JP3921869B2 - 記録材料、画像形成方法及びインクカートリッジ - Google Patents

記録材料、画像形成方法及びインクカートリッジ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録材料及びそれを用いた画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ノズル、スリットあるいは多孔質フィルム等から液体または溶融固体インクを吐出し、紙、布、フィルム等に記録を行う、いわゆるインクジェット方式の記録装置は、小型で安価、静寂性等種々の利点を有している。最近では、レポート用紙、コピー用紙等のいわゆる普通紙上に良好な印字品質が得られる黒色の単色プリンタだけではなく、フルカラー記録が行える製品が数多く市販されており、記録装置の分野で大きな位置を占めるようになった。中でも、圧電素子を用いたピエゾインクジェット法式や、熱エネルギーを作用させて液滴を形成し記録を行う熱インクジェット方式は、高速印字が可能で、高解像度が得られる等、多くの利点を有している。
インクジェット記録装置で用いられるインクは、主に溶媒、色材、添加剤から構成される。インクジェットプリンターに使用されるインクに関しては、
1)紙上で滲み、かぶりのない、高解像度、高濃度で均一な画像が得られること2)ノズル先端でのインク乾燥による目詰まりが発生せず、常に吐出応答性、吐出安定性が良好であること
3)紙上においてインクの速乾性が良いこと
4)画像の堅ろう性が良いこと
5)長期保存安定性が良いこと
等の要求特性がある。
【0003】
この他、近年では記録媒体、特に普通紙で顕著であるカールやカクルを緩和、抑制することが要求特性として挙げられている。カールは印字中または印字後に用紙が丸みを帯びる減少で、カクルは印字中または印字後に起こる用紙の部分的なしわである。カールした用紙は積み重ねたり、シートに広げたりできず、非常な不便をきたす。また、印字中にカクルが悪化すると印字ヘッドと用紙との擦れを生じさせ、画質を悪化させる原因となる。カール及びカクルは、特にベタ画像の多いカラーグラフィックス画像を約5ppm、更には10ppm以上の高速で連続印字する際、特に問題となり、両面印字を困難にする。したがって、これら記録媒体のカールおよびカクルを緩和、抑制することが要求される。
【0004】
カールを抑制するために、例えば、特開平6−157955号公報では、インク中にカール防止剤として、1、3−ジオール類、1、3、5−トリオール類、アミノ−1、3−ジオール類等を添加することが提案されている。しかしながら、この方法ではカールの発生を抑制することはできるが、カールを抑制するために多量のカール防止剤を添加しなければならなず、画質、目詰まり及び信頼性等が悪化したりして好ましくないものであった。
【0005】
記録材料の他の特性に障害を与えずにカール防止剤を多量に用いる手段として、液体組成物とインクを組み合わせた記録方法が考えられる。この方法により、記録媒体に対するカール防止剤の量を増やすことができるとともに、単独インクで問題であった画質、目詰まりや信頼性の悪化を防ぐことができる。しかし、従来の液体組成物とインクとを組み合わせた記録方法は、主に画質及び耐水性を向上させるものが多い。例えば、特開昭63−299971号公報には、カチオン性基を有する無色または淡色の液体と、アニオン染料を有するインクとを付着させる方法が開示されている。これはカチオン性基とアニオン性基により染料を不溶化させ、乾燥性、耐水性等を両立させる方法である。また、特開平5−202328号公報等では、多価金属塩を含む液体を作用させることにより、染料等を不溶化させる方法が提案されている。
【0006】
また、カチオン性物質とノニオン性高分子物質を含む液体組成物とアニオン性化合物を含むインクを組み合わせる方法が、特開平8−193175号公報に開示されている。これは、カチオン性物質により色材を凝集させ、生成した凝集体をノニオン性高分子物質に吸着させることにより、色材を記録媒体中に固定化し、画質と耐水性を両立させる方法である。この方法に類似した方法は、特開平8−197840号公報、特開平9−286940号公報等にも掲載されている。
【0007】
しかしながら、これらの従来技術では、画質及び耐水性は改良されるものの、印字中または印字後に、記録物にカールが発生し、また、液量増加によりカクルが悪化するという不具合があった。そのため、特開平8−282086号公報には、インクと液体組成物とを印字する画像形成方法において、液体組成物量をインク量よりも少なくすることが開示されている。これは用紙に付着する液体量をより少なくすることにより、カールおよびカクルを緩和させるものである。しかしながら、この場合カクルは改善されるが、カール防止効果は不十分であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、上記の従来技術の課題を解決し、カール及びカクルを緩和、抑制し、かつ画質及び耐水性の良好な記録材料、並びにその記録材料を用いた画像形成方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究の結果、ある有機物質、すなわち、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、単糖類、オリゴ糖類及び糖アルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種を単独で印字した際のカール方向は、水を単独で印字した際のカール方向と逆であるという知見を得た。即ち、一般的にカールおよびカクルは、用紙における水の吸着及び蒸発の影響が大きいと認識されており、通常、水性インクを印字させた際、用紙は印字面に向かってカールを発生する。しかしながら、前記の有機物質を単独で印字した際、印字面とは逆方向にカールを発生させた(以下、これを逆カールと言う)。
【0010】
