JP3920037B2 - トンネル掘進機における防水シートの接合装置 - Google Patents

トンネル掘進機における防水シートの接合装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネル掘進機で組み立てられるセグメントの外周面に敷設すべくトンネル掘進機内で巻き立てられた既設防水シートと新設防水シートとの周方向に延びる重合部を接合するトンネル掘進機における防水シートの接合装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トンネル掘進機は、トンネル内に組み立てられたセグメントにシールドジャッキを介して反力を得て、その先端に設けられたカッタで切羽を切削しながら掘進するようになっている。
【0003】
一般に、セグメントは円筒状に組み立てられている。セグメントは、軸方向及び周方向に所定の寸法で分割されており、各セグメントを接合することによって円筒状となっている。
【0004】
よって、組み立てられたセグメント間には、継目ができ、地下水が浸入することとなるため、セグメント間に止水シールを設けて止水するようになっている。しかしながら、実際のところは、施工精度によって、目開きや目違い等が発生し漏水が発生してしまうことがある。
【0005】
そのため、セグメントの外周側に裏込材を設けて、シール効果を高めるようにしてはいるが、裏込材の劣化等により完全な密閉はできず、以後のメンテナンスが大変であった。
【0006】
そこで、近年、セグメント外周面全体に防水シートを巻き立て、セグメントと地盤とを遮断することで、防水を図る方法が提案されている。
【0007】
上述の防水シートの敷設は、以下に示すような手順で行われる。
【0008】
まず、新設する防水シートを既設防水シートに接合代分重ねて、テールフレーム等に沿って円筒状に展張する。そして、巻き立てた新設防水シートを所定の径に拡径する。新設防水シートの巻立て長さを、既設防水シートの巻立て長さに合わせると共に、新設防水シートと既設防水シートのラップ代を所定の幅に調整する。防水シートの接合部を溶着装置によって熱溶着する。
【0009】
以上の工程を繰り返し行うことによって、セグメント組立てとシールド掘進と共に、防水シートが順次継ぎ足されて、セグメントの外周面に敷設されることとなる。
【0010】
従来、上述の防水シートの接合(溶着)は、防水シートが重なり合った重合部をその内側より加熱してローラ等で押圧して行うようになっていた。しかし、上述の接合では、防水シートが二重になっているため、各防水シートが均等に加熱されず、接合の信頼性及び耐久性に問題があった。
【0011】
そこで、特開平8−240098号公報に示すように、重合部の既設防水シートと新設防水シートとの間に、各防水シートを加熱する接合端子を挿入して、その接合端子で加熱された部分を両側から押圧して、溶着を行うような接合装置が提案されていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の接合装置では、防水シートの加熱された部分を押圧するのに、防水シートの内側及び外側の両方にローラが設けられ、重合部を挟持するようになっていた。
【0013】
このようにローラで重合部を挟んで押圧するため、高速での溶着が困難であり、作業効率が低下してしまうといった問題があった。また、防水シートの外側にローラが設けられているためその位置がトンネル掘進機のシールドフレームの内周面から大きく離れると共に、防水シートが空中に浮いた状態での溶着となるため、防水シートの巻立径を規制するのが困難であった。
【0014】
