JP3915616B2 - 熱可塑性樹脂組成物、その製造方法、およびその成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物、その製造方法、およびその成形体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は平板状液晶ポリマーフレークを含む熱可塑性樹脂組成物、その製造方法、およびその成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車分野、中でも、燃料輸送用チューブ、電池ケーシング、燃料タンク等においては、優れた機械的性質、ガスバリア性、ガソリンバリア性、アルコールバリア性、柔軟性、耐熱性、水蒸気バリア性等が求められている。
【0003】
上記の要求に対して、例えば液晶ポリマーと熱可塑性樹脂とをブレンドして、溶融状態で混練し、押出成形することにより得られる管状成形体が提案されている。
しかしながら、液晶ポリマーと熱可塑性樹脂とを溶融させて成形した場合はガスバリア性が十分ではなかった。さらに成形体自体についても、その表面がフィブリル化し易いため、製品外観が劣るとの問題があった(特開平5−4292号公報、特開平5−186668号公報)。
また、液晶ポリマーを含む層と熱可塑性樹脂層から形成される、多層成形体についても提案がなされている。例えば、液晶ポリマーと熱可塑性樹脂とを溶融させて形成した層を、熱可塑性樹脂層で覆うことにより多層成形体の製品外観について改善が図られている。
しかしながら、この様な多層成形体であっても、未だガスバリア性が十分でない等の問題があった(特開平8−300523号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる実情に鑑み本発明が解決しようとする課題は、ガスバリア性、特に水蒸気バリア性、ガソリンバリア性等に優れる熱可塑性樹脂成形体およびこの成形体を与える熱可塑性樹脂組成物を提供すること、ならびにこれらの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、平板状液晶ポリマーフレークを、平板状の形状を保ったまま、熱可塑性樹脂中に存在させることが本発明の目的に適うことを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、
[1]平板状液晶ポリマーフレークを含む熱可塑性樹脂組成物であって、該液晶ポリマーフレークが、(A)液晶ポリエステルを連続相とし、(B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体を分散相とする、液晶ポリエステル樹脂組成物からなる、液晶ポリエステル樹脂組成物からなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物に関するものであり、
[2]上記[1]の熱可塑性樹脂組成物からなる層を少なくとも一層含むことを特徴とする熱可塑性樹脂成形体に関するものであり、
[3]上記成形体を与える熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に本発明を更に詳細に説明する。
まず最初に本発明の平板状液晶ポリマーフレークについて説明する。
本発明の平板状液晶ポリマーフレークとしては、その形状が平板状の薄片であって、実質的に枝分かれが無く、縦、横の長さが厚みより大きいものが使用される。平板状液晶ポリマーフレークの厚みは0.5μm〜1000μmの範囲であることが好ましい。より好ましくは3μm〜500μm、さらに好ましくは、5μm〜200μmの範囲である。平板状液晶ポリマーフレークの厚みが0.5μm未満であるとガスバリア性、剛性が低下する傾向がある。また、1000μmより厚いと、熱可塑性樹脂との組成物を製造する場合に平板状液晶ポリマーフレークの分散が不均一となる傾向がある。また、平板状液晶ポリマーフレークには、フレーク内部に向かっての鋭角な切れ込み形状等の枝分かれが多いと熱可塑性樹脂との組成物を製造する際に分散が良好でない傾向があり好ましくない。さらに、縦、横の長さが厚みより大きいことが好ましく、より好ましくは、縦横とも、厚みの2倍以上1000倍以下、縦と横の長さの比が1.5倍以上の形状である。このような形状を取ることで、射出成形、フィルム成形、チューブ成形、押し出し成形等による成形時に、平板フレーク表面が成形体の面に並行に並びやすく、ガスバリア性が高くなり好ましい。
【0007】
本発明の平板状液晶ポリマーフレークを得る方法に特に制限は無いが、例えば液晶ポリエステルと該液晶ポリエステルと反応性を有する官能記を有する共重合体とからなる液晶ポリマー樹脂組成物をフィルム等の形状とした後、この液晶ポリマーフィルム等に対し、切断、粉砕、叩解等の破砕を施す方法等が挙げられる。この方法により、平板状の形状が容易にかつ均質に得られ、平均的に均一な厚みを持った平板状液晶ポリマーフレークが得られる。
本発明の液晶ポリマーフィルム等の切断に際しては、通常、2枚の刃の組合せ、もしくは回転刃と固定刃による組合せによる切断装置等、一般的な紙やフィルムの切断に供される装置が使用される。
【0008】
液晶ポリマーフィルム等を平板状液晶ポリマーフレークとするための機械的叩解操作の例としては、例えば各種グラインダー、ミル、ビーター、ジョルダン、リファイナー等を使用することができる。また叩解操作を湿潤状態で行う場合には原料樹脂の融着を防ぐ目的で、水または油剤、界面活性剤等を用いることもできる。またイソプロパノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類を添加し表面の湿潤性を高め、より叩解が進み易くすることもできる。
【0009】
本発明において、平板状液晶ポリマーフレークを得るための液晶ポリマー樹脂組成物からなるフィルム、シート状成形体、板状成形体等を作製するための成形方法等に特に限定はないが、例えば、液晶ポリマーを用いて、Tダイ法やインフレーション成膜法でフィルムを得る方法、射出成形、熱プレスによってシートや板を得る方法、溶媒に溶解し、キャストフィルムを得る方法等が挙げられる。
一方、液晶ポリマーフィルムを粉砕する際に、枝分かれ部分のない平板状液晶ポリマーフレークを得るためには、二軸延伸したフィルムを粉砕に用いることが好ましく、さらには、TD方向の延伸率が2倍以上であるフィルムを用いることが好ましい。容易にかつ高速で二軸延伸フィルムを得るためには、インフレーション成膜によるフィルム化方法を採用することができる。
また、フィルム形状物を粉砕する際、MDまたはTDの一方の方向に沿ってフィルム形状物の長さをあらかじめ0.5mm〜50mm、更に好ましくは0.1mm〜20mm程度に切断して置くと粉砕が進み易く好適である。
【0010】
本発明においては、平板状液晶ポリマーフレークと熱可塑性樹脂との接着性を向上させるために、上記液晶ポリマーフィルムの表面に必要に応じて表面処理を施すことができる。このような表面処理法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、スパッタリング処理、溶剤処理、紫外線処理、赤外線処理、オゾン処理、研摩処理などが挙げられる。
【0011】
本発明の平板状液晶ポリマーフレークは液晶ポリマーからなる。次にこの液晶ポリマーについて説明する。
本発明における液晶ポリマーとしては、リオトロピック液晶ポリマーやサーモトロピック液晶ポリマーなどの溶液あるいは溶融状態で液晶性を示す高分子を用いることができる。液晶性を示す高分子に該当するか否かは溶液あるいは溶融状態で光学的異方性を調べる等の公知の手法で確認することができる。
