JP3915421B2 - 弾性表面波装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾性表面波素子と、この弾性表面波素子の駆動制御を行う電子部品をパッケージングした弾性表面波装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話やテレビ受像機等の電子部品や通信部品において、共振子や帯域フィルタ等として弾性表面波装置(以下「SAW(Surface Acustic Wave)デバイス」という)が使用されている。SAWデバイスは、SAW素子をパッケージングした構造を有しており、SAW素子は、たとえば図6に示すような構造を有している。図6において、SAW素子は、圧電基板の表面にすだれ状電極(IDT:InterDigital Transducer)と反射器を有している。そして、すだれ状電極に駆動電圧が入力されると、弾性表面波が励振され、共振による特定の周波数の電気信号が出力され、もしくはフィルタリング機能による特定の周波数帯域の電気信号が出力される。
【0003】
図7は、従来のSAWデバイスの一例を示す構成図であり、図7を参照してSAWデバイス1について説明する。
図7のSAWデバイス1は、基板2、蓋3、ICチップ等からなる電子部品5、SAW素子6等を有している。基板2には中空部2aが形成されており、中空部2aに電子部品5及びSAW素子6が収容されている。中空部2aの開口部には蓋3が配置されていて、蓋3は、封止材により基板2と接合されている。従って、基板2と蓋3により電子部品5及びSAW素子6は気密封止された状態となっている。
【0004】
中空部2aにはSAW素子6と、SAW素子6の駆動制御を行う半導体チップ等の電子部品5が並んで配置されている。基板2の底面部には、所定のパターンの配線4が形成されており、電子部品5とSAW素子6は、たとえばワイヤボンディング等により電極配線4と電気的に接続されている。これにより、電子部品5とSAW素子6は、電気的に接続される。
【0005】
次に、図8は、従来のSAWデバイスの製造方法の一例を示す工程図であり、図8を参照してSAWデバイスの製造方法について説明する。
まず、図8(A)に示すように、基板2における中空部2aの底面部に、所定のパターンで配線4が形成される。
そして、図8(B)に示すように、電子部品5が底面部に実装され、たとえばワイヤボンディング等により配線4と電気的に接続される。
次に、図8(C)に示すように、SAW素子6が底面部に実装され、たとえばワイヤボンディング等により配線4と電気的に接続される。
【0006】
その後、図8(D)に示すように、SAW素子6の周波数調整が行われる。具体的には、SAW素子6が、基板2の開口部2bからたとえばプラズマ等がSAW素子6に照射され、SAW素子6の圧電基板もしくは圧電基板に形成された電極がエッチングされる。この周波数調整は、SAW素子6を電子部品5により駆動しながら行い、所望のSAW素子6の周波数特性が得られるようになる。
次に、図8(E)に示すように、基板2の開口部の上に蓋3が配置され、封止材により基板と蓋3が接合される。これにより、中空部2a内が気密封止され、SAWデバイス1が完成する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図7のSAWデバイス1において、電子部品5とSAW素子6は並んで配置されている。すなわち、電子部品5とSAW素子6は、中空部2a内という同一空間に配置されている。従って、電子部品5とSAW素子6が動作したときに、高周波結合が発生し、SAWデバイス1の動作に不具合が発生するという問題がある。また、電子部品5とSAW素子6は、互いに影響を及ぼし合うため、電子部品4もしくはSAW素子6を個別に測定、評価を正確に行うことができないという問題がある。
【0008】
また、SAWデバイス1が動作すると、電子部品5は熱を放出する。電子部品5から放出された熱は、基板2の中空部2a内の雰囲気及び底面部を通じて直接SAW素子6に伝達してしまう。この熱がSAW素子6の温度特性に大きく影響し、SAW素子6が所望の周波数特性を発揮することができないという問題がある。このような不具合を防止するためには、電子部品5とSAW素子6を離して実装しなければならず、SAWデバイス1の大きさが非常に大きくなってしまう。
【0009】
さらに、図8(D)における周波数調整工程において、プラズマ等がSAW素子6に照射される。このとき、基板2にはSAW素子6ばかりでなく、電子部品5も実装された状態で行われている。よって、電子部品5が、プラズマにさらされることによるたとえば動作不良等の不具合を発生することがあるという問題がある。具体的には、電子部品5のパッケージをエッチングすると、電子部品5のパッシベーション膜がエッチングされ、電子部品5もしくはSAW素子6に金属ショートが発生してしまう場合がある。
【0010】