そこで、本発明は上記問題を解決するために案出されたものであって、その目的は、防水シートの周方向に延びる重合部を確実に且つ効率的に溶着でき、その巻立径を容易に規制できるトンネル掘進機における防水シートの接合装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、トンネル掘進機で組み立てられるセグメントの外周面に敷設すべくトンネル掘進機内で巻き立てられた既設防水シートと新設防水シートとの周方向に延びる重合部を接合するトンネル掘進機における防水シートの接合装置であって、上記既設防水シートと新設防水シートとの間に挿入されその重合部を加熱する加熱接合端子と、その加熱接合端子で加熱された防水シートの重合部を径方向外側へ押し付ける押付ローラと、テールフレームの内周に沿って配置され円筒状に巻き立てられた上記防水シートをその外周から覆う防水シート受けフレームと、上記加熱接合端子及び押付ローラを備えた溶着装置をトンネル掘進機の周方向に移動させる周方向移動手段と、上記溶着装置をトンネル掘進機の径方向に移動させる径方向移動手段とを備えたものである。
【0016】
上記構成によれば、加熱接合端子を既設防水シートと新設防水シートとの間に挿入して、各防水シートをそれぞれ加熱し、その加熱された防水シートを押圧するので、各防水シートは共に適切な温度に加熱され重合部は確実に溶着される。また、防水シートを、防水シート受けフレームを下地として押付ローラを介して押圧するので、十分な圧力での押圧が行われると共に、高速での押圧が可能である。さらに、防水シート受けフレームによって、防水シートの巻立径を容易に規制することができる。
【0017】
そして、上記加熱接合端子が、上記既設防水シートと新設防水シートとの間に挿入されてその内側から各防水シートを直接加熱すべく断面流線形の板状に形成されその内部に電熱ヒータを有するものが好ましい。
【0018】
また、上記加熱接合端子の径方向内方位置に、上記新設防水シートを上記加熱接合端子に当接させるための案内ローラが設けられたものが好ましい。
【0019】
さらに、上記押付ローラが、その回転軸が傾斜自在に形成され上記防水シート受けフレームの内周面に追従して回動するものが好ましい。
【0020】
また、上記押付ローラに、その押付ローラを上記防水シート上の走行に同期して回転させる同期回転機構を接続したものが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は本発明に係るトンネル掘進機の防水シートの接合装置の好適な実施の形態を示した断面図、図2は本発明に係るトンネル掘進機の防水シートの接合装置の好適な実施の形態を径方向内側より示した平面図、図3は図2のA−A線断面図、図4は図2のB−B線断面図、図5は本発明に係るトンネル掘進機の防水シートの接合装置を用いた接合の第一工程を示した平面図及び断面図、図6は本発明に係るトンネル掘進機の防水シートの接合装置を用いた接合の第二工程を示した平面図及び断面図、図7は本発明に係るトンネル掘進機の防水シートの接合装置を用いた接合の第三工程を示した平面図及び断面図、図8は本発明に係るトンネル掘進機の防水シートの接合装置を用いた接合の第四工程を示した平面図及び断面図、図9は防水シートの敷設装置を示した概略断面図、図10は図9の一部拡大断面図、図11は図9のC−C及びD−D線断面図である。
【0023】
まず、セグメントの外周面に防水シートを敷設する敷設装置の全体構成を説明する。
【0024】
図9から図11に示すように、防水シート1の敷設装置2はトンネル掘進機3の後部のテールフレーム4内に配置されており、セグメント5を組み立てる前に、防水シート1を円筒状に形成しておくものである。
【0025】
敷設装置2は、筒状の防水シート受けフレーム6と、支持フレーム7と、新設防水シート固定装置8と、既設防水シート固定装置9と、巻立装置10及び接合装置11とによって、その主要部が構成されている。
【0026】
防水シート受けフレーム6は、テールフレーム4の内周面に沿って、その内周面から若干の間隔をあけて配置されると共に、既設防水シート1aと新設防水シート1bが重なる重合部(接合部)25付近から新設防水シート1bの切羽側端部まで延出されている。防水シート受けフレーム6の内径は、組み立てられたセグメント5の外径に防水シート1の厚さを足した長さと略同一となっている。新設される防水シート1bは、この防水シート受けフレーム6に沿って展張され、固定されるために、常に同一径で巻き立てることができる。
【0027】
