JP3917208B2 - タングステン−モリブデン合金製ルツボ及びその製造方法 - Google Patents

タングステン−モリブデン合金製ルツボ及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として金属モリブデンを含む金属材料から形成されたルツボ(以下、モリブデンルツボと呼ぶ)に関し、詳しくはタングステンを少量含み、1800℃以上の超高温での使用に適した高温強度の優れたタングステン−モリブデン合金製ルツボ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、金属又は金属酸化物等の高融点材料は、ルツボ中で不活性ガス或いは真空の雰囲気中で溶解される。このような高融点金属溶解用のルツボには、その素材として金属モリブデン又はモリブデン合金のように金属モリブデンを含むモリブデンルツボが使用されている。
【0003】
ところが、モリブデンルツボとして純モリブデン製のものを使用すると、モリブデンの再結晶温度が約1000℃であるため、使用時の温度が高く,又高温での使用時間が長くなる程、ルツボを構成する素材であるモリブデン結晶粒の粗大化が起こる。このため、純モリブデン製のルツボは、素材の結晶粒界の脆弱化により粒界に割れやひびが生じ、こうした部分からルツボ中の被溶解物(使用材料が溶解されたもの)が漏れ出して使用不能となってしまう。
【0004】
そこで、例えば特開平1−93692号公報に開示されたモリブデンルツボでは、このような欠点を解消するためのルツボ素材の改良が施されている。
【0005】
即ち、ここでのモリブデンルツボは、素材としてモリブデンにランタン又はランタン酸化物を0.01質量%〜1質量%の範囲で含有させたものを用いて形成されており、その製造法では鍛造における加工率を余り高くしないで加工することによって、高強度な優れた耐高温度特性を有すると共に、加工が容易なルツボを得ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した改良されたモリブデンルツボの場合、高温条件下で外部から加熱されて使用されるため、ルツボ外壁の熱による亀裂等の損傷の発生に関しては充分に対策されておらず、被溶解物(使用材料が溶解されたもの)の粒界への溶入を回避することができないという問題がある。
【0007】
又、このモリブデンルツボの場合、ルツボ素材の結晶粒の微細化を計り得るが、その用途によっては高融点材料の溶融用としての使用材料の結晶に着色が起こる問題があったり、或いは例えば使用材料としてセラミック単結晶等を生成する場合には単結晶化が起こり難く(ときには全く起こらないこともある)、超高温条件下では結果としてルツボ素材の結晶粒が超極大化するのを抑制できないため、高融点材料の溶融用としての使用上においても不充分なものとなっている。
【0008】
更に、このモリブデンルツボの場合、最近実際に必要とされるルツボのサイズとして、例えば直径(内径)で60mm〜220mmの範囲程度,高さで30mm〜100mmの範囲程度とかなり大型のものまであり、しかも実際の使用温度の方は1800℃以上(ときには2000℃以上のこともある)に到達することがあるが、その製造法ではこうした大型で超高温での使用に適した高温強度の優れたモリブデンルツボを合理的且つ低コストで得難いという問題もある。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決すべくなされたもので、その技術的課題は、超高温条件にあっても高融点材料の溶融に際して使用材料の結晶に着色を起こしたり、或いは使用材料の溶解されたもののルツボ素材の粒界への溶入を起こすこと無く、しかもルツボ素材の結晶粒の超極大化を起こさない高温強度の優れたタングステン−モリブデン合金製ルツボ,及びそれを合理的且つ低コストで得られる製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、タングステンを1質量%〜5質量%の範囲で含み、残部がモリブデンから成るタングステン−モリブデン合金製ルツボであって、理論密度98%以上を有し、モリブデンの結晶粒の粒径が1mmを越えて15mm以下の範囲にあるタングステン−モリブデン合金製ルツボが得られる。
【0011】
