JP3917499B2 - 焼却炉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼却炉、より詳細には、高温の雰囲気下で排ガスを下方に逆流して循環させることによって排ガスの有害成分を分解せしめ、環境にとって無害な排ガスを排出できるようにした排ガス逆流式の焼却炉に関する。
【0002】
【従来の技術】
産業廃棄物並びに一般廃棄物等のごみを焼却する焼却炉において、ダイオキシンの生成が問題となっている。また環境対策への一層の徹底化によって、地球環境に負荷を与える、例えば、塩素系ガスや揮発性の有機物質等の各種有害物質の排出に関する規制が強化されている。
【0003】
従来の一般の焼却炉は、通常は重油を燃料として空気を供給しながら燃焼させることによってゴミや産業廃棄物の焼却処理を行っており、このときの焼却炉内部の温度は800℃前後に制御される。しかしながらこのような条件においてもダイオキシンの発生を完全に抑えることはできず、また、塩素系ガス等の有害ガス等の発生も完全に抑えることはできなかった。
【0004】
ごく一般的な焼却炉において、その焼却炉で焼却物を焼却することにより生成された排ガスは、通常、炉の内部を上昇して該焼却炉上部に備えられた煙突から放出される。あるいは、可燃ガスやチャーなどの未燃分を含む排ガスを二次燃焼室に送って燃焼させることによって、燃焼排ガスを大気に放出するような流動式ガス化焼却設備もある。
【0005】
上記のような構成の焼却炉においては、例えば、排ガスの放出部分にバグフィルタ等を配することによって、煤塵や飛灰等はある程度除去できるが、排ガスに含まれるダイオキシンやその他の有害ガス成分を完全に捕捉あるいは除去することは難しい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述のごときの実情に鑑みてなされたもので、高温の雰囲気下で排ガスを下方に逆流させて循環することによって、該排ガスのダイオキシンや有害ガス等を分解せしめ、環境にとって無害な排ガスを排出できるようにした焼却炉を提供することを目的とする。
【0016】
請求項1の発明は、燃料を用いて焼却対象物を焼却せしめるようにした焼却炉であって、該焼却炉は、焼却物から発生する排ガスを循環させながら、燃料が燃焼する燃焼部を通過せしめて下方に排出させるための排ガス循環システムを備え、該排ガス循環システムの作用によって、排ガスを循環させ、さらに直接に燃焼中の燃料に接触させることにより、燃料の燃焼熱によって前記排ガスの有害成分を分解する焼却炉において、該焼却炉は、堆積させる燃料を支持するロート型の受け皿を有し、該受け皿は、スラグ化された焼却残滓を下方へ排出させる1または複数の貫通孔を備え、さらに前記受け皿の貫通孔を介して落下した溶融スラグを受け止めるスラグ溜まり皿と、該スラグ溜まり皿に一時的に溜められたスラグを排出させるための1または複数のスラグ排出路とが設けられていることを特徴としたものである。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1に記載の焼却炉において、前記燃焼部における前記受け皿の上方の路壁に、排ガスを排出するための1または複数の排出路を備えたことを特徴としたものである。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の焼却炉において、前記受け皿に、排ガスを排気するための1または複数の排出路が備えられていることを特徴としたものである。
【0019】
請求項4の発明は、請求項2または3に記載の焼却炉において、前記排ガスを排出するための排出路に対し、炉内の温度を調整するための送風を行う1または複数の送風管を備えたことを特徴としたものである。
