JP2000256889A - スタンパー複製用盤の製造方法および光学記録媒体の製造方法 - Google Patents

スタンパー複製用盤の製造方法および光学記録媒体の製造方法

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JP2000256889A
JP2000256889A JP11059045A JP5904599A JP2000256889A JP 2000256889 A JP2000256889 A JP 2000256889A JP 11059045 A JP11059045 A JP 11059045A JP 5904599 A JP5904599 A JP 5904599A JP 2000256889 A JP2000256889 A JP 2000256889A
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Shin Masuhara
慎 増原
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一枚の原盤あるいは基板上に、異なる深さの
2以上の種類の微細凹凸を簡便な方法で、最適な深さに
高精度に形成する。 【解決手段】 原盤10上の第1の領域21に深さd1
の微細凹凸パターン10aを形成し、第2の領域22に
は、d1 と異なる深さの、深さd2 の微細凹凸パターン
12aを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スタンパー複製用
盤の製造方法および光学記録媒体の製造方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】オーディオ用、ビデオ用その他の各種情
報を記録する光学記録媒体として、その記録、もしくは
再生を光照射によって行う光ディスク、光カード、光磁
気ディスク、相変化光学記録媒体等のROM(Read Onl
y Memory)型、追記型、書換え型等の、各種光学記録媒
体が存在する、追記型、書換え型等の光磁気あるいは相
変化等による光磁気媒体においては、トラッキングサー
ボ信号等の記録がなされる位相ピット、プリグルーブ等
の微細凹凸の形成がなされる。
【0003】図19に従来の構造の光学記録媒体100
の概略斜視図を示す。この光学記録媒体100において
は、例えばポリカーボネート等の光学的に透明な基板1
01の一主面、すなわち信号記録面102に、図20に
示すような連続溝状のグルーブ111、または図21に
示すような連続したピット112の列がトラック毎に所
定のトラックピッチPでスパイラル状に設けられてい
る。
【0004】この光学記録媒体100は、図22にその
概略断面図を示すように、記録可能な相変化型、光磁気
型等の光ディスクは、グルーブ111を設けた面上に、
相変化膜、磁性膜、光反射金属膜等の材料膜104が形
成され、これの上に、例えば紫外線硬化性樹脂よりなる
保護膜106が形成された構成を有している。一方、再
生専用の光ディスク(ROM)は、ピット112の列を
設けた面上に光反射金属層よりなる材料膜104、さら
にこの上に保護膜106が形成された構成を有してい
る。
【0005】近年、記録可能領域と再生専用領域の双方
を有する構造の光ディスク、いわゆるパーシャルROM
ディスクが提案されている。このパーシャルROMディ
スクの概略斜視図を図23に示し、概略断面図を図24
に示す。
【0006】このパーシャルROMディスク120にお
いては、図21に示したピット112が形成されている
再生専用領域122と、図20に示したグルーブ111
が形成されている記録可能領域121との双方が設けら
れている。このパーシャルROMディスク120におい
ては、再生専用領域122と、記録可能領域121と
が、例えば境界ミラー面123によって、区切られてい
る。図23に示したパーシャルROMディスク120に
おいては、例えば、ゲームソフトを再生途中で一時中断
する場合に、データをディスク自体に保存することがで
きる。
【0007】ここで、各種の光学記録媒体を構成するグ
ルーブやピットのような微細凹凸の形成方法について以
下に説明する。
【0008】先ず、図25に示すように、表面を充分平
滑に研磨したガラス原盤200を回転基台201上に載
置し、ガラス原盤200を所定の回転数で回転された状
態で、ガラス原盤200上に、露光することによってア