さらに、本発明者らは、無色または淡色溶液、またはインクのいずれかまたは両方が、該有機物質を含むことにより、無色または淡色の溶液とインクとを印字した際、水のカール効果と該有機物質の逆カール効果とが打ち消し合い、記録媒体自体のカールが抑制されること;前記無色または淡色の溶液および前記インクが前記有機物質を含有すれば、単独インクで懸念でだった吐出安定性等の信頼性を悪化させずに、前記有機物質を多量に添加することができること;また、無色または淡色の溶液がカチオン性物質を、インクがアニオン性物質を含有することにより、カール及びカクルが更に緩和、抑制されることを見出した。この理由は詳細には不明であるが、無色または淡色の溶液とインクとの相互作用により、インクの紙中浸透が適度に遅延され、セルロース等用紙と処理液の相互作用、つまりカール及びカクルの緩和、抑制がより効果的、効率的に発現されるためと推定される。加えて、これらのイオン的相互作用のため、染料または顔料が析出、凝集し、画質および耐水性が改善される。
【0011】
また、本発明者らは、無色または淡色溶液とインクを印字するということで、記録媒体に付着する液体量が増加し、カクルを悪化させるという課題があるが、無色または淡色の溶液とインクとの記録媒体への付着重量の比を1:4〜1:2とすることによって、カクルの悪化を緩和することができることを見出した。
【0012】
本発明者らは、これらの知見に基づき、以下の構成の記録材料及びその記録材料を用いた画像形成方法においてのみ上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、単糖類、オリゴ糖類及び糖アルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種である水溶性有機物質と、界面活性剤と水と を含有する無色または淡色の溶液と、色材、水溶性有機溶媒及び水を含有するインクとを
組み合わせ含む記録材料であって、前記水溶性有機物質が、無色また淡色の溶液中に、10〜50重量%含まれており、前記インクに含まれる前記水溶性有機溶媒が、多価アルコール類、多価アルコール誘導体及びアルコール類からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、インク全重量に対して、1〜60重量%含まれており、前記インクを普通紙に単独で印字した際のカール方向と、前記無色または淡色溶液を普通紙に単独で印字した際のカール方向とが逆方向であることを特徴とする記録材料;
無色または淡色溶液が、カチオン性物質を含む前記記録材料;
カチオン性物質が、カチオン性界面活性剤、カチオン性高分子及び多価金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記記録材料;
インクが、アニオン性物質を含むことを特徴とする前記記録材料;
インクが、アニオン性基を有する水溶性染料を含むことを特徴とする前記記録材料;
【0014】
インクが顔料及びアニオン性化合物を含むことを特徴とする前記記録材料;
前記記録材料を用い、無色または淡色の溶液とインクを1:4〜1:2の比率で、いずれかを先に記録媒体に付着させることを特徴とする画像形成方法;及び
前記記録材料を充填したことを特徴とするインクカートリッジである。
【0015】
なお、本発明において「カール」とは、インクの印字中または印字後に用紙が丸みを帯びる現象をいう。
具体的には、普通紙(FX−L紙:富士ゼロックス社製)上に、上下左右に5mmの余白を残して全ベタ画像を印字した際に、用紙の4角または丸みを帯びた部分の頂上の高さが、印字面方向に20mm以上になったときに「カール」が発生したという。また、同様の印字の際に、用紙の4角または丸みを帯びた部分の頂上の高さが印字面と逆方向に10mm以上になったときに、「逆カール」が発生したという。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
[無色または淡色の溶液]
最初に、本発明の記録材料に用いられる無色または淡色の溶液について説明する。
無色または淡色の溶液は、水溶性有機物質、界面活性剤及び水を必須成分として含有するものである。
【0017】
本発明中の無色または淡色溶液に用いられる水溶性有機物質としては、水溶性有機物質が単独で紙に付着した際に逆カールを発生させるものが用いられる。具体的には、1、1、1-トリス(ヒドロキシルメチル)プロパン、単糖類、オリゴ糖類または糖アルコール等が好ましく使用される。
単糖類としては、例えば、D-及びL-型のフルクトース、タガトース、ソルポース、リボース、キシロース、アラビノース、リキソース、グルコース、マンノース、アロース、アルトロース、ギュロース、イドース、ガラクトース、タロース、グロース等が挙げられる。
【0018】
オリゴ糖類としては、例えば、マルトース、セロビオース、トレハロース、ゲンチオビオース、イソマルトース、ラクトース、スクロース、ショ糖、ラフィノース、ゲンチアノース、スタキオース、キシラン等が挙げられる。
【0019】
糖アルコールとしては、例えば、テトリトール、D-エリトリトール、L-エリトリトール、D-アラビニトール、L-アラビニトール、キシリトール、アドニトール、リビトール、D-ソルビトール、アリトール、D-マンニトール、D-イジトール、D-タリトール、ズルシトール、へプチトール等が挙げられる。
これらの中でも、1、1、1−トリス(ヒドロキシルメチル)プロパン、D-及びL-型のグルコース及びキシリトールは好ましく使用される。
また、後記する本発明におけるインクに使用される水溶性有機溶媒も、無色または淡色の溶液における水溶性有機物質として使用することができる。
【0020】
本発明中の無色または淡色溶液に使用される水溶性有機物質は、単独で使用しても、二種類以上を混合して使用してもよい。
前記水溶性有機物質の含有量は、無色または淡色の溶液の全重量に対して、10〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは、20〜35重量%である。水溶性有機物質の含有量が10重量%未満となると、十分なカール防止効果が得られないが、これは逆カール効果が小さいためと考えられる。一方、50重量%を超えると、十分な吐出安定性を得ることができないが、これは、ノズル先端での粘度が上昇するためと考えられる。
【0021】
