JP3915905B2 - シリコーン系ゴム成形用金型離型剤及びこれを用いたシリコーン系ゴム成型体の成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコーン系ゴム成形用金型離型剤、及びこれを用いたシリコーン系ゴム成型体の成形方法に関する。更に詳しくは、シリコーン系ゴムの金型成形時における離型効果及びその持続性に優れた離型剤、及びこれを用いたシリコーン系ゴム成型体の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック材料やゴム材料などの金型を用いての成形に当たっては、成型品の型からの取り出しを容易にするため、その型の内面に金属石鹸溶液、各種シリコーンを主剤とする離型剤やテトラフロロエチレン樹脂などの離型剤が用いられている。しかしながら、金属石鹸、シリコーンオイル、シリコーングリースなどは良好な離型性を示すものの、離型剤が成型品に移行するために、成型品の表面がハジキ現象を起こし、均一塗装性、二次加工性などを損なわせるだけでなく、持続性に欠けるため、数ショットごとに塗布する必要があった。一方、テトラフロロエチレン樹脂では、離型効果の持続性や二次加工性の点では満足されるものの、金型の表面に膜を作る工程が高温焼付けでかつ熟練を要するもので、一般的に行う金型離型としては不適であった。
【0003】
また、皮膜形成タイプのシリコーンも種々知られている(例えば、特公平3−11248号公報、特公平2−9096号公報参照)が、これにより得られる硬化皮膜は、離型効果が不十分であり、特に180℃〜200℃で成形される熱硬化タイプのシリコーンゴムの離型には効果が不十分であった。また、パーフロロアルキルのポリシラザンも用いられている(例えば、特開平2−49082号公報参照)が、これも離型効果が十分でなく、かつ皮膜が硬くなり、脆くなってしまうため、耐久性の面でも問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、シリコーン系ゴムの金型成形時における離型効果及びその持続性に優れた離型剤、及びこれを用いたシリコーン系ゴム成型体の成形方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、下記一般単位式(1)で表される単位を有するオルガノシラザン重合体、あるいは下記一般単位式(2)及び(3)で表される単位を有するオルガノシラザン共重合体と、これを溶解することが可能な有機溶剤とを必須成分として含有する金型離型剤が、シリコーン系ゴムの金型離型剤として、離型効果及びその持続性に優れたものであることを知見した。
【0006】
即ち、本発明者らは、パーフロロアルキル又はパーフロロアルキルエーテルポリシラザンとアルキルポリシラザンの併用で、効果的な撥水、撥油皮膜が得られることを先に報告している(特公平6−86584号公報参照)。
本発明者らは、このパーフロロアルキル又はパーフロロアルキルエーテルポリシラザンとアルキルポリシラザンとの共重合体、あるいはパーフロロアルキルエーテルポリシラザンの重合体を金型用離型剤の有効成分とすることにより、プラスチック材料やゴム材料の中でも、特にシリコーン系ゴム成形の金型用離型剤として離型性、持続性の点で効果的であるばかりでなく、作業性も良好であることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0007】
従って、本発明は、下記に示すシリコーン系ゴム成形用金型離型剤及びこれを用いたシリコーン系ゴム成型体の成形方法を提供する。
〔I〕下記の一般単位式(1)
(R1Q)aR2 bSi(NR3)(4-a-b)/2 (1)
(式中、R1は同じでも異なってもよく、パーフロロアルキルエーテル基を表し、R2及びR3は同じでも異なってもよく、水素原子又は置換もしくは非置換の1価の炭化水素基を表し、Qは同じでも異なってもよく、2価の有機基を表し、aは1〜3の整数を表し、bは0〜2の整数を表す。ただし、a+bは1〜3の整数である。)
