JP3915551B2 - 光ディスクの製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクの製造方法に係わり、特に高密度記録に対応した光ディスクに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、光ディスクの高記録密度化等を目的として、従来からある基板側から光を入射させる構成の光ディスクに対して、基板とは反対側から光を入射させる構成も採用されるようになってきている。
この構成では、信号が記録される記録層と入射面の間の層が、従来の比較的厚いディスク基板から薄い膜に替わる。
【0003】
このような構成の光ディスクを図13及び図14に示す。
例えば図13に示す記録層が単層の光ディスク40では、例えば基板41と記録膜又は反射膜42とカバー層43とから構成される。レンズ45から光が入射する入射面40Aと記録膜又は反射膜42との間は、厚さD1の薄いカバー層43となっている。
また、例えば図14に示す記録層が2層の光ディスク50では、例えば基板51、反射膜(第1の記録層)52、UV硬化樹脂から成る中間層53、半透膜(第2の記録層)54、カバー層55とから構成される。レンズ57から光が入射する入射面50Aと半透膜54との間は、薄いカバー層55となっている。
【0004】
上述したカバー層43,55は、例えばスピンコート法を用いて形成することができる。
このスピンコート法によるカバー層等の形成工程を図15に示す。
【0005】
まず、図15Aに示すように、回転台81の中央部の突起81Aにカバー層以外の下層が形成されたディスク80の中央部のセンター穴80Aをはめ込み、さらにセンター穴80Aの上部をプラグ82で埋める。
次に、図15Bに示すように、回転台81を矢印で示すように軸81Bの周囲に回転させながら、ディスク80の中央部上に例えばカバー層となるレジン等83を塗布する。
続いて、図15Cに示すように、回転台81を矢印で示すように軸81Bの周囲に回転させながら、この回転によりレジン83を拡げて、ディスク80の全面に均一なカバー層84を形成する。
【0006】
尚、ディスク80がセンター穴80Aを有するために、そのままでレジン等83を塗布すると、センター穴80Aによりレジン83の中央部がへこむため、均等な厚さのカバー層84が得られない。よって、例えば図15Aに示すようにセンター穴80Aをプラグ82で埋めた状態でレジン等83を塗布している。
【0007】
その後、図15Dに示すように、プラグ82を矢印の方向に取り除く。
これにより、図15Eに示すように、カバー層84が形成されて成る光ディスク85が作製される。
このとき、プラグ82上のレジン83も共に除去されるため、光ディスク85の中央部にはカバー層84が無くなっている。
【0008】
この状態における光ディスク85の中央部の拡大図を図16に示す。光ディスク85のセンタークランプ部85Cとなる中央部は、カバー層84が無いために他の部分よりも薄くなっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光ディスクを、実際に光ヘッドを備えた光記録再生装置等の光ディスク装置で使用する場合には、光ディスクを保持して回転させるためにターンテーブル等にクランプさせている。
【0010】
特に、光ディスクの片側のみに光ヘッドを設け、光ディスクを横置きで使用する光ディスク装置では、ターンテーブル上に光ディスクを取り付け、光ディスクの下側から光ヘッドにより記録や再生を行うことが一般的である。
そして、光ディスクの上下から挟むようにクランプする構成を採用することもあるが、光ディスク装置の小型化のために、光ディスクの下側からのみクランプしてターンテーブルに取り付ける構成も採用されることもある。例えばターンテーブルの中央部の突起を光ディスクのセンター穴に差し込み、ターンテーブル中央部の突起を光ディスクの中央部(センタークランプ部)にクランプさせる。
【0011】
そして、特に図13や図14に示すように、基板とは反対側から光を入射させて記録や再生を行う光ディスク40,50においては、基板とは反対の側(カバー層等が形成される主面側)をクランプする構成となる。
【0012】
ここで、図16に示すように、光ディスク85の中央部のセンタークランプ部85Cにカバー層84が無い場合には、薄いセンタークランプ部85Cにおいてターンテーブルにクランプされることになる。
このとき、センタークランプ部85Cの表面(クランプ面)と、カバー層84が形成された部分の表面による信号読み取り面とは、高さが異なっている。
しかしながら、この場合には、信号読み取り面がクランプ面より光ヘッド側に来るため、カバー層84の表面に突起があるときに光ヘッドと光ディスク85との接触を防ぐためのマージンが小さくなる。
【0013】
一方、図示しないが、センタークランプ部にもカバー層が形成されている構成とすると、センタークランプ部と信号読み取り面とがほぼ同一の高さとなる。
しかしながら、カバー層はレジン等により形成されるため、その表面が固く滑りやすくなっていて、クランプが難しくなる。
【0014】
上述した問題の解決のために、本発明においては、光ディスクと光ヘッドとの接触を防ぐためのマージンを確保することができ、かつ容易にクランプすることができる光ディスクの製造を可能にする光ディスクの製造方法を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ディスクの製造方法は、基板上の中央部に第1層目のレジスト及び第2層目のレジストを積層して成る厚いレジストを形成すると共に、基板上の他の部分に第1層目のレジスト或いは第2層目のレジストのいずれか一方から成る薄いレジストを形成することにより、中央部のレジストが他の部分のレジストよりも厚く形成されたマスターディスクを作製し、このマスターディスクを使用して反転パターンとなり中央部に凹部を有するスタンパーを作製し、このスタンパーを用いて成形することにより中央部に凸形状を有するディスクを作製し、このディスクの中央部以外の部分に薄膜を形成するものである。
【0016】
上述の本発明の光ディスクの製造方法によれば、基板上の中央部に第1層目のレジスト及び第2層目のレジストを積層して成るレジストを形成すると共に、基板上の他の部分に第1層目のレジスト或いは第2層目のレジストのいずれか一方から成る薄いレジストを形成するので、作製されるマスターディスクの中央部は2層のレジストを積層したレジストとなり、他の部分は1層のレジストから成るレジストとなるため、中央部のレジストが他の部分のレジストより厚く形成される。
そして、この中央部のレジストが他の部分のレジストよりも厚く形成されたマスターディスクを使用して反転パターンとなり中央部に凹部を有するスタンパーを作製し、このスタンパーを用いて成形することにより中央部に凸形状を有するディスクを作製し、このディスクの中央部以外の部分に薄膜を形成することにより、中央部は上記ディスクの凸形状、他の部分は上記薄膜(例えば前述したカバー層)がそれぞれ表面に臨む光ディスクが製造される。これにより、例えば上記ディスクの凸形状の高さと上記薄膜の厚さとを選定することにより、光ディスクの中央部の高さと他の部分の高さを同一にする又は近くすることが可能になる。
【0017】
本発明の光ディスクの製造方法は、基板上にレジストを形成し、このレジストの中央部をそのままの厚さで残すと共に、このレジストの他の部分を薄くすることにより、中央部のレジストが他の部分のレジストよりも厚く形成されたマスターディスクを作製し、このマスターディスクを使用して反転パターンとなり中央部に凹部を有するスタンパーを作製し、このスタンパーを用いて成形することにより中央部に凸形状を有するディスクを作製し、このディスクの中央部以外の部分に薄膜を形成するものである。
【0018】
上述の本発明の光ディスクの製造方法によれば、基板上にレジストを形成し、このレジストの中央部をそのままの厚さで残すと共に、このレジストの他の部分を薄くするので、作製されるマスターディスクの中央部は最初に形成した厚さのレジストとなり、他の部分は最初に形成した厚さよりも薄くなったレジストとなるため、中央部のレジストが他の部分のレジストより厚く形成される。
そして、この中央部のレジストが他の部分のレジストよりも厚く形成されたマスターディスクを使用して、前述した製造方法と同様に光ディスクの製造を行うので、同様に中央部は上記ディスクの凸形状、他の部分は上記薄膜(例えば前述したカバー層)がそれぞれ表面に臨む光ディスクが製造され、例えば上記ディスクの凸形状の高さと上記薄膜の厚さとを選定することにより、光ディスクの中央部の高さと他の部分の高さを同一にする又は近くすることが可能になる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、基板上の中央部に第1層目のレジスト及び第2層目のレジストを積層して成る厚いレジストを形成すると共に、基板上の他の部分に第1層目のレジスト或いは第2層目のレジストのいずれか一方から成る薄いレジストを形成することにより、中央部のレジストが他の部分のレジストよりも厚く形成されたマスターディスクを作製し、このマスターディスクを使用して反転パターンとなり中央部に凹部を有するスタンパーを作製し、このスタンパーを用いて成形することにより中央部に凸形状を有するディスクを作製し、このディスクの中央部以外の部分に薄膜を形成する光ディスクの製造方法である。