本発明中の無色または淡色溶液において使用される界面活性剤としては、各種のカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリウム塩およびこれらの誘導体等が挙げられ、具体的には、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルジメチルアミン塩酸塩、ヘキサデシルピリジニウムクロライド、ステアリルアミンEO付加物塩酸塩、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0022】
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、高級アルキルリン酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加物のリン酸エステル塩等が挙げられ、具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ケリルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等が挙げられる。
【0023】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、脂肪族アルカノールアミド、グリセリンエステル、ソルビタンエステル等が挙げられる。
【0024】
これらの中では、カチオン性界面活性剤が好ましく使用される。
無色または淡色の溶液に使用される界面活性剤は、単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
本発明において、界面活性剤の無色または淡色の溶液中の含有量は、該溶液の全重量に対して、10重量%未満であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。界面活性剤の量が10重量%以上となると、粘度が上昇し、目詰まり性が悪化する。
【0025】
本発明において、無色または淡色溶液に含まれる水は、純水、超純水及びイオン交換水を用いることができる。
無色または淡色溶液は、さらに、カチオン性物質を含むことが好ましい。カチオン性物質は、無色または淡色溶液に含まれる界面活性剤であってもよく、含まれる界面活性剤がカチオン性でない場合は、界面活性剤とは別に、カチオン性物質を別に添加することができる。カチオン性物質としてはカチオン性高分子及び多価金属塩が好ましく用いられる。
【0026】
カチオン性高分子としては、例えば、ポリアリルアミン、ポリアミンスルホン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアルキレンポリアミン、ポリビニルイミダゾリン、キトサン及びこれらの塩酸や酢酸等の酸による中和物または部分中和物、ジエチレントリアミン重縮合物、N、N−ビスアミノプロピルエチレンジアミン、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド二酸化硫黄共重合体、パーフルオロアルキルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
これらカチオン性高分子は、単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。本発明中の無色または淡色溶液に用いられるカチオン性高分子の含有量は、無色または淡色溶液の全重量に対して、0.05〜20重量%とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜10重量%である。
【0027】
多価金属塩としては、二価以上の多価金属イオンとその多価金属イオンに結合する陰イオンとから構成され、水に可溶であるものであれば、使用することができる。例えば、多価金属イオンとしては、カルシウムイオン、銅イオン、ニッケルイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオン、バリウムイオン、鉄イオン、アルミニウムイオン、クロムイオン等が挙げられ、陰イオンとしては、塩化物イオン、ヨウ化物イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、リン酸イオン、塩素酸イオン、酢酸イオン等が挙げられる。具体的には、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、硝酸バリウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化銅、臭化銅、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、塩化ニッケル、臭化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛等が挙げられる。
これら多価金属塩は、単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
本発明中の無色または淡色溶液に用いられる多価金属塩の含有量は、無色または淡色溶液の全重量に対して、5〜60重量%とすることが好ましく、より好ましくは10〜40重量%である。
【0028】
本発明中の無色または淡色の溶液の表面張力は、20℃で20〜45mN/mであることが好ましく、より好ましくは20〜35mN/mであり、本発明におけるインクの20℃での表面張力よりも低いことが望ましい。無色または淡色溶液の表面張力が45mN/mより高いと、乾燥性に劣るものとなる。これは、無色または淡色溶液上のインクの記録媒体への浸透力が小さくなることによるものと考えられる。一方、無色または淡色溶液の表面張力が20mN/m未満であると、インクの画像滲みが目立つようになるが、これは無色または淡色溶液上のインクの記録媒体への浸透力が大きくなることによるものと考えられる。
また、無色または淡色溶液の表面張力がインクの表面張力よりも大きいと、乾燥性に劣るものとなる。
【0029】
[インク]
次に、本発明の記録材料において用いられるインクについて説明する。
本発明におけるインクは、色材、水溶性有機溶媒及び水を必須成分として含有する。
