JP3912577B2 - カーテンウォールにおける縦枠および横枠の接合部シール構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーテンウォールにおける縦枠および横枠の接合部シール構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビルなどの建築工事においては、予め工場で製作されたカーテンウォールを外壁部分に順に建て込んでいくカーテンウォール工法が主流となっている。
【0003】
かかるカーテンウォール工法においては、縦枠および横枠を主たる構成部材としてガラス取付け枠部を形成するようにしているが、前記縦枠と横枠との接合部では、水密性を確保するためにシールを施工している。
【0004】
たとえば、図15に示されるカーテンウォール構造において、縦枠61と横枠62との接合部、具体的には縦枠61の板材端部が横枠の上面に当接する部位において、室外側にシール材がはみ出さないようにシールするには、縦枠の板材端面と横枠上面との間隙部分に前記縦枠板材の肉厚相当幅でシールを行わなければならず、実質的にはかなりの困難が伴う。そこで、縦枠61の中空部内側にシール面を確保するため、図16に示されるように、予め縦枠61の板材61a下端部に発泡ポリエチレン、合成ゴム等からなるL字形状の1次バックアップ材63を接着剤により固定するとともに、前記バックアップ材63の凹部に一次不定形シール材64を充填しておき、前記縦枠61を横枠62に対して接合した後、二次バックアップ材65を深部に詰め込んだ後、二次不定形シール材66を充填するようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した縦枠61と横枠62との接合部シール構造の場合には、一次不定形シール材64が固まるまで二次不定形シール材66の施工が出来ないため、作業手順の調整に日数が掛かっているとともに、図15に示されるように、縦枠61と横枠62との接合部において、縦枠61の部材断面の内、室内外方向に沿う横枠当接面(線)のほぼ全幅に亘ってシールを施工しなければならず、シール施工に多くの時間と手間が掛かっていた。
【0006】
そこで本発明の主たる課題は、縦枠と横枠との組み立て後に、縦枠の端部が横枠上面またか下面に当接する部位において、縦枠の部材断面の内、室内外方向に沿う横枠当接面(線)のほぼ全幅に亘るシール施工を省略し、一部分のみのシール施工で水密性を確保するとともに、1回のシール施工で水密性を確実に確保するようにしたカーテンウォールにおける縦枠および横枠の接合部シール構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための請求項1に係る本発明として、縦枠と横枠との組み立て状態で前記縦枠の端部が横枠の上面または下面に当接する部位における接合部シール構造であって、
前記縦枠は、見込み方向の縦枠側板部と、この縦枠側板部の内面側であって相対的に室内側に位置する枠部とを有し、かつ前記枠部は室内側後部側壁、内面がわ側板部および室外側前部側壁からなるとともに、前記内面がわ側板部の室外側が前記室外側前部側壁よりも室外側に突出し、該枠部が横枠の上面または下面に当接する構造とされ、
前記縦枠側板部と、前記室外側前部側壁と、前記内面がわ側板部とで囲まれたコ字状ラインを水密的に室内外を分断する水密ラインとして設定し、該水密ラインで囲まれた方形部分に室外側から不定形シール材を充填するか、定形ブロック状シール材を配設するか、或いは定形シート状シール材を配設することによって、前記水密ラインに沿った隙間を封鎖するようにし、かつ前記縦枠の端部が横枠の上面または下面に当接する部位における、室内外方向に沿う横枠当接面のほぼ全幅に亘るシール施工を省略したことを特徴とするカーテンウォールにおける縦枠および横枠の接合部シール構造が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0009】
〔カーテンウォール構造〕
図1は本発明に係るユニット式カーテンウォールの正面図、図2は図1のII−II線矢視図、図3は図1のIII−III線矢視図、図4は図1のIV−IV線矢視図である。
【0010】
