JP3994506B2 - トンネル内灯具の自動清掃装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガイドレールに案内されて走行する清掃車に内装された清掃ブラシ装置によって、トンネル壁面に所定間隔をおいて設置されている灯具を無人で自動清掃するための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術を説明するに当り、本発明の実施例の図面を使用する。図3に示されるように、トンネル壁面Wには、所定の照度を確保するために、多数のナトリウムランプ等から成る灯具Lが、奥行方向に沿って所定間隔をおいて設置されている。このトンネル内には、走行する車両から排出される排気ガスや粉塵が充満しており、これにより前記灯具Lの前面の照明面Laが汚れるため、この部分を定期的に清掃する必要がある。従来、灯具Lの清掃作業は人手によって行われている。このため、多くの作業者を必要とし、しかもその能率も悪い。
【0003】
本出願人は、平成9年12月25日付けで、これらの灯具Lの照明面Laを自動で清掃する装置の出願を行った。この装置は、トンネル壁面WにガイドレールGを設け、該ガイドレールGに案内されてトンネル壁面Wに沿って走行する清掃車Aに清掃ブラシ装置Eを内装させたものである。この清掃ブラシ装置Eを構成するブラシ取付板1の斜上端部には、清掃ブラシ2が垂直に装着されている。そして、該清掃ブラシ2を灯具Lの照明面Laに押し付け、この状態で清掃車Aがトンネル壁面Wの奥行方向に沿って走行することにより、トンネル壁面Wに設置されている多数の灯具Lの照明面Laを清掃する構成である。
【0004】
しかし、トンネル壁面Wの曲率は、トンネルの大きさ、及び該トンネルに設けられた車線の数等によって異なる。そのため、トンネル壁面Wに設置される灯具Lの設置角度θも異なる。ここで、灯具Lの設置角度θとは、該灯具Lの照明面Laと水平面(道路面)とが成す角度をいう。
【0005】
上記した自動清掃装置の場合、清掃ブラシ装置の清掃ブラシ2は、水平面に対して傾斜角度αだけ傾斜させた状態で取付けられている。この傾斜角度αは、灯具Lの設置角度θとほぼ同一である。こうすることにより、前記ブラシ取付板1の灯具L側の端部の下方に取付けられた清掃ブラシ2は、該灯具Lの照明面Laに対してほぼ平行な状態で押し付けられる。しかし、灯具Lが上記した設置角度θと異なる角度θ’で設置されている場合、清掃ブラシ2は灯具Lの照明面Laに対して斜めの状態で押し付けられる。この状態で清掃車Aが走行すると、灯具Lの照明面Laに清掃ブラシ2が押し付けられない部分が生じて、清掃効率が低下するという不具合が発生する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記したトンネル内灯具の自動清掃装置において、清掃ブラシ装置を清掃車のフレームに対して回動させることにより、該装置を構成する清掃ブラシの軸心を、設置角度の異なる複数種類の灯具の照明面に対して平行にさせることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するための請求項1の発明は、ガイドレールに案内されてトンネル壁面に沿って走行する清掃車と、該清掃車に内装された清掃ブラシ装置とを備え、前記清掃ブラシ装置の清掃ブラシが多数の灯具に対して進退して、各灯具を順次清掃する構成のトンネル内に設置された灯具の自動清掃装置であって、前記清掃ブラシ装置は、前記清掃車のフレームに支持手段により前記灯具の照明面の近傍を回動中心として前記トンネルの奥行方向に対して直交する垂直面内において回動可能に支持され、前記支持手段は、下面に向かって垂直に取付けられ、前記灯具の照明面の近傍を中心とする円弧状の回動案内溝が設けられた支持ブラケットと、清掃ブラシ装置を構成するシリンダ取付板の両端部に立設された側板に固着された駒体と、前記駒体を保持して前記清掃ブラシ装置を前記フレームに支持すると共に、当該駒体を前記回動案内溝に沿って移動させるための傾斜角度微調整手段とから成り、前記回動案内溝に嵌合させた駒体を、該回動案内溝に沿って移動させることにより清掃ブラシ装置の傾斜角度が微調整されて、設置角度の異なる複数種類の灯具の清掃を可能にしたことを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明においては、清掃ブラシの軸心の傾斜角度が、灯具の設置角度と異なる場合、支持ブラケットの回動案内溝に嵌合された駒体を、当該回動案内溝に沿って移動させると、前記清掃ブラシ装置は、清掃ブラシ装置を構成する清掃ブラシの傾斜角度が灯具の設置角度に対応するように微調整する。