ルカリ可溶となる感光性のフォトレジスト202、いわ
ゆるポジ型レジストを、ノズル203から供給して塗布
する。
【0009】次に、図26に示すように、ガラス原盤2
00を回転させ、フォトレジスト202を延伸し、図2
7に示すように、ガラス原盤200上にフォトレジスト
202の層を、例えば厚さ100〔nm〕に全面的にス
ピンコートした状態とする。
【0010】次に、図28に示すように、記録用レーザ
ー光Lによりフォトレジスト202を所定のパターンに
露光する。この露光は、ガラス原盤200を回転させな
がら記録用レーザー光をガラス原盤200の半径方向に
一回転あたり等距離ずつ送ることにより、一定のトラッ
クピッチでスパイラル状軌跡に沿って行う。
【0011】この露光工程は、図34にその概略図を示
す露光装置130を用いて行うことができる。この露光
装置130は、レーザー発射源131から射出されたレ
ーザー光Lが、レンズ133で集光されるようになさ
れ、その焦点面上に、音響光学素子134が、配置され
てなる。この音響光学素子134は、その内部に形成さ
れている回折格子により、レーザー光Lが回折されるよ
うになされている。この回折光のうち、一次回折光のみ
スリット(図示せず)を透過させて使用する。一次回折
光の強度は、音響光学素子134に入射される超音波の
強度変調によって制御される。また、音響光学素子13
4をレンズ133の位置から光軸方向にずらすことによ
り、一次回折光を偏向させることができる。強度変調お
よび偏向を受けた一次回折光は、レンズ135を用いて
コリメートされ、ミラー136、137を介して対物レ
ンズ138により集光し、ガラス原盤200上のフォト
レジスト202を露光する。
【0012】次に、ガラス原盤200をアルカリ性現像
液で現像し、露光部を除去する。このようにすると、図
29Aに示すように、また、図29Bにその拡大図を示
すようにガラス原盤200上のフォトレジスト202
に、透孔が穿設されて形成された微細凹凸205が形成
される。
【0013】このように、フォトレジスト202により
所定のパターンの微細凹凸205が形成された後、図3
0に示すように、ガラス原盤200上にニッケルメッキ
206を行い、その後ニッケルメッキ206を剥離し
て、図31に示すように、微細凹凸205が転写された
スタンパー207を形成する。あるいは、このスタンパ
ーをマスタースタンパーとして繰り返し転写によって複
数のスタンパーを作製する。
【0014】上述のようにして作製したスタンパー20
7を用いて、2P(フォトポリマリゼーション)法ある
いは射出成形法等の従来公知の転写方法によって、図3
2に示すように、例えばポリカーボネート等の光透過性
樹脂よりなる基板101上に圧着し、図33に示すよう
に、光学記録媒体の情報記録層を構成する微細凹凸10
3が形成される。
【0015】その後、図22に示すように、基板101
の微細凹凸103上に、Al等の反射膜、相変化材料、
もしくは光磁気材料等の材料膜104を積層して、情報
記録層105を形成する。
【0016】さらに、この情報記録層105上には、液
状の紫外線硬化性樹脂を塗布し、基板101を高速回転
させることにより、これを延伸させ、その後、紫外線を
照射して硬化させて保護膜106を形成し、最終的に目
的とする例えば光学記録媒体を作製することができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上述のようにして、ガ
ラス原盤200上に塗布したフォトレジスト202をパ
ターン露光して、ピット、あるいはグルーブを構成する
微細凹凸パターンを形成する場合には、図30に示すよ
うに、凹凸パターンの高さの差が、フォトレジスト20
2の塗布厚さに一致する。これは、フォトレジスト20
2の露光、現像工程においては、微細凹凸パターンを所
望の幅にまで広げていくうちにフォトレジスト202
は、ガラス原盤200面に到達するまでに現像されるの
が通常だからであり、微細凹凸パターンを安定して形成
させるためにも望ましい。
【0018】一方、図23および図24に示したよう
な、記録可能領域121と再生専用領域122とを有す
る構造の、パーシャルROMディスクにおいては、一枚
のディスクに、グルーブ111と、ピット112の双方
が形成された構造を有する。これらのグルーブ111と
ピット112とでは、その最適深さが異なるのである。
【0019】すなわち、ピット112の深さdpに関し
ては、変調度が最大となるdp=λ/4n(λ:再生光