同図に示されるカーテンウォール構造は、図2〜図4に示されるように、方立を左右に分割構造とし、分割方立13A、13Bを一体的に備える縦枠3A、3B、上・下横枠4A、4Bおよび図示の例では中間横枠5を含んで枠状部材を構成するとともに、この枠状部材の室外面側に縦押縁6A、6Bおよび横押縁7A、7Bを取付け、ガラスG、G(複層ガラス)を嵌め込んだパネルユニットUを、建物躯体(床)の端部に固定された方立支持金具に順に取り付けるようにしたフルユニット方式スプリットマリオン工法の例である。
【0011】
以下、具体的に詳述すると、
前記方立13は、左右対の分割方立13A、13Bからなり、左右の関係で組み合わされ一体を成すもので、一方側の分割方立13Aは、略方形状の中空断面を成し、対向面の室内がわ寄り位置には凹部13aが形成されているとともに、室外側の面には部材長手方向に沿って板状突片13b、L字状突片13cが夫々形成されている。他方の分割方立13Bも同様に、略方形状の中空断面を成し、対向面の室内がわ寄り位置には突片13dが形成され、室外側の面には部材長手方向に沿って板状突片13f、L字状突片13eが夫々形成されている。
【0012】
前記分割方立13Aを縦枠3Aの室内がわ面に一体的に組み付けるには、前記分割方立13Aの室外がわ面に形成されたL字状突片13cを縦枠3Aの室内がわ面に形成された断面L字状係止片26aに係止するとともに、分割方立13Aの室外がわ面に形成された板状突片13bを縦枠3Aの室内がわ面に形成された板状突片27aと重ね合わせ、両者を貫通する連結ビス43,43…によって連結を図る。この連結部には縦方向に沿ってカバー材33が取り付けられる。
【0013】
一方の分割方立13Bを縦枠3Bの室内がわ面に一体的に組み付ける場合も同様に、前記分割方立13Bの室外がわ面に形成されたL字状突片13eを縦枠3Bの室内がわ面に形成された断面L字状係止片26bに係止するとともに、分割方立13Bの室外がわ面に形成された板状突片13fを縦枠3Bの室内がわ面に形成された板状突片27bと重ね合わせ、両者を貫通する連結ビス43,43…によって連結を図る。この連結部にも縦方向に沿ってカバー材33が取り付けられる。
【0014】
前記パネルユニットUを構成する縦枠3A、3Bの内、一方の縦枠3Aは図2に示されるように、略方形断面の縦枠本体の室外がわ面において、その内方側にガラス支持部20を備えるとともに、外方側に室外がわに延在する板部21に押縁取付け片3c、3cを備え、かつ外側見込み面にはウインドバリア取付け片22aとレインバリア取付け片22bとが形成されている。他方の縦枠3Bも同様に、略方形断面の縦枠本体の室外がわ面において、その内方側にガラス支持部20を備えるとともに、外方側に室外がわに延在する板部21を備えるが、外側見込み面には前記ウインドバリア取付け片22aに係止されたウインドバリア23が当接する突片24aと、前記レインバリア取付け片22bに係止されたレインバリア25が当接する突片24bとが形成されている。前記押縁取付け片3c、3cにはそれぞれ縦押縁6A、6Bが取り付けられ、ガラスG、Gを間に挟んで、室内側および室外側にそれぞれ施工されたバックアップ材・シーリング材34、34により前記ガラスG、Gが嵌合溝内に支持されている。前記縦枠3A、3BはパネルユニットUが隣接配置された状態で左右対の関係で組み合わされる。
【0015】
一方、前記パネルユニットUを構成する上・下横枠4A、4Bの内、一方の上横枠4Aは図4に示されるように、断面略方形状の横枠本体の室外がわに延在して下方側に向けてガラス嵌合溝を形成するように押縁取付け用延在片28が形成され、この押縁取付け用延在片28に横押縁7Aが取付けられ、前記横枠本体に取り付けられたガラス背面支持用ガスケット30と、バックアップ材・シーリング材31によってガラスG、Gが前記ガラス嵌合溝内に支持されている。
【0016】
また、他方の下横枠4Bは、断面略方形状の横枠本体の室外がわに延在して上方側に向けてガラス嵌合溝を形成するように押縁取付け用延在片32が形成され、この押縁取付け用延在片32に横押縁7Bが取付けられ、ガラスG、Gを間に挟んで、室内側および室外側にそれぞれ施工されたバックアップ材・シーリング材34、34により前記ガラスG、Gがガラス嵌合溝内に支持されている。前記上横枠4A、下横枠4Bは、パネルユニットUが隣接配置された状態で上下対の関係で組み合わされる。
