JP3928244B2 - サーミスタ素子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温域にて用いられるサーミスタ素子に関し、特に自動車排ガスの温度センサに用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種のサーミスタ素子は、自動車排ガス温度、ガス給湯器等のガス火災温度、加熱炉の温度等、400℃〜1300℃という中温から高温度域の測定に用いられている。
この種のサーミスタ素子に適した抵抗値特性を有する材料としては、酸化物材料(例えばペロブスカイト系材料等)が主に用いられており、例えば、特開平6−325907号公報及び特開平7−201528号公報に記載のものが提案されている。これは、中温から高温度域の広い温度範囲で使用可能なサーミスタ素子を実現するために、Y、Sr、Cr、Fe、Ti等の酸化物を所定の組成割合で混合し、焼成して完全固容体としサーミスタ素子としたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記サーミスタ素子を自動車排ガスの温度を検知する温度センサに用いる場合、一般に、検知ガス中のゴミ、スス等の堆積防止等の目的で温度センサの先端検知部に配置するサーミスタ素子を金属キャップで被っている。ここで、金属キャップは900℃程度の高温の排ガス熱等により熱酸化することで金属キャップ内が還元雰囲気となり、内部のサーミスタ素子が還元作用を受けて抵抗値が変化するという問題が生じている。
【0004】
このため、通常は温度センサを電気炉に入れ、900〜1000℃で100時間程度熱エージング処理を行って抵抗値の安定化を行っているが、温度センサ使用中に、金属キャップに穴が開いたり、キャップが緩んだりする等してキャップ内に空気が入り込み、サーミスタ素子自身が再び還元雰囲気に晒された場合には、上記抵抗値変化が発生する恐れがある。
【0005】
また、特開平9−69417号公報においては、金属キャップとして特殊な金属材料、例えばインコネル600(商標)等の材料を選定しキャップに加工し用いているが、やはりサーミスタ素子自身が還元雰囲気に晒された場合おける抵抗値変化の問題は解決されていない。
いずれにしても、温度センサ等においてサーミスタ素子自身が還元雰囲気に晒された場合に、抵抗値安定性をもつサーミスタ素子はこれまでになかった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みて、サーミスタ素子において還元雰囲気に晒された場合に抵抗値安定性をもつ素子構成を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、還元雰囲気においてサーミスタ素子を構成するサーミスタ素子材料からの酸素原子の移動をなくすようにすれば、サーミスタ素子自身が還元されず抵抗変化がなくなるのではないかと考えた。そして、サーミスタ素子表面に酸素と反応しにくい耐還元性組成物を形成することに着目し、実験検討した結果、サーミスタ素子自身の抵抗変化が抑制されることを確認できた。
【0008】
請求項1記載の発明は、上記検討結果に基づいてなされたものであり、サーミスタ材料からなるサーミスタ部(13)と、このサーミスタ部(13)の表面に形成された耐還元性組成物からなる耐還元性被膜(14)とを有することを特徴としている。なお、サーミスタ部(13)は、混合焼結体(M1M2)O 3 ・Y 2 3 または(M1M2)O 3 ・Al 2 3 からなるもので、M1がMg、Ca、Sr、Ba、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Yb、Scから選択する1種以上の元素であり、M2がZn、Al、Ga、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptから選択する1種以上の元素である。
ここで、耐還元性組成物は、請求項2に記載のように、Y、Al、Siから選択する1種以上の元素を含む金属アルコキシドを用いた有機金属化合物を前駆体と
してサーミスタ部(13)の表面に固着させた後、焼成することにより形成されたものにできる。
【0009】
本発明によれば、サーミスタ素子の表面部を耐還元性被膜(14)に覆われた素子構成としているため、サーミスタ素子自身が還元雰囲気に晒された場合でも、抵抗値安定性をもつ素子構成を提供することができる。
ところで、通常、サーミスタ素子を温度センサとして用いる場合、素子の抵抗変化から温度を検出するための一対の電気配線部材(例えば金属リード線等)をサーミスタ素子に電気的に導通させた構成とする。請求項1及び請求項2記載のサーミスタ素子(1)を温度センサとして用いる場合には、上記一対の電気配線部材を、表面層である耐還元性被膜(14)を貫通させて内部のサーミスタ部(13)に導通させる構成となる。
【0010】
そのため、一対の電気配線部材間の電気的短絡を防止するためには、耐還元性被膜(14)は電気的絶縁性を有することが好ましい。本発明者等の検討によれば、耐還元性被膜(14)を構成する耐還元性組成物は、サーミスタ部(13)を構成するサーミスタ材料よりも電気抵抗が大きいことが好ましいことがわかった。
【0011】
請求項記載の発明は、この耐還元性組成物の電気抵抗に関する知見に基づいてなされたものであり、温度センサ(100)において、一対の電気配線部材(11、12)間の絶縁性を確保することができる。また、上述の各検討から、耐還元性被膜(14)を構成する耐還元性組成物は、酸素を通さないこと及び抵抗値が高いことが好ましいといえるが、本発明者等の検討の結果、そのようなものとしては請求項に記載の組成物が実用上望ましいことを見出した。
【0012】
すなわち、耐還元性組成物を、請求項記載の発明では23 (イットリア)、Al23(アルミナ)、SiO2 (シリカ)、Y3 Al512(YAG、イットリウム−アルミニウム−ガーネット)、3Al23 ・2SiO2 (ムライト)、Y2 SiO5 から選択する1種以上の組成物としている。
【0013】
また、請求項記載の発明は、還元雰囲気となりやすい900℃以上の温度にて用いられるサーミスタ素子において、抵抗値安定性を有するサーミスタ素子を提供することができる。また、サーミスタ部(13)の表面に耐還元性組成物からなる耐還元性被膜(14)を形成してなるサーミスタ素子を製造する方法、すなわち請求項1〜請求項記載のサーミスタ素子の製造方法についても検討を行った。請求項4及び請求項5記載の発明は、このサーミスタ素子の製造方法についてなされたものである。
【0014】
請求項記載の発明は、耐還元性組成物の前駆体をサーミスタ部(13)表面に形成した後、これを焼成することにより耐還元性被膜(14)をサーミスタ部(13)表面に形成するものであり、請求項1記載の発明の効果を有するサーミスタ素子の製造方法を提供し得る
【0015】
更に、請求項記載の発明では、有機金属化合物を含む溶液を用いて前記サーミスタ部(13)にディップコーティングを行うことにより、前記耐還元性組成物の前駆体を前記サーミスタ部(13)の表面に固着させることを特徴としており、吹きつけやスピナーを用いた塗布等に比べて、簡単に前駆体の固着を行うことができる。