一方、電子部品5とSAW素子6を異なる空間に実装する方法として、いわゆるH型構造の基板を用いること等が提案されている。すなわち、基板2が、たとえば上下に2つの中空部を有しており、その2つの中空部にそれぞれ電子部品5とSAW素子6が収容された構造を有するものである。
しかし、このような構造のSAWデバイスであっても、電子部品5とSAW素子6とが、基板2の表裏に形成されているため、電子部品5が動作することにより熱を放出したとき、基板2を通じて直接SAW素子6に伝播してしまうという問題がある。
【0011】
そこで本発明は上記課題を解決し、信頼性及び歩留まりの向上を図ることができる弾性表面波装置及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の弾性表面波装置は、弾性表面波素子を実装する素子基板と、前記素子基板とは異なる平面に配置されると共に電子部品を実装する部品基板と、前記素子基板と前記部品基板とを機械的及び電気的に接続する中継基板とからなる基板を有し、前記素子基板及び前記部品基板は、前記弾性表面波素子が実装される領域と前記電子部品が実装される領域とが前記素子基板の法線方向及び前記部品基板の法線方向で重ならないように配置されると共に、前記弾性表面波素子は前記基板の一面側に配置され、前記電子部品は前記基板の他面側に配置されてなることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、弾性表面波素子は、基板の一面側であって、素子実装領域に実装されている。一方、電子部品は、基板の他面側であって、素子実装領域とは平面的に重ならない領域である部品実装領域に実装されている。
このように、基板において弾性表面波素子と電子部品を異なる領域に実装することで、電子部品から発生する熱及び電磁波が基板を伝導し、弾性表面波素子に影響を及ぼすのを低減することができる。すなわち、基板を挟んで弾性表面波素子と電子部品を同一の領域に実装する場合に比べて、弾性表面波素子における熱及び電磁波による特性変化を低減させることができる。
さらに、中継基板が弾性表面波素子及び電子部品を収容するのに必要な高さを有するようにすれば、弾性表面波装置の厚さ方向において、弾性表面波素子の厚さ方向と、電子部品の厚さ方向とが重なり合うように実装することで、弾性表面波装置を薄くすることができる。
また、中継基板により電磁波をシールドできる。
【0014】
本発明の弾性表面波装置は、さらに、前記基板の前記一面側には、前記弾性表面波素子を収容するための第1中空部を形成する第1枠体が取り付けられていて、前記基板の前記他面側には、前記電子部品を収容するための第2中空部を形成する第2枠体が取り付けられていることを特徴とする。
上記の構成によれば、前記弾性表面波素子は、第1枠体の第1中空部内に収容され、電子部品は、第2枠体の第2中空部内に収容されることとなる。従って、弾性表面波素子及び電子部品は、それぞれ第1枠体及び第2枠体によって保護されることになる。
【0015】
また、本発明の弾性表面波装置は、前記第1枠体の前記第1中空部上に配置されたリッドによって気密封止されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、弾性表面波素子を収容した第1中空部には、リッドが配置されていて、このリッドによって弾性表面波素子が気密封止されることになる。
【0016】
また、本発明の弾性表面波装置は、前記電子部品は、前記第2中空部に充填された封止材によって封止されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、第2中空部に封止材を充填することで、電子部品が気密封止された状態となっている。ここで、たとえば周波数調整工程を行うときに、弾性表面波装置にプラズマが照射されることがある。このとき、電子部品を気密封止することによって、プラズマによる電子部品への不具合の発生を確実に防止することができるようになる。
【0017】
さらに、本発明の弾性表面波装置は、前記素子基板の一面側もしくは他面側のいずれかの面には、グランド電極が形成されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、グランド電極によって、電子部品から発生する電磁波をシールドする事ができ、電磁波による弾性表面波素子の特性変化を低減させることができるようになる。
【0018】
また、本発明の弾性表面波装置は、前記第2枠体には、前記弾性表面波素子及び前記電子部品と電気的に接続された外部端子が設けられていることを特徴とする。
【0019】