【0017】
他方、中間横枠5は、図3に示されるように、単一中空断面の横枠本体の室外がわ面に、上下段配置でそれぞれ上側ガラス用押縁取付け片35と、下側ガラス用押縁取付け片36とが設けられ、前記上側ガラス用押縁取付け片35に取り付けられた横押縁8Aによって上側ガラス嵌合溝が形成されるとともに、前記下側ガラス用押縁取付け片36に取り付けられた横押縁8Bによって下側ガラス嵌合溝が形成されている。ガラスG、Gは、室内側および室外側にそれぞれ施工されたバックアップ材・シーリング材34またはガラス背面支持用ガスケット30によりガラス嵌合溝内に支持されている。
【0018】
以上、分割方立13A、13Bを含みながら構成されたパネルユニットUは、躯体(床)に固定された方立支持金具に対して順に取り付けられる。前記方立支持金具は、図5および図6に示されるように、躯体Fの端部にアンカー金具50が埋設固定されるとともに、このアンカー金具50に頭部が嵌合支持され、かつネジ部を外部に突出させて設けられた固定用ボルト51およびナット51Aによってファスナー52が固定された構造のもので、前記分割方立13の上部側に取付け金具53をボルト54,54によって固定しておき、図示しないクレーン設備等によって前記パネルユニットUを取付け位置まで吊り運搬したならば、前記取付け金具53とファスナー52との間にライナー金具55を介在させた状態で固定用ボルト56およびナット56Aによって締結し固定する。なお、前記取付け金具53の上部にはボルト保持用筒53aが一体的に設けられ、かつこのボルト保持用筒53aに螺入された上下方向調整ボルト57の先端が前記ライナー金具55より延在する上部フランジ片55aの水平面に当接することにより据え付け時に分割方立13の鉛直方向の建付けが調整されるようになっている。前記カーテンウォール支持部は、各フロア毎に設けられ、相対的に下段側の方立13頭部に下半部が嵌合され、ボルト54によって固定された接合用部材58の上部が上段側方立13の中空部に挿入されることによって方立13の連続性が確保されるようになっている。なお、前記ボルト保持用筒53aの内面に雌ネジを設け、上下方向調整ボルト57を螺入してもよい。
【0019】
前記パネルユニットU、U…を上下左右に隣接配置した状態において、水平方向に隣接するパネルユニットU間では、図2に示されるように、隣接する縦枠3A、3B間においてレインバリア25,ウインドバリア23によって気水密性が確保されるようになっているとともに、上下方向に隣接するパネルユニットU、U間では、図4に示されるように、上枠は室内がわ寄り位置に部材長手方向に沿ってシールパッキン42を有する起立壁40を有し、上段側に設置されたパネルユニットUの下枠4Bから垂下する垂下片41が前記シールパッキン42に接触することにより気水密性が確保されるようになっている。
【0020】
一方、各パネルユニットU,U…の隅部が交合する目地交点部においては、図4に示されるように、隣接する上・下横枠4A、4B間では、室外がわ寄り位置に上横枠4Aの上面側に気密バリヤ39を一体的に備えるレインバリア38が縦目地Mを交差しながら両上枠4A、4A間に跨る所定区間に配設されるとともに、上枠4Aの室内がわ寄り位置に、縦目地Mを交差しながら両上枠間に跨る所定区間にウインドバリヤ29が夫々配設されている。この場合、前記レインバリヤ38とウインドバリヤ29との間に形成されている横樋44が、水平方向目地ラインLSの基準線(下側)よりも深く形成されていることにより、前記ウインドバリヤ29との間で高低差が確保され、水密性能の向上が図られている。
【0021】
前記レインバリヤ38は、断面略L字状を成すゴム系材料からなる定形シール材が用いられ、その上面側に、ある程度以上の弾性を有するように樹脂・ゴム等の発泡体等(以下、成形体という。)よりなる気密バリヤ39を一体的に備え、縦目地Mを交差しながら両上枠4A、4A間に跨る所定区間に配設されている。設置状態では、上段側に設置されるユニットUの下枠4Bから垂下する垂下片45の先端が前記気密バリヤ39に当接するようになっているとともに、レインバリア38の舌片38aが下横枠4Bの下面に接触するようになっており、目地交点部からの雨水浸入を防止するとともに、後述のように、上段パネルユニットUの縦目地から落下する雨水Rを受け止め、そのまま外部に排出するようになっている。
