JP3928260B2 - トンネル内作業車の旋回姿勢矯正装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガイドレールに吊り下げられて走行するトンネル内作業車において、旋回位置に存する作業車本体を正規位置に矯正するための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本明細書では、トンネル内作業車の一例として、トンネル内灯具の清掃車について説明する。なお、従来の技術を説明するに当たって、本発明の実施例の図面を使用する。高速道路等のトンネル内灯具Hは、該トンネル内に設けられたガイドレールGに沿って清掃車が走行することによって清掃される。即ち、図2、図3、図8及び図16に示されるように、トンネル内の両壁面Wには、一定の間隔をおいて多数の灯具Hが取付けられている。そして、これらの灯具Hの近傍に、前記壁面Wから吊り下げ状態でガイドレールGが取付けられている。このガイドレールGは、トンネルの一端の開口の道路脇を走行開始地点とし、該トンネルの一方側の壁面Wに取付けられた多数の灯具Hの近傍に、該トンネルの長手方向に沿って設けられている。そして、トンネルの他端の開口において道路を横断する形態でわん曲され、他方側の壁面Wに取付けられた多数の灯具Hの近傍に、該トンネルの長手方向に沿って設けられている。
【0003】
本出願人は、ガイドレールGにおける小さな曲率の曲線走行部R’においても走行可能なトンネル内灯具の清掃車(以降、単に「作業車」と記載する)を開発して、特願平9−368518号として特許出願を行った。図1ないし図3に示されるように、この発明に係る作業車A’の作業車本体D’を構成するフレーム1の上面のほぼ中央部には、一対の駆動ローラ2が配設されていると共に、前記作業車本体D’の前後の端部に水平及び垂直の各ローラ3,4を備えたボギーローラ装置Eが装着されている。前後のボギーローラ装置Eが取付けられたボギーアーム5は、前記作業車本体D’の長手方向におけるほぼ中央部の上面に立設された各アーム支点軸6に取付けられている。該ボギーアーム5は、前記アーム支点軸6の軸心C1 を中心として、平面視において左右に旋回可能である。また、ボギーローラ装置E自身も、旋回軸7の軸心C2 を中心として、同じく左右に旋回可能に取付けられている。作業車本体D’は、各ボギーローラ装置Eを介してガイドレールGに吊り下げられる。そして、ガイドレールGの起立板8を挟持した一対の駆動ローラ2が駆動回転されることにより、作業車A’が自走する。
【0004】
この作業車A’が道路を横断するために、ガイドレールGのわん曲部分(曲線走行部R’)を走行する際の作用を説明する。図17に示されるように、矢印Pの方向に走行する作業車A’が、ガイドレールGの直線走行部L’から曲線走行部R’に進入する。ガイドレールGの曲率に追随して、一対のボギーアーム5がアーム支点軸6の軸心C1 を中心として左右に旋回され、折れ曲がった状態でそれらの長手方向が、ガイドレールGの曲線走行部R’の接線方向に沿った状態となる。同時に、各ボギーローラ装置E自身が、旋回軸7の軸心C2 を中心として旋回される。このため、ボギーローラ装置Eを構成する各水平ローラ3とガイドレールGとが干渉することが防止される。その結果、作業車A’は、ガイドレールGの曲線走行部R’をスムーズに走行する。
【0005】
ところが、作業車A’の作業車本体D’は前記ガイドレールGに対し、一対の駆動ローラ2によって、その幅方向(矢印Pで示される作業車A’の走行方向に直交する方向)にのみ拘束されている。しかも、作業車本体D’において、前記一対の駆動ローラ2が設けられている位置は、平面視における前記作業車本体D’のほぼ中央部であり、また、一対のボギーアーム5の各アーム支点軸6が設けられている位置も、同じくほぼ中央部である。一対の駆動ローラ2の軸心の心間距離、及び各アーム支点軸6の軸心C2 の心間距離は、作業車本体D’の幅及び長さに対して極めて短い距離である。