JP3916945B2 - ガスセンサ素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,内燃機関の排気系等に設置して,排ガス中のNOx濃度等を測定するガスセンサに関する。
【0002】
【従来技術】
自動車エンジンの排気系に設置し,排ガス中のNOx濃度,酸素濃度,またエンジン燃焼室の空燃比を測定するガスセンサに用いるガスセンサ素子として,次に示す構成の素子が知られている。
このガスセンサ素子は,被測定ガス室に対し酸素をポンピングするポンプセルと,被測定ガス室に導入されたNOx濃度を測定するセンサセルからなる。
【0003】
NOx濃度を測定するセンサセルは,固体電解質板と該固体電解質板に設けた一対の電極からなり,一方の電極は被測定ガス室に対面し,他方の電極は基準ガスとなる大気を導入した大気室と対面する。被測定ガス室と対面する電極にはNOxに活性な電極が用いられる。
また,ポンプセルは,固体電解質板と該固体電解質板に設けた一対のポンプ電極からなり,一方のポンプ電極は被測定ガス室に対面する。被測定ガス側の電極にはNOxに不活性な電極が用いられる。
【0004】
センサセルにおけるNOx濃度の測定は,被測定ガス側電極上でNOxを分解し,発生した酸素イオン電流に基づいて行う。従って,被測定ガス室の酸素濃度は非常に少ないか,または定常状態となっていなければならない。
そのため,ポンプセルを用いて被測定ガス室の酸素濃度を調整するが,ポンプセルの電極は被測定ガス室に対面する。ポンプセルの電極上でNOxが分解された場合,センサセルが正確なNOx濃度を検出できなくなるおそれがある。
そのため,従来,被測定ガス室と対面するポンプセルのポンプ電極はNOxに対し不活性なAu等をPtに付与,もしくは合金化することによりNOx分解を抑制していた。
【0005】
また,被測定ガス室内の酸素濃度を監視するモニタセルを被測定ガス室に面して設けることがある。モニタセルを構成する電極上でNOx分解された場合もポンプセルと同様の問題が生じることがあった。
そのため,ポンプセルと同様に,被測定ガス室に面する電極はNOxに対し不活性なAu等をPtに付与,もしくは合金化することによりNOx分解を抑制していた。
【0006】
【解決しようとする課題】
しかしながら,ガスセンサ素子を高温の排気ガスに曝して用いた場合,ポンプ電極やモニタセルの電極に含まれるAu等が揮発して,センサセルの被測定ガス側電極に付着することがある。この場合,被測定ガス側電極の性質が変化するため,センサセルにおけるNOx濃度測定精度変動の原因となった。
【0007】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,測定精度に耐久劣化が生じ難いガスセンサ素子を提供しようとするものである。
【0008】
【課題の解決手段】
本発明は,外部から被測定ガスを導入する被測定ガス室を備え,該被測定ガス室と対面し,Auを含有する第1ポンプ電極と該第1ポンプ電極と対になる第2ポンプ電極と,両電極を備えた固体電解質板よりなるポンプセルと,
上記被測定ガス室と対面した被測定ガス側電極と該被測定ガス側電極と対になる基準電極と,両電極を備えた固体電解質板よりなるセンサセルとを少なくとも有し,
上記センサセルの被測定ガス側電極は,Pt−Rh−Au電極であり,Auの含有量は,電極全体を100wt%とした場合,0.01〜2.0wt%(外wt%)であることを特徴とするガスセンサ素子にある(請求項1)。
【0009】
本発明にかかるガスセンサ素子において,センサセルの被測定ガス側電極はAu所定量添加されている。
Au電極に付与することで,電極がNOx等のセンサセルで濃度を測定しようとする特定ガスに対して不活性化し,酸素をイオン化することはできるが,NOx等の特定ガスをイオンに分解する等の強い活性が発揮されなくなる。
【0010】