【0020】
また本発明は、上記光ディスクの製造方法において、基板上に第1層目のレジスト及び第2層目のレジストを順次積層形成し、第2層目のレジストを中央部が残るようにパターニングし、その後第1層目のレジストをパターニングして他の部分にグルーブ又はピットを形成してマスターディスクを作製することを特徴とする。
【0021】
また本発明は、上記光ディスクの製造方法において、基板上に第1層目のレジストを形成し、この第1層目のレジストを中央部が残るようにパターニングし、表面を覆って全面的に第2層目のレジストを形成し、その後第2層目のレジストをパターニングして他の部分にグルーブ又はピットを形成してマスターディスクを作製する。
【0022】
本発明は、基板上にレジストを形成し、このレジストの中央部をそのままの厚さで残すと共に、このレジストの他の部分を薄くすることにより、中央部のレジストが他の部分のレジストよりも厚く形成されたマスターディスクを作製し、このマスターディスクを使用して反転パターンとなり中央部に凹部を有するスタンパーを作製し、このスタンパーを用いて成形することにより中央部に凸形状を有するディスクを作製し、このディスクの中央部以外の部分に薄膜を形成する光ディスクの製造方法である。
【0023】
また本発明は、上記光ディスクの製造方法において、レジストに対して、中央部が残るように中間の深さまで除去し、その後他の部分のレジストをパターニングしてグルーブ又はピットを形成してマスターディスクを作製する。
【0024】
また本発明は、上記光ディスクの製造方法において、レジストの他の部分に対して中間の深さまで露光されるように第1の露光を行い、その後他の部分に対してグルーブ又はピットが潜像となるように基板との界面まで達する第2の露光を行い、現像により露光された部分を除去してマスターディスクを作製する。
【0025】
以下、本発明の光ディスクの製造方法の実施の形態を説明する。
まず、本発明に係るスタンパーの一形態の中央部付近の断面図を図1に示す。このスタンパー30は、通常の光ディスク用スタンパーと同様に、金属例えばニッケルにより形成される。
そして、特に光ディスクのクランプエリアに相当する部分30Cに凹部30Aが形成されている。
凹部30Aの深さD1は、例えば0.1mmとされる。この深さD1は、光ディスクに形成されるカバー層等の厚さに対応している。
スタンパー30の厚さD2は、例えば0.3mmとされる。
【0026】
図1に示したスタンパー30を、ディスクの成形で用いられる一般的な射出成形金型に挿入してディスクを作製すると、図2にディスクの中央部の断面図を示すように、クランプエリアに相当する部分11C即ち中央部が凸形状11Aとなったディスク11が得られる。
ディスク11の凸形状11Aの高さD1は、スタンパー30の凹部の深さD1と同じになる。また、ディスク11の厚さDは、最終的に製造される光ディスクの厚さと同じ例えば1.2mmとされる。
【0027】
この図2に示したような射出成形したディスク11を用いて、スピンコート法によりカバー層を形成して、光ディスクが得られる。
スピンコート法により、図2に示したディスクを用いて光ディスクを製造する製造工程を図3A〜図3Dに示す。
【0028】
まず、図3Aに示すように、回転台1の中央部の突起1Aにディスク11の中央部のセンター穴11Bをはめ込み、さらにセンター穴11Bの上部をプラグ2で埋める。
次に、図3Bに示すように、回転台1を矢印で示すように軸1Bの周囲に回転させながら、ディスク11の中央部上に例えばカバー層となるレジン等3を塗布する。
続いて、図3Cに示すように、回転台1を矢印で示すように軸1Bの周囲に回転させながら、この回転によりレジン3を拡げて、ディスク11の全面に均一なカバー層12を形成する。
【0029】
尚、カバー層12に続けて、或いはカバー層12の代わりに、潤滑材等他の薄膜を形成してもよい。
【0030】
その後、図3Dに示すように、プラグ2を矢印の方向に取り除き、ディスク11を回転台1から取り外す。
これにより、ディスク11上にカバー層12が形成されて成る光ディスク10が作製される。
【0031】
このとき、プラグ2上のカバー層12(レジン3)も共に除去されるため、光ディスク10の中央部にはカバー層12が無くなっているが、その代わりにディスク11の中央部の凸形状11Aが残っている。
【0032】
このように、図2に示したディスク11に対して、スピンコート法によりカバー層を形成すると、得られる光ディスク10の中央部の断面図は図4のようになる。
図4に示すように、得られる光ディスク10は、センタークランプ部10Cの表面即ちクランプ面の高さと、カバー層12の表面の信号読み取り面の高さが略一致している。また、センタークランプ部10Cは、ディスク11の凸形状11Aを有する中央部により構成されている。光ディスク10の厚さDは、図2のディスク11の厚さDと同じである。カバー層12の厚さD3は、この場合図2のディスク11の凸形状11Aの高さD1と同じになっている。
【0033】
このように、光ディスク10のクランプ面と信号読み取り面が略一致した高さとなっているため、カバー層12の表面に突起があるときに光ヘッドと光ディスク10との接触を防ぐためのマージンを、図16の場合と比較して大きくすることができる。
【0034】
次に、図1に示した中央部に凹部30Aを有するスタンパー30を作製する工程を図5A〜図6Hに示す。
まず、図5Aに示すガラス基板21を用意し、このガラス基板21上に図5Bに示すように中央部22Aの厚みが大きくなるように感光レジスト22を塗布し、ベーキング乾燥する。
次に、図5Cに示すように、感光レジスト22に対してレーザでグルーブやピットとなるパターンを露光する。図中ドットを付した部分22Bが露光された部分である。
続いて、現像処理を行うことにより、図5Dに示すように中央部22Aが凸形状のガラスマスター20が完成する。このガラスマスター20は、ガラス基板21にレジスト22を形成して構成されるマスターディスクであり、一般に用いられているガラスマスターと同様の材料から構成されるものである。
【0035】
次に、この図5Dに示すガラスマスター20を用いて、スタンパー30を作製する。
まず、無電解メッキによる導体化処理を行い、図6Eに示すようにレジスト22の表面を覆ってメッキ膜23を形成する。このとき、レジスト22の中央部22Aが凸形状であるため、その部分のメッキ膜23が他の部分より高い凸形状となる。
さらに、図6Fに示すようにニッケル24の電鋳を行う。
続いて、ニッケル24の裏面の研磨を行い、ガラスマスター20を剥離した後にメッキ膜23に付着したレジスト22の除去を行う(図6G参照)。このとき、メッキ膜23の中央部に凹部25が形成される。
次に、図6Hに示すように、射出成形用金型に取り付けるためのセンターホール26の打ち抜きを行う。
このようにして、中央部に凹部25(30A)を有するニッケル製のスタンパー30が完成する。
【0036】
このようにして作製した中央部に凹部25(30A)を有するスタンパー30を使用して射出成形を行うことにより、図2に示した中央部が凸形状11Aとなったディスク11を容易に作製することができる。
【0037】
一方、比較対照として、通常のマスタリングプロセスにより、転写を行う表面即ちいわゆる信号面がフラット形状であるガラスマスター、並びに信号面がフラット形状であるニッケルスタンパーを作製する工程を、図17A〜図18Hに示す。このうち、図17A〜図17Dは、信号面がフラット形状である従来のガラスマスターの作製工程である。
【0038】
まず、図17Aに示すガラス基板61を用意し、このガラス基板61上に図17Bに示すように感光レジスト62を塗布し、ベーキング乾燥する。
次に、図17Cに示すように、感光レジスト62に対してレーザでグルーブやピットとなるパターンを露光する。図中ドットを付した部分62Aが露光された部分である。
続いて、現像処理を行うことにより、図17Dに示すように信号面がフラット形状であるガラスマスター60が完成する。
【0039】
次に、この図17Dに示すガラスマスター60を用いてスタンパーを作製する。
まず、無電解メッキによる導体化処理を行い、図18Eに示すようにレジスト62の表面を覆ってメッキ膜63を形成する。
さらに、電鋳を行うことにより、図18Fに示すようにメッキ膜63上にニッケル64を形成する。
