JP5402553B2 - サーミスタ用金属酸化物焼結体及びサーミスタ素子並びにサーミスタ用金属酸化物焼結体の製造方法 - Google Patents

サーミスタ用金属酸化物焼結体及びサーミスタ素子並びにサーミスタ用金属酸化物焼結体の製造方法 Download PDF

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本発明は、例えば自動車関係等の温度計測に用いられるサーミスタ用金属酸化物焼結体及びサーミスタ素子並びにサーミスタ用金属酸化物焼結体の製造方法に関する。
一般に、自動車エンジン周りの触媒温度や排気系温度等を計測する温度センサとして、サーミスタ温度センサが採用されている。このサーミスタ温度センサに用いられるサーミスタ素子は、例えば、上記自動車関連技術、情報機器、通信機器、医療用機器、住宅設備機器等の温度センサとして利用され、大きな負の温度係数を有する酸化物半導体の焼結体の素子を用いている。
従来、種々の金属酸化物焼結体からなるサーミスタ素子が用いられているが、代表的な材料として、例えば、特許文献1,2及び非特許文献1に記載されているように、Y(Cr,Mn)O系ペロブスカイト酸化物が挙げられる。
特許第3362651号公報 特許第3776691号公報
倉野、「NOx触媒制御用触媒温センサの開発」、デンソーテクニカルレビュー、Vol.5、No.2、2000
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
自動車エンジン周りの触媒温度等を測定するには、1000℃付近の高温まで測定可能なサーミスタ素子が求められるが、このような高温用サーミスタに重要な特性として、高温での抵抗値変化が少ないことが挙げられる。しかしながら、上記従来の材料では高温保持試験において抵抗値低下が5%程度あり、用途によっては使用できない場合があった。
特に、実装時にサーミスタ素子を収納するキャップ部材に使用されるステンレス鋼等が高温で酸化され易く、キャップ部材の内面が酸化されて気密に封止した内部の酸素濃度を低下させてしまうと共に、サーミスタ素子から酸素を奪って還元を引き起こし、サーミスタ特性が不安定になってしまう不都合があった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、1000℃付近の高温でも還元による抵抗値変化が小さく信頼性の高いサーミスタ用金属酸化物焼結体及びサーミスタ素子並びにサーミスタ用金属酸化物焼結体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ペロブスカイト型酸化物(ABO)について、鋭意、研究を進めたところ、絶縁体材料であるYを混合して焼結させたペロブスカイト型酸化物では、表面に析出されるY層の厚さが一定値以上である場合に抵抗値変化が抑制されることを見出した。
したがって、本発明は、上記知見から得られたものであり、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
すなわち、本発明のサーミスタ用金属酸化物焼結体は、サーミスタに用いられる金属酸化物焼結体であって、一般式:(1−z)ABO+zY(ただし、ABOはペロブスカイト型酸化物、0<z≦0.8)で示される複合酸化物焼結体部の表面に層厚が3μm以上のY層が形成されていることを特徴とする。
このサーミスタ用金属酸化物焼結体では、一般式:(1−z)ABO+zY(ただし、ABOはペロブスカイト型酸化物、0<z≦0.8)で示される複合酸化物焼結体部の表面に層厚が3μm以上のY層が形成されているので、複合酸化物焼結体部から酸素が還元によって奪われることを表面の厚いY層が抑制して、抵抗値変化を抑えることができる。
また、本発明のサーミスタ用金属酸化物焼結体は、前記複合酸化物焼結体部が、一般式:(1−z)Y(Cr1−xMn)O+zY(ただし、0.0≦x≦1.0、0<z≦0.8)で示されるものであることを特徴とする。