で表される単位を有するオルガノシラザン重合体及びこれを溶解することが可能な有機溶剤を必須成分として含有する付加硬化型シリコーンゴム、有機過酸化物硬化型シリコーンゴム及びシリコーン・ポリオレフィン共重合型ゴムから選ばれる熱硬化型シリコーン系ゴム成形用金型離型剤。
〔II〕 下記の一般単位式(2)
(R4Q)aR2 bSi(NR3)(4-a-b)/2 (2)
(式中、R4は同じでも異なってもよく、パーフロロアルキル基もしくはパーフロロアルキルエーテル基を表し、R2及びR3は同じでも異なってもよく、水素原子又は置換もしくは非置換の1価の炭化水素基を表し、Qは同じでも異なってもよく、2価の有機基を表し、aは1〜3の整数を表し、bは0〜2の整数を表す。ただし、a+bは1〜3の整数である。)、及び
下記の一般単位式(3)
R2 cSi(NR3)(4-c)/2 (3)
(式中、R2及びR3は前記の通りである。cは1〜3の整数を表す。)
で表される単位を有し、単位式(2)と単位式(3)とのモル比が、(2)/(3)=95/5〜50/50であるオルガノシラザン共重合体及びこれを溶解することが可能な有機溶剤を必須成分として含有する付加硬化型シリコーンゴム、有機過酸化物硬化型シリコーンゴム及びシリコーン・ポリオレフィン共重合型ゴムから選ばれる熱硬化型シリコーン系ゴム成形用金型離型剤。
〔III〕 〔I〕又は〔II〕に記載の金型離型剤により処理された金型を用いて、シリコーン系ゴムを成形する付加硬化型シリコーンゴム、有機過酸化物硬化型シリコーンゴム及びシリコーン・ポリオレフィン共重合型ゴムから選ばれる熱硬化型シリコーン系ゴム成型体の成形方法。
【0008】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明に用いられる下記一般単位式(1)で表される単位を有するオルガノポリシラザン重合体、あるいは下記一般単位式(2)及び下記一般単位式(3)で表される単位を有するオルガノポリシラザン共重合体は、金型離型剤のベースポリマーとなる成分である。この場合、単位式(1)で表される単位から実質的になるオルガノポリシラザン重合体、単位式(2)及び(3)で表される単位から実質的になるオルガノポリシラザン共重合体が好ましい。
【0009】
(R1Q)aR2 bSi(NR3)(4-a-b)/2 (1)
(R4Q)aR2 bSi(NR3)(4-a-b)/2 (2)
R2 cSi(NR3)(4-c)/2 (3)
(式中、R1は同じでも異なってもよく、パーフロロアルキルエーテル基を表し、R2及びR3は同じでも異なってもよく、水素原子又は置換もしくは非置換の1価の炭化水素基を表し、R4は同じでも異なってもよく、パーフロロアルキル基もしくはパーフロロアルキルエーテル基を表し、Qは同じでも異なってもよく、2価の有機基を表し、aは1〜3の整数を表し、bは0〜2の整数を表す。ただし、a+bは1〜3の整数である。cは1〜3の整数を表す。)
【0010】
上記式(1)中、R1は同一でも異なっていてもよいパーフロロアルキルエーテル基を表す。かかるパーフロロアルキルエーテル基としては、炭素原子数が2〜35のものが好ましく、例えば、下記一般式
F−[CF(CF3)CF2O]eCF(CF3)−
(式中、eは1〜10の整数を表す。)
で表されるものなどが挙げられる。中でも炭素原子数が3〜32、特に5〜20のものがより好ましい。
【0011】
また、上記式(2)中、R4は同じでも異なってもよく、パーフロロアルキル基又はパーフロロアルキルエーテル基を表す。かかるパーフロロアルキル基としては、例えば、CmF2m+1−(mは1〜20の整数)で示される、特にF(CF2)m−(mは1〜20の整数)で示される、炭素原子数が1〜20の直鎖状又は分岐状のものが好ましく、具体的にはC8F17−などが挙げられる。中でも炭素原子数4〜10のものが特に好ましい。一方、パーフロロアルキルエーテル基としては、式(1)のR1と同様なものが用いられる。
【0012】
