JP3912270B2 - 液体噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット式記録装置、ディスプレー製造装置、電極形成装置、或いは、バイオチップ製造装置等、各種の液体を液滴として吐出可能な液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置に関し、特に、着弾階調に応じて駆動パルスの圧力発生素子への供給を制御することで、ノズル開口からの液滴の吐出を制御可能なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
液体噴射装置は、液体をノズル開口から液滴の状態で吐出させる装置であり、例えば、インク滴を吐出して記録紙上に画像等を記録する画像記録装置、液状の電極材を基板上に吐出して電極を形成する電極形成装置、生体試料を吐出してバイオチップを製造するバイオチップ製造装置、或いは、所定量の試料を容器に吐出するマイクロピペットが提案されている。
【0003】
この液体噴射装置においては、液滴が着弾する着弾対象物に対する処理の高速化と着弾量制御の高精度化とを両立すべく、ノズル開口から吐出される液滴の量を変更可能としたものが提案されている。例えば、この液体噴射装置の一種であるインクジェット式記録装置では、複数の駆動パルスを1つの記録周期内に一連に含ませた単一の駆動信号を発生し、記録データ(階調データ)に応じて駆動信号の必要部分を圧力発生素子に供給することで、ノズル開口から吐出されるインク量を変更している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−81012号公報(第9頁,第9図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、単一の駆動信号の必要部分を圧力発生素子に供給する従来の構成では、液体噴射ヘッドが有する本来の性能を十分に発揮させ難いという問題があった。即ち、1つの吐出周期内に複数の駆動パルスを含ませた関係から、駆動可能な最大周波数よりも低い周波数で液体噴射ヘッド(圧力発生素子)を駆動せざるを得なかった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体噴射ヘッドをより高い周波数で駆動できるようにした液体噴射装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、圧力室内の液体に圧力変動を生じさせ得る圧力発生素子及び圧力室に連通したノズル開口を有する液体噴射ヘッドと、
駆動パルスを含んだ駆動信号を吐出周期毎に繰り返し発生する駆動信号発生手段と、
前記駆動信号の圧力発生素子への供給を制御可能なスイッチ手段と、
スイッチ手段の作動を制御するスイッチ制御手段と、を備え、
着弾階調に応じて駆動パルスの圧力発生素子への供給を制御し、ノズル開口からの液滴の吐出を制御可能な液体噴射装置において、
前記駆動信号発生手段は、
単位面積当たりの着弾液量が最も多い着弾階調で用いられる第1駆動パルスのみを有し、該第1駆動パルスを均等な間隔で発生する第1駆動信号と、他の着弾階調で用いる第1駆動パルスよりも吐出液量が少ない小液滴駆動パルスとしての第2駆動パルスを有する一連の第2駆動信号とを発生し、
前記第1駆動パルスの発生間隔を、前記第2駆動パルスの発生間隔よりも短くし、
前記第2駆動パルスを、液滴を吐出させない程度に圧力室の容積を変動させる微振動パルスの前側の波形要素である前側微振動波形と、当該前側微振動波形よりも後に発生されて第1駆動パルスよりも吐出液量が少ない小液滴駆動パルスとを、圧力発生素子に供給されない接続波形要素で接続した複合パルスで構成し、隣り合う第1駆動パルス同士の間で発生し、前記第1駆動パルスの発生期間と第2駆動パルスの発生期間とを少なくとも一部で重畳させる構成とし、
前記スイッチ制御手段は、非吐出を示す階調において前側微振動波形と、当該前側微振動波形の後端電位に始端電位を揃えられた第2駆動パルスの一部とを微振動パルスとして圧力発生素子に供給し、メニスカスを微振動させることを特徴とする。
ここで、「メニスカス」とは、ノズル開口で露出している液体の自由表面のことである。
【0008】
なお、この構成において、第1駆動パルスは、1吐出周期内に複数発生させることが好ましい。そして、上記の「着弾階調」は、単位面積あたりの液体の着弾量を示す情報であり、記録装置における「記録階調」の上位概念である。
【0009】
この発明によれば、単位面積当たりの着弾液量が最も多い着弾階調で用いられる第1駆動パルスのみを第1駆動信号に含ませると共に、第1駆動パルスよりも着弾液量が少ない階調で用いられる小液滴駆動パルスとしての第2駆動パルスを第2駆動信号に含ませているので、第1駆動パルスの発生間隔を第2駆動パルスに制約されることなく自由に設定できる。従って、第1駆動パルスの発生間隔を圧力発生素子の応答周波数に合わせて設定できる。その結果、液体噴射ヘッドをより高い周波数で駆動することができる。
また、第2駆動パルスが、隣り合う第1駆動パルス同士の間で発生するので、前回吐出周期と今回吐出周期とで着弾階調が切り替わっても液滴の吐出間隔を均等にすることができる。例えば、前回吐出周期で第2駆動パルスを用いて比較的小さい液滴を吐出し、今回吐出周期で隣り合う2つの第1駆動パルスを用いて比較的大きい液滴を吐出した場合の吐出間隔と、前回吐出周期で隣り合う2つの第1駆動パルスを用いて比較的大きい液滴を吐出し、今回吐出周期で第2駆動パルスを用いて比較的小さい液滴を吐出した場合の吐出間隔とを揃えることができる。これにより、今回吐出周期におけるメニスカスの状態が一定となり、液滴の吐出を安定化できる。
さらに、液滴を吐出させない程度に圧力室の容積を変動させる微振動パルスの前側の波形要素である前側微振動波形と、当該前側微振動波形よりも後に発生されて第1駆動パルスよりも吐出液量が少ない小液滴駆動パルスとを、圧力発生素子に供給されない接続波形要素で接続した複合パルスで構成するので、限られた吐出周期の中に複数種類の駆動パルスを効率よく含ませることができる。
【0010】
上記発明において、前記第2駆動信号は、第1駆動パルスの始端電位と同電位に調整され、当該電位を一定期間維持する定電位要素を含み、
前記スイッチ制御手段は、第1駆動パルスの非供給期間において前記定電位要素を圧力発生素子へ供給する構成であることが好ましい。
この発明によれば、第1駆動パルスの非供給期間において、定電位要素が圧力発生素子に供給される。これにより、圧力発生素子は、第1駆動パルスの始端電位で維持されることとなり、第1駆動パルスの供給を円滑に行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は、インクジェット式のプリンタを例に挙げて行う。このプリンタは、液体状のインク(本発明の液体の一種)を液滴の状態にして記録ヘッド(本発明の液体噴射ヘッドの一種)から吐出させるものであり、本発明の液体噴射装置の一種である。
【0012】
図1に例示したプリンタは、プリンタコントローラ1とプリントエンジン2とから構成されている。プリンタコントローラ1は、図示しないホストコンピュータ等からの印刷データ(上位装置から送られてくる第1制御データの一種)等を受信するインターフェース3(以下、外部I/F3と称する。)と、各種データの記憶等を行うRAM4と、各種データ処理のためのルーチン等を記憶したROM5と、CPU等からなる制御部6と、クロック信号(CK)を発生する発振回路7と、記録ヘッド8へ供給する駆動信号(COM1,COM2)を発生する駆動信号発生回路9と、記録データ及び駆動信号等をプリントエンジン2に送信するためのインターフェース10(以下、内部I/F10と称する。)とを備えている。