波長、n:基板の屈折率)とすることが、再生信号特性
に対して最も有利である。一方、相変化または光磁気に
よる記録信号の記録再生時の案内溝として形成されるグ
ルーブ111の深さdgに関しては、トラッキング用信
号を最大とするためには、dg=λ/8nとするのが理
想的である。
【0020】また、近年の高記録密度化に関する研究に
よって、グルーブ111の深さdgが、記録/再生信号
特性に、大きく影響を与えることが判明している。すな
わち、最大の記録密度を得るためには、グルーブ111
の深さの最適値に対して±5〔nm〕以下の範囲の誤差
におさまるように、形成しなければならない。ところ
が、そのグルーブが、深さ30〔nm〕程度に形成され
ている場合には、ピットの深さの最適値dp=約100
〔nm〕(λ=650〔nm〕、n=1.58)に対し
てきわめて小さい値となる。すなわち、ピットの深さ
を、グルーブの深さの最適値に合わせると、再生専用領
域においては、再生信号劣化が生じて記録密度の低下を
来すことになる。
【0021】ここで、図35に、初期のISO規格の光
磁気記録媒体の一例の要部の概略平面図を示す。この例
においては、図35に示すように、グルーブ111列の
中間に、アドレスピット113の列を挿入する形態をと
っていて、グルーブ111の深さを約λ/8n、アドレ
スピット113の深さを約λ/4nとしていた。
【0022】図35に示すような構造の光磁気記録媒体
においては、図36に、その概略断面図を示すように、
フォトレジスト202を塗布する厚さを、ピット113
の所望の深さに一致させる。そして、グルーブ111
は、ピット113よりも浅く形成する必要があるため、
フォトレジスト202を露光する際には、露光光の強度
を、光源を減衰させたりして相対的に弱く露光するよう
に調節する。
【0023】すなわち、図36中、ピット113に対す
る露光光L1 と、グルーブ111に対する露光光L2
の強度の関係は、L1 >L2 となるようにする。このよ
うに露光光を調整してフォトレジスト202を露光し、
これを現像した後、グルーブ111部においては、フォ
トレジスト202の表面からガラス原盤200の面ま
で、およそ半分の厚さのフォトレジスト202が残存す
るようにするものとした。このように、露光光の強度を
調整して、フォトレジスト202をガラス原盤面まで露
光せず、残存させるようにして形成したパターンをハー
フトーンと呼称する。
【0024】しかし、最近の光学記録媒体の高記録密度
化により、光源の減衰制御等の方法により、ハーフトー
ンのパターンを形成することが困難になってきた。ま
ず、上述した方法によるとき、ハーフトーンのパターン
形成を、微細な精度で制御することが困難である。すな
わち、露光強度に数%、現像時間に数秒の誤差が生じる
だけで、形成されるパターンの深さが異なってくるた
め、パターンの深さを約±5〔nm〕程度の精度に制御
することは、上述の方法においては、極めて困難であ
る。
【0025】さらに、上述した方法により、ハーフトー
ンのパターン形成を行うと、フォトレジストを露光する
ために使用する光源は、その光強度がガウス分布し、光
源の中心から放射状に不可避的に減少し、連続的な現像
処理は限定したものとなる。これにより、グルーブやピ
ットを形成する微細凹凸の配列や形状は、望ましい相対
深さが確保できず、実際には底部が丸くなったり、側壁
部の荒れが大きくなったりして、最終的に得られる光学
記録媒体における間違ったトラッキング情報を導く原因
となり、再生信号のノイズの発生原因となる。このよう
なことは、目的とする光学記録媒体の記録密度が向上す
ればするほど、信号特性に与える影響は大きいものとな
る。
【0026】よって、本発明方法においては、上述した
ような、露光光の強度を調整することによるハーフトー
ンのパターンを形成するという手法を用いることなく、
ピットとグルーブを、それぞれの異なる最適深さに確実
な形状をもって形成する光学記録媒体の作製方法と、ス
タンパー複製用盤の製造方法を提供するものである。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明のスタンパー複製
用盤の製造方法は、原盤上の第1の領域に深さd1 の微
細凹凸パターンを形成し、原盤上にフォトレジスト層を
形成し、その後、第2の領域には、d1 と異なる深さ
の、深さd2 の微細凹凸パターンを形成する工程を有す
るものとする、
【0028】また、本発明の光学記録媒体の製造方法