【0016】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本実施形態は、本発明を、室温〜1000℃の温度範囲において抵抗値を50Ω〜100kΩとしたサーミスタ素子(以下、ワイドレンジ型サーミスタ素子という)に適用したものとしている。本実施形態のサーミスタ素子は、例えば自動車排ガスの温度を検知する温度センサに用いられる。
【0018】
図1は、本実施形態のサーミスタ素子1の概略断面構成を示す説明図である。サーミスタ素子1は、所定形状のバルクに形成されたサーミスタ材料からなるサーミスタ部13と、サーミスタ部13の略全表面に形成された耐還元性組成物からなる耐還元性被膜14とから構成されている。
ここで、サーミスタ部13を構成するサーミスタ材料は、ワイドレンジ型サーミスタ素子とするには、本発明者等の検討によれば、比較的低い抵抗値を有するペロプスカイト系材料と比較的高い抵抗値を有する材料との2種の化合物を混合した混合焼結体が好ましい。
【0019】
ペロブスカイト系材料としては、本発明者等の検討によれば、組成物(M1M2)O3 (ここで、M1は元素周期律表第2A族及びLaを除く第3A族の元素から選択される少なくとも1種以上の元素であり、M2は元素周期律表第3B族、第4A族、第5A族、第6A族、第7A族及び第8族から選択される少なくとも1種以上の元素である)が好ましい。
【0020】
なお、Laは吸湿性が高く、大気中の水分と反応して不安定な水酸化物を作りサーミスタ素子を破壊する等の問題点があるため、M2として用いない。
また、具体的に(M1M2)O3 における各元素は、M1がMg、Ca、Sr、Ba(以上、周期律表第2A族)、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Yb、Sc(以上、第3A族)から選択する1種以上の元素であり、M2がZn(第2B族)、Al、Ga(以上、第3B族)、Ti、Zr、Hf(以上、第4A族)、V、Nb、Ta(以上、第5A族)、Cr、Mo、W(以上、第6A族)、Mn(第7A族)、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt(以上、第8族)から選択する1種以上の元素であることが実用上望ましい。
【0021】
比較的高い抵抗値を有する材料としては、本発明者等の検討によれば、比較的高い抵抗値を有し且つサーミスタ材料の抵抗値を安定化するY2 3 (酸化イットリウム)またはAl2 3 (酸化アルミニウム)が好ましい。
そして、(M1M2)O3 とY2 3 とを混合焼結することにより混合焼結体(M1M2)O3 ・Y2 3 からなるサーミスタ部13を得、また、(M1M2)O3 とAl2 3 とを混合焼結することにより混合焼結体(M1M2)O3 ・Al2 3 からなるサーミスタ部13を得る。混合焼結の方法については後述する。
【0022】
一方、耐還元性被膜14は、酸素を通しにくく且つサーミスタ部13を構成するサーミスタ材料(つまり、上記混合焼結体)よりも電気抵抗が大きい電気絶縁性の耐還元性組成物から構成されている。
ここで耐還元性組成物としては、具体的にはY、Al、Siから選択する1種以上の元素を含む組成物を選択でき,例えば、Y2 3 (イットリア)、Al2 3 (アルミナ)、SiO2 (シリカ)、Y3 Al5 12(YAG)、3Al2 3 ・2SiO2 (ムライト)、Y2 SiO5 から選択する1種以上の組成物を選択できる。
【0023】
ここで、図1に示す様に、サーミスタ素子1には、素子の抵抗変化から温度を検出するための白金等からなる一対のリード線(電気配線部材)11、12が設けられている。両リード線11、12は、耐還元性被膜14を貫通して、片端部がサーミスタ部13内に埋設されている。なお、リード線11、12のサーミスタ部13への埋設部分は図示されていないが、互いに所定間隔を開けて配置されている。
【0024】
ここで、上述のように、耐還元性組成物は、サーミスタ部13を構成するサーミスタ材料よりも電気抵抗が大きく絶縁性を有するため、耐還元性被膜14による両リード線11、12間の電気的短絡を防止することができる。
そして、リード線11、12が付与されたサーミスタ素子1は、図2に示す様に、温度センサ100に組み込まれる。図2は温度センサ100において金属キャップ内を透視した状態で示す説明図であり、図3は図2のA−A断面図である。ここで2は筒状の金属キャップ、3は金属パイプである。リード線11、12が付与されたサーミスタ素子1は、金属キャップ内部に配設されている。
【0025】
また、リード線11、12のサーミスタ部13への埋設部分と反対側の端部は、外部回路(例えば、自動車のECU等)等との信号のやり取りを行うためのリード線31、32と電気的に接続されている。両リード線11、12、31、32の接続部位は、金属パイプ3内部でも外部でもよい。なお、図3に示す様に、金属パイプ3の内部にはマグネシア粉体33が充填されており、金属パイプ3内のリード線31、32の絶縁性を確保している。
【0026】
そして、金属キャップ2は金属パイプ3の外周にかしめ等により固定され、金属キャップ2内部は密閉空間となっている。
次に、本実施形態のサーミスタ素子1の製造方法について述べる。まず、サーミスタ部13として混合焼結体(M1M2)O3 ・Y2 3 を用いる場合について述べる。この場合の製造工程は、大きくは、第1及び第2の調製工程に分かれる。
【0027】
まず、M1及びM2の原料であるM1の酸化物(M1OX )やM2の酸化物(M2OX )等を所望の抵抗値と抵抗温度係数となるように調合して(調合1)、媒体攪拌ミル等を用いて混合、粉砕(混合工程)した後、仮焼成(例えば1100℃〜1300℃程度)する(仮焼成工程)。こうして、仮焼成体としての(M1M2)O3 ・Y2 3 組成物を得る。以上が第1の調製工程である。
【0028】
そして、得られた仮焼成体を、所定量秤量し(調合2)、秤量された仮焼成体を粉砕し(粉砕工程)、Pt等のリード線を組み込み、所望の形状に金型等で成形(成形工程)した後、焼成(例えば1400℃〜1600℃程度)を行う(焼成工程)。こうして、リード線11、12の付与された混合焼結体(サーミスタ部13)が得られる。
【0029】
続いて、サーミスタ部13の表面にディップコーティングで耐還元性組成物の前駆体を溶液状態で固着させ(ディップコーティング工程)、焼成(例えば1200℃以上)する(被膜形成工程)。こうして、耐還元性被膜14が形成されたサーミスタ素子1が得られる。以上が第2の調製工程である。
次に、サーミスタ部13として混合焼結体(M1M2)O3 ・Al2 3 を用いる場合について述べる。この場合の製造工程も、大きくは、第1及び第2の調製工程に分かれるが、第1の調製工程で仮焼成体(M1M2)O3 を得た後、調合2において、所望の抵抗値と抵抗温度係数となるように仮焼成体とAl2 3 とを調合する点が異なる。
【0030】