上記の構成によれば、外部端子は、基板の他面側に取り付けられた第2枠体に設けられている。従って、外部端子は、一面側に設けられた弾性表面波素子とは、反対の面に設けられていることになる。ここで、たとえば周波数調整でSAW素子にプラズマを照射するとき、SAW素子が駆動制御されながら行われる。このとき、外部端子が他面側にあることで、一面側のSAW素子にはプラズマが照射され、他面側の電子部品には外部端子と接続したたとえばフィクスチャーによりシールドされ、プラズマに晒されることがなくなる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1と図2は本発明のSAWデバイスの好ましい実施の形態を示す構成図であり、図1と図2を参照してSAWデバイス10について説明する。
図1のSAWデバイス10は、基板11、SAW素子20、電子部品30等を有している。基板11は、たとえば板状のセラミック等からなっていて、一面側11aに所定パターンを有する配線40を有しており、他面側11bにグランド電極50を有した構造になっている。基板11にはビアホール(VIA HOLE)11cが形成されていて、一面側11aの配線40と他面側11bの電子部品30が電気的に接続可能な状態になっている。
このように、グランド電極50を設けることで、電子部品30から発生する電磁波からSAW素子20をシールドし、SAW素子20の電磁波による特性変化を低減することができるようになる。なお、このグランド電極50は、シールド効果を高めるため、接地されていることが好ましい。
【0028】
SAW素子20は、たとえば水晶基板にすだれ状電極(IDT:InterDigital Transducer)や反射器を形成したSAWデバイスや水晶発振器等であって、第1中空部12a内にたとえば接着剤等を用いて実装されている。SAW素子20は、たとえばAuワイヤーもしくはAlワイヤー等と用いたワイヤボンディング等により配線40と電気的に接続されている。また、SAW素子20は、第1枠体12に取り付けられるリッド60を用いてたとえば窒素等によりシーム封止またはAu/Sn共晶で封止される。
【0029】
電子部品30は、SAW素子20の駆動制御するものであって、たとえばICチップ31とインダクタ32を有している。電子部品30は、第2中空部13aに収容されていて、基板11の他面側11bにたとえばフリップチップ実装されている。また、電子部品30は、基板11に形成されたビアホール11cを介して配線40と電気的に接続されていて、SAW素子20と電子部品30は、電気的に接続された状態になっている。また、図1において、電子部品30は、第2中空部13aに充填された封止材80により封止された状態になっている。
【0030】
ここで、基板11の一面側11a及び他面側11bには、それぞれたとえばセラミック等からなる第1枠体12と第2枠体13が取り付けられている。第1枠体12は、SAW素子20を収容する空間である第1中空部12aを有している。この第1中空部12aは、第1枠体12が基板11に取り付けられたとき、SAW素子20を実装する素子実装領域10Aを形成している。
一方、第2枠体13は、他面側11bに電子部品30を実装するための空間である第2中空部13aを有している。この第2中空部13aは、第2枠体13が基板11に取り付けられたとき、電子部品30を実装する部品実装領域10Bを形成している。
【0031】
また、第2枠体13には配線40と電気的に接続された外部端子70が設けられている。この外部端子70によってSAWデバイス10は、フレキシブル配線板等の実装基板と電気的に接続されるようになる。このように、外部端子70を基板11の他面側11bに設けることにより、後述する周波数調整工程において、SAW素子20にプラズマが照射されたときに、外部端子70と接続されるフィクスチャー262によって、電子部品30がプラズマから保護されるようになる。
【0032】
ここで、素子実装領域10Aと部品実装領域10Bは、互いに異なる領域に形成されている。すなわち、SAW素子20と電子部品30は、基板11の異なる面であって別々の空間である第1中空部12a及び第2中空部13aにそれぞれに実装されており、さらに、基板11の平面上においても異なる領域に実装された状態になっている。このように、SAW素子20と電子部品30を別々の空間に実装することで、SAW素子20と電子部品30における高周波結合を防止することができる。そして、電子部品30が動作したときに発生する熱及び電磁波がSAW素子20に及ぼす影響を低減することができるようになる。従って、SAWデバイス10の信頼性を向上させることができとともに、SAW素子20と電子部品30の距離を広げる必要がなくなり、SAWデバイス10の小型化を図ることができる。
また、SAW素子20を一面側11aに実装し、電子部品30を他面側11bに実装することで、後述する周波数調整工程において、電子部品30へのダメージを防止し、歩留まりの向上を図ることができる。
【0033】
さらに、SAW素子20と電子部品30をそれぞれ基板11の平面上における異なる領域に実装することにより、電子部品30からの熱が基板11を介してSAW素子20に伝達するのを低減することができるとともに、電子部品30から発生する電磁波によるSAW素子20の影響を低減することができるようになる。特に、基板11の他面側11bに形成されたグランド電極50によって電子部品30から発生する電磁波がシールドされ、SAW素子20の電磁波による周波数特性の変化を低減することができるようになる。