【0013】
外部I/F3は、例えばキャラクタコード、グラフィック関数、イメージデータのいずれか1つのデータ又は複数のデータからなる印刷データをホストコンピュータ等から受信する。また、外部I/F3は、ホストコンピュータに対してビジー信号(BUSY)やアクノレッジ信号(ACK)等を出力する。
【0014】
RAM4は、受信バッファ、中間バッファ、出力バッファ及びワークメモリ(図示せず)等として利用されるものである。受信バッファには、外部I/F3が受信したホストコンピュータからの印刷データが一時的に記憶される。中間バッファには、制御部6によって中間コードに変換された中間コードデータが記憶される。出力バッファには、記録ヘッド8に送られる記録データ(液体噴射ヘッドに送られる第2制御データの一種)が展開される。また、ROM5は、制御部6によって実行される各種制御ルーチン、フォントデータ及びグラフィック関数、各種手続き等を記憶している。
【0015】
駆動信号発生回路9は、本発明の駆動信号発生手段に相当し、第1駆動信号COM1を発生可能な第1駆動信号発生部9A(第1駆動信号発生手段)と、第2駆動信号COM2を発生可能な第2駆動信号発生部9B(第2駆動信号発生手段)とを備える。そして、図3に示すように、第1駆動信号COM1は、ミドルドット駆動パルスDP1,DP2を1記録周期T内に2つ有する一連の信号であり、記録周期T毎に繰り返し発生される。ここで、ミドルドット駆動パルスDP1,DP2は、ミドルドットに対応する量のインク滴(中液滴の一種)を吐出させるための駆動パルスであり、本発明の第1駆動パルスの一種に相当する。また、第2駆動信号COM2は、スモールドット駆動パルスDP3と前側微振動波形(PS4)とを接続波形要素(PS5)で接続した複合パルス(本発明の第2駆動パルスの一種)を1記録周期T内に1つ有する一連の信号であり、記録周期T毎に繰り返し発生される。
なお、記録周期Tは、駆動信号COMの繰り返し単位であり、本発明における吐出周期の一種である。また、これらの駆動信号COM1,COM2については、後で詳しく説明する。
【0016】
制御部6は、駆動信号発生回路9に対する信号発生の制御を行ったり、ホストコンピュータからの印刷データを記録ヘッド8に送信するための記録データに展開したりする。そして、記録データへの展開時において、制御部6は、まず受信バッファ内の印刷データを読み出して中間コードに変換し、この中間コードデータを中間バッファに記憶する。次に、制御部6は、中間バッファから読み出した中間コードデータを解析し、ROM5内のフォントデータ及びグラフィック関数等を参照して中間コードデータをドット毎の記録データに展開する。
【0017】
本実施形態の記録データは、1ドットが2ビットの階調データによって構成される。この階調データは、例えば、非記録(印字内微振動)を示す階調データ[00]と、スモールドットによる記録を示す階調データ[01]と、ミドルドットによる記録を示す階調データ[10]と、ラージドットによる記録を示す階調データ[11]とから構成される。
従って、この構成では、各ドットを4階調で記録することができる。これら4種の記録階調に関し、単位面積当たりの着弾インク量は、ラージドットの記録階調が最も多く、ミドルドットの記録階調が2番目に多い。また、スモールドットの記録階調が3番目に多く、非記録の記録階調は0(pL)である。
なお、上記の記録階調は、本発明の着弾階調の下位概念に相当し、単位面積あたりのインクの着弾量を示す情報である。
【0018】
また、制御部6は、タイミング信号発生手段の一部を構成し、内部I/F10を通じて記録ヘッド8にラッチ信号(LAT)やチャンネル信号(CH−A,CH−B)を供給する。これらのラッチ信号やチャンネル信号に含まれるラッチパルスやチャンネルパルスは、駆動信号COM1,COM2を構成する複数の波形部や調整要素(PS1〜PS7,P0,P20)の供給開始タイミングを規定する。
【0019】
具体的には、図3に示すように、ラッチパルスLAT1は、振動子充電期間(期間t10,期間t20)で発生される調整要素P0,P20の供給開始タイミングを規定する。
また、第1チャンネル信号CH−Aにおける第1チャンネルパルスCH11は、第1駆動信号COM1の期間t11で発生される第1波形部PS1の供給開始タイミングを規定し、第2チャンネルパルスCH12は、期間t12で発生される第2波形部PS2の供給開始タイミングを規定する。
同様に、第2チャンネル信号CH−Bにおける第1チャンネルパルスCH21は第2駆動信号COM2の期間t21で発生される第3波形部PS3の供給開始タイミングを規定し、第2チャンネルパルスCH22は期間t22で発生される第4波形部PS4の供給開始タイミングを規定し、第3チャンネルパルスCH23は期間t23で発生される第5波形部PS5の供給開始タイミングを規定する。また、第4チャンネルパルスCH24は期間t24で発生される第6波形部PS6の供給開始タイミングを規定し、第5チャンネルパルスCH25は期間t25で発生される第7波形部PS7の供給開始タイミングを規定する。
【0020】
次に、プリントエンジン2について説明する。このプリントエンジン2は、図1に示すように、記録ヘッド8と、キャリッジ機構11と、紙送り機構12とを備えている。
【0021】
キャリッジ機構11は、記録ヘッド8が取り付けられたキャリッジと、このキャリッジをタイミングベルト等を介して走行させる駆動モータ(例えば、DCモータ)等からなり、記録ヘッド8を主走査方向に移動させる。紙送り機構12は、紙送りモータ及び紙送りローラ等からなり、記録紙(印刷記録媒体の一種)を順次送り出して副走査を行う。
【0022】
上記の記録ヘッド8は、本発明の液体噴射ヘッドの一種である。以下、この記録ヘッド8について詳しく説明する。まず、図2に基づいて記録ヘッド8の構造を説明する。例示した記録ヘッド8は、複数の圧電振動子21、固定板22、及び、フレキシブルケーブル23等をユニット化した振動子ユニット24と、この振動子ユニット24を収納可能なケース25と、ケース25の先端面に接合された流路ユニット26とを備えている。
【0023】
ケース25は、先端と後端が共に開放された収納空部27を形成した合成樹脂製のブロック状部材であり、収納空部27内には振動子ユニット24が収納固定されている。
【0024】
圧電振動子21は、本発明における圧力発生素子の一種であり、本実施形態では櫛歯状に形成されている。この圧電振動子21は、圧電体と内部電極とを交互に積層して構成された積層型の圧電振動子であって、積層方向に直交する縦方向に伸縮可能な縦振動モードの圧電振動子である。そして、各圧電振動子21の先端面が、流路ユニット26の島部28に接合されている。
この圧電振動子21はコンデンサと同じように振る舞う。即ち、充電により圧電振動子21の電位(振動子電位)は上昇し、放電によって電位は下降する。そして、信号の供給が停止された場合において、圧電振動子21の電位は、停止直前の電位で保持される。
【0025】
流路ユニット26は、流路形成基板29を間に挟んでノズルプレート30を流路形成基板29の一方の面側に配置し、弾性板31をノズルプレート30とは反対側となる他方の面側に配置して積層することで構成されている。
【0026】