まず、第1の調製工程では、M1及びM2の原料から、調合1、混合工程、仮焼成工程を行い、仮焼成体としての(M1M2)O3 組成物を得る。
そして、第2の調製工程では、得られた仮焼成体を所定量秤量し、所望の抵抗値と抵抗温度係数となるように秤量された仮焼成体とAl2 3 とを調合する(調合2)。秤量された混合物を、粉砕工程、成形工程、焼成工程に供し、リード線11、12の付与された混合焼結体(サーミスタ部13)を得る。続いて、ディップコーティング工程、被膜形成工程を行い、サーミスタ素子1を得る。
【0031】
なお、混合焼結体(M1M2)O3 ・Y2 3 の場合にも、第1の調製工程において、仮焼成体としての(M1M2)O3 を得て、第2の調製工程の調合2にて、所望の抵抗値と抵抗温度係数となるように仮焼成体(M1M2)O3 とY2 3 とを調合し、焼成工程まで行って、混合焼結体(M1M2)O3 ・Y2 3 を得るようにしてもよい。
【0032】
ここで、上記ディップコーティング工程においては、有機金属化合物を含む溶液を用いることができる。有機金属化合物としては、Y、Al、Siから選択する1種以上の元素を含むアルコラート(金属アルコキシド)を用いることができる。
これら有機金属化合物を含む溶液を用いてディップコーティングを行うことで、サーミスタ部13表面に耐還元性組成物の前駆体としての有機金属化合物が溶液として固着される。そして、被膜形成工程に供することで、耐還元性組成物としてのY2 3 、Al2 3 、Y3 Al5 12、ムライト、Y2 SiO5 等からなる耐還元性被膜14が形成される。
【0033】
ところで、上記の調合1又は調合2において、混合焼結体における各粒子の焼結性等を向上させるために焼結助剤を添加することが好ましい。本発明者等の焼結助剤についての検討によれば、焼結密度に優れたサーミスタ素子を得るためにはCaO、CaCO3 、CaSiO3 、SiO2 から選択された少なくとも1種以上の焼結助剤を用いることがより好ましい。上記焼結助剤の添加により、焼結密度がより向上し、サーミスタ素子の抵抗値を安定化させたり、焼成温度の変動に対する抵抗値のばらつきを低減できる。
【0034】
このようにして得られたサーミスタ素子1のサーミスタ部13は、ペロブスカイト系化合物である(M1M2)O3 とY2 3 (またはAl2 3 )とが粒界を介して均一混合されたものとなっている。
また、サーミスタ素子1を用いた温度センサ100を高温炉に入れ、室温(例えば27℃)から1000℃まで、抵抗値、抵抗温度係数β、900℃の熱エージング中における抵抗変化率ΔRの各特性を測定した。ここで、この熱エージングによりサーミスタ素子1は金属キャップ2中で還元雰囲気の影響を受けるため、抵抗変化率ΔRは本実施形態のサーミスタ素子1の抵抗値安定性を図る指標となる。
【0035】
ここでβは、β(K)=Ln(R/Ro )/(1/K−1/Ko )で表される。なお、Lnは自然対数、R及びRo は、各々大気中で室温(300K)及び1000℃(1273K)におけるサーミスタ素子の抵抗値を示す。また、抵抗変化率ΔRは、上記のように各温度センサにて還元雰囲気でのサーミスタ素子1の抵抗変化について表すものであり、式ΔR(%)=(Rmax t /Rt )×100−100で表される。なお、Rt は所定温度t(例えば600℃)における初期抵抗値、Rmax t は900℃の熱エージング中でのRt の最大抵抗値を示す。
【0036】
その結果、室温〜1000℃の温度範囲において、Rt は50Ω〜100kΩであり、βは2000〜4000(K)に調整でき、ΔRも+(プラス)数%程度のレベルを安定して実現できることが確認できた(図5、図7参照)。
よって、本実施形態によれば、耐還元性被膜14を形成した素子構成とすることにより、自身が還元雰囲気に晒された場合であっても、抵抗変化率ΔRが小さく安定した特性(抵抗値安定性)を持つサーミスタ素子1を提供できる。
【0037】
また、本実施形態によれば、高温(900℃程度)で長時間(100時間程度)の熱エージング処理を行う必要がなく、製造工数の低減が図れ、センサの低コスト化が図れる。
また、サーミスタ部13を上記混合焼結体とすることにより、室温〜1000℃の温度範囲において抵抗値が50Ω〜100kΩと良好な抵抗値温度特性を有するため、室温〜1000℃の高温域にわたって温度検出可能なサーミスタ素子を提供できる。
【0038】
さらに、上記の抵抗値(Rt )範囲、βの各値をより確実に実現するには、本発明者等の検討によれば、混合焼結体a(M1M2)O3 ・bY2 3 及びa(M1M2)O3 ・bAl2 3 において、各モル分率a及びbが、0.05≦a<1.0、0<b≦0.95、a+b=1の関係を満足することが好ましい。
また、混合焼結体において、このように広い範囲でモル分率を変えることができるので、(M1M2)O3 とY2 3 (またはAl2 3 )との両者を、適宜混合、焼成することにより、抵抗値、抵抗温度係数を広い組成範囲で種々制御できる。
【0039】
次に、本実施形態について、以下の各実施例1〜10及び比較例1〜2により、さらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例1〜5は、サーミスタ部13の混合焼結体(M1M2)O3 ・Y2 3 であってM1がY、M2がCrとMnとしたもの、すなわち、混合焼結体Y(CrMn)O3 ・Y2 3 について行われたものであり、実施例6〜10は、サーミスタ部13の混合焼結体(M1M2)O3 ・Al2 3 であってM1がY、M2がCrとMnとしたもの、すなわち、混合焼結体Y(CrMn)O3 ・Al2 3 について行われたものである。
【0040】
【実施例】
(実施例1)
本実施例1は、Y2 3 (M1の原料)とCr2 3 とMn2 3 (以上、M2の原料)とCaCO3 (焼結助剤)を原料に、混合焼結体38Y(Cr0.5 Mn0.5 )O3 ・62Y2 3 (a=0.38、b=0.62))からなるサーミスタ部13を得て、このサーミスタ部13の表面にY2 3 (耐還元性組成物)からなる耐還元性被膜14を形成したものである。
【0041】
本実施例1のサーミスタ素子の製造工程を図4に示す。なお、実施例2〜実施例5の製造工程も図4に示される。
いずれの純度も99.9%以上のY2 3 とCr2 3 とMn2 3 とCaCO3 を用意した。調合1では、サーミスタ素子1として所望の抵抗値と抵抗温度係数とすべく、aY(Cr0.5 Mn0.5 )O3 ・bY2 3 のaとbが、a:b=38:62となるように、Y2 3 とCr2 3 とMn2 3 を秤量して全量2000gとした。さらにCaCO3 を36g添加し、Y2 3 とCr2 3 とMn2 3 とCaCO3 とを合計した2036gを混合原料とした。
【0042】
次いで、混合工程では、この混合原料を微粒化するために媒体攪拌ミルを用いた。本例の媒体攪拌ミルは、パールミル装置(アシザワ(株)製 RV1V、有効容積:1.0リットル 実容量:0.5リットル)を用いた。このパールミル装置による混合条件は、粉砕媒体として直径0.5mmのジルコニア製ボールを3.0kg使用し、攪拌槽体積の80%をジルコニア製ボールで充填した。