は、原盤上の第1の領域に、深さd1の微細凹凸パター
ンを形成する工程と、原盤上の、少なくとも第2の領域
に、深さd2 の微細凹凸パターンを形成する工程とによ
り作製したスタンパー複製用盤に、金属メッキを施し、
これを剥離してスタンパーを作製し、このスタンパーま
たはこのスタンパーにより複製したスタンパーを用い
て、微細凹凸の転写を行って光学記録媒体を構成する基
板を得るものである。
【0029】本発明のスタンパー複製用盤の製造方法
は、一つの盤上の、少なくとも第1の領域と第2の領域
の各微細凹凸を、それぞれ別工程で形成するものとし、
複数種類の微細凹凸を、それぞれの最適な深さに形成す
るものである。また、本発明のスタンパー複製用盤の製
造方法により、高記録密度の光学記録媒体を作製する場
合に、一つのスタンパー複製用盤に、複数の種類の深さ
の異なる微細凹凸を形成する場合にも、グルーブやピッ
トが、それぞれの最適深さに形成される。
【0030】本発明の光学記録媒体の製造方法は、一つ
の基板上の、少なくとも第1の領域と第2の領域の各微
細凹凸を、それぞれに対応する各微細凹凸を、別工程に
より形成したスタンパー複製用盤から転写することによ
り形成したため、複数種類の深さの異なる微細凹凸が、
それぞれ最適な深さに形成される。また、本発明の光学
記録媒体の製造方法を、高記録密度の光学記録媒体を作
製する場合に適用しても、ピットやグルーブ層、複数の
種類の深さの異なる微細凹凸がそれぞれの最適深さに形
成される。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明のスタンパー複製用盤の製
造方法は、原盤上の第1の領域に、深さd1の微細凹凸
パターンエッチングにより形成し、原盤上に、膜厚d2
のフォトレジスト層を塗布形成し、この原盤上のフォト
レジスト層の少なくとも第2の領域において、深さd2
の微細凹凸を形成するのとする。ここで、第1の領域と
は、以下の例におけるディスク状の原盤あるいは基板の
中心から半径方向に所定の距離隔てた領域を呼称し、第
2の領域とは、同様に以下の例におけるディスク状原盤
あるいは基板における上記第1の領域の外周部分の領
域、すなわち、基板の中心から所定の距離隔てた位置か
らさらに所定の距離、半径方向に隔てた領域を呼称する
ものとする。
【0032】本発明の光学記録媒体の製造方法は、原盤
上の第1の領域に、深さd1 の微細凹凸をパターンエッ
チングにより形成し、原盤上に、膜厚d2 のフォトレジ
スト層を塗布形成し、この原盤上のフォトレジスト層の
少なくとも第2の領域において、深さd2 の微細凹凸を
形成することにより作製したスタンパー複製用盤に、金
属メッキを施し、これを剥離してスタンパーを作製し、
このスタンパーまたは、このスタンパーから複製したス
タンパーを用いて、射出成形、2P法等により微細凹凸
の転写を行い、光学記録媒体用の基板を作製し、この基
板に材料膜、反射膜の成膜を行い、目的とする光学記録
媒体を作製するものとする。
【0033】以下、本発明の一実施例について説明する
が、本発明は、以下に示す例に限定されるものではな
く、従来公知の構造、材料についても、従来と同様に適
用することができる。
【0034】先ず、図1に示すように、例えば、表面を
充分に平滑に研磨したガラス原盤10を用意する。次
に、ガラス原盤10を回転基台(図示せず)上に載置
し、これを所定の回転数で回転させた状態で、アルカリ
可溶性となるフォトレジスト11を、均一の厚さに塗布
する。
【0035】次に、記録用レーザー光により、原盤10
上のフォトレジスト11における第1の領域21に、例
えば、最終的に光学記録媒体のグルーブを形成するため
の微細凹凸を転写することになる微細凹凸を形成するた
めに、所定のパターン露光を行う。この露光は、原盤1
0を回転させながら、記録用レーザー光Lを、原盤10
の半径方向に、一回転あたり等距離ずつ送ることによ
り、フォトレジスト11に、溝、例えばグルーブの潜像
を一定間隔で形成する。
【0036】次に、原盤10をアルカリ性現像液で現像
し、露光部を除去する。このようにすると、原盤10上
に、所定の微細凹凸のパターン11aが形成される。
【0037】次に、図2に示すように、フォトレジスト
のパターン11aをマスクとして、例えば、以下に示す
条件により、RIE(Reactive Ion Etching) により原
盤10のエッチングを行い、原盤10の第1の領域21
