JP3919477B2 - 過給機付き内燃機関における過給圧制御装置 - Google Patents

過給機付き内燃機関における過給圧制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気ターボ過給機等の過給機を備えた内燃機関において、その過給圧を内燃機関の運転に合わせて制御するようにした装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
排気ターボ過給機等の過給機を備えた内燃機関において、過給機が十分に働いて状態からスロットル弁を急閉して減速に入ると、内燃機関に対する過給圧が、前記過給機の慣性回転によって異常に高くなり、大きなサージ音が発生する。
【0003】
そこで、先行技術として特開平3−206320号公報は、内燃機関への吸気管路に、当該吸気管路中に設けた過給機の圧縮機に対して、その上流側と下流側とを接続するバイパス通路を設け、このバイパス通路中に、当該バイパス通路を開閉するバイパス制御弁を設けて、このバイパス制御弁を、スロットル弁を急閉しての減速時においてのみ適宜時間だけ開くことにより、圧縮機の下流側における過給圧を圧縮機の上流側に逃がして、過給圧の急激な上昇を防止して、サージ音を低くすることを提案している。
【0004】
この先行技術は、より具体的には、前記バイパス通路中のバイパス制御弁を、ダイヤフラム式にして、ばねにて常閉に保持する一方、このバイパス制御弁においてダイヤフラムを挟む両圧力室、つまり、第1圧力室及び第2圧力室の両方に、スロットル弁より下流の吸気圧を吸気圧伝達管路を介して導入し、この両圧力室のうち第2圧力室への吸気圧伝達管路中に、絞りオリフィスと当該第2圧力室への方向にのみ開くようにした逆止弁とを並列に設けることにより、
▲1▼.過給運転の状態からスロットル弁を急閉して減速にすると、当該スロットル弁より下流の吸気圧が、大気圧より以下の負圧になるように下がり、この大気圧の負圧が、吸気圧伝達管路を介して前記両圧力室に伝えるのであるが、第1圧力室には遅れなく瞬時に伝えられる一方、第2圧力室には、当該第2圧力室への吸気圧伝達管路に設けた絞りオリフィスにて遅れて伝えられことでこの第2圧力室の圧力が徐々に下がり、前記両圧力室間に圧力差ができ、この圧力差にて、前記バイパス制御弁をばねに抗して開き作動し、やがて、前記第2圧力室における圧力が第1圧力室における圧力に対して或る程度近づくように下がった時点で、前記バイパス制御弁をそのばねにて閉じる。
▲2▼.前記した減速状態の途中において、スロットル弁を開いて加速にした場合、このスロットル弁より下流における吸気圧が、前記第1圧力室に、当該第1圧力室への吸気圧伝達管路を介して伝達されるとともに、第2圧力室に、当該第2圧力室への吸気圧伝達管路に設けた逆止弁を介して遅れなく伝達されることにより、前記バイパス制御弁を、そのばねにて閉じる。
というように構成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この場合において、減速時におけるサージ音をより低くするには、前記第2圧力室に対する前記絞りオリフィスの口径を小さくすることにより、第2圧力室への吸気圧の伝達をより遅らせて、前記バイパス制御弁を素早く開くように構成すれば良い。
【0006】
しかし、前記先行技術の構成において、前記減速状態の途中でスロットル弁を開いての加速を、例えば、前記減速の直後のように、前記バイパス制御弁の第2圧力室における圧力が十分に下がっていない状態で行う場合、前記バイパス制御弁のばねによる閉作動は、第2圧力室内における圧力(減速前の高い圧力になっている)が、当該第2圧力室から抜けることによって行われるもので、この第2圧力室からの圧力の抜けは、専ら、当該第2圧力室への吸気圧伝達管路(スロットル弁より下流の圧力はバイパス制御弁が開くことにより低くなっている)に設けた絞りオリフィスのみから行われることになる。