【0034】
図2は、本発明のSAWデバイスの製造方法の好ましい実施の形態を示す図であり、図2を参照してSAWデバイスの製造方法について説明する。
最初に、図2(A)において、たとえばセラミック等からなる板状の基板11に所定のパターンが形成される。具体的には、たとえばフォトリソグラフィー技術等により、基板11の一面側11aには、配線40が形成され、他面側11bにはグランド電極50が形成される。
【0035】
次に、図2(B)に示すように、基板11の一面側11aに第1枠体12が接着剤等により実装され、他面側11bに第2枠体13が接着剤等により実装される。このとき、素子実装領域10Aを形成する第1中空部12aと、部品実装領域10Bを形成する第2中空部13aが、異なる領域に形成されるように、第1枠体12及び第2枠体13が基板11に取り付けられる。
【0036】
その後、図2(C)に示すように、SAW素子20及び電子部品30が、それぞれ第1中空部12a内及び第2中空部13a内に実装される。このとき、SAW素子20は、たとえばワイヤボンディング等により配線40と電気的に接続される。また、電子部品30は、基板11に形成されたビアホール11cに対してフリップチップ実装される。ここで、電子部品30が、封止材80によって封止されるようにしても良い。
次に、図2(D)に示すように、SAW素子20に向かってプラズマが照射され、周波数調整が行われる。
そして、第1中空部12aの上にリッド60が配置され、SAW素子20がたとえば窒素によりシーム封止又はAu/SM共晶で封止される。これにより、SAWデバイス10が完成する。
【0037】
ここで、図2(D)に示すようなプラズマ照射による周波数調整は、図3と図4に示すような周波数調整装置200により行われる。
図3の周波数調整装置200の真空チャンバー201には、メカニカルブースターポンプ202を介してロータリポンプ203が接続されていて、たとえば0.03Pa〜0.06Pa程度の真空度に真空排出されるようになっている。真空チャンバー201内には搬送手段230が設けられており、搬送手段230は矢印Aの方向に沿って、リッド60による封止前のSAWデバイス10を1つずつ搬送するようになっている。また、搬送手段230は、SAWデバイス10を搭載し、もしくは取り除くため、双方向にSAWデバイス10を搬送するようになっている。
【0038】
周波数調整源240は、たとえばその先端部が真空チャンバー201内に収容されている。周波数調整源240にはバルブ242を介してガスボンベ243が接続されており、このガスボンベ243には不活性ガスであるたとえばアルゴンガス(Arガス)が収容されている。一方、真空チャンバー201はバルブ224を介してガスボンベ225と接続されていて、ガスボンベ225にはCF4 ガスが収容されている。そして、真空チャンバー201内のCF4 ガスとガスボンベ243から送られるアルゴンガスの混合ガスをプラズマ放電によりイオン化する。そして、周波数調整源240は、このイオン化された粒子をSAW素子20に照射することで圧電基板をエッチングし、周波数の調整を行う。ここで、SAW素子20は、圧電基板をエッチングすると周波数が下がることが知られている。
【0039】
周波数調整源240と搬送手段230の間にはシャッター252が配置されており、シャッター252はシャッター駆動機構251により開閉可能に設けられている。シャッター252の動作制御は、外部演算装置260によってシャッター駆動機構251を制御することにより行われる。
フィクスチャー262は、搬送手段230の下側であって図4に示すように矢印Z方向に移動可能に配置されている。このフィクスチャー262は、SAWデバイス10に形成された外部端子70に接触可能な針262aを有している。そして、フィクスチャー262が図4に示すように矢印Z1方向に移動することによって、針262aが外部端子70と接触可能になる。
【0040】
このとき、SAWデバイス10において、外部端子70が第2枠体13側に形成されているため、SAW素子20と周波数調整源240が対向し、電子部品30は、フィクスチャー262によってシールドされることになる。従って、電子部品30がプラズマに晒されることがなくなり、電子部品30の不具合の発生を防止し、歩留まりの低下を低減することができる。
【0041】
フィクスチャー262には、SAW素子20に対して駆動電源を供給するものであって、送られた電気出力の周波数を検出するネットワークアナライザ261が接続されている。駆動電源がネットワークアナライザ261から針262aを介してSAW素子20に供給されると、共振現象により所定の周波数の電気出力がフィクスチャー262を介してネットワークアナライザ261に送られる。そして、ネットワークアナライザ261が電気出力の周波数を検出する。