【0043】
操作条件は、周速12m/sec、回転数3110rpmで行った。なお、混合原料2036gに対して分散媒に蒸留水を4.5リットル用い、同時に分散剤とバインダーを添加して10時間の混合・粉砕を行った。バインダーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)を混合原料2036g当り20g添加した。
混合・粉砕処理したサーミスタ材料の原料スラリーをレーザ式粒度計で評価した結果、平均粒径は0.4μm(ミクロンメータ)であった。
【0044】
続いて、得られた原料スラリーを、スプレードライヤで乾燥室入口温度200℃、出口温度120℃の条件で乾燥した(乾燥工程)。得られたサーミスタ原料粉は平均粒径30μmの球状で、この原料粉を99.3%Al2 3 製ルツボに入れ、高温炉で大気中にて1100〜1300℃で1〜2時間仮焼成し、仮焼成体Y(Cr0.5 Mn0.5 )O3 ・Y2 3 を得た(仮焼成工程)。
【0045】
次に、仮焼成で塊状の固形となった上記仮焼成体をライカイ機で粗粉砕し、#30メッシュ篩いに通し、所定量のY(Cr0.5 Mn0.5 )O3 ・Y2 3 の粉体を得た(調合2)。
次いで、粉砕工程(図中では混合・粉砕と示す)では、Y(Cr0.5 Mn0.5 )O3 ・Y2 3 の粉体を微粒化するために、上記混合工程と同様にパールミル装置を使用した。パールミル装置による粉砕条件は、混合工程の条件と同じである。また、粉砕工程で、分散剤、バインダー、離型剤を添加し、同時に粉砕し、スラリーとした。粉砕処理したサーミスタ材料の原料スラリーをレーザ式粉度計で評価した結果、平均粉径は0.3μm(ミクロンメータ)であった。
【0046】
粉砕後に得たY(Cr0.5 Mn0.5 )O3 ・Y2 3 のスラリーは、乾燥工程の条件同様に、スプレードライヤで造粉し、Y(Cr0.5 Mn0.5 )O3 ・Y2 3 の造粒粉を得た(造粒・乾燥工程)。この造粒粉を用いてサーミスタ部13の成形を行った。
成形工程は金型成形法で行い、オス金型にPt100(φ0.3mm×10.5mm)をリード線11、12として装填し、外径φ1.89mmのメス金型に上記造粒粉を入れ、圧力約1000Kgf/cm2 で成形し、リード線11、12が付与されたサーミスタ部13の成形体を得た。
【0047】
焼成工程では、この成形体をAl2 3 製波型セッタに並べ、大気中1400〜1600℃で1〜2時間焼成し、混合焼結体38Y(Cr0.5 Mn0.5 )O3 ・62Y2 3 からなる形状φ1.6mm×1.2mmの小型バルク型のサーミスタ部13を得た。
次に、このリード線11、12が付与されたサーミスタ部13の表面に、耐還元性組成物を形成する。まず、ディップコーティング工程では、このサーミスタ部13の表面に耐還元性組成物Y2 3 の前駆体であるイットリウム有機金属化合物(本例ではイットリウムアルコキシド)を固着させた。
【0048】
サーミスタ部13の表面へのイットリウム有機金属化合物への固着は、イットリウム有機金属化合物溶液(SYM−Y01、米国シンメトリックス社製)を用い、サーミスタ部13をこの溶液に浸し、サーミスタ部13を溶液から引き上げることでディップコーティングすることで行った。こうして耐還元性組成物Y2 3 の前駆体であるイットリウム有機金属化合物がサーミスタ部13の表面に固着形成された。
【0049】
この後、室温〜40℃の大気雰囲気で上記イットリウム有機金属化合物溶液に含まれる溶剤を気化し、上記前駆体を表面に固着させたサーミスタ部13を1200℃以上で焼成することで、サーミスタ部13表面に耐還元性組成物が0.5〜5.0μmの厚さで耐還元性被膜14として形成されたサーミスタ素子1を得た(被膜形成工程)。
【0050】
リード線11、12が付与されたサーミスタ素子1を、上記図2の如く組付けて温度センサ100とした。この温度センサ100を高温炉に入れ、室温(27℃)から1000℃まで、抵抗特性(抵抗値、β、ΔR)を評価した。評価結果を図5に示す。なお、ΔR(%)=(Rmax t /Rt )×100−100における所定温度tは600℃とした。
【0051】
本実施例1の温度センサ100では、室温〜1000℃の温度範囲において抵抗値が50Ω〜100kΩの範囲にあり、良好な抵抗値温度特性を有するため、室温〜1000℃の高温域にわたって温度検出可能なサーミスタ素子を提供できる。
また、本実施例1の温度センサ100では、金属キャップ中でのサーミスタ素子1の最大抵抗変化率ΔRは、3%程度のレベルを安定して実現できることが確認できた。
【0052】
それ故、本例のサーミスタ素子1により、従来のような素子抵抗を安定化するために温度センサを900℃程度の熱エージングする(後述の比較例参照)ことや、高価な特殊金属材料のキャップを用いることを不要とし、サーミスタ素子1自身が還元雰囲気に晒された場合であっても、抵抗値安定性を持つ温度センサを提供することができる。
【0053】
(実施例2)
本実施例2は、実施例1と同様にしてサーミスタ部13を得た後、耐還元性組成物としてAl2 3 をサーミスタ部13表面に形成するものである。実施例1と同様に、焼成工程まで行い、リード線11、12が付与されたサーミスタ部13を得た。サーミスタ部13は、同様に混合焼結体38Y(Cr0.5 Mn0.5 )O3 ・62Y2 3 である。
【0054】
次に、ディップコーティング工程では、このサーミスタ部13の表面に耐還元性組成物Al2 3 の前駆体であるアルミニウム有機金属化合物(本例ではアルミニウムアルコキシド)を固着させた。Al2 3 の前駆体であるアルミニウム有機金属化合物溶液(SYM−AL04、米国シンメトリックス社製)を用い、上記実施例1と同様に、ディップコーティングして耐還元性組成物Al2 3 の前駆体を形成した。
【0055】
この後、被膜形成工程にて、上記実施例1と同様に、溶剤を気化し焼成することで、サーミスタ部13表面に耐還元性組成物が0.5〜5.0μmの厚さで耐還元性被膜14として形成されたサーミスタ素子1を得た。このサーミスタ素子1を用いて同様に温度センサ100を作製し、同様に抵抗値温度特性を評価した(図5参照)
本実施例2の温度センサ100においても、上記実施例1と同様に、良好な抵抗値温度特性が示され、また、金属キャップ中でのサーミスタ素子1の最大抵抗変化率ΔRは2%のレベルを安定して実現できることが確認できた、従って、上記実施例1と同様の効果を有するサーミスタ素子を提供することができる。
【0056】
(実施例3)
本実施例3は、実施例1と同様にしてサーミスタ部13を得た後、耐還元性組成物として3Al2 3 ・2SiO2 (ムライト)をサーミスタ部13表面に形成するものである。実施例1と同様に、焼成工程まで行い、リード線11、12が付与されたサーミスタ部13を得た。サーミスタ部13は、同様に混合焼結体38Y(Cr0.5 Mn0.5 )O3 ・62Y2 3 である。
【0057】
次に、ディップコーティング工程では、このサーミスタ部13の表面に耐還元性組成物ムライトの前駆体であるアルミニウム有機金属化合物とシリコン有機金属化合物(本例では共にアルコキシド)を固着させた。