【0012】
本発明における液晶ポリマーとしては、液晶ポリエステルそのものの他、例えば、(A)液晶ポリエステルと(B)共重合体からなる液晶ポリエステル樹脂組成物を例示することができる。
【0013】
上記液晶ポリエステルの具体例としては、
(イ)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボン酸とを反応させて得られたもの
(ロ)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸同士を反応させて得られたもの
(ハ)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとを反応させて得られたもの
(ニ)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させて得られたもの
等が挙げられ、400℃以下の温度で異方性溶融体を形成するものである。なお、これらの芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシカルボン酸の代わりに、それらのエステル形成性誘導体が使用されることもある。
【0014】
該液晶ポリエステルの繰返し構造単位としては、下記の▲1▼芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し構造単位、▲2▼芳香族ジオールに由来する繰返し構造単位、▲3▼芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し構造単位を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
▲1▼芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
【化2】
Figure 0003915616
【0016】
【化3】
Figure 0003915616
【0017】
▲2▼芳香族ジオールに由来する繰返し構造単位:
【化4】
Figure 0003915616
【0018】
【化5】
Figure 0003915616
【0019】
▲3▼芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し構造単位:
【化6】
Figure 0003915616
【0020】
上記の液晶ポリエステルとしては芳香族環にハロゲン基、アルキル基、アリール基が置換したものを用いることができる。液晶ポリエステルの中でも耐熱性、機械的特性、加工性のバランスに適した液晶ポリエステルは、好ましくは、
【0021】
【化7】
Figure 0003915616
なる繰り返し構造単位を含むものであり、かかる繰り返し構造単位を少なくとも液晶ポリエステル全体の30モル%以上含むものを用いることが好ましい。
【0022】
液晶ポリエステルの繰返し構造単位の組み合わせとしては、具体的には下記(I)〜(VI)を例示することができる。下記の液晶ポリエステルには芳香族環にハロゲン基、アルキル基、アリール基が置換したものを用いることができる。
【0023】
【化8】
Figure 0003915616
【0024】
【化9】
Figure 0003915616
【0025】
【化10】
Figure 0003915616
【0026】
【化11】
Figure 0003915616
【0027】
【化12】
Figure 0003915616
【0028】
【化13】
Figure 0003915616
【0029】
該液晶ポリエステル(I)〜(VI)の製法については、例えば特公昭47−47870号公報、特公昭63−3888号公報、特公昭63−3891号公報、特公昭56−18016号公報、特開平2−51523号公報などに記載されている。
【0030】
本発明において、高い耐熱性が要求される分野には液晶ポリエステルには、下記の繰り返し単位(a’)が30〜80モル%、繰り返し単位(b’)が0〜10モル%、繰り返し単位(c’)が10〜25モル%、繰り返し単位(d’)が10〜35モル%からなる液晶ポリエステルを用いることが好ましい。
【0031】
【化14】
Figure 0003915616
(式中、Arは2価の芳香族基である。上記(a’)〜(d’)の芳香族環にはハロゲン基、アルキル基、アリール基が置換したものを用いることができる。)
【0032】
次に本発明における液晶ポリエステル樹脂組成物の、液晶ポリエステル以外の成分である、共重合体について説明する。
本発明の共重合体については液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有するものを用いる。液晶ポリエステルと反応性を有する官能基としては、液晶ポリエステルと反応性を有するなら特に限定はないが、具体的にはオキサゾリル基やエポキシ基、アミノ基等が挙げられる。これらの官能基等は他の官能基の一部として存在していてもよく、そのような例としては例えばグリシジル基が挙げられる。
【0033】
これらの官能基を共重合体中に導入する方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法で行うことができる。例えば共重合体の合成段階で該官能基を有する単量体を共重合により導入することも可能であるし、共重合体に該官能基を有する単量体をグラフト共重合することも可能である。
【0034】
本発明における共重合体は、熱可塑性樹脂であってもゴムであってもよいし、熱可塑性樹脂とゴムの混合物や反応物であってもよい。該液晶ポリエステル樹脂組成物を用いて得られるフィルムまたはシート等の成形体の熱安定性や柔軟性を重視する場合にはゴムを選択することができる。
ここで熱可塑性樹脂とは加熱により溶融することで成形ができる樹脂をいい、ゴムとは天然ゴム、合成ゴムを含む弾性のあるゴムを一般に指す。
【0035】
まず、共重合体がゴムである場合について説明する。
液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体(B)の具体例としてのエポキシ基を有するゴムとしては、(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴム等を挙げることができる。
【0036】
ここで(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸またはメタクリル酸とアルコール類から得られるエステルを意味する。アルコール類としては、炭素原子数1〜8の水酸基含有化合物が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルの具体例としてはメチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどを挙げることができる。なお、(メタ)アクリル酸エステルとしては、その一種を単独で使用してもよく、または二種以上を併用してもよい。
【0037】
液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体としての上記ゴムや、ゴム以外の熱可塑性樹脂中の、液晶ポリエステルと反応性を有する官能基中の不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび不飽和グリシジルエーテルを構成する単量体としては、例えば下記一般式
【0038】
【化15】
