JP3919584B2 - 床板固定具、床板敷設方法および床構造 - Google Patents
床板固定具、床板敷設方法および床構造 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、根太上に複数の床板を敷設するための床板固定具、床板敷設方法および床構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
屋外に配置する床構造として、木製の床板を複数枚敷設してなる、いわゆる木製デッキが知られている。この木製デッキは、床スラブに複数の支持脚を立設し、支持脚上に複数の根太を横架させて配置し、さらに、根太に直交する方向に複数の長尺状のデッキ材(床板)を所定間隔離間して敷設したものである。デッキ材の敷設には、根太上にデッキ材を並べ、一定の目地幅を作りながらデッキ材上部からねじ穴を加工して、木ビス等で根太に固定している。
【0003】
このような一般的な木製デッキは、外観をよくするために目地幅をそろえることが難しく、また、耐久性を高めるためにデッキ材には、たとえば、イペ材や、ジャラ材など比重が大きい硬質の木材が用いられているので、ねじ穴加工に非常に手間がかかるといった問題がある。
【0004】
これらの問題を解決するものとして、目地幅を容易にそろえ、デッキ材にねじ穴を形成することを必要としない床構造が、特開2002−54294号公報に開示されている。この公報に記載の床構造は、床板の両側面に長尺方向の溝が形成されており、この溝に嵌合する固定具を根太上の床板間に配置することにより床板を固定する構造となっている。この固定具は、両側に配置される床板の溝に嵌合し、どちらの固定にも用いられる。
【0005】
したがって、床板を敷設する際には、まず、床板を一枚並べてこの床板の溝に嵌合するように固定具を取り付け、そして、その固定具に嵌合するように次の床板を並べ、並べた床板の反対の溝に嵌合するように次の固定具を取り付けるといった手順で、端から順に床板を敷設し、固定具を取り付けていく必要がある。
【0006】
しかしながら、上記公報に記載の床構造では、床板および固定具を端から順に配置および固定していくので、床構造の施工後には、一部の床板を自由に取り外すことができない。
【0007】
すなわち、たとえば、経年により一部にささくれが生じた床板を交換したい場合等でも、端の床板から交換したい床板まで順に外していって交換するか、あるいは、交換したい床板を破壊して同じ場所に新しい床板を木ねじ等により根太に打付けなくてはならない。
【0008】
このように床板を順に外すのでは非常に手間がかかり、また、交換したい床板を破壊し新たな床板を打付けるのでは外観上好ましくなく、また、ねじ穴を設ける手間がかかってしまう。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、床板の取り付けの際に該床板にねじ穴を形成する必要がなく、また、床構造の施工後でも必要に応じて床板を容易に交換することができる床板固定具、床板敷設方法および床構造の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0011】
(1)本発明の床板固定具は、根太上に複数の長尺状の床板を所定間隔離間して固定するための床板固定具であって、
前記根太の上面に固定され、所定の床板の下部に配置される第1受板および隣接する床板の下部に配置される第2受板、前記第1受板および第2受板間において各端部から前記床板の長手方向に所定長切り込まれた第1切込溝および第2切込溝、および、前記第1受板および前記第2受板の各端部から前記床板の長手方向に所定長凹設された第1押し溝および第2押し溝を含んでなる平板本体と、
前記第1押し溝または第2押し溝に嵌合される下部嵌合片、前記床板の両側面に長尺方向に形成される長尺溝の一方に嵌合する上部嵌合片、および、前記上部嵌合片および前記下部嵌合片を連結し、前記第1切込溝または第2切込溝に嵌合する中間嵌合片を含んでなる駒部材と、
を有し、
前記駒部材は、前記下部嵌合片が前記第1押し溝または第2押し溝に嵌合し、前記上部嵌合片が前記長尺溝の一方に嵌合し、前記中間嵌合片が前記第1切込溝または第2切込溝に嵌合した状態において、前記長尺溝の他方に嵌合する駒部材と共に前記床板を固定する。