に深さd1 の微細凹凸を形成する。 エッチングガス:CF4 真空到達度 :1〔mPa〕 ガス圧 :3.0〔Pa〕 ガス流量 :10〔sccm〕 高周波RF電源出力:200〔W〕(周波数13.56
MHz)
【0038】以上の条件で、エッチングを行うと、20
〜30〔nm/min〕のエッチングレートが得られ
る。通常必要とされるグルーブの深さは、50〜100
〔nm〕程度であるため、数分のエッチングにより、こ
れを形成することができる。
【0039】次に、図3に示すように、不要となったフ
ォトレジスト11のエッチングマスクを除去する。この
場合、フォトレジスト11は、プラズマ照射後は変質し
ているため、現像液やアセトン等の有機溶剤では除去す
ることが困難である。そこで、O2 プラズマによって残
存したフォトレジスト11を燃焼させることにより除去
する。このようにしてフォトレジスト11を除去する
と、原盤10上の第1の領域21に、深さ深さd1 の溝
を有する微細凹凸10aが形成される。
【0040】次に、図4に示すように、原盤10を再び
回転基台(図示せず)上に載置し、これを所定の回転数
で回転させた状態で、スピンコート法により、微細凹凸
のパターン10aを埋めるようにフォトレジスト12を
厚さd2 に、表面が平坦になるように塗布する。フォト
レジスト12の厚さd2 は、以下に示すように、原盤1
0の、上述した第1の領域21とは異なる領域の、第2
の領域22において形成するピットの深さに適合させる
ようにする。
【0041】次に、図5に示すように、記録用レーザー
光Lにより、原盤10上のフォトレジスト12における
第2の領域22に、例えば、最終的に光学記録媒体のピ
ットを形成するための微細凹凸を転写することになる微
細凹凸を形成するために、所定のパターン露光を行う。
この露光は、原盤10を回転させながら、記録用レーザ
ー光Lを、原盤10の半径方向に、一回転あたり等距離
ずる送ることにより、フォトレジスト12の第2の領域
22に、ピットの潜像を形成し、ピットの微細付凸12
aを形成する。
【0042】このとき、露光装置の回転基台上に原盤1
0を載置する際には、上記のようにしてすでに形成して
あるグルーブの微細凹凸パターン10aとの偏芯を実用
上、20〔μmP−P〕程度に抑制する必要がある。こ
のために、回転基台を回転させながら、フォトレジスト
12を感光しない光、例えばHe−Neレーザー光源
(波長633nm)の顕微鏡によって、グルーブ形成し
た第1の領域21との境界を観察して調整したりする。
【0043】次に、図6に示すように、微細凹凸12a
の形成に寄与しない領域部分のフォトレジスト12を除
去する。すなわち、微細凹凸12aの形成に寄与しない
領域のフォトレジスト12を露光しアルカリ可溶性とす
る。
【0044】次に、原盤10を現像する。このようにす
ると、図7に示すように、第1の領域21においては、
深さd1 の微細凹凸10a、第2の領域22において
は、深さd2 の微細凹凸12aが形成された光学記録媒
体用のスタンパー複製用盤30を得ることができる。
【0045】上述のようにして得られたスタンパー複製
用盤30の表面に、図8に示すように、例えば無電界メ
ッキを行って表面処理を行い、ニッケルメッキ処理によ
り金属メッキ層18を形成する。そして、図9に示すよ
うに、この金属メッキ層18を剥離して、光学記録媒体
用のスタンパー19を作製する。このスタンパー19か
らさらに複数のスタンパーを複製することにより多数の
スタンパー19を作製する。
【0046】このようにして作製したスタンパー19を
用いて、圧縮成形、射出成形、2P(フォトポリマリゼ
ーション)法等の従来公知の光学記録媒体用の基板の複
製方法によって、異なる深さd1 、d2 の2種類の微細
凹凸51、52を有する光学記録媒体の基板50を作製
することができる。
【0047】上述のようにして作製した基板50を用い
て、深さd1 の微細凹凸51上に、記録膜等の材料膜4
1を成膜し、この領域に記録可能領域61を形成する。
また、深さd2 の微細凹凸52上に、反射膜等の材料膜
42を成膜し、この領域には再生専用領域62を形成す
る。さらにこれら材料膜41、42上に保護膜55を形
成することにより、図10に示すように最終的に目的と
する、一枚の基板53上に、複数種類の深さの微細凹凸
を有する構造の光学記録媒体50を作製することができ
る。
【0048】この図10に示す光学記録媒体50におい
ては、再生専用領域62と、記録可能領域61との境界