【0022】
一方、前記ウインドバリヤ29は、前記シールパッキン42および垂下片41による水平方向のシール部よりも上部側に縦目地Mを交差しながら両上枠4A、4A間に跨る所定区間に配設される成形体よりなる第1の気密バリヤ46と、前記左右のパネルユニットU,U間において前記起立壁40,40同士の間隙部分に挿入されるとともに、前記シールパッキン42の端面が当接する目地部気密バリヤ47と、前記垂下片41の下方側位置に縦目地Mを交差しながら両上枠4A、4A間に跨る所定区間に配設されるとともに、前記垂下片41の先端が当接する成形体よりなる第2の気密バリヤ48と、この第2の気密バリヤ48の設置座面を形成する所定断面形状のゴム部材49とが一体的に形成された定形シール材で、パネルユニットU,Uの設置状態では、前記第1の気密バリヤ46が上枠4Aと下枠4Bとに密着し、かつ下枠4Bから垂下する垂下片41の先端が第2の気密バリヤ48に当接することにより水密性が確保される。また、前記目地部気密バリヤ47が起立壁40、40の間隙に嵌挿されることにより隙間が封鎖されると共に、シールパッキン42の端面が当接することにより水平方向に沿ってシールの連続性が確保されるようになっている。なお、前記ゴム部材49は、ウインドバリヤ29の設置時に全体の変形を抑えるなど形状保持材を兼用するものである。
【0023】
パネルユニットUの一般部においては、等圧空間とされる前記横樋44に雨水が浸入するが、この雨水は横樋44の底面が室外がわに傾斜する傾斜面となっているため、図4に示されるように、横樋44の室外がわ寄り位置から縦目地Mに落下した後、縦目地Mに沿って流れ、下段のパネルユニットU,U間のレインバリヤ38上面に落下し、外部に排出される。一方、目地交点部では、不定形シール材を一切使用することなく、単に上枠4A、4A間に跨って設置されたウインドバリヤ29により、すべての隙間が封鎖され完全な止水性が確保されるようになっている。
【0024】
〔縦枠および横枠の接合部構造〕
次いで、図7〜図10に基づいて、縦枠3A、3Bと上下横枠4A、4Bとの接合部構造について詳述する。
【0025】
前記縦枠3A、3Bは、図7に示されるように、見込み方向の縦枠側板部3aと、縦枠側板部3aの内面側であって相対的に室内側に位置する枠部3bと、縦枠側板部3aの相対的に室外側に位置する押縁取付け片3c、3cと、ウインドバリア取付け片22aと、レインバリア取付け片22bとを有する断面形状を成している。これら各部分の内、横枠4A、4Bとの接合に関係する部分は、前記縦枠側板部3a、枠部3bおよび押縁取付け片3c、3cの部分である。
【0026】
先ず、前記縦枠3A、3Bと上横枠4Aとの接続に当たっては、縦枠3A、3Bの上端部を、図8に太鎖線TUで示されるとともに、図9に斜視図で示されるように、縦枠3A,3Bの上端を横樋44形状に合わせて凹状部3dを形成するように切断する。また、図9に示されるように、上横枠4Aの中空部下面形状に合わせるように、枠部3bを切除し、縦枠側板部3aの板面を露出させるようにする。一方、上横枠4Aの端部仕口は、図7に太鎖線YKで示すように、段部を設けることなく同一面で切断する。
【0027】
以上の縦枠3Aおよび上横枠4Aの仕口処理を終えたならば、同図に示されるように、上横枠4Aの端面を前記縦枠側板部3aの板面に当接させるように接合する。この際、縦枠3A、3Bの押縁取付け片3c、3cは、縦枠側板部3aの板面よりも外方側に位置させるようにしてあるため、前記押縁取付け片3c、3cについては加工処理を必要としない。また、前記押縁取付け片3cを縦枠側板部3aの板面よりも外方側に位置させることにより、該押縁取付け片3c部に水抜き部Kが形成されるようになっている。
【0028】
次いで、前記縦枠3A、3Bと下横枠4Bとの接続に当たっては、縦枠3A、3Bの下端部を、図8に太鎖線TDで示されるとともに、図10に斜視図で示されるように、縦枠3A,3Bの下端は下横枠4Bの中空部形状に合わせて段状部3eを形成するように切断する。また、図10に示されるように、下横枠4Aの中空部下面形状に合わせるように、枠部3bを切除し、縦枠側板部3aの板面を露出させるようにする。一方、下横枠4Bの端部仕口は、図7に太鎖線YKで示すように、段部を設けることなく同一面で切断する。