【0012】
(2)前記第1受板および第2受板の間には、隣り合う床板間に所定間隔の目地を設けるための目地形成板が配置されてなる。
【0013】
(3)前記目地形成板は、前記第1切込溝および第2切込溝間に設けられ、前記駒部材の嵌合時に前記中間嵌合片と当接する。
【0014】
(4)前記第1押し溝および第2押し溝には、前記下部嵌合片の嵌合時に前記駒部材の変位を規制する凸部が形成されてなる。
【0015】
(5)前記第1切込溝に嵌合する駒部材と、前記第2切込溝に嵌合する他の駒部材とは相互に隣接する前記床板の固定に用いられる。
【0017】
(6)本発明の床板敷設方法は、根太の上面に固定される平板本体と、該平板本体および床板に嵌合可能な駒部材とを用いて、長尺状の床板を根太上に所定距離離間して敷設する床板敷設方法であって、
所定の前記床板の下部に配置される第1受板、隣接する床板の下部に配置される第2受板、前記第1受板および第2受板間において各端部から前記床板の長尺方向に所定長切り込まれた第1切込溝および第2切込溝、および、前記第1受板および前記第2受板の各端部から前記床板の長尺方向に所定長凹設された第1押し溝および第2押し溝を含んでなる前記平板本体を、前記根太上に所定数整列して固定する工程と、
前記第1押し溝または第2押し溝に嵌合される下部嵌合片、前記床板の両側面に長尺方向に形成される長尺溝の一方に嵌合する上部嵌合片、および、前記上部嵌合片および前記下部嵌合片を連結し、前記第1切込溝または第2切込溝に嵌合する中間嵌合片とを含んでなる前記駒部材の上部嵌合片を、前記床板の両側面に長尺方向に形成された両長尺溝にそれぞれ嵌合する工程と、
隣接する前記平板本体間に、前記駒部材が嵌合された床板を配置する工程と、
前記第1受板上の床板の前記長尺溝に嵌合された駒部材を前記長尺溝に嵌合したままスライドし、その下部嵌合片を当該平板本体の第1押し溝に嵌合すると共に前記中間嵌合片を前記第1切込溝に嵌合し、前記第2受板上の床板の前記長尺溝に嵌合された駒部材を前記長尺溝に嵌合したままスライドし、その下部嵌合片を該平板本体の第2押し溝に嵌合すると共に前記中間嵌合片を前記第2切込溝に嵌合することにより前記平板本体に前記駒部材を嵌合する工程と、を有する。
【0018】
(7) 本発明の床構造は、根太上に複数の床板が整列して配置される床構造であって、
所定の前記床板の下部に配置される第1受板、隣接する床板の下部に配置される第2受板、前記第1受板および第2受板間において各端部から前記床板の長尺方向に所定長切り込まれた第1切込溝および第2切込溝、および、前記第1受板および前記第2受板の各端部から前記床板の長尺方向に所定長凹設された第1押し溝および第2押し溝を含み、前記根太上に固定される平板本体と、
前記第1押し溝または第2押し溝に嵌合される下部嵌合片、前記床板の両側面に長尺方向に形成される長尺溝の一方に嵌合する上部嵌合片、および、前記上部嵌合片および前記下部嵌合片を連結し、前記第1切込溝または第2切込溝に嵌合する中間嵌合片を含んでなる駒部材と、
を有し、
前記駒部材の前記下部嵌合片が前記第1押し溝または第2押し溝に嵌合し、前記上部嵌合片が前記長尺溝の一方に嵌合し、前記中間嵌合片が前記第1切込溝または第2切込溝に嵌合した状態において、同一の床板の異なる長尺溝に嵌合する駒部材同士が前記床板を固定している。
【0019】
(8)前記根太の下部には、高さ調節のための高さ調節機構が設けられている。
【0020】
(9)前記床板は、硬質の木材である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
本発明は、木製の床板を複数枚敷設してなる床構造に関し、特に、床板を固定する構造に特徴を有する。
【0023】
図1は、本発明の床構造を示す斜視図である。
【0024】
図1に示すように、本発明の床構造は、支持脚1と、該支持脚上に横架される根太2と、該根太2に対して直交方向に配置される床板3と、該床板3を根太に固定するための床板固定具4とにより構成されている。
【0025】