部分においては、例えば、20〔μm〕程度の無信号面
(ミラー面)を形成してもよいし、この例においては、
グルーブである微細凹凸51とピットである微細凹凸5
2とが一部重複して形成されていてもよい。
【0049】但し、記録/再生光のスポットが、トラッ
キング動作をしている時には、そのまま、この境界部分
を通過すると、動作が混乱する。そこで、この境界部分
においては、図11に示すように、再生専用領域62、
記録可能領域61が、それぞれの境界近傍部分に、信号
記録に寄与しない無信号領域を設けておく。そして、こ
の無信号領域においては、トラックジャンプにより移動
するようにする。
【0050】上述したように、本発明方法においては、
一枚の基板50上の異なる深さd1、d2 の2種類の微
細凹凸51、52を確実な精度をもって形成することが
できる。なお、本発明方法は、上述したような異なる深
さの2種類の微細凹凸を形成することに限定されるもの
ではなく、3種類以上の微細凹凸を形成する場合につい
ても同様に適用することができる。
【0051】以下に、異なる深さの3種類の微細凹凸
を、1枚の基板上に形成して光学記録媒体を作製する例
を説明する。なお、上述した2種類の異なる深さの微細
凹凸を形成した例を転用するものとし、重複説明を省略
する。なお、以下の例のおける原盤上、あるいは基板上
における第3の領域とは、ディスク状の原盤あるいは基
板の、上記第2の領域の終端から半径方向にさらに所定
の距離隔てた領域を呼称するものとする。
【0052】まず、図1〜図7に示して説明したような
方法と同様の工程により、図12に示すように、原盤1
0上の第1の領域21に深さd1 の微細凹凸10aを形
成し、第2の領域22に、フォトレジスト12のパター
ンエッチングにより深さd2の微細凹凸12aを形成す
る。
【0053】次に、図13に示すように、第2の領域2
2に形成したフォトレジストの微細凹凸パターン12a
をマスクとして、例えば、以下に示す条件により、RI
E(Reactive Ion Etching) により原盤10のエッチン
グを行い、原盤10の第2の領域22に深さd3 の微細
凹凸を形成する。 エッチングガス:CF4 真空到達度 :1〔mPa〕 ガス圧 :3.0〔Pa〕 ガス流量 :10〔sccm〕 高周波RF電源出力:200〔W〕(周波数13.56
MHz)
【0054】次に、図14に示すように、不要となった
フォトレジスト12のエッチングマスクを除去する。こ
の場合、フォトレジスト12は、プラズマ照射後は変質
しているため、O2プラズマによって残存したフォトレ
ジスト12を燃焼させることにより除去する。このよう
にしてフォトレジスト12を除去すると、原盤10上の
第1の領域21に、深さd1 の微細凹凸10aと、第2
の領域に深さd3 の微細凹凸13aが形成される。
【0055】次に、図15に示すように、原盤10を再
び回転基台(図示せず)上に載置し、これを所定の回転
数で回転させた状態で、スピンコートにより、微細凹凸
のパターン10aおよび13aを埋めるように、フォト
レジスト14を、原盤10の表面からの厚さが、所定の
厚さd4 になるように塗布する。
【0056】次に、図16に示すように、記録用レーザ
ー光Lにより、原盤10上のフォトレジスト14におけ
る第3の領域23に、例えば、最終的に光学記録媒体の
ピットを形成するための微細凹凸を転写することになる
微細凹凸を形成するために、所定のパターン露光を行
う。この露光は、原盤10を回転させながら、記録用レ
ーザー光Lを、原盤10の半径方向に、一回転あたり等
距離ずつ送ることにより、フォトレジスト14の第3の
領域23に、ピットの潜像を形成し、ピットの微細凹凸
14aを形成する。
【0057】このとき、露光装置の回転基台上に原盤1
0を載置する際には、上記のようにしてすでに形成して
ある微細凹凸パターン10aおよび13aとの偏芯を、
実用上適用可能な範囲、例えば、20〔μmP−P〕程
度に抑制する必要がある。このために、回転基台を回転
させながら、フォトレジスト14を感光しない光、例え
ばHe−Neレーザー光源(波長633nm)の顕微鏡
によって、グルーブ形成した第1の領域21、第2の領
域22との境界を観察して調整したりする。
【0058】次に、図17に示すように、微細凹凸14
aの形成に寄与しない領域部分のフォトレジスト14を
除去する。すなわち、微細凹凸14aの形成に寄与しな
い領域のフォトレジスト14を露光し、アルカリ可溶性
とする。
