JP3923614B2 - 支持力強化用基礎杭 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基礎杭の突出穴に突起部材を挿入して突起を地中に形成する支持力強化用基礎杭に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建物又はモニュメントや墓石等の構造物の沈下を防止するために、基礎杭を地中に適数本打ち込むと共に、該基礎杭上に構造物基礎(以下杭基礎という)を載置する基礎杭による沈下防止手段が知られている。
そして、上記のような沈下防止手段として用いられる基礎杭は、一般的にはコンクリート製の円柱状の杭が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
然し、従来のような基礎杭は、円柱状のストレートな杭であるため地中における支持力を図る上で、岩盤に到達する程度に長く形成したり或いは径を極めて太く形成して用いられるので、基礎杭が長大になったり重量が大きくなる欠点があると共に取扱いが困難でコスト高になる等の問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の支持力強化用基礎杭は、第1に、基礎杭1外周に支持力強化用の突起2aを突出させるものにおいて、周壁に上記突起2aを突出させる突出穴1aを設けた管状の基礎杭1と、該基礎杭1の内周側より上記突出穴1aを介して外周側に突起2aとして突出させる突起部材2とを設け、基礎杭1の管の内部に同心的に内管5を設け、基礎杭1と内管5との間を突起部材2を収容する収容空間Hとし、基礎杭1と内管5を地中に挿入し突起部材2の突起2aを突出させたのち、内管5を抜き取って構成したことを特徴としている。
【0005】
第2に、基礎杭1の管の内部空間断面の全部又は外周側の収容空間Hをリング状に覆う先端シュー6を設けてなることを特徴としている。
【0006】
第3に、基礎杭1と内管5の先端側に、基礎杭1と内管5の間隔を保持するスペーサ6を設けたことを特徴としている。
【0007】
第4に、基礎杭1の突出穴1aに突起部材2の外側への突出を案内する案内部材3を設けたことを特徴としている。
【0008】
第5に、基礎杭1と内管5で形成される収容空間Hの内部に充填部材9を投入し又は投入しないで、内管5の内部の土を締め固めることを特徴としている。
【0009】
第6に、基礎杭1の内部に充填部材9を投入し、該充填部材9を基礎杭1に穿設した突出穴1a又は通孔1bから外側の地中に向けて突出させることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図6に示す1は本発明の第1実施形態に係わる基礎杭であり、該基礎杭1は円筒状の管の上下端を開口してなり、その周壁に後述する突起部材2で突起2aを突出させる横長孔状の突出穴1aを、適当間隔を有し下方より上方に向けて螺旋軌跡上に複数穿設すると共に、該突出穴1aにその内周壁側より上記突起2aを外周壁側に突起として突出させる案内部材3を備えて構成している。
これにより、基礎杭1を地中に挿入したとき周壁に形成した複数の突出穴1aから、複数の突起2aが位相を異ならせて放射状に外側の地中内に向けて突出させることにより、突起2a,2a・・はあたかも木の根が張るように基礎杭1を地中において支持し杭支持力を増大することができるようにしている。
【0011】
またこの実施形態における基礎杭1は、図2〜図5に示すように管内部に同心的に固定される小径の内管(内筒)5を内装し、基礎杭1と内管5との間に突起2a形成用の突起部材2を収容する収容空間Hを形成するようにしている。
また両者の下端部にはリング状の先鋭な先端シュー6を設けて、地中への打ち込みを容易に行うようにしている。
図4に示すようにこの先端シュー6は、基礎杭1と内管5の下端を嵌合係止する嵌合溝6a,6bを刻設することによって前記収容空間Hを保持すると共に、内径は内管5のそれと略同形に形成している。また収容空間Hの上方は、次に説明する打込部材7或いは後述する案内部材3によって位置決め保持させるようにしている。
【0012】