支持フレーム7は、ドーナツ状のリングフレーム14を介して、防水シート受けフレーム6を内側から支持するための架台である。この架台は、防水シート1を固定するための反力を受ける構成となっている。支持フレーム7は、円筒状の補強フレーム15によって、スライド自在に支持されている。この補強フレーム15は、テールフレーム4の内周面から延びるテールリングフレーム16に連結固定されている。
【0028】
テールリングフレーム16には、移動ジャッキ17が連結されている。この移動ジャッキ17の先端は、支持フレーム7に接続されており、移動ジャッキ17の伸縮によって、支持フレーム7が、トンネル掘進機3の軸方向にスライドするようになっている。なお、補強フレーム15はスライドガイドの役目を備えており、ロッド状のものであってもよい。
【0029】
新設防水シート固定装置8は、防水シート受けフレーム6の内周面に沿って展張した新設防水シート1bを、径方向外側へ押圧するものである。新設防水シート固定装置8は、支持フレーム7の外面に複数個の押えジャッキ18が周方向に所定の間隔で設けられている。押えジャッキ18の先端には、防水シート押え板19が設けられている。押えジャッキ18の両サイドには、押えジャッキ18がローリングするのを防止するローリング防止ガイド21が設けられている(図11中、左側に示したC−C線断面図参照)。防水シート押え板19の押え面には、防水シート1を傷つけないように、高密度ナイロン等の素材が使用されている。
【0030】
押えジャッキ18が伸長することによって、防水シート押え板19が新設防水シート1bを防水シート受けフレーム6に押し付けて、防水シート1の垂れや延びを防止する。なお、新設防水シート固定装置8は、常に防水シート1の均一な巻き立てを確保できるように、新設防水シート1bのほぼ全範囲を押付け固定できるものが好ましい。
【0031】
既設防水シート固定装置9は、既設防水シート1aを防水シート受けフレーム6に押し付けて固定するものである。既設防水シート固定装置9も、新設防水シート固定装置8と同様に、支持フレーム7の外面に、全周に渡って所定間隔をあけて複数個設けられており、押えジャッキ22、防水シート押え板23及びローリング防止ガイド24から構成されている(図11中、右側に示したD−D線断面図参照)。
【0032】
巻立装置10は、リングフレーム14に取り付けられた防水シートロール12から新設防水シート1bを挟持して、防水シート受けフレーム6の内周に沿って回転して、防水シート1を筒状に敷設するものである。巻立装置10は、電動機等の駆動源にによりピニオンや内歯歯車を介して、回転駆動される旋回リング (図示せず)に取り付けられている。
【0033】
接合装置11は、円周状に形成される新設防水シート1bと既設防水シート1aとの円周状重合部25を接合する周方向接合装置26と、新設防水シート1bの円周方向両端同士がラップする直線状重合部を接合する軸方向接合装置(図示せず)とから構成されている。
【0034】
軸方向接合装置は、直線状重合部を加熱する加熱手段と、この加熱手段にて加熱された新設防水シート1bの重合部を押圧する押圧手段とを有する溶着装置を、直線状重合部に沿って、トンネル掘進機3の軸方向に移動自在に設けて構成されている。
【0035】
ところで、本発明は、図1から図4に示すように、防水シート1の周方向の接合を行う接合装置26が、既設防水シート1aと新設防水シート1bとの間に挿入されその重合部25を加熱する加熱接合端子31と、その加熱接合端子31で加熱された防水シート1の重合部25を径方向外側へ押し付ける押付ローラ32と、テールフレーム4の内周に沿って配置され円筒状に巻き立てられた防水シート1をその外周から覆う防水シート受けフレーム6と、加熱接合端子31及び押付ローラ32を備えた溶着装置33をトンネル掘進機3の周方向に移動させる周方向移動手段34と、上記溶着装置33をトンネル掘進機3の径方向に移動させる径方向移動手段35とを備えたことを特徴とする。
【0036】
周方向接合装置26は、溶着装置33を周方向に移動させる周方向移動手段34を構成する回転リング36を有している。回転リング36は、テールフレーム4の内周に沿って所定間隔を隔てて設けられており、図示しないモータやギヤ等を介してトンネル掘進機3の中心軸を中心として回転するようになっている。
【0037】