Figure 0003915616
(式中、Rは、エチレン系不飽和結合を有する炭素数2〜13の炭化水素基を表し、Xは、−C(O)O−、−CH2−O−または
【化16】
Figure 0003915616
を表す。)で示される単量体を用いることができる。
【0039】
より具体的に示すと、不飽和カルボン酸グリシジルエステルとしては例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イタコン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、p−スチレンカルボン酸グリシジルエステルなどを挙げることができる。
【0040】
不飽和グリシジルエーテルとしては、例えばビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル等が例示される。
【0041】
本発明における上記の共重合体ゴムの中でも、共重合体中の(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位の含量が40〜97重量%のものが好ましい。この範囲外であると、得られるフィルムまたはシート等の成形体の熱安定性や機械的性質が不十分となる傾向がある。45〜70重量%の範囲であればなお好ましい。
【0042】
エチレンモノマー単位の含量については3〜50重量%の範囲のものが好ましく、さらに好ましくは10〜49重量%の範囲のものが好ましい。不飽和カルボン酸グリシジルエーテルモノマー単位および/または不飽和グリシジルエーテルモノマー単位の含量については、好ましくは0.1〜30重量%の範囲である。この範囲外であると、得られるフィルムまたはシート等の成形体の熱安定性や機械的性質が不十分となる傾向がある。0.5〜20重量%の範囲であればなお好ましい。
【0043】
該共重合体ゴムは、通常の方法、例えばフリーラジカル開始剤による塊状重合、乳化重合、溶液重合などによって製造することができる。なお、代表的な重合方法は、特公昭48−11388号公報、特開昭61−127709号公報などに記載された方法であり、フリーラジカルを生成する重合開始剤の存在下、圧力500kg/cm2(49.0MPa)以上、温度40〜300℃の条件により製造することができる。
【0044】
本発明の共重合体であるゴムとしては、上記のゴムに加えて液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有するアクリルゴムや、液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有するビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体ゴムも用いることができる。
【0045】
ここでいうアクリルゴムは単量体から合成されるが、この様な単量体としては、一般式(1)〜(3)
CH2=CH−C(O)−OR1 (1)
CH2=CH−C(O)−OR2OR3 (2)
CH2=CR4−C(O)−O(R5(C(O)O)nR6 (3)
(式中、R1は炭素原子数1〜18のアルキル基またはシアノアルキル基を示す。R2は炭素原子数1〜12のアルキレン基を、R3は炭素原子数1〜12のアルキル基を示す。R4は水素原子またはメチル基、R5は、炭素原子数3〜30のアルキレン基、R6は炭素原子数1〜20のアルキル基またはその誘導体、nは1〜20の整数を示す。)で表されるものを使用することができる。
【0046】
上記一般式(1)で表されるアクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、シアノエチルアクリレート等を挙げることができる。これらの一種または二種以上を該アクリルゴムの主成分として用いることができる。
【0047】
また、上記一般式(2)で表されるアクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えばメトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルアクリレート等を挙げることができる。これらの一種または二種以上を該アクリルゴムの主成分として用いることができる。
【0048】
上記一般式(3)で表されるアクリル酸誘導体としては、例えばアクリロイルオキシ−酪酸メチルエステル、メタクリロイルオキシヘプタン酸メチルエステル等を挙げることができる。これらの一種または二種以上を該アクリルゴムの主成分として用いることができる。
このようなアクリルゴムの構成成分として、上記の一般式(1)〜(3)で表される単量体と共重合可能な不飽和単量体を必要に応じて用いることができる。
【0049】
このような不飽和単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、ハロゲン化スチレン、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルナフタレン、N−メチロールアクリルアミド、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ベンジルアクリレート、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。
【0050】
液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有するアクリルゴムの構成成分比については、上記の一般式(1)〜(3)で表される単量体から選ばれる少なくとも一種の単量体を40.0〜99.9重量%とし、不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテルを0.1〜30.0重量%とし、上記の一般式(1)〜(3)で表される単量体と共重合可能な不飽和単量体を0.0〜30.0重量%とするのが代表的である。該アクリルゴムの構成成分比が上記の範囲内であると、組成物の耐熱性や耐衝撃性、成形加工性が良好となる傾向にある。
【0051】
該アクリルゴムの製法は特に限定するものではなく、例えば特開昭59−113010号公報、特開昭62−64809号公報、特開平3−160008号公報、あるいはWO95/04764などに記載されているような公知の重合法を用いることができ、ラジカル開始剤の存在下で乳化重合、懸濁重合、溶液重合あるいはバルク重合で製造することができる。
【0052】
上記アクリルゴムの他、前記液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有するビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体ゴムとしては、例えば(a)ビニル芳香族炭化水素化合物を主体とするシーケンスと(b)共役ジエン化合物を主体とするシーケンスからなるブロック共重合体をエポキシ化して得られるゴム、該ブロック共重合体の水添物をエポキシ化して得られるゴム等が挙げられる。
【0053】
上記(a)のビニル芳香族炭化水素化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレンなどを挙げることができ、中でもスチレンが好ましい。
共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエンなどを挙げることができ、ブタジエンまたはイソプレンが好ましい。
【0054】
かかるビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体またはその水添物は、公知の方法で製造することができ、例えば、特公昭40−23798号公報、特開昭59−133203号公報等にその方法が記載されている。
【0055】
本発明の共重合体として用いるゴムは必要に応じて加硫を行い、加硫ゴムとして用いることができる。
上記の(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムの加硫は、多官能性有機酸、多官能性アミン化合物、イミダゾール化合物などを用いることで達成されるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
次に、本発明の共重合体がゴム以外の熱可塑性樹脂である場合について説明する。共重合体(B)がゴム以外の熱可塑性樹脂の場合は、例えば、
(a)エチレン
(b)不飽和カルボン酸グリシジルエステルモノマーおよび/または不飽和グリシジルエーテルモノマー
(c)エチレン系不飽和エステル化合物
以上の(a)と(b)、または(a)と(b)と(c)とを反応させて得られるエポキシ基含有エチレン共重合体を例示することができる。中でも、共重合体中のエチレン単位が50〜99重量%、不飽和カルボン酸グリシジルエステルモノマー単位および/または不飽和グリシジルエーテルモノマー単位が0.1〜30重量%、エチレン系不飽和エステル化合物単位が0〜50重量%の範囲のものであることが好ましい。さらにはこれらの中でも不飽和カルボン酸グリシジルエステルモノマー単位および/または不飽和グリシジルエーテルモノマー単位の範囲が0.5〜20重量%であればなお好ましい。
【0057】
上記のエチレン系不飽和エステル化合物(c)の具体例としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のカルボン酸ビニルエステル、α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル等が挙げられるが、中でも酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
【0058】
該エポキシ基含有エチレン共重合体の具体例としては、例えばエチレン単位とグリシジルメタクリレート単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位およびアクリル酸メチル単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位およびアクリル酸エチル単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位および酢酸ビニル単位からなる共重合体等が挙げられる。
【0059】
該エポキシ基含有エチレン共重合体については、メルトインデックス(JISK6760に従い、190℃、2.16kg荷重の条件で測定)が、0.5〜100g/10分の範囲のものを使用することができるが、2〜50g/10分であることが好ましい。共重合体のメルトインデックスはこの範囲外であってもよいが、メルトインデックスが100g/10分を越えると液晶ポリエステル樹脂組成物にした時の機械的物性の点で好ましくない傾向にあり、0.5g/10分未満では成分(A)の液晶ポリエステルとの相溶性が劣る傾向にある。
【0060】
また、該エポキシ基含有エチレン共重合体については、曲げ弾性率が10〜1300kg/cm2(0.98〜127.49MPa)の範囲のものを選ぶことができるが、20〜1100kg/cm2(1.96〜107.87MPa)のものがさらに好ましい。
曲げ弾性率がこの範囲外であると組成物の成形加工性や機械的性質が不十分となる傾向がある。
【0061】
該エポキシ基含有エチレン共重合体は、通常不飽和エポキシ化合物とエチレンをラジカル発生剤の存在下、500〜4000気圧、100〜300℃で適当な溶媒や連鎖移動剤の存在下または不存在下に共重合させる高圧ラジカル重合法により製造される。また、ポリエチレンに不飽和エポキシ化合物およびラジカル発生剤を混合し、押出機の中で溶融グラフト共重合させる方法によっても製造することができる。
【0062】
本発明の共重合体としては、不飽和カルボン酸グリシジルエステルモノマー単位および/または不飽和グリシジルエーテルモノマー単位が共重合体中に0.1〜30重量%含まれるものを用いることが好ましい。共重合体に含まれる該モノマー単位の重量%が0.1重量%未満であると、液晶ポリエステルとの相互作用が小さく、微分散しにくくなって結果として成膜性が悪くなったり、得られたフィルムの性能が悪くなったりする傾向がある。また、30重量%より多いと反応性が高くなり自己架橋などが発生しやすくなり、結果として得られたフィルムの外観が悪くなる傾向がある。
【0063】
本発明の共重合体は、結晶の融解熱量が3J/g未満のものを用いることが好ましい。
結晶の融解熱量が3J/g以上であると、溶融不良によりフィルム上にブツなどが発生する傾向がある。
【0064】
また本発明の共重合体は、ムーニー粘度が3〜70のものが好ましいが、3〜30のものがより好ましく、さらには4〜25のものが特に好ましい。
ここでいうムーニー粘度は、JIS K6300に準じて100℃ラージローターを用いて測定した値をいう。これらの範囲外であると、組成物の熱安定性が低下する傾向にある。
【0065】
本発明における液晶ポリエステル樹脂組成物としては、前記のような(A)液晶ポリエステルを連続相とし、前記のような(B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体を分散相とする樹脂組成物を用いる
液晶ポリエステルが連続相でない場合には、液晶ポリエステル樹脂組成物からなるフィルムのガスバリア性、耐熱性などが著しく低下する傾向にある。
【0066】
このような液晶ポリエステル(A)と共重合体(B)との液晶ポリエステル樹脂組成物においては、機構の詳細は不明ではあるが、該組成物の成分(A)と成分(B)との間で反応が生起し、成分(A)が連続相を形成するとともに成分(B)が微細分散し、そのために該組成物の成形性が向上する傾向にあるものと考えられる。
【0067】
上記の液晶ポリエステル樹脂組成物の一実施態様は、(A)液晶ポリエステルを56.0〜99.9重量%、好ましくは70.0〜99.9重量%、さらに好ましくは80〜98重量%とし、(B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体を44.0〜0.1重量%、好ましくは30.0〜0.1重量%、さらに好ましくは20〜2重量%含有する樹脂組成物である。
成分(A)が56.0重量%未満であると該組成物から得られるフィルムの水蒸気バリア性、耐熱性が低下する傾向がある。また、成分(A)が99.9重量%を超えると該組成物の成形加工性が低下する傾向があり、また価格的にも高価なものとなる。
【0068】
本発明における液晶ポリエステルおよび共重合体からなる液晶ポリエステル樹脂組成物を製造する方法としては公知の方法を用いることができる。たとえば、溶液状態で各成分を混合し、溶剤を蒸発させるか、溶剤中に沈殿させる方法が挙げられる。具体的には溶融状態で各成分を混練する方法を選ぶことができる。溶融混練には一般に使用されている一軸または二軸の押出機、各種のニーダー等の混練装置を用いることができる。特に二軸の高混練機が好ましい。
溶融混練に際しては、混練装置のシリンダー設定温度は200〜360℃の範囲を選ぶことができ、さらには230〜350℃の範囲で実施することが可能である。
【0069】