ガスセンサ素子使用時などに第1ポンプ電極から揮発したAuがセンサセルの被測定ガス側電極に付着した場合は大きくセンサセルの特性が変化する。また,後述する請求項に示すようなモニタセルを持つガスセンサ素子においては,モニタセルの被測定ガス側電極から揮発した上記物質がセンサセルの被測定ガス側電極に付着する。
【0011】
よって,予め微量のAuセンサセルの被測定ガス側電極に対して含有させておくことで,センサセルを長時間使用した際の特性の変化(耐久劣化)を防止することができる。
【0012】
以上,本発明によれば,測定精度に耐久劣化が生じ難いガスセンサ素子を提供することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
上記本発明(請求項1)のガスセンサ素子は,固体電解質板や絶縁板を複数枚積層構成した板状の積層型の素子である。
素子の内部には被測定ガスを導入する被測定ガス室や基準ガスとなる大気を導入する大気室がある。
ポンプセルは被測定ガス室に対し酸素ガスをポンピング(出し入れ)するよう構成した電気化学的セルである。
【0014】
センサセルは被測定ガス室の特定ガス濃度を測定するよう構成した電気化学的セルである。センサセルは被測定ガス側電極が被測定ガス中の特定ガスを分解することで生成した酸素イオンによる電流に基づいて特定ガス濃度を測定するよう構成する。そのため被測定ガス側電極は特定ガスに対して活性であることが必要である。
そして,ポンプセルにおける被測定ガス室に面するポンプ電極は,被測定ガス中の特定ガスを分解し難く不活性であることが必要である。
【0015】
また,ポンプセルやセンサセルのほかに,O2セルや空燃比セルを設けて,1本で複数種類のガス濃度等を測定可能とする複合センサ素子として,本発明のガスセンサ素子を構成することができる。O2セルは被測定ガス中の酸素濃度を測定する電気化学的セルである。空燃比セルは,本発明にかかるガスセンサ素子を各種内燃機関の排気系に設置した際に,内燃機関燃焼室の空燃比を検出するよう構成した電気化学的セルである。
【0016】
本発明においてセンサセルの被測定ガス側電極におけるAu含有量は,電極全体を100wt%とした場合,0.01〜2.0wt%(外wt%)とする。
上記含有量が0.01wt%未満である場合は,ポンプセルのポンプ電極から揮発したAuが被測定ガス側電極に付着することで,センサセルの特性が変化し,測定精度が悪化するおそれがある。含有量が2.0wt%を越えた場合は,被測定ガス側電極の活性が低下して,正確な特定ガス濃度の測定が難しくなるおそれがある。
【0017】
また,上記のごとく,上記センサセルの被測定ガス側電極の主成分はPt及びRhである。
上記物質を含む電極はNOx,CO,HCに対して活性であるため,これらの特定ガスを分解して酸素イオンを生成し,該酸素イオンから生じる酸素イオン電流を利用してこれらの特定ガス濃度を効率よく検出することができる。
また,被測定ガス側電極は,上記元素の単体からなる材料のほか,上記元素を含む混合物,合金などから構成することができる。
【0018】
また,上記センサセルの被測定ガス側電極におけるAuの含有量は,電極全体を100wt%とした場合,0.1〜1.0wt%(外wt%)であることが好ましい(請求項)。
この場合,Auがセンサセルの被測定ガス側電極に付着した場合に,センサセルの特性が殆ど変化しないため,測定精度が劣化し難い。
上記含有量が0.1wt%未満である場合は,センサセルの特性が変化して測定制度が悪化するおそれがある。含有量が1.0wt%を越えた場合は,被測定ガス側電極の活性が低下して,正確な特定ガス濃度の測定が難しくなるおそれがある。
【0019】
また,上記ガスセンサ素子は,上記被測定ガス室と対面し,Auを含有する被測定ガス側電極と該被測定ガス側電極と対になる基準電極と,両電極を備えた固体電解質板よりなるモニタセルを備えることが好ましい(請求項)。
これにより,ポンプセルの作動を制御するための基準となる酸素濃度を被測定ガス室において監視することができ,より正確なNOx等の特定ガス濃度をセンサセルにおいて検出することができる(実施例1参照)。