回転リング36には、トンネル掘進機3の径方向に移動自在な移動プレート37が取り付けられている。移動プレート37には溶着装置33が取り付けられている。移動プレート37の周方向両端には、回動ブラケット38に摺動自在に軸支されるローラ39がそれぞれ設けられている。各回動ブラケット38は、回転リング36の固定側に支持されたピン41に軸支されると共に、基端が回転リング36の固定側に軸支された伸縮シリンダ43の先端が軸支されている。図中、44は、移動プレート37の移動方向を径方向に規制するガイド部材を示す。
【0038】
これら伸縮シリンダ43及び回動ブラケット38等で、径方向移動手段35が構成されており、伸縮シリンダ43が伸縮することによって、回動ブラケット38が、ピン41を中心に回動して、移動プレート37が、トンネル掘進機3の径方向に移動し、防水シート受けフレーム6及び防水シート1の重合部25に対して近接離反するようになっている。
【0039】
図中、47は、移動プレート37の防水シート1への近接時に、防水シート1に当接して回転することによって、移動プレート37の径方向の位置決めを行う位置決めローラを示す。
【0040】
移動プレート37には、加熱接合端子31が回動自在に設けられている。具体的には、移動プレート37の回転方向上流側部分に、ピン結合されたブラケット45に加熱接合端子31が支持されている。加熱接合端子31は、ブラケット45に対して、取付部材48を介して支持されており、防水シート受けフレーム6の内周面に追従するように、首振り可能に設けられている。なお、取付部材48は、バネ等の弾性部材で形成することも可能である。
【0041】
また、ブラケット45は、移動プレート37からトンネル掘進機3の軸方向に沿って延びたロッド49に沿って、移動自在に設けられており、加熱接合端子31が重合部25に対して、軸方向にも近接離反可能となっている。
【0042】
加熱接合端子31は、断面流線形の板状に形成されており、その内部に電熱ヒータ46が設けられている。加熱接合端子31は、重合部25の溶着時には、既設防水シート1aと新設防水シート1bとの間に挿入されて、その内側から各防水シート1a,1bを直接加熱するようになっている。
【0043】
移動プレート37には、押付ローラ32が回動自在に設けられている。具体的には、移動プレート37の回転方向下流側部分に、ピン結合されたブラケット51に、コ字状ブラケット52を介して、押付ローラ32が軸支されている。
【0044】
コ字状ブラケット52は、ブラケット51に対して回動自在に設けられている。具体的には、コ字状ブラケット52は、押付ローラ32の回転軸方向に直交する方向に延びる軸(押付ローラ32の進行方向に延びる軸)53を中心として回動するようになっている。すなわち、押付ローラ32が、その回転軸が傾斜自在に形成されており、防水シート受けフレーム6の内周面に追従するように形成されている。
【0045】
なお、押付ローラ32を軸支する構造は、上記構造に限られるものではない。例えば、球面軸受けを介して押付ローラ32を軸支するような構造でもよい。
【0046】
ブラケット51の回転方向上流側部分で、加熱接合端子31の径方向内方位置には、新設防水シート1bを加熱接合端子31に当接させるための複数の案内ローラ54が設けられている。
【0047】
ブラケット51には、基端が移動プレート37側に軸支されたローラ押付用シリンダ55の先端が軸支されている。ローラ押付用シリンダ55の伸長によって、ブラケット51が、ピン56を中心に回動して、押付ローラ32及び案内ローラ54を防水シート受けフレーム6側へ押し付けるようになっている。
【0048】
次に、防水シート1の敷設工程に合わせて、上記構成によるトンネル掘進機における防水シートの接合装置の作用を説明する。
【0049】
トンネル掘進機3は、掘削開始状態でシールドジャッキ61をセグメント5に押し付けた状態としておく。既設防水シート1aを既設防水シート固定装置9で防水シート受けフレーム6の内周面に押し付けて固定し、自重や外力によるしわ、垂れ或いは外力によって円周状の重合部25に影響が及ばないようにしておく。
【0050】