【0020】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれか1に記載の焼却炉において、前記受け皿の下部に、受け皿及びスラグの流路を保温するための手段を備えたことを特徴としたものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の焼却炉の実施例を添付された図面を参照して具体的に説明する。なお、実施例を説明するための全図において、同一の要素には同じ符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
図1は、本発明による焼却炉の一実施例を説明するための要部断面図で、図2はその側面概略図である。図1及び図2において、10は焼却炉(以下単に“炉”と記載することもある)、11は焼却物投入口、12a,12bは炉体前室部、13a,13bは炉体前室部回転蓋、14は安全弁取り付け座、15は炉体最上部、16は炉体中間部、17は燃焼部上部、18は燃焼部下部、19は煙道、20a,20dは上部排ガス循環用パイプ、20b,20eは上部排ガス循環用パイプの上部に取り付けた蒸気/エア吹き込み配管、20cは上部排ガス循環用パイプの下部に取り付けたエア吹き込み用配管、21a、21cは下部排ガス循環用パイプ、21b,21dは下部排ガス循環用パイプの下部に取り付けたエア吹き込み管、22は燃料投入口、23は燃焼部上部へのエア吹き込み管、24は受け皿、24pは受け皿の貫通孔、25は熱煤室、26a,26bはスラグ排出路、27は受け皿上部排気管、28は受け皿中間部排気管、29は炉内温度調整用送風管、30はスラグたまり皿、31は下部排ガス循環用パイプ接続路、32は燃焼部排ガス排出路、33は燃焼部下部排ガス排出路、34は冷却水入口、35は冷却水出口である。
【0023】
本実施例の焼却炉10は、高温の雰囲気下で排ガスを循環させながら燃料の燃焼部の下方に送り出すことによって、該排ガスのダイオキシンや有害ガス等を分解せしめ、環境にとって無害な排ガスを排出できるようにしたものである。本実施例の焼却炉は、排ガスを循環させるための排ガス循環用パイプと、この排ガス循環用パイプに蒸気/エアを吹き込むための配管と、ブロワ等の送風手段とによる排ガス循環システムを備えている。本実施例では、排ガス循環用パイプとして、二本の上部排ガス循環用パイプ20a,20dと、二本の下部排ガス循環用パイプ21a,21cとを備えている。上記排ガス循環システムの詳細は後述する。
【0024】
炉体はキャスタ(耐火材),断熱材,及び耐火煉瓦を用いて作成され、また上部排ガス循環用パイプ20a,20dはキャスタを用いて、さらに下部排ガス循環用パイプ21a,21cは、キャスタと断熱材とにより構成されている。
【0025】
焼却物の焼却用燃料としては、コークスを好適に用いることができる。コークスを用いることにより、燃焼時に炉内の燃焼部が1700℃から1800℃の高温に達し、これにより排ガスが高温の環境下で十分な熱アタックを受けてダイオキシン等の有害成分を高効率で分解することができる。
【0026】
ゴミ等の焼却物の燃焼によって生じる排ガスは、排ガス循環システムによって炉内を循環しながら最終的に燃焼部下部18の下方へ送られて煙道19に進む。このとき排ガスは相当の滞留時間で高温の炉内を循環し、さらにコークス等の燃焼中の燃料の堆積部を通過することにより、燃料の燃焼熱による高温の環境下で十分な熱アタックを受けてダイオキシン等の有害成分が分解されることになる。従って、焼却炉10から排出される排ガスを環境に負荷をかけない安全なものとすることができる。また、炉内に蒸気を吹き込むことによって排ガスに含まれるタール分の分解を促進することができる。
【0027】
焼却炉10に対する廃棄物の投入は焼却物投入口11から行う。また燃料投入口22からは、コークス等の燃料が投入される。燃料投入口22には、図示しないコークス供給装置を取り付けることもできる。例えば、コークス供給装置は、燃料とするコークスを供給するための一時ストックとなるホッパーとホッパーから落ちたコークスを炉内に供給する供給管により構成することができる。このときにホッパーからの炉内へのコークスの供給は、ホッパー下部に備えたダンパーを手動で開閉することによって適宜行うようにしてもよく、また、スクリューフィード式の自動供給装置や所定のシーケンスで自動的にダンパーを開閉する装置等公知の自動供給手段を用いることができる。