本発明のインクにおいて使用される水溶性有機溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1、2、6−ヘキサントリオール、グリセリン等の多価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコール誘導体、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等の含窒素溶媒、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、あるいは、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄溶媒、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等が挙げられる。
【0030】
インクに使用される水溶性有機溶媒は、単独で使用しても、複数を混合して使用してもよい。
水溶性有機溶剤の含有量は特に制限されないが、インク全重量に対して、1〜60重量%であることが好ましく、より好ましくは、5〜40重量%である。
【0031】
本発明中のインクは、無色または淡色溶液に使用される前記の水溶性有機物質を含有することが好ましい。この場合、前記水溶性物質の含有量はインク全重量に対して10重量%以下とすることが好ましい。
インクが前記の水溶性有機物質を含有することにより、無色または淡色の溶液が含有する前記水溶性有機物質量は少なくすみ、信頼性が向上する。
【0032】
本発明のインク組成物に含まれる色材は、染料でも顔料でも使用することができる。
染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料及び油性染料等、いずれも使用することができる。
【0033】
これらの中でも好ましい染料は、水溶性アニオン性染料であり、例えば、C.I.ダイレクトブラック−2、−4、−9、−11、−17、−19、−22、−32、−80、−151、−154、−168、−171、−194、−195、C.I.ダイレクトブルー−1、−2、−6、−8、−22、−34、−70、−71、−76、−78、−86、−112、−142、−165、−199、−200、−201、−202、−203、−207、−218、−236、−287、−307、C.I.ダイレクトレッド−1、−2、−4、−8、−9、−11、−13、−15、−20、−28、−31、−33、−37、−39、−51、−59、−62、−63、−73、−75、−80、−81、−83、−87、−90、−94、−95、−99、−101、−110、−189、−227、C.I.ダイレクトバイオレット−2、−5、−9、−12、−18、−25、−37、−43、−66、−72、−76、−84、−92、−107、C.I.ダイレクトイエロー−1、−2、−4、−8、−11、−12、−26、−27、−28、−33、−34、−41、−44、−48、−58、−86、−87、−88、−132、−135、−142、−144、−173、C.I.フードブラック−1、−2、C.I.アシッドブラック−1、−2、−7、−16、−24、−26、−28、−31、−48、−52、−63、−107、−112、−118、−119、−121、−156、−172、−194、−208、C.I.アシッドブルー−1、−7、−9、−15、−22、−23、−27、−29、−40、−43、−55、−59、−62、−78、−80、−81、−83、−90、−102、−104、−111、−185、−249、−254、C.I.アシッドレッド−1、−4、−8、−13、−14、−15、−18、−21、−26、−35、−37、−52、−110、−144、−180、−249、−257、C.I.アシッドイエロー−1、−3、−4、−7、−11、−12、−13、−14、−18、−19、−23、−25、−34、−38、−41、−42、−44、−53、−55、−61、−71、−76、−78、−79、−122等が挙げられる。また、下記一般式(化1)及び(化4)で示される染料等を用いることもできる。
【0034】
【化1】
Figure 0003921869
【0035】
(式中、R、Rはそれぞれ独立に下記の式(化2)または式(化3)で表される基を示し、Y、Zはそれぞれ独立に水素原子または−SOMを示す。また、Mは対イオンを示し、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、および置換アンモニウムイオンからなる群から選ばれるイオンを示す)
【0036】
【化2】
Figure 0003921869
【0037】
【化3】
Figure 0003921869
【0038】
(式中、A、E、Gはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、−OH及び−COOMからなる群から選択される基を示す。J、L、Q、Wはそれぞれ独立に水素原子、−OH、−NH及び−SOMからなる群から選択される基を示す。また、Mは対イオンを示し、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、および置換アンモニウムイオンからなる群から選ばれるイオンを示す)
【0039】
【化4】
Figure 0003921869
【0040】
(式中、Yは、水素原子、メチル基、メトキシ基、アセチルアミノ基またはニトロ基を示し、ベンゼン環Aの3位の炭素原子と共にさらにベンゼン環を形成してもよい。Xは、アセチル基、ベンゾイル基、パラトルエンスルホニル基または4−クロル−6−ヒドロキシ−1、3、5−トリアジン−2−イル基を示す。M4、M5及びM6は対イオンを示し、各々、アルカリ金属、アンモニウム及びアミン類の中から選択される塩基を示す)
【0041】
これらの染料は、単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
本発明のインクに用いられる染料の含有量は、インク全重量に対して、0.1〜10重量%とすることが好ましく、より好ましくは1〜8重量%の範囲である。
【0042】
顔料としては、有機顔料及び無機顔料のいずれも使用することができる。
