JP3923748B2 - 軒先カバー板及び軒先の納まり構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として寒冷地の家屋の軒先に取り付けられるカバー板と、これを用いて軒先を納める構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
積雪量が多い寒冷地の家屋は、外壁から軒先までの距離を大きくとることができないため、図9に示すとおり、屋根材12の先端をできるだけ外方に突出させて雪や雨が外壁から離れた位置に落ちるように設けられ、外壁が雪や雨によって、汚れる被害を防止していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
屋根材12の先端は、その裏面に板材15を取付固定して補強されてはいるが、降雪により屋根に積もった雪の荷重に対しては、強度上問題がある。また、凍てついて固まった雪が、屋根材の先端から落ちるとき、変形してしまうこともある。
【0004】
また、図10に示すとおり、屋根材の先端を固定するスターター16は、軒先カバー板14と分離しており、屋根材の先端を固定するため、スターター16を横板13に釘で固定していた。このため、部品が多く施工が複雑であり、部品間の重なり部分の隙間から雨水が屋内に入り込む問題も生じている。
【0005】
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑み、軒先カバー板を取り付けた軒先の剛性を高めるとともに、当該部分を屋根と一体感の有る外観なものに構成し、併せて簡易に施工ができる構造とすることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の軒先カバー板は、軒先の横板に取付固定されて外装壁面を形成する軒先カバー板であって、軒前方へ折れた上端を屋根材の先端に係合させて横板上部に接合して固定されるスターター部と、スターター部から下方傾斜或いは下方に湾曲しながら軒前方へ突出していて横板前面を被覆する膨出面部と、膨出面部下端の突出端から棟側へ斜め上方に折れた水切り面部と、水切り面部に連なって棟側へ延びていて横板下面を被覆する折返面部と、折返面部の端部から上方へ折れていて横板下面に接合して固定される取付面部と、前記折返面部の端部と取付面部との間に設けられていて軒天井の端部が嵌る軒前方へ凹んだ凹部とを有して一体に形成されている。
【0007】
これによれば、屋根から軒先に流れ落ちる雨水や雪解け水は、軒先カバー板の膨出面部を伝い、軒外方の家屋の外壁から離れた位置に滴下する。膨出面部の突出下端には水切り面部が設けてあるので、当該端部よりも棟側に雨水等が滴下することはない。よって、外壁に、雨水等が直接かかったり、滴下した雨水等の泥はねが付着したりするようなことはなく、雨水等により外壁が汚れることを防止できる。また、取り付け面である横板前面と膨出面部内面間の空隙に補強材を装填することができ、これにより、軒先カバー板の剛性が高まり、固まった雪が、カバー板上面に落ちても変形したり、破損したりし難くなる。
【0008】
前記構成の軒先カバー板において、水切り面部は、折返面部の先端に、カバー板の長手方向に連続して伸び、棟側斜め上方に折れた面を設けた構成とする。水切り面部は、膨出面部の突出下端から棟側に水が伝わらないよう、前記突出端を折返面部の境界を軒側上方へ折れた部分を有して構成される。
【0009】
また、本発明の軒先の納まり構造は、前記構成のカバー板を用い、これを軒先に取付固定して屋根材よりも外方に突出させ、軒先カバー板の凹部に軒天井の端部を嵌めて取り付けることにより、軒先に外装壁面を形成してなるものである。
【0010】
前記軒先の納まり構造は、好ましくは、軒先に固定した横板前面に補強材を重合固定してから軒先カバー板を取付固定する。このように納めた軒先は、カバー板の剛性が高くなるとともに、屋根と一体感のあるすっきりとした外観形状のものとなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施の形態を図面を参照して説明する。
図1〜図2は、本発明の軒先カバー板の第1実施形態、図3は第2実施形態、図4及び図5は第3実施形態、図6は第4実施形態、図7は第5実施形態をそれぞれ示している。各形態の軒先カバー板は、例えば表面を塩化ビニル樹脂で被覆した鋼板などの長尺金属板を用い、これを板金加工により折り曲げて形成されている。