R2及びR3は同じでも異なってもよく、水素原子又は置換もしくは非置換の1価の炭化水素基を表す。かかる置換もしくは非置換の1価炭化水素基としては、炭素原子数が1〜10のものが好ましく、特に好ましくは1〜6である。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、ビニル基、アリル基などのアルケニル基、フェニル基、トリル基などのアリール基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換されたものなどが挙げられる。中でもR2としてはメチル基が好ましく、R3としては水素原子が好ましい。
【0013】
Qは同一でも異なっていてもよい2価の有機基を示す。かかる2価の有機基としては、炭素原子数が2〜5のものが好ましく、具体的には−CH2CH2−、−(CH2)3−などのアルキレン基、−CH2OCH2CH2−などの酸素原子を含有するエーテル基などが挙げられる。
【0014】
また、aは1〜3の整数、特に1又は2、bは0〜2の整数、特に0又は1を表す。ただし、a+bは1〜3の整数、特に1又は2である。cは1〜3の整数、特に1又は2である。
【0015】
上記一般単位式(2)及び(3)で表される単位からなるオルガノシラザン共重合体中、一般単位式(2)で表される単位と一般単位式(3)で表される単位との存在割合は、モル比(式(2)で表される単位/式(3)で表される単位)が95/5〜50/50の範囲であり、好ましくは90/10〜60/40の範囲である。特に、R4がパーフロロアルキル基の場合、上記のモル比が大きすぎると、離型剤の持続性が短くなるだけでなく、金型離型効果自体が低下する。また、小さすぎると金型離型性が不十分になってしまう。
【0016】
上記一般単位式(1)で表される単位からなるオルガノシラザン重合体を得る方法としては、例えば下記一般式(4)
(R1Q)aR2 bSiX4-a-b (4)
(式中、Xは塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子を表し、R1、R2、Q、a及びbは前記の通りである。)
で表されるオルガノハロシランを、有機溶剤中で下記式
R3NH2
(R3は前記の通りである。)
で表されるアンモニアもしくは1級アミンと反応させる方法が挙げられる。
【0017】
上記式(4)で表されるオルガノハロシランとして、具体的には、下記式で表されるものなどが挙げられる。
【化1】
【0018】
また、上記一般単位式(2)と上記一般単位式(3)で表される単位からなるオルガノシラザン共重合体を得る方法としては、例えば下記一般式(5)
(R4Q)aR2 bSiX4-a-b (5)
(式中、X、R4、R2、Q、a及びbは前記の通りである。)
で表されるオルガノハロシランと、下記一般式(6)
R2 cSiX4-c (6)
(式中、R2、c及びXは前記の通りである。)
で表されるオルガノハロシランの混合物とを、有機溶剤中で下記式
R3NH2
(R3は前記の通りである。)
で表されるアンモニアもしくは1級アミンと反応させる方法が挙げられる。
【0019】
上記式(5)で表されるオルガノハロシランとしては、上記式(4)で例示したものに加え、下記式
C4F9CH2CH2SiCl3、
C4F9CH2Si(CH3)Cl2、
C4F9CH2CH2Si(CH3)Cl2、
C4F9CH2OCH2CH2SiCl3、
CF3CH2CH2SiCl3、
C2F5CH2CH2SiCl3、
C3F7CH2CH2SiCl3、
C8F17CH2CH2SiCl3、
C8F17CH2CH2Si(CH3)Cl2、
C10F21CH2CH2SiCl3、
C10F21CH2CH2Si(CH3)Cl2
で表されるものなどが挙げられる。
【0020】
また、上記式(6)で表されるオルガノハロシランとしては、具体的には下記式
CH3SiCl3、
(CH3)2SiCl2、
C6H5SiCl3、
(C6H5)(CH3)SiCl2
で表されるものなどが挙げられる。
【0021】