ノズルプレート30は、複数(例えば、96個)のノズル開口32を副走査方向に沿って開設した薄手の金属製板材(例えば、ステンレス板)によって構成してある。流路形成基板29は、リザーバ33(共通インク室)、インク供給口34(液体供給口の一種)、圧力室35、及び、ノズル連通口36からなるインク流路(液体流路の一種)が形成された板状部材である。本実施形態では、この流路形成基板29を、シリコンウェハーのエッチング処理によって作製している。弾性板31は、ステンレス製の支持板37上に樹脂フィルム38をラミネート加工した二重構造の複合板材であり、圧力室35に対応した部分の支持板37を環状に除去して島部28を形成している。
【0027】
この記録ヘッド8では、リザーバ33から圧力室35を通ってノズル開口32に至る一連のインク流路がノズル開口32毎に形成される。そして、圧電振動子21を充電したり放電したりすることで圧電振動子21が変形する。即ち、この縦振動モードの圧電振動子21は、充電によって振動子長手方向に収縮し、放電によって振動子長手方向に伸長する。このため、充電によって振動子電位を上昇させると、島部28が圧電振動子側に引っ張られ、島部周辺の樹脂フィルム38が変形して圧力室35が膨張する。また、放電によって振動子電位を下降させると、圧電振動子21が戻り方向に伸長して圧力室35が収縮する。
【0028】
このように、振動子電位に応じて圧力室35の容積が制御できるので、圧力室35内のインク圧力を可変でき、ノズル開口32からインク滴を吐出させることができる。例えば、基準容積の圧力室35を一旦膨張させた後に急激に収縮させることで、インク滴を吐出させることができる。
【0029】
次に、この記録ヘッド8の電気的構成について説明する。
【0030】
この記録ヘッド8は、図1に示すように、第1シフトレジスタ41及び第2シフトレジスタ42からなるシフトレジスタ回路と、第1ラッチ回路43と第2ラッチ回路44とからなるラッチ回路と、デコーダ45と、制御ロジック46と、第1レベルシフタ47及び第2レベルシフタ48とからなるレベルシフタ回路と、第1スイッチ49及び第2スイッチ50とからなるスイッチ回路と、圧電振動子21とを備えている。
そして、各シフトレジスタ41,42、各ラッチ回路43,44、各レベルシフタ47,48、各スイッチ49,50、及び、圧電振動子21は、それぞれノズル開口32に対応して複数設けられる。
【0031】
この記録ヘッド8は、プリンタコントローラ1からの記録データ(SI)に基づいてインク滴を吐出させる。本実施形態では、記録データの上位ビット群、記録データの下位ビット群の順に記録ヘッド8へ送られてくるので、まず、記録データの上位ビット群が第2シフトレジスタ42にセットされる。全てのノズル開口32について記録データの上位ビット群が第2シフトレジスタ42にセットされると、続いて記録データの下位ビット群が第2シフトレジスタ42にセットされる。この記録データの下位ビット群のセットに伴い、記録データの上位ビット群はシフトして第1シフトレジスタ41にセットされる。
【0032】
第1シフトレジスタ41には第1ラッチ回路43が電気的に接続され、第2シフトレジスタ42には第2ラッチ回路44が電気的に接続されている。そして、プリンタコントローラ1からのラッチパルス(LAT1)が各ラッチ回路43,44に入力されると、第1ラッチ回路43は記録データの上位ビット群をラッチし、第2ラッチ回路44は記録データの下位ビット群をラッチする。
【0033】
各ラッチ回路43,44でラッチされた記録データ(上位ビット群,下位ビット群)はそれぞれ、デコーダ45に入力される。このデコーダ45は、記録データの上位ビット群及び下位ビット群に基づいて翻訳を行い、図3に示す駆動信号COM1,COM2を構成する各波形部PS1〜PS7や調整要素P0,P20を選択するための波形選択データを生成する。
【0034】
本実施形態において波形選択データは、各駆動信号COM1,COM2毎に生成される。即ち、図3に示すように、第1駆動信号COM1に対応する第1波形選択データは、第1調整要素P0(期間t10)、第1波形部PS1(期間t11)、及び、第2波形部PS2(期間t12)に対応する合計3ビットのデータによって構成されている。また、第2駆動信号COM2に対応する第2波形選択データは、第2調整要素P20(期間t20)、第3波形部PS3(期間t21)、第4波形部PS4(期間t22)、第5波形部PS5(期間t23)、第6波形部PS6(期間t24)、及び、第7波形部PS7(期間t25)に対応する合計6ビットのデータによって構成されている。
【0035】
このような動作をするデコーダ45は、波形選択データ生成手段として機能し、記録データ(階調データ)から波形選択データを駆動信号に対応した複数組生成する。
【0036】
また、デコーダ45には、制御ロジック46からのタイミング信号も入力されている。この制御ロジック46は、制御部6と共にタイミング信号発生手段として機能しており、ラッチ信号(LAT)やチャンネル信号(CH−A,CH−B)の入力に同期してタイミング信号(TYM−A,TYM−B)を発生する。
このタイミング信号も駆動信号COM1,COM2毎に生成される。即ち、図3に示すように、制御ロジック46は、ラッチパルス(LAT1)と、第1駆動信号COM1用のチャンネルパルス(CH11,CH12)とにより、第1タイミング信号(TYM−A)を生成し、ラッチパルスと、第2駆動信号COM2用のチャンネルパルス(CH21〜CH25)とにより、第2タイミング信号(TYM−B)を生成する。
【0037】
デコーダ45によって生成された各波形選択データは、タイミング信号によって規定されるタイミングで上位ビット側から順次各レベルシフタ47,48に入力される。即ち、第1タイミング信号TYM−Aに含まれる各タイミングパルスの発生タイミングに応じて、第1波形選択データが第1レベルシフタ47に入力される。また、第2タイミング信号TYM−Bに含まれる各タイミングパルスの発生タイミングに応じて、第2波形選択データが第2レベルシフタ48に入力される。
【0038】
これらのレベルシフタ47,48は、電圧増幅器として機能し、波形選択データが[1]の場合には、対応するスイッチ49,50を駆動できる電圧、例えば数十ボルト程度の電圧に昇圧された電気信号を出力する。即ち、第1波形選択データが[1]の場合には第1スイッチ49に電気信号が出力され、第2波形選択データが[1]の場合には第2スイッチ50に電気信号が出力される。
【0039】
第1スイッチ49の入力側には駆動信号発生回路9からの第1駆動信号COM1が供給されており、第2スイッチ50の入力側には第2駆動信号COM2が供給されている。また、各スイッチ49,50の出力側には圧電振動子21が導通されている。そして、これらの第1スイッチ49及び第2スイッチ50は、発生される駆動信号の種類毎に設けられており、駆動信号発生回路9と圧電振動子21との間に介在して各駆動信号COM1,COM2を圧電振動子21へ選択的に供給する。このような動作をする第1スイッチ49及び第2スイッチ50は、第1スイッチ手段(本発明のスイッチ手段の一種)として機能する。
【0040】