又、本発明によれば、上記タングステン−モリブデン合金製ルツボの製造方法であって、タングステンを1質量%〜5質量%の範囲で含み、残部がモリブデンから成るタングステン−モリブデン焼結体を粉末冶金法により作製する第1の工程と、タングステン−モリブデン焼結体に総圧延率50%〜90%の範囲で圧延を施して理論密度98%以上のルツボ素材板を作製する第2の工程と、ルツボ素材板を円板状に切り出してルツボ素材円板を作製する第3の工程と、ルツボ素材円板を加熱保持しながら熱間スピニング絞りを施して円筒状のルツボ体を作製する第4の工程と、ルツボ体の黒皮を除去して所望の輪郭加工を施してルツボ形成体を作製する第5の工程と、ルツボ形成体に歪取りアニール処理を施してモリブデンの結晶粒の粒径を10mm以下に形成する第6の工程と、歪取りアニール処理の後に、更に、真空中2000℃以上の温度条件で熱処理を施してモリブデンの結晶粒の粒径を1mmを越えて15mm以下の範囲として形成する第7の工程とを含むタングステン−モリブデン合金製ルツボの製造方法が得られる。
【0012】
更に、本発明によれば、上記タングステン−モリブデン合金製ルツボの製造方法において、第4の工程での加熱保持の温度範囲は、900℃〜950℃であるタングステン−モリブデン合金製ルツボの製造方法が得られる。
【0013】
加えて、本発明によれば、上記タングステン−モリブデン合金製ルツボの製造方法において、第6の工程での歪取りアニール処理では、温度条件を水素雰囲気中800℃〜900℃の範囲、或いは真空中1000℃以上とするタングステン−モリブデン合金製ルツボの製造方法が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を挙げ、本発明のタングステン−モリブデン合金製ルツボ及びその製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
最初に、本発明の一実施例に係るタングステン−モリブデン合金製ルツボの外観構成を図1に示すその側面断面図を参照して説明する。このタングステン−モリブデン合金製ルツボ1も、外観上は通常の大型ルツボと同様であり、高融点材料の溶融に際して使用材料が充填される内径φで規定される充填空間を有する円筒型の器として形成され、図示のように縁端部1a,胴部1b,底部1e,及びコーナー部1cを有している。但し、このタングステン−モリブデン合金製ルツボ1の場合、タングステンを1質量%〜5質量%の範囲で含み、残部がモリブデンから成るもので、理論密度98%以上を有し、モリブデンの結晶粒の粒径が1mmを越えて15mm以下の範囲にあるものとなっている。
【0016】
このようなタングステン−モリブデン合金製ルツボ1を製造する場合、タングステンを1質量%〜5質量%の範囲で含み、残部がモリブデンから成るタングステン−モリブデン焼結体を粉末冶金法により作製する第1の工程と、タングステン−モリブデン焼結体に総圧延率50%〜90%の範囲で圧延を施して理論密度98%以上のルツボ素材板を作製する第2の工程と、ルツボ素材板を円板状に切り出してルツボ素材円板を作製する第3の工程と、ルツボ素材円板を加熱保持しながら熱間スピニング絞りを施して円筒状のルツボ体を作製する第4の工程と、ルツボ体の黒皮を除去して所望の輪郭加工を施してルツボ形成体を作製する第5の工程と、ルツボ形成体に歪取りアニール処理を施してモリブデンの結晶粒の粒径を10mm以下に形成する第6の工程と、歪取りアニール処理の後に、更に、真空中2000℃以上の温度条件で熱処理を施してモリブデンの結晶粒の粒径を1mmを越えて15mm以下の範囲として形成する第7の工程とを実施すれば良い。但し、第4の工程での加熱保持の温度範囲は、900℃〜950℃とし、第6の工程での歪取りアニール処理では、温度条件を水素雰囲気中800℃〜900℃の範囲、或いは真空中1000℃以上とすることが好ましい。
【0017】
ここで、第1の工程の先立つ材料粉末の形成に際して、粒径が1μm〜4μmの範囲程度の金属モリブデン粉末にタングステンを1質量%〜5質量%の範囲で添加して材料粉末体を形成するが、ここでタングステンを添加する場合、微粒のタングステン粉末を用いればモリブデン粉末との固体同士の混合で良い。しかしながら、タングステンの粒径が5μm〜10μmの範囲以上の大きさであれば、充分に混合し難いので、その粒径はモリブデンの粒径と同等か、それ以下であることが望ましい。それでも、他の方法として、モリブデンの還元原料(通常MoO)にタングステンの酸化物を添加したり、タングステンの塩類又はその水溶液をモリブデンに添加して水素還元を行うことによって、所望の組成をした金属粉末を調整することも可能である。