そのため、作業車本体D’は、ガイドレールGに対して、ほぼ一点で支持された状態である。この作業車本体D’は重量物であるため、作業車A’がガイドレールGの曲線走行部R’に進入しても、作業車本体D’にはガイドレールGの直線走行部L’を走行している状態(トンネルの長手方向に沿った状態)を維持しようする慣性力が作用する。この結果、作業車A’が曲線走行部R’を走行する際の作業車本体D’は、必ずしもガイドレールGの曲線走行部R’の接線方向に沿った位置(正規位置)に存しておらず、前記正規位置から僅かにずれた位置、即ち、平面視における作業車本体D’のほぼ中央部を旋回中心C3 として僅かに旋回された位置(旋回位置)に存する。図17において、正規位置に存する作業車本体D’を実線で示すと共に、旋回位置に存する作業車本体D’を一点鎖線で示す。
【0006】
上記のことについて、更に言及する。作業車本体D’をガイドレールGに対して吊下支持する一対のボギーアーム5のアーム支点軸6を、前記作業車本体D’の長手方向のほぼ中央部に近づけると、ガイドレールGの曲線走行部R1 〜R4 において各ボギーアーム5が接線方向に沿い易くなるため、走行可能な曲線走行部R1 〜R4 の曲率半径を小さくできる。しかし、ボギーアーム5の長さが長くなる(アーム支点軸6の取付位置が、作業車本体D’の長手方向のほぼ中央部に近くなる)のに比例して、ボギーアーム5に対する作業車本体D’の旋回の自由度が大きくなって、上記した一点支持状態に近づいて、ボギーアーム5に対して作業車本体D’が旋回された姿勢で直線走行部L’(図16参照)に進入してしまい、作業車本体D’に装備された各種作業具(上記例では、清掃ブラシ9)が、ガイドレールGの側方に設置された灯具H等のトンネル内の諸設備と干渉する恐れがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した不具合に鑑み、作業車本体の長手方向のほぼ中央部にボギーアームの垂直旋回軸が設けられた作業車において、一直線状となった一対のボギーアームに対する作業車本体の旋回姿勢を正規位置に矯正して、作業車本体とトンネル内の諸設備との干渉を避けることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するための本発明は、作業車本体の長手方向のほぼ中央部に垂直旋回軸を有する一対のボギーアームを介して、前記作業車本体がガイドレールに吊り下げられて、前記ガイドレールの曲線走行部において、前記一対のボギーアームを折れ曲がり状態にして、それぞれ個別にガイドレールの接線方向に沿わせることにより、走行可能な曲線走行部の曲率半径を小さくした構成のトンネル内作業車において、前記作業車本体の上面に、その幅方向の中央部に向けて出入りするシリンダロッドを備えた一組の矯正シリンダを固定して、ガイドレールの曲線走行部と直線走行部との接続部近傍において、前記一組の矯正シリンダのシリンダロッドを突出させて、ボギーアームを押圧させることにより、前記ボギーアームに対して旋回された姿勢となっている作業車本体を正規位置に矯正させることを特徴としている。
【0009】
トンネル内のガイドレールは、平面視において曲線走行部と直線走行部とから構成されている。ガイドレールの曲線走行部を走行する作業車の作業車本体は、慣性力により、前記曲線走行部の接線方向に沿わず、平面視における作業車本体のほぼ中央部を旋回中心として、ボギーアームに対して僅かに旋回された状態で走行する。前記作業車が、ガイドレールの曲線走行部から直線走行部に進入される際に、矯正シリンダのシリンダロッドを突出させて、該矯正シリンダと相対向するボギーアームの側面部を押圧させる。作業車本体は、前記ボギーアームを介してガイドレールからの反力を受けるため、そのほぼ中央部を中心に作業車本体の旋回姿勢が矯正される方向に旋回され、正規位置に配置される。その結果、作業車の作業車本体は、ガイドレールの長手方向にほぼ沿った状態で走行され、トンネル内の諸設備との干渉が防止される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。