【0059】次に、原盤10を現像する。このようにす
ると、図18に示すように、第1の領域21において
は、深さd1 の微細凹凸10a、第2の領域22におい
ては、深さd3 の微細凹凸13a、第3の領域23に
は、深さd4 の微細凹凸14aが形成された光学記録媒
体用のスタンパー複製用盤31を得ることができる。
【0060】上述のようにして得られたスタンパー複製
用盤31の表面に、先述したと同様の方法により、例え
ば無電界メッキを行って表面処理を行い、ニッケルメッ
キ処理により金属メッキ層を形成し、このメッキ層を剥
離することにより、光学記録媒体用のスタンパーを作製
することができる。
【0061】そして、このようにして作製したスタンパ
ーを用いて、例えば圧縮成形、射出成形、2P(フォト
ポリマリゼーション)法等の従来公知の光学記録媒体用
の基板の複製方法によって、異なる深さd1 、d3 、d
4 の3種類の微細凹凸を有する光学記録媒体の基板を作
製することができ、この基板上に形成された微細凹凸上
に、記録膜、反射膜等の材料膜成膜して最終的に目的と
する、一枚の基板上に、複数種類の深さの微細凹凸を有
する構造の光学記録媒体を作製することができる。
【0062】上述した例においては、一枚の基板上に2
種類あるいは3種類の深さの異なる微細凹凸を形成した
光学記録媒体、スタンパー複製用盤の作製方法について
説明したが、本発明はこの例に限定されるこのではな
く、4種類以上の深さの異なる微細凹凸が1枚の基板あ
るいは原盤上に形成された光学記録媒体、スタンパー複
製用盤を作製する場合についても同様に適用することが
できる。
【0063】
【発明の効果】本発明のスタンパー複製用盤の製造方法
によれば、一つの盤上の、少なくとも第1の領域と第2
の領域の各微細凹凸を、それぞれ別工程で形成するた
め、複数種類の微細凹凸を、それぞれの最適な深さに、
高精度で形成することができる。また、本発明のスタン
パー複製用盤の製造方法により、高記録密度化を図った
光学記録媒体を作製する場合に、複数の種類の深さの異
なる微細凹凸を形成する場合に、グルーブやピットを、
それぞれの最適深さに、高精度に形成することができ
る。
【0064】本発明の光学記録媒体の製造方法によれ
ば、一つの基板上の、少なくとも第1の領域と第2の領
域の各微細凹凸を、それぞれ別工程により形成したスタ
ンパー複製用盤から転写することにより形成したため、
複数種類の微細凹凸を、それぞれ最適な深さに、高精度
で形成することができる。また、本発明の光学記録媒体
の製造方法によれば、高記録密度化を図った光学記録媒
体を作製する場合に適用しても、複数の種類の深さの異
なる微細凹凸を形成する場合に、グルーブやピットを、
それぞれの最適深さに、高精度に形成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学記録媒体用のスタンパー複製用盤
の一例の作製工程図を示す。
【図2】本発明の光学記録媒体用のスタンパー複製用盤
の一例の作製工程図を示す。
【図3】本発明の光学記録媒体用のスタンパー複製用盤
の一例の作製工程図を示す。
【図4】本発明の光学記録媒体用のスタンパー複製用盤
の一例の作製工程図を示す。
【図5】本発明の光学記録媒体用のスタンパー複製用盤
の一例の作製工程図を示す。
【図6】本発明の光学記録媒体用のスタンパー複製用盤
の一例の作製工程図を示す。
【図7】本発明製造方法により作製した光学記録媒体用
のスタンパー複製用盤の概略断面図を示す。
【図8】本発明製造方法により作製した光学記録媒体用
のスタンパー複製用盤に金属メッキを施した状態図を示
す。
【図9】本発明製造方法により作製したスタンパー複製
用盤と、スタンパーの概略図を示す。
【図10】本発明製造方法により作製した光学記録媒体
の概略断面図を示す。
【図11】本発明方法により作製した光学記録媒体の要
部の概略断面図を示す。
【図12】本発明製造方法の他の一例によるスタンパー
複製用盤の作製工程図を示す。
【図13】本発明製造方法の他の一例によるスタンパー
複製用盤の作製工程図を示す。
【図14】本発明製造方法の他の一例によるスタンパー
複製用盤の作製工程図を示す。
【図15】本発明製造方法の他の一例によるスタンパー
複製用盤の作製工程図を示す。
【図16】本発明製造方法の他の一例によるスタンパー
複製用盤の作製工程図を示す。
【図17】本発明製造方法の他の一例によるスタンパー
複製用盤の作製工程図を示す。
【図18】本発明製造方法の他の一例により作製したス
