JP3915178B2 - 放電灯点灯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チョッパ回路の出力をインバータ回路にて高周波に変換し、放電灯を点灯制御する放電灯点灯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来の放電灯点灯装置の回路構成を図9に示す。この従来例の放電灯点灯装置は、直流電圧を高周波電圧に変換するインバータ回路1の出力を放電灯LAに印加して、放電灯LAを高周波点灯するものである。上記直流電圧は、交流電源ACをダイオードブリッジからなる整流回路2で整流し、この整流出力を昇圧型のチョッパ回路3で昇圧して得るものである。チョッパ回路3は、スイッチング素子Q1、チョークコイルL1、ダイオードD1、コンデンサC3及び制御回路4で構成され、制御回路4によってスイッチング素子Q1を高周波でスイッチングして整流回路2の出力をチョッピングし、スイッチング素子Q1のオンのときにチョークコイルL1に蓄積されたエネルギーをスイッチング素子Q1のオフのときにダイオードD1を介して放出すると共に、ダイオードD1を介して出力されるチョッピング電圧をコンデンサC3で平滑するものである。なお、制御回路4には主としてアクティブフィルター制御用ICが用いられる。
【0003】
この放電灯点灯装置では、インバータ回路1として他励式のハーフブリッジ構成のものを用い、チョッパ回路3の出力に直列に接続された主スイッチング素子Q2、Q3、これら主スイッチング素子Q2、Q3を駆動する為の駆動回路5、主スイッチング素子Q2、Q3を交互にオンオフ制御する為の制御回路6で構成してある。なお、主スイッチング素子Q2、Q3には、主スイッチング素子Q2、Q3の夫々両端に還流用のダイオードD2、D3が逆並列に接続されている。このインバータ回路1の出力には、チョークコイルL2とコンデンサC2からなる共振回路7が接続してあり、この共振回路7をインバータ回路1で励振してその電圧で放電灯LAを始動点灯するようになっている。また、コンデンサC1は直流カット用のコンデンサであると共に、主スイッチング素子Q2のオン時に充電された電荷が主スイッチング素子Q3のオン時の電源として用いられるものである。制御回路6からはパルス信号からなるインバータ駆動信号が駆動回路5に与えられ、駆動回路5ではインバータ駆動信号信号のオンデューティに対応した駆動信号を一方の主スイッチング素子に、オフデューティに対応した駆動信号を他方の主スイッチング素子に与えて交互にオン、オフさせて、インバータ回路1を発振動作させるようになっており、周波数、或いはデューティ比を制御することにより共振回路7の出力電圧(以下2次電圧と称する)を制御するようになっている。
【0004】
共振回路7はインバータ回路1が発振すると発振周波数に共振して放電灯LAの両端に2次電圧を印加し、放電灯LAを点灯する。以後、制御回路6によって主スイッチング素子Q2、Q3のオンオフ制御を所定の周期で行なうことにより放電灯LAの点灯を維持する。また放電灯LAが寿命末期状態(以下エミレス状態と呼ぶ)となり、放電灯LAの両端に過大な2次電圧が印加され、回路部品に電気的あるいは温度的ストレスが生じるのを回避するためのエミレス検出回路8を共振回路7に付加しており、エミレス検出回路8は放電灯LAに印加される2次電圧を検出することにより放電灯LAのエミレス状態を検出し、エミレス状態が検出された場合、制御回路6にて回路部品の電気的或いは温度的ストレスを低減するように主スイッチング素子Q2,Q3のスイッチングを制御する。
【0005】
従来の放電灯点灯装置の放電灯LAの点灯始動制御を図10及び図11にて説明する。図10は共振回路7における発振周波数と、放電灯LAに印加される2次電圧の関係を示し、図11に共振回路7の等価回路を示す。放電灯LAが点灯するまでの共振カーブは共振カーブ(i)となり、放電灯点灯後の共振カーブは共振カーブ(ii)へ移行する。共振カーブ( i )は主にチョークコイルL2と、コンデンサC2により決定される共振周波数f0を持ち、共振カーブ(ii)は主にチョークコイルL2と、コンデンサC2と、放電灯インピーダンスR1により決定される共振周波数を持つ。従来の制御回路6による放電灯LAの点灯制御では、まず初めに発振周波数を共振周波数より高くなるように設定し、放電灯LAが点灯しない程度の2次電圧を印加することにより放電灯LAのフィラメントに充分な予熱を与え、後に発振周波数を共振周波数に近付けるように移行して放電灯LAを確実に点灯させ、後に希望の放電灯出力が得られる発振周波数へと移行させる制御を行っている。以下、放電灯LAを確実に点灯させるために固定する発振周波数を始動周波数と称する。尚図11中Raはランプ抵抗、Rb,Rcはフィラメント抵抗を示す。