続いて、ニッケル64の裏面の研磨を行い、ガラスマスター60を剥離した後にメッキ膜63に付着したレジスト62の除去を行う(図18G参照)。
次に、図18Hに示すように、射出成形用金型に取り付けるためのセンターホール65の打ち抜きを行う。
このようにして、信号面がフラット形状であるニッケル製のスタンパー70が完成する。
【0040】
図5及び図6に示す本発明による工程と、図17及び図18に示す従来の工程とを比較すると、ガラスマスターの中央部のレジストが凸形状になっているか否かによって、最終的にスタンパーの中央部に凹部が有るか無いかが違ってきていることがわかる。
従って、図5Dに示すように、ガラスマスター20の中央部のレジスト22Aを凸形状に形成することにより、スタンパー30の中央部に凹部25(30A)が形成されることがわかる。
【0041】
上述のようにして得られたスタンパー30は、従来の射出成形金型及び射出成形機に組込んでそのまま使用することが可能である。
そして、このスタンパー30を用いて光ディスクを製造することにより、クランプ面が信号読み取り面(カバー層や潤滑材が形成された部分の表面)と略一致した高さである光ディスク、もしくはディスククランプ部の厚さがカバー層及び潤滑材が形成された部分の厚さに近い光ディスクを、容易に形成することができる。
【0042】
続いて、図5Dに示したレジスト22の中央部22Aが厚く凸形状に形成されたガラスマスター20の具体的な作製工程を、以下にいくつか示す。
【0043】
まず、図7A〜図7Eに示す製造工程は、2層のレジストをプリコートして上層から順にパターニングを行い2段のレジストパターンを形成するもので、2段レジスト法とも呼ぶことができるものである。
まず、ガラス基板上に、吸収感光波長の異なる2種類のレジスト(例えば波長200〜300nmに吸収を持つポジ型Deep UVレジスト〔例えばポリメチルメタクリレート:PMMA〕と波長350〜400nmに吸収を持つポジ型Mid UVレジスト〔例えばジアゾナフトキイノン系感光剤とのノボラック樹脂の混合系:DQN〕)を予め2層に積層して形成する。即ち図7Aに示すガラス基板21上に、図7Bに示すように第1層目のレジスト(ポジ型Mid UVレジスト)31を形成し、さらに図7Cに示すように第1層目のレジスト31上に第2層目のレジスト(ポジ型Deep UVレジスト)32を形成する。
次に、1回目のDeep UV露光・現像処理により、図7Dに示すように第2層目のレジスト32をパターニングして中央部を残す。
尚、この1回目の露光は、光ディスクの製造に通常用いられているレーザ描画である必要はなく、例えばCrマスク露光でも構わない。
次に、2回目のMid UV露光・現像処理により、図7Eに示すように第1層目のレジスト31にグルーブやピットを形成する。
このようにして、図5Dに示したレジスト22の中央部22Aが厚く凸形状に形成されたガラスマスター20を作製することができる。
【0044】
尚、上述したように吸収感光波長の異なるレジストを使用する代わりに、例えば第1層目のレジスト31上に金属薄膜等の現像ストップ層(エッチングストップ層)を設け、第2層目のレジスト32のパターニング終了後に現像ストップ層をウエットエッチング法或いはドライエッチング法により除去して、その後第1層目のレジスト31に対してパターニングを行うようにしてもよい。
【0045】
次に、図8A〜図8Eに示す製造工程は、2層のレジストについて、各層の成膜及びリソグラフィーを連続して行い2段のレジストパターンを形成するもので、これも2段レジスト法とも呼ぶことができるものである。
まず、図8Aに示すガラス基板21上に、図8Bに示すように第1層目のレジスト33を形成する。
次に、第1層目のレジスト33に対し、図8Cに示すように中央部に凸形状として残るようにパターニングする。
尚、この1回目の露光は、レーザ描画である必要はなく、例えばCrマスク露光でも構わない。
続いて、図8Dに示すように第2層目のレジスト34をこの上にコーティングする。
尚、この第2層目のレジスト34の塗布に際しては、第1層目のレジスト33のパターンが崩れないように、第1層目のレジスト33に対して硬化処理等を施してもよい。
その後、2回目の露光・現像により、図8Eに示すように第2層目のレジスト34にグルーブやピットとなる凹凸形状を形成する。
このようにして、図5Dに示したレジスト22の中央部22Aが厚く凸形状に形成されたガラスマスター20を作製することができる。
【0046】
次に、図9A〜図9Cに示す製造方法は、1層のレジストに対して2段階の現像を行うもので、2段現像法とも呼ぶことができるものである。
まず、図9Aに示すように、ガラス基板21上にレジスト35を形成する。
次に、1回目の露光・現像により、図9Bに示すように中央部35Aが凸形状に残るようにパターニングする。
この際に、露光量を調整することで所定深さのレジストのみ感光させ、その後現像を行う。このような露光法法を慣用的にハーフトーン露光とも呼ぶ。
尚、この1回目の露光は、レーザ描画である必要はなく、例えばCrマスク露光でも構わない。
次に、2回目の露光により、ガラス基板21との界面までレジスト35が感光するようなパターン露光を行い、現像により図9Cに示すようにグルーブやピットを形成する。
このようにして、図5Dに示したレジスト22の中央部22Aが厚く凸形状に形成されたガラスマスター20を作製することができる。
【0047】
次に、図10A〜図10Dに示す製造工程は、光のドーズ量を制御しながら2段階の露光を行うもので、2段露光法とも呼ぶことができるものである。
まず、図10Aに示すように、ガラス基板21上にレジスト35を形成する。
1回目の露光にて、図10Bに示すように中央部が潜像となるようにパターン露光する。
この際に、露光量を調整することにより、所定深さのレジスト35のみ感光させる。レジスト35のうち、図中ドットを付した部分35Bが露光された部分である。
尚、この1回目の露光は、レーザ描画である必要はなく、例えばCrマスク露光でも構わない。
次に、2回目の露光にて、図10Cに示すようにガラス基板21との界面までレジスト35が感光するようなパターン露光を行い、グルーブやピットを潜像として形成する。レジスト35のうち、図中斜線とドットとを付した部分35Cがこのとき露光された部分である。
その後、現像を行うことにより、図10Dに示すように、潜像として焼き付けられた凸形状の中央部22A(35A)及びグルーブやピットを形成する。
このようにして、図5Dに示したレジスト22の中央部22Aが厚く凸形状に形成されたガラスマスター20を作製することができる。
【0048】
尚、図7〜図10に示したガラスマスター20の作製工程において、中央部の突起とピットやグルーブの部分とでは、エッチングの深さが大きく異なる。
そこで、中央部とその他の部分のレジストの膜厚を設定すると共に、エッチングレートをそれぞれ最適化するように、レジストの材料やエッチング条件を選定する。
【0049】
また、図7〜図10により説明したガラスマスター20の作製工程は、レジスト22の中央部が厚く凸形状22Aに形成されたガラスマスター20の作製方法の代表的なものである。この他にも、例えば半導体装置やMEMS(マイクロエレクトロニクス・メカニカル・システムズ)の製造工程等に使われるプロセスを使用しても良い。
【0050】
ここで、本発明を適用する光ディスク10用の光学ヘッドの一形態の断面図を図11に示す。
図11では、ディスク基板11上にカバー層12等の薄膜が形成されて成る光ディスク10に対向して、透明基板6の上及び内部に3つの光学レンズ7(7A,7B,7C)を設けて成る光学ヘッド8を配置している。
光ディスク10は、図13及び図14に示した光ディスク40,50と同様に、ディスク基板11とは反対の側から光Lを入射させる構成となっている。
そして、光学ヘッド8の光学レンズ7(7A,7B,7C)によって光L例えばレーザ光を集光して光ディスク10に照射している。
【0051】
本実施の形態では、光ディスク10のクランプ面の高さが、信号読み取り面の高さと略一致又は近い高さ、或いは信号読み取り面の高さより高くなっている。
従って、光ディスク10をクランプしたときの、光学ヘッド8と光ディスク10の信号読み取り面(カバー層12の表面)との間隔を確保して、光学ヘッド8と光ディスク10の接触を防ぐためのマージンを大きくすることができ、このマージンを充分に確保することができる。
【0052】
また、図12に示すように、ディスク(ディスク基板)11の中央部の凸形状11Aをさらに高くして、クランプ面を信号読み取り面(カバー層12や潤滑材が形成された部分の表面)より若干突出した形状にすることも可能である。
この場合、カバー層12をスピンコート法により形成する際に、ディスク11のセンター穴11Bを塞がないでコーティングすると、カバー層12の最内周部に数μm〜数十μmの突起12Aが発生することがあるが、この突起12Aがあったとしても、これと干渉することなくクランプすることができる。