基礎杭1の頭部に着脱可能に装着される打込部材7は、縦板を十字状に組み合わせて打込片7aを形成すると共に、その上部に円板状の打込部7bを一体的に形成してなる。
これによって、十字状の打込片7aの縦板部分を、基礎杭1と内管5の上部に十字状に切欠した係合溝1bと5bとに各嵌挿させた状態において、打込部7bをハンマー或いは挿入機器等の打ち込み手段で押圧することにより、基礎杭1と内管5の頭部を損傷させることなく、且つ収容空間Hを維持させながら両者の同時打ち込みを簡単且つ良好に行うようにしている。
尚、上記打ち込み手段は図示例のものに限ることなく他の手段でもよい。
【0013】
次に突起部材2の実施形態を図3,図4において説明する。図示例の突起部材2は、帯状板で直杆状に形成した杆身2bの下部を緩やかに外側に屈曲させながら先鋭に形成することにより前記突起2aを構成するようにしている。
これにより、基礎杭1を単独に又は基礎杭1と内管5とを同時に地中に挿入した状態において、基礎杭1の上方から内周に沿って突起部材2を挿入したとき、突起2aの屈曲した先端が突出穴1a内に適切に入り込んで簡単に位置決めすることができるものであり、この状態から突起部材2を押入すると、突起2aは突出穴1aから外側に屈曲変形しながら地中に突出することできる。
【0014】
従って、複数の突起部材2が基礎杭1内に押入されて突出穴1aから複数の突起2aが放射方向に樹木の根部状に突出することにより、基礎杭1の支持力を高めて沈下及び傾倒等を的確に防止するので、基礎杭1は該突起2aによって良好に補強支持される。
従って、この分支持力強化された基礎杭1は径大化並びに長大化を抑制してコンパクト化を図ることができ製作コストを低減することができると共に、基礎杭1の地中への挿入設置作業を大きな穴掘り等を要することなく簡単に行うことができ、また作業の省力及び低コスト化を図ることができるものである。
【0015】
また図5(A)に示すように、基礎杭1に形成する突出穴1aは、該突出穴1aの上部を切欠して内側に凹入させて得られる凹入片部分を案内部材3になるように形成することにより、基礎杭1に対する案内部材3の設置を簡潔な構成で製作することができると共に、突起部材2の先端を円滑に誘導することができるもである。
また内管5は、上記案内部材3に対向する部位を収容空間H内に向けて突出させることによって補助案内部材3aを形成するとよく、この場合補助案内部材3aによっても突起部材2の案内誘導を良好に行うことができるものである。
【0016】
また上記案内部材3及び補助案内部材3aは収容空間Hの長さに突出させると、基礎杭1と内管5との収容空間Hを保持するスペーサに兼ねることができる等の利点も併有させることができるものである。
尚、案内部材3は上記の実施形態に限ることなく同図(B)に示すように、下り傾斜の斜面を有する案内片3bを、基礎杭1の内側或いは内管5の外側に取り付けることによって、突起部材2の突起2aを突出穴1aに誘導するように設けてもよいものである。
【0017】
次に以上のように構成した支持力強化用基礎杭の使用態様について説明する。 図4に示すように、基礎杭1及び内管5はその頭部に打込部材7を取付けた状態で、該打込部材7を既述した打込手段によって押圧することにより、上記両者の頭部に損傷等を大きく与えることなく収容空間Hを保持しながら、先端シュー6に伝えて地中に所定深さに打込挿入することができる。
また該先端シュー6は基礎杭1と内管5の先端を同心的に支持するスペーサに兼ねているので、収容空間Hの保持を簡潔で廉価な構成を以て行うことができると共に、打込挿入等の施行を良好に行うことができる。
【0018】
次いで、図5に示すように所定深さに挿入された基礎杭1に、収容空間Hを介して突起部材2を挿入すると該突起部材2は、基礎杭1の内周及び内管5の外周で具合よく案内されて、その先端が案内部材3又は補助案内部材3aに誘導される結果、突起2aは突出穴1a内に簡単且つ的確に臨ませることができ、この位置決め姿勢にある突起部材2を上方から打込挿入すると、突起2aは突出穴1aから地中に差し込むように突出するので、順次打込挿入されて基礎杭1の周囲に位相を異ならせて放射方向に突出した突起2a,2a・・は、あたかも樹木が根を張るように基礎杭1の支持力を簡単且つ的確に強化させることができる。