【0020】
また,モニタセルもポンプセルと同様に被測定ガス室と対面する被測定ガス側電極において,NOx等のセンサセルで測定の対象になる特定ガスに対して不活性なAu−Pt電極等,Au含有するような電極が用いられる。これにより,このAu等がセンサセルに付着して,NOx等の特定ガスに対する活性が低下することを抑制することができる
【0021】
【実施例】
以下に,図面を用いて本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
本例にかかるガスセンサ素子について,図1,図2を用いて説明する。
図1,図2に示すごとく,本例のガスセンサ素子1は,外部から被測定ガスを導入する第1被測定ガス室121を備え,該第1被測定ガス室121と対面し,Auを含有する第1ポンプ電極21と該第1ポンプ電極21と対になる第2ポンプ電極22と,両電極21,22を備えた第2固体電解質板13よりなるポンプセル2を有する。
【0022】
また,本例のガスセンサ素子1は,第2被測定ガス室122と対面した被測定ガス側電極42と該被測定ガス側電極42と対になる基準電極41と,両電極41,42を備えた第1固体電解質板11よりなるセンサセル4とを有する。
そして,上記センサセル4の被測定ガス側電極42はAuを含有し,該Auの含有量は,電極全体を100wt%とした場合,0.2wt%(外wt%)である。
【0023】
以下,詳細に説明する。
図1及び図2に示すごとく,本例のガスセンサ素子1は,積層された第1固体電解質板11,被測定ガス室用のスペーサー12,第2固体電解質板13,大気室用のスペーサ14,セラミックヒータ19よりなる。
そして,ガスセンサ素子1は,第1及び第2被測定ガス室121,122と第1及び第2の大気室140,160を備え,第1被測定ガス室121に対して酸素をポンピングするポンプセル2,第2被測定ガス室122の酸素濃度を監視するモニタセル3,第2被測定ガス室122のNOx濃度を検知するセンサセル4を有する。
【0024】
第1及び第2固体電解質板11,13,スペーサー12との間に第1及び第2被測定ガス室121,122がある。第1被測定ガス室121は,第1固体電解質板11に設けた導入穴110で外部に連通し,第1被測定ガス室121と第2被測定ガス室122との間を連通する拡散通路120がある。
また,本例のガスセンサ素子1は,上記第1固体電解質板11の導入穴110を覆う多孔質拡散層17を有し,該多孔質拡散層17と隣接して,第2大気室160を形成するスペーサー16を有する。
【0025】
また,第2固体電解質板13,スペーサー14,セラミックヒータ19との間に基準ガスとなる大気を導入する第1大気室140がある。
上記セラミックヒータ19は,ヒータ基板191と該ヒータ基板191上に設けた発熱体190,該発熱体190を覆う被覆板192とよりなる。
そして,上記第1及び第2の固体電解質板11,13はジルコニアセラミック,その他は絶縁性のアルミナセラミックよりなる。
【0026】
上記ポンプセル2は第2固体電解質板13に設けた第1被測定ガス室121と対面する第1ポンプ電極21,第1大気室140と対面する第2ポンプ電極22とよりなる。両電極21,22は電源251及び電流計252を備えたポンプ回路25に接続する。
上記モニタセル3は第1固体電解質板11に設けた第2被測定ガス室122と対面する被測定ガス側電極32,第2大気室160と対面する基準電極31とよりなる。両電極31,32は電源351及び電流計352を備えたモニタ回路35に接続する。
【0027】
上記センサセル4は第1固体電解質板11に設けた第2被測定ガス室122と対面する被測定ガス側電極42,第2大気室160と対面する基準電極41とよりなる。両電極41,42は電源451及び電流計452を備えたセンサ回路45に接続する。