また、クランプ面に対して信号読み取り面が光ヘッドから離れた側になるため、光ヘッドと光ディスクの信号読み取り面との接触を防ぐためのマージンをより大きくすることができる。
【0053】
上述の本実施の形態によれば、中央部のレジストが他の部分のレジストよりも厚く凸形状22Aに形成されたガラスマスター20を用いて、スタンパー30を作製することにより、中央部に凹部30Aを有するスタンパー30を形成することができる。
この中央部に凹部30Aを有するスタンパー30を用いて、例えば射出成形を行って、ディスク(ディスク基板等)を作製することにより、クランプエリアに相当する部分11C即ち中央部が凸形状11Aとなったディスク(ディスク基板等)11を形成することができる。
そして、この中央部が凸形状11Aとなったディスク11の他の部分にカバー層12や潤滑材を形成して光ディスク10を製造することにより、光ディスク10のディスククランプ部となる中央部ではディスク(ディスク基板等)11の凸形状11Aが表面に臨み、他の部分ではカバー層12や潤滑材が表面に臨む。
【0054】
これにより、例えばディスク11の凸形状11Aの高さとカバー層12等の厚さとを選定することによって、光ディスク10の中央部の表面(クランプ面)の高さと他の部分の表面(信号読み取り面)の高さを略同一にする又は近くすることや、光ディスク10の中央部のクランプ面の高さを信号読み取り面の高さよりも高くすることが、容易にできる。
【0055】
特に光ディスク10として、例えば図13や図14に示すように、基板とは反対側から光を入射させて記録や再生を行う構成の光ディスク40,50に適用することにより、光ディスク10の基板とは反対側をクランプする場合でも、クランプされる中央部にカバー層12がなくなる。
これにより、光ディスク10のクランプが容易になると共に、信号読み取り面と光ヘッドとの間のマージンを確保することができるため、カバー層12に突起が生じても影響が少なくなる。
これにより、光ディスク10と光ヘッドとの接触を防ぐためのマージンを大きくして、充分に確保することができる。
【0056】
また、スタンパー30を作製する工程で、中央部にレジストによる凸形状22Aを有するガラスマスター20を使用して、容易にその中央部に凹部30Aを形成することができる。
しかも、このようにして作製した、中央部に凹部30Aを有するスタンパー30を使用するだけで、従来の射出成形金型及び射出成形機をそのまま使用することが可能であるため、光ディスクの製造設備をほとんど変更する必要がない。
【0057】
また、スピンコート法によりディスク11上にカバー層12等の薄膜を形成した後の処理、即ち信号読み取り面とクランプ面との高さの差を解消するための処理が不要となるため、工程数を削減して光ディスクの製造コストの低減を図ることができる。
【0058】
さらに、図12に示したように、クランプ面を、カバー層12や潤滑材の表面即ち信号読み取り面より若干突出した形状にした場合には、カバー層12や潤滑材をスピンコートにより形成したときに最内周部に数μm〜数十μmの突起12Aが発生したとしても、この突起12Aと干渉することなく光ディスク10をクランプすることができる。
【0059】
そして、中央部のレジストが他の部分のレジストよりも厚く凸形状22Aに形成されたガラスマスター20は、図7又は図8に示したように、ガラス基板21上の中央部に第1層目のレジスト31又は33及び第2層目のレジスト32又は34を積層して成る厚いレジストを形成すると共に、基板上の他の部分に第1層目のレジスト或いは第2層目のレジストのいずれか一方31又は34から成る薄いレジストを形成することにより、容易に作製することができる。また、図9又は図10に示したように、ガラス基板21上に形成したレジスト35の中央部をそのままの厚さで残すと共に他の部分を薄くすることによっても、容易に作製することができる。
【0060】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【0061】
【発明の効果】
上述の本発明によれば、中央部のレジストが他の部分のレジストよりも厚く凸形状に形成されたマスターディスクを容易に作製することができる。
【0062】
これにより、このマスターディスクを用いて中央部に凹部を有するスタンパーを作製することができ、さらにこのスタンパーを用いて成形することにより中央部に凸形状を有するディスクを容易に作製することができる。
この中央部に凸形状を有するディスクの他の部分に薄膜を形成して光ディスクを製造することにより、中央部ではディスクの凸形状が表面に臨み、他の部分では薄膜が表面に臨む光ディスクが得られる。
【0063】
従って、中央部では、表面に薄膜がないので、光ディスクを容易にクランプすることができる。
また、ディスクの凸形状の高さと薄膜の膜厚を選定することにより光ディスクの中央部の表面(クランプ面)の高さと他の部分の表面(信号読み取り面)の高さを略同一にする又は近くすることやクランプ面の高さを信号読み取り面の高さよりも高くすることが容易にできるため、光ディスクと光ヘッドとの接触を防ぐためのマージンを大きくして、充分に確保することができる。
これにより、例えば薄膜の最内周部に突起が発生していても、突起と干渉しないで光ディスクをクランプすることが可能になる。
【0064】
さらに、中央部に凹部を有するスタンパーを使用するだけで、従来の射出成形金型及び射出成形機をそのまま使用することが可能であるため、光ディスクの製造設備をほとんど変更する必要がない。
また、ディスク上に薄膜を形成した後の信号読み取り面とクランプ面との高さの差を解消するための処理が不要となるため、工程数を削減して光ディスクの製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスタンパーの一形態の中央部付近の断面図である。
【図2】図1のスタンパーにより作製されたディスクの中央部付近の断面図である。
【図3】A〜D 図2のディスクを用いた光ディスクの製造工程を示す工程図である。
【図4】図3Dの工程で得られる光ディスクの中央部付近の断面図である。
【図5】A〜D 図1のスタンパーを作製するためのガラスマスターの作製工程を示す工程図である。
【図6】E〜H 図5Dのガラスマスターを用いた図1のスタンパーの作製工程を示す工程図である。
【図7】A〜E ガラスマスターの作製工程の一形態を示す工程図である。
【図8】A〜E ガラスマスターの作製工程の他の形態を示す工程図である。
【図9】A〜C ガラスマスターの作製工程のさらに他の形態を示す工程図である。
【図10】A〜D ガラスマスターの作製工程の別の形態を示す工程図である。
【図11】本発明を適用する光ディスク用の光学ヘッドの一形態を示す断面図である。
【図12】光ディスクの中央部を突出させた場合を示す図である。
【図13】記録層が単層の光ディスクを示す図である。
【図14】記録層が2層の光ディスクを示す図である。
【図15】A〜E 従来の光ディスクの製造工程を示す工程図である。
【図16】図15Eの状態における光ディスクの中央部の断面図である。
【図17】A〜D 従来のガラスマスターの作製工程を示す工程図である。
【図18】E〜H 図17Dのガラスマスターを用いた従来のスタンパーの作製工程を示す工程図である。
【符号の説明】
1 回転台、2 プラグ、3 レジン、10 光ディスク、11 ディスク(ディスク基板)、12 カバー層、20 ガラスマスター、21 ガラス基板、22,35 レジスト、25,30A 凹部、30 スタンパー、31,33 第1層目のレジスト、32,34 第2層目のレジスト
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクの製造方法に係わり、特に高密度記録に対応した光ディスクに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、光ディスクの高記録密度化等を目的として、従来からある基板側から光を入射させる構成の光ディスクに対して、基板とは反対側から光を入射させる構成も採用されるようになってきている。
この構成では、信号が記録される記録層と入射面の間の層が、従来の比較的厚いディスク基板から薄い膜に替わる。
【0003】
このような構成の光ディスクを図13及び図14に示す。
例えば図13に示す記録層が単層の光ディスク40では、例えば基板41と記録膜又は反射膜42とカバー層43とから構成される。レンズ45から光が入射する入射面40Aと記録膜又は反射膜42との間は、厚さD1の薄いカバー層43となっている。
また、例えば図14に示す記録層が2層の光ディスク50では、例えば基板51、反射膜(第1の記録層)52、UV硬化樹脂から成る中間層53、半透膜(第2の記録層)54、カバー層55とから構成される。レンズ57から光が入射する入射面50Aと半透膜54との間は、薄いカバー層55となっている。
【0004】