【0006】
ここで、実際の放電灯LAが装着されている状態での共振カーブは、放電灯LAが点灯状態でない場合(発振周波数が高いとき)においても、放電灯LAには若干の放電現象が生じるため、放電灯LAのインピーダンスR1は無限大なインピーダンスではない。このことはエミレス状態における放電灯インピーダンスR1にも言えることで、放電灯LAのインピーダンスは無限大とはならない。つまり、放電灯LAが装着されている状態での共振カーブは共振周波数f0’より低い共振周波数f0を持つ共振カーブ(i)となる。この場合、放電灯LAの始動電圧Vs以上の2次電圧V1が印加されるには始動周波数をf1としなければならない。つまり、放電灯LAを確実に点灯始動させるには放電灯LAのインピーダンスR1を考慮した始動周波数の設定が必要となり、始動周波数f1はf1’よりも低く設定する必要がある。しかしながら、放電灯LAの破損等の放電経路が絶たれた状態においては、放電灯インピーダンスR1が完全に無限大となる場合も存在する。この場合共振カーブは(i) ’となるため、始動周波数f1における2次電圧はV1’となり、必要以上の過大な電圧が印加されるため、回路部品の電気的及び温度的ストレスが増大する。この2次電圧V1とV1’の差は始動周波数が共振周波数に近いほど大きくなるため、共振周波数に近い周波数にて点灯始動を行う構成においては大きな問題となる。またチョークコイルL2に流れる電流もそれに伴い増加するため、チョークコイルL2の飽和とともに共振カーブは( ii )”へと移行して行く。そのため、更なる回路部品の電気的及び温度的ストレスが増大し、更に発振周波数f1よりも共振周波数f0”が高くなり進相領域でのスイッチング動作による過大なストレスが発生し、スイッチング素子の破壊となる恐れがある。これらの問題を回避するには
(1)始動周波数f1を高めに設定
(2)チョッパ回路3の出力電圧Vdcを上げる。
(3)チョークコイルL2の大型化
が考えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、(1)の方法においては、放電灯LAの始動に必要な2次電圧が得られない恐れがある。
【0008】
(2)の方法においては、チョッパ回路3の出力電圧Vdcを上げることにより共振作用による高電圧生成を補うことができるため、始動周波数f1を高く設定することができるが、チョッパ回路3及びインバータ回路1の部品耐圧を上げねばならずコストアップとなる。
【0009】
(3)の方法においては、チョークコイルL2の飽和を防ぐために形状が大型化してしまい、コストアップ及び実装スペースのアップとなる。
【0010】
また、図12に示すように2次電圧がV3のように異常上昇した場合の検出にはエミレス検出回路8を用いているが、誤検出防止のため、例えば予熱モードM1の期間と、予熱から始動へのスイープM2と、始動モードM3とを含む一定期間をエミレス検出禁止期間T1としているため、上記のような問題を解決するには別の検出回路及び制御回路が必要となる。そして2次電圧がV2のようにしきい値電圧Va以上であれば保護モードM4’へ移行して2次電圧を低減させた保護時出力(ii)とし、2次電圧がV1のようにしきい値電圧Va以下であれば所定の点灯時出力(i)とする所定の点灯モードM4へと移行する動作となる。
【0011】