【0029】
以上の縦枠3Aおよび下横枠4Bの仕口処理を終えたならば、同図に示されるように、下横枠4Bの端面を前記縦枠側板部3aの板面に当接させるように接合する。この際、縦枠3A、3Bの押縁取付け片3c、3cは、縦枠側板部3aの板面よりも外方側に位置させるようにしてあるため、前記押縁取付け片3c、3cについては加工処理を必要としない。なお、図11に縦枠3A、3Bと下横枠4Bとの接合状態を示す。
【0030】
〔縦枠と横枠との接合部シール構造〕
次いで、前記縦枠3A、3Bと横枠4A、4Bとの接合部シール構造について詳述する。なお、説明は代表的に縦枠3Aと下横枠4Bとの接合部について行い、上横枠4Aとの接合部分については上下対称となるだけであるため説明は省略する。
【0031】
前記縦枠3Aと下横枠4Bとの接合部では、縦枠断面の内、図12(C)に斜線で示される複数の板材、具体的には前記枠部3bを成す室内側後部側壁3e、内面がわ側板部3gおよび室外側前部側壁3fの各板材端部が下横枠4Bの上面に当接している。
【0032】
従来のシール構造であれば、前記内面がわ側板部3gの横枠当接面(線)に沿ってシールを施工し水密ラインを形成するのであるが、本発明では前記内面がわ側板部3gの横枠当接面(線)のほぼ全幅に亘るシール施工を省略し、一部分のシール施工のみで水密性を確保するようにする。
【0033】
具体的には、縦枠3Aの断面の内で、カーテンウォールパネル面に近接する室内側部分において、水密的に室内外を分断する水密ラインKを設定する。本例の場合には、縦枠側板部3aと、室外側前部側壁3fと、内面がわ側板部3gとで囲まれたライン、すなわち図12(C)に太鎖線で示されたコ字状線が水密ラインKとして設定されている。そして、前記水密ラインKに沿って前記縦枠側板部3a、室外側前部側壁3f、内面がわ側板部3gの各板材端部と、下横枠4B上面との隙間を封鎖するシールを施工することにより、前記内面がわ側板部3gの横枠当接面(線)のほぼ全幅に亘るシール施工を省略する。この場合、前記水密ラインKは、縦枠の断面形状にもよるが、本例のように、縦枠が枠部3bを有する場合には縦枠中空部の外側に設定するようにするのが望ましく、かつ室外側へ開放する断面コ字状の凹部を形成し、この凹部の室外側でシールを行うようにするのが望ましい。
【0034】
前記水密ラインKを封鎖するシール施工の第1例としては、図12に示されるように、前記縦枠3A、3Bの室外側前部側壁3fの下端よりやや上方位置に下横枠4Bとの間に間隙を有するようにバックアップ材51を接着剤により固定し、前記バックアップ材51と、縦枠側板部3aと、室外側前部側壁3fと、内面がわ側板部3gと、下横枠4B上面との5面によって囲まれた凹部内に不定形シール材52を充填するようにする。充填されたシール材52は、縦枠側板部3a、室外側前部側壁3f、内面がわ側板部3gの鉛直方向面と、下横枠4B上面の水平方向面との2面間に跨るように施工される。
【0035】
上記第1例に係るシール態様においては、バックアップ材をシール材の裏当材として使用するのではなく、シール充填空間の上面形成材として使用し、縦枠板材を裏当材としながら、バックアップ材、前記縦枠板材および横枠の上面によって囲まれた凹部内にシール材を充填するようにしているため、従来は縦枠の端面を含めて2回に分けて行っていたシール工事が1回のシール工事で済むようになり施工性が格段に向上するようになる。すなわち、充填されたシール材は、縦枠および横枠の室外側に露出する接合部を縦枠板材と横枠面との二表面間に跨ってシールするため、接合隙間を確実に封鎖するようになる。さらに、バックアップ材を用いることで接着部形状を規定でき、接着面を広く取ることが可能となり、長期に亘り水密性を確保できるようになるとともに、シール部が目視できるためシール施工が不良箇所無く確実に行えるようになる。
【0036】
前記水密ラインKを封鎖するシール施工の第2例としては、図13に示されるように、縦枠側板部3a、室外側前部側壁3f、内面がわ側板部3gの鉛直方向面および横枠上面の水平方向面に夫々接着面を有する定形ブロック状シール材53によりシールを行うようにしてもよい。さらには、図14に示されるように、縦枠側板部3a、室外側前部側壁3f、内面がわ側板部3gの鉛直方向面および横枠上面の水平方向面に夫々接着面を有する定形シート状シール材54によりシールを行うようにしてもよい。