そして,モニタセル3でポンプセル2の動作を制御するため,電流計352から電源251にむかうフィードバック回路255がある。
【0028】
そして,第1ポンプ電極21,被測定ガス側電極32はNOxに対して不活性なPt−Au電極よりなる。Auの含有率は3wt%である。被測定ガス側電極42はNOxに対して活性なPt−Rh電極よりなる。その他の電極22,31,41はPt−Rh電極である。Rhの含有率は20wt%である。また,被測定ガス側電極42はAuを0.2wt%添加する。
【0029】
本例のガスセンサ素子1では,センサセル4の被測定ガス側電極42にAuが所定量添加されているため,ガスセンサ素子1使用時にポンプセル2の第1ポンプ電極21,モニタセル3の被測定ガス側電極32から揮発したAuがセンサセル4の被測定ガス側電極42に付着した場合でも,センサセル4の特性が殆ど変化しないため,測定精度が劣化し難い。
【0030】
以上,本例によれば,測定精度に耐久劣化が生じ難いガスセンサ素子を提供することができる。
【0031】
(実施例2)
本例はAuの含有量(付着量)と電極の活性状態,ガスセンサ素子の電圧−電流特性について下記に示す試験を行い,その結果について記載した。
実施例1と同じ構造で,センサセルの被測定ガス側電極がAuを含んでいないガスセンサ素子を準備し,これをガスセンサに組み込んだ後,自動車エンジン実機の排気系に組み付けた。このエンジンを駆動して,所定の耐久距離における電極活性を測定した。
【0032】
ここで耐久距離とは,上記測定に使用したエンジン実機を駆動した時間を,実際に上記エンジン実機を自動車に搭載した際に走行可能な距離に換算した値である。
ところで,センサセルに電圧を印加し,その電流値をモニタし,横軸を電圧値,縦軸を電流値として線図を描くと,図6に示すごとく,ある電圧域(0.2〜0.4V)でリニアな特性が得られる。つまり,図6において,(a)は電圧と電流との関係で,(b)は電圧域0.2〜0.4Vの範囲での傾きを示す。
【0033】
傾きが大きいと,電気抵抗が小さく,より低電圧でNOxが分解し,電極活性が高いといえる。よって,上述の方法から得た電圧と電流との関係を記載した線図を作製することで,電極活性を測定することができる。
この測定結果を図3に記載した。同図に示すごとく,耐久の初期に電極の活性が大きく低下することが分かった。
【0034】
また,上記試験で被測定ガス側電極に付着したAuの量を測定する。
ところで,不純物の量を測定する場合,XPS,EPMA等の方法があるが,測定深度はEPMAの方が高いため,本例ではEPMAを利用してAuの量を測定した。測定結果を図4に記載した。同図に示すごとく,耐久距離が増えるとともにAuの付着量が増えていく。
以上,図3,図4から,Auの付着量と電極の活性との関係を導出し,これを図5に記載した。図5より,電極の活性はAuの付着量の増大に伴い低下するが,特に微量のAuの付着によって大きく活性が低下した後は少しずつ活性が低下していくことが分かった。
【0035】
そして,実施例1に示した構成のガスセンサ素子であって,被測定ガス側電極にAuが含まれていないものと,Auを0.2wt%付与したものとを準備して,両者について図3,図4等を得た際と同様の耐久試験を行って,試験前と試験終了後でのNOx1000ppmにおける,センサセルの出力電流を求め,
{(試験前の出力)−(試験後の出力)/(試験前の出力)}×100
という出力変化率を測定し,図7に記載した。
同図より知れるごとく,Auの有無で出力変化率が大きく異なり,Auを0.2wt%付与することで,出力変化率が小さくなることが分かった。
つまりAuの添加で安定したセンサ出力が得られることが分かった。
【0036】
(実施例3)
本例のガスセンサ素子1は,図8に示すごとく,第1と第2の被測定ガス室520,540が固体電解質板51,55等の積層方向に位置するよう構成する。本例のガスセンサ素子1は,固体電解質板51,スペーサー52,固体電解質板53,スペーサー54,固体電解質板55,スペーサー56,セラミックヒータ19を積層構成してなる。