【0019】
そして、図1,図2に示すように上記の態様を以て複数の基礎杭1を地中に設置したのち、該複数の基礎杭1の頭部に跨がって杭基礎(土台)Wを載置すると、杭基礎Wは複数箇所(図示例では4隅か所)を支持されて、その適正姿勢(水平姿勢)を長期間にわたり安定よく保持することができるものである。
また、基礎杭1は突起2aによって支持力が強化する分小径化或いは長さを短くして簡潔な構成で小型化を図ることができると共に、穴掘り作業を敢えて必要としない打込挿入等の簡単な手段で設置されるので、基礎杭1の製作及び運搬や設置工事等を低コストに行うことができる。
【0020】
また上記基礎杭1の施行時に、収容空間Hを利用してその内部に図7で後述する充填手段を以てコンクリート等の充填部材9を供給してもよく、この場合充填部材9は突起2aと共に突出穴1aから突起2aの突出方向に向けて突出するので、突出した充填部材9が固形化すると突起2aの固定及び保護を良好に行うと共に、基礎杭1の支持力の強化を相乗的に向上させることができる等の利点を創出することができる。
【0021】
また基礎杭1の周壁に充填部材9の突出用の通孔1bを複数穿設してもよく、この場合充填部材9を押圧して該通孔1bから外側に突出させ支持力強化用の充填部材9による突起を簡単に形成することができるので、突出された充填部材9によって外周の土を固めることができると共に、張り出して固形化した充填部材9によって基礎杭1の支持力を一層向上させることができるものである。
【0022】
また上記のような施行に際し、基礎杭1の打込挿入が完了されたとき或いは完了直前において突起部材2の突出案内を行ったのちにおいて、内管5は先端シュー6及び基礎杭1と離脱させて上方に引き抜いてもよく、この場合に引き抜き後の基礎杭1内の土は締め固めることにより基礎杭1を良好に安定支持させることができるものであると共に、内管5の残置を省略して施行を低コストに行うことができる等の利点がある。
【0023】
次に、図6において本発明の第2実施形態に係わる基礎杭1の構成及び使用態様について説明する。
この基礎杭1は、管先端の内部空間断面の全部を先鋭で錐形状に形成した先端シュー6で覆うと共に、内管5を省略した構成にしている。
また上記基礎杭1の周壁には前述のものと同様な通孔1bを複数穿設すると共に、先端シュー6に上下方向の通孔6cを適数穿設している。
【0024】
この基礎杭1の施工は、前述の実施形態と同様な手段を以て地中に打込挿入したのち、突起部材2を突出穴1aから所定数だけ挿入して突起2aを突出させた状態において、基礎杭1の内部に充填部材9を圧力を加えながら充填供給することによって行われるものである。
上記充填部材9は基礎杭1内で圧力が加えられると、通孔6c及び通孔1b並びに突出穴1aから地中内に突出して、同図の点線で示すように基礎杭1の外部に内部の充填部材9と繋がる突起9a,9bを形成すると共に、土中に浸透した充填部材9はその周囲の土壌を硬く固めて基礎杭1の支持力を好適に増大させることができる。
【0025】
従って、基礎杭1は複数の突起2aと充填部材9によって外周に突出して固形化する突起9aにより適正姿勢で良好に支持されると共に、先端シュー6の下部に形成される突起9b部分で沈下を防止されることになり、大重量の杭基礎Wを基礎杭1の小型化を図りながら良好に支持することができる。
また上記の工法による基礎杭1は、管の内部に充填部材9を利用して鉄塔等の支柱Sを簡単且つ安定よく立設支持することを可能にする等の利点もある。
尚、図示例において突起部材2は帯状板で形成したが、これに限ることなく丸棒状の鉄筋であってもよい。また基礎杭1及び内管5等は合成樹脂材によって形成されたパイプを用いるとよい。
【0026】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成したので次のような効果を奏することができる。
請求項1の発明により、所定深さに挿入された基礎杭に突起部材を挿入すると、突起部材はその先端の突起が突出穴から地中に差し込むように突出するので、突起はあたかも樹木が根を張るように基礎杭の支持力を簡単且つ的確に向上させることができる。従って、地中に埋設した基礎杭上に設置される構造物等を長期間にわたり安定よく保持することができるものである。