【0028】
投入したコークスは、受け皿24から燃焼部上部17に至る部分に堆積させる。なお、本明細書では、コークスの燃焼部を燃焼部上部17と燃焼部下部18とに分けて説明し、さらに燃焼部上部17の更に上方の炉内空間を、炉体最上部15と炉体中間部16とに分けて説明するが、特にこれらの間に隔壁や開閉扉が設けられているわけではなく、一体の炉内空間を形成している。
【0029】
炉体上部には、2つの炉体前室部12a,12bが設けられている。最上部の炉体前室部12aの上部開口が焼却物投入口11として機能する。各炉体前室部12a,12bには、回転することによって焼却物投入口11と焼却炉の内部空間とを遮蔽/開放する炉体前室部回転蓋13a,13bがそれぞれ備えられている。各炉体前室部12a,12bには図示しない送風機によってエアが送りこまれ、炉体前室部12a,12bにおいて陽圧を保つ。これによって、廃棄物投入時において炉内の排ガスが外部に流出拡散することを防止する。また、冷却水入口34か冷却水を導入することにより、各炉体前室部の壁部を冷却する。
【0030】
円筒状の炉体内部は、燃料投入口22のやや下方部分に、その上方の炉体最上部15及び炉体中間部16よりも内径が小さい煙突上の燃焼部(燃焼部上部17、燃焼部下部18)が設けられている。燃料投入口22から投入された燃料は、炉内を落下して燃焼部下部18の下方に配された受け皿24上に堆積して燃焼せしめられ、焼却物投入口11から投入された廃棄物等の焼却物を焼却する。燃焼に際しては、各排ガス循環用パイプ20a,20d,21a,21cから、焼却炉10の内部を水平もしくは下方に向けて強制的に空気が送風されるようになっている。
【0031】
上述のように燃焼部(燃焼部上部17、燃焼部下部18)において、供給された燃料は受け皿24にて支持される。燃焼による廃棄物の残滓は、燃焼中のコークスの堆積部を溶融しながら下方に流動し、溶融スラグとなって受け皿24に至る。
【0032】
受け皿24には、溶融スラグをさらに下方へ排出するための貫通孔24pが設けられていて、受け皿24に溜まった溶融スラグは、貫通孔24pを通って下方へ排出され、スラグ溜まり皿30に溜まり、さらにスラグ排出路26a,26bを通過して外部に排出される。
【0033】
受け皿24の貫通孔24pを通って、スラグ溜まり皿30に至るスラグ流路の周囲には、熱煤室25が設けられている。熱煤室25は、焼却炉の運転が停止して火がおちても、2〜3日は1350℃から1400℃の温度を保つことができ、このため、炉内に生じて滞留しているスラグを常に溶融状態に保つことができる。
【0034】
スラグ排出路26a,26bから炉外に排出された溶融スラグは、例えば図示しないスラグ冷却装置に送られて、冷却水槽で冷却されることにより粒状の水砕スラグとなる。このような水砕スラグは、骨材等の各種用途に再利用することができる。
【0035】
また、燃焼部下部18には、後述する排ガス循環システムによって循環される炉内排気を送風エアとともに炉内に給気するための下部排ガス循環用パイプを接続する下部排ガス循環用パイプ接続路31と、燃料堆積部を通過して熱処理された排ガスを排出するための燃焼部排ガス排出路32が配設されている。燃焼部排ガス排出路32は、排ガスを炉の外部に排出するための煙道19に連通している。
【0036】
また、受け皿24の周囲には、それぞれ複数の受け皿上部排気管27、及び受け皿中間部排気管28が配設されていてそれぞれ煙道19に連通している。上記の受け皿上部排気管27は、受け皿24の上部で水平方向に放射状に配設され、また受け皿中間部排気管28は、受け皿上部排気管27の開口の下方にその開口を有し、各排気管28は、斜め下方に向かって放射状に配設されている。これら各受け皿上部排気管27,及び受け皿中間部排気管28は、煙道19に連通し、受け皿24における排ガスを炉の外部に排出する。
【0037】