本発明は上述のような点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、使用素子数が少なく、制御も簡単でありながら、インバータ回路の出力2次電圧を所定電圧以上に上昇させず、電気的、温度的に回路部品にストレスを与えることが無い放電灯点灯装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明では、交流電源に接続される整流回路の出力電圧をスイッチング素子のオンオフによってチョッピングすると共に、このチョッピング電圧を整流平滑し所定の直流電圧に変換するチョッパ回路と、該チョッパ回路の直流電圧をスイッチング素子のオンオフによって高周波電圧に変換して放電灯に高周波電力を供給する共振回路を有するインバータ回路と、電源投入から一定期間経過後にインバータ回路の共振回路の出力電圧が一定電圧以上になるとインバータ回路の共振回路の出力電圧を正常点灯時の出力電圧より低い電圧に制御する保護手段とを備えた放電灯点灯装置において、上記一定期間内において上記インバータ回路に設けた共振回路の出力電圧が上記一定電圧よりも高い所定のしきい値電圧を越えると、この越えた時点から上記インバータ回路の共振回路の出力電圧が上記のしきい値電圧を超えないように上記チョッパ回路の出力を制御する制御手段を備え、
該制御手段は、上記インバータ回路の上記共振回路の出力電圧が上記しきい値電圧を越えたときに、上記共振回路の出力電圧を上記しきい値電圧以下で下限が正常点灯時の出力電圧より大きな所定範囲内に保持させ、上記一定期間の経過時点で上記出力電圧が上記所定範囲内に保持されていると、該出力電圧を正常点灯時の出力電圧より低い電圧に制御することを特徴とする。
【0016】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記制御手段は上記チョッパ回路のスイッチング動作と上記インバータ回路のスイッチング動作を同一周波数にて連動制御することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施形態により説明する。
(基本形態1)
図1は基本形態の回路構成を示しており、図示する本基本形態の放電灯点灯装置は、図9に示す従来例の放電灯点灯装置と基本的には同じ構成となっており、エミレス検出回路8から出力される検出信号が制御回路6と制御回路4に印加される構成となっている。また、制御回路4の入力にはチョッパ回路3の出力をモニターするためのVdc検出回路9が接続され、また上記検出信号がツェナーダイオードZD1を介して接続されている。
【0020】
制御回路4はミラー回路10、コンパレータCP1、RS型のフリップフロップFF、ドライバ回路12等によりPWM制御回路を構成しており、図2に示すようにチョッパ回路3の出力に抵抗R1,R2を介して、ミラー回路10のトランジスタQ4と抵抗R3との直列回路を接続し、ミラー回路10のトランジスタQ5と抵抗R4の直列回路に電源Vccに接続された定電流源11を直列に接続するとともに、コンデンサC5及びトランジスタQ6を夫々並列接続している。
【0021】
コンパレータCP1はコンデンサC5の両端電圧を非反転端子に接続し、コンパレータCP1の反転端子に接続した基準電圧Vref 1と比較するようになっており、その出力をフリップフロップFFのセット端子Sに接続するとともに、トランジスタQ6のベースに接続している。
【0022】
フリップフロップFF1のリセット端子Rには発振器(図示せず)から所定幅の所定周波数のパルス信号Pが入力され、Q出力によりドライバ回路12を介してスイッチング素子Q1へ駆動信号を与えるようになっている。
【0023】
制御回路4は次のように動作する。Vdc検出回路9から得られる電流値が大きくなると、ミラー回路10によりコンデンサC5に定電流源11から流れる充電電流が少なくなり、そのためコンデンサC5の充電電圧の上昇が遅くなり、基準電圧Vref 1以上となるタイミングが遅れることになる。そしてコンパレータCP1の出力が”H”となると、フリップフロップFF1をセットするとともにトランジスタQ6をオンしてコンデンサC5の電荷をトランジスタQ6により放電させる。フリップフロップFF1は上記パルス信号Pでリセットされるまでの期間、Q出力を”H”とする。つまりQ出力の”H”期間の幅はコンデンサC5の電圧がコンパレータCP1の基準電圧Vref 1以上となるタイミングにより決定され、上記のように充電電圧の上昇が遅くなる場合には幅は狭くなり、結果Q出力がドライバ回路12を通じてベースに印加されて駆動されるチョッパ回路3のスイッチング素子Q1のオンデューティの幅が狭くなってチョッパ回路3の出力電圧Vdcは低下することになる。出力電圧Vdcが低下すると、Vdc検出回路9から得られる電流値が小さくなる。従ってミラー回路10の働きによりコンデンサC5に定電流源11から流れる充電電流が大きくなる。従ってコンパレータCP1の出力が”H”となってフリップフロップFF1をセットし、上記パルス信号でリセットされるまでの期間、つまりQ出力の”H”となる期間の幅が広くなる。その結果Q出力がドライバ回路12を通じてベースに印加されて駆動されるチョッパ回路3のスイッチング素子Q1のオンデューティは広くなり、チョッパ回路3の出力電圧Vdcが上昇することになる。