【0012】
第1実施形態の軒先カバー板1は、図1に示されるように、軒先に固定された状態で横板上部から下方に傾斜して、軒外方へ突出する膨出面部2と、その下端の突出端3から棟側に折り返された折返面部4を有し、折返面部4には前記突出端3に連ねて水切り面部5を有して断面略傾きU字状に形成されている。
詳しくは、膨出面部2は、屋根の下から下方に傾斜した傾斜面部2aと、傾斜面部2aの外端部から鉛直下方に折れた側面部2bからなっていて軒先の横板7前面を被覆する形状、及び大きさに設けてある。
折返面部4は、膨出面部2の下端から棟側に折れているとともに、端部に上方に折れた取付面部4aを設けて、前記横板7の下面を被覆する形状及び大きさに設けてある。
取付面部4aは横板7の下面に接合して固定されるようになっている。また、折返面部4の端部と取付面部4aの間に後述する軒天井17の端部が嵌る、軒前方へ凹んだ凹部4bを設けてある。
水切り面部5は、突出端3と連なる折返面部4の先端部を棟側斜め上方へ折り曲げ、カバー板の長手方向に連続して伸びた凹部としてある。
膨出面部2の上部には、傾斜面部2aの上端から鉛直上方へ伸び、上端を前記傾斜面部2aと平行に前方へ折り曲げてなる、屋根材の先端に係合するスターター部6が一体に設けられている。
このように形成された軒先カバー板1は、図2に示されるように、軒先に固定された横板7の鉛直な前面に補強板8を重合固定して、屋根材12よりも外方に突出させた軒先に取り付けられ、屋根材12と一体の外装壁面を構成する。
詳しくは、屋根材12に対して直交した軒先の縁に、断面三角形状の横板7を固定して横板7の前面を鉛直な面とし、さらに、その前面に補強板8を一体に固着して、軒先を屋根材12よりも外方に張り出し、その外面に軒先カバー板1を被せ、補強板8と一体化した横板7の前面及び下面が軒先カバー板1で覆われるように設けてある。
軒先カバー板1の取り付けは、スターター部6を屋根材12の先端に係合させてからカバー板を軒先に覆い被せ、横板7に接合して重なり合うスターター部6と取付面部4aに釘を打ち込んで固定し、凹部4bに軒天井17の端部を嵌めて取り付けることにより行われる。補強板8は、軒先カバー板1と横板7との間隙が埋まるように配置されている。
【0013】
第2実施形態の軒先カバー板1は、図3に示されるように、前記形態と同様、膨出面部2、折返面部4、水切り面部5及びスターター部6の各面部を有して形成され、水切り面部5を、膨出面部2の突出端3から内側上方へ傾斜させ、水平面の折返面部4へと連続させる形状としてある。
【0014】
第3実施形態の軒先カバー1は、図4に示されるように、前記形態と同様に膨出面部2、折返面部4、水切り面部5及びスターター部6を有して形成されているが、膨出面部2を、横板上部から突出端3まで連続して下方に傾斜した形状に設けたものである。この形態の軒先カバー板1は、図5に示されるように、連続傾斜した膨出面部2の内側に、略重合する形状の補強板8を横板7に固定し、その外側面に被せて軒先に取り付けられる。
【0015】
第4実施形態の軒先カバー板1は、図6に示されるように、前記形態と同様に膨出面部2、折返面部4、水切り面部5及びスターター部6を有して形成されているが、膨出面部2長手方向に連なる凸部2cを設けて形成したものである。このような形状としても、機能的には同一である。
【0016】
第5実施形態の、折返面部4に凹部を設けず、膨出面部2の傾斜に沿い下方に突出させた突出端片3を水切り面部5としたものである。
【0017】
各形態の軒先カバー板1によれば、膨出面部2が、横板7の上部から下方へ傾斜し、その突出端3は、外壁から離れたところで棟側に折れる形状をしている。この形状とすることにより、屋根上に降った雨や雪解け水などは、図3及び図5に示した矢印の方向、つまり、屋根材12の先端から膨出面部2表面を通り、突出端3から落ちることとなる。よって、外壁から離して雨水を落とすことができる。外壁から離して落とせることにより、雨水や雪解け水が外壁に直接かかることも少なくなり、また、地面に落ちた雨水等による泥はねによって汚れることも少なくなる。
【0018】