煙道19における排ガスの排出方向の先端部には、例えば図示しないバグフィルタが備えられ、排ガスに含まれる煤塵を捕捉して環境中に排出されないようにする。また、排ガスを冷却する冷却塔を備えるようにしてもよい。バグフィルタで捕捉された飛灰は、安定化処理を行ったあとに例えば埋め立て等に供せられる。
【0038】
次に排ガス循環システムについて説明する。上述のように、本実施例では、2本の上部排ガス循環用パイプ20a,20dと、2本の下部排ガス循環用パイプ21a,21cとが設けられ、これらを通して排ガスが循環しながら燃焼部に送られる。これのシステムにより、炉内の高温雰囲気中を排ガスが循環することによって有害成分の分解が進行するとともに、最終的に直接にコークス等の燃料の燃焼部を通過して下方へ排気されるために、排ガスは充分な熱アタックを受けてその有害成分が分解される。
【0039】
2本の上部排ガス循環用パイプ20a,20dは、それぞれ焼却炉10の内部空間における最上部である炉体最上部15と、燃焼部上方の炉体中間部16とを炉体外部で連通するように配置される。上部排ガス循環用パイプ20a,20dは、炉体中間部16において水平または下方を向くように取り付けられている。なお本実施例では水平に対して15°下方に向かって取り付けられている。
【0040】
また各上部排ガス循環用パイプ20aの下方部分にはエア吹き込み用配管20cが連結され、ブロワ等の送風装置が接続される。同様に上部排ガス用循環パイプ20dに対しても図示しないエア吹き込み管が連結され、ブロワ等の送風装置が接続される。また上部排ガス循環用パイプ20a,20dの上方において、蒸気/エア吹き込み配管20b,20eが取り付けられ、ブロワ等の送風装置が接続されてエアが送風されるか、もしくは蒸気が導入される。例えば、蒸気を導入することによって、上述したように排ガスに含まれるタールの分解を促進することができる。また、エアを吹き込むようにすれば、炉内の排ガスの循環をさらに促進することができる。
【0041】
上記のエア吹き込み用配管20c、及び蒸気/エア吹き込み配管20b,20eは、上部排ガス循環用パイプ20a,20dの内部を下方に向かって送風(蒸気の噴出)が行われるような角度で取り付けられている。このような構成によって、炉体最上部15に上昇した排ガスを吸気して、炉体中間部16に戻すことができる。
【0042】
2本の下部排ガス循環用パイプ21a,21cは、それぞれ焼却炉10の内部空間における炉体中間部16と燃焼部下部18とを炉体外部で連通するように配置される。このときに、炉体中間部16における上部排ガス循環用パイプ20a,20dと下部排ガス循環用パイプ21a,21cとの配設位置は、上部排ガス循環用パイプ20a,20dの配設位置の方が下方となるように構成されている。また下部排ガス循環用パイプ21a,21cは、燃焼部下部18において水平または下方を向くように取り付けられ、その排ガス循環路は、上述の下部排ガス循環用パイプ接続路31を介して炉内の燃焼部下部18に開口している。本実施例では、下部排ガス循環用パイプ21a,21cは、水平に対して5°下方に向かって燃焼部下部18に対して取り付けられている。
【0043】
また各下部排ガス循環用パイプ21a,21cには、エア吹き込み管21b,21dがその下方部分に接続され、エア吹き込み管21b、21dにはブロワ等の送風手段が設けられる。この送風手段は、上述の上部排ガス循環用パイプ20a,20d用の送風手段と共通に用いるようにしてもよい。エア吹き込み管21b、21dは、下部排ガス循環用パイプ21a,21cの内部を下方に向かって送風がなされるように配設されている。このような構成によって、炉体中間部16から排ガスを吸気して、燃焼部下部18に戻すことにより、熱による有害物分解効果を高めることができる。
【0044】
また、燃焼部上部17には、エアを吹き込むためのエア吹き込み管23が設けられていて、ブロワコンプレッサ等の送風手段によってエアが送風される。エア吹き込み管23は、燃焼部上部17に対して4方向からエアが吹き込むように配設されている。
