JP3917567B2 - 溶射用合金粉末およびその製造方法 - Google Patents
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Description
(M成分)Ni:0〜75 mass%、Co:0〜75 mass%、Fe:0〜30 mass%、Cr:5〜70 mass%、Al:1〜29 mass%
(X成分)Y:0〜5mass%、Hf:0〜10 mass%、Ta:1〜20 mass%、Si:0.1〜14 mass%、B:0〜0.1 mass%、C:0〜0.25 mass%、Mn:0〜10 mass%、Zr:0〜3 mass%、W:0〜0.5 mass%、Pt:0〜20 mass%
(2) MCrAlX合金粉末は、吸湿状態が長期に及ぶと、合金成分として含まれるCo,Cr,Al,Niなどが水酸化物や酸化物に変化し、合金としての特性を消失する。
(3) 上記MCrAlX合金の吸湿性に起因した弊害を防止するためには、乾燥保管設備の増強や保管管理方式の導入などが必要とされ、生産コストの上昇を招く。
(4) また、市販のMCrAlX合金粉末は、その粒度分布が粒径1〜150μmの広範囲に拡がっている。この状態の合金粉末を溶射すると、大きな粒径の粉末は溶射熱源によって完全に溶融することなく溶射され、皮膜内に未溶融粒子となって分散する。そのため、皮膜を構成する合金粒子間の相互結合力が低下するほか、金属製基材との密着力の低下の原因ともなる。
(5) 一方、微粒のMCrAlX合金粉末は、溶射熱源によって短時間で溶融し、酸化される結果、熱源中で全てが酸化物となる。この酸化物は、黒色系の微粉末となって溶射皮膜中に分散し、皮膜を構成する合金粒子間の相互結合力を弱くするとともに、金属製基材との密着性を低下させる。
(6) さらに、合金粒子が酸化した黒色の微粒酸化物は、煤のように密着性がない状態で溶射した皮膜表面に薄く付着するため、皮膜の商品価値を低下させる他、この溶射皮膜をアンダーコートとし、さらにこの上にトップコート(例えば、ZrO2系セラミックス皮膜)を積層する場合には、両層間の密着力を低下させてトップコートの剥離を促進する。
(7) さらに上記合金粉末の溶射中に発生する黒色の微粒酸化物は、いわゆるヒューム状となって溶射作業環境を汚染するため、安全衛生上も好ましくない。
製造した粉末についてはその後、真空中もしくは不活性ガス雰囲気中で、900〜1500K×1〜30時間の熱処理を施してもよい。
CrO3:20〜40wt%
H2PO4:10〜50wt%
H2O:20〜40wt%
(NH4)2CrO4→1/2Cr2O3+2NH3+H2O+3/4O2
(NH4)2Cr2O7→Cr2O3+2NH3+H2O+3/2O2
また、リン酸に代えて、無水リン酸(P2O5)、縮合リン酸、重合リン酸なども使用することができる。
(M成分) Ni:0〜75 mass%、Co:0〜75 mass%、Fe:0〜30 mass%、Cr:5〜70 mass%、Al:1〜29 mass%
(X成分) Y:0〜5mass%、Hf:0〜10 mass%、Ta:1〜20 mass%、Si:0.1〜14 mass%、B:0〜0.1 mass%、C:0〜0.25 mass%、Mn:0〜10 mass%、Zr:0〜3mass%、W:0〜0.5 mass%、Pt:0〜20 mass%
リン酸クロム酸処理したMCrAlX合金粉末の表面には、緻密な状態でガラス質状のCr2O3膜が被覆されているため、合金粉末が直接外気と接触することはない。しかも、このガラス質状Cr2O3膜は、水溶液の状態を出発点としているが、加熱焼成工程を経ているため、0.01μm以下の微細なCr2O3粒子群がガラス状のバインダーによって強固に結合されて、緻密な状態で粉末の表面全体を被覆している。そのため、大気中の水分(湿度)を吸着することがなく、物理化学的に非常に安定した状態にある。すなわち、市販の無処理のMCrAlX合金粉末は、酸化され易いCo,Ni,Cr,Al,Yなどの金属から構成されているため、室内に放置された状態では空気中の水分を吸着して金属成分が酸化、変質するとともに合金粉末の流動性を悪くするので、常に乾燥状態にして保管する必要があるが、リン酸クロム酸処理した合金粉末ではその必要性がない。また、リン酸クロム酸処理した合金粉末は、流動性がよいため、溶射ガンへの供給においても、常に一定条件を長期間にわたって維持することができるので、均等な厚さの溶射皮膜の形成が可能となる。
基材に向けて溶射されたガラス質状耐熱・耐酸化性複合溶射材料は、高温の溶射熱源中で、Cr2O3膜とともに溶融状態となって該基材表面に衝突して付着する。このとき、球形の粒子は偏平に押し潰され、前記複合溶射材料粉末の表面に被覆されているCr2O3膜は破壊されて、内部のMCrAlX合金が露出した状態となる。その結果、Cr2O3セラミックスとMCrAlX合金とが分散状態に混在したガラス質状酸化クロム含有耐熱・耐酸化性溶射皮膜が形成される。この時、MCrAlX合金粉末の表面を被覆しているCr2O3膜が厚ければ厚いほど、前記溶射皮膜中ならびにその表面におけるCr2O3の割合が多くなる。この溶射皮膜中ならびにその表面に存在するCr2O3は化学的に安定であるため、かかる溶射皮膜で被覆された部材を化石燃料の燃焼ガス中で使用する場合などにおいては、とくに優れた耐熱・耐高温酸化性、耐食性を発揮する。