本発明の金型離型剤に用いられる有機溶剤は、前記のオルガノシラザン(共)重合体を溶解することが可能なものであれば、いずれも使用することができる。このような有機溶剤としては、フッ化炭化水素が好ましい。かかるフッ化炭化水素として、具体的には、例えば、トリクロロトリフロロエタン、テトラクロロジフロロエタン、ジクロロモノフロロエタン、ジクロロトリフロロエタン、ブロモクロロトリフロロエタン、メタキシレンヘキサフロライドなどが挙げられる。
【0022】
また、これらフッ化炭化水素の他に、オルガノシラザン(共)重合体に対する溶解性を低下させない範囲でフッ化炭化水素以外の有機溶剤を併用することができる。かかるフッ化炭化水素以外の有機溶剤としては、例えば、ジクロロエタン、トリクロロエタン、メチレンクロライドなどの塩化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテルなどのエーテル、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、石油エーテルなどの飽和炭化水素などが挙げられる。
【0023】
これら有機溶剤は、上述したオルガノシラザン(共)重合体を合成する際の溶媒として使用することができ、またオルガノシラザン(共)重合体を合成した後に加える溶剤、希釈剤としても使用できる。
【0024】
本発明の金型離型剤において、有機溶剤の配合割合としては、金型離型剤中に上記オルガノポリシラザン(共)重合体を0.1〜50重量%、特に0.2〜20重量%の範囲とする量であることが好ましい。
【0025】
更に本発明の金型離型剤には、上記成分以外の他の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲において添加配合することができる。
【0026】
本発明の金型離型剤の調製方法としては、特に限定されるものではないが、上記オルガノポリシラザン(共)重合体と、これを溶解することが可能な有機溶剤と、必要によりその他の添加剤とを常法に準じて混合することにより、調製することができる。
【0027】
ここで、本発明の金型離型剤を用いて成形される樹脂材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の有機樹脂の中でも、特にシリコーン系ゴムが、金型用離型剤として離型性、持続性の点で効果的であるばかりでなく、作業性も良好なものである。
【0028】
シリコーン系ゴムとしては、熱硬化型シリコーン系ゴムが好適に用いられ、熱硬化型シリコーン系ゴムとしては、マトリックスの主鎖がオルガノポリシロキサンのみから構成される熱硬化型シリコーンゴムの他に、主鎖がオルガノポリシロキサンとポリオレフィンの共重合構造からなるシリコーン・ポリオレフィン共重合型(共加硫型)ゴム、主鎖がオルガノポリシロキサンとポリエーテルの共重合構造からなるシリコーン・ポリエーテル共重合型(共加硫型)ゴム等を例示することができ、本発明の金型離型剤は、熱硬化型シリコーンゴム及びシリコーン・ポリオレフィン共重合型(共加硫型)ゴムに離型・持続効果をより発揮し得る。
【0029】
また、熱硬化型シリコーンゴムとしては、主成分としてアルケニル基含有オルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン及び白金系触媒を含有する付加硬化型シリコーンゴム組成物や、主成分としてアルケニル基含有オルガノポリシロキサン、有機過酸化物を含有する有機過酸化物硬化型シリコーンゴム組成物等が好適に用いられるが、特に付加硬化型液状シリコーンゴム組成物に良好な効果が得られる。
【0030】
更に、本発明においては、上記熱硬化型シリコーン系ゴムに接着助剤等の各種添加剤を配合することができる。この場合、接着助剤の配合量としては、熱硬化型シリコーン系ゴムの0.1重量%以上、特に0.2〜5重量%であることが好ましい。
【0031】