上述したカバー層43,55は、例えばスピンコート法を用いて形成することができる。
このスピンコート法によるカバー層等の形成工程を図15に示す。
【0005】
まず、図15Aに示すように、回転台81の中央部の突起81Aにカバー層以外の下層が形成されたディスク80の中央部のセンター穴80Aをはめ込み、さらにセンター穴80Aの上部をプラグ82で埋める。
次に、図15Bに示すように、回転台81を矢印で示すように軸81Bの周囲に回転させながら、ディスク80の中央部上に例えばカバー層となるレジン等83を塗布する。
続いて、図15Cに示すように、回転台81を矢印で示すように軸81Bの周囲に回転させながら、この回転によりレジン83を拡げて、ディスク80の全面に均一なカバー層84を形成する。
【0006】
尚、ディスク80がセンター穴80Aを有するために、そのままでレジン等83を塗布すると、センター穴80Aによりレジン83の中央部がへこむため、均等な厚さのカバー層84が得られない。よって、例えば図15Aに示すようにセンター穴80Aをプラグ82で埋めた状態でレジン等83を塗布している。
【0007】
その後、図15Dに示すように、プラグ82を矢印の方向に取り除く。
これにより、図15Eに示すように、カバー層84が形成されて成る光ディスク85が作製される。
このとき、プラグ82上のレジン83も共に除去されるため、光ディスク85の中央部にはカバー層84が無くなっている。
【0008】
この状態における光ディスク85の中央部の拡大図を図16に示す。光ディスク85のセンタークランプ部85Cとなる中央部は、カバー層84が無いために他の部分よりも薄くなっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光ディスクを、実際に光ヘッドを備えた光記録再生装置等の光ディスク装置で使用する場合には、光ディスクを保持して回転させるためにターンテーブル等にクランプさせている。
【0010】
特に、光ディスクの片側のみに光ヘッドを設け、光ディスクを横置きで使用する光ディスク装置では、ターンテーブル上に光ディスクを取り付け、光ディスクの下側から光ヘッドにより記録や再生を行うことが一般的である。
そして、光ディスクの上下から挟むようにクランプする構成を採用することもあるが、光ディスク装置の小型化のために、光ディスクの下側からのみクランプしてターンテーブルに取り付ける構成も採用されることもある。例えばターンテーブルの中央部の突起を光ディスクのセンター穴に差し込み、ターンテーブル中央部の突起を光ディスクの中央部(センタークランプ部)にクランプさせる。
【0011】
そして、特に図13や図14に示すように、基板とは反対側から光を入射させて記録や再生を行う光ディスク40,50においては、基板とは反対の側(カバー層等が形成される主面側)をクランプする構成となる。
【0012】
ここで、図16に示すように、光ディスク85の中央部のセンタークランプ部85Cにカバー層84が無い場合には、薄いセンタークランプ部85Cにおいてターンテーブルにクランプされることになる。
このとき、センタークランプ部85Cの表面(クランプ面)と、カバー層84が形成された部分の表面による信号読み取り面とは、高さが異なっている。
しかしながら、この場合には、信号読み取り面がクランプ面より光ヘッド側に来るため、カバー層84の表面に突起があるときに光ヘッドと光ディスク85との接触を防ぐためのマージンが小さくなる。
【0013】
一方、図示しないが、センタークランプ部にもカバー層が形成されている構成とすると、センタークランプ部と信号読み取り面とがほぼ同一の高さとなる。
しかしながら、カバー層はレジン等により形成されるため、その表面が固く滑りやすくなっていて、クランプが難しくなる。
【0014】
上述した問題の解決のために、本発明においては、光ディスクと光ヘッドとの接触を防ぐためのマージンを確保することができ、かつ容易にクランプすることができる光ディスクの製造を可能にする光ディスクの製造方法を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ディスクの製造方法は、基板上の中央部に第1層目のレジスト及び第2層目のレジストを積層して成る厚いレジストを形成すると共に、基板上の他の部分に第1層目のレジスト或いは第2層目のレジストのいずれか一方から成る薄いレジストを形成することにより、中央部のレジストが他の部分のレジストよりも厚く形成されたマスターディスクを作製し、このマスターディスクを使用して反転パターンとなり中央部に凹部を有するスタンパーを作製し、このスタンパーを用いて成形することにより中央部に凸形状を有するディスクを作製し、このディスクの中央部以外の部分に薄膜を形成するものである。
【0016】
上述の本発明の光ディスクの製造方法によれば、基板上の中央部に第1層目のレジスト及び第2層目のレジストを積層して成るレジストを形成すると共に、基板上の他の部分に第1層目のレジスト或いは第2層目のレジストのいずれか一方から成る薄いレジストを形成するので、作製されるマスターディスクの中央部は2層のレジストを積層したレジストとなり、他の部分は1層のレジストから成るレジストとなるため、中央部のレジストが他の部分のレジストより厚く形成される。
そして、この中央部のレジストが他の部分のレジストよりも厚く形成されたマスターディスクを使用して反転パターンとなり中央部に凹部を有するスタンパーを作製し、このスタンパーを用いて成形することにより中央部に凸形状を有するディスクを作製し、このディスクの中央部以外の部分に薄膜を形成することにより、中央部は上記ディスクの凸形状、他の部分は上記薄膜(例えば前述したカバー層)がそれぞれ表面に臨む光ディスクが製造される。これにより、例えば上記ディスクの凸形状の高さと上記薄膜の厚さとを選定することにより、光ディスクの中央部の高さと他の部分の高さを同一にする又は近くすることが可能になる。
【0017】
本発明の光ディスクの製造方法は、基板上にレジストを形成し、このレジストの中央部をそのままの厚さで残すと共に、このレジストの他の部分を薄くすることにより、中央部のレジストが他の部分のレジストよりも厚く形成されたマスターディスクを作製し、このマスターディスクを使用して反転パターンとなり中央部に凹部を有するスタンパーを作製し、このスタンパーを用いて成形することにより中央部に凸形状を有するディスクを作製し、このディスクの中央部以外の部分に薄膜を形成するものである。
【0018】
上述の本発明の光ディスクの製造方法によれば、基板上にレジストを形成し、このレジストの中央部をそのままの厚さで残すと共に、このレジストの他の部分を薄くするので、作製されるマスターディスクの中央部は最初に形成した厚さのレジストとなり、他の部分は最初に形成した厚さよりも薄くなったレジストとなるため、中央部のレジストが他の部分のレジストより厚く形成される。
そして、この中央部のレジストが他の部分のレジストよりも厚く形成されたマスターディスクを使用して、前述した製造方法と同様に光ディスクの製造を行うので、同様に中央部は上記ディスクの凸形状、他の部分は上記薄膜(例えば前述したカバー層)がそれぞれ表面に臨む光ディスクが製造され、例えば上記ディスクの凸形状の高さと上記薄膜の厚さとを選定することにより、光ディスクの中央部の高さと他の部分の高さを同一にする又は近くすることが可能になる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、基板上の中央部に第1層目のレジスト及び第2層目のレジストを積層して成る厚いレジストを形成すると共に、基板上の他の部分に第1層目のレジスト或いは第2層目のレジストのいずれか一方から成る薄いレジストを形成することにより、中央部のレジストが他の部分のレジストよりも厚く形成されたマスターディスクを作製し、このマスターディスクを使用して反転パターンとなり中央部に凹部を有するスタンパーを作製し、このスタンパーを用いて成形することにより中央部に凸形状を有するディスクを作製し、このディスクの中央部以外の部分に薄膜を形成する光ディスクの製造方法である。
【0020】
また本発明は、上記光ディスクの製造方法において、基板上に第1層目のレジスト及び第2層目のレジストを順次積層形成し、第2層目のレジストを中央部が残るようにパターニングし、その後第1層目のレジストをパターニングして他の部分にグルーブ又はピットを形成してマスターディスクを作製することを特徴とする。
【0021】
また本発明は、上記光ディスクの製造方法において、基板上に第1層目のレジストを形成し、この第1層目のレジストを中央部が残るようにパターニングし、表面を覆って全面的に第2層目のレジストを形成し、その後第2層目のレジストをパターニングして他の部分にグルーブ又はピットを形成してマスターディスクを作製する。
【0022】