清掃ブラシ装置の全体が、フレームに対してトンネルの奥行方向に対して直交する垂直面内において回動される。こうすることにより、常に清掃ブラシの軸心を、灯具の照明面に対して平行にすることができる。この状態で、前記清掃ブラシを灯具に対して進退させながら清掃車を走行させることにより、設置角度の異なる複数種類の灯具が自動清掃される。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記清掃ブラシの軸心は、側面視において灯具の照明面に平行であるため、清掃時において灯具の照明面の全体が均一に清掃され易くなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。図1は、本発明に係るトンネル内灯具の清掃車Aと、バッテリー車Bとが連結された状態の正面図、図2は同じく平面図、図3は一部を破断した清掃車Aの側面図、図4は図3のX矢視図、図5はハンドル調整装置Fの正面図、図6は図5のY1 −Y1 線断面図、図7は図5のY2 −Y2 線断面図、図8は図5のY3 矢視図、図9はハンドル調整装置Fの斜視図である。最初に、自動清掃装置の全体構成の概略について説明し、その後に、本発明に係る清掃ブラシ装置Eについて説明する。図1ないし図4に示されるように、請求項1の発明に係る自動清掃装置は、駆動源である主モータM1 が搭載されている清掃車Aと、主モータM1 の電源であるバッテリー3を搭載したバッテリー車Bとから成り、両車A,Bは連結器4を介して連結されている。清掃車Aとバッテリー車Bは、いずれもトンネル壁面Wにレールブラケット5を介して該壁面Wと平行に取付けられた逆T字状のガイドレールGに吊り下げられた状態で走行する。
【0011】
清掃車A及びバッテリー車Bの上面には、その走行方向Pの略中央部に、それぞれアーム支点軸6,7が設けられ、各アーム支点軸6,7には、案内ローラアーム8,9の基端部が回動可能に連結されている。従って、各案内ローラアーム8,9の自由端部は、それぞれの車A,Bの走行方向Pに沿った端部に向けて配置されている。各案内ローラアーム8,9の自由端部(先端部)には、多数個のローラで構成された案内ローラ装置Dが装着されている。この案内ローラ装置Dは、前記ガイドレールGのガイド板11の下方に配置される支持板12に、二対の第1案内ローラ13と、同じく二対の第2案内ローラ14とが取付けられた構成である。二対の第1案内ローラ13は、垂直軸を中心に回転して、前記ガイド板11の両端面を挟んだ状態となって相前後して配置されている。一方、二対の第2案内ローラ14は、水平軸を中心に回転して、前記ガイド板11を上下から挟んだ状態となって左右に配置されている。このため、清掃車A及びバッテリー車Bは、いずれも走行方向Pに沿った両端部において前記案内ローラ装置Dを介して前記ガイドレールGに吊り下げられた状態で走行する。
【0012】
また、清掃車Aの上面における走行方向Pの中央部には、一対の駆動ローラ15が清掃車Aの幅方向に沿って設けられている。該一対の駆動ローラ15は、ガイドレールGの起立板16を両側から挟んでいて、その少なくとも一方が駆動回転されて、バッテリー車Bを牽引、或いは押しながら、清掃車Aを前後両方向に走行させる。なお、図1及び図2において、17は主モータM1 の回転を減速させる減速機を示し、18は減速機17の出力軸からの動力の伝達方向を変換させるためのかさ歯車装置を示す。
【0013】
また、図3に示されるように、トンネル壁面Wには、所定の間隔をおいて多数の灯具Lが、灯具ブラケット19を介して取付けられていて、該灯具Lによってトンネル内の道路部分を照明可能なように、その前面の照明面Laは垂直面に対して設置角度θで傾斜して設置されている。ガイドレールGに吊り下げられた状態で走行する清掃車Aは、前記灯具Lとの間に所定の間隔をおいて、その側方を通過するようになっている。
