JP3917866B2 - 自動車の側突用エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車の側突用エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の車体上部のサイドルーフレールには、側面衝突用のエアバッグ装置を設けたものがある(類似技術として、特許第3125729号公報参照)。この種のエアバッグ装置は、前席から後席に至る前後長さのエアバッグを、上下方向に折り畳んで収納している。折り畳まれたエアバッグは、車室内側からヘッドライニングにより覆い隠される。
【0003】
サイドルーフレールの略中央からは下側へ延びるセンタピラーが形成され、このセンタピラーの車室内側にはガーニッシュが取付けられている。このガーニッシュの上端部と、ヘッドライニングの上端部とは、段差が生じないように、互いに重なり合った状態になっているが、特別に連結された状態にはなっていない。それは、エアバッグの膨張時におけるヘッドライニングの下端部の車室内側への自由な変形を許容するためである。
【0004】
すなわち、自動車の側面衝突時には、インフレータのガスにより膨張したエアバッグが、ヘッドライニングの下端部を車室内側へ押し開きながら、ガーニッシュの上端部を車室内側へ乗り越えて、下方へ向けてカーテン状に展開する。そして、展開したエアバッグが車体側壁と乗員との間に介在し、前後の乗員頭部を保護するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、膨張したエアバッグがヘッドライニングの下端部を車室内側へ押し開いて下方へ展開するようになっているが、センタピラーに対応する部分には車室内側にガーニッシュが設けられており、このガーニッシュの上端部が衝突時に車体側面に加わる衝撃によりセンタピラーから車室内側へ大きく離れるように変形し、該ガーニッシュの上端部とヘッドライニングの下端部との間で形成されるエアバッグ展開用の隙間を部分的に狭めていた。従って、このようなガーニッシュの上端部の車室内側への変形により、エアバッグ全体の下方への展開速度が低下するおそれがある。
【0006】
そのための対策として、従来は、ガーニッシュとセンタピラーとの間隔を大きく確保し、大きく確保した空間により、衝突時における衝撃を吸収して、ガーニッシュの上端部がセンタピラーから大きく離れないようにした。そのため、ガーニッシュの位置が車室内側に突出した状態となり、乗員の車室内スペースを圧迫していた。
【0007】
この発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、ガーニッシュの位置を特別に車室内側へ位置させる必要がない自動車の側突用エアバッグ装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、車体のサイドルーフレールに沿ってエアバッグを折り畳み状態で収納し、収納されたエアバッグを車室内側からヘッドライニングにて覆うと共に、サイドルーフレールから下方へ延びるピラーの車室内側を上端部がヘッドライニングの下端部に対応した位置にあるガーニッシュにて覆い、自動車の側面衝突時に、膨張したエアバッグがヘッドライニングの下端部を車室内側へ押し開きながら下方へ向けてカーテン状に展開する自動車の側突用エアバッグ装置であって、前記ガーニッシュの上端部付近にピラー側に延びる脚部を形成し、該脚部の先端部をピラーに固定すると共に該脚部の先端部のピラーに対する固定点に、エアバッグの上側を覆う曲折部が上部に形成されて断面逆L字状をなすブラケットを、共締めしたことを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、ピラーに対して固定されたブラケットが、エアバッグの上側を覆う曲折部が上部に形成されて断面逆L字状をなすことで、エアバッグの膨張力を下向きに作用させることができ、展開速度が更に向上する。また、脚部の先端部のピラーに対する固定点に、ブラケットを共締めしたため、脚部とブラケットのピラーに対する取付作業が一度で済み、作業効率が向上する。更に、ガーニッシュの上端部付近とピラーとが脚部を介して連結された状態になるため、ピラーが側面衝突の衝撃を受けても、ガーニッシュの上端部がピラーから離れることはなく、ガーニッシュの上端部と、押し開かれたヘッドライニングとの間に形成される隙間は広く確保される。ガーニッシュの位置を特別に車室内側へ位置させる必要がないため、乗員の車室内スペースを圧迫することがない。