図1は第1実施例の作業車A1 と、バッテリー車Bとが連結された状態の側面図、図2は同じく平面図、図3は図1のX矢視図、図4はボギーローラ装置Eの拡大平面図、図5は図4のY−Y線断面図である。図1ないし図3に示されるように、トンネル内灯具の清掃車は、灯具Hの清掃を行うための作業車A1 と、該作業車A1 の作業車本体Dに連結器11を介して連結されたバッテリー車Bとから構成されている。作業車A1 には駆動源である主モータMが搭載されていて、この主モータMの電源はバッテリー車Bに搭載されたバッテリー12から供給される。作業車A1 は、ガイドレールGに沿って前方及び後方のいずれの方向にも走行可能であり、バッテリー車Bは作業車A1 に追随して走行される。作業車A1 とバッテリー車Bは、いずれもレールブラケット13を介してトンネルの壁面Wに、ほぼ平行に取付けられた逆T字状のガイドレールGに吊り下げられた状態で走行する。作業車A1 の作業車本体D及びバッテリー車Bのそれぞれの上面の前後部には、ボギーローラ装置Eが配設されている。
【0011】
最初に、第1実施例の作業車A1 の構成について説明する。作業車A1 を構成する作業車本体Dの上面のほぼ中央部には、一対の駆動ローラ2が矢印Pで示される走行方向に直交して設けられている。該一対の駆動ローラ2は、ガイドレールGの起立板8を両側から挟持していて、その少なくとも一方が駆動回転されることによって作業車A1 が走行される。なお、図1ないし図3において、14は主モータMの回転を減速させる減速機、15は減速機の出力軸からの動力の伝達方向を変換させるためのかさ歯車装置を示す。
【0012】
ボギーローラ装置Eについて説明する。作業車本体Dの上面で、一対の駆動ローラ2の前後の部分には、それぞれ2個のアーム支点軸6が立設されている。これらのアーム支点軸6には、軸受(図示せず)を介して各ボギーアーム5の基端部が取付けられている。各ボギーアーム5は、アーム支点軸6の軸心C1 を中心に、水平面内において左右に旋回可能である。そして、ボギーアーム5の自由端部には、旋回軸7を介してボギーローラ装置Eが取付けられている。ボギーローラ装置Eは、前記旋回軸7の軸心C2 を中心に、水平面内において旋回可能である。各ボギーローラ装置Eを構成する4個の水平ローラ3が、ガイドレールGのガイド板16の側面を両側から押圧していると共に、4個の垂直ローラ4が、ガイドレールGのガイド板16の上面及び下面を押圧している。このようにして、作業車A1 は、各ボギーローラ装置Eを介してガイドレールGに吊り下げ状態で装着される。上記したボギーローラ装置Eとほぼ同一構成のものが、バッテリー車Bの上面にも取付けられている。作業車A1 及びバッテリー車Bは、いずれも走行方向(矢印P)に沿った両端部に配設された各ボギーローラ装置Eを介して、ガイドレールGに吊り下げられた状態で走行する。
【0013】
作業車本体Dのフレーム1の上面には、本発明に係る旋回姿勢矯正装置が配設されている。本実施例の旋回姿勢矯正装置は、一対の空気圧シリンダ17a,17b である。即ち、上記した一対のボギーアーム5のいずれか(本実施例の場合、作業車A1 の前進走行方向に対して後部のボギーアーム5)の両側方部に、一対の空気圧シリンダ17a,17b が固定されている。一対の空気圧シリンダ17a,17b は、後部のボギーアーム5の側面部を挟んだ状態で、前記作業車本体Dの幅方向(ボギーアーム5の長手方向にほぼ直交する方向)に沿って固定されている。そして、それらの固定位置は、各空気圧シリンダ17a,17b のシリンダロッド18a,18b が突出された際に、それらの先端面が、一直線状態となった一対のボギーアーム5の側面部に当接される位置である。
【0014】
