JP3917261B2 - 光吸収体およびこれを用いた光学機器 - Google Patents

光吸収体およびこれを用いた光学機器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に設けられ、基板に向かう光を遮蔽しつつ、基板からの反射光を低減する光吸収体であって、光ディスク、カメラ、ビデオムービー、顕微鏡、内視鏡、デンタルスコープ、各種光通信機器、各種画像表示装置、レーザープリンタ等の光学機器に有用な光吸収体に関するものであり、また、この光吸収体を用いた各種光学機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、透明基板上に遮光のために形成される膜としては、例えば特開平6−222354号公報に記載されたものが知られている。図16はこの遮光膜の構成を示す断面図である。図16に示したように、この遮光膜は、基板163の主面上に可視光領域で実質的に透明な酸化クロム膜162と可視光領域で実質的に不透明なクロム膜161をこの順に積層形成し、酸化クロム膜162の膜厚を50〜75nmとして各膜(酸化クロム膜162,クロム膜161)からの反射光が干渉するようにしたもので、これによって遮光と低光反射化の両立できるとされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに特開平6−222354号公報に記載されている遮光膜によれば、低反射化について一定の効果は得られるものの、残存反射率が約6.5%存在する。この程度の光反射率は、光ディスク用光ピックアップ、ビデオムービー用色分解プリズム、イメージセンサ、レンズ等の前記各種光学機器に用いられる光デバイスへの応用を考えた場合に十分ではなく、より低い光反射率(以下、単に「反射率」とも称す。)を有する光吸収体が要望されている。
【0004】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、遮光性を有するとともに、従来に比して反射率を低減させた光吸収体およびこの光吸収体を用いた光学機器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するべく、本発明の光吸収体は、透明層と光吸収層とを交互に各2層以上積層して、前記光吸収層により入射光を実質的に遮蔽するとともに、前記光吸収層による入射光の反射を、この光吸収層よりも前記入射光の入射側にある光吸収層による吸収により低減させ、かつ、前記入射側に最も近い光吸収層を、屈折率と吸収係数との積が2以上である物質により構成した厚さ3〜20nmの層とする多層膜を基板上に形成したものである。このような構成とすることによっても、遮光性を有し、反射率が低減された光吸収体とすることができる。
【0006】
本発明の光吸収体のさらに別の構成は、入射光を遮蔽するための遮光層と、この遮光層よりも前記入射光の入射側に配置された、透明層と光吸収層とをこの順に(2n+1)層(nは1以上の整数;好ましくはnは1〜5の整数;さらに好ましくはn=1または2)だけ積層した積層膜とを含み、前記遮光層による入射光の反射を前記光吸収層における吸収と前記積層膜中における光干渉効果とにより減衰させることにより、前記入射光の反射率を低減させることとしたものである。このような構成とすることによっても、遮光性を有し、反射率が低減された光吸収体とすることができる。
【0018】
これら別の構成においても、前記に説明した例により、さらに好ましい光吸収体とすることができる。
【0019】