タンパー複製用盤の概略断面図を示す。
【図19】従来構造の光学記録媒体の一例の概略斜視図
を示す。
【図20】光学記録媒体の要部の、グルーブ形成部の概
略斜視図を示す。
【図21】光学記録媒体の要部の、ピット形成部の概略
斜視図を示す。
【図22】従来構造の光学記録媒体の一例の概略断面図
を示す。
【図23】従来構造のパーシャルROMディスクの概略
斜視図を示す。
【図24】パーシャルROMディスクの要部の概略断面
図を示す。
【図25】従来の光学記録媒体およびスタンパー転写用
原盤の作製一工程図を示す。
【図26】従来の光学記録媒体およびスタンパー転写用
原盤の作製一工程図を示す。
【図27】従来の光学記録媒体およびスタンパー転写用
原盤の作製一工程図を示す。
【図28】従来の光学記録媒体およびスタンパー転写用
原盤の作製一工程図を示す。
【図29】A フォトレジスト上に形成された微細凹凸
パターンを示す。 B フォトレジスト上に形成された微細凹凸パターンの
拡大図を示す。
【図30】従来の光学記録媒体およびスタンパー転写用
原盤の作製一工程図を示す。
【図31】従来工程により作製したスタンパーの概略断
面図を示す。
【図32】従来工程による光学記録媒体の作製一工程図
を示す。
【図33】従来工程による光学記録媒体の作製一工程図
を示す。
【図34】従来の光学記録媒体作製用の露光装置の概略
図を示す。
【図35】従来構造の光学記録媒体のうち、グルーブ間
にアドレスピットが形成されているものの要部の概略平
面図を示す。
【図36】従来構造の光学記録媒体のうち、グルーブ間
にアドレスピットが形成されているものの概略断面図を
示す。
【符号の説明】 10 原盤、11 フォトレジスト、11a,12a,
13a,14a 微細凹凸、12,14 フォトレジス
ト、18 金属メッキ層、19 スタンパー、21 第
1の領域、22 第2の領域、23 第3の領域、3
0,31 スタンパー複製用盤、41,42 材料膜、
50 光学記録媒体、51,52 微細凹凸、53 基
板、55 保護膜、61 記録可能領域、62 再生専
用領域、100 光学記録媒体、101 基板、102
信号記録面、103 微細凹凸、104 材料膜、1
05 情報記録層、106 保護膜、111 グルー
ブ、112 ピット、113 アドレスピット、120
パーシャルROMディスク、121 記録可能領域、
122 再生専用領域、123 境界ミラー面、130
露光装置、131 レーザー発射源、132 ミラー、
133 レンズ、134 音響光学素子、135 レン
ズ、136,137 ミラー、138 対物レンズ、2
00 ガラス原盤、201 回転基台、202 フォト
レジスト、203 ノズル、205 微細凹凸、206
ニッケルメッキ、207 スタンパー、208 微細
凹凸

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原盤上の第1の領域に、深さd1 の微細
    凹凸パターンを形成する工程と、 上記原盤上に、フォトレジスト層を塗布形成する工程
    と、 上記原盤上の少なくとも第2の領域に、深さd2 の微細
    凹凸パターンを形成する工程とを有することを特徴とす
    るスタンパー複製用盤の製造方法。
  2. 【請求項2】 原盤上の第1の領域に、深さd1 の微細
    凹凸パターンを形成する工程と、 上記原盤上に、フォトレジスト層を塗布形成する工程
    と、 上記原盤上の少なくとも第2の領域において、上記フォ
    トレジスト層を、深さd2 の微細凹凸にパターンエッチ
    ングを行う工程とによって、スタンパー複製用盤を作製
    し、該スタンパー複製用盤上に、金属メッキを施す工程
    と、 該金属メッキを剥離してスタンパーを作製する工程と、 該スタンパーまたは、該スタンパーによって複製したス
    タンパーにより、微細凹凸の転写を行って光学記録媒体
    用の基板を作製する工程とを有することを特徴とする光
    学記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記第1の領域の深さd1 の微細凹凸パ
    ターンが、グルーブであり、 上記第2の領域の深さd2 の微細凹凸パターンが、ピッ
    トであることを特徴とする請求項2に記載の光学記録媒
    体の製造方法。
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