作業車本体Dのフレーム1の上面の前部には、3個のスイッチブラケット19が立設されていて、それぞれの上端面に第1〜第3の各リミットスイッチLS1 〜LS3 が取付けられている。これらのリミットスイッチLS1 〜LS3 は、図6及び図7に示されるように、ベルクランク状の本体部21の各端部に、検出球22が設けられた形態である。前記本体部21は、その交叉部21aを中心に回動可能である。そして、トンネルの壁面Wの所定位置には、これらのリミットスイッチLS1 〜LS3 に対応する第1〜第3の各ドッグd1 〜d3 が取付けられている。作業車A1 が矢印Pの方向に前進走行されると、リミットスイッチLS1 の一方の検出球22が対応するドッグd1 に当接される。すると、該検出球22は、交叉部21aを中心に後方に回動される。そして、他方の検出球22が上方に位置される。この他方の検出球22は、作業車A1 が矢印Pの反対方向に後退走行される際に、ドッグd1 に再び当接されることによって逆方向に回動される。上記した各リミットスイッチLS1 〜LS3 は、作業車本体Dの幅方向及び長手方向に対して、それぞれ位置をずらした状態で配設されている。そのため、2個以上のリミットスイッチLS1 〜LS3 が同時に作動されることはない。
【0015】
図8ないし図11を参照しながら、本発明に係る作業車本体Dの旋回姿勢矯正装置の作用について説明する。最初に、ガイドレールGの始端部から走行を開始した作業車A1 が、第1曲線走行部R1 及び第2曲線走行部R2 を走行して、第1直線走行部L1 に進入する際の作用について説明する。第1曲線走行部R1 の曲率半径r1 は約5mであり、第2ないし第4の各曲線走行部R2 〜R4 の曲率半径r2 は約2mである。そのため、作業車A1 の作業車本体Dは、第2曲線走行部R2 において、より大きく旋回される。この結果、図9に示されるように、作業車本体Dは、平面視におけるほぼ中央部(旋回中心C3 )を中心に矢印Q1 の方向(反時計回りの方向)に僅かに旋回された位置(旋回位置)に存する状態で第1直線走行部L1 に進入する。その状態の作業車本体Dを、図9に一点鎖線で示す。作業車A1 が第1直線走行部L1 を走行する際に、一対のボギーアーム5はほぼ一直線状態となる。第1直線走行部L1 の始端部近傍には、第1リミットスイッチLS1 と対応する位置に第1ドッグd1 が取付けられている。第1リミットスイッチLS1 の検出球22(図6参照)が第1ドッグd1 に当接されることにより、該スイッチLS1 が作動され、空気圧シリンダ17aのシリンダロッド18aが突出される。この空気圧シリンダ17aは、ガイドレールGに対して直前の第2曲線走行部R2 の曲率中心の反対側に固定されたものである。
【0016】
空気圧シリンダ17aのシリンダロッド18aが、後部のボギーアーム5の側面部を押圧する。該ボギーアーム5の自由端部に取付けられたボギーローラ装置Eを構成する4個の水平ローラ3は、ガイドレールGのガイド板16を押圧している。そのため、空気圧シリンダ17aのシリンダロッド18aは、前記ボギーアーム5を介してガイドレールGからの反力を受け、該空気圧シリンダ17aを固定している作業車本体Dを旋回させる。即ち、作業車本体Dは、平面視におけるほぼ中央部を旋回中心C3 として矢印Q1 の反対方向(時計回りの方向)に旋回される。このようにして、作業車A1 の作業車本体Dが、旋回位置から正規位置(一直線状態のボギーアーム5の長手方向に沿った位置)に配置される。その状態の作業車本体Dを、図9に実線で示す。
【0017】
この状態で、トンネル内作業車A1 が各種作業を行う。本実施例の場合、多数の灯具Hの清掃である。その間、空気圧シリンダ17aのシリンダロッド18aが突出された状態が保持されるため、作業車A1 の作業車本体Dが正規位置に配置された状態が保持される。その結果、清掃ブラシ9と灯具Hとが干渉することはない。
【0018】