本発明は、基板上にレジストを形成し、このレジストの中央部をそのままの厚さで残すと共に、このレジストの他の部分を薄くすることにより、中央部のレジストが他の部分のレジストよりも厚く形成されたマスターディスクを作製し、このマスターディスクを使用して反転パターンとなり中央部に凹部を有するスタンパーを作製し、このスタンパーを用いて成形することにより中央部に凸形状を有するディスクを作製し、このディスクの中央部以外の部分に薄膜を形成する光ディスクの製造方法である。
【0023】
また本発明は、上記光ディスクの製造方法において、レジストに対して、中央部が残るように中間の深さまで除去し、その後他の部分のレジストをパターニングしてグルーブ又はピットを形成してマスターディスクを作製する。
【0024】
また本発明は、上記光ディスクの製造方法において、レジストの他の部分に対して中間の深さまで露光されるように第1の露光を行い、その後他の部分に対してグルーブ又はピットが潜像となるように基板との界面まで達する第2の露光を行い、現像により露光された部分を除去してマスターディスクを作製する。
【0025】
以下、本発明の光ディスクの製造方法の実施の形態を説明する。
まず、本発明に係るスタンパーの一形態の中央部付近の断面図を図1に示す。このスタンパー30は、通常の光ディスク用スタンパーと同様に、金属例えばニッケルにより形成される。
そして、特に光ディスクのクランプエリアに相当する部分30Cに凹部30Aが形成されている。
凹部30Aの深さD1は、例えば0.1mmとされる。この深さD1は、光ディスクに形成されるカバー層等の厚さに対応している。
スタンパー30の厚さD2は、例えば0.3mmとされる。
【0026】
図1に示したスタンパー30を、ディスクの成形で用いられる一般的な射出成形金型に挿入してディスクを作製すると、図2にディスクの中央部の断面図を示すように、クランプエリアに相当する部分11C即ち中央部が凸形状11Aとなったディスク11が得られる。
ディスク11の凸形状11Aの高さD1は、スタンパー30の凹部の深さD1と同じになる。また、ディスク11の厚さDは、最終的に製造される光ディスクの厚さと同じ例えば1.2mmとされる。
【0027】
この図2に示したような射出成形したディスク11を用いて、スピンコート法によりカバー層を形成して、光ディスクが得られる。
スピンコート法により、図2に示したディスクを用いて光ディスクを製造する製造工程を図3A〜図3Dに示す。
【0028】
まず、図3Aに示すように、回転台1の中央部の突起1Aにディスク11の中央部のセンター穴11Bをはめ込み、さらにセンター穴11Bの上部をプラグ2で埋める。
次に、図3Bに示すように、回転台1を矢印で示すように軸1Bの周囲に回転させながら、ディスク11の中央部上に例えばカバー層となるレジン等3を塗布する。
続いて、図3Cに示すように、回転台1を矢印で示すように軸1Bの周囲に回転させながら、この回転によりレジン3を拡げて、ディスク11の全面に均一なカバー層12を形成する。
【0029】
尚、カバー層12に続けて、或いはカバー層12の代わりに、潤滑材等他の薄膜を形成してもよい。
【0030】
その後、図3Dに示すように、プラグ2を矢印の方向に取り除き、ディスク11を回転台1から取り外す。
これにより、ディスク11上にカバー層12が形成されて成る光ディスク10が作製される。
【0031】
このとき、プラグ2上のカバー層12(レジン3)も共に除去されるため、光ディスク10の中央部にはカバー層12が無くなっているが、その代わりにディスク11の中央部の凸形状11Aが残っている。
【0032】
このように、図2に示したディスク11に対して、スピンコート法によりカバー層を形成すると、得られる光ディスク10の中央部の断面図は図4のようになる。
図4に示すように、得られる光ディスク10は、センタークランプ部10Cの表面即ちクランプ面の高さと、カバー層12の表面の信号読み取り面の高さが略一致している。また、センタークランプ部10Cは、ディスク11の凸形状11Aを有する中央部により構成されている。光ディスク10の厚さDは、図2のディスク11の厚さDと同じである。カバー層12の厚さD3は、この場合図2のディスク11の凸形状11Aの高さD1と同じになっている。
【0033】
このように、光ディスク10のクランプ面と信号読み取り面が略一致した高さとなっているため、カバー層12の表面に突起があるときに光ヘッドと光ディスク10との接触を防ぐためのマージンを、図16の場合と比較して大きくすることができる。
【0034】
次に、図1に示した中央部に凹部30Aを有するスタンパー30を作製する工程を図5A〜図6Hに示す。
まず、図5Aに示すガラス基板21を用意し、このガラス基板21上に図5Bに示すように中央部22Aの厚みが大きくなるように感光レジスト22を塗布し、ベーキング乾燥する。
次に、図5Cに示すように、感光レジスト22に対してレーザでグルーブやピットとなるパターンを露光する。図中ドットを付した部分22Bが露光された部分である。
続いて、現像処理を行うことにより、図5Dに示すように中央部22Aが凸形状のガラスマスター20が完成する。このガラスマスター20は、ガラス基板21にレジスト22を形成して構成されるマスターディスクであり、一般に用いられているガラスマスターと同様の材料から構成されるものである。
【0035】
次に、この図5Dに示すガラスマスター20を用いて、スタンパー30を作製する。
まず、無電解メッキによる導体化処理を行い、図6Eに示すようにレジスト22の表面を覆ってメッキ膜23を形成する。このとき、レジスト22の中央部22Aが凸形状であるため、その部分のメッキ膜23が他の部分より高い凸形状となる。
さらに、図6Fに示すようにニッケル24の電鋳を行う。
続いて、ニッケル24の裏面の研磨を行い、ガラスマスター20を剥離した後にメッキ膜23に付着したレジスト22の除去を行う(図6G参照)。このとき、メッキ膜23の中央部に凹部25が形成される。
次に、図6Hに示すように、射出成形用金型に取り付けるためのセンターホール26の打ち抜きを行う。
このようにして、中央部に凹部25(30A)を有するニッケル製のスタンパー30が完成する。
【0036】
このようにして作製した中央部に凹部25(30A)を有するスタンパー30を使用して射出成形を行うことにより、図2に示した中央部が凸形状11Aとなったディスク11を容易に作製することができる。
【0037】
一方、比較対照として、通常のマスタリングプロセスにより、転写を行う表面即ちいわゆる信号面がフラット形状であるガラスマスター、並びに信号面がフラット形状であるニッケルスタンパーを作製する工程を、図17A〜図18Hに示す。このうち、図17A〜図17Dは、信号面がフラット形状である従来のガラスマスターの作製工程である。
【0038】
まず、図17Aに示すガラス基板61を用意し、このガラス基板61上に図17Bに示すように感光レジスト62を塗布し、ベーキング乾燥する。
次に、図17Cに示すように、感光レジスト62に対してレーザでグルーブやピットとなるパターンを露光する。図中ドットを付した部分62Aが露光された部分である。
続いて、現像処理を行うことにより、図17Dに示すように信号面がフラット形状であるガラスマスター60が完成する。
【0039】
次に、この図17Dに示すガラスマスター60を用いてスタンパーを作製する。
まず、無電解メッキによる導体化処理を行い、図18Eに示すようにレジスト62の表面を覆ってメッキ膜63を形成する。
さらに、電鋳を行うことにより、図18Fに示すようにメッキ膜63上にニッケル64を形成する。
続いて、ニッケル64の裏面の研磨を行い、ガラスマスター60を剥離した後にメッキ膜63に付着したレジスト62の除去を行う(図18G参照)。
次に、図18Hに示すように、射出成形用金型に取り付けるためのセンターホール65の打ち抜きを行う。
このようにして、信号面がフラット形状であるニッケル製のスタンパー70が完成する。
【0040】
図5及び図6に示す本発明による工程と、図17及び図18に示す従来の工程とを比較すると、ガラスマスターの中央部のレジストが凸形状になっているか否かによって、最終的にスタンパーの中央部に凹部が有るか無いかが違ってきていることがわかる。
従って、図5Dに示すように、ガラスマスター20の中央部のレジスト22Aを凸形状に形成することにより、スタンパー30の中央部に凹部25(30A)が形成されることがわかる。
【0041】
上述のようにして得られたスタンパー30は、従来の射出成形金型及び射出成形機に組込んでそのまま使用することが可能である。
そして、このスタンパー30を用いて光ディスクを製造することにより、クランプ面が信号読み取り面(カバー層や潤滑材が形成された部分の表面)と略一致した高さである光ディスク、もしくはディスククランプ部の厚さがカバー層及び潤滑材が形成された部分の厚さに近い光ディスクを、容易に形成することができる。
【0042】
続いて、図5Dに示したレジスト22の中央部22Aが厚く凸形状に形成されたガラスマスター20の具体的な作製工程を、以下にいくつか示す。