また、本発明のサーミスタ用金属酸化物焼結体は、前記複合酸化物焼結体部が、一般式:(1−z)(Y1−yLa)(Cr1−xMn)O+zY(ただし、0.0≦x≦1.0、0.0≦y≦1.0、0<z≦0.8)で示されるものであることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタ用金属酸化物焼結体では、複合酸化物焼結体部が、一般式:(1−z)(Y1−yLa)(Cr1−xMn)O+zY(ただし、0.0≦x≦1.0、0.0≦y≦1.0、0<z≦0.8)で示されるものであるので、Cr,Mn系ペロブスカイト型酸化物としてAサイトにLaが配され、抵抗値変化に影響を及ぼす原因であるペロブスカイト型酸化物への酸素の出入りが少なくなると共に、絶縁体材料として添加されたYにより、抵抗値変化率をさらに抑制することができる。
本発明のサーミスタ素子は、上記本発明のサーミスタ用金属酸化物焼結体と、前記サーミスタ用金属酸化物焼結体に一端が接続された少なくとも一対のリード線と、を有することを特徴とする。
本発明のサーミスタ用金属酸化物焼結体の製造方法は、サーミスタに用いられる金属酸化物焼結体の製造方法であって、原料粉末を混合し焼成して、一般式:(1−z)ABO+zY(ただし、ABOはペロブスカイト型酸化物、0<z≦0.8)で示される複合酸化物焼結体部を得る焼成工程を備え、該焼成工程で、大気中で焼成温度を1550℃以上とし、焼成時間を10時間以上とし、焼成後の室温までの冷却時間を6時間以上として前記焼成を行い、前記複合酸化物焼結体部の表面にY層を形成すること特徴とする。
すなわち、このサーミスタ用金属酸化物焼結体の製造方法では、焼成工程において、大気中で焼成温度を1550℃以上とし、焼成時間を10時間以上とし、冷却時間を6時間以上として焼成を行い、複合酸化物焼結体部の表面にY層を形成するので、層厚が3μm以上のY層を複合酸化物焼結体部の表面に析出させることができる。
また、本発明のサーミスタ用金属酸化物焼結体の製造方法は、サーミスタに用いられる金属酸化物焼結体の製造方法であって、原料粉末を混合し焼成して、一般式:(1−z)ABO+zY(ただし、ABOはペロブスカイト型酸化物、0<z≦0.8)で示される複合酸化物焼結体部を得る焼成工程を備え、該焼成工程で、大気中で焼成温度を1550℃以上とし、焼成時間を5時間以上とし、焼成後の室温までの冷却時間を24時間以上として前記焼成を行い、前記複合酸化物焼結体部の表面にY層を形成することを特徴とする。
すなわち、このサーミスタ用金属酸化物焼結体の製造方法では、焼成工程において、大気中で焼成温度を1550℃以上とし、焼成時間を5時間以上とし、冷却時間を24時間以上として焼成を行い、複合酸化物焼結体部の表面にY層を形成するので、層厚が3μm以上のY層を複合酸化物焼結体部の表面に析出させることができる。
また、本発明のサーミスタ用金属酸化物焼結体の製造方法は、サーミスタに用いられる金属酸化物焼結体の製造方法であって、原料粉末を混合し焼成して、一般式:(1−z)ABO+zY(ただし、ABOはペロブスカイト型酸化物、0<z≦0.8)で示される複合酸化物焼結体部を得る焼成工程を備え、該焼成工程で、大気中で焼成温度を1570℃以上とし、焼成時間を5時間以上とし、焼成後の室温までの冷却時間を6時間以上として前記焼成を行い、前記複合酸化物焼結体部の表面にY層を形成することを特徴とする。
すなわち、このサーミスタ用金属酸化物焼結体の製造方法では、焼成工程において、大気中で焼成温度を1570℃以上とし、焼成時間を5時間以上とし、冷却時間を6時間以上として焼成を行い、複合酸化物焼結体部の表面にY層を形成するので、層厚が3μm以上のY層を複合酸化物焼結体部の表面に析出させることができる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るサーミスタ用金属酸化物焼結体及びそのサーミスタ用金属酸化物焼結体の製造方法によれば、一般式:(1−z)ABO+zY(ただし、ABOはペロブスカイト型酸化物、0<z≦0.8)で示される複合酸化物焼結体部の表面に層厚が3μm以上のY層が形成されているので、複合酸化物焼結体部から酸素が還元によって奪われることを表面のY層が抑制して、抵抗値変化を抑えて、良好な耐熱性及び耐還元性を得ることができる。