そして、巻立装置10によって、新設防水シート1bを防水シート受けフレーム6の内周面に沿って、既設防水シート1aの縁部に重なるように敷設する。その後、新設防水シート固定装置8によって、防水シート受けフレーム2の内周面に新設防水シート1bを押し付けて固定する。
【0051】
次に、防水シート1の溶着を行う。このとき、トンネル掘進機3の掘進に伴って、シールドジャッキ61が伸長するが、その伸長に同調させて移動ジャッキ17を伸長させて、支持フレーム7を所定の接合位置に維持させておく。
【0052】
そして、周方向接合装置26によって、新設防水シート1bと既設防水シート1aとの円周状重合部25を接合する。
【0053】
最初に接合装置26は、図5に示すように、移動プレート37が径方向内側に移動させておき、溶着装置33が防水シート1の重合部25から離反した状態にしておく。これと同時に、加熱接合端子31は、移動プレート37側に移動させると共に、径方向内側に回動させて重合部25から離反させておく。このとき、新設防水シート1bの軸方向端部(坑口側)81が、加熱接合端子31及び押付ローラ32の位置に相当している。
【0054】
ところで、溶着前に行われる防水シート1の巻立時は、接合装置26は、図5に示した状態となっている。そのとき、溶着装置33は、径方向移動手段35によって防水シート受けフレーム6から所定距離、離反しているので、巻立装置10や防水シート1が、溶着装置33を含む接合装置26に干渉することがなく、円滑な巻立てを行うことができる。
【0055】
次に、図6に示すように、重合部25の内側となる新設防水シート1bの端部62を径方向内側に持ち上げる。
【0056】
そして、図7に示すように、加熱接合端子31を、ロッド49を中心として径方向外側に回動させた後に、ロッド49に沿わして軸方向前方(重合部25側)に移動させて、持ち上げた新設防水シート1bの外側に位置させる。
【0057】
その後、図8に示すように、移動プレート37の両側の伸縮シリンダ43を伸長させて、移動プレート37を径方向外側へ移動させて、加熱接合端子31及び押付ローラ32を、重合部25に近接させる。そして、ローラ押付用シリンダ55を伸長させて、押付ローラ32を重合部25に適切な圧力で押圧すると共に、案内ローラ54を加熱接合端子31に近接させる。
【0058】
これで接合装置26のセットが終了し、次に、加熱接合端子31を加熱した後、案内ローラ54を回転させつつ、回転リング36を回転させる。これによって、新設防水シート1bが押付ローラ32側に送り込まれて、既設防水シート1aとの溶着が開始される。
【0059】
このとき、既設防水シート1aと新設防水シート1bとは、その間に挿入された加熱接合端子31によって、直接加熱されるため、適切な温度まで加熱することができる。そして、加熱された防水シート1は、防水シート受けフレーム6を下地として押付ローラ32によって十分な圧力で押圧されるので、防水シート1を固定することができ、確実で且つ高速での溶着が可能となる。
【0060】
また、押付ローラ32の外側に防水シート受けフレーム6を設けたことによって、防水シートの巻立径を容易に規制することができると共に、防水シート1の巻立位置を、テールフレーム4の内周面から比較的近くすることができ、テールシールのシール性を高めることができる。
【0061】
加熱接合端子31は、ブラケット45の回動によって、既設防水シート1aに確実に接触し、また、案内ローラ54によって、新設防水シート1bが、加熱接合端子31に接触するので、より確実な加熱が可能となる。
【0062】
さらに、加熱接合端子31は、取付部材48を介して、ブラケット45に支持されているので、取付部材48をバネ等の弾性部材で形成した場合には、万一、防水シート受けフレーム6の内周面にうねり等があった場合でも、加熱接合端子31の表面を、防水シート受けフレーム6の内周面に追従させることができ、加熱効率が低下することはない。
【0063】
また、押付ローラ32が、その回転軸が傾斜自在に形成されているので、万一、防水シート受けフレーム6の内周面にうねり等があった場合でも、押付ローラ32が防水シート受けフレーム6の内周面に追従して回動することができ、溶着の信頼性が高まる。
【0064】