【0043】
まず、図7A〜図7Eに示す製造工程は、2層のレジストをプリコートして上層から順にパターニングを行い2段のレジストパターンを形成するもので、2段レジスト法とも呼ぶことができるものである。
まず、ガラス基板上に、吸収感光波長の異なる2種類のレジスト(例えば波長200〜300nmに吸収を持つポジ型Deep UVレジスト〔例えばポリメチルメタクリレート:PMMA〕と波長350〜400nmに吸収を持つポジ型Mid UVレジスト〔例えばジアゾナフトキイノン系感光剤とのノボラック樹脂の混合系:DQN〕)を予め2層に積層して形成する。即ち図7Aに示すガラス基板21上に、図7Bに示すように第1層目のレジスト(ポジ型Mid UVレジスト)31を形成し、さらに図7Cに示すように第1層目のレジスト31上に第2層目のレジスト(ポジ型Deep UVレジスト)32を形成する。
次に、1回目のDeep UV露光・現像処理により、図7Dに示すように第2層目のレジスト32をパターニングして中央部を残す。
尚、この1回目の露光は、光ディスクの製造に通常用いられているレーザ描画である必要はなく、例えばCrマスク露光でも構わない。
次に、2回目のMid UV露光・現像処理により、図7Eに示すように第1層目のレジスト31にグルーブやピットを形成する。
このようにして、図5Dに示したレジスト22の中央部22Aが厚く凸形状に形成されたガラスマスター20を作製することができる。
【0044】
尚、上述したように吸収感光波長の異なるレジストを使用する代わりに、例えば第1層目のレジスト31上に金属薄膜等の現像ストップ層(エッチングストップ層)を設け、第2層目のレジスト32のパターニング終了後に現像ストップ層をウエットエッチング法或いはドライエッチング法により除去して、その後第1層目のレジスト31に対してパターニングを行うようにしてもよい。
【0045】
次に、図8A〜図8Eに示す製造工程は、2層のレジストについて、各層の成膜及びリソグラフィーを連続して行い2段のレジストパターンを形成するもので、これも2段レジスト法とも呼ぶことができるものである。
まず、図8Aに示すガラス基板21上に、図8Bに示すように第1層目のレジスト33を形成する。
次に、第1層目のレジスト33に対し、図8Cに示すように中央部に凸形状として残るようにパターニングする。
尚、この1回目の露光は、レーザ描画である必要はなく、例えばCrマスク露光でも構わない。
続いて、図8Dに示すように第2層目のレジスト34をこの上にコーティングする。
尚、この第2層目のレジスト34の塗布に際しては、第1層目のレジスト33のパターンが崩れないように、第1層目のレジスト33に対して硬化処理等を施してもよい。
その後、2回目の露光・現像により、図8Eに示すように第2層目のレジスト34にグルーブやピットとなる凹凸形状を形成する。
このようにして、図5Dに示したレジスト22の中央部22Aが厚く凸形状に形成されたガラスマスター20を作製することができる。
【0046】
次に、図9A〜図9Cに示す製造方法は、1層のレジストに対して2段階の現像を行うもので、2段現像法とも呼ぶことができるものである。
まず、図9Aに示すように、ガラス基板21上にレジスト35を形成する。
次に、1回目の露光・現像により、図9Bに示すように中央部35Aが凸形状に残るようにパターニングする。
この際に、露光量を調整することで所定深さのレジストのみ感光させ、その後現像を行う。このような露光法法を慣用的にハーフトーン露光とも呼ぶ。
尚、この1回目の露光は、レーザ描画である必要はなく、例えばCrマスク露光でも構わない。
次に、2回目の露光により、ガラス基板21との界面までレジスト35が感光するようなパターン露光を行い、現像により図9Cに示すようにグルーブやピットを形成する。
このようにして、図5Dに示したレジスト22の中央部22Aが厚く凸形状に形成されたガラスマスター20を作製することができる。
【0047】
次に、図10A〜図10Dに示す製造工程は、光のドーズ量を制御しながら2段階の露光を行うもので、2段露光法とも呼ぶことができるものである。
まず、図10Aに示すように、ガラス基板21上にレジスト35を形成する。
1回目の露光にて、図10Bに示すように中央部が潜像となるようにパターン露光する。
この際に、露光量を調整することにより、所定深さのレジスト35のみ感光させる。レジスト35のうち、図中ドットを付した部分35Bが露光された部分である。
尚、この1回目の露光は、レーザ描画である必要はなく、例えばCrマスク露光でも構わない。
次に、2回目の露光にて、図10Cに示すようにガラス基板21との界面までレジスト35が感光するようなパターン露光を行い、グルーブやピットを潜像として形成する。レジスト35のうち、図中斜線とドットとを付した部分35Cがこのとき露光された部分である。
その後、現像を行うことにより、図10Dに示すように、潜像として焼き付けられた凸形状の中央部22A(35A)及びグルーブやピットを形成する。
このようにして、図5Dに示したレジスト22の中央部22Aが厚く凸形状に形成されたガラスマスター20を作製することができる。
【0048】
尚、図7〜図10に示したガラスマスター20の作製工程において、中央部の突起とピットやグルーブの部分とでは、エッチングの深さが大きく異なる。
そこで、中央部とその他の部分のレジストの膜厚を設定すると共に、エッチングレートをそれぞれ最適化するように、レジストの材料やエッチング条件を選定する。
【0049】
また、図7〜図10により説明したガラスマスター20の作製工程は、レジスト22の中央部が厚く凸形状22Aに形成されたガラスマスター20の作製方法の代表的なものである。この他にも、例えば半導体装置やMEMS(マイクロエレクトロニクス・メカニカル・システムズ)の製造工程等に使われるプロセスを使用しても良い。
【0050】
ここで、本発明を適用する光ディスク10用の光学ヘッドの一形態の断面図を図11に示す。
図11では、ディスク基板11上にカバー層12等の薄膜が形成されて成る光ディスク10に対向して、透明基板6の上及び内部に3つの光学レンズ7(7A,7B,7C)を設けて成る光学ヘッド8を配置している。
光ディスク10は、図13及び図14に示した光ディスク40,50と同様に、ディスク基板11とは反対の側から光Lを入射させる構成となっている。
そして、光学ヘッド8の光学レンズ7(7A,7B,7C)によって光L例えばレーザ光を集光して光ディスク10に照射している。
【0051】
本実施の形態では、光ディスク10のクランプ面の高さが、信号読み取り面の高さと略一致又は近い高さ、或いは信号読み取り面の高さより高くなっている。
従って、光ディスク10をクランプしたときの、光学ヘッド8と光ディスク10の信号読み取り面(カバー層12の表面)との間隔を確保して、光学ヘッド8と光ディスク10の接触を防ぐためのマージンを大きくすることができ、このマージンを充分に確保することができる。
【0052】
また、図12に示すように、ディスク(ディスク基板)11の中央部の凸形状11Aをさらに高くして、クランプ面を信号読み取り面(カバー層12や潤滑材が形成された部分の表面)より若干突出した形状にすることも可能である。
この場合、カバー層12をスピンコート法により形成する際に、ディスク11のセンター穴11Bを塞がないでコーティングすると、カバー層12の最内周部に数μm〜数十μmの突起12Aが発生することがあるが、この突起12Aがあったとしても、これと干渉することなくクランプすることができる。
また、クランプ面に対して信号読み取り面が光ヘッドから離れた側になるため、光ヘッドと光ディスクの信号読み取り面との接触を防ぐためのマージンをより大きくすることができる。
【0053】
上述の本実施の形態によれば、中央部のレジストが他の部分のレジストよりも厚く凸形状22Aに形成されたガラスマスター20を用いて、スタンパー30を作製することにより、中央部に凹部30Aを有するスタンパー30を形成することができる。
この中央部に凹部30Aを有するスタンパー30を用いて、例えば射出成形を行って、ディスク(ディスク基板等)を作製することにより、クランプエリアに相当する部分11C即ち中央部が凸形状11Aとなったディスク(ディスク基板等)11を形成することができる。
そして、この中央部が凸形状11Aとなったディスク11の他の部分にカバー層12や潤滑材を形成して光ディスク10を製造することにより、光ディスク10のディスククランプ部となる中央部ではディスク(ディスク基板等)11の凸形状11Aが表面に臨み、他の部分ではカバー層12や潤滑材が表面に臨む。
【0054】
これにより、例えばディスク11の凸形状11Aの高さとカバー層12等の厚さとを選定することによって、光ディスク10の中央部の表面(クランプ面)の高さと他の部分の表面(信号読み取り面)の高さを略同一にする又は近くすることや、光ディスク10の中央部のクランプ面の高さを信号読み取り面の高さよりも高くすることが、容易にできる。