【0012】
請求項2に記載の発明は、ガーニッシュの上端部を脚部よりも上方に突出させ、該上端部をヘッドライニングの下端部に対して車内側から係合させると共に、脚部をヘッドライニングの下端部に当接する高さ位置に形成した。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、ヘッドライニングの下端部の、水平方向での位置をガーニッシュの上端部より規制し、垂直方向での位置を脚部により規制するため、ヘッドライニングの下端部の位置が安定する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
【0015】
図1は、自動車の上部を車室内側から見た図で、エアバッグ1が展開した状態を示している。図1中、符号2はフロントピラー、同3はセンタピラー、同4はリヤピラーを示している。各ピラー2、3、4の上部には、前後方向に沿ってサイドルーフレール5が形成されている。このサイドルーフレール5は基本的にインナとアウタから成る閉断面構造(図示省略)になっているが、センタピラー3に対応する部分だけはインナ側部分だけが設けられている。
【0016】
このサイドルーフレール5に、フロントピラー2からリヤピラー4にかけて、エアバッグ1が上下方向で折りたたまれた状態で取付けられている。エアバッグ1は上端部の数カ所が留具6を介してサイドルーフレール5に固定されている。そして、エアバッグ1の上部後端にはガス導入口7が形成され、そこから図示せぬインフレータのガスを導入できるようになっている。
【0017】
また、エアバッグ1の前端には、一端がエアバッグ1に縫製され、他端がフロントピラー2に取けられたストラップ8が設けられている。このストラップ8はエアバッグ1の前端の孔9を貫通しており、エアバッグ1が下向きに展開する際に、エアバッグ1を前側へ引っ張って、前後方向への展開を助けるためのものである。
【0018】
折り畳まれてサイドルーフレール5に取付けられたエアバッグ1は、車室内側がヘッドライニング10により覆われている。このヘッドライニング10の下端部10aは、センタピラー3の車室内側に取付けられたガーニッシュ11の上端部11aの反車室内側に係合しており、下端部10aが車室内側に突出しないようにされている。
【0019】
このガーニッシュ11における上端部11aよりも若干下方で、ヘッドライニング10の下端部10aに当接する位置には、センタピラー3側に向けて延びる脚部12が形成されている。この脚部12の先端部13は上側に曲折しており、センタピラー3に対してボルト・ナット手段14により固定されている。固定されたガーニッシュ11の上端部11aにより、ヘッドライニング10の下端部10aの車室内側への移動が規制され、また下端部10aの下方への移動が規制されるため、ヘッドライニング10の下端部10aの位置が安定する。
【0020】
また、この脚部12の先端部13と、センタピラー3との間には、エアバッグ1の上側を覆う曲折部15が上部に形成されたブラケット16が、共締めされている。従って、ガーニッシュ11の脚部12とブラケット16のセンタピラー3に対する取付作業が一度で済み、作業効率が向上する。尚、このブラケット16の上端には曲折部15の両側に取付片17が形成され、この取付片17もセンタピラー3に固定されている。
【0021】
次に、このエアバッグ1の展開状態を図4に基づいて説明する。自動車が側面衝突を起こすと、図示せぬインフレータが作動してガスをガス導入口7からエアバッグ1内に導入する。ガスが導入されたエアバッグ1は、サイドルーフレール5に固定された上部側から膨張する。そして、エアバッグ1がサイドルーフレール5とヘッドライニング10の間の空間内で膨張することにより、ヘッドライニング10の下端部10aが車室内側に押し開かれ、エアバッグ1全体を下方へ展開させるための隙間Sを形成する。
【0022】