黒色では、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料等が挙げられる。これらの具体的な例としては、Raven7000、Raven5750、Raven5250、Raven5000 ULTRAII、Raven3500、Raven2000、Raven1500、Raven1250、Raven1200、Raven1190ULTRAII、Raven1170、Raven1255、Raven1080、Raven1060(以上、コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R、Regal330R、Regal660R、Mogul L、Black Pearls L、Monarch700、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400(以上、キャボット社製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black 18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex35、PrintexU、PrintexV、Printex140U、Printex140V、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black4(以上、デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
シアン色の顔料としては、C.I.Pigment Blue−1、C.I.Pigment Blue−2、C.I.Pigment Blue−3、C.I.Pigment Blue−15、C.I.Pigment Blue−15:1、C.I.Pigment Blue−15:3、C.I.Pigment Blue−15:34、C.I.Pigment Blue−16、C.I.Pigment Blue−22、C.I.Pigment Blue−60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
マゼンタ色の顔料としては、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 7、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 48、C.I.Pigment Red 48:1、C.I.Pigment Red 57、C.I.Pigment Red 112、C.I.PigmentRed 122、C.I.Pigment Red 123、C.I.PigmentRed 146、C.I.Pigment Red 168、C.I.PigmentRed 184、C.I.Pigment Red 202等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
イエロー色の顔料としては、C.I.Pigment Yellow−1、C.I.Pigment Yellow−2、C.I.Pigment Yellow−3、C.I.Pigment Yellow−12、C.I.Pigment Yellow−13、C.I.Pigment Yellow−14、C.I.Pigment Yellow−16、C.I.Pigment Yellow−17、C.I.Pigment Yellow−73、C.I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−75、C.I.Pigment Yellow−83、C.I.Pigment Yellow−93、C.I.Pigment Yellow−95、C.I.Pigment Yellow−97、C.I.Pigment Yellow−98、C.I.Pigment Yellow−114、C.I.Pigment Yellow−128、C.I.Pigment Yellow−129、C.I.Pigment Yellow−151、C.I.Pigment Yellow−154等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
なお、これらの黒色とシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色または淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等を使用してもよい。また、本発明のために、新たに合成した顔料を使用してもよい。
本発明のインクに用いられる顔料のインク重量に対する含有量は、0.5〜20重量%とすることが好ましく、2〜10重量%がより好ましい。
【0047】
本発明において使用することができる顔料分散剤としては、高分子分散剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0048】
高分子分散剤としては、親水性構造部と疎水性構造部を有する重合体であれば有効に使用することができる。親水性構造部と疎水性構造部を有する重合体としては、縮合系重合体と付加重合体を使用することができる。縮合系重合体としては公知のポリエステル系分散剤が挙げられる。付加重合体としてはα、β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの付加重合体が挙げられる。親水基を有するα、β−エチレン性不飽和基を有するモノマーと疎水基を有するα、β−エチレン性不飽和基を有するモノマーを適宜組み合わせて共重合することにより目的の高分子分散剤が得られる。また、親水基を有するα、β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの単独重合体も用いることができる。
【0049】
親水基を有するα、β−エチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、りん酸基等を有するモノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロオキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
【0050】
疎水基を有するα、β−エチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステルが挙げられる。
【0051】
好ましい共重合体の例としては、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。またこれらの重合体に、ポリオキシエチレン基、水酸基を有するモノマーを適宜共重合して用いてもよい。