アルミニウム有機金属化合物溶液(SYM−AL04、米国シンメトリックス社製)とシリコン有機金属化合物溶液(SYM−SI05、米国シンメトリックス社製)を用い、これらアルミニウム有機金属化合物溶液とシリコン有機金属化合物溶液を焼成後に3Al2 3 ・2SiO2 となるように調合して、アルミニウム有機金属化合物溶液とシリコン有機金属化合物溶液との混合溶液を調製した。
【0058】
サーミスタ部13表面への耐還元性組成物の固着は、実施例1と同様に上記混合溶液に浸し、サーミスタ部13を引き上げることでディップコーティングして行った。こうして耐還元性組成物ムライトの前駆体を形成した。
この後、被膜形成工程にて、上記実施例1と同様に、上記混合溶液に含まれる溶剤を気化し焼成することで、サーミスタ部13表面に耐還元性組成物が0.5〜5.0μmの厚さで耐還元性被膜14として形成されたサーミスタ素子1を得た。このサーミスタ素子1を用いて同様に温度センサ100を作製し、同様に抵抗値温度特性を評価した(図5参照)。
【0059】
本実施例3の温度センサ100においても、上記実施例1と同様に、良好な抵抗値温度特性が示され、また、金属キャップ中でのサーミスタ素子1の最大抵抗変化率ΔRは1.5%のレベルを安定して実現できることが確認できた、従って、上記実施例1と同様の効果を有するサーミスタ素子を提供することができる。
(実施例4)
本実施例4は、実施例1と同様にしてサーミスタ部13を得た後、耐還元性組成物としてY3 Al5 12をサーミスタ部13表面に形成するものである。実施例1と同様に、焼成工程まで行い、リード線11、12が付与されたサーミスタ部13を得た。サーミスタ部13は、同様に混合焼結体38Y(Cr0.5 Mn0.5 )O3 ・62Y2 3 である。
【0060】
次に、ディップコーティング工程では、このサーミスタ部13の表面に耐還元性組成物Y3 Al5 12の前駆体であるイットリウム有機金属化合物とアルミニウム有機金属化合物(本例では共にアルコキシド)を固着させた。
イットリウム有機金属化合物溶液(SYM−Y01、米国シンメトリックス社製)とアルミニウム有機金属化合物溶液(SYM−AL04、米国シンメトリックス社製)を用い、これらイットリウム有機化合物とアルミニウム有機金属化合物溶液を焼成後にY3 Al5 12となるように調合して、イットリウム有機金属化合物溶液とアルミニウム有機金属化合物溶液の混合溶液を調製した。
【0061】
サーミスタ部13表面への耐還元性組成物の固着は、実施例1と同様に上記混合溶液に浸した後、引き上げることでディップコーティングして行った。こうしてサーミスタ部13表面へ前駆体を形成した。
この後、被膜形成工程にて、上記実施例1と同様に、上記混合溶液に含まれる溶剤を気化し焼成することで、サーミスタ部13表面に耐還元性組成物が0.5〜5.0μmの厚さで耐還元性被膜14として形成されたサーミスタ素子1を得た。このサーミスタ素子1を用いて同様に温度センサ100を作製し、同様に抵抗値温度特性を評価した(図5参照)。
【0062】
本実施例4の温度センサ100においても、上記実施例1と同様に、良好な抵抗値温度特性が示され、また、金属キャップ中でのサーミスタ素子1の最大抵抗変化率ΔRは2.0%のレベルを安定して実現できることが確認できた、従って、上記実施例1と同様の効果を有するサーミスタ素子を提供することができる。
(実施例5)
本実施例5は、実施例1と同様にしてサーミスタ部13を得た後、耐還元性組成物としてY2 SiO5 をサーミスタ部13表面に形成するものである。実施例1と同様に、焼成工程まで行い、リード線11、12が付与されたサーミスタ部13を得た。サーミスタ部13は、同様に混合焼結体38Y(Cr0.5 Mn0.5 )O3 ・62Y2 3 である。
【0063】
次に、ディップコーティング工程では、このサーミスタ部13の表面に耐還元性組成物Y2 SiO5 の前駆体であるイットリウム有機金属化合物とシリコン有機金属化合物(本例では共にアルコキシド)を固着させた。
イットリウム有機金属化合物溶液(SYM−Y01、米国シンメトリックス社製)とシリコン有機金属化合物溶液(SYM−SI05、米国シンメトリックス社製)を用い、これらイットリウム有機金属化合物溶液とシリコン有機金属化合物溶液を焼成後にY2 SiO5 となるように調合して、イットリウム有機金属化合物溶液とシリコン有機金属化合物溶液の混合溶液を調製した。
【0064】
サーミスタ部13表面への耐還元性組成物の固着は、実施例1と同様に上記混合溶液に浸した後、引き上げることでディップコーティングして行った。こうしてサーミスタ部13表面へ前駆体を形成した。
この後、被膜形成工程にて、上記実施例1と同様に、上記混合溶液に含まれる溶剤を気化し焼成することで、サーミスタ部13表面に耐還元性組成物が0.5〜5.0μmの厚さで耐還元性被膜14として形成されたサーミスタ素子1を得た。このサーミスタ素子1を用いて同様に温度センサ100を作製し、同様に抵抗値温度特性を評価した(図5参照)。
【0065】
本実施例5の温度センサ100においても、上記実施例1と同様に、良好な抵抗値温度特性が示され、また、金属キャップ中でのサーミスタ素子1の最大抵抗変化率ΔRは3.0%のレベルを安定して実現できることが確認できた、従って、上記実施例1と同様の効果を有するサーミスタ素子を提供することができる。
(実施例6)
本実施例6では、混合焼結体40Y(Cr0.5 Mn0.5 )O3 ・60Y2 3 (a=0.40、b=0.60)からなるサーミスタ部13を得て、このサーミスタ部13の表面にY2 3 (耐還元性組成物)からなる耐還元性被膜14を形成したものである。
【0066】
本実施例6のサーミスタ素子の製造工程を図6に示す。なお、実施例7〜実施例10の製造工程も図6に示される。
いずれの純度も99.9%以上のY2 3 とCr2 3 とMn2 3 とCaCO3 を用意した。調合1では、仮焼成後に組成物Y(Cr0.5 Mn0.5 )O3 が得られるように、モル比Y:Cr:Mnが、2:1:1となるようにY2 3 とCr2 3 とMn2 3 を秤量して全量2000gとした。さらにCaCO3 を36g添加し、Y2 3 とCr2 3 とMn2 3 とCaCO3 とを合計した2036gを混合原料とした。
【0067】
次いで、混合工程では、この混合原料を微粒化するために媒体攪拌ミルを用いた。本例の媒体攪拌ミルは、実施例1に記載のパールミル装置と同じものを用いる。このパールミル装置による混合条件、操作条件、及び、分散剤とバインダーの添加量は、実施例1と同様である。
混合・粉砕処理したサーミスタ材料の原料スラリーをレーザ式粒度計で評価した結果、平均粒径は0.3μmであった。
【0068】
続いて、得られた原料スラリーを、実施例1と同様にスプレードライヤで乾燥し(乾燥工程)、得られたサーミスタ原料粉を99.3%Al2 3 製ルツボに入れ、高温炉で大気中にて1100〜1300℃で1〜2時間仮焼成し、仮焼成体Y(Cr0.5 Mn0.5 )O3 を得た(仮焼成工程)。