上記の波形選択データは、各スイッチ49,50の作動を制御する。即ち、第1スイッチ49に入力された波形選択データが[1]である期間中は、この第1スイッチ49が導通状態になり、第1駆動信号COM1が圧電振動子21に供給される。同様に、第2スイッチ50に入力された波形選択データが[1]である期間中は、第2駆動信号COM2が圧電振動子21に供給される。そして、供給された駆動信号COM1,COM2に応じて圧電振動子21の振動子電位が変化する。一方、各スイッチ49,50に入力された波形選択データが共に[0]の期間中は、各レベルシフタ47,48からは各スイッチ49,50を作動させるための電気信号が出力されないので、圧電振動子21へは駆動信号が供給されない。要するに、波形選択データとして[1]が設定された期間の調整要素P0,P20、及び、波形部(第1波形部PS1〜第7波形部PS7)が選択的に圧電振動子21に供給される。
【0041】
このように、本実施形態では、デコーダ45、制御ロジック46、及び、各レベルシフタ47,48が本発明のスイッチ制御手段として機能し、記録データ(階調データ)に応じて各スイッチ49,50を制御する。
【0042】
次に、駆動信号発生回路9が発生する各駆動信号COM1,COM2と、これらの駆動信号COM1,COM2の圧電振動子21への供給制御について説明する。
【0043】
図3に例示した駆動信号は、上記したように、第1駆動信号COM1と、第2駆動信号COM2とからなる。そして、第1駆動信号COM1は、期間t10で発生される第1調整要素P0と、期間t11で発生される第1波形部PS1と、期間t12で発生される第2波形部PS2とからなる。また、第2駆動信号COM2は、期間t20で発生される第2調整要素P20と、期間t21で発生される第3波形部PS3と、期間t22で発生される第4波形部PS4と、期間t23で発生される第5波形部PS5と、期間t24で発生される第6波形部PS6と、期間t25で発生される第7波形部PS7とからなる。
【0044】
まず、第1駆動信号COM1について説明する。
【0045】
第1調整要素P0は、中間電位Vhmで一定な波形要素によって構成されている。この第1調整要素P0は、後述するように、記録周期Tの始期において振動子電位を中間電位Vhmに調整すべく圧電振動子21に供給される。
なお、中間電位Vhmは、基準電位の一種であり、各駆動パルスDP1〜DP3の始終端電位でもある。
【0046】
第1波形部PS1は、第1定電位要素P1と、第1膨張要素P2と、第1膨張ホールド要素P3と、第1吐出要素P4と、制振ホールド要素P5と、膨張制振要素P6と、第2定電位要素P7とからなる。第1定電位要素P1は中間電位Vhmで一定な波形要素であり、第1膨張要素P2は中間電位Vhmから第1膨張電位Vh1までインク滴を吐出させない程度の比較的緩やかな一定勾配で電位を上昇させる波形要素であり、第1膨張ホールド要素P3は第1膨張電位Vh1で一定な波形要素である。第1吐出要素P4は第1膨張電位Vh1から収縮電位VLまで急勾配で電位を下降させる波形要素であり、制振ホールド要素P5は収縮電位VLで一定な波形要素である。膨張制振要素P6は収縮電位VLから中間電位Vhmまでインク滴を吐出させない程度の一定勾配で電位を上昇させる波形要素であり、第2定電位要素P7は中間電位Vhmで一定な波形要素である。
【0047】
第2波形部PS2は、第3定電位要素P8と、第1膨張要素P9と、第1膨張ホールド要素P10と、第1吐出要素P11と、制振ホールド要素P12と、膨張制振要素P13とからなる。これらの各波形要素の内、第1膨張要素P9、第1膨張ホールド要素P10、第1吐出要素P11、制振ホールド要素P12及び膨張制振要素P13はそれぞれ、第1波形部PS1の第1膨張要素P2、第1膨張ホールド要素P3、第1吐出要素P4、制振ホールド要素P5及び膨張制振要素P6と同じ電位差及び時間幅に設定されている。また、第3定電位要素P8は、第1定電位要素P1と同様に中間電位Vhmで一定な波形要素であるが、発生時間が相違している。
【0048】
この第1駆動信号COM1では、第1波形部PS1の第1膨張要素P2、第1膨張ホールド要素P3、第1吐出要素P4、制振ホールド要素P5、及び、膨張制振要素P6が第1ミドルドット駆動パルスDP1を構成する。同様に、第2波形部PS2の第1膨張要素P9、第1膨張ホールド要素P10、第1吐出要素P11、制振ホールド要素P12、及び、膨張制振要素P13が第2ミドルドット駆動パルスDP2を構成する。これらのミドルドット駆動パルスDP1,DP2は、上記したように本発明の第1駆動パルスの一種であり、後述するように、単位面積あたりの着弾インク量が最も多い記録階調で用いられる。そして、これらのミドルドット駆動パルスDP1,DP2は、何れも同じ波形形状であり、圧電振動子21に供給されると、ミドルドットに対応する量のインク滴がノズル開口32から吐出される。
【0049】
第1ミドルドット駆動パルスDP1を例に挙げて説明すると、第1膨張要素P2の供給により圧電振動子21は素子長手方向に収縮し、圧力室35は中間電位Vhm(基準電位)に対応する基準容積から第1膨張電位Vh1に対応する膨張容積まで膨張する。この膨張により、圧力室35内にはリザーバ33側からインクが供給される。そして、この圧力室35の膨張状態は、第1膨張ホールド要素P3の供給期間中に亘って維持される。
【0050】
その後、第1吐出要素P4が供給されて圧電振動子21は伸長する。この圧電振動子21の伸長により、圧力室35は、膨張容積から収縮電位VLに対応する収縮容積まで急激に収縮される。この圧力室35の急激な収縮により圧力室35内のインクが加圧され、ノズル開口32から所定量のインク滴が吐出される。
圧力室35の収縮状態は、制振ホールド要素P5の供給期間に亘って維持される。この間に、インク滴の吐出によって減少した圧力室35内のインク圧力は、その固有振動によって再び上昇する。この上昇タイミングにあわせて膨張制振要素P6が供給される。この膨張制振要素P6の供給により、圧力室35が基準容積まで膨張復帰し、圧力室35内のインクの圧力変動が吸収される。
【0051】
また、この第1駆動信号COM1では、上記の第1調整要素P0、第1定電位要素P1、第2定電位要素P7、及び、第3定電位要素P8によって、ミドルドット駆動パルス同士DP1,DP2を始終端電位(中間電位Vhm)で接続し、各ミドルドット駆動パルスDP1,DP2が記録周期Tを跨いで一定間隔で発生されるようにしている。即ち、第1調整要素P0の発生期間と第1定電位要素P1の発生期間の和と、第2定電位要素P7の発生期間と第3定電位要素P8の発生期間の和を同じ値に設定している。
【0052】
このように、各ミドルドット駆動パルスDP1,DP2を、記録周期Tを跨いで一定間隔で発生させるようにすると、ミドルドット駆動パルスDP1,DP2を連続的に圧電振動子21に供給した際、即ち、単位面積当たりの着弾インク量が最も多いラージドットの記録階調で記録を行う際に、供給開始時点におけるメニスカス(ノズル開口32で露出しているインクの自由表面)の状態を一定にできる。これにより、インク滴の飛行が安定化でき、画質の向上が図れる。また、この第1駆動信号COM1が有する駆動パルスは、ミドルドット駆動パルスDP1,DP2のみである。このため、これらのミドルドット駆動パルスDP1,DP2の発生間隔を、記録ヘッド8(圧電振動子21)の応答可能な範囲で狭めることができる。このようにすると、ラージドットの記録階調において、記録ヘッド8の高周波駆動が実現でき、その性能を最大限に引き出すことができる。
【0053】
次に、第2駆動信号COM2について説明する。
【0054】
上記の第2調整要素P20は、第1調整要素P0と同様に中間電位Vhmで一定な波形要素によって構成されている。そして、この第2調整要素P20も、記録周期Tの始期において振動子電位を中間電位Vhmに調整するために、圧電振動子21に供給される。