【0018】
何れにせよ、第1の工程では、一般的な粉末冶金方法によって粉末成形した材料粉末体を還元雰囲気中で焼結することによりタングステン−モリブデン焼結体(但し、この状態では完全緻密化はしていない)を作製し、圧延用素材とする。第2の工程では、この圧延用素材(タングステン−モリブデン焼結体)を熱間圧延によりルツボ素材として作製する。このときの圧延は、その総圧延率が40%〜50%の範囲以上で完全緻密化するが、後にスピニング絞りを行うため、結晶組織の異方性を緩和することを考慮してクロス圧延を含めるのが好ましい。クロス圧延は最終圧延に近い加工では欠かせないものである。ここでは完全緻密化されるのが望ましいが、使用時の素材の結晶粒の粗大化を抑制するために充分に圧延組織が成長する60%〜70%の範囲の圧延率以下であってもタングステンの添加効果が働いて実用可能となる。従って、圧延では総圧延率50%〜90%の範囲とし、完全緻密化の密度で示せば9.9[g/cm]以上(理論密度では98%以上)のルツボ素材を得ることが有効となる。尚、工業的実用上からは総圧延率は90%あれば充分である。
【0019】
一方、第3の工程で係るルツボ素材を円板状に切り出してルツボ素材円板としたものを第4の工程において加熱保持しながら熱間スピニング絞りを施して円筒型のルツボ体を作製する。このルツボ体を作製する工程では、ルツボ素材円板を絞り加工して円筒型のルツボ形にして円筒型のルツボ体を得るが、絞り加工には熱間スピニング絞りを適用することが望ましい。ルツボ体の成形は金型プレスによる熱間成形でも可能であるが、大型ルツボを製造する場合には金型の費用が過大となる上、曲げ部であるコーナー部1cへの歪が大きくなり過ぎてルツボ使用中にクラックが入り易く、内容物(使用材料の溶解したもの)の漏れを生じさせるため、制約があって好ましくない。絞り加工では常時900℃〜950℃の範囲で温度状態を保持し、丸く切断したルツボ素材円板の中心を軸に回転させ、片方から何段階にも分けて成形ローラーを軌跡押圧することによって、立上がり部,即ち、胴部1bの肉圧を必要以上に減ずることなく,しかもコーナ部1cの滑らかな曲げ加工を可能にする。尚、絞り工程等は、ガス分吸蔵の機会を生じる工程であり、使用前に真空加熱処理するのも良い。これは割れとは別の要因として発生が危惧される膨れ防止の対策に有効である。
【0020】
他方、第5の工程では、ルツボ体の黒皮を剥いて除去し、所望の輪郭加工を施してルツボ形成体とした後に第6の工程において歪取りアニール処理を施して輪郭形成し、モリブデンの結晶粒の粒径が10mm以下とする。歪取りアニール処理は、一般にH中800℃〜900℃の温度範囲で行うが、脱ガスという効果を期待するならば、少なくとも1000℃,10−6Torr以上の真空高温条件が必要であり、望ましくは使用する温度域での処理が良い。
【0021】
更に、第7の工程では、歪取りアニール処理の後、真空中2000℃以上の熱処理を施し、モリブデンの結晶粒の粒径を1mmを越えて15mm以下となるよういする。ここで結晶粒の粒径が例えば20mm〜40mmの範囲(或いはそれ以上)であると、素材の粒界への不純物集中やガス成分の粒界への集中があり、高温強度が低下してしまい、又粒径が1mm以下では変形加工は容易になるものの、ルツボでの高温強度が低下する。従って、少なくともモリブデンの結晶粒の粒径は15mm以下程度で粗目のものが良い。因みに、実際に結晶粒の粒径1mm以下としたものは熱処理で割れを生じて不良となった。
【0022】
ところで、一般にモリブデンルツボにおける素材の結晶粒成長を抑制して高温に耐える添加剤としては、融点の高い酸化物,炭化物等が挙げられるが、ルツボの用途には上述したように使用材料として単結晶成長用のものもあり、その場合には単結晶生成し難くなったり、或いは着色したりするため、そのような添加剤は使用できない。高融点金属であるタングステンは、このような点で全く問題ないが、6質量%〜7質量%の範囲(或いはそれ以上)で添加した場合には絞り加工での変形抵抗が増加し、ガス分吸収等の問題を起こす誘発要因になりかねないことにより絞り状態で加熱温度を上げたりしなければならず、新たな配慮を要するために好ましくない。又、タングステンを6質量%〜7質量%の範囲(或いはそれ以上)で添加すると、圧延での加工が困難となると共に、ルツボの寿命にとって充分な効果が得られず、更に1質量%未満ではルツボの寿命にとって充分な効果が得られない。
【0023】