支持脚1は、支柱10と、支え部11とを備える。支柱10は、床スラブ上に立設され固定されている。支え部11は、支柱10に対する高さを調節することができ、上部に配置される根太2を支持する高さを変更することができる。支え部11の高さ調節を実現するための機構としては、たとえば、支柱10の外周にねじ山を形成し、支え部11の内周にねじ溝を形成して、これらを螺合する構成が考えられる。支え部11を回転させることにより高さを変更することができる。この高さ調節機構により、支持脚1を立設する床スラブが傾斜していたり、凹凸がある場合でも、根太を水平に保つことができる。
【0026】
根太2は、支持脚1上に横架され、水平に支持される。
【0027】
床板3は、長尺状の板材であり、その両側面に長尺方向に長尺溝30が形成されている。床板3は、床板固定具4により、所定間隔離間して、すなわち、床板3間に所定の目地を設けて、根太2上に配置される。
【0028】
床板固定具4は、根太2に直接固定される平板本体5と、該平板本体5と床板3との両方に嵌合する駒部材6とからなる。駒部材6が床板3の長尺溝30に嵌合しつつ、平板本体5に打ち込まれることにより、該駒部材6が平板本体5に固定され、該駒部材6により床板3が根太2に固定される。
【0029】
平板本体5および駒部材6の構成について、以下に詳述する。
【0030】
図2は平板本体5および駒部材6の斜視図、図3は平板本体5の平面図、図4は平板本体5の底面図、図5は図3に示す平板本体5のA−A断面図、図6は図3に示す平板本体5を紙面左側から見た側面図である。なお、図2では、床板3を省略して、例示的に駒部材6aおよび6b(以下では任意の駒部材を参照番号6で示す)が平板本体5に嵌合する様子を示している。
【0031】
<平板本体5>
図2に示すように、平板本体5は、第1受板51と、第2受板52と、第1受板51および第2受板52間に設けられる目地形成板53とから構成されている。
【0032】
第1受板51は、床構造の施工時において、所定の床板3の下部に配置され、第2受板52は、第1受板51上の床板3と隣接する床板3の下部に配置される。また、第1受板51および第2受板52には、それぞれ、根太2にねじ止めするためのねじ穴54が形成されている。
【0033】
目地形成板53は、第1受板51上の床板3と第2受板52上の床板3とを所定間隔離隔し、床板3間に所定の目地を設けるために、所定の幅を有して形成されている。目地形成板53が設けられているので、床板3の敷設後には、隣接する床板3間の目地幅をきれいにそろえることができる。
【0034】
図3に示すように、平板本体5を上面から見ると、第1受板51および第2受板52と目地形成板53とにより、平板本体5の各端部から所定長切り込まれた第1切込溝55aおよび第2切込溝55b(以下、任意の切込溝を参照番号55で示す)が形成される。
【0035】
また、図3に点線で示すように、第1受板51および第2受板52の底面には、第1受板51および第2受板52の端部から所定長凹設された第1押し溝56aおよび第2押し溝56b(以下、任意の押し溝を参照番号56で示す)が形成されている。これらの第1押し溝56aおよび第2押し溝56bは、平板本体5が根太2上に固定された状態では、第1受板51および第2受板52の下部に配置される。
【0036】
第1押し溝56aおよび第2押し溝56bには、図4に示すように、凸部57aおよび57bが形成されている。凸部57aおよび57bは、図3に示す平板本体5のA−A断面から見ると、図5に示すように、第1受板51の下面に押し溝56に向かって突出して形成されている。凸部57aおよび57bは、駒部材6が平板本体5に打ち込まれた際に、凹部64(図2参照)と凹凸嵌合して、駒部材6の変位を規制する。
【0037】
上述の切込溝55と、押し溝56との関係をより明確にすると、図6に示すように、切込溝55は第1受板51および第2受板52間に目地と同一幅に形成された溝であり、押し溝56は切込溝55の下部に第1受板51および第2受板52を切り欠くように形成された溝である。したがって、切込溝55と押し溝56とは互いに連通しており、それぞれに駒部材6が嵌合する。なお、本実施の形態では、切込溝55と押し溝56とは互いに連通しているが、連通していない場合も考えられる。
【0038】
<駒部材6>