なお、本実施形態では、記録周期Tの始期において、第2調整要素P20と第1調整要素P0の何れか一方を圧電振動子21へ供給する構成である。このため、第2調整要素P20の発生期間t20を、第1調整要素P0の発生期間t10と同じ時間幅に設定している。
【0055】
第3波形部PS3は、第4定電位要素P21によって構成されている。この第4定電位要素P21は、中間電位Vhmで一定な波形要素である。
【0056】
第4波形部PS4は、第5定電位要素P22と、微振動第1膨張要素P23と、微振動定電位要素P24とから構成され、前側微振動波形(本発明における微振動波形の一種)として機能する。第5定電位要素P22は、中間電位Vhmで一定な波形要素であり極く短時間に亘って発生される。微振動第1膨張要素P23は中間電位Vhmから微振動膨張電位Vh2まで比較的緩やかな一定勾配で電位を上昇させる波形要素であり、微振動定電位要素P24は微振動膨張電位Vh2で一定な波形要素である。
【0057】
第5波形部PS5は、前側接続定電位要素P25と、接続要素P26と、後側接続定電位要素P27とから構成され、本発明における接続波形要素として機能する。前側接続定電位要素P25は、微振動膨張電位Vh2で一定な波形要素であり、極く短時間に亘って発生される。接続要素P26は、微振動膨張電位Vh2から中間電位Vhmまで急勾配で電位を下降させる波形要素である。後側接続定電位要素P27は、中間電位Vhmで一定な波形要素であり、極く短時間に亘って発生される。この第5波形部PS5は、終端電位と始端電位が互いに異なる2つの波形要素を接続するための部分であり、圧電振動子21には供給されない。従って、接続要素P26の勾配は制御可能な最大限まで急峻に設定できる。これにより、前後の波形要素同士(微振動定電位要素P24,第6波形部PS6の第6定電位要素P28)を、極く短い時間間隔で発生させることができる。
【0058】
第6波形部PS6は、第6定電位要素P28と、第2膨張要素P29と、第2膨張ホールド要素P30と、第2吐出要素P31と、前側吐出ホールド要素P32とからなる。第6定電位要素P28は、中間電位Vhmで一定な波形要素であり、極く短時間に亘って発生される。第2膨張要素P29は中間電位Vhmから第2膨張電位Vh3まで急激に電位を上昇させる波形要素であり、第2膨張ホールド要素P30は第2膨張電位Vh3で一定な波形要素である。また、第2吐出要素P31は第2膨張電位Vh3から吐出電位Vh4まで急激に電位を下降させる波形要素であり、前側吐出ホールド要素P32は吐出電位Vh4で一定な波形要素である。
なお、本実施形態における吐出電位Vh4は、第4波形部PS4における微振動膨張電位Vh2と同電位に揃えられている。
【0059】
第7波形部PS7は、後側吐出ホールド要素P33と、収縮制振要素P34と、第7定電位要素P35とからなる。後側吐出ホールド要素P33は、吐出電位Vh4で一定な波形要素であり、極く短時間に亘って発生される。収縮制振要素P34は、吐出電位Vh4から中間電位Vhmまで比較的緩やかな一定勾配で電位を下降させる波形要素であり、第7定電位要素P35は中間電位Vhmで一定な波形要素である。この第7定電位要素P35は、収縮制振要素P34の終端から記録周期Tの終端に亘って発生される。
【0060】
この第2駆動信号COM2では、第6波形部PS6及び第7波形部PS7の第2膨張要素P29、第2膨張ホールド要素P30、第2吐出要素P31、吐出ホールド要素P32,P33、及び、収縮制振要素P34がスモールドット駆動パルスDP3を構成する。このスモールドット駆動パルスDP3は、本発明における小液滴駆動パルスの一種であり、上記したミドルドット駆動パルスDP1,DP2よりも少ない量のインク滴を吐出させることができる。そして、このスモールドット駆動パルスDP3が圧電振動子21に供給されると、スモールドットに対応する極く少量のインク滴がノズル開口32から吐出される。
【0061】
即ち、第2膨張要素P29の供給により圧電振動子21は素子長手方向に急速に収縮し、中間電位Vhmに対応する基準容積から第2膨張電位Vh3に対応する第2膨張容積まで急速に膨張する。この膨張により、圧力室35内には比較的強い負圧が発生し、メニスカスが圧力室35側に大きく引き込まれる。そして、この圧力室35の膨張状態は、第2膨張ホールド要素P30の供給期間中に亘って維持される。この間にメニスカスの中心部分の移動方向が吐出方向に反転し、この中心部分が柱状に盛り上がった状態になる。
【0062】
その後、第2吐出要素P31が供給されて圧電振動子21は伸長する。この圧電振動子21の伸長により、圧力室35は、第2膨張容積から吐出電位Vh4に対応する吐出容積まで急激に収縮される。そして、この圧力室35の急激な収縮により圧力室35内のインクが加圧されて柱状部分の成長が促され、この柱状部分が途中でちぎれてインク滴として吐出される。
【0063】
第2吐出要素P31に続いて、前側吐出ホールド要素P32と後側吐出ホールド要素P33とが供給され、その後、収縮制振要素P34が供給される。収縮制振要素P34は、インク滴の吐出によって減少した圧力室35内のインク圧力を補うべく圧力室35を収縮させる。即ち、この収縮制振要素P34の供給により、圧力室35が基準容積まで収縮し、圧力室35内のインクの圧力変動を吸収する。
【0064】
また、この第2駆動信号COM2では、第4波形部PS4及び第7波形部PS7の微振動第1膨張要素P23、微振動定電位要素P24、後側吐出ホールド要素P33、及び、収縮制振要素P34が微振動パルスを構成する。そして、この微振動パルスが圧電振動子21に供給されると、インク滴を吐出させない程度の圧力変動が圧力室35内のインクに付与されてメニスカスが微振動する。
【0065】
即ち、微振動第1膨張要素P23の供給により圧電振動子21は素子長手方向に緩やかに収縮する。これにより、圧力室35は、中間電位Vhmに対応する基準容積から微振動膨張電位Vh2に対応する微振動膨張容積まで比較的緩やかに膨張する。この膨張により、圧力室35内には比較的弱い負圧が発生し、メニスカスが圧力室35側に少し引き込まれる。そして、この圧力室35の膨張状態は、後側吐出ホールド要素P33の供給終了時点まで維持される。この間にメニスカスは、ノズル開口32付近で圧力室側と吐出側とに微振動する。このメニスカスの微振動によってノズル開口32付近の増粘インクが分散され、インク増粘が防止される。さらに、収縮制振要素P34の供給によって圧力室35は基準容積まで収縮する。この収縮により圧力室35内のインクは少し加圧され、メニスカスが吐出側に少し移動する。このメニスカスの移動により微振動が継続される。
【0066】
そして、これらのスモールドット駆動パルスDP3、前側微振動波形(PS4)、及び、接続波形要素(PS5)を構成する各波形要素(P23〜P34)は、その一部の発生期間がミドルドット駆動パルスDP1,DP2を構成する各波形要素(P2〜P6,P9〜P13)の発生期間に重なっている。例えば、前側微振動波形PS4の微振動第1膨張要素P23の発生期間は、第1ミドルドット駆動パルスDP1における第1膨張ホールド要素P3及び第1吐出要素P4の発生期間に重なっている。また、スモールドット駆動パルスDP3の第2膨張要素P29の発生期間は、その一部が第1ミドルドット駆動パルスDP1の膨張制振要素P6の発生期間に重なっている。さらに、スモールドット駆動パルスDP3の収縮制振要素P34の発生期間は、終端部分で第2ミドルドット駆動パルスDP2の第1膨張要素P9の発生期間に重なっている。