【0052】
共重合体は、ランダム、ブロック、およびグラフト共重合体等いずれの構造でもよい。また、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアルギン酸、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体樹脂、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリアミド類、ポリビニルイミダゾリン、アミノアルキルアクリレート・アクリルアミド共重合体、キトサン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリビニールアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、多糖類とその誘導体等も使用できる。
【0053】
また、特に限定するわけではないが、顔料分散剤の親水基は酸性基であることが好ましく、さらに好ましくは、顔料分散剤の親水基はカルボン酸またはカルボン酸の塩である。これは、カルボキシル基が多価金属イオンと架橋構造を形成し、顔料が適度な凝集構造をとるためであると考えられる。
【0054】
これらの重合体の内、親水基が酸性基である重合体は、水溶性を高めるため、塩基性の化合物との塩の状態で使用することが好ましい。これらの重合体と塩を形成する化合物としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属類、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族アミン類、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアルコールアミン類、アンモニア等が挙げられる。これらの中でも、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属類の塩基性化合物が好ましく使用される。これは、アルカリ金属類の塩基性化合物が強電解質であり、酸性基の解離を促進する効果が大きいからである。顔料分散剤の中和量としては、共重合体の酸価に対して50%以上中和されていることが好ましく、共重合体の酸化に対して80%以上中和されていることがより好ましい。
【0055】
これらの顔料分散剤は、単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。顔料分散剤の添加量は、顔料により大きく異なるため一概には言えないが、一般に顔料に対して、合計で0.1〜100重量%が好ましく、より好ましくは1〜70重量%であり、さらに好ましくは3〜50重量%である。
【0056】
本発明において、無色または淡色溶液に含まれる水は、純水、超純水及びイオン交換水を用いることができる。
【0057】
本発明におけるインクは、さらにアニオン性物質を含むことが好ましい。無色または淡色の溶液中のカチオン性物質とインク中のアニオン性物質の相互作用により、カールおよびカクルの抑制効果はさらに向上し、また、画質および耐水性も改善される。
アニオン性物質を使用する形態としては、インクがアニオン性基を有する染料または顔料とアニオン性化合物を含むことが好ましい。
【0058】
本発明のインクにおいて使用されるアニオン性化合物としては、前記の顔料の分散剤であってもよいし、顔料の分散剤がアニオン性化合物でない場合は、分散剤とは別のアニオン性化合物を添加してもよい。また、顔料粒子表面自体にカルボン酸基、スルホン酸基等のアニオン基が直接導入されていない場合、あるいは分散剤がアニオン性化合物である場合においても、さらにアニオン性化合物を添加することができる。
【0059】
このようなアニオン性化合物としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸等の酸およびこれらの誘導体、アニオン性ポリマーエマルジョン等が挙げられる。
カルボン酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、乳酸、酒石酸、安息香酸、アクリル酸、クロトン酸、ブテン酸、メタクリル酸、チグリン酸、アリル酸、2−エチル−2−ブテン酸、蓚酸、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、メチルマレイン酸、グリセリン酸等のカルボン酸およびそれらの重合体、誘導体等が挙げられる。また、これらの化合物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等を用いることもできる。
【0060】
スルホン酸の具体例としては、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、ベンゼントリスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、クロロベンゼンスルホン酸、ブロモベンゼンスルホン酸、4−ヒドロキシ−1、3−ベンゼンジスルホン酸、4、5−ジヒドロキシベンゼン−1、3−ジスルホン酸ナトリウム、o−アミノベンゼンスルホン酸等のスルホン酸、およびそれらの誘導体、また、これらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0061】
これらのアニオン性化合物は、単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
本発明のインクに用いられるアニオン性化合物は、インク全重量に対して、0.1〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.3〜5重量%である。
【0062】
また、本発明におけるインクは、インクの表面張力および濡れ性を調節するため、あるいは、有機不純物を可溶化し、噴射の信頼性を向上するため等の理由から、ノニオン性界面活性剤、またはアニオン性界面活性剤を添加することができる。
インクに使用する界面活性剤は、単独で用いても、あるいは、複数を混合して用いてもよい。添加量は、5重量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.01〜3重量%の範囲で使用される。
