JP3912647B2 - ウエブ巻取方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウエブ巻取方法に関し、特に写真用として用いられる帯状高分子フィルムを円筒コアに巻き取るウエブ巻取方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にウエブ巻き取りには円筒状のコアが使用される。すなわち、ウエブ先端をテープや接着剤等でコアに固定し、コアを回転させることにより、ウエブを巻き重ねて大きなロールとしている。
【0003】
しかし、このようにウエブを巻き取ると、ウエブ先端(切り口)に重なる位置に、いわゆる「切り口写り」や「巻芯写り」、「テープ写り」と呼ばれる段差が2巻目以降のウエブ面に表れる。この切り口写り等は、ウエブ種類や巻き取り条件にもよるが、巻き付け箇所から100巻目以上のところまで発生する場合もある。そして、この切り口写り等は、平滑な平面性を要求されるウエブ、特に写真用として用いられる帯状高分子フィルムに対しては故障となり、大きなロスを生む結果となる。
【0004】
このため、切り口写り等を低減する方法が種々提案されている。たとえば、切り口写り等は、バルクの半径方向にかかる面圧が起因して発生するので、その面圧を低減するために切り口部をバルクの下面になるように維持して切り口写り等を低減する方法や、ウエブを厚みに対して斜め方向に切断し、切り口部をスロープ状にすることによって切り口写り等を低減する方法がある。また、ナーリングの付いている耳部に面圧を集中させることにより、ウエブ中央には切り口写り等が生じないようにした段付きコアや、コアに弾性体を使用し、ウエブ切り口を弾性体側に沈み込ませることによって切り口写り等を低減するコアもある。さらには面圧の高いナーリング部がコアに沈み込まないように、中央部のみを弾性体とし、両端を剛体とするコアなどが提案されている。
【0005】
このうち、特開平8−244035号公報は、ナーリング厚みをコア側で高く、巻き外側で低くするという方法で切り口写り等や巻芯写りを低減している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらナーリング厚みを厚くしようとすると、穴あきなどの故障が発生するため、付与できるナーリングの高さには限界がある。このため、ナーリングによって集中させることのできる面圧にも限界があり、必ずしも切り口写り等のの低減に結び付かないことがある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、簡単に切り口写りや巻芯写り、テープ写りなどを低減することができるウエブ巻取方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、高分子フィルムからなるウエブの両縁部の所定区間にテープを貼り付け、該ウエブをコアに巻き取るウエブ巻取方法であって、
前記所定区間を前記コアに巻き取るウエブの巻き取り全長の0.01〜5%とするとともに、前記テープの厚みを前記ウエブの厚みに対して0.1〜10倍相当とし、かつ、前記テープの前記ウエブに対する摩擦係数を0.1〜0.6、巻きの半径方向のテープ厚み総和を0.27〜1.35mmとすることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、両縁部の所定区間にテープを貼り付けたウエブをコアに巻き取ることにより、巻き取ったバルクの面圧をウエブの両縁部に集中させることができる。これにより、コアの巻き付け部に発生する切り口写りや巻芯写り、テープ写りなどを低減することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に係るウエブ巻取方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0011】
図1は本発明が適用されるウエブ巻取装置10の構成を示す側面図である。同図に示すように、ウエブ12は複数のパスローラ14、16、18を介してコア20に巻き取られる。そして、その搬送経路途中に設けられたテープ貼り装置22によって両縁部に所定長さのテープ24が貼り付けられる。
【0012】
図2はテープ貼り装置22の一例を示す側面図である。このテープ貼り装置22は、パスローラ16に当接するゴムローラ26で一対のテープ24、24をウエブ12に貼り付ける。
【0013】
ゴムローラ26は、パスローラ16の周面に当接して配置されており、このゴムローラ26とパスローラ16との間に一対のテープ24、24が所定の間隔をもって供給される。
【0014】
テープ24、24は、ウエブ12の厚みに対して0.1〜10倍相当の厚みを有しており、一対のリール28、28に巻回されている。このリール28、28は回転軸30に所定の間隔をもって取り付けられており、リール28、28から繰り出されたテープ24、24は、ガイドローラ32、32を介してゴムローラ26とパスローラ16との間に供給される。また、リール28、28から繰り出されたテープ24、24は、ガイドローラ32とゴムローラ26との間でカッター装置34によって任意の長さに切断される。
【0015】
テープ24、24が貼り付けられたウエブ12は、ニップローラ36によってパスローラ16との間で挟まれる。これにより、テープ24、24がウエブ12に確実に貼り付けられる。このニップローラ36は、図示しないシリンダに駆動されて揺動するアーム38の先端部に回動自在に設けられており、パスローラ16に対して進退可能に設けられている。
【0016】
前記のごとく構成されたテープ貼り装置22によれば、リール28、28から繰り出されたテープ24、24がガイドローラ32、32を介してゴムローラ26とパスローラ16との間に供給される。そして、ゴムローラ26によってウエブ12に押し付けられて、ウエブ12の両縁部に貼り付けられる(図3参照)。テープ24、24が貼り付けられたウエブ12は、パスローラ16とニップローラ36との間を通過することにより、テープ24、24がニップローラ36に押されて確実に貼り付けられる。そして、所定長さウエブ12に貼り付けられると、テープ24、24は自動的にカッター装置34によって切断される。
【0017】