本発明の金型離型剤が適用される金型を用いたシリコーン系ゴム成型体の成形方法としては、射出成形、コンプレッション成形、注入成形、トランスファー成形等が例示される。本発明の金型離型剤は、特に射出成形のように、高温短時間で成形を繰り返す金型に、好適に用いることができる。
【0032】
この場合、本発明の金型離型剤を金型に塗布する方法としては、ハケ塗り、布、ガーゼ等による塗布、スプレー塗布等が挙げられる。
【0033】
上記方法により金型に塗布した金型離型剤は、室温にて5分〜12時間乾燥後、50〜200℃で5分〜5時間焼き付けを行ってから成形を行うことが好ましい。
【0034】
なお、上記シリコーン系ゴム成型体の成形条件、硬化条件は、何ら限定されるものではなく、成形法及びシリコーン系ゴムの種類に応じた適宜な公知の条件を採用することができる。
【0035】
【実施例】
以下、調製例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0036】
金型離型剤の調製
[調製例1]離型剤A
オルガノシラザン重合体を合成するために、原料として下記式
【化2】
で表されるフッ素含有トリクロロシラン55.9g(6.8×10-2モル)及びトリクロロトリフロロエタン200mlを反応容器に仕込んだ。この溶液を5℃に冷却した後、液温を20℃に保ちながら、溶液にアンモニアガスを2時間吹き込んだ。その後、加熱還流を30分間行って、溶液中に溶解していた過剰のアンモニアを除去した。再び溶液を5℃に冷却した後、副生成物である塩化アンモニウムを溶液より濾別して、無色透明なオルガノシラザン重合体を得た。次いで、得られたオルガノシラザン重合体をトリクロロトリフロロエタンで1重量%に希釈し、目的とする金型用離型剤Aを得た。
【0037】
[調製例2]離型剤B
オルガノシラザン共重合体を合成するために、原料として下記式
C8F17CH2CH2SiCl3
で表されるフッ素含有トリクロロシラン60g(0.10モル)、ジクロロジメチルシラン4.0g(3.1×10-2モル)、トリクロロメチルシラン0.14g(1.0×10-3モル)及びトリクロロトリフロロエタン200mlを反応容器に仕込んだ。この後、離型剤Aと同様にして金型用離型剤Bを得た。
【0038】
[実施例1,2、比較例1]
下記に示すシリコーン系ゴム材料a,bについて、以下の条件で射出成形による離型剤評価試験を行った。その結果を表1に記した。
【0039】
ゴム材料a:
2液型の付加硬化型液状シリコーンゴム KE2000−50A/B〔信越化学工業(株)製〕
ゴム材料b:
KE2000−50XA/XB(KE2000−50XA=KE2000−50A;KE2000−50XB=KE2000−50B 100重量部+γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1重量部+下記式の接着助剤1重量部)
【化3】
【0040】
射出成形機:液状シリコーンゴム射出成形機(アーブルグ社製)
金型:SUS製ニップル4個取り金型(ピーアールシー社製)、コールドランナー、エアーブロー脱型タイプ
テスト条件:射出圧力1200bar、金型温度(設定)200℃、硬化時間14秒、成形サイクル24秒
金型処理方法:離型剤A,B共にハケにより金型表面に塗布後、室温で1時間乾燥、更に120℃に昇温して、1時間焼き付けを行った。
評価方法:1000ショットの成形を行い、そのうち成型物が金型に残り、自動脱型できなかったショット数をカウントした。
【0041】
【表1】
【0042】
[実施例3,4、比較例2]
下記に示すゴム材料c:ミラブルタイプのSEPゴム(エチレンプロピレン系とシリコーンの共加硫タイプ)について、以下の条件でコンプレッション成形による離型剤評価試験を行い、結果を表2に記した。
【0043】
ゴム材料c:
ミラブルタイプのシリコーン・ポリオレフィン共重合型シリコーンゴム(SEPゴム)SEP−1721U〔信越化学工業(株)製〕100重量部+有機過酸化物型硬化触媒C−11〔信越化学工業(株)製〕2重量部
【0044】
金型:SUS製ニップル32個取り金型