本発明の光学機器は、以上に説明した光吸収体を備えたものであって、特に限定されるものではないが、例えば、光ディスク、カメラ、ビデオムービー、顕微鏡、内視鏡、デンタルスコープ、各種光通信機器、各種画像表示装置、レーザープリンタ等である。これらの装置に備えられる光ディスク用光ピックアップ、ビデオムービー用色分解プリズム、CCD、イメージセンサ、各種レンズ、各種光通信デバイス、カラーフィルター等の光デバイスの性能向上に本発明の光吸収体は有用である。すなわち、前記光学機器においては、光が透過または反射する光部品を備え、この光部品に到達する不要な光を前記光吸収体により低減することが好ましく、また、前記光吸収体と前記光部品とが基板を同一にするコンパクトな構成とすることがさらに好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の光吸収体の態様としては、例えば、基板上に遮光層を形成し、この遮光層上に、透明層と光吸収層との積層膜を形成した態様を挙げることができる。また、別の態様としては、基板上に透明層と光吸収層との積層膜を形成し、この積層膜上に遮光層を形成し、この遮光層上に透明層と光吸収層体との積層膜を形成した態様を挙げることができる。後者の態様は、基板側から基板を透過して膜中に入射する光についても低反射効果を得ることができるようにしたものである。以下に、本発明の光吸収体の実施態様の例を図面を参照しながら説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
本発明の光吸収体の構成の例を、図1を参照しながら説明する。この光吸収体は、基板11上に、実質的に入射光を遮蔽する第1の光吸収層(遮光層)12、厚さが68nm〜147nmの透明層13、厚さが3〜20nmであって屈折率と吸収係数との積が2以上となる物質により構成されている第2の光吸収層(部分吸光層)14、および厚さが68nm〜147nmの透明層15を、この順に形成した構成を有する。遮光層12は、好ましくは厚さ40nm〜200nmのCr等からなる層である。透明層13、15は、好ましくは屈折率が2.0以下、さらに好ましくは屈折率が1.5以下の層であり、具体的にはSiO2およびMgF2から選ばれる少なくとも1つの物質からなる層であることが好ましい。部分吸光層14は、前述のように最も好ましくはCrからなる層である。
【0022】
この好ましい構成は、異なる屈折率の物質間における光の挙動(反射、屈折、吸収)に基づいた計算と実験の結果により得られたものである。この構成例において、遮光層12の厚さが40nmより小さい場合には、遮光層12の外側から基板へ入射しようとする光を遮断する効果が低下して光吸収体全体の遮光性が低下する傾向を示す。また、部分吸光層14の厚さが20nmより大きい場合には、それ自体の表面で反射する光の反射率が増大して光吸収体全体の反射率が増大する。一方、この層の厚さが3nmより小さい場合には、遮光層12からの反射光を十分に吸収できなくなって光吸収体全体の反射率が増大する傾向を示すこととなる。また、透明層13、15の厚さが68〜147nmの範囲から外れて小さくまたは大きくなると、各層界面から反射する多重反射光の位相の不揃いの程度が大きくなって、積層構造膜中での光の多重干渉による反射率低減効果が減少し、光吸収体全体の反射率が増大する傾向を示すこととなる。
【0023】
(第2の実施形態)
本発明の光吸収体の構成の別の例を、図6を参照しながら説明する。この光吸収体は、基板61上に、厚さが68nm〜147nmの透明層62、厚さが3〜20nmであって屈折率と吸収係数との積が2以上となる物質により構成されている第1の光吸収層(部分吸光層)63、厚さが68nm〜147nmの透明層64、実質的に入射光を遮蔽する第2の光吸収層(遮光層)65、厚さが68nm〜147nmの透明層66、厚さが3〜20nmであって屈折率と吸収係数との積が2以上となる物質により構成されている第3の光吸収層(部分吸光層)67、および厚さが68nm〜147nmの透明層68を、この順に形成した構成を有する。この構成例においても、遮光層65は、好ましくは厚さ40nm〜200nmのCr等からなる層である。透明層62、64、66、68は、好ましくは屈折率が2.0以下、さらに好ましくは屈折率が1.5以下の層であり、具体的には、SiO2およびMgF2から選ばれる少なくとも1つの物質からなる層であることが好ましい。部分吸光層63、67は、最も好ましくはCrからなる層である。この構成における各層の作用や厚さ限定の理由は前述の構成例と同様であるが、この構成例においては、透明基板61と遮光層65との間に形成された透明層62/部分吸光層63/透明層64からなる積層膜により、透明基板61側からの入射光についても、十分な遮光性と小さい反射率が示されることとなる。