【0014】
次に、本発明に係る自動清掃装置について説明する。図1ないし図4に示されるように、清掃車Aには、その走行方向Pに沿って2台の清掃ブラシ装置Eが内装されている。清掃車Aのフレーム21を構成する上板21aには、清掃車Aの走行方向Pに沿って所定間隔をおいて垂直に取付けられた一対の支持ブラケット22に、後述する支持手段を介してシリンダ取付板23が傾斜状態で配設されている。シリンダ取付板23の下面には、ブラシ取付板1を回動させるための空気圧シリンダ24のシリンダ本体24aの先端部が、回動可能にして取付けられている。即ち、シリンダ本体24aの先端部には、環状ブラケット25が取付けられていて、該環状ブラケット25が回動ピン26を介してシリンダ取付板23に回動可能に支持されている。この構造によって、空気圧シリンダ24全体は、その回動支点である回動ピン26の軸心C1 を中心にしてシリンダ取付板23に対して回動可能に支持される。また、シリンダ取付板23の斜上端部(灯具Lに近い側の端部)の下面には、ブラシ取付板1を、灯具Lの照明面Laに垂直な傾斜面内において回動可能に支持するための支持筒27が、該シリンダ取付板23の板面に対して垂直に設けられている。
【0015】
上記したブラシ取付板1は長方形状を呈していて、前記シリンダ取付板23の支持筒27に挿通された回動ピン28の下端部が、前記ブラシ取付板1の長手方向の中央部からやや斜上端に近い部分に一体に固着されている。また、ブラシ取付板1の長手方向の中央部には、ロッド連結ピン29が垂直となって設けられていて、前記空気圧シリンダ24のロッド24bの先端部が、ナックル31を介して前記ロッド連結ピン29に連結されている。この構造により、空気圧シリンダ24のロッド24bを出入りさせると、ブラシ取付板1は、回動支点である回動ピン28の軸心C2 を中心にして、灯具Lの照明面Laに垂直な傾斜面内においてシリンダ取付板23に対して回動する。
【0016】
ブラシ取付板1の斜上端部には、その下面に設けられた軸受体32を介して清掃ブラシ2のブラシ軸2aが回転可能に支持されていて、該ブラシ軸2aにおける軸受体32よりも斜下方に向けて大きく突出した部分に、清掃ブラシ2が取付けられていると共に、該ブラシ軸2aにおけるブラシ取付板1よりも上方に突出した部分に、第1プーリ33が取付けられている。清掃ブラシ2のブラシ軸2aは、灯具Lの照明面Laに対して平行となっている。
【0017】
一方、ブラシ取付板1の斜下端部の下方には、ブラシモータM2 が取付けられていて、その駆動軸34は、ブラシ取付板1の上面に突出していて、該駆動軸34に取付けられた第2プーリ35と、前記第1プーリ33との間にベルト36が掛装されている。これにより、ブラシモータM2 によって清掃ブラシ2が駆動回転されると共に、空気圧シリンダ24のロッド24bの出入りによって、ブラシ取付板1に取付けられている清掃ブラシ2とブラシモータM2 とが一体となって、回動支点である前記回動ピン28の軸心C2 を中心にして回動する構成となる。この清掃ブラシ2とブラシモータM2 は、ブラシ取付板1の回動支点(回動ピン28の軸心C2 )に対してそれぞれ反対の側に装着されていて、その装着位置と回動支点までの距離とを考慮した重量バランスが図られているので、ブラシ取付板1の回動はスムーズに行われる。
【0018】
また、空気圧シリンダ24のロッド24bの引込み力によって、清掃ブラシ2を回転させながら灯具Lの照明面Laに押し付けて清掃するに先立って、該照明面Laに洗浄水を噴射させると、その清掃効果が高められる。このため、図2に示されるように、清掃車Aにおける各清掃ブラシ装置Eを構成する清掃ブラシ2の直前の部分には、灯具Lの上下方向の全ての部分に洗浄水を噴射可能なようにシャワーパイプ37がそれぞれ設けられている。また、清掃車Aには、洗浄水を貯めた水タンク38が搭載されている。
【0019】