混練に際しては、各成分は予めタンブラーもしくはヘンシェルミキサーのような装置で各成分を均一に混合してもよいし、必要な場合には混合を省き、混練装置にそれぞれ別個に定量供給する方法も用いることができる。
【0070】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物には、必要に応じて、さらに、有機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改良剤、フッ素樹脂などの離型改良剤などの各種の添加剤を製造工程中あるいはその後の加工工程において添加することができるが、ハロゲン以外のものや燃焼後に灰分が残らないものを用いることが好ましい。
【0071】
上記の液晶ポリエステル樹脂組成物等の液晶ポリマーを用い、冒頭に説明した方法に従って、平板状液晶ポリマーフレークを得ることができる。
【0072】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は平板状液晶ポリマーフレークと熱可塑性樹脂とから構成される。次にこの熱可塑性樹脂について説明する。
平板状液晶ポリマーフレークと組み合わせる熱可塑性樹脂は、特に制限は無いが、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリアリーレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアリーレンオキシド、ポリオレフィン系重合体(PTFEなどのフッ素系樹脂を含む)、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等や、これらの熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物等が挙げられる。中でも、チューブ成形等の成形性やバリア性能と言う観点からは、例えばポリアミド、ポリオレフィン系重合体(PTFEなどのフッ素系樹脂を含む)、ポリエステル等が好ましく用いられる。より好ましくは、例えばポリアミドとしてはナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12等が用いられる。ポリオレフィン系重合体としては、例えばポリプロピレン、HDPE(高密度ポリエチレン、以下同じ。)等が用いられる。特にチューブ用としてはナイロンが、射出成形用としてはポリプロピレンが、燃料タンク用としてはHDPEが好ましく用いられる。
【0073】
上記熱可塑性樹脂には、液晶ポリマーが平板状液晶ポリマーフレーク以外の形状で存在しても良い。例えば、粒子状、繊維状等の形状の液晶ポリマーが、平板状液晶ポリマーフレーク以外に存在しても良い。ただし、液晶ポリマーが該熱可塑性樹脂中で連続相を形成する場合は本発明には含まれない。
【0074】
本発明の熱可塑性樹脂には、帯電防止を行うに十分な量の導電媒体を添加することができる。その処理の方法に制限は無いが、押出成形や溶融混練等の操作時等に導電フィラー、導電材を配合する方法が好ましく用いられる。例えば、炭素系フィラー、金属(鉄、銅、銀、金、ニッケルなど)とそれらの混合体が好ましく用いられる。炭素系フィラーとしては、例えば繊維状、粉末状のカーボンブラック、カーボンナノチューブ等が用いられる。金属としては、例えば、繊維状、粉末状等の金属ファイバー、金属フィラー等が用いられる。さらに成形した後に、成形体の表面に導電コーティングすることで帯電を防止することもできる。このように成形品に対し静電防止処理を行うことで、ガソリンなどの有機溶媒がチューブ内を長時間流動しても成形体が帯電することはなく、発火等を防止することができ安全上好ましい。
【0075】
平板状液晶ポリマーフレークと熱可塑性樹脂との熱可塑性樹脂組成物は通常知られている方法で得ることができる。例えば、両者をドライブレンドし、そのまま成形機の押出機に投入して組成物を得ると同時に成形する方法、ドライブレンドしたブレンド物を溶融混練して組成物を得る方法等が挙げられる。
成形時の押出機や溶融混練時の押出機の設定温度は、平板状液晶ポリマーフレークの原料となる液晶ポリマーの流動開始温度以下に設定される。設定温度が液晶ポリマーの流動開始温度より高いと、液晶ポリマーが部分的に溶融し、結果として得られた組成物において、フレークの平板状の形状が保てずに球状に分散したり、フィブリル状、糸状の形態で分散し、得られた成形体のガスバリア性が十分でなくなる場合があり好ましくない。液晶ポリマーフレークを均一に熱可塑性樹脂中に分散させるためには、押出機の設定温度を熱可塑性樹脂の流動開始温度以上に設定することが好ましい。
上記操作により、平板状液晶ポリマーフレークを、平板状の形状を保ったまま、熱可塑性樹脂中に分散させることができる。
【0076】
本発明の、平板状液晶ポリマーフレークと熱可塑性樹脂との配合比は、平板状液晶ポリマーフレークが1〜80重量%、熱可塑性樹脂が30〜99重量%の配合範囲であることが好ましく、より好ましくは平板フレーク状液晶が3〜60重量%、熱可塑性樹脂が40〜97重量%、さらに好ましくは平板フレーク状液晶が5〜55重量%、熱可塑性樹脂が45〜95重量%の範囲である。平板状液晶ポリマーフレークが1重量%未満であると、得られた組成物のガスバリア性が十分でない傾向があり、80重量%より多いと、得られた組成物の成形性が十分でない傾向がある。
組成物中で、熱可塑性樹脂は連続相を形成していることが好ましい。熱可塑性樹脂が連続相を形成することで熱可塑性樹脂の成形性が損なわれない傾向がある。
【0077】
先に説明した、平板状液晶ポリマーフレークを含む熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物を用いて成形することにより、本発明の成形体が得られる。
本発明における熱可塑性樹脂組成物より得られる成形体の形状、成形方法に特に制限は無い。成形体の形状としては、射出成形品、シート・フィルム状成形品、チューブ状成形品、ボトル・タンク状成形品等が挙げられる。成形方法としては、平板状液晶ポリマーフレークが平板状の形状を保つことのできる成形方法が好ましい。例えば、本発明の熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂のみを溶解する溶媒に溶かし、他基材に塗付したり、コーティングを行ったのち、溶媒を除去しても良い。本操作によって、平板状液晶ポリマーフレークの形状が保たれることで高いガスバリア性が達成することができ好ましい。
【0078】
熱可塑性樹脂組成物を溶融して成形する場合、例えば射出成形、熱プレス、フィルム成形、押出成形、ブロー成形、チューブ成形等の方法を用いる場合は、熱可塑性樹脂組成物が加工可能となる熱可塑性樹脂の流動開始温度以上の温度で、かつ、用いた平板状液晶ポリマーフレークの流動開始温度以下、すなわち平板状液晶ポリマーフレークの原料である液晶ポリマーの流動開始温度以下の温度で成形することが好ましい。この範囲の温度で成形することにより、熱可塑性樹脂が連続相を形成し、かつ、平板状液晶ポリマーフレークの形状が保たれることで高いガスバリア性が保持される傾向がある。
【0079】
本発明における熱可塑性樹脂成形体は、熱可塑性樹脂中に、平板状液晶ポリマーフレークを含む熱可塑性樹脂組成物からなる層を、少なくとも一層含有する成形体を含む。