【0037】
固体電解質板51,スペーサー53とスペーサー52との間に第1被測定ガス室520が,スペーサー53,固体電解質板55とスペーサー54との間に第2被測定ガス室540が,固体電解質板55,スペーサー56とセラミックヒータ19との間に大気室550がある。
【0038】
第1固体電解質板51に設けた導入穴510から第1被測定ガス室520に対し被測定ガスを導入する。多孔質拡散層17は導入穴510を覆うように第1固体電解質板51に対し積層する。第1と第2の被測定ガス室520,540との間は拡散通路530により連通される。
【0039】
そして,ポンプセル2の第1ポンプ電極21は第1被測定ガス室520と対面し,第2ポンプ電極22は拡散抵抗層17を通じて素子の外部雰囲気に曝される。第1及び第2のポンプ電極21,22は固体電解質板51に設ける。
センサセル4の第2被測定ガス室540と対面する被測定ガス側電極42と大気室550と対面する基準電極41とは固体電解質板55に設け,モニタセル3の被測定ガス側電極32と大気室550と対面する基準電極31とは固体電解質板55に設ける。
【0040】
そして,ポンプセル2のポンプ電極21,22は電源251及び電流計252を備えたポンプ回路25に接続する。モニタセル3の電極31,32は電圧計356を備えたモニタ回路35に接続する。センサセル4の電極41,42は電源451及び電流計452を備えたセンサ回路45に接続する。
そして,モニタセル3でポンプセル2の動作を制御するため,電圧計356から電源251にむかうフィードバック回路255がある。
【0041】
そして,第1ポンプ電極21,被測定ガス側電極32はNOxに対して不活性なPt−Au電極よりなる。被測定ガス側電極42はNOxに対して活性なPt−Rh電極よりなる。その他の電極22,31,41はPt−Rh電極である。また,被測定ガス側電極42はAuを0.2wt%添加する。
その他,実施例1と同様の構成を有し,同様の作用効果を有する。
【0042】
なお,図9に示すように,モニタセル3を固体電解質板51に設けることもできる。また,ポンプセル2の第2ポンプ電極22とモニタセル3の基準電極31とは一体化することができる。
【0043】
(実施例4)
本例のガスセンサ素子は,図10に示すごとく,センサセル4とモニタセル3を直列に接続した構成を有する。
本例のガスセンサ素子1は,スペーサー61,固体電解質板62,スペーサー63,固体電解質板64,スペーサー65,セラミックヒータ19を積層構成してなる。
スペーサー61と固体電解質板62との間に第1大気室610が,固体電解質板62とスペーサー63,固体電解質板64との間に第1及び第2の被測定ガス室631,632が,固体電解質板64とスペーサー65,ヒータ19との間に第2大気室650がある。
【0044】
第1固体電解質板62に設けた導入穴620から第1被測定ガス室631に対し被測定ガスを導入する。多孔質拡散層17は導入穴620を覆うように第1固体電解質板62に対し積層する。第1と第2の被測定ガス室631,632との間は拡散通路630により連通される。
【0045】
そして,ポンプセル2の第1ポンプ電極21は第1被測定ガス室631と対面し,第2ポンプ電極22は第2大気室650と対面する。第1及び第2のポンプ電極21,22は固体電解質板64に設ける。
センサセル4の第2被測定ガス室632と対面する被測定ガス側電極42と第1大気室610と対面する基準電極41とは固体電解質板62に設け,モニタセル3の被測定ガス側電極32と大気室610と対面する基準電極31とは固体電解質板62に設ける。
【0046】
そして,ポンプセル2のポンプ電極21,22は電源251及び電流計252を備えたポンプ回路25に接続する。モニタセル3の電極31,32は電圧計356を備えたモニタ回路35に接続する。センサセル4の電極41,42は電源451及び電流計452を備えたセンサ回路45に接続する。