次に、清掃ブラシ装置Eを、清掃車Aのフレーム21に支持するための支持手段について説明する。図3及び図4に示されるように、フレーム21の上板21aの下面には、所定間隔をおいて一対の支持ブラケット22が垂直に取付けられている。一対の支持ブラケット22には、側面視における灯具Lの厚さ方向のほぼ中央部Qを中心とする円弧状の回動案内溝39が設けられている。本実施例の灯具Lは、前記中央部Qを中心に回動されることにより、トンネル壁面Wに対する設置角度θが変更される。そして、シリンダ取付板23における清掃車Aの走行方向Pの両端部には、前記一対の支持ブラケット22に相対向して側板41が設けられている。図5及び図6に示されるように、これらの側板41の外側(一対の支持ブラケット22に相対向する側)には、駒体42が固着されている。この駒体42は小判状を成していて、本体部42aの上下に湾曲部42bが設けられた形状であり、前記本体部42aの両側部42cが回動案内溝39に係合状態で嵌まり込んでいる。この両側部42cの形状は、回動案内溝39の曲率に対応した形状である。このため、清掃ブラシ装置E全体は、回動案内溝39に嵌まり込んだ駒体42を介して、一対の支持ブラケット22に支持される。駒体42の両側部42cが、所定の長さをもって回動案内溝39に当接されることにより、駒体42の回り止めが奏されている。そして、各駒体42が回動案内溝39に沿って上下に移動されることにより清掃ブラシ装置E全体が、側面視における灯具Lの厚さ方向のほぼ中央部Qを回動中心として垂直面内で回動される。即ち、回動案内溝39における駒体42の位置を微調整することにより、清掃ブラシ装置Eの傾斜角度(清掃ブラシ2の軸心C3 の傾斜角度α)を微調整することができる。
【0020】
本実施例の自動清掃装置には、上記した駒体42の移動を簡単に行うためのハンドル調整装置Fが設けられている。次に、このハンドル調整装置Fについて説明する。図5ないし図9に示されるように、側面視における駒体42のほぼ中央部には、連結軸43が突出して設けられていて、該連結軸43の端部には、連結軸43と軸直角に支持板44が取付けられている。この支持板44は、前記連結軸43の軸心を中心にして回動可能である。該支持板44の長手方向の両端部には、前記連結軸43と平行にしてローラ軸45が設けられていて、各ローラ軸45には一対のガイドローラ46が回転可能に支承されている。そして、一対のガイドローラ46を上下から挟み込む形態で、コの字形状のガイド体47が配設されている。ガイド体47において、一対のガイドローラ46を挟み込んでいる部分(ガイド体47の内側部分47a)の高さ方向の内側寸法は、各ガイドローラ46の外径よりも僅かに大きい。そのため、一対のガイドローラ46は、ガイド体47の内側部分47aを左右方向(水平方向)にのみ移動することができる。このように、ガイド体47は、一対のガイドローラ46の上下方向の移動を規制し、左右方向にのみ移動可能にするという機能を有している。
【0021】
ガイド体47の外側部には、ネジブロック48が固着されている。該ネジブロック48のほぼ中央部には、上下方向に沿って雌ネジが設けられている。このネジブロック48にはネジ棒49が螺合されていて、該ネジ棒49の上端部と下端部近傍は、支持ブラケット22の上下に所定間隔をおいて取付けられた一対の支持板51に回転可能にして装着されている。更に、ネジ棒49の下端部は、ハンドル52に装着されている。このネジ棒49は、その下部に螺合された固定ナット53を締め付けることにより、所定の位置で固定される。ハンドル52を所定方向に回転させることにより、ガイド体47が上下方向に移動する。すると、ガイド体47の内側部分47aにガイドされた一対のガイドローラ46が左右方向に移動しながら、連結軸43を介して連結された駒体42を回動案内溝39に沿って移動させる。この結果、清掃ブラシ装置Eが回動する。このように、ハンドル調整装置Fを構成するハンドル52を所定方向に回転させることにより、清掃ブラシ2の軸心C3 の傾斜角度αを微調整することができる。上記したように、本発明では、清掃ブラシ装置Eを支持するための手段は、清掃ブラシ装置Eを回動させる(清掃ブラシ2の軸心C3 の傾斜角度αを微調整する)ための傾斜角度微調整手段を兼用している。
【0022】