【0024】
なお、前記実施形態に示した前記光吸収体においては、各透明膜の厚さが実質的に同一であることが好ましい。この好ましい例によれば、複数の実質的に透明な膜を互いに同一の成膜条件により成膜できるので、製造時の工程管理が容易となる。
【0025】
また、前記いずれの構成による光吸収体においても、最上層(最外側層)としてさらに反射防止膜を付加しても構わない。反射防止膜としては、従来から公知の使用することができるが、Al23膜、TiO2膜、MgF2膜およびSiO2膜から選ばれるいずれかの膜または2以上の膜からなる積層膜が好ましい。
【0026】
また、前記光吸収体を構成する各層は、特に限られるものではないが、例えば、各種蒸着法、CVD法、スパッタリング法等の従来から公知の成膜方法により作製することができる。また、前記基板としても、特に限られることなく、各種ガラス、セラミックス、金属、プラスチック等からなる基板を用いることができる。
【0027】
(第3の実施形態)
図11は本発明の光吸収体を用いた光ディスク装置の概略を示す図である。半導体レーザー111から出射した光はビームスプリッタ112を通過し、反射素子113で反射され、レンズ114を通過して光ディスク基板115上に集光する。集光した光は反射し再びレンズ114、反射素子113を介してビームスプリッタ112に到達し、光検出器116に導かれ信号が検出される。
【0028】
しかし、半導体レーザー111から出射した光は、図11にも示されているように発散しながら出射するため、光の一部はビームスプリッタ112の表面で反射して光検出器に到達し信号検出に大きな影響を及ぼす。
【0029】
また、反射素子113に到達した光の一部は表面を通過し、裏面へ到達し一部反射するが、反射した光は、表面を通過して最終的に光検出器に到達する。これも前述と同様光検出器116で検出する信号のS/Nを悪くする原因となり、このようなノイズ光はゼロであるのが求められている。
【0030】
ノイズ光をなくすために、反射防止膜をビームスプリッタ112の表面や反射素子113の裏面にコートして反射光を抑制する方法が考えられるが、従来の反射防止膜では反射光は抑制されるものの、残存する反射光が光ディスク装置内に存在するその他の光学素子や、その他の機械部品に照射され迷光等になって再び光検出器でノイズとして検出されてしまう。
【0031】
本発明の光吸収体をビームスプリッタ112上の被膜117や反射素子上の被膜118として設けることにより、迷光が抑制された極めて有用な光ディスク装置を実現することができる。
【0032】
(第4の実施形態)
図12に本発明の光吸収体を備えたCCDの概略図を示す。
【0033】
121が画像情報光126の光量を検出するフォトディテクター、122が検出した信号を伝送するためのポリシリコン、123がポリシリコンに画像情報光126が照射されないように光を遮断するための金属膜、124がフォトディテクター等を保護するためのSiNからなる保護膜、125が光吸収体である。
【0034】
光吸収体125が無い場合、画像情報光126の多くは、フォトディテクター121に到達するが、一部は金属膜123に到達する。一般に金属層123はアルミニウム等の高反射率物質で実現されているため、金属膜123に到達した光の多くは反射する。反射した光は迷光となってその一部は、他の画素のフォトディテクター等に到達する。このノイズ光は画像として非常に問題となりできるだけ少なくすることが求められている。
【0035】
そこで保護膜124上に本発明の光吸収体125を備えたCCDの構造とする。保護膜の上に形成するので、既存のプロセスをそのまま流用できるという製造上のメリットも生じる。このような構成とすると、光吸収体により反射光量が著しく低減できるため、ノイズ光の少ない極めて高品位のCCDが実現できる。
【0036】