例えば、熱可塑性樹脂成形体は、平板状液晶ポリマーフレークと熱可塑性樹脂との熱可塑性樹脂組成物のみからなる成形体であっても良いし、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる層と熱可塑性樹脂からなる層の多層熱可塑性樹脂成形体であっても良い。特に、フィルム、シート、チューブ、ボトル、タンクなどの成形体においては、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる層と熱可塑性樹脂からなる層の多層熱可塑性樹脂成形体が好ましく用いられる。
【0080】
多層熱可塑性樹脂成形体としては、例えば、
(1)平板状液晶ポリマーフレークを含む熱可塑性樹脂からなる層、および
(2)平板状液晶ポリマーフレークを含まない熱可塑性樹脂からなる層を含む二層以上の層構造を有する多層熱可塑性樹脂成形体が例示される。成形体が例えばシート状等の平面構造では、表面と裏面の全面に層(1)を配置する場合、表面のみ、あるいは裏面のみが層(1)である場合等が含まれる。
成形体が例えば管状等の形状の場合、管の内側が層(1)であり、かつ外側が層(2)である場合や、管の外側が層(1)であり、かつ内側が層(2)である場合が含まれる。
チューブ、タンク、ボトル等の形状においては、平板状液晶ポリマーフレークを含む層が、熱可塑性樹脂からなる層に対して、成形体の内側となる構成が好ましく用いられる。この場合、外側の熱可塑性樹脂には、例えば、導電性付与、耐擦動性付与等、他の機能を容易に付与することが可能である。
【0081】
さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる層を中間層とし、熱可塑性樹脂からなる層を中間層の両側に配置する構成も好ましく用いられる。
例えば、下記の層(イ)〜層(ハ)を含む三層以上の層構造を有する多層成形体であって、層(ロ)が、層(イ)と層(ハ)との間にある多層熱可塑性樹脂成形体が挙げられる。
(イ)平板状液晶ポリマーフレークを含まない熱可塑性樹脂からなる層
(ロ)平板状液晶ポリマーフレークを含む熱可塑性樹脂からなる層
(ハ)平板状液晶ポリマーフレークを含まない熱可塑性樹脂からなる層
上記の層(イ)と層(ハ)は同じ組成を有する熱可塑性樹脂組成物からなる層であっても良いし、異なる組成を有する熱可塑性樹脂組成物からなる層であっても良い。この場合、外側の熱可塑性樹脂のみならず、内側の熱可塑性樹脂に対しても、例えば、導電性付与、耐擦動性等の他の機能を容易に付与することが可能となる。
【0082】
さらに、用途によって、異なる熱可塑性樹脂を用いた、平板状液晶ポリマーフレークと熱可塑性樹脂による2種の熱可塑性樹脂組成物からなる層を多層にした成形品、さらに、同種の熱可塑性樹脂を用い、平板状液晶ポリマーフレークの組成比を変えた2種の熱可塑性樹脂組成物からなる層を多層にした成形品等も好ましく用いられる。前者は、成形品としての強度向上等の設計がしやすく、後者は、2層間の接着に優れていて特に好ましい。
【0083】
本発明における熱可塑性樹脂の成形体では、該熱可塑性樹脂組成物中の平板状液晶ポリマーフレークの平面が、成形体の面と並行になるように成形することが好ましい。例えばフィルムシートの場合では、フィルムシート面に液晶ポリマーフレークの面が並行となる成形条件が通常選択される。本発明の平板状フレークの構造上、通常の押し出し成形、フィルム成形、ボトル成形、チューブ成形等の成形方法が上記構造が実現されやすく好ましい。また、該熱可塑性樹脂組成物を溶媒に溶解して塗付する方法によっても、得られた薄膜に対して上記構造を実現することができる。
【0084】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、これらは単なる例示であり、本発明はこれらに限定されることはない。
【0085】
(1)成分(A)の液晶ポリエステル
(i)p−ヒドロキシ安息香酸16.6kg(12.1モル)と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸8.4kg(45モル)および無水酢酸18.6kg(182モル)を櫛型撹拌翼付きの重合槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら昇温し、320℃で1時間、そしてさらに2.0torrの減圧下に320℃で1時間重合させた。この間に、副生する酢酸を系外へ留出し続けた。その後、系を除々に冷却し、180℃で得られたポリマーを系外へ取出した。
この得られたポリマーを細川ミクロン(株)製のハンマーミルで粉砕し、2.5mm以下の粒子としたあと、ロータリーキルン中で窒素ガス雰囲気下に250℃で5時間処理することによって、流動開始温度が275℃の粒子状の下記化21の繰り返し単位からなる全芳香族ポリエステルを得た。
ここで、流動開始温度とは、島津社製高化式フローテスターCFT−500型を用いて、4℃/分の昇温速度で加熱された樹脂を、荷重100kgf/cm2(9.81MPa)のもとで、内径1mm、長さ10mmのノズルから押し出すときに、溶融粘度が48000ポイズ(4800Pa・s)を示す温度のことをいう。
以下該液晶ポリエステルをA−1と略記する。このポリマーは加圧下で290℃以上で光学異方性を示した。
液晶ポリエステルA−1の繰り返し構造単位の構造とその比率は次の通りである。
【0086】
【化17】
Figure 0003915616
【0087】
(2)成分(B)の共重合体
以下において、Eはエチレン、MAはアクリル酸メチル、GMAはグリシジルメタクリレートをそれぞれ示す。
(i)住友化学工業(株)製、ボンドファースト 7L
E/GMA/MA=67/3/30重量比の共重合体、MFR=9
ここでMFRは、JIS K6760に準じて、190℃、2.16kg
/cm2荷重で測定した値である。以下、この共重合体をB−1と略称することがある。
【0088】
(3)物性の測定法
(i)酸素透過度(OTR)測定
JIS K7126(等圧法)に従って、酸素透過度測定装置(OX−TRAN10/50A、MOCON社製)を用い、テストガスは酸素99.99%、キャリアガスは窒素98%水素2%、温度23℃の条件で測定した。単位はcc/(m2・24hr)である。厚み換算は行っていない。
(ii)水蒸気透過率:JIS Z0208(カップ法)に準拠して温度40℃、相対湿度90%の条件で測定した。単位はg/(m2・24hr・1atm)である。厚み換算は行っていない。
(iii)ガソリン透過度:得られたチューブに市販のレギュラーガソリンを封入し、23℃、相対湿度50%の室内に放置して、重量減少の経時変化から1日当たり、m当たりに換算した。単位は (g/m・24hr)である。厚み換算は行っていない。
【0089】
参考例1
A―1 95.0質量%およびB−1 を5.0質量%となるようにヘンシェルミキサーで混合した。次いで、日本製鋼(株)製TEX−30型二軸押出機を用いてシリンダー設定温度310℃、スクリュー回転数200rpmで溶融混練を行ってペレットを得た。得られたペレット(P−1と略称することがある)は加圧下で288℃以上で光学的異方性を示した。該ペレットの流動開始温度は276℃であった。
次に、得られたペレットを、円筒ダイを備えた60mmφの単軸押出機に供給して、シリンダー設定温度290℃、スクリュー回転数60rpmで溶融混練し、直径70mm、リップ間隔1.0mm、ダイ設定温度280℃の円筒ダイから上方へ溶融樹脂を押出し、その際この筒状フィルムの中空部へ乾燥空気を圧入して筒状フィルムを膨張させ、続いて冷却させた後、ニップロールに通して引取り、液晶ポリエステル樹脂組成物からなるフィルムを得た。
この際フィルムMD方向の延伸倍率(引き取り速度/円筒ダイスからの樹脂吐出速度)を10.7、ブロー比(膨張した筒状フィルムの直径/ダイスの直径)を3.8としたフィルムの実測平均厚さは25μmであった。以下、このフィルムをG−1と略記する。