ネットワークアナライザ261には外部演算装置260が接続されている。外部演算装置260は予め調整目標の周波数データを有しており、ネットワークアナライザ261から送られる検出周波数と比較する機能を有している。また、外部演算装置260は、比較された結果に基づいて、搬送手段230、シャッター252等の動作を制御する機能を有している。
【0042】
次に、図3と図4を参照して周波数調整方法の一例について説明する。
まず、図3のメカニカルブースターポンプ202及びロータリーポンプ203が作動することにより、真空チャンバー201内が真空引きされる。その後、バルブ224が開かれ、真空チャンバー201内にCF4 ガスが供給される。
一方、搬送手段230には複数のSAWデバイス10が配置されており、周波数調整をすべきSAWデバイス10が周波数調整源240の下側に位置決めされる。そして、外部演算部260及びシャッター駆動機構251を介してシャッター252が開かれる。この状態で、周波数調整源240が交流電源241により作動すると、アルゴンガスとCF4 ガスの混合ガスがプラズマ放電によりイオン化され、イオン化された混合ガスがSAWデバイス10に照射される。すると、圧電基板及びすだれ状電極が所定のエッチング速度でエッチングされる。
【0043】
周波数調整源240によるエッチングが行われているとき、針262aからSAWデバイス10に駆動電源が供給される。そして、SAW素子20からの電気出力がネットワークアナライザ261を介して外部演算装置260に送られる。外部演算装置260において、送られたSAWデバイス10の周波数と設定周波数が比較され、SAWデバイス10が所望の周波数になるまで、周波数調整源240によるプラズマエッチングが行われる。その後、SAWデバイス10が所定の周波数になると、シャッター252が閉じて周波数調整が終了する。そして、搬送手段230が作動して、次のSAWデバイス10の周波数調整が行われる。
【0044】
この周波数調整を行う工程において、基板11の一面側11aにはSAW素子20のみが実装されていて、電子部品30は実装されていないため、電子部品30にプラズマが照射されることがなくなる。従って、電子部品30のプラズマによる動作不良等の不具合の発生を回避し、歩留まりを向上させることができる。また、外部端子70を基板11の他面側11bに設けることにより、SAW素子20にプラズマが照射されたときに、外部端子70と接続されるフィクスチャー262によって、電子部品30がプラズマから保護されるようになる。
【0045】
図5は本発明のSAWデバイスの別の実施の形態を示す構成図であり、図5を参照してSAWデバイス300について説明する。なお、図5のSAWデバイス300において、図1のSAWデバイス10と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。
図5のSAWデバイス300において、基板311は、素子基板312と部品基板313を有している。素子基板312と部品基板313は、それぞれ素子実装領域10Aと部品実装領域10Bを形成している。これら素子基板312と部品基板313は、図5において、各基板面の位置が縦方向にずれるように異なる位置に配置されている。
具体的には、この素子基板312と部品基板313は、それぞれ所定の長さHを有する中継基板314をスペーサとして、図5に示すように、長さH分だけずれた位置に配置することができる。しかもこの素子基板312と部品基板313は、中継基板314によって機械的に接続されている。これにより、基板311は、全体として高さHの段差を有した構造になっている。
【0046】
素子基板312の一面側312aには第1枠体321が取り付けられていて、素子基板312、中継基板314及び第1枠体321で第1中空部12aが形成されている。そして、この第1中空部12aにSAW素子20が実装されることになる。一方、部品基板313の他面側313bには第2枠体322が接続されていて、部品基板313、中継基板314及び第2枠体322によって第2中空部13aが形成されている。そして、この第2中空部13aに電子部品30が実装されることになる。
このように、中継基板314を用いて第1中空部12aと第2中空部13aを形成することにより、第1中空部12aと第2中空部13aをそれぞれ別々に形成するよりも、薄くすることができるようになる。すなわち、SAW素子20の厚さ方向と、電子部品30の厚さ方向とが重なり合うように実装することで、SAWデバイス300の厚さを薄くすることができる。これにより、SAWデバイス300はその分小型に形成することができる。
【0047】
ここで、第1中空部12aのSAW素子20は、リッド60によってシーム封止もしくはAu/Sn共晶により封止されるようになっている。また、素子基板312の一面側312aには、素子配線350が形成されていて、SAW素子20は、素子配線350とたとえばワイヤボンディング等により電気的に接続されている。一方、部品基板313の他面側313bには、部品配線360が形成されていて、電子部品30は、部品配線360と電気的に接続されている。