巻き取りに使用するコア20は、図示しないチャックに保持され、このチャックに連結された図示しないモータに駆動されて回転する。このコア20は、変形の小さい剛体であることが必要とされ、このような材料としては、Al、SUS等の金属材料、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂材料、PP等の耐熱プラスチック材料、ガラス繊維に耐熱性樹脂を含浸、硬化したGFRP、カーボン繊維に耐熱性樹脂を含浸、硬化したGFRP、無機繊維に耐熱性樹脂を含浸・硬化させた複合材料、耐熱有機繊維に耐熱性樹脂を含浸・硬化した複合材料等を使用することができ、特にGFRP、CFRP及び金属や耐熱樹脂材料とFRPとの複合材料が望ましい。
【0018】
前記のごとく構成されたウエブ巻取装置10を用いた本発明に係るウエブ巻取方法は次のとおりである。
【0019】
まず、ウエブ12の先端を接着剤又はテープ等でコア20に固定する。次に、リール28、28からテープ24、24を引き出し、ガイドローラ32、32を介してゴムローラ26まで導く。そして、その先端部分をウエブ12の両縁部に貼り付ける。
【0020】
以上の操作をしたのちコア20を回転させて、ウエブ12の巻き取りを開始する。ウエブ12の走行に伴い順次テープ24、24がウエブ12の両縁部に貼り付けられ、このテープ24、24が貼り付けられたウエブ12がコア20に巻き取られてゆく。そして、所定長さテープ24、24がウエブ12に貼り付けられると、カッター装置34がテープ24、24を切断し、テープ24、24の貼り付けを終了する。テープ24、24が貼り付けが終了した後もウエブ12は継続してコア20に巻き取られ、ウエブ12の全長が巻き取られたところでウエブ12の巻き取りを終了する。
【0021】
このように両縁部に所定区間テープ24、24を貼り付けたウエブ12をコア20に巻き取ることにより、巻き取ったバルクの面圧をウエブ12の両縁部に集中させることができる。これにより、コア20の巻き付け部に発生する切り口写りや巻芯写り、テープ写りなどを低減することができる。
【0022】
なお、テープ24は、幅が5〜30mm程度のものが望ましく、厚みは10〜500μm、更に好ましくは50〜150μm程度のものが好ましい。
【0023】
また、テープ24は、表面に適度な滑り性を有することが好ましく、ウエブ12に対する摩擦係数としては0.1〜0.6程度のものが好ましい。
【0024】
また、テープ24は、ある程度の粘着力を有するものが好ましいが、粘着力がないテープを使用してもよい。
【0025】
さらに、テープ24は、ウエブ12に対してウエブ12の両縁から0〜30mmの位置に貼り付けるものとする。
【0026】
また、ウエブ12に対してテープ24、24の貼りつけ開始位置は、コア20から0〜20mの箇所とする。
【0027】
また、テープ24は、ウエブ12の巻き取り全長の1/100〜1/10、より好ましくは0.01〜5%の長さ、巻数で表すと1周〜50周に渡って貼ることが必要である。
【0028】
また、ウエブの材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニールアルコール、塩化ビニール、テフロン、トリアセチルセルロース、塩化ビニリデン、ナイロン、ポリプロピレン、ボリカーボネイドポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド等があり、特にこれらのうちPET、PENなどのポリエステルフィルムを用いる場合に有用である。
【0029】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0030】
表1は、今回実施したウエブの巻き取り条件である。
【0031】
【表1】
【0032】
上記表1の条件で巻き取ったウエブを次の方法で評価した。すなわち、巻き取られたバルクロールを、120℃の温度で50時間熱処理したあと、そのバルクロールを巻きほぐし、巻きほぐした巻芯側のウエブ12を図4に示すように黒布40の上に静遣し、蛍光灯42の光を上から照らし、その反射光で切り口写りや巻芯写りを肉眼で評価する。
【0033】
表2は、この処理を行ったポリエチレンナフタレートフィルムの面状評価結果である。
【0034】
【表2】
表2に示すように、テープを貼ることによって切り口写りは大きく低減できることが分かる。また、巻の半径方向のテープ総厚みが0.27mm以上にすることで切り口写りの発生長が約半分となる。さらにテープを長く貼り、巻きの半径方向のテープ厚み総和で1.35mmとなると、切り口写りの発生長が約1/10になることが分かる。また、これはテープの1枚あたりの厚みが変わっても、半径方向のテープ厚み総和が変わらなければ、切り口写りの低減効果には差が見られないことが分かる。また、テープの長さを長くしてテープ厚み総和を大きくしていくと、ウエブの耳部が伸び、製品として使用できないものとなることが判明した。ここでは、耳伸びについては、塗布してムラになるレベルを×とする。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、両縁部の所定区間にテープを貼り付けたウエブをコアに巻き取ることにより、巻き取ったバルクの面圧をウエブの両縁部に集中させることができ、これにより、コアの巻き付け部に発生する切り口写りや巻芯写り、テープ写りなどを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウエブ巻取装置の構成を示す側面図
【図2】テープ貼り装置の構成を示す側面図
【図3】テープが貼り付けられたウエブを示す斜視図
【図4】評価方法の説明図
【符号の説明】
10…ウエブ巻取装置、12…ウエブ、14、16、18…パスローラ、20…コア、22…テープ貼り装置、24…テープ、26…ゴムローラ、28…リール、30…回転軸、32…ガイドローラ、34…カッター装置、36…ニップローラ、38…アーム、40…黒布、42…蛍光灯
Claims (1)
- 高分子フィルムからなるウエブの両縁部の所定区間にテープを貼り付け、該ウエブをコアに巻き取るウエブ巻取方法であって、
前記所定区間を前記コアに巻き取るウエブの巻き取り全長の0.01〜5%とするとともに、前記テープの厚みを前記ウエブの厚みに対して0.1〜10倍相当とし、かつ、前記テープの前記ウエブに対する摩擦係数を0.1〜0.6、巻きの半径方向のテープ厚み総和を0.27〜1.35mmとすることを特徴とするウエブ巻取方法。
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