したがって、本発明のサーミスタ素子は、高温域での経時変化が小さく低温域から高温域までの広範囲で十分な測定精度が得られ、特に自動車エンジン周りの触媒温度や排気系温度を検出する高温測定用センサとして好適である。
本発明に係るサーミスタ用金属酸化物焼結体及びサーミスタ素子並びにサーミスタ用金属酸化物焼結体の製造方法の一実施形態において、サーミスタ用金属酸化物焼結体の要部断面を模式的に示す図である。 本実施形態において、サーミスタ素子を示す斜視図である。 本実施形態において、サーミスタ温度センサを示す断面図である。 本発明に係る実施例において、Y層の膜厚に対する1000℃窒素アニール後の抵抗値上昇率を示すグラフである。
以下、本発明に係るサーミスタ用金属酸化物焼結体及びサーミスタ素子並びにサーミスタ用金属酸化物焼結体の製造方法の一実施形態を、図1から図3を参照しながら説明する。
本実施形態のサーミスタ用金属酸化物焼結体1は、サーミスタに用いられる金属酸化物焼結体であって、図1に示すように、一般式:(1−z)ABO+zY(ただし、ABOはペロブスカイト型酸化物、0<z≦0.8)で示される複合酸化物焼結体部2の表面に層厚が3μm以上のY層3が形成されている。また、Y層3の層厚は、10μm以下であることが好ましい。
なお、図1において、白丸はY結晶粒A、黒丸はペロブスカイト型酸化物の結晶粒Bを模式的に示したものである。
例えば、このサーミスタ用金属酸化物焼結体1は、複合酸化物焼結体部2が、一般式:(1−z)Y(Cr1−xMn)O+zY(ただし、0.0≦x≦1.0、0<z≦0.8)で示されるものであり、特に、複合酸化物焼結体部2が、一般式:(1−z)(Y1−yLa)(Cr1−xMn)O+zY(ただし、0.0≦x≦1.0、0.0≦y≦1.0、0<z≦0.8)で示されるものであることが好ましい。
このサーミスタ用金属酸化物焼結体の製造方法及びこれを用いたサーミスタ素子及びサーミスタ温度センサの製造方法及び構造について、図1から図3を参照して以下に説明する。
まず、Laを予め600〜1100℃の温度で熱処理する。例えば、Laの粉末を1000℃、2時間にて加熱、乾燥し、残っている水酸化物を、Laに再生する。また、Laの原料調合は、加熱後2〜3時間以内のもの、もしくは加熱後2〜3日乾燥ボックスにて保存したものを使用する。次に、La、Y、Cr及びMnOの各粉末を秤量後にボールミルに入れ、Zrボールとエタノールとを適量入れて約24時間混合を行う。
上記混合したものを取り出して乾燥させた後、1100℃、5時間にて焼成し、例えば上記一般式においてx=0.4,y=0.5とされたY0.5La0.5(Cr0.6Mn0.4)Oの仮焼粉を得る。この仮焼粉と新たにYの粉末とを秤量し、Zrボールとエタノールとを用いてボールミルで粉砕、混合した後、乾燥させる。
次に、PVA(ポリビニルアルコール、10wt%水溶液)を5wt%加えて混合し、乾燥させて混合仮焼粉とする。この乾燥したものを、開口径60μmの篩を通して造粒し、2穴式金型で軽く成型した後、図2に示すように、φ0.3mmの白金線である一対のリード線4の一端を挿入する。その後、一軸加圧成型(1000kg/cm)を行い、リード線4を混合仮焼粉の粉末内に埋め込み固定させる。
次に、脱バインダー処理後、大気中で焼成温度を1550℃以上とし、焼成時間を10時間以上とし、焼成後の室温までの冷却時間を6時間以上として焼成を行い、混合仮焼粉を複合酸化物焼結体部2とすると共に複合酸化物焼結体部2の表面にY層3を形成する焼成工程を行う。
別の焼成条件としては、脱バインダー処理後、大気中で焼成温度を1550℃以上とし、焼成時間を5時間以上とし、冷却時間を24時間以上として焼成を行い、混合仮焼粉を複合酸化物焼結体部2とすると共に複合酸化物焼結体部2の表面にY層3を形成する焼成工程を行う。
さらに、別の焼成条件としては、脱バインダー処理後、大気中で焼成温度を1570℃以上とし、焼成時間を5時間以上とし、冷却時間を6時間以上として焼成を行い、混合仮焼粉を複合酸化物焼結体部2とすると共に複合酸化物焼結体部2の表面にY層3を形成する焼成工程を行う。
これらにより、層厚が3μm以上のY層3を複合酸化物焼結体部2の表面に析出させることができる。