【0024】
このようにしてチョッパ回路3の出力電圧Vdcは一定に制御されることになる。
【0025】
エミレス検出回路8の出力はツェナーダイオードZD1を介してVdc検出回路9の出力側に接続されており、エミレス検出回路8はエミレスにより放電灯LAに印加される2次電圧が上昇すると、その2次電圧を抵抗R5,R6で分圧した電圧で充電される出力側のコンデンサC4の両端電圧、つまり検出信号のレベルも上昇することになり、この検出信号のレベルがツェナーダイオードZD1のツェナー電圧以上となるとツェナーダイオードZD1に逆方向電流が流れ、ミラー回路10の働きによりコンデンサC5の充電電流はチョッパ回路3の出力電圧Vdcが上昇した場合と同様に少なくなる。コンデンサC5の充電電流が少なくなると、上述の同様にスイッチング素子Q1のオンデューティが小さくなり、チョッパ電圧Vdcを低下させるという動作となる。ここで、ツェナーダイオードZD1のツェナー電圧を放電灯LAの破壊等による2次電圧異常上昇時のエミレス検出電圧以下及び通常の放電灯(放電灯の破壊等がなく、2次電圧の異常上昇がない状態)でのエミレス検出電圧以上に設定することにより、放電灯LAの破壊等による2次電圧異常上昇時にはチョッパ電圧Vdcを低下させ、2次電圧の異常上昇を抑制することができる。
【0026】
このエミレス検出回路8の検出信号は制御回路6にも入力しており、制御回路6は内蔵したコンパレータ(図示せず)で検出信号のレベルと所定のしきい値電圧とを比較し、検出信号のレベルがしきい値電圧Va以上となったときにコンパレータの出力により制御回路6内のモード切り換え回路(図示せず)を制御して保護モードの動作に移行し、例えばインバータ回路1の発振周波数を高くするように駆動回路5へ出力するインバータ駆動信号の周波数を制御してインバータ回路1の出力を制限する動作を行う。
【0027】
図3にて以上の動作を説明する。図3(a)には各点灯モードにおける2次電圧の変化を示し、図3(b)には各点灯モードにおけるチョッパ電圧Vdcの変化を示す。まず電源を投入すると、制御回路6のモード切り換え回路(図示せず)はエミレス検出禁止期間T1を設定し、この期間T1において、通常の放電灯LAが接続されている状態(放電灯の破壊等がなく、2次電圧の異常上昇がない状態)では、予熱モードM1、予熱から始動へのスイープM2、始動モードM3、点灯モードM4へと動作モードを移行させる。この場合の正常点灯時及びエミレス時の2次電圧の推移は図3(a)のV1,V2に示すようになり、正常時は所定の点灯時出力(i)へ移行し、エミレス時は2次電圧がV2のようにしきい値電圧Va以上となるため、保護モードM4’に動作モードを設定し、保護時出力( ii )へと移行する。このとき、チョッパ回路3の出力電圧Vdcは図3(b)に示すように略ー定の値を保つ。放電灯LAの破壊等による2次電圧の異常上昇時には2次電圧は通常の放電灯の時に比べて高い2次電圧となる。ここで2次電圧がV3のようにしきい値電圧Vbを越えたときに、エミレス検出回路8の検出信号がツェナー電圧を越えてツェナーダイオードZD1に逆方向電流が流れるようにツェナー電圧を設定すれば、2次電圧がしきい値電圧Vb以上となるとチョッパ回路3の出力電圧VdcはVdc’に低下し、同時に2次電圧も低下する。2次電圧低下によりツェナーダイオードZD1に逆方向電流が流れなくなってチョッパ回路3の出力電圧Vdcは再度上昇するが、再度2次電圧がV3のようにしきい値電圧Vb以上となると、またチョッパ回路3の出力Vdcを低下させる。
【0028】
以下、この動作を繰り返し、エミレス検出禁止期間T1を過ぎると保護モードM4’の動作に制御回路6は移行し、2次電圧をエミレス時と同様に保護時出力( ii )に設定する。尚図3(b)中T2は負荷異常検出動作期間を示す。
【0029】