【0045】
以上の送風システムによって、燃焼部上方の空間における廃棄物の燃焼排ガスを効果的に補集し、再度燃焼部(燃焼部上部17、燃焼部下部18)に送り込むことができるとともに、燃焼部におけるガスの攪拌を促進することができ、これによって炉内の排ガスの熱処理・無害化を高い信頼性で実行することができる。
【0046】
図3は、上記実施例の焼却炉の上面概略図で、図中、36はセンサ取り付け座、37は中和剤投入口である。センサ取り付け座36には、温度検出装置のセンサ、もしくは圧力検出装置のセンサが取り付けられ、該センサによって炉内の温度管理のための炉内温度情報、あるいは圧力管理のための圧力情報を得る。また、中和剤投入口37からは、石灰を投入し、塩化ビニール等の焼却物を焼却することによって生じる塩素を中和することができる。すなわち、酸化カルシウム(もしくは水酸化カルシウム)と塩素とを反応させて塩化カルシウムとすることにより、排ガスの無害化をより推進せしめる。
【0047】
2カ所の安全弁取り付け座14には、安全弁が取り付けられる。安全弁は、炉内の圧力が過度に上昇した場合に、弁を開放して圧力を低下させる安全装置として機能する。
【0048】
図4は、図1のA部の水平断面概略図で、図5は、図1における受け皿周辺の部分拡大概略図である。受け皿24から貫通孔24pを介して落下した溶融スラグは、スラグたまり皿30で受け止められて左右に分かれ、2つのスラグ排出路26a、26bのそれぞれから排出される。
【0049】
図6は、図1のB部の水平断面概略図である。また図7は、図1の燃焼部下部18周辺の部分拡大概略図で、側断面概略図を図7(A)に、図7(A)のD部の水平断面概略図を図7(B)に、図7(A)のE部の水平断面概略図を図7(C)に、図7(A)のF部の水平断面概略図を図7(C)に示すものである。
【0050】
図6に示すように、下部排ガス循環用パイプ21a,21cは、焼却炉10の水平断面における中心から変位した方向に向かって(すなわち、炉の円筒中心から外れた方向に向かって)配設されている。これらの下部排ガス循環用パイプ21a,21cの配置によって、燃焼部(燃焼部上部17,燃焼部下部18)におけるガスの攪拌を促進し、燃焼部で発生した排ガスが滞留することなく、燃焼部下部18の下方に向けて該排ガスを効率的に送ることができる。
【0051】
図7に示すように、燃焼部下部18に対しては、下部排ガス循環用パイプ21a,21cに各々連通するふたつの下部排ガス循環用パイプ接続路31と、燃焼部において無害化された排ガスを煙道19に送り込むための6つの燃焼部排ガス排出路32と、同じく燃焼部において排ガスを煙道19に送り込むための4つの燃焼部下部排ガス排出路33が設けられている。各排ガス排出路口32,33は、煙道19に連通している。
【0052】
図8は、図1のC部の水平断面概略図である。また図9は、図1の燃焼部上部17周辺の部分拡大概略図で、側断面概略図を図9(A)に、図9(A)のGの水平断面概略図を図9(B)に示すものである。図9に示すように、燃焼部上部17に対して、エア吹き込み管23が2方向から取り付けられている。これらエア吹き込み管23は、炉体の円筒中心から外れた方向に向かってエアが吹き込まれるように配設されている。
【0053】
なお、上部排ガス循環用パイプ20a,20dも、炉体上部の吸気側と炉体下部の排気側の両方において、上記下部排ガス循環用パイプ21a,21cと同様に、炉体の円筒中心から外れた方向に向かって配設され、炉内の排ガスの吸引及び炉内への排気を効率的に行うことができる。
【0054】
以上、本発明の焼却炉における具体的な実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されることなく、請求項の範囲を逸脱しない範囲で種々の応用、変更が可能であることはいうまでもない。