G−1の酸素透過度は0.6cc/m2・atm・24h水蒸気透過率度は0.2g/m2・atm・24hであった。
G−1をはさみでおよそ1cm×3cmの大きさに裁断し、それを2000gの水とともに、あらかじめディスク間距離を距離計の読みで0.10mmに調整した熊谷理機工業社製のKRK高濃度ディスクレファイナーで一回叩解して、幅0.5mm〜1mm、長さ1mm〜2mmの鱗片状フィラーを得た。この鱗片状フィラーをR−1と呼ぶことがある。
さらに、R−1をあらかじめディスク間距離を距離計の読みで0.01mmに調整した熊谷理機工業社製のKRK高濃度ディスクレファイナーでさらに10回叩解し、水に分散させた後、100メッシュの金網を通過し、かつ、200メッシュの金網を通過しない部分を乾燥させ、平板状液晶ポリマーフレークR−2を得た。顕微鏡で観察して確認できたフレークの代表的なサイズは、厚み25μm、縦100〜200μm、幅50〜100μmであった。
【0090】
実施例1
市販のナイロン6(押出しグレード)を70重量%、R−2を30重量%をドライブレンドし、池貝鉄工製二軸押出機PCM−30を用い、245℃で溶融混練を行い、組成物C−1を得た。C−1を東洋精機製二軸コニカル押出機30R150に直径25mm、リップ間隔1.0mmの樹脂吐出部を持つインフレーションダイスを設置した装置を用いて、シリンダー平均設定温度250℃、ダイス設定温度255℃で、φ16mm×φ15.4mmのチューブ(T−1)を得た。T−1を切り開いて厚み300μmの、フィルム状として測定したガスバリア性は、水蒸気透過度が3g/m・24hr、酸素透過度が1.5cc/m・24hr・atmと良好であった。ガソリン透過度は0.001g/m・24hr以下(測定限界以下)であった。
また、チューブ斜断面を顕微鏡で観察したところ、平板状液晶ポリマーフレークの形状はほぼ保たれ、かつ、フレークの面はチューブの接線にほぼ並行であった。
【0091】
実施例2
市販のナイロン6(押出しグレード)を90重量%、R−2を10重量%とした以外は実施例1と同様にして、チューブ(T−2)を得た。T−2を切り開いて厚み300μmのフィルム状として測定したガスバリア性は、水蒸気透過度が4.2g/m・24hr、酸素透過度が2.5cc/m・24hr・atmと良好であった。ガソリン透過度は0.001g/m・24hr以下(測定限界以下)であった。
また、チューブ斜断面を顕微鏡で観察したところ、平板状液晶ポリマーフレークの形状はほぼ保たれ、かつ、フレークの面はチューブの接線にほぼ並行であった。
【0092】
実施例3
市販のHDPE(押し出しグレード)80重量% R−2を20重量%をドライブレンドし、池貝鉄工製二軸押出機PCM−30を用い、260℃で溶融混練を行い、組成物C−3を得た。C−3を円筒ダイを備えた60mmφの単軸押出機に供給して、シリンダー設定温度260℃、スクリュー回転数60rpmで溶融混練し、直径70mm、リップ間隔1.0mm、ダイ設定温度255℃の円筒ダイから上方へ溶融樹脂を押出し、その際この筒状フィルムの中空部へ乾燥空気を圧入して筒状フィルムを膨張させ、続いて冷却させた後、ニップロールに通して引取り、熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムを得た。この際フィルムMD方向の延伸倍率(引き取り速度/円筒ダイスからの樹脂吐出速度)を12.1、ブロー比(膨張した筒状フィルムの直径/ダイスの直径)を1.7とした。得られたフィルムの実測平均厚さは50μmであった。該フィルムの水蒸気透過度が3g/m2・24hr、酸素透過度が345.0cc/m・24hr・atmと良好であった。ガソリン透過度は0.04g/m・24hrであった。
また、フィルム斜断面を顕微鏡で観察したところ、平板状液晶ポリマーフレークの形状はほぼ保たれ、かつ、平板状液晶ポリマーフレークの面はフィルム面にほぼ並行であった。
【0093】
比較例1
実施例1に用いたナイロン6のみで、実施例1と同様の形状のチューブを得た。切り開いて厚み300μmのフィルム状として測定したガスバリア性は、水蒸気透過度が20g/m・24hr、酸素透過度が4cc/m・24hr・atmであった。ガソリン透過度は、0.07g/mであった。
比較例2
市販のナイロン6(押出しグレード)を70重量%、P−1を30重量%をドライブレンドし、池貝鉄工製二軸押出機PCM−30を用い、240℃で溶融混練を行い、組成物X−1を得た。X−1は均質ではなく、チューブ成形、フィルム成形できなかった。
【0094】
比較例3
実施例1に用いたHDPEのみで、実施例1と同様の方法で50μm厚みのフィルムを得た。水蒸気透過度が9g/m・24hr、酸素透過度が1400cc/m・24hr・atmであった。ガソリン透過度は、0.2g/mであった。
【0095】
比較例4
実施例3のHDPEを80重量%、A−1を20重量%をドライブレンドし、池貝鉄工製二軸押出機PCM−30を用い、A−1の流動開始温度以上の300℃で溶融混練を行い、組成物X−2を得た。X−2を円筒ダイを備えた60mmφの単軸押出機に供給して、シリンダー設定温度250℃、スクリュー回転数60rpmで溶融混練し、直径70mm、リップ間隔1.0mm、ダイ設定温度255℃の円筒ダイから上方へ溶融樹脂を押出し、その際この筒状フィルムの中空部へ乾燥空気を圧入して筒状フィルムを膨張させようとしたが、穴があいてフィルム成形できなかった。
引き続き、シリンダー設定温度295℃、ダイ設定温度295℃として、同様にして押し出して膨張させ、続いて冷却させた後、ニップロールに通して引取り、X−2からなるフィルムを得た。この際フィルムMD方向の延伸倍率(引き取り速度/円筒ダイスからの樹脂吐出速度)を12.1、ブロー比(膨張した筒状フィルムの直径/ダイスの直径)を1.7とし、実測平均厚み50μmのフィルムをえた。
水蒸気透過度が7.5g/m・24hr、酸素透過度が1300cc/m・24hr・atmであった。ガソリン透過度は、0.19g/mと、比較例3と同等の結果を得た。
フィルム斜断面を顕微鏡で観察したところ、液晶ポリマーの形状は、針状、紡錘形、球状となっており、平板状ではなかった。
【0096】
【発明の効果】
本発明により、耐熱性、ガスバリア性、有機溶剤バリア性、特に、水蒸気バリア性とガソリンバリア性に優れる成形体、例えば液晶ポリマーを含む層を有する樹脂製チューブ等を市場に提供することができる。

Claims (27)