次に、本発明に係る自動清掃装置によって、トンネル内の多数の灯具Lの照明面Laが順次清掃される際の作用について説明する。図1ないし図3に示されるように、清掃車Aに取付けられた主モータM1 によって一対の駆動ローラ15が駆動回転されると、前後の各案内ローラ装置DによってガイドレールGに吊下状態となった清掃車Aは、バッテリー車Bを牽引しながら、ガイドレールGに沿って矢印Pの方向に走行する。灯具Lは、トンネル壁面Wに、設置角度θで設置されている。本実施例の灯具Lは、側面視における厚さ方向のほぼ中央部Qを中心に回動されることにより、トンネル壁面Wの曲率に対応する設置角度θ(または設置角度θ’)で設置される構成である。
【0023】
ここで、上記した設置角度θと異なる設置角度θ’で設置された灯具Lを清掃する場合、図10及び図11に示されるように、清掃ブラシ2の軸心C3 の傾斜角度αが、灯具Lの設置角度θ’に対応するように調整される。清掃ブラシ2の軸心C3 の傾斜角度αを、灯具Lの設置角度θ’に対応する傾斜角度α’に調整する場合の作用について説明する。図8及び図11に示されるように、ハンドル調整装置Fを構成するハンドル52を所定方向に回転させて、ガイド体47を上方に移動させる。すると、ガイド体47の内側部分47aにガイドされた一対のガイドローラ46及び連結軸43を介して、駒体42が上方に移動される。一対のガイドローラ46を支承する支持板44は、連結軸43の軸心に対して回動可能であり、しかも一対のガイドローラ46は左右方向に移動可能であるため、該駒体42は、回動案内溝39に沿って移動される。この駒体42は、清掃ブラシ装置Eを構成するシリンダ取付板23の両端部に立設された側板41に固着されているため、清掃ブラシ装置E全体が前記回動案内溝39に沿って回動される。この結果、清掃ブラシ2の軸心C3 の傾斜角度αが調整され、傾斜角度α’となる。そして、この状態で固定ナット53が締め付けられることにより、清掃ブラシ2はその位置で保持される。
【0024】
この回動案内溝39は、側面視における灯具Lの厚さ方向のほぼ中央部Qを中心とする円周に沿って設けられている。しかも、この中央部Qは、灯具Lの設置角度θを変更させる場合の回動中心でもある。そのため、灯具Lと清掃ブラシ装置Eは、同一の点(中央部Q)を中心とする円周に沿って回動されるため、灯具Lの照明面Laと清掃ブラシ2との相対的位置関係(清掃ブラシ2が灯具Lの照明面Laを押し付けている状態)は、常に一定である。その結果、灯具Lの設置角度θの変更に伴って、清掃ブラシ装置Eを回動させるための角度を最小することができると共に、灯具Lの照明面Laに対する清掃ブラシ2の軸心C3 方向のずれも全く生じないため、清掃ブラシ2の軸心C3 方向の長さを最も短くすることができる。なお、図11における二点鎖線は、設置角度θで設置された灯具Lを示す。
【0025】
このようにして、清掃ブラシ装置Eを構成する清掃ブラシ2の傾斜角度αが、灯具Lの設置角度θ’に対応される傾斜角度α’に調整され、保持される。この状態において、清掃ブラシ2の軸心C3 と灯具Lの照明面Laとは、ほぼ平行である。図4に示されるように、清掃車Aには2台の清掃ブラシ装置Eが取付けられていて、各空気圧シリンダ24には、そのロッド24bが引っ込む方向の引込圧力が作用している。このため、空気圧シリンダ24のロッド24bは最も引っ込められていて、ブラシ取付板1の斜上端部に装着された清掃ブラシ2は、清掃車Aのフレーム21から最も突出した突出端に位置している。ブラシモータM2 の作動により、清掃ブラシ2は高速回転している。
【0026】
この状態で清掃車Aが矢印Pの方向に走行すると、清掃ブラシ2が灯具Lの端部に当接する。ブラシ取付板1は、空気圧シリンダ24の引込み力に抗して、その回動支点である回動ピン28の軸心C2 を中心に時計方向に回動させられる。このため、清掃ブラシ2により、灯具Lにおける入口側のコーナー部が清掃される。更に清掃車Aが走行すると、清掃ブラシ2が灯具Lの照明面Laに押し付けられ、該照明面Laが清掃される。
【0027】