表1は、モリブデンルツボにおけるタングステン(W)の添加量(含有しない場合を含む)に対する各製造工程での成否、並びにルツボの寿命(時間指数)の関係を調べた結果を示したものである。
【0024】
【表1】
Figure 0003917208
表1からは、モリブデンルツボの製造に関して、タングステン(W)の添加量を1質量%〜5質量%の範囲としたタングステン−モリブデン合金製ルツボの場合には、各製造工程での特性及びルツボの寿命が優れることが判る。
【0025】
又、上述したタングステン−モリブデン合金製ルツボでは絞り性の点から組織の異方性を避けてきたものの、ルツボ素材の作製に際して充分な焼結後,軽鍛造等を組み込む工夫も考えられる。このとき、密度は完全緻密化に達しておらず、用途によっては使用可能となる。但し、ここで目的とする1800℃以上(ときには2000℃を越える)の温度域の場合では、少なくとも理論密度の97%以下[完全緻密化の密度では9.89(g/cm)]では充分な強度の保持が困難である。
【0026】
表2は、タングステン−モリブデン合金製ルツボにおけるルツボ素材の密度(緻密性)に対する絞り加工性の難易度,並びにルツボの寿命(時間指数)の関係を調べた結果を示したものである。
【0027】
【表2】
Figure 0003917208
表2からは、タングステン−モリブデン合金製ルツボの製造に関して、ルツボ素材の理論密度を98%[上述した完全緻密化の密度では9.9(g/cm)]以上とすれば、絞り加工性及びルツボの寿命が優れることが判る。
【0028】
以下は、タングステン−モリブデン合金製ルツボの製造方法に関する具体的な実施例を挙げて説明する。
【0029】
最初の材料準備工程(材料作製工程)では、粒径が4μmのモリブデン粉末に粒径が1μm〜3μmの範囲のタングステン粉末を3質量%添加し、充分に混合してCIPにより材料粉末体を成形した。この後、第1の工程として、温度条件1800℃で材料粉末体を30時間焼結することによりタングステン−モリブデン焼結体の圧延用素材を調整した。因みに、このときの圧延用素材の焼結後の厚みは64mmであった。
【0030】
次に、第2の工程として、タングステン−モリブデン焼結体による圧延用素材に対して総圧延率50%〜90%の範囲で通常の熱間圧延を施し、途中厚みが40mmになったところでクロスロールを入れて最終的に圧延率83%、厚み11mm、密度が9.9(g/cm)[理論密度では98%]のルツボ素材を作製した。
【0031】
引き続いて、第3の工程として、ルツボ素材を口径300mmの円板状に切り出してルツボ素材円板を作製した後、第4の工程として、そのルツボ素材円板の中心部を固定したまま円周方向に回転させながら成形口径許容範囲が250〜300[mm]の絞りローラーで徐々に円筒状に絞って熱間スピニング絞りを施して円筒状のルツボ体を作製した。但し、ここでの熱間スピニング絞りでは、ルツボ素材円板をガスバーナーにより常に900℃〜950℃の範囲の温度となるように加熱保持すると共に、所望の形状になるまで数回に分けて絞りを行った。
【0032】
更に、第5の工程として、円筒状のルツボ体を黒皮むき加工を施し、所望の輪郭加工を施すことによりルツボ形成体を作製した後、第6の工程として、歪取りアニール処理を施してタングステン−モリブデン合金製ルツボ体を得た。第6の工程を経たタングステン−モリブデン合金製ルツボ体に関する結晶粒の粒径は、概ね2mm〜7mmの範囲程度であり、又結晶粒の形状は球状に近い多角形の形状であった。因みに、この段階(第6の工程)で得られるタングステン−モリブデン合金製ルツボ体を完成されたタングステン−モリブデン合金製ルツボとして、通常の1800℃未満の温度で使用したところ、実用上充分な高温強度を備えた品質であることが判り、又その結晶粒の粒径を調べたところ、最大のものでも10mmに止まっていることが判った。従って、第6の工程では、タングステン−モリブデン合金製ルツボ体に関する結晶粒の粒径は、歪取りアニール処理により10mm以下にするものとみなすことができる。
【0033】
加えて、第7の工程として、先の第6の工程での歪取りアニール処理の後、タングステン−モリブデン合金製ルツボ体に対して温度2000℃,真空度10−6Torrの条件下で真空高温熱処理を施した。これにより、タングステン−モリブデン合金製ルツボ体の結晶粒の粒径は、比較的均一に15mm程度となった。ここでのタングステン−モリブデン合金製ルツボ体に関しては、膨れや割れの発生も無く、耐久性も一段と向上して好ましい結果が得られた。但し、この真空高温処理(第7の工程)は一般には費用がかかるため、極度に苛酷な超高温溶解を要する用途のタングステン−モリブデン合金製ルツボを作製する場合にのみ適用することが望ましい。