【0007】
従って、前記絞りオリフィスの口径を、サージ音を低くすることのために小さくすると、前記減速の直後のように第2圧力室における圧力が十分に下がっていない状態から加速する場合における前記バイパス制御弁の閉作動が、前記絞りオリフィスの口径を小さくした分だけ遅れることになるから、第2圧力室における圧力が十分に下がっていない状態からの加速応答性が低下する。
【0008】
つまり、前記先行技術の構成では、前記絞りオリフィス口径を小さくすると、サージ音の確実な低減を図ることができるが、その反面、例えば、減速の直後のように第2圧力室における圧力が十分に下がっていない状態からの加速応答性が低下することになり、また、前記絞りオリフィス口径を大きくすると、減速の直後のように第2圧力室における圧力が十分に下がっていない状態からの加速応答性を向上できるが、その反面、サージ音の確実な低減を図ることができないという問題があった。
【0009】
本発明は、この問題を解消した過給圧制御装置を提供することを技術的課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を達成するため本発明は、
「内燃機関への吸気管路に、当該吸気管路中に設けた過給機の圧縮機に対して、その上流側と下流側とを接続するバイパス通路を設け、このバイパス通路中に圧力作動式のバイパス制御弁を設け、このバイパス制御弁を、ばねにて常閉に保持する一方、このバイパス制御弁において圧力作動体を挟む両圧力室、つまり、第1圧力室及び第2圧力室の両方に、スロットル弁より下流の吸気圧を吸気圧伝達管路を介して導入し、この両圧力室のうち第2圧力室への吸気圧伝達管路中に、絞りオリフィスと当該第2圧力室への方向にのみ開くようにした逆止弁とを並列に設けて成る過給圧制御装置において、
前記第2圧力室と、前記吸気管路のうち前記圧縮機より下流の部分とを接続する連通路を設け、この連通路中に、前記吸気管路への方向にのみ開くようにした逆止弁を設けた。」
ことを特徴としている。
【0011】
【発明の作用・効果】
この構成において、過給運転の状態からスロットル弁を急閉して減速にすると、スロットル弁より上流側の過給圧が高くなるが、この高い過給圧は、第2圧力室に伝達されることを、連通路中に設けた逆止弁にて確実に阻止することができる。
【0012】
一方、前記スロットル弁より下流の吸気圧は、大気圧より以下の負圧になるように下がり、この大気圧の負圧は、第1圧力室には、当該第1圧力室への吸気圧伝達管路を介して瞬時に伝えられる一方、第2圧力室には、当該第2圧力室への吸気圧伝達管路に設けた絞りオリフィスにて遅れて伝えられことでこの第2圧力室の圧力が徐々に下がり、前記両圧力室間に圧力差ができ、この圧力差にて、前記バイパス制御弁をばねに抗して開き作動することにより、圧縮機の下流側における過給圧を圧縮機の上流側に逃がすことができる。
【0013】
また、前記減速状態の途中のうち、第2圧力室における圧力が十分に下がった状態(減速状態の時間が長い場合)において、スロットル弁を開いて加速にした場合、このスロットル弁より下流における吸気圧が、前記第1圧力室に、当該第1圧力室への吸気圧伝達管路を介して伝達されるとともに、第2圧力室に、当該第2圧力室への吸気圧伝達管路に設けた逆止弁を介して遅れなく伝達されることになるから、前記バイパス制御弁は、そのばねにて閉作動する。
【0014】