【0067】
このように、各駆動パルスDP1〜DP3,波形要素PS4,PS5を各駆動信号COM1,COM2に分けて設け、時間的に重畳させて発生させると、限られた長さの記録周期Tであっても、駆動パルスDP1〜DP3や微振動パルスを効率よく配置できる。その結果、記録ヘッド8の高周波駆動が実現できる。
【0068】
また、このスモールドット駆動パルスDP3の発生タイミングを、第1ミドルドット駆動パルスDP1と第2ミドルドット駆動パルスDP2との中間に設定している。詳しくは、スモールドット駆動パルスDP3における第2吐出要素P31の発生タイミングを、第1ミドルドット駆動パルスDP1における第1吐出要素P4の発生タイミングと第2ミドルドット駆動パルスDP2における第1吐出要素P11の発生タイミングの丁度中間に設定している。これは、画質の向上を図るためである。
【0069】
本実施形態では、ラージドットの記録階調において第1ミドルドット駆動パルスDP1と第2ミドルドット駆動パルスDP2の両方を圧電振動子21に供給し、ミドルドットの記録階調において第2ミドルドット駆動パルスDP2を圧電振動子21に供給する。さらに、スモールドットの記録階調においてはスモールドット駆動パルスDP3を圧電振動子21に供給する。
【0070】
ここで、スモールドット駆動パルスDP3を、第1ミドルドット駆動パルスDP1と第2ミドルドット駆動パルスDP2の中間に発生させると、前回記録周期Tと今回記録周期Tとで記録階調が切り替わってもインク滴の吐出間隔を均等にできる。例えば、前回記録周期Tでスモールドットを、今回記録周期Tでラージドットをそれぞれ記録した場合の吐出間隔と、前回記録周期Tでラージドットを、今回記録周期Tでスモールドットをそれぞれ記録した場合の吐出間隔とを揃えることができる。
これにより、今回記録周期Tにおけるメニスカスの状態が一定となり、インク滴の吐出を安定化でき、ひいては画質の向上を図ることができる。
【0071】
次に、図3〜図7に基づいて、本実施形態における多階調の制御について説明する。この多階調の制御において、各スイッチ49,50は、スイッチ制御手段は(デコーダ45、制御ロジック46、及び、各レベルシフタ47,48,以下同様。)により制御される。そして、各スイッチ49,50は、選択された駆動信号COM1,COM2を圧電振動子21に供給する。即ち、第1駆動信号COM1と第2駆動信号COM2とは、同時に圧電振動子21に供給されない。これは、振動子電位を安定化させるためである。
【0072】
まず、非記録の場合について説明する。この場合、デコーダ45は、非記録の階調データ[00]の翻訳により、第1波形選択データ[000]及び第2波形選択データ[111001]を生成する。そして、スイッチ制御手段は、生成された波形選択データに基づいて第1スイッチ49及び第2スイッチ50の動作を制御し、第1駆動信号COM1及び第2駆動信号COM2の圧電振動子21への供給を制御する。
【0073】
即ち、期間t10(t20)においては、第2調整要素P20を圧電振動子21に供給する。これにより、振動子電位は中間電位Vhmに調整される。ここで、第1調整要素P0と第2調整要素P20は、次に供給される波形部(波形要素)に応じて選択され、選択された要素が圧電振動子21に供給される。具体的には、次に供給される波形部が第1駆動信号COM1のものであれば第1調整要素P0が選択され、第2駆動信号COM2のものであれば第2調整要素P20が選択される。これは、各スイッチ49,50の作動回数を低減するためである。即ち、各スイッチ49,50の作動回数が低減すると、圧電振動子21に供給される駆動信号が安定化され、圧電振動子21の動作が安定する。
【0074】
そして、期間t11,期間t12において第1スイッチ49が切断状態に制御され、期間t21,期間t22,期間t25において第2スイッチ50が接続状態に制御される。これにより、期間t21で第3波形部PS3が、期間t22で第4波形部PS4が、期間t25で第7波形部PS7がそれぞれ圧電振動子21に供給される。即ち、図4に太線で示すように、微振動パルス(P23,P24,P33,P34)が圧電振動子21に供給される。
その結果、ノズル開口32付近の増粘インクが分散され、インクの増粘が防止される。
【0075】
なお、本実施形態では、微振動膨張電位Vh2と吐出電位Vh4とを同電位に揃えることにより、スモールドット駆動パルスDP3を構成する一部の波形要素(P33,P34)を微振動パルスの一部、即ち、後側微振動波形として使用している。また、接続波形要素PS5を用いて微振動波形PS4を第2駆動信号COM2内に組み込んでいる。これらにより、限られた記録周期T内に、スモールドット駆動パルスDP3と微振動パルス(P23,P24,P33,P34)とを効率良く組み込むことができる。
【0076】
次に、スモールドットを記録する場合について説明する。この場合、デコーダ45は、スモールドットの階調データ[01]の翻訳により、第1波形選択データ[000]及び第2波形選択データ[110011]を生成する。そして、スイッチ制御手段は、生成された波形選択データに基づいて第1駆動信号COM1及び第2駆動信号COM2の圧電振動子21への供給を制御する。
【0077】
即ち、期間t10(t20)では、第2調整要素P20が圧電振動子21に供給され、振動子電位が中間電位Vhmに調整される。そして、期間t11,期間t12において第1スイッチ49が切断状態に制御され、期間t21,期間t24,期間t25において第2スイッチ50が接続状態に制御される。これにより、図5に太線で示すように、期間t21で第3波形部PS3が、期間t24で第6波形部PS6が、期間t25で第7波形部PS7がそれぞれ圧電振動子21に供給される。即ち、スモールドット駆動パルスDP3が圧電振動子21に供給される。
その結果、スモールドット駆動パルスDP3による極く少量のインク滴がノズル開口32から吐出される。
【0078】
次に、ミドルドットを記録する場合について説明する。この場合、デコーダ45は、ミドルドットの階調データ[10]の翻訳により、第1波形選択データ[001]及び第2波形選択データ[110000]を生成する。そして、スイッチ制御手段は、生成された波形選択データに基づいて第1駆動信号COM1及び第2駆動信号COM2の圧電振動子21への供給を制御する。
【0079】
即ち、期間t10(t20)では、第2調整要素P20が圧電振動子21に供給され、振動子電位が中間電位Vhmに調整される。期間t11では第1スイッチ49が切断状態とされ、期間t21において第2スイッチ50が接続状態とされる。これにより、図6に太線で示すように、第2駆動信号COM2の第3波形部PS3が圧電振動子21に供給され、第4定電位要素P21によって振動子電位が中間電位Vhmで維持される。
【0080】
続く期間t22〜t24では、第2スイッチ50が切断状態に制御されるので、t22の開始からt12の開始直前までに亘って、圧電振動子21には第1駆動信号COM1も第2駆動信号COM2も供給されない。その結果、図6に細線で示すように、振動子電位は切断直前の電位である中間電位Vhmを維持する。この場合、先の期間t21で第4定電位要素P21が圧電振動子21に供給されているため、駆動信号の非供給期間は比較的短時間となる。
【0081】
そして、期間t12において、第1スイッチ49が接続状態に制御される。これにより、図6に太線で示すように、第1駆動信号COM1の第2波形部PS2が圧電振動子21に供給され、第2ミドルドット駆動パルスDP2の供給によりミドルドットに対応する少量のインク滴が吐出される。