【0055】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、燃焼物によって生じた排ガスを循環させて滞留時間を長くし、最終的に燃料の燃焼部を通過させて下方に排出させることにより、該排ガスへの熱処理を効果的に実行し、これによって該排ガスに含まれるダイオキシンや、塩素系ガス、窒素酸化物等の有害成分を分解せしめ、環境に無害な排ガスを排出できるようにすることができる。このときにゴミ等の焼却用の燃料としてコークスを用いることにより燃焼時に炉内が1700℃から1800℃の高温に達するようにすることができ、これによって排ガスの熱処理・無害化を信頼性をもって実行することができる。また送風配管の取り付け配置は、炉内にガスが滞留することなく、排ガスの捕集及び燃焼部における熱処理を効率的に実行できるような構成となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による焼却炉の一実施例を説明するための図で、焼却炉の要部断面図である。
【図2】 本発明による焼却炉の一実施例を説明するための図で、焼却炉の側面概略図である。
【図3】 本発明による焼却炉の一実施例を説明するための図で、焼却炉の上面概略図である。
【図4】 図1のA部の水平断面概略図である。
【図5】 図1における受け皿周辺の部分拡大概略図である。
【図6】 図1のB部の水平断面概略図である。
【図7】 図1の燃焼部下部周辺の部分拡大概略図である。
【図8】 図1のC部の水平断面概略図である。
【図9】 図1の燃焼部上部周辺の部分拡大概略図である。
【符号の説明】
10…焼却炉、11…焼却物投入口、12a,12b…炉体前室部、13a,13b…炉体前室部回転蓋、14…安全弁取り付け座、15…炉体最上部、16…炉体中間部、17…燃焼部上部、18…燃焼部下部、19…煙道、20a,20d…上部排ガス循環用パイプ、20b,20e…蒸気/エア吹き込み配管、20c…エア吹き込み用配管、21a、21c…下部排ガス循環用パイプ、21b,21d…エア吹き込み管、22…燃料投入口、23…燃焼部上部へのエア吹き込み管、24…受け皿、24p…受け皿の貫通孔、25…熱煤室、26a,26b…スラグ排出路、27…受け皿上部排気管、28…受け皿中間部排気管、29…炉内温度調整用送風管、30…スラグたまり皿、31…下部排ガス循環用パイプ接続路、32…燃焼部排ガス排出路、33は燃焼部下部排ガス排出路、34…冷却水入口、35…冷却水出口、36…センサ取り付け座、37…中和剤投入口。
Claims (5)
- 燃料を用いて焼却対象物を焼却せしめるようにした焼却炉であって、該焼却炉は、焼却物から発生する排ガスを循環させながら、燃料が燃焼する燃焼部を通過せしめて下方に排出させるための排ガス循環システムを備え、該排ガス循環システムの作用によって、排ガスを循環させ、さらに直接に燃焼中の燃料に接触させることにより、燃料の燃焼熱によって前記排ガスの有害成分を分解する焼却炉において、
該焼却炉は、堆積させる燃料を支持するロート型の受け皿を有し、該受け皿は、スラグ化された焼却残滓を下方へ排出させる1または複数の貫通孔を備え、さらに前記受け皿の貫通孔を介して落下した溶融スラグを受け止めるスラグ溜まり皿と、該スラグ溜まり皿に一時的に溜められたスラグを排出させるための1または複数のスラグ排出路とが設けられていることを特徴とする焼却炉。 - 請求項1に記載の焼却炉において、前記燃焼部における前記受け皿の上方の路壁に、排ガスを排出するための1または複数の排出路を備えたことを特徴とする焼却炉。
- 請求項1または2に記載の焼却炉において、前記受け皿に、排ガスを排気するための1または複数の排出路が備えられていることを特徴とする焼却炉。
- 請求項2または3に記載の焼却炉において、前記排ガスを排出するための排出路に対し、炉内の温度を調整するための送風を行う1または複数の送風管を備えたことを特徴とする焼却炉。
- 請求項1ないし4のいずれか1に記載の焼却炉において、前記受け皿の下部に、受け皿及びスラグの流路を保温するための手段を備えたことを特徴とする焼却炉。
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