なお、リード線4に白金線を用いた際に、焼成温度が1700℃を超えると白金線の耐久性が悪化してしまうため、焼成工程で、焼成温度を1700℃以下とすることが好ましい。これにより、白金線の耐久性悪化を抑制しつつY層を析出させることができる。
例えば、約1600℃の焼成を5時間行い、その後、6時間かけて室温まで冷却する。
これにより、サーミスタ用金属酸化物焼結体1と2本のリード線4とを有するサーミスタ素子5が得られる。
次に、図3に示すように、サーミスタ用金属酸化物焼結体1の周囲を包み込むように絶縁セラミックス製のチューブ6を嵌め込む。さらに、アルミナ製の2孔式絶縁管7の各孔7aに2本のリード線4をそれぞれ挿通し、リード線4を根本まで2孔式絶縁管7で保護する。その後、この状態のサーミスタ素子5を先端部が閉塞された円筒状ステンレス製のケース8に入れ、密閉性を確保することにより、サーミスタ温度センサ9が得られる。
このように本実施形態では、一般式:(1−z)ABO+zY(ただし、ABOはペロブスカイト型酸化物、0<z≦0.8)で示される複合酸化物焼結体部2の表面に層厚が3μm以上のY層3が形成されているので、複合酸化物焼結体部2から酸素が還元によって奪われることを表面のY層3が抑制して、抵抗値変化を抑えることができる。
なお、Y層3の層厚を3μm以上としたのは、3μm未満であると、Y層3による上記抑制の効果が十分に発揮されないためである。また、Y層3の層厚は、10μm以下とすることが好ましい。これは、Y層3の層厚が、10μmを超えても上記抑制の効果がほとんど変わらないためであり、必要以上に焼成時間等が長くなることを防ぎ、生産効率を低下させないためである。
また、複合酸化物焼結体部2が、一般式:(1−z)(Y1−yLa)(Cr1−xMn)O+zY(ただし、0.0≦x≦1.0、0.0≦y≦1.0、0<z≦0.8)で示されるものであるので、Cr,Mn系ペロブスカイト型酸化物としてAサイトにLaが配され、抵抗値変化に影響を及ぼす原因であるペロブスカイト型酸化物への酸素の出入りが少なくなると共に、絶縁体材料として添加されたYにより、抵抗値変化率をさらに抑制することができる。
さらに、AサイトにYを配し、添加された絶縁体材料と同元素を含むペロブスカイト酸化物を作製することによって、(Y1−yLa)(Cr1−xMn)OとYの焼成が助長され、高密度、かつ酸素の出入りが少なくなる材料がもたらされる。さらに、絶縁体材料として添加されたYが表面に析出されることにより、還元による抵抗値変化を抑制することができる。
また、上記焼成工程において、大気中で焼成温度を1550℃以上とし、焼成時間を10時間以上とし、焼成後の室温までの冷却時間を6時間以上として焼成を行い、複合酸化物焼結体部2の表面にY層3を形成するので、層厚が3μm以上のY層3を複合酸化物焼結体部2の表面に析出させることができる。
また、別の焼成条件として、大気中で焼成温度を1550℃以上とし、焼成時間を5時間以上とし、焼成後の室温までの冷却時間を24時間以上として焼成を行い、複合酸化物焼結体部の表面にY層を形成することで、層厚が3μm以上のY層を複合酸化物焼結体部の表面に析出させることができる。
さらに、別の焼成条件として、大気中で焼成温度を1570℃以上とし、焼成時間を5時間以上とし、焼成後の室温までの冷却時間を6時間以上として焼成を行い、複合酸化物焼結体部の表面にY層を形成することで、層厚が3μm以上のY層を複合酸化物焼結体部の表面に析出させることができる。
すなわち、複合酸化物焼結体部2内のYは、絶縁性材料として電気伝導経路を少なくして見かけの電気抵抗を上げるために添加されているが、焼成温度、焼成時間及び冷却時間を上記のように制御することで、表面に保護膜として十分な層厚のY層3を析出させることができる。
次に、本発明に係るサーミスタ用金属酸化物焼結体及びサーミスタ素子並びにサーミスタ用金属酸化物焼結体の製造方法を、実際に作製した実施例により評価した結果を、図4を参照して具体的に説明する。
上記実施形態に従って、複合酸化物焼結体部2が0.5(Y0.8La0.2)(Cr0.6Mn0.4)O+0.5Yとなる原料組成で、サーミスタ用金属酸化物焼結体1を作製する際、焼成工程において、焼成温度、焼成時間及び冷却時間(焼成後の室温までの冷却時間)を変えて複数の実験サンプルを実施例として作製した。また、本発明の焼成条件から外れた焼成温度、焼成時間又は冷却時間で焼成した比較例についても、同様に作製した。これら実験サンプルの焼成条件を以下の表1から表3に示す。