続いて、作業車A1 が、第1直線走行部L1 から第3曲線走行部R3 に進入する際の作用について説明する。第1直線走行部L1 の終端部近傍には、第2リミットスイッチLS2 に対応する第2ドッグd2 が取付けられている。第1直線走行部L1 の終端部近傍まで走行した作業車A1 の第2リミットスイッチLS2 が作動され、空気圧シリンダ17aのシリンダロッド18aが引っ込められる。そのため、作業車A1 がガイドレールGの第3曲線走行部R3 から第4曲線走行部R4 を前進走行する際に、その作業車本体Dは慣性力の作用により旋回位置に存する。ガイドレールGにおける第2曲線走行部R2 のわん曲方向と、第3曲線走行部R3 のわん曲方向とは互いに逆方向であるため、作業車A1 の作業車本体Dの旋回位置は、前述した矢印Q1 (図9参照)と逆方向の位置である。図10において、正規位置に存する作業車本体Dを実線で示すと共に、旋回位置に存する作業車本体Dを一点鎖線で示す。作業車A1 は、この状態を保持したまま、第2直線走行部L2 に進入される。
【0019】
第2直線走行部L2 の始端部には、第3リミットスイッチLS3 に対応する第3ドッグd3 が取付けられている。この第3ドッグd3 によって前記リミットスイッチLS3 が作動され、図11に示されるように、空気圧シリンダ17bのシリンダロッド18bが突出される。そのため、前述した場合と全く同様にして、作業車A1 の作業車本体Dの旋回姿勢が矯正されて、正規位置に配置される。この結果、清掃ブラシ9と灯具Hとが干渉することはない。
【0020】
作業車A1 が、ガイドレールGの終端部まで前進走行されると、図示しないリミットスイッチが作動され、前記作業車A1 が後退走行される。各リミットスイッチLS1 〜LS3 は、作業車A1 の後退走行時においても、同様に作用する。各リミットスイッチLS1 〜LS3 が逆の順序で作動されることにより、作業車A1 の後退走行時においても、直線走行部L1,L2 において清掃ブラシ9と灯具Hとが干渉することはない。
【0021】
上記したように、本実施例は、作業車A1 が各曲線走行部R1 〜R4 を走行する際に、作業車本体Dが旋回位置に存しても構わないが、前記作業車A1 が各直線走行部L1,L2 に進入する直前に旋回姿勢矯正装置(空気圧シリンダ17a,17b )を作動させ、作業車本体Dを正規位置に配置させた状態で各直線走行部L1,L2 を走行させることにより、清掃ブラシ9と灯具Hとが干渉することを防止するという形態である。これに対して、作業車A1 が各曲線走行部R1 〜R4 を走行する際に旋回姿勢矯正装置を作動させ、その際の作業車本体Dを正規位置に配置させた状態で各直線走行部L1,L2 に進入させるという形態であっても構わない。
【0022】
一対の空気圧シリンダ17a,17b の固定位置は、作業車本体Dの幅方向に沿って調整可能である。そのため、各曲線走行部R1 〜R4 の曲率が異なる別のトンネルにおいても、一対の空気圧シリンダ17a,17b の固定位置を調整するのみで対応可能である。
【0023】
一対の空気圧シリンダ17a,17b の固定位置は、作業車本体Dの幅方向におけるいずれのボギーアーム5の両側方部でも構わない。また、作業車本体Dの長手方向における前後のボギーアーム5のいずれか一方側に固定させても構わない。
【0024】
次に、第2実施例の作業車A2 について説明する。これは、図12に示されるように、ガイドレールGの各曲線走行部R5,R6 のわん曲方向が全て同一方向の場合である。即ち、作業車A2 が前進走行する際に、各曲線走行部R5,R6 において一方向にのみ旋回された状態で走行する場合である。この場合、作業車A2 の作業車本体Dが旋回される方向は、常に同一方向である。そのため、作業車A2 における作業車本体Dの旋回姿勢の矯正は、曲線走行部R6 と第2直線走行部L2 との接続部近傍における1回のみでよい。この結果、図13に示されるように、上記した矯正シリンダ(空気圧シリンダ23)は、後部のボギーアーム5の片側に1個配設するだけで済む。この空気圧シリンダ23は、作業車本体Dの前後方向における一対の駆動ローラ2の反対側で、平面視における作業車本体Dの対角線上に固定しても構わない。その場合の空気圧シリンダ23’を、図13に一点鎖線で示す。
【0025】