清掃ブラシ2が灯具Lの照明面Laから離脱される際には、上記とは逆に、空気圧シリンダ24の引込み力により、清掃ブラシ2が出口側のコーナー部に押し付けられ、当該部分が清掃される。そして、清掃ブラシ2が灯具Lから完全に離脱されると、空気圧シリンダ24の引込み力によって清掃ブラシ2は突出端に復帰する。上記した作用が繰り返されて、トンネル壁面Wに設置されている多数の灯具Lが、順次清掃される。なお、灯具Lの照明面Laには、シャワーパイプ37から洗浄水が吹き付けられるため湿式洗浄が行われると共に、清掃車Aには2台の清掃ブラシ装置Eが取付けられているため、各灯具Lは2回ずつ清掃される。このようにして、清掃ブラシ装置E全体を回動させて、清掃ブラシ2の軸心C3 の傾斜角度αを微調整することにより、該清掃ブラシ2を設置角度θの異なる複数種類の灯具Lの照明面Laに対してほぼ平行に配置させることができる。その結果、設置角度θの異なる複数種類の灯具Lの清掃が可能である。
【0028】
次に、参考例の自動清掃装置について説明する。図12及び図13に示されるように、この参考例の自動清掃装置は、清掃ブラシ装置Eの全体をフレーム21に回動可能に支持するための支持手段と、該清掃ブラシ装置Eを回動させて清掃ブラシ2の軸心C3 の傾斜角度αを微調整するための傾斜角度微調整手段とを備えている。清掃車Aのフレーム21の上板21aの下面には、清掃車Aの走行方向Pに沿って所定間隔をおいて、一対の支持ブラケット54が取付けられている。一対の支持ブラケット54の間には、その両端部に側板55が立設されたシリンダ取付板23が、一対の支持ブラケット54に相対向して設けられている。清掃ブラシ装置Eは、前記一対の支持ブラケット54と前記側板55とが支点ピン56によって連結されることにより、清掃車Aのフレーム21に対して回動可能に支持される。即ち、清掃ブラシ装置Eは、前記支点ピン56の軸心C4 を回動支点として回動される。
【0029】
また、フレーム21の上板21aとシリンダ取付板23の上面とは、ターンバックル装置Tによって連結されている。ターンバックル装置Tについて説明する。フレーム21の上板21aの下面に取付けられたブラケット57には、ネジ棒58の基端部(上端部)が回動可能にして取付けられていて、シリンダ取付板23の上面に取付けられたブラケット59には、前記ネジ棒58と逆のネジが設けられた逆ネジ棒61の基端部(下端部)が回動可能にして取付けられている。両ネジ棒58,61の自由端部は、調整ナット62に螺合されている。この調整ナット62を所定方向に回転させることにより、清掃ブラシ装置E全体が支点ピン56の軸心C4 を回動支点として回動される。このようにして、清掃ブラシ装置E全体を回動させて、清掃ブラシ2の傾斜角度αを微調整することにより、該清掃ブラシ2を設置角度θの異なる複数種類の灯具Lの照明面Laに対してほぼ平行に配置させることができる。その結果、設置角度θの異なる複数種類の灯具Lの清掃が可能である。この参考例の場合、清掃ブラシ装置Eの支持手段及び傾斜角度微調整手段(この参考例におけるターンバックル装置T)の構成を簡単にすることができる。更に、該清掃ブラシ2の軸心C3 方向の長さを灯具Lの照明面Laの上下方向の長さよりも長くすることにより、灯具Lの設置角度θと清掃ブラシ2の軸心C3 の傾斜角度αとが完全に合致してない場合でも、清掃ブラシ2を灯具Lの照明面Laの上下方向の全面に押し付けることができる。なお、この参考例の自動清掃装置が灯具Lを清掃する際の作用は、最初の実施例の自動清掃装置の作用と全く同一である。
【0030】
本発明の実施例では、灯具Lの回動中心と清掃ブラシ装置Eの回動中心が同一(中央部Q)である場合について説明したが、非同一であっても構わない。この場合、清掃ブラシ装置Eの回動中心を、側面視における灯具Lの照明面Laの近傍とすることが望ましい。特に、清掃ブラシ装置Eの回動中心を、側面視における灯具Lの照明面Laのほぼ中央部とすることにより、清掃ブラシ装置Eの回動角度を最も小さくすることができる。
【0031】
また、本実施例では、側面視において灯具Lの照明面Laと平行な軸心C3 を有する清掃ブラシ2が、灯具Lに対して進退する構成の自動清掃装置について記載した。しかし、清掃ブラシの軸心が、灯具の照明面と平行でなくても構わない。例えば、灯具の照明面に対して直交する傾斜面に沿って設けられた軸心を有する清掃ブラシが、灯具に対して進退する構成であっても構わない。