このように本基本形態では、放電灯LAの破壊等による2次電圧の異常上昇時にはチョッパ回路3の出力電圧VdcをVdc’に低減させ、インバータ回路1の2次電圧が所定値異常にならないように制御することにより、使用素子数が少なく、制御も簡単でありながら、2次電圧の異常上昇による回路部品の電気的あるいは温度的ストレスを低減することができる。
【0030】
本基本形態のエミレス検出回路8は電圧検出を行うものであるが、電流検出を行うものでも良い。尚電源Vccは整流回路2の出力を平滑して所定電圧とする等により得る。
【0044】
(基本形態2)
図4及び図5に本基本形態の回路構成を示す。本基本形態の放電灯点灯装置は、チョッパ回路3の制御回路4とインバータ回路1の制御回路6とを一つの制御部19として備えたもので、制御部19の構成は図5に示すように、基本形態1の制御回路4と略同じ構成の制御回路4’と、インバータ回路1の制御回路6’とを備えたものである。
【0045】
制御回路6’はモード切り換え回路16により制御される電流源18により充電されるコンデンサC7の電圧と、基準電圧Vref 2とを比較してコンデンサC7の電圧が基準電圧Vref 2を越えたときにフリップフロップFF2をセットするようになっているもので、フリップフロップFF2のリセット端子Rにはモード切り換え回路16’により制御される電流源20により充電されるコンデンサC8の電圧上昇に応じて発振周波数を変化させる発振器21の出力パルス信号Pが接続されている。
【0046】
つまり図6(a)に示すようにコンデンサC8の電圧が所定レベルに達するたびに図6(b)に示すようにパルス信号Pが出力されてフリップフロップFF2をリセットする。一方コンデンサC7の電圧が図6(c)に示すように基準電圧Vref 2以上となると、コンパレータCP2から”H”の出力が出てコンデンサC7の電荷を放出させるとともにフリップフロップFF2をセットし、Q出力を図6(d)に示すように”H”とする。従ってこの”H”期間はパルス信号Pでリセットされるまで継続することになる。そしてドライバ回路17を通じてインバータ回路1の駆動回路5へ出力されるインバータ駆動信号の周波数はパルス信号Pの発振周波数と同じ周波数となる。
【0047】
制御回路4’のフリップフロップFF1は上記コンパレータCP2の出力をリセット端子Rに入力しており、図6(e)に示すようにコンデンサC5の電圧が基準電圧Vref 1を越えてセットされ、フリップフロップFF2がセットされるのに同期してリセットされるようになっている。図6(f)はフリップフロップFF1のQ出力を示しており、このQ出力はフリップフロップFF2がセットされるのに同期しているため、そのドライバ回路12を通じてチョッパ回路3のスイッチング素子Q1を駆動する駆動信号の周波数はインバータ回路1の主スイッチング素子Q3、Q4を駆動する駆動信号の周波数と同じとなる。
【0048】
制御回路4’は基本形態1の制御回路4と基本的には全く同じ構成であるので、その動作についてはここでは説明を省略する。
【0049】
またエミレス検出時の保護モードの動作及びその他の動作モードについても上記基本形態1を参照し、ここでは説明は省略する。而して本基本形態は、チョッパ回路3のスイッチング素子Q1と、インバータ回路1の主スイッチング素子Q2、Q3を共通の発振器21を用いて同一周波数にて連動制御することができるもので、各スイッチング素子Q1〜Q3を同一の周波数にて駆動させているため、回路構成を簡略化でき、使用素子数も少ないのでコストの削減が可能となる。なお、本基本形態では基本形態1と同様に、放電灯LAの破壊等による2次電圧異常上昇時にはチョッパ回路3の出力電圧Vdcを低減させ2次電圧を所定値以上にならないように制御する構成となっている。
【0050】
このように本基本形態では、放電灯LAの破壊等による2次電圧を所定値以上にならないように制御し、かつ、チョッパ回路3とインバータ回路1の各スイッチング素子Q1〜Q3を同一周波数にて連動制御する構成なので、使用素子数が少なく、制御も簡単でありながら、2次電圧の異常上昇による回路部品の電気的あるいは温度的ストレスを低減することができる。
【0051】
(実施形態1)
図7は本実施形態の動作モードを示す。本実施形態においては放電灯LAの破壊等による2次電圧の異常上昇時には2次電圧を所定範囲内にて保持させ、一定期間以上その所定範囲内に2次電圧があれば、保護モードへと移行するようにしたものである。