次に、調合2において、仮焼成で塊状の固形となった上記仮焼成体をライカイ機で粗粉砕し、#30メッシュ篩いで通し、Y(Cr0.5 Mn0.5 )O3 の粉体を得た。さらに、Y(Cr0.5 Mn0.5 )O3 粉体と純度が99,9%以上のAl2 3 とを用意し、両者の調合モル比(a:b)であるY(Cr0.5 Mn0.5 )O3 :Al2 3 が、40:60となるように秤量して全量を2000gとした。
【0069】
続いて、粉砕工程(図中では混合・粉砕と示す)では、秤量した混合物を、上記混合工程と同様にパールミル装置で混合、粉砕した。パールミル装置による粉砕条件は、本例上記の混合工程の条件と同じである。また、この粉砕工程で、分散剤、バインダー、離型剤を添加し、同時に粉砕し、スラリーとした。粉砕処理したサーミスタ材料の原料スラリーをレーザ式粒度計で評価した結果、平均粉径は0.3μmであった。
【0070】
粉砕後に得たY(Cr0.5 Mn0.5 )O3 とAl2 3 の原料スラリーは、乾燥工程の条件同様に、スプレードライヤで造粉し、Y(Cr0.5 Mn0.5 )O3 とAl2 3 とが混合した造粒粉を得た(造粒・乾燥工程)。この造粒粉を用いてサーミスタ素子の成形を行った。
成形工程は実施例1記載と同様の金型成形法で行い、オス金型にPt 100からなるリード線11、12を装填し、メス金型に上記造粒粉を入れ、同様の圧力で成形し、リード線11、12が付与されたサーミスタ部13の成形体を得た。そして、このサーミスタ部13の成形体を、上記実施例1同様に、焼成工程に供し、リード線11、12が付与されたサーミスタ部13を得た。
【0071】
続いて、上記実施例1同様にディップコーティングを行い、このサーミスタ部13表面に耐還元性組成物Y2 3 の前駆体イットリウム有機金属化合物を固着させた後、被膜形成工程に供し、サーミスタ部13表面に0.5〜5.0μmの厚さでY2 3 からなる耐還元性被膜14が形成されたサーミスタ素子1を得た。
【0072】
このサーミスタ素子1を用いて同様に温度センサ100を作製し、上記実施例1と同様に抵抗特性(抵抗値、β、ΔR)を評価した。その評価結果を図7に示す。
本実施例6の温度センサ100においても、上記実施例1と同様に、良好な抵抗値温度特性が示され、また、金属キャップ中でのサーミスタ素子1の最大抵抗変化率ΔRは3%のレベルを安定して実現できることが確認できた、従って、上記実施例1と同様の効果を有するサーミスタ素子を提供することができる。
(実施例7)
本実施例7は、実施例6と同様にしてサーミスタ部13を得た後、耐還元性組成物としてAl2 3 をサーミスタ部13表面に形成するものである。実施例6と同様に、焼成工程まで行い、リード線11、12が付与されたサーミスタ部13を得た。サーミスタ部13は、同様に混合焼結体40Y(Cr0.5 Mn0.5 )O3 ・60Y2 3 である。
【0073】
次に、耐還元性組成物Al2 3 からなる耐還元性被膜14のサーミスタ部13への形成は、上記実施例2と同様に実施した。そして、サーミスタ部13表面に耐還元性組成物が0.5〜5.0μmの厚さで耐還元性被膜14として形成されたサーミスタ素子1を得た。このサーミスタ素子1を用いて同様に温度センサ100を作製し、同様に抵抗値温度特性を評価した(図7参照)。
【0074】
本実施例7の温度センサ100においても、上記実施例1と同様に、良好な抵抗値温度特性が示され、また、金属キャップ中でのサーミスタ素子1の最大抵抗変化率ΔRは2.0%のレベルを安定して実現できることが確認できた、従って、上記実施例1と同様の効果を有するサーミスタ素子を提供することができる。
(実施例8)
本実施例8は、実施例6と同様にしてサーミスタ部13を得た後、耐還元性組成物として3Al2 3 ・2SiO2 (ムライト)をサーミスタ部13表面に形成するものである。実施例6と同様に、焼成工程まで行い、リード線11、12が付与されたサーミスタ部13を得た。サーミスタ部13は、同様に混合焼結体40Y(Cr0.5 Mn0.5 )O3 ・60Y2 3 である。
【0075】
次に、耐還元性組成物3Al2 3 ・2SiO2 (ムライト)からなる耐還元性被膜14のサーミスタ部13への形成は、上記実施例3と同様に実施した。そして、サーミスタ部13表面に耐還元性組成物が0.5〜5.0μmの厚さで耐還元性被膜14として形成されたサーミスタ素子を得た。このサーミスタ素子1を用いて同様に温度センサ100を作製し、同様に抵抗値温度特性を評価した(図7参照)。
【0076】
本実施例8の温度センサ100においても、上記実施例1と同様に、良好な抵抗値温度特性が示され、また、金属キャップ中でのサーミスタ素子1の最大抵抗変化率ΔRは1.5%のレベルを安定して実現できることが確認できた、従って、上記実施例1と同様の効果を有するサーミスタ素子を提供することができる。
(実施例9)
本実施例9は、実施例6と同様にしてサーミスタ部13を得た後、耐還元性組成物としてY3 Al5 12をサーミスタ部13表面に形成するものである。実施例6と同様に、焼成工程まで行い、リード線11、12が付与されたサーミスタ部13を得た。サーミスタ部13は同様に混合焼結体40Y(Cr0.5 Mn0.5 )O3 ・60Y2 3 である。
【0077】
次に、耐還元性組成物Y3 Al5 12からなる耐還元性被膜14のサーミスタ部13への形成は、上記実施例4と同様に実施した。そして、サーミスタ部13表面に耐還元性組成物が0.5〜5.0μmの厚さで耐還元性被膜14として形成されたサーミスタ素子1を得た。このサーミスタ素子1を用いて同様に温度センサ100を作製し、同様に抵抗値温度特性を評価した(図7参照)。
【0078】
本実施例9の温度センサ100においても、上記実施例1と同様に、良好な抵抗値温度特性が示され、また、金属キャップ中でのサーミスタ素子1の最大抵抗変化率ΔRは2.0%のレベルを安定して実現できることが確認できた、従って、上記実施例1と同様の効果を有するサーミスタ素子を提供することができる。
(実施例10)
本実施例10は、実施例6と同様にしてサーミスタ部13を得た後、耐還元性組成物としてY2 SiO5 をサーミスタ部13表面に形成するものである。実施例6と同様に、焼成工程まで行い、リード線11、12が付与されたサーミスタ部13を得た。サーミスタ部13は同様に混合焼結体40Y(Cr0.5 Mn0.5 )O3 ・60Y2 3 である。
【0079】
次に、耐還元性組成物Y2 SiO5 からなる耐還元性被膜14のサーミスタ部13への形成は、上記実施例5と同様に実施した。そして、サーミスタ部13表面に耐還元性組成物が0.5〜5.0μmの厚さで耐還元性被膜14として形成されたサーミスタ素子1を得た。このサーミスタ素子1を用いて同様に温度センサ100を作製し、同様に抵抗値温度特性を評価した(図7参照)。
【0080】
本実施例10の温度センサ100においても、上記実施例1と同様に、良好な抵抗値温度特性が示され、また、金属キャップ中でのサーミスタ素子1の最大抵抗変化率ΔRは3.0%のレベルを安定して実現できることが確認できた、従って、上記実施例1と同様の効果を有するサーミスタ素子を提供することができる。
【0081】
