JP3912077B2 - 水素の選択的酸化触媒、水素の選択的酸化方法、及び炭化水素の脱水素方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素及び炭化水素を含有するガス中の水素を、酸素で選択的に接触酸化するための触媒、その触媒を用いて水素を酸化する方法、及びその触媒を用いて炭化水素を脱水素する方法に関するものである。
【従来の技術】
オレフィン性不飽和結合を有する炭化水素を製造する方法の一つとして、炭化水素を脱水素する方法が挙げられる。
【0002】
例えば、鉄系の触媒を用いてエチルベンゼンを脱水素するスチレンの製造方法が知られている。しかしながら、この脱水素反応は平衡反応であることから、生成した水素が反応の進行を阻害してしまう。また、脱水素反応は吸熱反応なので、反応の進行と共に系内の温度が低下してしまう。
これらの理由から、この方法でエチルベンゼンを脱水素しても、高い収率で、スチレンを製造することは困難であった。そこで、エチルベンゼンからスチレンを製造する工程中で発生した水素を選択的に酸化することにより、反応平衡をずらすと共に反応温度の低下を補う方法が、種々、検討されてきた。
【0003】
特開昭49−56930号公報には、A型ゼオライト又はアルミナに白金を担持させた酸化触媒を用いて、エチルベンゼンを脱水素して得られた未反応のエチルベンゼン、スチレン、及び水素を含むガス中の水素を酸化する方法が記載されている。しかしながら、この方法では水素を選択的に酸化することはできず、炭化水素の一部も酸化されていた。
【0004】
米国特許4,565,898号明細書には、アルミナに白金、スズ及びリチウムを担持させた触媒を用いて、エチルベンゼンを脱水素して得られたガス中の水素を酸化する方法が記載されている。しかしながら、この方法でも水素を選択的に酸化することはできなかった。
水素の酸化に際して、炭化水素の酸化が併発することは、炭化水素の損失となるだけでなく二酸化炭素が生成する点でも好ましくない。なぜならば、二酸化炭素は、脱水素触媒の活性及び水素酸化触媒の選択性を低下させる(平野、触媒、29,(8),641(1987)等)ので、脱水素反応と水素の選択的酸化反応を直列で交互に行う場合、反応成績が著しく低下することになるからである。
【0005】
また、このような脱水素と生成した水素の選択的酸化を行うスチレンの製造工程では、脱水素触媒にカリウム化合物が含まれているとカリウム化合物が飛散する(B.D.Herzog et.al.,Ind.Eng.Chem.Prod.Res.Dev.23,(2),187(1984);早坂ら,第24日本芳香族工業会大会要旨集,p36(1990)等)ことが知られている。飛散したカリウム化合物が酸化触媒に付着すると、水素の選択酸化反応の選択率を低下させ、かつ主としてスチレンのスチームリフォーミング反応を促進して、二酸化炭素の発生量を増加させてしまう。
【0006】
特開平9−29095号公報には、酸化ニオブ等に白金を担持させた触媒を用いて、エチルベンゼンを脱水素して得られたガス中の水素を酸化する方法が記載されている。しかしながら、この方法は、上述した方法よりも水素を選択的に酸化することができるものの、比較的高価なニオブを用いていることから、経済的にはそれほど有利とはいえない。
【0007】
特開平11−80045号公報には、カリウム化合物をあらかじめ除去したガスを、酸化触媒と接触させることにより水素を選択的に酸化する方法が記載されている。しかしながら、この方法では脱水素工程と水素酸化工程との間にカリウム吸着工程を設ける必要があり、装置が若干複雑になる。
また、特開平11−322303号公報には、耐熱性無機担体に酸化ニオブ又は酸化タンタル及び白金族金属を担持させることにより得られる触媒を用いてエチルベンゼンを脱水素して得られたガス中の水素を酸化する方法が記載されている。この触媒は、特開平9−29095号公報に記載されている触媒よりも強度が高いが、やはり少量の炭化水素が燃焼していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、炭化水素の脱水素反応で生成した水素及びオレフィン性不飽和結合を有する炭化水素、並びに原料炭化水素を含むガス中の水素を選択的に酸化する触媒を安価に提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、耐熱性無機化合物を核として、その回りを酸化ニオブ及び/又は酸化タンタルで被覆してなる担体に、白金族の元素を担持させた触媒が、水素を極めて選択的に酸化することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の要旨は、耐熱性無機化合物を酸化ニオブ及び/又は酸化タンタルで被覆してなる担体に、白金族の元素を担持させたことを特徴とする、水素及び炭化水素を含有するガス中の水素を酸素で接触酸化するための触媒;この触媒に、水素、炭化水素及び酸素を含有するガスを接触させてガス中の水素を酸化することを特徴とする、水素及び炭化水素を含有するガス中の水素の酸化方法;原料炭化水素を脱水素触媒と接触させることにより、脱水素された炭化水素、未反応の原料炭化水素、及び水素を含有するガスを生成させる第1工程、第1工程で生成したガスを酸素含有ガスと混合した後、この触媒と接触させることにより、ガス中の水素を酸化する第2工程、及び第2工程で生成したガスを脱水素触媒と接触させることによりガス中の原料炭化水素を脱水素する第3工程、を含むことを特徴とする炭化水素の脱水素方法、である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係る触媒は、耐熱性無機化合物を所望の大きさに造粒し、これを酸化ニオブ及び/又は酸化タンタルで被覆して担体とした後、この担体に白金族の元素を担持させ、乾燥・焼成することにより製造することができる。