そして、前記減速に入った状態からの加速を、例えば、前記減速の直後のように、第2圧力室における圧力が十分に下がってない状態で行う場合、第2圧力室の圧力はまだ減速前の高い状態にあるが、スロットル弁より下流における吸気圧はバイパス制御弁が開くことにより第2圧力室の圧力よりも低くなっているため、このバイパス制御弁におけるそのばねによる閉作動は、前記第2圧力室内における圧力が、第2圧力室から抜ける(吸気圧伝達管路における逆止弁は吸気圧の方が第2圧力室より低いので開かない)ことによって行われることとなり、この第2圧力室内における圧力の抜けは、当該第2圧力室に対する吸気圧伝達管路に設けた絞りオリフィスから行われることに加えて、連通路に設けた逆止弁からも同時に行われるから、前記バイパス制御弁の閉作動を、前記先行技術のように、第2圧力室における圧力の抜けを専ら絞りオリフィスのみから行う場合よりも、素早く行うことができる。
【0015】
従って、本発明によると、第2圧力室に対する絞りオリフィスの口径を、減速の直後のように第2圧力室における圧力が十分に下がっていない状態から加速するときにおけるバイパス制御弁の閉作動を遅らせることなく、小さくすることができるから、サージ音の確実な低減と、減速の直後のように第2圧力室における圧力が十分に下がっていない状態からの加速応答性の向上とを同時に達成できる効果を有する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1の図面について説明する。
【0017】
この図において、符号1は、多気筒内燃機関を示し、この内燃機関1における一方の長手側面には、各気筒に対する吸気マニホールド2が、他方の長手側面には、各気筒から排気マニホールド3が各々取付けられている。
【0018】
また、符号4は、排気タービン4aとブロワー圧縮機4bとを直結して成る排気ターボ過給機を示し、この排気ターボ過給機4における排気タービン4aは、前記排気マニホールド3からの排気管路5中に、ブロワー圧縮機4bは、前記吸気マニホールド2への吸気管路6中に設けられている。
【0019】
前記吸気管路6には、前記吸気マニホールド2への接続部分にスロットル弁7が設けられていることに加えて、前記ブロワー圧縮機4bの上流側と下流側とを接続するバイパス通路8が設けられ、このバイパス通路8中には、圧力作動式のバイパス制御弁9が設けられている。
【0020】
前記バイパス制御弁9における弁体9aは、第1圧力室9bと第2圧力室9cとに区画するダイヤフラム又はピストン等の圧力作動体9dに連結されるとともに、前記第1圧力室9b内に設けたばね9eにて常閉に保持されている。
【0021】
前記バイパス制御弁9における第1圧力室9b及び第2圧力室9cに、前記吸気マニホールド2からの吸気圧伝達管路10,11を接続し、この両吸気圧伝達管路10,11のうち前記第2圧力室9cへの吸気圧伝達管路11の途中に、絞りオリフィス12と、第2圧力室9cの方向にのみ開くようにした逆止弁13とを並列に設ける。
【0022】
そして、前記第2圧力室9cへの吸気圧伝達管路11と、前記吸気管路6のうち前記ブロワー圧縮機4bより下流で前記スロットル弁7より上流側の部分とを接続する連通路14を設け、この連通路14中に、前記吸気管路6への方向にのみ開くようにした逆止弁15を設ける。
【0023】
なお、前記連通路14は、第2圧力室4cに対して直接に接続するという構成にしても良い。
【0024】
この構成において、過給運転の状態からスロットル弁7を急閉して減速にすると、スロットル弁7より上流側の過給圧が高くなるが、この高い過給圧は、第2圧力室4cに伝達されることを、連通路14中に設けた逆止弁15にて確実に阻止することができる。
【0025】
一方、前記スロットル弁7より下流の吸気圧は、スロットル弁7の急閉により、大気圧より以下の負圧になるように下がり、この大気圧の負圧は、第1圧力室9bには、当該第1圧力室9bへの吸気圧伝達管路10を介して瞬時に伝えられる一方、第2圧力室9cには、当該第2圧力室9cへの吸気圧伝達管路11に設けた絞りオリフィス12にて遅れて伝えられことでこの第2圧力室9cの圧力が徐々に下がり、前記両圧力室9b,9c間に圧力差ができ、この圧力差にて、前記バイパス制御弁9における弁体9aを、ばね9eに抗して開き作動することにより、ブロワー圧縮機4bの下流側における過給圧をブロワー圧縮機4bの上流側に逃がし、吸気圧を大気圧近傍にできる。