(比較例1)
本比較例1においては、上記実施例1と同様にY2 3 とCr2 3 とMn2 3 とCaCO3 を原料に、混合焼結体38Y(Cr0.5 Mn0.5 )O3 ・62Y2 3 からなるサーミスタ部13を得た後、その表面に耐還元性組成物を形成しないでサーミスタ素子としたものである。つまり、図1に示すサーミスタ素子1において耐還元性被膜14の無い素子構成としている。
【0082】
本比較例1のサーミスタ素子を、図2に示す温度センサ100構成と同様に、温度センサに組み込み、この温度センサを、上記実施例1同様に抵抗特性を評価した。評価結果を図8に示す。
本例の温度センサでは、室温〜1000℃の温度範囲において抵抗値が50Ω〜100kΩの範囲にあり、良好な抵抗値温度特性を有するものの、金属キャップ中での最大抵抗変化率ΔRは30%レベルであり、上記実施例に比べて、サーミスタ素子自身が還元雰囲気に晒された場合に抵抗値安定性が劣る。
【0083】
なお、本例の温度センサを、900℃×100Hrの熱エージングに供したところ、抵抗変化率ΔRが5%レベルに低下して安定した。従って、本例のサーミスタ素子の抵抗安定化のためには、900℃×100Hrの熱エージングが必要である。
(比較例2)
本比較例2においては、上記実施例6と同様にY2 3 とCr2 3 とMn2 3 とCaCO3 とAl2 3 とを原料にして、混合焼結体40Y(Cr0.5 Mn0.5 )O3 ・60Al2 3 からなるサーミスタ部13を得た後、その表面に耐還元性組成物を形成しないでサーミスタ素子としたものである。つまり、上記比較例1同様に、図1に示すサーミスタ素子1において耐還元性被膜14の無い素子構成としている。
【0084】
本比較例1のサーミスタ素子を、上記比較例1同様に温度センサに組み込み、抵抗値温度特性を評価した(図8)。
本例の温度センサも、良好な抵抗値温度特性を有するものの、金属キャップ中での最大抵抗変化率ΔRは25%レベルであり、上記実施例に比べて、サーミスタ素子自身が還元雰囲気に晒された場合に抵抗値安定性が劣る。
【0085】
なお、本例の温度センサにおいても、900℃×100Hrの熱エージングに供したところ、抵抗変化率ΔRが4%レベルに低下して安定した。従って、本例のサーミスタ素子の抵抗安定化のためには、900℃×100Hrの熱エージングが必要である。
(他の変形例)
ところで、上記実施例1〜10以外、Cr2 3 を主体とする高温型サーミスタ素子、(Al、Cr、Fe)2 3 系コランダム型組成のサーミスタ素子、Y(Cr、Ti、Fe)O3 ペロブスカイト単独組成のサーミスタ素子等、従来のサーミスタ素子の表面に本発明の耐還元性組成物を形成することにより、金属キャップ中での還元雰囲気においても抵抗変化がなく安定な特性を持ち、温度センサでの熱エージングを不要とするサーミスタ素子を提供できる。
【0086】
また、耐還元性組成物として、上記各実施例では、Y2 3 、Al2 3 、SiO2 、Y3 Al5 12(YAG)、3Al2 3 ・2SiO2 (ムライト)、Y2 SiO5 について記載したが、これら耐還元性組成物全部または一部からなる混合物を耐還元性組成物として用いた場合においても、上述のとおり抵抗変化がなく安定な特性のサーミスタ素子を提供できることはいうまでもない。
【0087】
さらには、耐還元性組成物として、Y2 3 、Al2 3 、SiO2 、Y3 Al5 12(YAG)、3Al2 3 ・2SiO2 (ムライト)、Y2 SiO5 を任意に組み合わせて、耐還元性組成物の複数の層からなる耐還元性被膜をサーミスタ素子の表面に形成することによっても、上述と同様の効果が得られる。
また、上記各実施例では、形状φ1.6mm×1.2mmの小型バルク型のサーミスタ部13の表面に耐還元性組成物を形成することによってその効果を得ているが、これはサーミスタ部13の形状に依存するものではない。
【0088】
例えば、サーミスタ素子原料にバインダー、樹脂材料等を混合・添加して、シート成形に好適な粘度、固さに調整し、厚さ200μmのシート状のサーミスタ・シートを得た後、このサーミスタ・シートを5枚積層して厚さを1mmとし、リード線を付与したシート積層型のサーミスタ部を有するサーミスタ素子においても、表面に耐還元性被膜を形成すれば、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
【0089】
また、サーミスタ素子原料にバインダー、樹脂材料等を混合・添加して、押し出し成形に好適な粘度、固さに調整し、押し出し成形によりリード線を付与するための穴が形成されたサーミスタ素子の成形体を得て、リード線を装填して焼成することで、リード線を形成したサーミスタ素子おいても、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
【0090】
実施例1〜10では、耐還元性組成物の前駆体として単一金属元素からなる有機金属化合物であるアルコラート(金属アルコキシド)を用いたが、Y、Al、Siから選択する1種以上の元素を含む有機金属化合物であるアルコラート溶液、例えばイットリウム・アルミニウム有機金属化合物、イットリウム・シリコン有機金属化合物等の溶液を、耐還元性組成物の前駆体の固着に用いることができる。
【0091】
さらに、耐還元性組成物の前駆体として有機金属化合物を用いたが、Y、Al、Siから選択する1種以上の元素を含む化合物、例えば硝酸塩、塩化物塩、酢酸塩、しゅう酸塩等を前駆体として用い、これらの溶液を前記耐還元性組成物の前駆体の固着に用いることができる。
また、上記実施例1〜10では、耐還元性組成物の形成方法として、湿式製造プロセスの代表であるディップコーティングを説明したが、サーミスタ部表面に耐還元性組成物の形成されたサーミスタ素子を得るためには、耐還元性組成物の形成方法は問わない。
【0092】
湿式製造プロセスとしては例えば、スプレー吹付、溶射、塗布、印刷、メッキ、電気泳動法等によって、耐還元性組成物を形成するか、または、耐還元性組成物の前駆体を形成して焼成等により耐還元性組成物を形成することでサーミスタ素子を得ることができる。
また、乾式製造プロセスとしては例えば、電子ビーム蒸着、スパッタリング等のPVD法(物理的蒸着法)、CVD法(化学的滋養着法)等によって、耐還元性組成物を形成するか、または、耐還元性組成物の前駆体を形成して焼成等により耐還元性組成物を形成することでサーミスタ素子得ることができる。
【0093】
なお、耐還元性組成物の膜厚は、各製造プロセスの操作条件により任意に設定できる。
また、上記実施例1〜10では、焼成工程の後にサーミスタ部の表面に耐還元性組成物を形成したが、図1に示す製造工程の金型成型(成形工程)後のサーミスタ部の成形体に、耐還元性組成物の前駆体を付与し、同時に焼成することでその表面に耐還元性組成物を形成したサーミスタ素子を得ることができる。
【0094】
さらには、図1に示す製造工程の金型成型後、サーミスタ部の成形体を1200〜1400℃で仮焼成してサーミスタ部の仮焼成体を得、このサーミスタ部の仮焼成体に耐還元性組成物の前駆体を付与して焼成することで、その表面に還元性組成物を形成したサーミスタ素子を得ることもできる。