図2に戻って駒部材6について詳細に説明する。図2では、駒部材6は、平板本体5に打ち込まれて嵌合されることにより、駒部材6は第1受板51上の床板3を固定し、駒部材6´は第2受板52上の床板3を固定する。図2に示すように、駒部材6と駒部材6´とは異なる向きに嵌合され、隣接する異なる床板3の固定に用いられるので、隣接する2つの床板3を固定するための2つの駒部材6および6´を1つの平板本体に嵌合することができ、平板本体5の配置個数および配置スペース等を低減することができる。
【0039】
駒部材6は、押し溝56に嵌合される下部嵌合片61と、床板3の長尺溝30の一方に嵌合する上部嵌合片62と、上部嵌合片62および下部嵌合片61を連結し、切込溝55に嵌合する中間嵌合片63とから構成されている。
【0040】
駒部材6は、床板3の長尺溝30に上部嵌合片62が嵌合された状態で、平板本体5に打ち込まれる力を加えられて、中間嵌合片63が切込溝55に嵌合され、下部嵌合片61が押し溝56に嵌合される。下部嵌合片61には凹部64が形成されており、嵌合時には、該凹部64が押し溝56の凸部57と凹凸嵌合して、駒部材6の変位が規制される。これにより、駒部材6が外れることを防止し、駒部材6による床板3の固定をより堅固にすることができる。
【0041】
平板本体5に駒部材6を打ち込む際には、駒部材6を直接金槌等で叩いて、駒部材6に力を加える。駒部材6を直接叩けない場合、たとえば、両隣の床板3が敷設済みで目地の分しか隙間がない場合には、細形状の工具を駒部材6に当接して該工具を金槌等で叩いて、駒部材6に力を加える。打ち込まれた駒部材6は、中間嵌合片63が目地形成板53に当接し、必要以上に打ち込まれないように位置決めされる。平板本体5から駒部材6を取り外す際には、同様に、金槌等で叩いて取り外す方向に力を加える。
【0042】
<床板3>
次に、床板3について説明する。図7は床板3の寸法例を示す正面図である。
【0043】
床板3は、たとえば、図7に示すような寸法で形成される。床板3には、上述の通り、長尺溝30が形成されている。床板3は、床板3の高さ30mmに対して、長尺溝30の深さおよび幅が10mmに形成されている。したがって、本発明で用いる床板3は、2mmや3mmの幅の溝を要求するものではないので、このような溝を加工する場合に比べて、求められる精度に加工することが容易である。
【0044】
また、長尺溝30の幅が10mmと広いので、加工具も相対的に大きく刃先が大きなものを使用することができる。刃先が大きな加工具を使用できるので、刃先が小さく鋭角なものを使用した場合に比較して、加工具の耐久性が上がり、頻繁な加工具の交換といった手間およびコストの増大を軽減することができる。
【0045】
床板3には、イペ材や、ジャラ材など比重が大きい硬質の木材が用いられており、床構造の耐久性を向上することができる。床板3は、予め溝30を形成しておき、敷設の際に穴あけ等の加工を行う必要ないので、硬質の木材が現場で加工しにくいという問題も考慮する必要がない。
【0046】
なお、上記の床板3の形状および寸法は、例示的なものであり、これに限定するものではない。
【0047】
<敷設工程>
次に、床板3を根太2上に敷設する工程を順に説明する。
【0048】
図8は根太2に平板本体5を取り付ける工程を示す図、図9は床板3に駒部材6を取り付ける工程を示す図、図10は駒部材を平板本体5に嵌合する工程を示す図、図11は図10のB−B断面を示す図である。なお、根太2は既に支持脚1上に適当な高さに調節されて取り付けられているものとする。
【0049】
図8に示すように、まず、根太2上に複数の平板本体5を取り付ける。ここで、平板本体5は、同一根太2上に等間隔に配置し、異なる根太2上の平板本体5と相互に整列するように配置する。したがって、根太2上の平面において、平板本体が縦横に整列して配置されることになる。配置する際の平板本体5の向きは、根太2の長手方向に対して、切込溝55が直交する向きとする。
【0050】
同一根太2上に配置する平板本体5の間隔は、敷設する床板3の幅に基づいて決定する。すなわち、同一根太2上に隣接する平板本体5の目地形成板53間の距離が床板3の幅と略一致する間隔に決定する。また平板本体5を取り付ける際には、上述のように、平板本体5に設けられたねじ穴54上からねじ止めしたり、釘付けしたりして固定する。