テスト条件:金型温度(設定)170℃、硬化時間5分
金型処理方法:離型剤A,B共にハケにより金型表面に塗布後、室温で1時間乾燥、更に120℃に昇温して、1時間焼き付けを行った。
評価方法:100ショットの成形を行い、脱型時にゴムが裂けたりしてうまく脱型できなかったショット数をカウントした。
【0045】
【表2】
【0046】
[比較例3〜5]
以下の配合により調製したアクリルゴムについて、上記SEPゴムと同様に、コンプレッション成形による離型剤評価試験を行い、結果を表3に記した。
【0047】
アクリルゴム:
エポキシ基含有アクリルエラストマー(日本メクトロン製ノックスタイトPA312)100重量部+FEFカーボンブラック40重量部+架橋剤(ノクセラーPZ)3重量部
【0048】
金型:SUS製ニップル32個取り金型
テスト条件:金型温度(設定)160℃、硬化時間10分
金型処理方法:離型剤A,B共にハケにより金型表面に塗布後、室温で1時間乾燥、更に120℃に昇温して、1時間焼き付けを行った。
評価方法:100ショットの成形を行い、脱型時にゴムが裂けたりしてうまく脱型できなかったショット数をカウントした。
【0049】
【表3】
いずれも1ショット目から脱型できず、本離型剤の効果は見られなかった。
【0050】
【発明の効果】
本発明の金型離型剤は、シリコーン系ゴム成形の金型用離型剤として離型性、持続性の点で効果的であるばかりでなく、作業性も良好である。
Claims (5)
- 下記の一般単位式(1)
(R1Q)aR2 bSi(NR3)(4-a-b)/2 (1)
(式中、R1は同じでも異なってもよく、パーフロロアルキルエーテル基を表し、R2及びR3は同じでも異なってもよく、水素原子又は置換もしくは非置換の1価の炭化水素基を表し、Qは同じでも異なってもよく、2価の有機基を表し、aは1〜3の整数を表し、bは0〜2の整数を表す。ただし、a+bは1〜3の整数である。)
で表される単位を有するオルガノシラザン重合体及びこれを溶解することが可能な有機溶剤を必須成分として含有する付加硬化型シリコーンゴム、有機過酸化物硬化型シリコーンゴム及びシリコーン・ポリオレフィン共重合型ゴムから選ばれる熱硬化型シリコーン系ゴム成形用金型離型剤。 - 下記の一般単位式(2)
(R4Q)aR2 bSi(NR3)(4-a-b)/2 (2)
(式中、R4は同じでも異なってもよく、パーフロロアルキル基もしくはパーフロロアルキルエーテル基を表し、R2及びR3は同じでも異なってもよく、水素原子又は置換もしくは非置換の1価の炭化水素基を表し、Qは同じでも異なってもよく、2価の有機基を表し、aは1〜3の整数を表し、bは0〜2の整数を表す。ただし、a+bは1〜3の整数である。)、及び
下記の一般単位式(3)
R2 cSi(NR3)(4-c)/2 (3)
(式中、R2及びR3は前記の通りである。cは1〜3の整数を表す。)
で表される単位を有し、単位式(2)と単位式(3)とのモル比が、(2)/(3)=95/5〜50/50であるオルガノシラザン共重合体及びこれを溶解することが可能な有機溶剤を必須成分として含有する付加硬化型シリコーンゴム、有機過酸化物硬化型シリコーンゴム及びシリコーン・ポリオレフィン共重合型ゴムから選ばれる熱硬化型シリコーン系ゴム成形用金型離型剤。 - 熱硬化型シリコーン系ゴムが、0.1重量%以上の接着助剤を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の金型離型剤。
- 請求項1又は2に記載の金型離型剤により処理された金型を用いて、シリコーン系ゴムを成形する付加硬化型シリコーンゴム、有機過酸化物硬化型シリコーンゴム及びシリコーン・ポリオレフィン共重合型ゴムから選ばれる熱硬化型シリコーン系ゴム成型体の成形方法。
- 熱硬化型シリコーン系ゴムが、0.1重量%以上の接着助剤を含有することを特徴とする請求項4記載の成形方法。
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