【0063】
本発明において使用される顔料インクの作成方法としては、例えば、顔料分散剤が所定量入った水溶液に所定量の顔料を添加し、十分撹拌後、分散機を用いて分散を行い、遠心分離等で粗大粒子を除いた後、所定の溶媒、添加剤等を加えて撹拌混合、及び濾過を行い、インクとする。この際、顔料の濃厚分散体を作製し、インク調整時に希釈する方法も使用できる。また、分散工程の前に顔料の粉砕工程を設けてもよい。分散機は、市販のものいずれでもよい。例えば、コロイドミル、フロージェットミル、スラッシャーミル、ハイスピードディスパーザー、ボールミル、アトライター、サンドミル、サンドグラインダー、ウルトラファインミル、アイガーモーターミル、ダイノーミル、パールミル、アジテータミル、コボルミル、3本ロール、2本ロール、エクストリューダー、ニーダー、マイクロフルイダイザー、ラボラトリーホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等があり、これらを単独で用いても、組み合せて用いてもよい。あるいは、所定の溶媒、水、顔料分散剤を混合後、顔料を添加して、分散機を用いて分散させてもよい。また、無機不純物の混入を防ぐため、分散媒体を使用しない分散方法を用いる方が好ましく、マイクロフルイダイザーや超音波ホモジナイザー等の使用が適している。本発明の実施例及び比較例においては、超音波ホモジナイザーにより分散を行った。
【0064】
本発明において、インクの表面張力は、20℃で20〜60mN/mが好ましく、より好ましくは25〜50mN/mであり、かつ、上記したように、前記無色または淡色の溶液の20℃での表面張力よりも低いことが望ましい。
【0065】
特に限定するものではないが、本発明において、インクのpHは3〜11が好ましく、より好ましくは4.5〜9.5である。また、顔料表面にアニオン性遊離基を持つインクにおいては、pHは6〜11が好ましく、より好ましくは6〜9.5であり、特に好ましくは7.5〜9.0である。一方、顔料表面にカチオン性遊離基を持つインクにおいては、pHは4.5〜8.0が好ましく、より好ましくは4.5〜7.0である。
【0066】
その他、本発明の無色または淡色の溶液及びインクには、特性制御のために、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、水溶性ポリマー、アクリル系ポリマーエマルション、ポリウレタン系エマルション等のポリマーエマルション、シクロデキストリン、大環状アミン類、デンドリマー、クラウンエーテル類、尿素及びその誘導体、アセトアミド等を使用することができる。また、導伝率、pHを調整するために、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類の化合物、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等の含窒素化合物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属類の化合物、硫酸、塩酸、硝酸等の酸、硫酸アンモニウム等の強酸と弱アルカリの塩等を使用することができる。
【0067】
さらに必要に応じて、本発明における無色または淡色の溶液及びインクには、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤及びキレート化剤、さらに水溶性染料、分散染料、油溶性染料等を添加することもできる。
【0068】
[画像形成方法]
以下、本発明の記録材料を用いる画像形成方法について説明する。
本発明中の記録材料を用いた画像形成方法としては、前記無色または淡色の溶液と前記インクのいずれを先に記録媒体に付着させてもよい。好ましくは、前記無色または淡色溶液を記録媒体に付着させた後、前記インクを記録媒体に付着される方法である。
なお、無色または淡色の溶液とインクとの記録媒体への付着重量の比は、1:4〜1:2であることが好ましい。これは無色または淡色溶液の記録媒体への付着重量を減らし、カクルを緩和させるためである。無色または淡色の溶液とインクとの記録媒体への付着重量の比が1:2よりも小さい場合は、カクルが悪化する。これは記録媒体に付着される液体量が過多のためと考えられる。また、無色または淡色の溶液とインクとの記録媒体への付着重量の比が1:4よりも大きい場合は、十分なカール抑制効果が得られなかった。これは無色または淡色の溶液の量がインクに対して過少のためと考えられる。
【0069】
本発明の記録材料は、通常のインクジェット記録装置は勿論、インクのドライングを制御するためのヒーター等を搭載した記録装置、または、中間体転写機構を搭載し、中間体に記録材料を印字した後、紙等の記録媒体に転写する記録装置等においても用いることもできる。
無色または淡色溶液の記録媒体への付着方法としては、インクを付着させる部分のみ選択的に付着させる方法でも、記録媒体全体に付着させる方法でもいずれでもよい。無色または淡色溶液の記録媒体への供給方法としては、前述記録方法でもスプレー、ローラ等で付着させる方法でもよい。
【0070】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
[無色または淡色溶液の作成方法]
以下に示す成分を混合し、溶解させることにより、無色または淡色溶液を得た。
Figure 0003921869
この無色または淡色の溶液の表面張力は、35mN/mであった。
【0071】
Figure 0003921869
この無色または淡色の溶液表面張力は、29mN/mであった。
【0072】
Figure 0003921869
この無色または淡色の溶液の表面張力は、36mN/mであった。
【0073】
Figure 0003921869
この無色または淡色の溶液の表面張力は、34mN/mであった。
【0074】
Figure 0003921869
この無色または淡色の溶液の表面張力は、26mN/mであった。
【0075】
Figure 0003921869
この無色または淡色の溶液の表面張力は、29mN/mであった。
【0076】
[インク作成方法1]
以下に示す成分を混合し、溶解させた後に、0.45μmフィルターで加圧ろ過することにより、インク−1〜−4を調整した。