【0051】
次に、根太2の配置とは別に、図9に示すように、床板3の両側面の長尺溝30にそれぞれ駒部材6の上部嵌合片62を嵌合させる。図1または図8に示すように、3本の根太2上に横架する床板3を敷設する場合、床板3の両側面の長尺溝30にそれぞれ3個ずつ駒部材6を嵌合する。これにより、3本の根太2に床板3が固定される。
【0052】
最後に、駒部材6を嵌合させた床板3を平板本体5間に配置し、床板3の長尺方向に直交する方向から駒部材6を金槌等で叩いて、駒部材6を平板本体5に打ち込む。すなわち、駒部材6の上部嵌合片62を床板3の長尺溝30に嵌合させたまま該溝30をスライドさせて、下部嵌合片61を平板本体5の押し溝56に嵌合させ、中間嵌合片を平板本体5の切込溝55に嵌合させる。
【0053】
床板3に嵌合させた駒部材6の全てについて、平板本体5に打ち込むと、図10に示すように、床板3の幅方向に隣接する駒部材6aおよび6bが隣接する平板本体5に打ち込まれた状態となり、駒部材6aおよび6bが床板3を挟持する。
【0054】
駒部材6は、図11に示すように、上部嵌合片62と下部嵌合片61とにより、平板本体5および床板3を挟持する。また、下部嵌合片61は、押し溝56に嵌合することにより、平板本体5と根太2との間に挟持される。打ち込まれた駒部材6aおよび6bは、平板本体5の凸部57に凹部64が凹凸嵌合して移動が規制される。
【0055】
床板3を取り外す場合には、上記手順を逆に行う。すなわち、まず、取り外したい床板3を固定している駒部材6を金槌等で叩いて、全て平板本体5から取り外す。そして、床板3を持ち上げて、駒部材6を長尺溝30から取り外せば、床板3の取り外しが終了する。
【0056】
以上のように、本実施の形態では、根太2上に配置した平板本体5間に、駒部材6を嵌合させた床板3を配置し、駒部材6を長尺溝30に嵌合させた状態で平板本体5に打ち込み、床板3を固定するので、取り付けに際して床板3に穴をあけてねじ止め等する必要がなく、簡易な構成で床板3の取り付けを容易に行うことができる。固定のためにねじ止め等の必要がないので、床板3を取り外す場合にも、駒部材を平板本体5から外すことによって、床板3を破壊することなく容易に交換することができる。
【0057】
また、床板3を固定する手段として、駒部材6が平板本体5に嵌合自在な床板固定具4を用いており、床板固定具4は、異なる駒部材6で隣接する床板3を固定するので、一方の床板3を固定する駒部材6のみを平板本体5から取り外せば、該一方の床板3を取り外すことができる。すなわち、床板3の取り外しの際に、隣接する床板3の取り外しまでも伴わず、たとえば、床構造の真中に配置された床板3を1枚だけ交換する際にも、該床板3を固定する駒部材6を取り外せば、所望の1枚だけを取り外すことができる。そして、床板3を取り外した部分に新たな床板3を駒部材6を嵌合させて配置し、駒部材6を平板本体5に打ち込んで固定することができる。
【0058】
したがって、床構造の施工後にも、容易に床板3を交換することができ、床板3下に落下した貴重品等を拾い上げることができる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明は、床板の長尺溝に嵌合した駒部材が平板本体に嵌合した状態において、長尺溝の他方に嵌合する他の駒部材と共に床板を固定するので、床板の取り付けの際に、該床板に穴を開けてねじ止め等する必要がなく、取り付けを容易に行うことができる。固定のためにねじ止め等の必要がないので、駒部材を平板本体から外すことによって、床板を破壊することなく容易に取り外すことができる。
【0060】
また、駒部材の嵌合または取り外しにより床板を固定または固定解除することができるので、両側に隣接する床板が既に固定されていても、その間に任意の床板を配置して固定することができ、また、隣接する床板の取り外しを伴わずに、任意の床板の取り外すことができる。
【0061】
請求項2に記載の発明は、目地形成板が設けられているので、隣接する床板間の目地幅をそろえることができる。
【0062】