【0082】
このように、本実施形態では、ミドルドットの記録階調の場合には、第1駆動信号COM1を構成する一部の波形要素(第3定電位要素P8,第1膨張要素P9,第1膨張ホールド要素P10,第1吐出要素P11,制振ホールド要素P12,膨張制振要素P13)と、第2駆動信号COM2を構成する一部の波形要素(第4定電位要素P21:本発明における定電位要素に相当)とを組み合わせて圧電振動子21に供給している。即ち、波形要素の関係で第1駆動信号COM1を供給できない期間(期間t11)において、第2駆動信号COM2の第4定電位要素P21を供給することで、振動子電位を中間電位Vhmに維持している。
【0083】
これは、駆動信号COM1,COM2の圧電振動子21への非供給期間を可及的に短くするためである。即ち、プリンタを高湿下で使用した場合や圧電振動子21を長期間に亘って酷使する等によって圧電体の絶縁抵抗が低下した場合には、圧電振動子21における電荷の保持力が低下する虞がある。そして、電荷の保持力が低下すると、非供給期間における放電により振動子電位が徐々に下降してしまう。このため、非供給期間が長期に亘ると振動子電位の下降幅が大きくなり、次に駆動信号を供給した際に駆動信号の電位と振動子電位との電位差が大きくなってしまう。この場合、圧電振動子21の急激な変形が生じてインク滴が誤って吐出されてしまう。
そして、本実施形態のように、駆動信号COM1,COM2の非供給期間を可及的に短くすると、万一、電荷の保持力が低下したとしても、振動子電位の下降幅を少なくできるので、駆動信号COM1,COM2を支障なく供給することができる。
【0084】
次に、ラージドットを記録する場合について説明する。この場合、デコーダ45は、ラージドットの階調データ[11]の翻訳により、第1波形選択データ[111]及び第2波形選択データ[000000]を生成する。そして、スイッチ制御手段は、生成された波形選択データに基づいて第1駆動信号COM1及び第2駆動信号COM2の圧電振動子21への供給を制御する。
【0085】
即ち、期間t10(t20)では、第1調整要素P0が圧電振動子21に供給され、振動子電位が中間電位Vhmに調整される。そして、期間t11,期間t12において第1スイッチ49が接続状態に制御される一方、期間t21〜期間t25では第2スイッチ50が切断状態に制御される。これにより、期間t11で第1波形部PS1が、期間t12で第2波形部PS2がそれぞれ圧電振動子21に供給される。即ち、図7に太線で示すように、第1ミドルドット駆動パルスDP1と第2ミドルドット駆動パルスDP2とが圧電振動子21に供給される。
その結果、ミドルドット駆動パルスによる少量のインク滴がノズル開口32から2回続けて吐出され、これらのインク滴によってラージドットが記録される。
【0086】
そして、本実施形態においてこの第1駆動信号COM1には、単位面積当たりのインク量が最も多いラージドットの記録階調で使用するミドルドット駆動パルスDP1,DP2しか含ませていない。即ち、他の記録階調のみで用いられる駆動パルス(スモールドット駆動パルスDP3や微振動パルス)については、他の駆動信号COM2に含ませている。
このため、これらのミドルドット駆動パルスDP1,DP2の発生間隔は、他の駆動パルスの制約を受けることなく自由に設定できる。これにより、ミドルドット駆動パルスDP1,DP2の発生間隔を、記録ヘッド8(圧電振動子21)の応答周波数に基づいて定めることができ、記録ヘッド8の性能を十分に発揮させることができる。
【0087】
なお、このラージドットの記録階調は、単位面積当たりのインク量が最も多いため、記録紙上の所定領域を塗りつぶす所謂ベタ記録の際に設定される。そして、記録の高速化の観点では、このベタ記録時における記録を高速化することが重要である。これは、他の記録階調はベタ記録には用いられないので、他の記録階調における記録ヘッド8の駆動周波数は、ラージドット記録時の駆動周波数よりも低く設定できるためである。
【0088】
以上説明したように、本実施形態では、ラージドットの記録階調で用いる2つのミドルドット駆動パルスDP1,DP2を第1駆動信号COM1に含ませると共に、その他の駆動パルスを第2駆動信号COM2に含ませているので、ミドルドット駆動パルスDP1,DP2の発生間隔を記録ヘッド8の応答周波数に応じて定めることができる。これにより、圧電振動子21の高周波駆動が可能となり、記録ヘッド8の性能を十分に発揮させることができる。
【0089】
また、ミドルドット駆動パルスDP1,DP2の発生期間とその他の駆動パルスの発生期間とが、少なくとも一部で重畳しているので、複数の駆動パルスを一連に接続した場合よりも記録周期Tを短く設定することができる。この点でも、圧電振動子21の高周波駆動が可能となり、記録ヘッド8の性能を十分に発揮させることができる。
【0090】
また、第2駆動信号には、スモールドット駆動パルスDP3と前側微振動波形PS4とを接続波形要素PS5で接続した複合パルスを含ませているので、第2駆動信号COM2に、複数種類の駆動パルスを効率よく組み込むことができる。
【0091】
さらに、第1駆動信号COM1を構成する波形要素の一部と、第2駆動信号COM2を構成する波形要素の一部とを組み合わせて圧電振動子21に供給しているので、各駆動信号には明示されていない新たなパターンでの駆動が可能である。例えば、圧電振動子21への駆動信号の非供給期間を可及的に短くすることができる。これにより、記録ヘッド8を高周波駆動しつつも、複雑な制御を実現できる。
【0092】
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
【0093】
上記実施形態では、発生される駆動信号の種類毎に設けられた第1スイッチ49及び第2スイッチ50により、各駆動信号COM1,COM2を圧電振動子21へ選択的に供給するようにしたものを例示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、図8に示す切換スイッチ61により、各駆動信号COM1,COM2を圧電振動子21へ選択的に供給してもよい。
【0094】
例示した切換スイッチ61は、第2スイッチ手段(本発明のスイッチ手段の一種)として機能し、各圧電振動子21毎に設けられる。この切換スイッチ61は、発生される駆動信号の種類に対応して設けられた第1入力接点61a、第2入力接点61b及びオフ接点61cと、圧電振動子21に導通される出力端子61dとを有しており、各接点61a〜61cの1つが選択的に出力端子61dに電気的に接続される。そして、第1入力接点61aには第1駆動信号COM1の供給線が電気的に接続され、第2入力接点61bには第2駆動信号COM2の供給線が電気的に接続され、オフ接点61cは電気的に非接続とされている。
【0095】
この切換スイッチ61では、出力端子61dに導通する接点61a〜61cを切り換えることで、各駆動信号COM1,COM2を選択的に圧電振動子21へ供給できる。即ち、第1入力接点61aを出力端子61dに導通させると第1駆動信号COM1を供給でき、第2入力接点61bを出力端子61dに導通させると第2駆動信号COM2を供給できる。また、オフ接点61cを出力端子61dに導通させると第1駆動信号COM1と第2駆動信号COM2の何れも供給されない。
【0096】