また、基礎杭は突起によって支持力が強化するので、小径化或いは長さを短くして小型化を図ることができると共に、基礎杭の製作及び運搬や設置工事等を低コストに行うことができる。
【0027】
そして、基礎杭と内管とによって形成される収容空間を介して突起部材を容易に挿入することができると共に、突起を突出穴から簡単且つ適切に突出させることができる。
【0028】
さらに、基礎杭と内管を地中に挿入して収容空間を介して突起部材の突起を形成したのち内管を抜き取るようにしたことにより、突起部材による突起の形成を的確且つ速やかに行うことができると共に、内管を地中に残置させることのない廉価な基礎杭を提供することができる。
【0029】
請求項2の発明により、基礎杭は、先鋭な先端シューによって地中への挿入を容易に行うことができる。
【0030】
請求項3の発明により、基礎杭と内管とによって形成される収容空間はその先端側をスペーサによって的確に間隔保持をされるので、突起部材の挿入施工を良好に行うことができる。
【0031】
請求項4の発明により、基礎杭の突出穴に突起部材を案内部材によって簡単に臨ませることができると共に、突起を地中内に向けて適切に突出形成することができる。
【0032】
請求項5の発明により、基礎杭の内管内部の土を締め固めることより、基礎杭の支持力を増大することができる。
【0033】
請求項6の発明により、基礎杭の内部に充填部材を投入供給して突出穴又は通孔から外側の地中に向けて突出させることにより、突出した充填部材によって基礎杭の支持力を突起部材と共に増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係わる基礎杭の使用状態を示す斜視図。
【図2】 図1の地中の断面図。
【図3】 基礎杭の構成を示す分解斜視図。
【図4】 (A)は基礎杭の打込挿入状態を一部破断をして示す側面図。(B)は基礎杭の施行完了状態を示す断面図。
【図5】 (A)は突起部材の案内部材の構成を示す拡大断面図。(B)は(A)の別実施形態を示す拡大断面図。
【図6】 基礎杭の第2実施形態に係わる施行態様を示す側断面図。
【符号の説明】
1 基礎杭
1a 突出穴
1b 通孔
2 突起部材
2a 突起
3 案内部材
5 内管
6 先端シュー(スペーサ)
7 打込部材
9 充填部材
Claims (6)
- 基礎杭(1)外周に支持力強化用の突起(2a)を突出させるものにおいて、周壁に上記突起(2a)を突出させる突出穴(1a)を設けた管状の基礎杭(1)と、該基礎杭(1)の内周側より上記突出穴(1a)を介して外周側に突起(2a)として突出させる突起部材(2)とを設け、基礎杭(1)の管の内部に同心的に内管(5)を設け、基礎杭(1)と内管(5)との間を突起部材(2)を収容する収容空間(H)とし、基礎杭(1)と内管(5)を地中に挿入し突起部材(2)の突起(2a)を突出させたのち、内管(5)を抜き取って構成した支持力強化用基礎杭。
- 基礎杭(1)の管の内部空間断面の全部、又は外周側の収容空間(H)をリング状に覆う先端シュー(6)を設けてなる請求項1の支持力強化用基礎杭。
- 基礎杭(1)と内管(5)の先端側に、基礎杭(1)と内管(5)の間隔を保持するスペーサ(6)を設けた請求項1又は2の支持力強化用基礎杭。
- 基礎杭(1)の突出穴(1a)に突起部材(2)の外側への突出を案内する案内部材(3)を設けた請求項1又は2又は3の支持力強化用基礎杭。
- 基礎杭(1)と内管(5)で形成される収容空間(H)の内部に充填部材(9)を投入し又は投入しないで、内管(5)の内部の土を締め固める請求項1又は2又は3又は4の支持力強化用基礎杭。
- 基礎杭(1)の内部に充填部材(9)を投入し、該充填部材(9)を基礎杭(1)に穿設した突出穴(1a)又は通孔(1b)から外側の地中に向けて突出させる請求項1又は2又は3又は4又は5の支持力強化用基礎杭。
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