請求項3に記載の発明は、目地形成板が第1切込溝および第2切込溝間に設けられ、駒部材の嵌合時に中間嵌合片と当接するので、駒部材が平板本体に打ち込まれすぎないように、位置決めすることができる。
【0063】
請求項4に記載の発明は、第1押し溝および第2押し溝に形成される凸部により、駒部材の変位が規制されるので、床板の固定をより堅固にすることができる。
【0064】
請求項5に記載の発明は、第1切込溝に嵌合する駒部材と、第2切込溝に嵌合する他の駒部材とは相互に隣接する前記床板の固定に用いられるので、隣接する2つの床板を固定するための2つの駒部材を一つの平板本体に嵌合することができる。
【0066】
請求項6に記載の発明は、床板の長尺溝に嵌合した駒部材が平板本体に嵌合した状態において、長尺溝の他方に嵌合する他の駒部材と共に床板を固定するので、床板の取り付けの際に、該床板に穴を開けてねじ止め等する必要がなく、取り付けを容易に行うことができる。固定のためにねじ止め等の必要がないので、駒部材を平板本体から外すことによって、床板を破壊することなく、交換することができる。
【0067】
また、駒部材の嵌合または取り外しにより床板を固定または固定解除することができるので、両側に隣接する床板が既に固定されていても、その間に任意の床板を配置して固定することができ、また、隣接する床板の取り外しを伴わずに、任意の床板の取り外すことができる。
【0068】
請求項7に記載の発明は、床板の長尺溝に嵌合した駒部材が平板本体に嵌合した状態において、長尺溝の他方に嵌合する他の駒部材と共に床板を固定するので、床板の取り付けの際に、該床板に穴を開けてねじ止め等する必要がなく、取り付けを容易に行うことができる。固定のためにねじ止め等の必要がないので、駒部材を平板本体から外すことによって、床板を破壊することなく交換することができる。
【0069】
また、駒部材の嵌合または取り外しにより床板を固定または固定解除することができるので、両側に隣接する床板が既に固定されていても、その間に任意の床板を配置して固定することができ、また、隣接する床板の取り外しを伴わずに、任意の床板の取り外すことができる。
【0070】
請求項8に記載の発明は、根太の下部に高さ調節機構が設けられているので、地面に傾斜や凹凸があっても、根太を水平にすることができる。
【0071】
請求項9に記載の発明は、床板が硬質の木材であるので、耐久性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の床構造を示す斜視図である。
【図2】 平板本体および駒部材の斜視図である。
【図3】 平板本体の平面図である。
【図4】 平板本体の底面図である。
【図5】 図3に示す平板本体のA−A断面図である。
【図6】 図3に示す平板本体を紙面左側から見た側面図である。
【図7】 床板の寸法例を示す正面図である。
【図8】 根太に平板本体を取り付ける工程を示す図である。
【図9】 床板に駒部材を取り付ける工程を示す図である。
【図10】 駒部材を平板本体に嵌合する工程を示す図である。
【図11】 図10のB−B断面を示す図である。
【符号の説明】
1…支持脚、
2…根太、
3…床板、
4…床板固定具、
5…平板本体、
6、6a、6b…駒部材、
10…支柱、
11…支え部、
30…長尺溝、
51…第1受板、
52…第2受板、
53…目地形成板、
54…ねじ穴、
55、55a、55b…切込溝、
56、56a、56b…押し溝、
57、57a、57b…凸部、
61…下部嵌合片、
62…上部嵌合片、
63…中間嵌合片、
64…凹部。
Claims (9)
- 根太上に複数の長尺状の床板を所定間隔離間して固定するための床板固定具であって、
前記根太の上面に固定され、所定の床板の下部に配置される第1受板および隣接する床板の下部に配置される第2受板、前記第1受板および第2受板間において各端部から前記床板の長手方向に所定長切り込まれた第1切込溝および第2切込溝、および、前記第1受板および前記第2受板の各端部から前記床板の長手方向に所定長凹設された第1押し溝および第2押し溝を含んでなる平板本体と、
前記第1押し溝または第2押し溝に嵌合される下部嵌合片、前記床板の両側面に長尺方向に形成される長尺溝の一方に嵌合する上部嵌合片、および、前記上部嵌合片および前記下部嵌合片を連結し、前記第1切込溝または第2切込溝に嵌合する中間嵌合片を含んでなる駒部材と、