【0055】
特に光ディスク10として、例えば図13や図14に示すように、基板とは反対側から光を入射させて記録や再生を行う構成の光ディスク40,50に適用することにより、光ディスク10の基板とは反対側をクランプする場合でも、クランプされる中央部にカバー層12がなくなる。
これにより、光ディスク10のクランプが容易になると共に、信号読み取り面と光ヘッドとの間のマージンを確保することができるため、カバー層12に突起が生じても影響が少なくなる。
これにより、光ディスク10と光ヘッドとの接触を防ぐためのマージンを大きくして、充分に確保することができる。
【0056】
また、スタンパー30を作製する工程で、中央部にレジストによる凸形状22Aを有するガラスマスター20を使用して、容易にその中央部に凹部30Aを形成することができる。
しかも、このようにして作製した、中央部に凹部30Aを有するスタンパー30を使用するだけで、従来の射出成形金型及び射出成形機をそのまま使用することが可能であるため、光ディスクの製造設備をほとんど変更する必要がない。
【0057】
また、スピンコート法によりディスク11上にカバー層12等の薄膜を形成した後の処理、即ち信号読み取り面とクランプ面との高さの差を解消するための処理が不要となるため、工程数を削減して光ディスクの製造コストの低減を図ることができる。
【0058】
さらに、図12に示したように、クランプ面を、カバー層12や潤滑材の表面即ち信号読み取り面より若干突出した形状にした場合には、カバー層12や潤滑材をスピンコートにより形成したときに最内周部に数μm〜数十μmの突起12Aが発生したとしても、この突起12Aと干渉することなく光ディスク10をクランプすることができる。
【0059】
そして、中央部のレジストが他の部分のレジストよりも厚く凸形状22Aに形成されたガラスマスター20は、図7又は図8に示したように、ガラス基板21上の中央部に第1層目のレジスト31又は33及び第2層目のレジスト32又は34を積層して成る厚いレジストを形成すると共に、基板上の他の部分に第1層目のレジスト或いは第2層目のレジストのいずれか一方31又は34から成る薄いレジストを形成することにより、容易に作製することができる。また、図9又は図10に示したように、ガラス基板21上に形成したレジスト35の中央部をそのままの厚さで残すと共に他の部分を薄くすることによっても、容易に作製することができる。
【0060】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【0061】
【発明の効果】
上述の本発明によれば、中央部のレジストが他の部分のレジストよりも厚く凸形状に形成されたマスターディスクを容易に作製することができる。
【0062】
これにより、このマスターディスクを用いて中央部に凹部を有するスタンパーを作製することができ、さらにこのスタンパーを用いて成形することにより中央部に凸形状を有するディスクを容易に作製することができる。
この中央部に凸形状を有するディスクの他の部分に薄膜を形成して光ディスクを製造することにより、中央部ではディスクの凸形状が表面に臨み、他の部分では薄膜が表面に臨む光ディスクが得られる。
【0063】
従って、中央部では、表面に薄膜がないので、光ディスクを容易にクランプすることができる。
また、ディスクの凸形状の高さと薄膜の膜厚を選定することにより光ディスクの中央部の表面(クランプ面)の高さと他の部分の表面(信号読み取り面)の高さを略同一にする又は近くすることやクランプ面の高さを信号読み取り面の高さよりも高くすることが容易にできるため、光ディスクと光ヘッドとの接触を防ぐためのマージンを大きくして、充分に確保することができる。
これにより、例えば薄膜の最内周部に突起が発生していても、突起と干渉しないで光ディスクをクランプすることが可能になる。
【0064】
さらに、中央部に凹部を有するスタンパーを使用するだけで、従来の射出成形金型及び射出成形機をそのまま使用することが可能であるため、光ディスクの製造設備をほとんど変更する必要がない。
また、ディスク上に薄膜を形成した後の信号読み取り面とクランプ面との高さの差を解消するための処理が不要となるため、工程数を削減して光ディスクの製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスタンパーの一形態の中央部付近の断面図である。
【図2】図1のスタンパーにより作製されたディスクの中央部付近の断面図である。
【図3】A〜D 図2のディスクを用いた光ディスクの製造工程を示す工程図である。
【図4】図3Dの工程で得られる光ディスクの中央部付近の断面図である。
【図5】A〜D 図1のスタンパーを作製するためのガラスマスターの作製工程を示す工程図である。
【図6】E〜H 図5Dのガラスマスターを用いた図1のスタンパーの作製工程を示す工程図である。
【図7】A〜E ガラスマスターの作製工程の一形態を示す工程図である。
【図8】A〜E ガラスマスターの作製工程の他の形態を示す工程図である。
【図9】A〜C ガラスマスターの作製工程のさらに他の形態を示す工程図である。
【図10】A〜D ガラスマスターの作製工程の別の形態を示す工程図である。
【図11】本発明を適用する光ディスク用の光学ヘッドの一形態を示す断面図である。
【図12】光ディスクの中央部を突出させた場合を示す図である。
【図13】記録層が単層の光ディスクを示す図である。
【図14】記録層が2層の光ディスクを示す図である。
【図15】A〜E 従来の光ディスクの製造工程を示す工程図である。
【図16】図15Eの状態における光ディスクの中央部の断面図である。
【図17】A〜D 従来のガラスマスターの作製工程を示す工程図である。
【図18】E〜H 図17Dのガラスマスターを用いた従来のスタンパーの作製工程を示す工程図である。
【符号の説明】
1 回転台、2 プラグ、3 レジン、10 光ディスク、11 ディスク(ディスク基板)、12 カバー層、20 ガラスマスター、21 ガラス基板、22,35 レジスト、25,30A 凹部、30 スタンパー、31,33 第1層目のレジスト、32,34 第2層目のレジスト
Claims (6)
- 基板上の中央部に第1層目のレジスト及び第2層目のレジストを積層して成るレジストを形成すると共に、上記基板上の他の部分に上記第1層目のレジスト或いは上記第2層目のレジストのいずれか一方から成るレジストを形成することにより、上記中央部のレジストが上記他の部分のレジストよりも厚く形成されたマスターディスクを作製し、
上記マスターディスクを使用して、反転パターンとなり中央部に凹部を有するスタンパーを作製し、
上記スタンパーを用いて成形することにより、中央部に凸形状を有するディスクを作製し、
上記ディスクの上記中央部以外の部分に薄膜を形成する
ことを特徴とする光ディスクの製造方法。 - 上記基板上に上記第1層目のレジスト及び上記第2層目のレジストを順次積層形成し、上記第2層目のレジストを上記中央部が残るようにパターニングし、その後上記第1層目のレジストをパターニングして上記他の部分にグルーブ又はピットを形成して上記マスターディスクを作製することを特徴とする請求項1に記載の光ディスクの製造方法。
- 上記基板上に上記第1層目のレジストを形成し、該第1層目のレジストを上記中央部が残るようにパターニングし、表面を覆って全面的に上記第2層目のレジストを形成し、その後上記第2層目のレジストをパターニングして上記他の部分にグルーブ又はピットを形成して上記マスターディスクを作製することを特徴とする請求項1に記載の光ディスクの製造方法。
- 基板上にレジストを形成し、該レジストの中央部をそのままの厚さで残すと共に、該レジストの他の部分を薄くすることにより、上記中央部のレジストが上記他の部分のレジストよりも厚く形成されたマスターディスクを作製し、
上記マスターディスクを使用して、反転パターンとなり中央部に凹部を有するスタンパーを作製し、
上記スタンパーを用いて成形することにより、中央部に凸形状を有するディスクを作製し、
上記ディスクの上記中央部以外の部分に薄膜を形成する
ことを特徴とする光ディスクの製造方法。 - 上記レジストに対して、上記中央部が残るように中間の深さまで除去し、その後上記他の部分の上記レジストをパターニングしてグルーブ又はピットを形成して上記マスターディスクを作製することを特徴とする請求項4に記載の光ディスクの製造方法。
- 上記レジストの上記他の部分に対して中間の深さまで露光されるように第1の露光を行い、その後該他の部分に対してグルーブ又はピットが潜像となるように上記基板との界面まで達する第2の露光を行い、現像により露光された部分を除去して上記マスターディスクを作製することを特徴とする請求項4に記載の光ディスクの製造方法。
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