この点、リン酸クロム酸処理した本発明に係る溶射用合金粉末を溶射して得られるガラス質状酸化クロム含有耐熱・耐酸化性溶射皮膜は、上述したようにMCrAlX合金/基材間の接触面積が少ないので、基材の劣化を抑制するのに非常に有利である。
図2(a)は、金属製基材、例えば耐熱合金基材1の表面に、リン酸クロム酸処理したMCrAlX合金粉末を溶射してガラス質状酸化クロム含有耐熱・耐酸化性溶射皮膜2を形成してなる溶射皮膜被覆部材の一例を示す断面図である。図2(b)は、図2(a)の部材を、970〜1500Kで1〜30Hr加熱することにより、溶射皮膜の表面に酸化アルミニウムを主成分とする保護性酸化膜3を積極的に生成させたものである。図2(c)は、耐熱合金基材1の表面に、リン酸クロム酸処理したMCrAlX合金粉末からなるガラス質状耐熱・耐酸化性複合溶射材料を溶射して形成したガラス質状酸化クロム含有耐熱・耐酸化性溶射皮膜2を、アンダーコートとして形成し、その上にトップコートとして、ZrO2系などの耐熱性を有する酸化物セラミックス溶射皮膜4を形成した例を示す断面図である。なお、図2(c)に示した、トップコートとしてのZrO2系酸化物セラミックス4に代えて、図2(d)のように、無処理のMCrAlX合金皮膜5を形成してもよい。図2(e)は、耐熱合金基材1の表面に、リン酸クロム酸処理したMCrAlX合金粉末を溶射して形成されたガラス質状酸化クロム含有耐熱・耐酸化性溶射皮膜からなる溶射皮膜2をアンダーコートと、その上に中間層として、リン酸クロム酸処理したMCrAlX合金とZrO2系酸化物セラミックスとの混合粉末からなる溶射材料を溶射して中間層溶射皮膜6を形成し、さらにその上にトップコートとして、ZrO2系酸化物セラミックスからなる耐熱性の酸化物セラミックス溶射皮膜4を形成した例を示す断面図である。さらに、図2(f)のように、図2(e)の中間層溶射皮膜を、リン酸クロム酸処理したMCrAlX合金とZrO2系酸化物セラミックスとの配合を、アンダーコート側ほどリン酸クロム酸処理したMCrAlX合金の量を多くし、逆に、トップコート側ほどZrO2系酸化物セラミックスの量を多くした傾斜配分層7として形成し、熱遮蔽皮膜としてもよい。
P2 高温酸化された合金粒子
1 金属製基材
2 リン酸クロム酸処理したMCrAlX合金粉末(ガラス質状耐熱・耐酸化性複合溶射材料)を溶射したガラス質状酸化クロム含有耐熱・耐酸化性溶射皮膜
3 酸化アルミニウムを主成分とする保護性酸化膜
4 ZrO2系酸化物セラミックス溶射皮膜
5 無処理のMCrAlX合金からなる耐熱性溶射皮膜
6 ガラス質状耐熱・耐酸化性複合溶射材料とZrO2系酸化物セラミックスとの混合粉末を溶射した混合溶射皮膜
7 ガラス質状耐熱・耐酸化性複合溶射材料とZrO2系酸化物セラミックスとの混合量が傾斜配分された混合溶射皮膜
Claims (5)
- 耐熱合金粉末の表面に、リン酸とクロム酸との混合水溶液を付着させたのち加熱処理するリン酸クロム酸処理によって生成した、酸化クロム粒子をリン酸由来のガラス状バインダーによって結合したガラス質状酸化クロム膜を被覆してなることを特徴とする溶射用合金粉末。
- 平均粒径が5〜100μmの、MCrAlX(ただし、MはCo,NiおよびFeのうちから選ばれる1種または2種以上、XはY,Hf,Ta,Cs,Ce,La,Th,W,Si,Pt,MnおよびBのうちから選ばれる1種または2種以上)で表される耐熱合金粉末の表面に、リン酸とクロム酸との混合水溶液を付着させたのち加熱処理するリン酸クロム酸処理によって生成した、酸化クロム粒子をリン酸由来のガラス状バインダーによって結合した厚み0.1〜10μmのガラス質状酸化クロム膜を被覆したことを特徴とする溶射用合金粉末。
- 耐熱合金粉末の表面に、リン酸クロム酸混合水溶液を付着させたのち、500〜800K×0.5〜5時間の加熱処理を1回または複数回繰り返すリン酸クロム酸処理により、該合金粉末の表面に、酸化クロム粒子をリン酸由来のガラス状バインダーによって結合した膜厚0.1〜10μmのガラス質状酸化クロム膜を被覆形成することを特徴とする溶射用合金粉末の製造方法。
- 上記耐熱合金粉末として、平均粒径が5〜100μmの、MCrAlX(ただし、MはCo,NiおよびFeのうちから選ばれる1種または2種以上、XはY,Hf,Ta,Cs,Ce,La,Th,W,Si,Pt,MnおよびBのうちから選ばれる1種または2種以上)合金を用いることを特徴とする請求項3に記載の溶射用耐熱合金粉末の製造方法。
- 上記耐熱合金粉末の表面に、リン酸クロム酸混合水溶液を付着させる方法が、浸漬または噴霧のうちの1種または2種の方法であることを特徴とする請求項3または4に記載の溶射用耐熱合金粉末の製造方法。
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