を有し、
前記駒部材は、前記下部嵌合片が前記第1押し溝または第2押し溝に嵌合し、前記上部嵌合片が前記長尺溝の一方に嵌合し、前記中間嵌合片が前記第1切込溝または第2切込溝に嵌合した状態において、前記長尺溝の他方に嵌合する駒部材と共に前記床板を固定する床板固定具。 - 前記第1受板および第2受板の間には、隣り合う床板間に所定間隔の目地を設けるための目地形成板が配置されてなる請求項1に記載の床板固定具。
- 前記目地形成板は、前記第1切込溝および第2切込溝間に設けられ、前記駒部材の嵌合時に前記中間嵌合片と当接する請求項2に記載の床板固定具。
- 前記第1押し溝および第2押し溝には、前記下部嵌合片の嵌合時に前記駒部材の変位を規制する凸部が形成されてなる請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の床板固定具。
- 前記第1切込溝に嵌合する駒部材と、前記第2切込溝に嵌合する他の駒部材とは相互に隣接する前記床板の固定に用いられる請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の床板固定具。
- 根太の上面に固定される平板本体と、該平板本体および床板に嵌合可能な駒部材とを用いて、長尺状の床板を根太上に所定距離離間して敷設する床板敷設方法であって、
所定の前記床板の下部に配置される第1受板、隣接する床板の下部に配置される第2受板、前記第1受板および第2受板間において各端部から前記床板の長尺方向に所定長切り込まれた第1切込溝および第2切込溝、および、前記第1受板および前記第2受板の各端部から前記床板の長尺方向に所定長凹設された第1押し溝および第2押し溝を含んでなる前記平板本体を、前記根太上に所定数整列して固定する工程と、
前記第1押し溝または第2押し溝に嵌合される下部嵌合片、前記床板の両側面に長尺方向に形成される長尺溝の一方に嵌合する上部嵌合片、および、前記上部嵌合片および前記下部嵌合片を連結し、前記第1切込溝または第2切込溝に嵌合する中間嵌合片とを含んでなる前記駒部材の上部嵌合片を、前記床板の両側面に長尺方向に形成された両長尺溝にそれぞれ嵌合する工程と、
隣接する前記平板本体間に、前記駒部材が嵌合された床板を配置する工程と、
前記第1受板上の床板の前記長尺溝に嵌合された駒部材を前記長尺溝に嵌合したままスライドし、その下部嵌合片を当該平板本体の第1押し溝に嵌合すると共に前記中間嵌合片を前記第1切込溝に嵌合し、前記第2受板上の床板の前記長尺溝に嵌合された駒部材を前記長尺溝に嵌合したままスライドし、その下部嵌合片を該平板本体の第2押し溝に嵌合すると共に前記中間嵌合片を前記第2切込溝に嵌合することにより前記平板本体に前記駒部材を嵌合する工程と、
を有する床板敷設方法。 - 根太上に複数の床板が整列して配置される床構造であって、
所定の前記床板の下部に配置される第1受板、隣接する床板の下部に配置される第2受板、前記第1受板および第2受板間において各端部から前記床板の長尺方向に所定長切り込まれた第1切込溝および第2切込溝、および、前記第1受板および前記第2受板の各端部から前記床板の長尺方向に所定長凹設された第1押し溝および第2押し溝を含み、前記根太上に固定される平板本体と、
前記第1押し溝または第2押し溝に嵌合される下部嵌合片、前記床板の両側面に長尺方向に形成される長尺溝の一方に嵌合する上部嵌合片、および、前記上部嵌合片および前記下部嵌合片を連結し、前記第1切込溝または第2切込溝に嵌合する中間嵌合片を含んでなる駒部材と、
を有し、
前記駒部材の前記下部嵌合片が前記第1押し溝または第2押し溝に嵌合し、前記上部嵌合片が前記長尺溝の一方に嵌合し、前記中間嵌合片が前記第1切込溝または第2切込溝に嵌合した状態において、同一の床板の異なる長尺溝に嵌合する駒部材同士が前記床板を固定している床構造。 - 前記根太の下部には、高さ調節のための高さ調節機構が設けられている請求項7に記載の床構造。
- 前記床板は、硬質の木材である請求項7または請求項8に記載の床構造。
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