また、図13に示したように、光吸収体125を形成する代わりに、図12の金属膜123を本発明の光吸収体に置き換えてもよい。すなわち、金属膜123を、遮光層131、透明層132、光吸収層133および透明層134からなる積層膜に置換する。このような構造を用いることで、ポリシリコンへの遮光性を満足するとともに、入射した光をほとんど吸収し、反射光をほとんど発生しないという本発明の光吸収体の特徴が活かされる。この実施態様においては、133の材料としては、Mo、Ti、Ta等のシリサイドまたは窒化物材料を用いることが好ましい。これらの物質は、例えばスパッタリング法により形成される。また、132、134の透明層は、前述の透明層に好ましい物質の他、例えば、SiON、SiNを用いることも好ましい。これらの物質は、例えばCVD法で形成される。
【0037】
また、図14に示したように、図12の金属膜123を第2の実施形態と同様の膜構造(透明層140、光吸収層141、透明層142、遮光層143、透明層144、光吸収層145、透明層146)にしても、光吸収体の上下両方向から入射する光を吸収して、不要な反射光を抑制するという効果が発生する。図13の構造と比べ、透明層140を伝わってきた光吸収体の下側方向から入射してくる光も本構造では吸収できるため、さらに性能を向上させることができる。
【0038】
(第5の実施形態)
図15に本発明の光吸収体を備えた、例えば液晶表示装置等の表示装置に応用され得る、カラーフィルター付き基板の断面図を示す。これは液晶セルから出た光にカラーフィルターの吸収性を利用してカラー化を行う素子であるが、液晶セルから出射した光のうち、カラーフィルターを通らない余分の光をカットしたり、また照明光などの外部光が反射してコントラストが低下しないように、カラーフィルターの境界部分に用いるものである。
【0039】
図15において、151が基板、152〜154が赤、緑、青のカラーフィルター、155が保護膜、156が液晶駆動電極用の透明導電膜、157が光吸収体である。
【0040】
本発明の光吸収体157は、基板151上に形成したが、カラーフィルター152、153、154上であっても構わない。
【0041】
本発明の光吸収体を用いることにより、液晶セルからの光を遮断できるとともに、例えば部屋の照明光が光吸収体で反射して、表示装置の鑑賞者の眼に入ることを防ぐため、有用である。本発明の光吸収体は、液晶表示装置に限られることなく、画像表示装置全般に有用である。
【0042】
【実施例】
(実施例1)
図1と同様の断面構成を有する光吸収体を作製した。本実施例では、基板11として光学ガラスであるBSC7(HOYA(株)製;商品名)を、遮光層12および光吸収層14としてクロム膜を、透明層13,15として二酸化珪素膜を使用した。表1に、この光吸収体を構成する各層の物質と膜厚(光学的膜厚)を実際の積層順に示す。なお、クロム膜および二酸化珪素膜は、いずれもEB(Electron Beam)蒸着法を用いて成膜した。
【0043】
【表1】
Figure 0003917261
【0044】
第1層のクロム膜12は、主に基板上方の外部空間から基板へ入射しようとする光を遮断する機能を有する膜であって、厚さを40nmとすることにより、外部空間から基板へ入射しようとする光を実質的にほとんど遮蔽している(基板に到達する光を実質的に0にしている。)。また、第3層のクロム膜14は、主に第1層のクロム膜12で反射した反射光が遮光膜の外へ出てしまうのを抑制する機能を有する膜であって、厚さを5nmとすることにより、それ自体は光を余り反射することなく膜中への吸収が大きくなるようにし、第1層のクロム膜の表面で反射された光がこれに効果的に吸収されるようにしている。そして、クロム膜間の層13および最外側の層15として、実質的に透明な厚さ113nmの二酸化珪素膜を設けることにより、各層を透過する透過光と隣接する層界面における反射光とが多重干渉して、膜全体からの反射光が十分に低減されるようにしている。なお、2層の二酸化珪素膜を同一の膜厚にしたのは、光吸収体の製造工程において、二酸化珪素膜の成膜条件を同一として光吸収体の製造時における工程管理等を容易にするためである。
【0045】
図2および図3は、この光吸収体のそれぞれ光線透過率の波長特性と反射率の波長特性を示した図である。なお、これらの特性は、図1における最外層である透明層15の上方からこの透明層15表面に入射角度が0°で入射する光について測定されたものである。