【0026】
また、前記減速状態の途中のうち、減速時間が長く、第2圧力室9cにおける圧力が大気圧以下の負圧になるまで十分に下がった状態において、スロットル弁7を開いて加速にした場合、このスロットル弁7より下流における吸気圧は、その上流側の圧力と略同じように大気圧近傍になり、その吸気圧が、前記第1圧力室9bに、当該第1圧力室9bへの吸気圧伝達管路10を介して伝達されるとともに、第2圧力室9cに、吸気圧が上記のように第2圧力室よりも高くなるために、当該第2圧力室9cへの吸気圧伝達管路11に設けた逆止弁13を介して遅れなく伝達されることになるから、前記バイパス制御弁9における弁体9aは、そのばね9eにて閉作動する。
【0027】
そして、前記減速に入った状態からの加速を、例えば、前記減速の直後のように、第2圧力室9cにおける圧力が減速前の吸気圧の状態から十分に下がってない状態で行う場合、第2圧力室は減速前の吸気圧に近い高い圧力にあり、一方スロットル弁より下流における吸気圧はスロットル弁開により、その上流側圧力で大気圧に近い状態(バイパス制御弁閉により大気圧近傍になっている)となるため、前記バイパス制御弁9の弁体9aにおけるそのばね9eによる閉作動は、前記第2圧力室9c内における圧力が、吸気圧伝達管路11側の圧力の方が低いために当該第2圧力室9cから抜けることによって行われるもので、この第2圧力室9c内における圧力の抜けは、当該第2圧力室9cに対する吸気圧伝達管路11に設けた絞りオリフィス12から行われる(この場合、吸気圧伝達管路11における逆止弁13は第2圧力室9cの方が圧力が高いので開かない)ことに加えて、連通路14に設けた逆止弁15からも同時に行われるから、前記バイパス制御弁9における弁体9aの閉作動を、前記先行技術のように第2圧力室9cからの空気の押し出しを専ら絞りオリフィス12のみから行う場合よりも、素早く行うことができる。
【0028】
なお、本発明は、排気ターボ過給機付きの内燃機関に限らず、内燃機関からの動力伝達によって駆動される機械式の過給機を備えた内燃機関に対しても適用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す図である。
【符号の説明】
1 内燃機関
2 吸気マニホールド
3 排気マニホールド
4 排気ターボ過給機
4b ブロワー圧縮機
6 吸気管路
7 スロットル弁
8 バイパス通路
9 バイパス制御弁
9a 弁体
9b 第1圧力室
9c 第2圧力室
9d 圧力作動体
9e ばね
10,11 吸気圧伝達管路
12 絞りオリフィス
13 逆止弁
14 連通路
15 逆止弁

Claims (1)

  1. 内燃機関への吸気管路に、当該吸気管路中に設けた過給機の圧縮機に対して、その上流側と下流側とを接続するバイパス通路を設け、このバイパス通路中に圧力作動式のバイパス制御弁を設け、このバイパス制御弁を、ばねにて常閉に保持する一方、このバイパス制御弁において圧力作動体を挟む両圧力室、つまり、第1圧力室及び第2圧力室の両方に、スロットル弁より下流の吸気圧を吸気圧伝達管路を介して導入し、この両圧力室のうち第2圧力室への吸気圧伝達管路中に、絞りオリフィスと当該第2圧力室への方向にのみ開くようにした逆止弁とを並列に設けて成る過給圧制御装置において、
    前記第2圧力室と、前記吸気管路のうち前記圧縮機より下流の部分とを接続する連通路を設け、この連通路中に、前記吸気管路への方向にのみ開くようにした逆止弁を設けたことを特徴とする過給機付き内燃機関における過給圧制御装置。
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