【0052】
この図7に基づいて本実施形態の動作を説明する。放電灯LAの破壊等による2次電圧が異常上昇時に、その2次電圧が異常上昇を検出するために設定したしきい値電圧Vb以上になると基本形態1の制御回路4又は6にて2次電圧を低減させるが、本実施形態では2次電圧低減時のしきい値電圧Vcを設け、2次電圧がしきい値電圧Vc以下となると2次電圧を低減させる制御回路4又は6の動作を解除するようにする。
【0053】
またしきい値電圧Vcはエミレスを検出するためのしきい値電圧Vaよりも高く設定してある。こうすることにより、異常上昇時の2次電圧はしきい値電圧Vbからしきい値電圧Vcの間にて保持される。本実施形態の検出構成においては、保護モードM4’への移行制御を別構成のモード切り換え回路(図示せず)にて行い、エミレス検出回路(図示せず)からの検出信号によって2次電圧がしきい値電圧Va以上となった場合に保護モードM4’へと移行して保護時出力( ii )とする制御手段(図示せず)を用いている。
【0054】
しかしながら、放電灯LAの破壊等による2次電圧異常上昇時に2次電圧を低減させる場合、しきい値電圧Vaを下回ると保護モードM4’へ移行する制御が動作せず、点灯時出力(i)とする点灯モードM4の発振周波数に移行してしまう恐れがある。
【0055】
このとき発振周波数が共振周波数よりも低くなる制御が行われるとインバータ回路1の主スイッチング素子Q2,Q3に過大なストレスがかかり、スイッチング素子Q2,Q3の破壊等の問題がある。そこで、本実施形態のように異常上昇時の2次電圧を上述のようにしきい値電圧Vbからしきい値電圧Vcの間にて保持することにより保護モードM4’への切り換えを確実に行うことができる。
【0056】
尚図7中M1は予熱モード、M2は予熱から始動へのスイープ、M3は始動モードを夫々示し、V1は正常時の2次電圧を、V2はエミレス時の2次電圧を夫々示す。
【0057】
またT1はエミレス検出検出期間を示す。本実施形態を実現するための回路としては、基本形態1或いは2の制御回路4、6或いは制御部19を用いて上述の条件で動作するように回路を設定して実現する。
【0058】
(参照形態)
図14は本参照形態の動作モードを示す。本参照形態においては放電灯LAの破壊等による2次電圧が異常上昇して所定の2次電圧以上となった時にエミレス検出禁止期間T1を解除し、即座に保護モードへと移行させるようにしたものである。
【0059】
以下本参照形態の動作を図14に基づいて説明する。本来のエミレス検出動作においては、誤検出を防止するため一定期間検出動作を禁止するエミレス検出期間T1が設けられているが、放電灯LAの破壊等による2次電圧の異常上昇時に2次電圧がV3のようにしきい値電圧Vb以上となると、エミレス検出禁止期間T1の設定を解除し、即座に保護モードM4へと移行させる。こうすることにより、放電灯LAの破壊等による2次電圧異常上昇時の回路部品の電気的あるいは温度的ストレスを低減することができる。
【0060】
尚図8中M1は予熱モード、M2は予熱から始動へのスイープ、M3は始動モード、M4は点灯モードを夫々示し、V1は正常時の2次電圧を、V2はエミレス時の2次電圧を夫々示す。また(i)は点灯時出力を、(ii)は保護時出力を示す。更にVaはエミレス時の2次電圧の検出のためのしきい値電圧Vaを示す。T1’はエミレス検出禁止解除されるまでのエミレス検出期間を示す。
【0061】
本参照形態を実現するための回路としては、基本形態1、2及び実施形態1の制御回路4,6或いは制御部19を用いて上述の条件で動作するように回路を設定して実現する。
【0062】
【発明の効果】
請求項1の発明は、交流電源に接続される整流回路の出力電圧をスイッチング素子のオンオフによってチョッピングすると共に、このチョッピング電圧を整流平滑し所定の直流電圧に変換するチョッパ回路と、該チョッパ回路の直流電圧をスイッチング素子のオンオフによって高周波電圧に変換して放電灯に高周波電力を供給する共振回路を有するインバータ回路と、電源投入から一定期間経過後にインバータ回路の共振回路の出力電圧が一定電圧以上になるとインバータ回路の共振回路の出力電圧を正常点灯時の出力電圧より低い電圧に制御する保護手段とを備えた放電灯点灯装置において、上記一定期間内において上記インバータ回路に設けた共振回路の出力電圧が上記一定電圧よりも高い所定のしきい値電圧を越えると、この越えた時点から上記インバータ回路の共振回路の出力電圧が上記のしきい値電圧を超えないように上記チョッパ回路の出力を制御する制御手段を備えているので、2次電圧の異常上昇による回路部品の電気的或いは温度的なストレスを低減することができるという効果がある。