【0034】
因みに、比較として上述した第2の工程でルツボ素材として、完全緻密化の密度が9.8(g/cm)[理論密度では96%]のルツボ素材を作製した後、上述した各工程の手順に従ってタングステン−モリブデン合金製ルツボ体を得てその性質を調べたところ、形状的には問題は無かったが、耐久性が劣化して実用化には困難であることが判った。又、タングステンを添加しないこと以外、他の条件を上述した場合と全く同様にしてモリブデンルツボ体を製造したところ、その場合のモリブデンルツボ体に関する結晶粒の粒径は20mm〜30mmの範囲となった。このモリブデンルツボ体の場合、繰り返しの使用条件下で粒界における割れと共に、外表面からの膨れが発生して欠陥を生じる不都合なものとなることが判った。
【0035】
尚、上述した通り、超高温条件下でルツボ素材の結晶粒の成長を抑制するためには、例えばZrO,La等を添加したものにタングステンを入れても有効である。但し、タングステン以外の結晶粒成長抑制剤を単独添加すると、高温強度の点で実用上不充分となる点と、使用中に添加剤の熱分解等によるルツボの膨れが発生する等の欠陥を生じる点とで不具合である。
【0036】
【発明の効果】
以上に述べた通り、本発明によれば、ルツボ素材としてモリブデンに適量のタングステンを添加したものを所定の密度以上となるように圧延し、更には輪郭形成された後のタングステン−モリブデン合金製ルツボ体に真空高温熱処理を施すことより、超高温条件にあっても高融点材料の溶融に際して使用材料の結晶に着色を起こしたり、或いは使用材料の溶解されたものがルツボ体の粒界に対して溶入を起こすこと無く、しかもルツボ体の結晶粒の超極大化を起こさない高温強度の優れたタングステン−モリブデン合金製ルツボが得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係るタングステン−モリブデン合金製ルツボの外観構成を示した側面断面図である。
【符号の説明】
1 タングステン−モリブデン合金製ルツボ
1a 縁端部
1b 胴部
1c コーナー部
1e 底部

Claims (4)

  1. タングステンを1質量%〜5質量%の範囲で含み、残部がモリブデンから成るタングステン−モリブデン合金製ルツボであって、理論密度98%以上を有し、前記モリブデンの結晶粒の粒径が1mmを越えて15mm以下の範囲にあることを特徴とするタングステン−モリブデン合金製ルツボ。
  2. 請求項1記載のタングステン−モリブデン合金製ルツボの製造方法であって、タングステンを1質量%〜5質量%の範囲で含み、残部がモリブデンから成るタングステン−モリブデン焼結体を粉末冶金法により作製する第1の工程と、前記タングステン−モリブデン焼結体に総圧延率50%〜90%の範囲で圧延を施して理論密度98%以上のルツボ素材板を作製する第2の工程と、前記ルツボ素材板を円板状に切り出してルツボ素材円板を作製する第3の工程と、前記ルツボ素材円板を加熱保持しながら熱間スピニング絞りを施して円筒状のルツボ体を作製する第4の工程と、前記ルツボ体の黒皮を除去して所望の輪郭加工を施してルツボ形成体を作製する第5の工程と、前記ルツボ形成体に歪取りアニール処理を施して前記モリブデンの結晶粒の粒径を10mm以下に形成する第6の工程と、前記歪取りアニール処理の後に、更に、真空中2000℃以上の温度条件で熱処理を施して前記モリブデンの結晶粒の粒径を1mmを越えて15mm以下の範囲として形成する第7の工程とを含むことを特徴とするタングステン−モリブデン合金製ルツボの製造方法。
  3. 請求項2記載のタングステン−モリブデン合金製ルツボの製造方法において、前記第4の工程での前記加熱保持の温度範囲は、900℃〜950℃であることを特徴とするタングステン−モリブデン合金製ルツボの製造方法。
  4. 請求項2記載のタングステン−モリブデン合金製ルツボの製造方法において、前記第6の工程での前記歪取りアニール処理では、温度条件を水素雰囲気中800℃〜900℃の範囲、或いは真空中1000℃以上とすることを特徴とするタングステン−モリブデン合金製ルツボの製造方法。
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