Figure 0003921869
このインクの表面張力は、43mN/mであった。
【0077】
Figure 0003921869
このインクの表面張力は、37mN/mであった。
【0078】
Figure 0003921869
このインクの表面張力は、30mN/mであった。
【0079】
Figure 0003921869
このインクの表面張力は、37mN/mであった。
【0080】
[インク作成方法2]
カーボンブラック(Black Pearls L:キャボット社製)30重量部に、スチレン−マレイン酸共重合体のナトリウム中和塩を3重量部加え、さらにイオン交換水を加えて、総量を300重量部とした。この液を超音波ホモジナイザーを用いて分散した。この液を遠心分離装置で、遠心分離をし、残渣部分100重量部を除去した。この上澄み液を1μmのフィルターに通過させて、分散液を得た。
適量の前記分散液に、グリセリン10重量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル5重量部、界面活性剤0.03重量部、イソプロピルアルコール3重量部イオン交換水及び水酸化ナトリウムを適量加え、総量が100重量部、カーボンブラック濃度が5重量%となるように調整した。これを、混合、攪拌し、1μmのフィルターを通過させることにより、目的とするインクを得た。
【0081】
Figure 0003921869
このインクの表面張力は、49mN/mであった。
【0082】
(実施例1〜10、比較例1〜4及び試験例1)
[評価方法]
表1に示すように、実施例1〜10及び比較例1〜4において、上記で調製した各無色または淡色の溶液及び各インクを用いて下記評価を行なった。
印字装置には、400dpi、160ノズルのプリントヘッドを用い、無色または淡色の溶液及びインクを噴射させて印字を行なった。記録媒体には、FX−L紙(富士ゼロックス社製)を用いた。
インクカートリッジに無色または淡色の溶液及びインクを充填し、試作インクジェット記録装置を用いて、無色または淡色の溶液を印字した後に、インクを印字し、24時間一般環境下(温度23±0.5℃、湿度55±5%R.H)に放置した。印字の際、無色または淡色の溶液とインクの記録媒体への付着重量の比を1:4、1:2、1:1の3通りに対して印字を行った。この記録物を使用して、それぞれカール、カクル、画像滲み及び耐水性の評価を行った。なお、特に断らない場合は、印字及び評価は一般環境下(温度23±0.5℃、湿度55±5%R.H)で行った。
【0083】
<カールの評価>
前記記録物の4角の高さを測定し、その平均値で評価を行った。評価基準は以下の通りとした。なお、カールは20mm未満であれば概ね良好であるとし(△)、5mm以上10mm未満であれば良好であるとし(○)、5mm未満であれば非常に優れているものとした(◎)。
◎:5mm未満
○:5mm以上10mm未満
△:10以上20mm未満
×:20mm以上
【0084】
<カクルの評価>
前記印字方法で印字させた記録物の印字直後のしわの高さを測定し、評価を行った。評価基準は以下の通りとした。
○:4mm未満
△:4mm以上7mm未満
×:7mm以上
【0085】
<画質の評価>
前記印字方法において、印字テストを行い、官能評価を行った。評価基準は以下の通りとした。
○:滲みなし
△:わずかに滲みが認められるが許容範囲
×:滲みあり
【0086】
<耐水性の評価>
記録物の光学濃度をエックスライト404(エックスライト社製)を用いて測定した。印字終了から24時間放置後、水に3分間浸漬後それを取り出し、乾燥させた後、再度濃度を測定し、記録物の濃度残存率を求め耐水性の指標とした。
○:濃度残存率90%以上
△:濃度残存率70%以上90%未満
×:濃度残存率70%未満
これらの結果を表1に示す。
【0087】
【表1】
Figure 0003921869
【0088】
表1に示される結果から明らかなように、実施例1〜10においては、比較例1〜4と比べて、カール、カクル、画質及び耐水性の全ての評価が優れたものであった。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の記録材料および該記録材料を用いた画像形成方法は、カールおよびカクルを緩和、抑制でき、かつ画像滲みが少なく、さらに耐水性が良好なものである。

Claims (5)

  1. 1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、単糖類、オリゴ糖類及び糖アルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種である水溶性有機物質と、界面活性剤と水とを含有する無色または淡色の溶液と、
    色材、水溶性有機溶媒及び水を含有するインクとを
    組み合わせ含む記録材料であって、
    前記水溶性有機物質が、無色また淡色の溶液中に、10〜50重量%含まれており、
    前記インクに含まれる前記水溶性有機溶媒が、多価アルコール類、多価アルコール誘導体及びアルコール類からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、インク全重量に対して、1〜60重量%含まれており、
    前記インクを普通紙に単独で印字した際のカール方向と、前記無色または淡色溶液を普通紙に単独で印字した際のカール方向とが逆方向である
    ことを特徴とする記録材料。
  2. 無色または淡色溶液が、カチオン性物質を含む請求項1記載の記録材料。
  3. インクが、アニオン性物質を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の記録材料。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の記録材料を用い、前記無色または淡色の溶液と前記インクを1:4〜1:2の比率で、いずれかを先に記録媒体に付着させることを特徴とする画像形成方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の記録材料を充填したインクカートリッジ。
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