【0032】
【発明の効果】
本発明に係るトンネル内灯具の自動清掃装置は、清掃ブラシ装置を構成する清掃ブラシが、多数の灯具に対して進退して各灯具を順次清掃する構成の自動清掃装置であって、ガイドレールに案内されてトンネル壁面に沿って走行する清掃車のフレームに前記清掃ブラシ装置を支持する手段は、下面に向かって垂直に取付けられ、前記灯具の照明面の近傍を中心とする円弧状の回動案内溝が設けられた支持ブラケットと、清掃ブラシ装置を構成するシリンダ取付板の両端部に立設された側板に固着された駒体と、前記駒体を保持して前記清掃ブラシ装置を前記フレームに支持すると共に、前記回動案内溝に沿って移動させるための傾斜角度微調整手段とから成って、前記回動案内溝に嵌合させた駒体を、該回動案内溝に沿って移動させることにより清掃ブラシ装置の傾斜角度が微調整される構成となっている。この結果、設置角度の異なる複数種類の灯具の清掃が可能となる。
【0033】
また、本発明の場合、清掃ブラシ装置の回動角度を最も小さくすることができるため、清掃ブラシの軸心方向の長さを短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るトンネル内灯具の清掃車Aと、バッテリー車Bとが連結された状態の正面図である。
【図2】 同じく平面図である。
【図3】 一部を破断した清掃車Aの側面図である。
【図4】 図3のX矢視図である。
【図5】 ハンドル調整装置Fの正面図である。
【図6】 図5のY1 −Y1 線断面図である。
【図7】 図5のY2 −Y2 線断面図である。
【図8】 図5のY3 矢視図である。
【図9】 ハンドル調整装置Fの斜視図である。
【図10】 清掃ブラシ2が、設置角度θで設置された灯具Lの照明面Laに押し付けられた状態の作用説明図である。
【図11】 清掃ブラシ装置Eを回動させることにより、清掃ブラシ2が、設置角度θ’で設置された灯具Lの照明面Laに押し付けられた状態の作用説明図である。
【図12】 参考例の自動清掃装置の側面図である。
【図13】 図12のZ矢視図である。
【符号の説明】
A:清掃車
C3 :清掃ブラシ2の軸心
C4 :回動ピン56の軸心(回動支点)
E:清掃ブラシ装置
F:ハンドル調整装置(傾斜角度微調整手段)
G:ガイドレール
L:灯具
La:照明面
Q:中央部(回動中心)
T:ターンバックル装置(傾斜角度微調整手段)
W:トンネル壁面
α',α:傾斜角度
θ',θ:設置角度
2:清掃ブラシ
21:フレーム
22,54:支持ブラケット
23:シリンダ取付板
41:側板
42:駒体
56:支点ピン(支持手段)
Claims (2)
- ガイドレールに案内されてトンネル壁面に沿って走行する清掃車と、該清掃車に内装された清掃ブラシ装置とを備え、
前記清掃ブラシ装置の清掃ブラシが多数の灯具に対して進退して、各灯具を順次清掃する構成のトンネル内に設置された灯具の自動清掃装置であって、
前記清掃ブラシ装置は、前記清掃車のフレームに支持手段により前記灯具の照明面の近傍を回動中心として前記トンネルの奥行方向に対して直交する垂直面内において回動可能に支持され、
前記支持手段は、
下面に向かって垂直に取付けられ、前記灯具の照明面の近傍を中心とする円弧状の回動案内溝が設けられた支持ブラケットと、
清掃ブラシ装置を構成するシリンダ取付板の両端部に立設された側板に固着された駒体と、
前記駒体を保持して前記清掃ブラシ装置を前記フレームに支持すると共に、当該駒体を前記回動案内溝に沿って移動させるための傾斜角度微調整手段とから成り、
前記回動案内溝に嵌合させた駒体を、該回動案内溝に沿って移動させることにより清掃ブラシ装置の傾斜角度が微調整されて、設置角度の異なる複数種類の灯具の清掃を可能にしたことを特徴とするトンネル内灯具の自動清掃装置。 - 前記清掃ブラシの軸心は、側面視において灯具の照明面に平行であることを特徴とする請求項1に記載のトンネル内灯具の自動清掃装置。
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