本明細書では、矯正シリンダの実施例として、空気圧シリンダ17a,17b,23について説明した。しかし、前記空気圧シリンダ17a,17b,23と同等の機能を有する別のものであっても構わない。例えば、作業車本体Dの幅方向にガイドレール(図示せず)を敷設し、該ガイドレールに冠着された押圧体(図示せず)が進退することにより、ボギーアーム5の側面部を押圧する形態であっても構わない。
【0026】
上記した実施例では、作業車本体Dのフレーム1の上面に固定された空気圧シリンダ17a,17b,23のシリンダロッド18a,18b,24が、ボギーアーム5の側面部を押圧し、前記作業車本体Dが前記ボギーアーム5を介してガイドレールGからの反力を受けることにより、作業車本体Dの旋回姿勢が矯正される構成である。しかし、空気圧シリンダ17a,17b,23のシリンダロッド18a,18b,24が押圧する部分が、ボギーアーム5の側面部以外の部分、例えば、ガイドレールGであっても構わない。この場合、作業車A1,A2 が走行すると同時に、シリンダロッド18a,18b,24の先端部が、ガイドレールGにおける押圧部分に滑りながら押圧されるため、該シリンダロッド18a,18b,24の先端部にガイドローラ(図示せず)等を取付けることが望ましい。
【0027】
上記したガイドレールGの曲率が大きい場合、或いは、作業車A1,A2 の作業内容によってそれ程厳密に灯具Hとの平行が必要ない場合について説明する。このような場合、図14及び図15に示されるように、作業車本体Dを構成するフレーム1の上面で一方側のボギーアーム5の両側方部に一定の間隔をおいて、一対の円柱状の規制ブロック25が立設される。この第3実施例の作業車A3 が、ガイドレールGの各曲線走行部R1 〜R4 を走行する際に、一対のボギーアーム5は、前記ガイドレールGの曲率に追随して、各アーム支点軸6の軸心C1 を中心に左右に旋回される。その際、作業車本体Dも旋回中心C3 を中心に左右に旋回されようとするが、前記いずれかの規制ブロック25がボギーアーム5の側面部に当接されるため、それ以上作業車本体Dが旋回することが防止される。その状態のボギーアーム5を、図14に一点鎖線で示す。作業車本体Dの幅方向における各規制ブロック25の取付位置は調整可能であるため、各曲線走行部R1 〜R4 における各種の曲率に対応できる。この実施例の場合、無動力で作業車本体Dの旋回姿勢が矯正されるという効果が奏される。
【0028】
第1実施例の作業車A1 において、各シリンダロッド18a,18b を引っ込めた状態で一対の空気圧シリンダ17a,17b をボギーアーム5の両側方部に固定させた場合、前記一対の空気圧シリンダ17a,17b 自体が上記した規制ブロック25としての機能を有する。
【0029】
上記実施例では、一対の駆動ローラ2は、作業車本体Dの長手方向のほぼ中央部に配置されているため、その配置位置からして、ガイドレールGに対する作業車本体Dの旋回移動に対する拘束度が最も高くなって、一直線状となった一対のボギーアーム5に対する作業車本体Dの旋回可能な角度は最も小さくなる。しかし、他の装置との配置位置の関係で、一対の駆動ローラ2の配置位置を作業車本体Dの長手方向のほぼ中央部から大きくずれた位置に設けざるを得ない場合もある。このような場合には、一対のボギーアーム5のアーム支点軸6が設けられている部分(作業車本体Dの長手方向のほぼ中央部)が、作業車本体Dの幅方向に移動し易くなって、一対の駆動ローラ2によるガイドレールGに対する作業車本体Dの拘束の度合は低くなって、該作業車本体Dが大きく旋回され易くなるが、これとは無関係に、矯正シリンダ(一対の空気圧シリンダ17a,17b )の作用によって旋回位置に存する作業車本体Dを正規位置に矯正することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明に係る旋回姿勢矯正装置を備えた作業車は、一対のボギーアームの垂直旋回軸が、作業車本体の長手方向のほぼ中央部に配置されているため、ガイドレールにおける小さな曲率の曲線走行部においても走行可能であるばかりでなく、ガイドレールの曲線走行部と直線走行部との接続部近傍において矯正シリンダを作動させることにより、作業車本体の旋回姿勢を矯正させて正規位置に存する状態で走行させることができる。従って、作業車が、ガイドレールの曲線走行部を走行する際に生じた作業車本体の旋回姿勢が矯正され、正規位置に存する状態で、前記作業車がガイドレールの直線走行部を走行する。そのため、作業車本体とトンネル内の諸設備との干渉が防止される。また、作業が安定して行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の作業車A1 と、バッテリー車Bとが連結された状態の側面図である。