  1. 熱可塑性樹脂中に、平板状液晶ポリマーフレークを含む熱可塑性樹脂組成物であって、該液晶ポリマーフレークが、(A)液晶ポリエステルを連続相とし、(B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体を分散相とする、液晶ポリエステル樹脂組成物からなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 平板状液晶ポリマーフレークの含量が、1〜80重量%であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 平板状液晶ポリマーフレークの厚みが0.5μm〜1000μmであり、縦、横の長さが厚みの2倍以上1000倍以下であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 平板状液晶ポリマーフレークが、液晶ポリマーフィルムを破砕して得られたものであることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 液晶ポリエステル樹脂組成物中における、(A)液晶ポリエステルの含量が56.0〜99.9重量%であり、(B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体の含量が44.0〜0.1重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 液晶ポリエステルと反応性を有する官能基が、オキサゾリル基、エポキシ基またはアミノ基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 共重合体(B)が、不飽和カルボン酸グリシジルエステルモノマー単位および/または不飽和グリシジルエーテルモノマー単位を0.1〜30重量%含有する共重合体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 共重合体(B)が、エポキシ基を有するゴムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. エポキシ基を有するゴムが、(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムからなることを特徴とする請求項8記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 共重合体ゴムにおける、(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位の含量が40〜97重量%、エチレンモノマー単位の含量が3〜50重量%、不飽和カルボン酸グリシジルエステルモノマー単位および/または不飽和グリシジルエーテルモノマー単位の含量が0.1〜30重量%であることを特徴とする請求項9に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  11. (メタ)アクリル酸エステルが、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、および2−エチルヘキシルメタクリレートよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものであることを特徴とする請求項9〜10のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  12. 共重合体(B)が、エポキシ基を有する熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  13. エポキシ基を有する熱可塑性樹脂が、エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)−エチレン系不飽和エステルからなるエポキシ基含有エチレン共重合体であることを特徴とする請求項12記載の熱可塑性樹脂組成物。
  14. エポキシ基含有エチレン共重合体における、エチレンモノマー単位の含量が50〜99重量%、不飽和カルボン酸グリシジルエステルモノマー単位および/または不飽和グリシジルエーテルモノマー単位の含量が0.1〜30重量%、エチレン系不飽和エステルモノマー単位の含量が0〜50重量%であることを特徴とする請求項13記載の熱可塑性樹脂組成物。
  15. 液晶ポリエステル(A)が、下記の繰り返し構造単位を少なくとも全体の30モル%含むものであることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 0003915616
  16. 液晶ポリエステル(A)が、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボン酸とを反応させて得られるものであることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  17. 液晶ポリエステル(A)が、異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸の組合せを反応させて得られるものであることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  18. 液晶ポリマーフィルムがインフレーション成膜法により得られたフィルムであることを特徴とする請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  19. 熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、およびポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  20. 平板状液晶ポリマーフレークと熱可塑性樹脂とを、平板状液晶ポリマーフレークの流動開始温度以下の温度で混練することを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  21. 請求項1〜19のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を、その熱可塑性樹脂の流動開始温度以上、平板状液晶ポリマーフレークの流動開始温度以下の温度範囲で成形することを特徴とする熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
  22. 請求項1〜19のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする熱可塑性樹脂成形体。
  23. 請求項1〜19のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなる層を少なくとも一層含むことを特徴とする熱可塑性樹脂成形体。
  24. 下記の層(1)〜層(2)を含む二層以上の層構造を有する多層成形体であって、層(1)が多層成形体表面にあり、層(1)が請求項1〜19のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなる層であることを特徴とする、請求項23に記載の熱可塑性樹脂成形体。
    (1)平板状液晶ポリマーフレークを含む熱可塑性樹脂からなる層
    (2)平板状液晶ポリマーフレークを含まない熱可塑性樹脂からなる層
  25. 下記の層(イ)〜層(ハ)を含む三層以上の層構造を有する多層成形体であって、層(ロ)が、層(イ)と層(ハ)との間にあり、且つ層()が請求項1〜19のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなる層であることを特徴とする、請求項23に記載の熱可塑性樹脂成形体。
    (イ)平板状液晶ポリマーフレークを含まない熱可塑性樹脂からなる層
    (ロ)平板状液晶ポリマーフレークを含む熱可塑性樹脂からなる層
    (ハ)平板状液晶ポリマーフレークを含まない熱可塑性樹脂からなる層
  26. チューブ形状を有することを特徴とする請求項22〜25のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体。
  27. 帯電防止処理が施されていることを特徴とする請求項22〜26のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体。
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