【0037】
なお、前記水密ラインKを封鎖するシール施工は、前記縦枠側板部3aと、室外側前部側壁3fと、内面がわ側板部3gとによって囲まれた方形部分とする以外に、前記コ字状の水密ラインKに沿ってコ字状に行うようにしてもよい。要は、水密ラインKが隙間無く封鎖される態様でシールが施工できればよい。
【0038】
【発明の効果】
以上詳説のとおり本発明によれば、縦枠と横枠との組み立て後に、縦枠の端面が横枠上面またか下面に当接する部位において、縦枠の部材断面の内、室内外方向に沿う横枠当接面(線)のほぼ全幅に亘るシール施工を省略でき、一部分のみのシール施工で水密性を確保することが可能となる。すなわち、水密的に室内外を分断する水密ラインを、好ましくは縦枠の室外側に断面コ字状の凹部面に設定し、縦枠と横枠の接合面の側面を室外側からシールする構成としたため、従来のように、縦枠当接端面と横枠表面(上下面)との間を室内外の全長に亘って端面でシールすることなくシール施工できるようになるとともに、1回のシール施工で水密性を確保できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ユニット式カーテンウォールの正面図である。
【図2】 図1のII−II線矢視図である。
【図3】 図1のIII−III線矢視図である。
【図4】 図1のIV−IV線矢視図である。
【図5】 方立支持部を示す平面図である。
【図6】 その側面図である。
【図7】 横枠仕口形状を示す横断面図である。
【図8】 縦枠仕口形状を示す縦断面図である。
【図9】 縦枠3A、3Bと上横枠4Aとの接合部分解斜視図である。
【図10】 縦枠3A、3Bと下横枠4Bとの接合部分解斜視図である。
【図11】 その接合状態斜視図である。
【図12】 縦枠と横枠との接合部シール構造を示す、(A)は正面図、(B)は(A)のB-B線矢視図、(C)は(A)のC-C線矢視図である。
【図13】 水密ラインKを封鎖するシール態様の他例を示す断面図である。
【図14】 水密ラインKを封鎖するシール態様の他例を示す断面図である。
【図15】 従来例における縦枠と横枠との接合部シール構造を示すカーテンウォール背面図である。
【図16】 図15のXVI-XVI矢視図である。
【符号の説明】
1…カーテンウォール、3A・3B…縦枠、4A…上枠、4B…下枠、5…中間横枠、6A・6B…縦押縁、7A・7B…横押縁、38…レインバリヤ、29…ウインドバリヤ、39…気密バリヤ、40…起立壁、42…シールパッキン、44…横樋、46…第1の気密バリヤ、47…目地部気密バリヤ、48…第2の気密バリヤ、49…ゴム部材、M…縦目地、U…パネルユニット、LS…横目地水平ライン、3a…縦枠側板部、3b…枠部、3c…押縁取付け片、3e…室内側後部側壁、3f…室外側前部側壁材、3g…内面がわ側板部、51…バックアップ材、52…不定形シール材、53…ブロック状定形シール材、54…シート状定形シール材
Claims (1)
- 縦枠と横枠との組み立て状態で前記縦枠の端部が横枠の上面または下面に当接する部位における接合部シール構造であって、
前記縦枠は、見込み方向の縦枠側板部と、この縦枠側板部の内面側であって相対的に室内側に位置する枠部とを有し、かつ前記枠部は室内側後部側壁、内面がわ側板部および室外側前部側壁からなるとともに、前記内面がわ側板部の室外側が前記室外側前部側壁よりも室外側に突出し、該枠部が横枠の上面または下面に当接する構造とされ、
前記縦枠側板部と、前記室外側前部側壁と、前記内面がわ側板部とで囲まれたコ字状ラインを水密的に室内外を分断する水密ラインとして設定し、該水密ラインで囲まれた方形部分に室外側から不定形シール材を充填するか、定形ブロック状シール材を配設するか、或いは定形シート状シール材を配設することによって、前記水密ラインに沿った隙間を封鎖するようにし、かつ前記縦枠の端部が横枠の上面または下面に当接する部位における、室内外方向に沿う横枠当接面のほぼ全幅に亘るシール施工を省略したことを特徴とするカーテンウォールにおける縦枠および横枠の接合部シール構造。
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