そして、この切換スイッチ61は、デコーダ62及びスイッチ制御回路63(本発明のスイッチ制御手段に相当)によって、動作が制御される。即ち、デコーダ62は、スイッチ切換データ生成手段として機能し、記録データ(階調データ)の翻訳により、第1入力接点61a([1])、第2入力接点61b([2])、オフ接点61c([0])の何れかを示すスイッチ切換データを生成する。そして、このスイッチ切換データを、制御ロジック46´からのタイミングに同期させてスイッチ制御回路63に出力する。これにより、上記した実施形態と同様に、各駆動信号COM1及びCOM2を選択的に圧電振動子21へ供給することができる。
【0097】
また、駆動信号に関し、上記実施形態では、1記録周期T内に2つのミドルドット駆動パルスDP1,DP2を有する第1駆動信号COM1を例示したが、この構成に限定されない。
例えば、第1駆動信号COM1は、1記録周期T内に1つのラージドット駆動パルス、即ち、ラージドットに対応する量のインク滴を吐出可能な駆動パルスを有する信号であってもよい。この場合、第2駆動信号COM2には、例えば、ミドルドット駆動パルス、スモールドット駆動パルス、及び、微振動パルスからなる複合パルス(本発明の第2駆動パルスの一種)を含ませる。
また、3つ以上のノーマルドット駆動パルス、即ち、1つで小ドットのインク量を吐出可能な駆動パルスを含ませてもよい。この場合、第2駆動信号COM2には、例えば、微振動パルス(本発明の第2駆動パルスの一種)を含ませる。
【0098】
また、上記実施形態では、2種類の駆動信号COM1,COM2を例示したが、3種類以上の駆動信号を発生させても同様に実施できる。例えば、記録階調毎に専用の駆動信号を発生させ、合計4種類の駆動信号としてもよい。
この場合、ラージドットの記録階調で用いる1種の駆動信号が本発明の第1駆動信号となり、他の記録階調で用いる3種の駆動信号が本発明の第2駆動信号となる。
【0099】
また、圧力発生素子に関し、上記実施形態では、所謂縦振動モードの圧電振動子21を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではない。即ち、駆動パルスの供給によって電位を変化させ、駆動パルスの供給を遮断した場合には直前の電位を保持可能な素子であれば種々のものを用いることができる。例えば、所謂撓み振動モードの圧電振動子を用いてもよいし、静電アクチュエータを用いてもよい。
【0100】
なお、本発明は、プリンタに限らず、プロッタ、ファクシミリ装置、コピー機等、各種のインクジェット式記録装置にも適用可能である。
また、本発明は、記録装置以外の液体噴射装置にも適用することができる。例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルタを製造するディスプレー製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレーやFED(面発光ディスプレー)等の電極を形成する電極製造装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置,極く少量の試料溶液を正確な量供給するマイクロピペットにも適用することができる。
そして、ディスプレー製造装置では、色材噴射ヘッドからR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を吐出する。また、電極製造装置では、電極材噴射ヘッドから液状の電極材料を吐出する。チップ製造装置では、生体有機物噴射ヘッドから生体有機物の溶液を吐出する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 インクジェット式プリンタの機能ブロック図である。
【図2】 縦振動モードの記録ヘッドの構成を説明する断面図である。
【図3】 駆動信号発生回路が発生する駆動信号とこの駆動信号の供給制御を説明する図である。
【図4】 非記録時における駆動信号の供給制御を説明する図である。
【図5】 スモールドット記録時における駆動信号の供給制御を説明する図である。
【図6】 ミドルドット記録時における駆動信号の供給制御を説明する図である。
【図7】 ラージドット記録時における駆動信号の供給制御を説明する図である。
【図8】 スイッチ手段の他の例を説明するブロック図である。
【符号の説明】
1…プリンタコントローラ,2…プリントエンジン,3…外部I/F,4…RAM,5…ROM,6…制御部,7…発振回路,8…記録ヘッド,9…駆動信号発生回路,10…内部I/F,11…キャリッジ機構,12…紙送り機構,21…圧電振動子,22…固定板,23…フレキシブルケーブル,24…振動子ユニット,25…ケース,26…流路ユニット,27…収納空部,28…島部,29…流路形成基板,30…ノズルプレート,31…振動板,32…ノズル開口,33…リザーバ,34…インク供給口,35…圧力室,36…ノズル連通口,37…支持板,38…樹脂フィルム,41…第1シフトレジスタ,42…第2シフトレジスタ,43…第1ラッチ回路,44…第2ラッチ回路,45…デコーダ,46,46´…制御ロジック,47…第1レベルシフタ,48…第2レベルシフタ,49…第1スイッチ,50…第2スイッチ,61…切換スイッチ,62…デコーダ,63…スイッチ制御回路
Claims (3)
- 圧力室内の液体に圧力変動を生じさせ得る圧力発生素子及び圧力室に連通したノズル開口を有する液体噴射ヘッドと、
駆動パルスを含んだ駆動信号を吐出周期毎に繰り返し発生する駆動信号発生手段と、
前記駆動信号の圧力発生素子への供給を制御可能なスイッチ手段と、
スイッチ手段の作動を制御するスイッチ制御手段と、を備え、
着弾階調に応じて駆動パルスの圧力発生素子への供給を制御し、ノズル開口からの液滴の吐出を制御可能な液体噴射装置において、
前記駆動信号発生手段は、
単位面積当たりの着弾液量が最も多い着弾階調で用いられる第1駆動パルスのみを有し、該第1駆動パルスを均等な間隔で発生する第1駆動信号と、他の着弾階調で用いる第1駆動パルスよりも吐出液量が少ない小液滴駆動パルスとしての第2駆動パルスを有する一連の第2駆動信号とを発生し、
前記第1駆動パルスの発生間隔を、前記第2駆動パルスの発生間隔よりも短くし、
前記第2駆動パルスを、液滴を吐出させない程度に圧力室の容積を変動させる微振動パルスの前側の波形要素である前側微振動波形と、当該前側微振動波形よりも後に発生されて第1駆動パルスよりも吐出液量が少ない小液滴駆動パルスとを、圧力発生素子に供給されない接続波形要素で接続した複合パルスで構成し、隣り合う第1駆動パルス同士の間で発生し、前記第1駆動パルスの発生期間と第2駆動パルスの発生期間とを少なくとも一部で重畳させる構成とし、
前記スイッチ制御手段は、非吐出を示す階調において前側微振動波形と、当該前側微振動波形の後端電位に始端電位を揃えられた第2駆動パルスの一部とを微振動パルスとして圧力発生素子に供給し、メニスカスを微振動させることを特徴とする液体噴射装置。 - 前記第1駆動パルスを1吐出周期内に複数発生させることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
- 前記第2駆動信号は、第1駆動パルスの始端電位と同電位に調整され、当該電位を一定期間維持する定電位要素を含み、
前記スイッチ制御手段は、第1駆動パルスの非供給期間において前記定電位要素を圧力発生素子へ供給することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置。
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