また、耐還元性組成物のサーミスタ素子への付着強度を高めるために、湿式製造プロセスの方法や乾式製造プロセスの方法でサーミスタ部表面に第1次層(プライマ層)を形成し、次いで上記の湿式製造プロセスの方法や乾式製造プロセスの方法によって、上記第1次層表面全体に第2次層である耐還元性組成物を形成したサーミスタ素子においても、上述と同様の効果が得られる。
【0095】
第1次層については、耐還元性組成物Y2 3 、Al2 3 、SiO2 、Y3 Al5 12(YAG)、3Al2 3 ・2SiO2 (ムライト)、Y2 SiO5 等の組成比、前駆体溶液の濃度、サーミスタ部へのぬれ性または各製造プロセスの操作条件等により任意に選択、制御できる。
さらには、熱膨張率、熱伝導率、耐熱性の機能を追加・付与するため、上記の第1次層及び第2次層に他の材料を添加したり、添加材料との複合化が可能でありこの複合化により得られるサーミスタ素子においても上述と同様の効果が得られる。
【0096】
なお、上記各例のサーミスタ素子を用いた図1の温度センサ100において、金属キャップ2が無いセンサ構成としてもよい。
以上述べてきたように、本発明のサーミスタ素子は、還元雰囲気にあるサーミスタ素子においてサーミスタ部から素子外部への酸素原子の移動を抑制することに着目して、サーミスタ部の表面に耐還元性組成物を形成した素子構成とし、それによって、サーミスタ素子自身の還元を抑え、抵抗値安定性を実現したものである。
【0097】
それ故、本発明のサーミスタ素子においては、素子抵抗を安定化するために熱エージングを行うことや、高価な特殊金属材料のキャップを用いることを不要とし、抵抗変化率ΔRが小さく安定した特性を持つ温度センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るサーミスタ素子の概略断面構成図である。
【図2】図2のサーミスタ素子を用いた温度センサの断面構成図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】本発明の実施例1〜5のサーミスタ素子の製造工程図である。
【図5】上記実施例1〜5のサーミスタ素子の抵抗特性を示す図表である。
【図6】本発明の実施例6〜10のサーミスタ素子の製造工程図である。
【図7】上記実施例6〜10のサーミスタ素子の抵抗特性を示す図表である。
【図8】比較例1及び2のサーミスタ素子の抵抗特性を示す図表である。
【符号の説明】
1…サーミスタ素子、11、12…リード線、13…サーミスタ部、
14…耐還元性被膜。

Claims (6)

  1. サーミスタ材料からなるサーミスタ部(13)と、このサーミスタ部(13)の表面に形成された耐還元性組成物からなる耐還元性被膜(14)とを有し、
    前記サーミスタ部(13)は、混合焼結体(M1M2)O 3 ・Y 2 3 または(M1M2)O 3 ・Al 2 3 からなるもので、前記M1がMg、Ca、Sr、Ba、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Yb、Scから選択する1種以上の元素であり、前記M2がZn、Al、Ga、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptから選択する1種以上の元素であり、
    前記耐還元性組成物は、Y 2 3 、Al 2 3 、SiO 2 、Y 3 Al 5 12 、3Al 2 3 ・2SiO 2 (ムライト)およびY 2 SiO 5 から選択する1種以上の組成物であることを特徴とするサーミスタ素子。
  2. 前記耐還元性組成物は、Y、Al、Siから選択する1種以上の元素を含む金属アルコキシドを用いた有機金属化合物を前駆体として前記サーミスタ部(13)の表面に固着させた後、焼成することにより形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載のサーミスタ素子。
  3. 900℃以上の温度にて用いられることを特徴とする請求項1または2に記載のサーミスタ素子。
  4. サーミスタ材料からなるサーミスタ部(13)の表面に、耐還元性組成物からなる耐還元性被膜(14)を形成してなるサーミスタ素子を製造する方法であって、
    前記サーミスタ部(13)は、混合焼結体(M1M2)O 3 ・Y 2 3 または(M1M2)O 3 ・Al 2 3 からなるもので、前記M1がMg、Ca、Sr、Ba、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Yb、Scから選択する1種以上の元素であり、前記M2がZn、Al、Ga、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptから選択する1種以上の元素であり、
    前記耐還元性組成物の前駆体としてY、Al、Siから選択する1種以上の元素を含む金属アルコキシドを用いた有機金属化合物を前記サーミスタ部(13)の表面に形成して、これを焼成することにより前記サーミスタ部(13)表面に、Y 2 3 、Al 2 3 、SiO 2 、Y 3 Al 5 12 、3Al 2 3 ・2SiO 2 (ムライト)およびY 2 SiO 5 から選択する1種以上の組成物である耐還元性組成物からなる耐還元性被膜(14)を形成する工程を含むことを特徴とするサーミスタ素子の製造方法。
  5. 前記有機金属化合物を含む溶液を用いて前記サーミスタ部(13)表面にディップコーティングを行うことにより、前記耐還元性組成物の前駆体を前記サーミスタ部(13)表面に固着させることを特徴とする請求項に記載のサーミスタ素子の製造方法。
  6. サーミスタ材料からなるサーミスタ部(13)及びこのサーミスタ部(13)の表面に形成された耐還元性組成物からなる耐還元性被膜(14)とを有するサーミスタ素子(1)と、
    前記耐還元性被膜(14)を貫通して設けられ前記サーミスタ部(13)と電気的に導通する一対の電気配線部材(11、12)とを備える温度センサであって、
    前記サーミスタ部(13)は、混合焼結体(M1M2)O 3 ・Y 2 3 または(M1M2)O 3 ・Al 2 3 からなるもので、前記M1がMg、Ca、Sr、Ba、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Yb、Scから選択する1種以上の元素であり、前記M2がZn、Al、Ga、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptから選択する1種以上の元素であり、
    前記耐還元性組成物は、前記サーミスタ材料よりも電気抵抗が大きく電気絶縁性を有するもので、Y 2 3 、Al 2 3 、SiO 2 、Y 3 Al 5 12 、3Al 2 3 ・2SiO 2 (ムライト)およびY 2 SiO 5 から選択する1種以上の組成物であることを特徴とする温度センサ。
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