なお、析出されたY層3の層厚についても併せて表1から表3に示す。ここで、Y層3の層厚は、外周よりペロブスカイト型酸化物の結晶粒Bが現れ始めるところまでの厚さであり、断面を研磨して電子顕微鏡及び光学顕微鏡の双方を用いて観察して求めたものである。
これら実験サンプルについて、1000℃で3時間、窒素アニールを行った後の25℃の抵抗値を焼成後25℃の初期抵抗値で割った「1000℃窒素アニール後の抵抗値上昇率(倍)」を調べた結果を表1から表3と図4とに示す。
Figure 0005402553
Figure 0005402553
Figure 0005402553
これらの結果からわかるように、本実施例では、焼成温度1550℃以上、焼成時間10時間以上、かつ冷却時間6時間以上の場合と、焼成温度1550℃以上、焼成時間5時間以上、かつ冷却時間24時間以上の場合と、焼成温度1570℃以上、焼成時間5時間以上、かつ冷却時間6時間以上の場合と、でY層3が3μm以上析出されており、このとき1000℃窒素アニール後の抵抗値上昇率が比較例に比べて大幅に低減されて4倍未満となっている。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
1…サーミスタ用金属酸化物焼結体、2…複合酸化物焼結体部、3…Y層、4…リード線、5…サーミスタ素子、8…ケース、9…サーミスタ温度センサ

Claims (5)

  1. サーミスタに用いられる金属酸化物焼結体であって、
    一般式:(1−z)ABO+zY(ただし、ABOはペロブスカイト型酸化物、0<z≦0.8)で示される複合酸化物焼結体部の表面に層厚が3μm以上のY層が形成され
    前記複合酸化物焼結体部が、一般式:(1−z)(Y 1−y La )(Cr 1−x Mn )O +zY (ただし、0.0≦x≦1.0、0.0<y≦1.0、0<z≦0.8)で示されるものであることを特徴とするサーミスタ用金属酸化物焼結体。
  2. 請求項に記載のサーミスタ用金属酸化物焼結体と、
    前記サーミスタ用金属酸化物焼結体に一端が接続された少なくとも一対のリード線と、を有することを特徴とするサーミスタ素子。
  3. サーミスタに用いられる金属酸化物焼結体の製造方法であって、
    原料粉末を混合し焼成して、一般式:(1−z)ABO+zY(ただし、ABOはペロブスカイト型酸化物、0<z≦0.8)で示される複合酸化物焼結体部を得る焼成工程を備え、
    該焼成工程で、大気中で焼成温度を1550℃以上とし、焼成時間を10時間以上とし、焼成後の室温までの冷却時間を6時間以上として前記焼成を行い、前記複合酸化物焼結体部の表面にY層を形成することを特徴とするサーミスタ用金属酸化物焼結体の製造方法。
  4. サーミスタに用いられる金属酸化物焼結体の製造方法であって、
    原料粉末を混合し焼成して、一般式:(1−z)ABO+zY(ただし、ABOはペロブスカイト型酸化物、0<z≦0.8)で示される複合酸化物焼結体部を得る焼成工程を備え、
    該焼成工程で、大気中で焼成温度を1550℃以上とし、焼成時間を5時間以上とし、焼成後の室温までの冷却時間を24時間以上として前記焼成を行い、前記複合酸化物焼結体部の表面にY層を形成することを特徴とするサーミスタ用金属酸化物焼結体の製造方法。
  5. サーミスタに用いられる金属酸化物焼結体の製造方法であって、
    原料粉末を混合し焼成して、一般式:(1−z)ABO+zY(ただし、ABOはペロブスカイト型酸化物、0<z≦0.8)で示される複合酸化物焼結体部を得る焼成工程を備え、
    該焼成工程で、大気中で焼成温度を1570℃以上とし、焼成時間を5時間以上とし、焼成後の室温までの冷却時間を6時間以上として前記焼成を行い、前記複合酸化物焼結体部の表面にY層を形成することを特徴とするサーミスタ用金属酸化物焼結体の製造方法。
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