また上記制御手段は、インバータ回路の共振回路の出力電圧が上記しきい値電圧を越えたときに、上記共振回路の出力電圧を上記しきい値電圧以下で下限が正常点灯時の出力電圧より大きな所定範囲内に保持させ、上記一定期間の経過時点で上記出力電圧が上記所定範囲内に保持されていると、該出力電圧を正常点灯時の出力電圧より低い電圧に制御するので、使用素子数が少なく、制御も簡単でありながら、2次電圧の異常上昇による回路部品の電気的或いは温度的なストレスを低減することができるという効果がある。
【0066】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、上記制御手段が上記チョッパ回路のスイッチング動作と上記インバータ回路のスイッチング動作を同一周波数にて連動制御するので、使用素子数が少なく、制御も簡単でありながら、2次電圧の異常上昇による回路部品の電気的或いは温度的なストレスを低減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本形態1の回路構成図である。
【図2】同上の制御回路4の具体回路図である。
【図3】同上の動作説明用タイミングチャート図である。
【図4】本発明の基本形態2の回路構成図である。
【図5】同上の制御部19の具体回路図である。
【図6】同上の制御部19の動作説明用タイミングチャートである。
【図7】本発明の実施形態1の動作説明用タイミングチャートである。
【図8】本発明の参照形態の動作説明用タイミングチャートである。
【図9】従来例の回路構成図である。
【図10】同上のインバータ回路の発振周波数と2次電圧の関係説明図である。
【図11】放電灯の等価回路図である。
【図12】従来例の動作説明用タイミングチャートである。
【符号の説明】
1インバータ回路
2整流回路
3チョッパ回路
4制御回路
5駆動回路
6制御回路
7共振回路
8エミレス検出回路
9Vdc検出回路
ZD1 ツェナーダイオード
LA 放電灯
C1,C2 コンデンサ
L1,L2 チョークコイル
Q1 スイッチング素子
Q2,Q3 主スイッチング素子
AC交流電源
D1〜D3ダイオード
Claims (2)
- 交流電源に接続される整流回路の出力電圧をスイッチング素子のオンオフによってチョッピングすると共に、このチョッピング電圧を整流平滑し所定の直流電圧に変換するチョッパ回路と、該チョッパ回路の直流電圧をスイッチング素子のオンオフによって高周波電圧に変換して放電灯に高周波電力を供給する共振回路を有するインバータ回路と、電源投入から一定期間経過後にインバータ回路の共振回路の出力電圧が一定電圧以上になるとインバータ回路の共振回路の出力電圧を正常点灯時の出力電圧より低い電圧に制御する保護手段とを備えた放電灯点灯装置において、上記一定期間内において上記インバータ回路に設けた共振回路の出力電圧が上記一定電圧よりも高い所定のしきい値電圧を越えると、この越えた時点から上記インバータ回路の共振回路の出力電圧が上記のしきい値電圧を超えないように上記チョッパ回路の出力を制御する制御手段を備え、
該制御手段は、上記インバータ回路の上記共振回路の出力電圧が上記しきい値電圧を越えたときに、上記共振回路の出力電圧を上記しきい値電圧以下で下限が正常点灯時の出力電圧より大きな所定範囲内に保持させ、上記一定期間の経過時点で上記出力電圧が上記所定範囲内に保持されていると、該出力電圧を正常点灯時の出力電圧より低い電圧に制御することを特徴とする放電灯点灯装置。 - 上記制御手段は上記チョッパ回路のスイッチング動作と上記インバータ回路のスイッチング動作を同一周波数にて連動制御することを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
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