そして、素子配線350と部品配線360は、中継基板314内に設けられた中継配線370とそれぞれ電気的に接続されていて、SAW素子20と電子部品30が電気的に接続された状態になっている。
【0048】
また、素子基板312の他面側312bには素子配線350と電気的に接続された外部端子70が設けられている。一方、第2枠体322には部品配線360と電気的に接続された外部端子70が設けられている。すなわち、外部端子70は、基板311の他面側312b、313bに設けられた状態になっている。従って、SAWデバイス300は、外部端子70を介して実装基板に実装されるとともに、図4に示すような周波数調整装置200で周波数調整を行うとき、フィクスチャー262が外部端子70と接続するようになる。よって、SAW素子20にプラズマが照射されているときには、電子部品30はフィクスチャー262によって保護された状態になり、プラズマによる電子部品30の不具合の発生を防止することができるようになる。
【0049】
上記実施の形態によれば、基板11においてSAW素子20と電子部品を異なる領域に実装することで、電子部品から発生する熱及び電磁波がSAW素子20に影響を及ぼすのを低減することができる。また、SAW素子20の周波数調整を行うとき、SAW素子20に照射されるプラズマが、電子部品30に照射されることがなくなる。従って、プラズマによる電子部品30の不具合の発生を防止することができるようになる。
また、第2中空部13aに封止材を充填することで、電子部品30が気密封止されることで、周波数調整工程でのプラズマによる電子部品30での不具合の発生を確実に防止することができるようになる。
【0050】
さらに、基板11にグランド電極50を形成することで、電子部品30から発生する電磁波をシールドし、電磁波によるSAW素子20の特性変化を低減させることができるようになる。また中継配線370も電磁波をシールドすることができる。
また、基板11をSAW素子20を実装する素子基板311と、電子部品30を実装する部品基板312に分けて形成するとともに、所定の高さを有する中継基板313によって素子基板311と部品基板312を機械的及び電気的に接続することで、弾性表面波装置の厚さを薄くすることができる。
【0051】
なお、本発明の実施の形態は、上記実施の形態に限定されない。
たとえば、図1において、基板11の一面側11aに配線40が形成されていて、他面側11bにグランド電極50が形成されているが、一面側11aにグランド電極50を形成し、他面側11bに配線40を形成するようにしても良い。このとき、SAW素子20は、配線40とビアホール11cを介して電気的に接続されるようになる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、信頼性及び歩留まりの向上を図ることができる弾性表面波装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の弾性表面波装置の好ましい実施の形態を示す構成図。
【図2】本発明の弾性表面波装置の製造方法の好ましい実施の形態を示す工程図。
【図3】本発明の弾性表面波装置の製造方法における周波数調整装置の一例を示す図。
【図4】本発明の弾性表面波装置の製造方法における周波数調整装置の一例を示す図。
【図5】本発明の弾性表面波装置の第2の実施の形態を示す構成図。
【図6】弾性表面波素子の一例を示す構成図。
【図7】従来の弾性表面波装置の一例を示す構成図。
【図8】従来の弾性表面波装置の製造方法の一例を示す工程図。
【符号の説明】
10、300・・・SAWデバイス(弾性表面波装置)
11、311・・・基板
11a・・・一面側
11b・・・他面側
11c・・・ビアホール
12・・・第1枠体
12a・・・第1中空部
13・・・第2枠体
13a・・・第2中空部
20・・・SAW素子(弾性表面波素子)
30・・・電子部品
40・・・配線
50・・・グランド電極
60・・・リッド
70・・・外部端子
80・・・封止材
311・・・基板
312・・・素子基板
313・・・部品基板
314・・・中継基板

Claims (1)

  1. 弾性表面波素子を実装する素子基板と、前記素子基板とは異なる平面に配置されると共に電子部品を実装する部品基板と、前記素子基板と前記部品基板とを機械的及び電気的に接続する中継基板とからなる基板を有し、
    前記素子基板及び前記部品基板は、前記弾性表面波素子が実装される領域と前記電子部品が実装される領域とが前記素子基板の法線方向及び前記部品基板の法線方向で重ならないように配置されると共に、前記弾性表面波素子は前記基板の一面側に配置され、前記電子部品は前記基板の他面側に配置されてなることを特徴とする弾性表面波装置。
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