特に、この実施形態では、隙間Sが狭くなりがちなセンタピラー3との対応部にあっても、ガーニッシュ11の上端部11a付近と、センタピラー3とが脚部12を介して連結された状態になるため、センタピラー3が側面衝突の衝撃Fを受けても、ガーニッシュ11の上端部11aがセンタピラー3から離れることはなく、ヘッドライニング10の下端部10aとの間に形成される隙間Sは広く確保され、エアバッグ1の下方への展開速度が向上する。しかも、エアバッグ1の上側をブラケット16の曲折部15により塞いでいるため、エアバッグ1の膨張力を下向きに作用させることができ、展開速度が更に向上する。
【0023】
下方へ展開したエアバッグ1はカーテン状になって、乗員と車体側壁との間に入り込み、特に乗員の頭部を保護する。このように、この実施形態のガーニッシュ11は、衝突時にセンタピラー3から離れるように変形しないため、従来のようにガーニッシュ11の位置を特別に車室内側へ位置させる必要がなく、乗員の車室内スペースを圧迫することがない。
【0024】
【発明の効果】
この発明によれば、ピラーに対して固定されたブラケットが、エアバッグの上側を覆う曲折部が上部に形成されて断面逆L字状をなすことで、エアバッグの膨張力を下向きに作用させることができ、展開速度が更に向上する。また、脚部の先端部のピラーに対する固定点に、ブラケットを共締めしたため、脚部とブラケットのピラーに対する取付作業が一度で済み、作業効率が向上する。更に、ガーニッシュの上端部付近とピラーとが脚部を介して連結された状態になるため、ピラーが側面衝突の衝撃を受けても、ガーニッシュの上端部がピラーから離れることはなく、ガーニッシュの上端部と、押し開かれたヘッドライニングとの間に形成される隙間は広く確保される。ガーニッシュの位置を特別に車室内側へ位置させる必要がないため、乗員の車室内スペースを圧迫することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態に係るエアバッグが下向きに展開した状態を示す車室内斜視図。
【図2】 図1のエアバッグを折り畳んで収納した状態を示すセンタピラー上部の断面図。
【図3】 図1のガーニッシュの上端部とブラケットを示す斜視図。
【図4】 図2のエアバッグが下向きに展開した状態を示す図2相当の断面図。
【符号の説明】
1 エアバッグ
3 センタピラー(ピラー)
5 サイドルーフレール
10 ヘッドライニング
10a 下端部
11 ガーニッシュ
11a 上端部
12 脚部
13 先端部
15 曲折部
16 ブラケット
F 衝撃
S 隙間
Claims (2)
- 車体のサイドルーフレールに沿ってエアバッグを折り畳み状態で収納し、収納されたエアバッグを車室内側からヘッドライニングにて覆うと共に、サイドルーフレールから下方へ延びるピラーの車室内側を上端部がヘッドライニングの下端部に対応した位置にあるガーニッシュにて覆い、自動車の側面衝突時に、膨張したエアバッグがヘッドライニングの下端部を車室内側へ押し開きながら下方へ向けてカーテン状に展開する自動車の側突用エアバッグ装置であって、
前記ガーニッシュの上端部付近にピラー側に延びる脚部を形成し、該脚部の先端部をピラーに固定すると共に該脚部の先端部のピラーに対する固定点に、エアバッグの上側を覆う曲折部が上部に形成され形成されて断面逆L字状をなすブラケットを、共締めしたことを特徴とする自動車の側突用エアバッグ装置。 - 請求項1に記載の自動車の側突用エアバッグ装置であって、
前記ガーニッシュの上端部を脚部よりも上方に突出させ、該上端部をヘッドライニングの下端部に対して車内側から係合させると共に、脚部をヘッドライニングの下端部に当接する高さ位置に形成したことを特徴とする自動車の側突用エアバッグ装置。
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JP2002001284A JP3917866B2 (ja) | 2002-01-08 | 2002-01-08 | 自動車の側突用エアバッグ装置 |
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Country Status (1)
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- 2002-01-08 JP JP2002001284A patent/JP3917866B2/ja not_active Expired - Lifetime
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