【0046】
図2および図3により、本実施例で作製した光吸収体は透過率および反射率(可視光透過率および可視光反射率)がともに1%以下であり、従来知られている光吸収体に比べて極めて良好な光学特性を示すことがわかる。
【0047】
図4および図5は、この光吸収体の光の入射角度に対する透過率特性と反射率特性をそれぞれ示したものである(可視光透過率および可視光反射率)。これらの図から、かかる光吸収体は特定の入射角度で入射する光に対してのみ良好な光学特性を示すだけでなく、種々の入射角度で入射する光に対しても良好な光学特性を示すものであることがわかる。この光吸収体は、図5に示したように、0°〜60°という広範囲の入射角の範囲について、反射率が約5%以下となっている。このような性質は、各種の光デバイスにおける光吸収体として使用するにあたり極めて有用な特徴である。
【0048】
第1層のクロム膜12の膜厚を、他層の厚さを前記と同じ厚さに固定した状態で、40nm以上にしても同様の結果を得ることができた。一方、第1層のクロム膜12の厚さを40nmより小さくしていくと光吸収体全体における光の透過率が上昇する傾向を示した。このことから、第1層のクロム膜12の膜厚は40nm以上が好ましく、光吸収体全体の厚さおよび製造コスト等を考慮すると、第1層のクロム膜12の膜厚は40〜200nmがさらに好ましいことが確認された。
【0049】
第3層のクロム膜14の膜厚を、他層の厚さを前記と同じ厚さに固定した状態で、4〜10nmの範囲としても同様の結果を得ることができた。一方、第3層のクロム膜14の厚さを10nmより大きくすると、これによる光吸収体に入射する光に対する反射率が上昇して、光吸収体全体における反射率が増大する傾向を示し、4nmより小さくすると、第1層のクロム膜12からの反射光を吸収する効果が低下して、光吸収体全体における光の反射率が増大する傾向を示した。このことから、第3層のクロム膜14の膜厚は4〜10nmにするのが好ましいことが確認された。
【0050】
また、第2層の二酸化珪素膜13および第4層の二酸化珪素膜15の厚さを、他の層の厚さを前記と同じ厚さに固定して、これら第2層の二酸化珪素膜13および第4層の二酸化珪素膜15の厚さを68〜147nmの範囲内で変更しても同様の結果を得ることができた。一方、これらの二酸化珪素膜13、15の厚さを147nmより大きくした場合、または68nmより小さくした場合は共に反射率が大きくなる結果となった。このことから、第2層の二酸化珪素膜13および第4層の二酸化珪素膜15の厚さを68〜147nmの範囲にするのが好ましいことが確認された。
【0051】
また、二酸化珪素膜13、15をフッ化マグネシウム膜に変更し、その膜厚を68〜147nmの範囲内で変更したところ、前記と同様の好ましい結果が得られた。なお、フッ化マグネシウム膜以外にアルミナ等の他の透明誘電体物質からなる膜についても検討したところ、その効果の程度は二酸化珪素膜やフッ化マグネシウム膜を用いた光吸収体の場合よりも小さいが、前述の従来の光吸収体よりも良好な光学特性が得られた。
【0052】
(実施例2)
図6と同様の断面構成を有する光吸収体を作製した。本実施例では、実施例1と同様、基板61として光学ガラスであるBSC7(HOYA(株)製,商品名)を、遮光膜65および光吸収膜62、67としてクロム膜を、透明膜62、64、66、68として二酸化珪素膜を使用し、クロム膜および二酸化珪素膜は、いずれもEB蒸着法を用いて成膜した。
【0053】
実施例1による光吸収体は、図1における基板上方の空間から基板へ入射しようとする光、すなわち、基板の光吸収体を設けた側の空間から基板へ入射しようとする光を遮光し、かつ、光吸収体による光の反射率を低減化する光吸収体であるが、実施例2による光吸収体は、さらに、基板下方の空間から基板へ入射しようとする光、すなわち、基板の光吸収体を設けていない側の空間から基板を透過して光吸収体へ入射する光を遮光し、かつ、基板の下方へ反射する光の反射率を低減化する光吸収体である。各層の膜厚(光学膜厚)を表2に示す。
【0054】
【表2】
