 中央引き分け両袖嵌殺し窓を示す概略正面図である。
【符号の説明】
1 サッシ枠
2 引障子
3 嵌殺し障子
4 下枠
11 下桟
13 ガラス保持部
15 凹溝
16 水抜穴
17 水抜きピース
18 排水孔
30 鍔
Claims (1)
- サッシ枠(1)の室内側に嵌殺し障子(3)を備え、室外側に引障子(2)を備えたサッシ窓において、
嵌殺し障子(3)の下桟(11)をサッシ下枠(4)の上に起立し、下桟の室内側見付け面に凹溝(15)を下桟のガラス保持部(13)よりも下側に設けると共に、凹溝(15)の深さ方向を斜め下向きに形成してあり、室内側見付け面を凹溝(15)よりも上側部分では鉛直面に形成すると共に、凹溝(15)の下部に水抜穴(16)をあけ、水抜穴(16)と室外を連通する排水孔(18)をサッシ下枠(4)に設けたことを特徴とするサッシ窓の嵌殺し障子の排水構造。
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