そして,ポンプセル2の動作を制御するため,電流計252から電源251にむかうフィードバック回路255がある。
【0047】
そして,第1ポンプ電極21,被測定ガス側電極32はNOxに対して不活性なPt−Au電極よりなる。被測定ガス側電極42はNOxに対して活性なPt−Rh電極よりなる。その他の電極22,31,41はPt−Rh電極である。また,被測定ガス側電極42はAuを0.2wt%添加する。
その他,実施例1と同様の構成を有し,同様の作用効果を有する。
【0048】
また,図示した構成のほか,ポンプセル2を固体電解質板62に設け,センサセル4やモニタセル3を固体電解質板64に設ける構成でもよい。
【0049】
(実施例5)
本例は,図11に示すごとく,実施例1と同じ構成のガスセンサ素子であるが,モニタセルを持たない2セル式の素子である。
そして,ポンプセル2はポンプ回路25に設けた電流計252から電源251に向かうフィードバック回路255がある。
その他,実施例1と同様の構成を有し,同様の作用効果を有する。
【0050】
また,図示した構成のほか,ポンプセル2を固体電解質板62に設け,センサセル4やモニタセル3を固体電解質板64に設ける構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における,ガスセンサ素子の断面説明図。
【図2】実施例1における,ガスセンサ素子の横断面説明図(図1のA−A矢視断面図)。
【図3】実施例2における,耐久距離と電極活性との関係を示す線図。
【図4】実施例2における,耐久距離とAu付着量との関係を示す線図。
【図5】実施例2における,Au付着量と電極活性との関係を示す線図。
【図6】実施例2における,電圧と電流の関係を示す線図。
【図7】実施例2における,Au付与していない被測定ガス側電極とAu付与した被測定ガス側電極をそれぞれ持つガスセンサ素子の出力変化を示す線図。
【図8】実施例3における,積層方向に被測定ガス室が並んだ構成のガスセンサ素子を示す断面説明図。
【図9】実施例3における,図8とは異なる,積層方向に被測定ガス室が並んだ構成のガスセンサ素子を示す断面説明図。
【図10】実施例4における,モニタセルとセンサセルとが直列に並んだ構成のガスセンサ素子を示す断面説明図。
【図11】実施例5における,センサセルとポンプセルのみよりなるガスセンサ素子の断面説明図。
【符号の説明】
1...ガスセンサ素子,
121...第1被測定ガス室,
140...大気室,
2...ポンプセル,
21...第1ポンプ電極,
22...第2ポンプ電極,
4...センサセル,
41...基準電極,
42...被測定ガス室,

Claims (3)

  1. 外部から被測定ガスを導入する被測定ガス室を備え,該被測定ガス室と対面し,Auを含有する第1ポンプ電極と該第1ポンプ電極と対になる第2ポンプ電極と,両電極を備えた固体電解質板よりなるポンプセルと,
    上記被測定ガス室と対面した被測定ガス側電極と該被測定ガス側電極と対になる基準電極と,両電極を備えた固体電解質板よりなるセンサセルとを少なくとも有し,
    上記センサセルの被測定ガス側電極は,Pt−Rh−Au電極であり,Auの含有量は,電極全体を100wt%とした場合,0.01〜2.0wt%(外wt%)であることを特徴とするガスセンサ素子。
  2. 請求項1において,上記センサセルの被測定ガス側電極におけるAuの含有量は,電極全体を100wt%とした場合,0.1〜1.0wt%(外wt%)であることを特徴とするガスセンサ素子。
  3. 請求項1又は2において,上記被測定ガス室と対面し,Auを含有する被測定ガス側電極と該被測定ガス側電極と対になる基準電極と,両電極を備えた固体電解質板よりなるモニタセルを備えることを特徴とするガスセンサ素子。
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