Figure 0003917261
【0055】
この光吸収体では、第4層のクロム膜65、第5層の二酸化珪素膜66、第6層のクロム膜67、および第7層の二酸化珪素膜68からなる積層膜が実施例1の積層膜と実質的に同一の積層構成を有し、この積層膜によって基板61の上方から基板へ入射しようとする光が遮光され、かつ、光吸収体による基板61の上方への光の反射率が低減される。さらに、第4層のクロム膜65、第3層の二酸化珪素膜64、第2層のクロム膜63、および第1層の二酸化珪素膜62からなる第4層より下の積層膜も実施例1の積層膜と実質的に同一の積層構成を有し、この積層膜によって基板61の下方から入射する光が遮光され、かつ、光吸収体による基板61の下方への光の反射率が低減される。
【0056】
図7,図8はこの光吸収体の基板の上方から基板へ入射する光に対する透過率の波長特性と反射率の波長特性を示した図である。なお、これら特性は、図6における第8層の二酸化珪素膜68表面に入射角度が0°で入射する光について測定されたものである。これらの図から、かかる光吸収体は基板の上方からの光に対するその透過率および反射率がともに1%以下という極めて良好な光学特性を示すことがわかる。また、図9、図10は、この光吸収体の基板の下方から基板へ入射する光に対する透過率の波長特性と反射率の波長特性を示した図である。なお、これら特性は、基板61表面に入射角度が0°で入射する光について測定されたものである。これらの図から、かかる光吸収体は基板の下方からの光に対してもその透過率および反射率が十分に小さい良好な光学特性を示すことがわかる。
【0057】
なお、本実施例による光吸収体についても実施例1による光吸収体と同様に各層の厚さを変更してその光学特性を調べたが、実施例1による光吸収体のそれと同様の結果が得られた。すなわち、いずれの二酸化珪素膜62,64,66,68についても好ましい厚さは68〜147nmであり、第4層のクロム膜65の好ましい厚さは40〜200nmであり、第2層および第6層のクロム膜63、67の好ましい厚さは4〜10nmであった。また、実施例1による光吸収体と同様に、二酸化珪素膜をフッ化マグネシウム膜に置換しても良好な結果が得られ、アルミナ等の他の透明誘電体物質からなる膜に置換した場合は、その効果の程度は二酸化珪素膜やフッ化マグネシウム膜を用いた光吸収体の場合よりも小さいが、前記した従来の光吸収体よりも良好な光学特性が得られた。
【0058】
なお、前記実施例では4層構成の光吸収体と7層構成の光吸収体について説明したが、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で他の層数の光吸収体を構成できることは言うまでもない。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、入射光を遮蔽するための遮光層と、この遮光層よりも前記入射光の入射側に形成された光吸収層と、この光吸収層と前記遮光層との間に形成された透明層とを含む多層膜を基板上に形成したことを特徴とする光吸収体とすることにより、遮光性を有し、反射率が低減された光吸収体とすることができる。
【0060】
また、本発明によれば、透明層と光吸収層とを交互に各2層以上積層して、前記光吸収層により入射光を実質的に遮蔽するとともに、前記光吸収層による入射光の反射を、この光吸収層よりも前記入射光の入射側にある光吸収層による吸収により低減させ、かつ、前記入射側に最も近い光吸収層を、屈折率と吸収係数との積が2以上である物質により構成した厚さ3〜20nmの層とする多層膜を基板上に形成したことを特徴とする光吸収体とすることにより、遮光性を有し、反射率が低減された光吸収体とすることができる。
【0061】
また、本発明によれば、入射光を遮蔽するための遮光層と、この遮光層よりも前記入射光の入射側に配置された、透明層と光吸収層とをこの順に(2n+1)層(nは1以上の整数)だけ積層した積層膜とを含み、前記遮光層による入射光の反射を前記光吸収層における吸収と前記積層膜中における光干渉効果とにより減衰させることにより、前記入射光の反射率を低減したことを特徴とする光吸収体とすることにより、遮光性を有し、反射率が低減された光吸収体とすることができる。