溶着が終了する際には、既設防水シート1aと新設防水シート1bとの間に挿入された加熱接合端子31は、新設防水シート1bの未溶着部分である周方向端部から、溶着装置33の回転と共に、自動的に、防水シート1の径方向内側へと開放される。これと共に、新設防水シート1bの上記周方向端部は、押付ローラ32によって押圧されるので、端部まで確実に溶着される。
【0065】
その後、軸方向接合装置によって、新設防水シート1bの円周方向両端がラップしてなる直線状重合部を接合する。
【0066】
直線状重合部の接合が終了した後、新設防水シート固定装置8及び既設防水シート固定装置9の固定を解除して、移動ジャッキ17を縮退させて、防水シート受けフレーム6及び支持フレーム7を前方にスライドさせる。
【0067】
防水シート受けフレーム6及び支持フレーム7のスライドが終了した後、敷設した新設防水シート1bの自重等による垂れ下がりが発生しないように、新設防水シート1bの切羽側端部で、既設防水シート固定装置9を作動させて、新設防水シート1bの前端部分を固定する。そしてその状態のままでセグメント5の組立てを行う。
【0068】
図12は本発明に係るトンネル掘進機の防水シートの接合装置の他の実施の形態を示した要部拡大断面図である。
【0069】
ここに示した他の実施の形態の接合装置は、押付ローラ67と案内ローラ68とに特徴を有するものである。
【0070】
図12に示すように、押付ローラ67には、その押付ローラ67を防水シート1上の走行に同期して回転させる同期回転機構69が接続されている。同期回転機構69は、移動プレート37に軸支され既設防水シート1a上を走行する回転ローラ71と、その回転ローラ71の回転軸72と押付ローラ67の回転軸73とを連結するチェーン74とで構成されている。
【0071】
回転ローラ71は、重合部25から既設防水シート1a側にオフセットして設けられており、回転軸72が重合部25側まで延出して、そこでチェーン74にて押付ローラ67と連結されている。回転ローラ71は、押付ローラ67と同径に形成され、各回転軸72,73に設けられたスプロケット75も同径に形成されている。
【0072】
これによって、移動プレート37が回転すると、回転ローラ71が回転し、その回転力がチェーンを介して押付ローラ67に伝達される。回転ローラ71と押付ローラ67、また各スプロケット75が同径に形成されているので、押付ローラ67は、防水シート上の走行に同期して回転することとなり、しわの発生等を防ぐことができる。
【0073】
さらに、回転ローラ71と押付ローラ67の径やスプロケット75の径を変えて、微小な速度差を付けることにより、加熱された防水シート1の伸びによるしわの発生を防止することも可能となる。
【0074】
また、上記回転同期機構69によれば、モータ等の駆動源を必要とせず、動力を必要としない。さらに、同期を機械的に行うため、制御装置等を設ける必要がなく、容易に行うことができる。
【0075】
案内ローラ68は、ブラケット51に中間部がピン結合されたロッド76の加熱接合端子31側一端に設けられている。ロッド76の他端には、ブラケット51に取り付けられたバネ77が連結されている。
【0076】
溶着時には、バネ77がロッド76の他端を引っ張り、ロッド76がピン78を中心に回動し、案内ローラ68が新設防水シート1bを加熱接合端子31側に押圧するようになっている。これによって、新設防水シート1bが広い面積で加熱接合端子31の加熱面に接触することとなり、その加熱効率が向上し、溶着の確実性を高めることができる。
【0077】
なお、他の構成については、図1の接合装置26と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
【0078】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、加熱接合端子を既設防水シートと新設防水シートとの間に挿入して、各防水シートをそれぞれ加熱し、その加熱された防水シートを押圧するので、各防水シートは共に適切な温度に加熱され重合部は確実に溶着される。また、防水シートを、防水シート受けフレームを下地として押付ローラを介して押圧するので、十分な圧力での押圧が行われると共に、高速での押圧が可能である。さらに、防水シート受けフレームによって、防水シートの巻立径を容易に規制することができるといった優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るトンネル掘進機の防水シートの接合装置の好適な実施の形態を示した断面図である。