【図2】同じく平面図である。
【図3】図1のX矢視図である。
【図4】ボギーローラ装置Eの拡大平面図である。
【図5】図4のY−Y線断面図である。
【図6】リミットスイッチLS1 が作動される直前の状態を示す図である。
【図7】同じく直後の状態を示す図である。
【図8】ガイドレールGの平面図である。
【図9】ガイドレールGの第1直線走行部L1 に進入した作業車A1 の作業車本体Dの旋回姿勢が矯正される状態の平面図である。
【図10】作業車A1 が、ガイドレールGの第3及び第4の各曲線走行部R3,R4 を走行する状態の平面図である。
【図11】ガイドレールGの第2直線走行部L2 に進入した作業車A1 の作業車本体Dの旋回姿勢が矯正される状態の平面図である。
【図12】曲線走行部R5,R6 のわん曲方向が同一のガイドレールGの平面図である。
【図13】第2実施例の作業車A2 の平面図である。
【図14】第3実施例の作業車A3 の拡大平面図である。
【図15】図14のZ−Z線断面図である。
【図16】ガイドレールGをトンネルの両壁面Wに連続して設置させた状態を示す模式斜視図である。
【図17】作業車A’が、ガイドレールGの曲線走行部R’を走行する際の平面図である。
【符号の説明】
A1 〜A3 :作業車
C3 :旋回中心
D:作業車本体
G:ガイドレール
L1,L2 :直線走行部
R1 〜R6 :曲線走行部
r1,r2 :曲率半径
5:ボギーアーム
6:アーム支点軸(垂直旋回軸)
17a,17b,23:空気圧シリンダ(矯正シリンダ)
18a,18b,24:シリンダロッド
Claims (3)
- 作業車本体の長手方向のほぼ中央部に垂直旋回軸を有する一対のボギーアームを介して、前記作業車本体がガイドレールに吊り下げられて、前記ガイドレールの曲線走行部において、前記一対のボギーアームを折れ曲がり状態にして、それぞれ個別にガイドレールの接線方向に沿わせることにより、走行可能な曲線走行部の曲率半径を小さくした構成のトンネル内作業車において、
前記作業車本体の上面に、その幅方向の中央部に向けて出入りするシリンダロッドを備えた一組の矯正シリンダを固定して、
ガイドレールの曲線走行部と直線走行部との接続部近傍において、前記一組の矯正シリンダのシリンダロッドを突出させて、ボギーアームを押圧させることにより、前記ボギーアームに対して旋回された姿勢となっている作業車本体を正規位置に矯正させることを特徴とするトンネル内作業車の旋回姿勢矯正装置。 - 請求項1に記載のトンネル内作業車において、
ガイドレールの曲線走行部のわん曲方向は全て同一方向であって、幅方向に二分された作業車本体のいずれか一方側の上面に、その幅方向の中央部に向けて出入りするシリンダロッドを備えた単一の矯正シリンダを固定して、
ガイドレールの曲線走行部と直線走行部との接続部近傍において、前記単一の矯正シリンダのシリンダロッドを突出させて、ボギーアームを押圧させることにより、前記ボギーアームに対して旋回された姿勢となっている作業車本体を正規位置に矯正させることを特徴とするトンネル内作業車の旋回姿勢矯正装置。 - 前記矯正シリンダの固定位置が、作業車本体の幅方向において調整可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトンネル内作業車の旋回姿勢矯正装置。
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