【0062】
また、例えば、入射光と反射光の多重干渉効果を利用する本発明の光吸収体の好ましい態様によれば、さらに光学特性を良好にすることが可能となる。
【0063】
本発明の光吸収体は、各種の光デバイスの光吸収体として有効に利用できるものであって、各種光学機器の性能向上に有利である。本発明の光吸収体は、基本的に、広い範囲の入射角度で入射してくる光に対しても良好な光学特性を示すことから、各種光デバイスの光吸収体として、広範かつ有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光吸収体の構成の例を示す断面図である。
【図2】 実施例1で作製した光吸収体の透過率の波長依存特性を示す図である。
【図3】 実施例1で作製した光吸収体の反射率の波長依存特性を示す図である。
【図4】 実施例1で作製した光吸収体の透過率の入射角依存特性を示す図である。
【図5】 実施例1で作製した光吸収体の反射率の入射角依存特性を示す図である。
【図6】 本発明の光吸収体の構成の別の例を示す断面図である。
【図7】 実施例2で作製した光吸収体の多層膜側からの入射光についての透過率の波長依存特性を示す図である。
【図8】 実施例2で作製した光吸収体の多層膜側からの入射光についての反射率の波長依存特性を示す図である。
【図9】 実施例2で作製した光吸収体の基板側からの入射光についての透過率の波長依存特性を示す図である。
【図10】 実施例2で作製した光吸収体の基板側からの入射光についての反射率の波長依存特性を示す図である。
【図11】 本発明の光吸収体を備えた光ディスク装置の例の概要を示す図である。
【図12】 本発明の光吸収体を備えたCCDの例の概要を示す断面図である。
【図13】 本発明の光吸収体を備えたCCDの別の例の概要を示す断面図である。
【図14】 本発明の光吸収体を備えたCCDのさらに別の例の概要を示す断面図である。
【図15】 本発明の光吸収体を備えたカラーフィルター付き基板の例の断面図である。
【図16】 従来の光吸収体の構成の例を示す断面図である。
【符号の説明】
11、61 基板
12、65 遮光膜
14、63、67 光吸収膜
13、15、62、64、66、68 透明膜
111 半導体レーザー
112 光ビームスプリッタ
113 反射素子
114 レンズ
115 光ディスク
116 光検出器
117、118、125 光吸収体
121 フォトディテクター
122 ポリシリコン
123 金属膜
124 SiN膜
126 画像情報光
161 クロム膜
162 酸化クロム膜
163 基板

Claims (6)

  1. 透明層と光吸収層とを交互に各2層以上積層して、前記光吸収層により入射光を実質的に遮蔽するとともに、前記光吸収層による入射光の反射を、この光吸収層よりも前記入射光の入射側にある光吸収層による吸収により低減させ、かつ、前記入射側に最も近い光吸収層を、屈折率と吸収係数との積が2以上である物質により構成した厚さ3〜20nmの層とする多層膜を基板上に形成したことを特徴とする光吸収体。
  2. 前記多層膜が、前記入射側の最外層にも透明層を備えた請求項1に記載の光吸収体。
  3. 入射光を遮蔽するための遮光層と、この遮光層よりも前記入射光の入射側に配置された、透明層と光吸収層とをこの順に(2n+1)層だけ積層した積層膜であって、前記遮光層による入射光の反射を前記光吸収層における吸収と前記積層膜中における光干渉効果とにより減衰させる積層膜とを基板上に形成したことを特徴とする光吸収体。
    ただし、nは1以上の整数である。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の光吸収体を備えた光学機器。
  5. 光が透過または反射する光部品を備え、この光部品に到達する不要な光を前記光吸収体により低減する請求項4に記載の光学機器。
  6. 前記光吸収体と前記光部品とが基板を同一にする請求項5に記載の光学機器。
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