【図2】本発明に係るトンネル掘進機の防水シートの接合装置の好適な実施の形態を径方向内側より示した平面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】本発明に係るトンネル掘進機の防水シートの接合装置を用いた接合の第一工程を示した(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図6】本発明に係るトンネル掘進機の防水シートの接合装置を用いた接合の第二工程を示した(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図7】本発明に係るトンネル掘進機の防水シートの接合装置を用いた接合の第三工程を示した(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図8】本発明に係るトンネル掘進機の防水シートの接合装置を用いた接合の第四工程を示した(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図9】防水シートの敷設装置を示した概略断面図である。
【図10】図9の一部拡大断面図である。
【図11】図9のC−C及びD−D線断面図である。
【図12】本発明に係るトンネル掘進機の防水シートの接合装置の他の実施の形態を示した要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1 防水シート
1a 既設防水シート
1b 新設防水シート
3 トンネル掘進機
4 テールフレーム
6 防水シート受けフレーム
25 (円周状)重合部
26 (周方向)接合装置
31 加熱接合端子
32 押付ローラ
33 溶着装置
34 周方向移動手段
35 径周方向移動手段
46 電熱ヒータ
54 案内ローラ
67 押付ローラ
68 案内ローラ
69 同期回転機構

Claims (5)

  1. トンネル掘進機で組み立てられるセグメントの外周面に敷設すべくトンネル掘進機内で巻き立てられた既設防水シートと新設防水シートとの周方向に延びる重合部を接合するトンネル掘進機における防水シートの接合装置であって、上記既設防水シートと新設防水シートとの間に挿入されその重合部を加熱する加熱接合端子と、その加熱接合端子で加熱された防水シートの重合部を径方向外側へ押し付ける押付ローラと、テールフレームの内周に沿って配置され円筒状に巻き立てられた上記防水シートをその外周から覆う防水シート受けフレームと、上記加熱接合端子及び押付ローラを備えた溶着装置をトンネル掘進機の周方向に移動させる周方向移動手段と、上記溶着装置をトンネル掘進機の径方向に移動させる径方向移動手段とを備えたことを特徴とするトンネル掘進機における防水シートの接合装置。
  2. 上記加熱接合端子が、上記既設防水シートと新設防水シートとの間に挿入されてその内側から各防水シートを直接加熱すべく断面流線形の板状に形成されその内部に電熱ヒータを有する請求項1記載のトンネル掘進機における防水シートの接合装置。
  3. 上記加熱接合端子の径方向内方位置に、上記新設防水シートを上記加熱接合端子に当接させるための案内ローラが設けられた請求項1または2いずれかに記載のトンネル掘進機における防水シートの接合装置。
  4. 上記押付ローラが、その回転軸が傾斜自在に形成され上記防水シート受けフレームの内周面に追従して回動する請求項1から3いずれかに記載のトンネル掘進機における防水シートの接合装置。
  5. 上記押付ローラに、その押付ローラを上記防水シート上の走行に同期して回転させる同期回転機構を接続した請求項1から4いずれかに記載のトンネル掘進機における防水シートの接合装置。
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