軒先カバー板1の折返面部4には、その先端に水切り面部5が設けられてあるので、軒先カバー板1表面を伝う雨水等は、軒先カバー板1の突出端3から内側へ回り込もうとしても、水切り面部5によって、内側へ伝わらず、軒先カバー板1の突出端3から滴下することとなる。
これにより、雨水等を外壁から離した位置に確実に落とすことができる。
【0019】
また、軒先カバー板1を取り付けるにあたり、軒先カバー板1の内側には断面三角形状の横板7と補強板8が設置される。断面三角形状の横板7を設置することにより、従来例と比較して、より大きな荷重に対し耐え得る構成となり、また、軒先カバー板1の内側にも補強板8が装填されることにより、上方からかかる荷重に対する強度が高まる。これにより、大雪で屋根に多くの雪が積もったとしても、その荷重に耐えられ、軒先の破損の発生が少なくなる。
また、軒先カバー板1が屋根材12と一体化されるので固まった雪が落ちてきた場合でも、屋根材12の先端が変形することがなくなり、軒先カバー板1自体も内部に設置された補強板8で剛性を高くしてあるため変形しないですむ。
【0020】
軒先カバー板1の上部には、スターター部6が一体化して形成してあるので、従来に比べ、釘を打つなどの施工工程を簡略化でき、また、部品の数が減ることによりコストの削減ともなる。
【0021】
図8は、前記構成の軒先カバー板1を用いて軒先を納める場合の施工工程を示している。軒先カバー板1を軒先全周にわたり固定するときは、入隅、出隅の部分には、その形状に合うよう、それぞれ入隅カバー9、出隅カバー10を設置し、軒先が長い部分には、内継手カバー11を用いて軒先カバー板を継ぐようにして取り付けられる。
【0022】
軒先全周に軒先カバー板1を設けることにより、壁の全面にわたり汚れを防ぐことができる。
軒先カバー板1は、家屋の外側に取り付けるため、人目に多く触れる部位であるが、本発明の軒先カバー板1を用いれば、屋根材12と一体化した、すっきりとした外観の壁面を軒先に形成することができる。
【0023】
なお、図示した軒先カバー板は一例であり、本発明はこれに限定されない。例えば、膨出面部を湾曲した面形状としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の軒先カバー板の斜視図である。
【図2】 図1のカバー板が取り付けられた軒先の断面図である。
【図3】 第2実施形態の軒先カバー板の斜視図(A)と側面図(B)である。
【図4】 第3実施形態の軒先カバー板の斜視図である。
【図5】 図4のカバー板が取り付けられた軒先の断面図である。
【図6】 第4実施形態の軒先カバー板の斜視図(A)と側面図(B)である。
【図7】 第5実施形態の軒先カバー板の斜視図(A)と側面図(B)である。
【図8】 軒先カバー板を軒先に固定する施工工程を示した斜視図である。
【図9】 従来の軒先の断面図である。
【図10】 図9に示した構成部材の展開図である。
【符号の説明】
1 軒先カバー板、2 膨出面部、3 突出端、4 折返面部、4a 取付面部、4b 凹部、5 水切り面部、6 スターター部、7 横板、8 補強板、9 入隅カバー、10 出隅カバー、11 内継手カバー、12 屋根材、17 軒天井
Claims (3)
- 軒先の横板に取付固定されて外装壁面を形成する軒先カバー板であって、
軒前方へ折れた上端を屋根材の先端に係合させて横板上部に接合して固定されるスターター部と、
スターター部から下方傾斜或いは下方に湾曲しながら軒前方へ突出していて横板前面を被覆する膨出面部と、
膨出面部下端の突出端から棟側へ斜め上方に折れた水切り面部と、
水切り面部に連なって棟側へ延びていて横板下面を被覆する折返面部と、
折返面部の端部から上方へ折れていて横板下面に接合して固定される取付面部と、
前記折返面部の端部と取付面部との間に設けられていて軒天井の端部が嵌る軒前方へ凹んだ凹部とを有して一体に形成された軒先カバー板。 - 請求項1に記載の軒先カバー板を軒先に取付固定して屋根材よりも外方に突出させ、軒先カバー板の凹部に軒天井の端部を嵌めて取り付けることにより、軒先に外装壁面を形成する軒先の納まり構造。
- 軒先に固定した横板前面に補強材を重合固定して、軒先カバー板を取付固定した請求項2に記載の外装壁面を形成する軒先の納まり構造。
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