耐熱性無機化合物としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、及び酸化ジルコニウム等が挙げられる。このうち、酸化アルミニウム、又は酸化ケイ素が好ましい。また、所望ならば、これらを併用することもできる。
【0012】
耐熱性無機化合物は、粒度が細かい方が造粒に際しての成形性や触媒強度の面で好ましいので、その50%以上が74μm以下(200メッシュ以下)、特に43μm以下(325メッシュ以下)であることが好ましい。造粒は、耐熱性無機化合物と適当量の水とを混合し、傾斜皿形造粒機、ドラム型造粒機、頭切円錐型造粒機、振動回転造粒機等を用いた転動式造粒法などにより、球状に造粒するのが好ましい。このとき、粒子の結合力を高めるため成形助剤を用いることもできる。成形助剤としては、セルロース、コーンスターチ、ポリビニルアルコール、小麦粉、けい藻土、ブドウ糖、米糊、ポリエチレングリコール、アラビアゴム等が挙げられ、所望ならば、これらを併用することもできる。
【0013】
造粒物は、篩分けにより所望の粒径のものを取得する。粒径は、この触媒を用いる設備に応じて、適宜、定めればよい。
このようにして得られた粒状の耐熱性無機化合物と、酸化ニオブ及び/又は酸化タンタルとを、適当量の水と共に混合し、前記転動式造粒法などにより造粒し、担体粒とする。この操作により、耐熱性無機化合物を核として、その回りに酸化ニオブ及び/又は酸化タンタルを被覆させることができる。このときにも、前記成形助剤を用いてもよい。耐熱性無機化合物を酸化ニオブ及び/又は酸化タンタルで被覆して耐熱性無機化合物が外部に露出しないようにすることにより、脱水素触媒から飛散してくるカリウム化合物の悪影響を回避することができる。すなわち、本発明者らの知見によれば、飛散してくるカリウム化合物が耐熱性無機化合物に付着すると、触媒の選択性が低下するが、酸化ニオブや酸化タンタルに付着すると、ニオブ酸カリウム又はタンタル酸カリウムとして固定され、触媒活性に影響しなくなる。
【0014】
担体粒中の酸化ニオブ及び/又は酸化タンタルは、20〜80重量%となるのが好ましい。20重量%未満では、耐熱性無機化合物が酸化ニオブ及び/又は酸化タンタルで完全に被覆されなかったり、酸化ニオブ及び/又は酸化タンタルの厚さが薄くて耐久性に欠ける。このため、カリウム化合物の影響を十分に回避することができず、水素酸化の選択性が低下してしまう。80重量%を超えても、触媒活性や水素酸化の選択性に影響はないが、触媒強度が低下したり、触媒が高価となるため好ましくない。
【0015】
また、担体粒は、耐熱性無機化合物を核とし、その回りを20〜80容量%の酸化ニオブ及び/又は酸化タンタルの層でほぼ均一に被覆されていることが好ましい。
被覆に用いる酸化ニオブ又は酸化タンタルは、市販されているものを所望の大きさに粉砕して用いればよい。粒度の細かい方が成形性や触媒強度の面で適しているので、10μm以下、特に5μm以下に粉砕したものを用いるのが好ましい。
【0016】
酸化ニオブ、特に五酸化ニオブを用いて被覆するのが好ましい。
上記で得られた担体粒を100〜150℃で2〜24時間乾燥後、300〜1500℃で3〜12時間焼成し、触媒担体とする。
触媒担体に白金族の元素の塩の水溶液を含浸後、50〜1000℃の温度で乾燥・焼成するにより白金族の元素を担持させて、選択的水素酸化触媒を得る。
【0017】
得られた選択的水素化触媒に占める酸化ニオブ及び/又は酸化タンタルの割合は、20〜80重量%であるのが好ましい。
白金族の元素の割合は、0.001〜10重量%、特に0.05〜5重量%であるのが好ましい。この割合が低いと、酸化反応の活性が低下する。一方、この割合が10重量%を超えても、触媒活性や水素酸化の選択性に影響はないが、触媒が高価となるため好ましくない。
【0018】
白金族の元素としては、白金及びパラジウムが挙げられる。所望ならば、これらを併用してもよい。また、これらの塩としては任意のものを使用できるが、ハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩等が挙げられる。また、ビスアセチルアセトナト白金、シアン化第一白金等の有機化合物を用いることもできる。
本発明に係る触媒に、水素、炭化水素及び酸素を含有するガスを接触させて、ガス中の水素を選択的に酸化する。この酸化反応は、通常300〜800℃、特に400〜700℃で行うことが好ましい。これよりも温度が高いと、選択性が低下し、炭化水素の燃焼率が上昇してしまう。一方、温度が低いと、選択性には影響しないものの、触媒活性が低下してしまう。
【0019】
反応圧力は、0.05〜10気圧が好ましい。
反応に供するガスとしては、原料炭化水素を脱水素触媒と接触させることにより生成する水素及び脱水素された炭化水素、並びに未反応の原料炭化水素を含有するガスと、酸素含有ガスとを混合したガスが好ましい。
酸素含有ガスとしては、酸素ガス、空気、酸素富化空気、不活性ガスで希釈した空気等を用いればよい。また、これらの酸素含有ガスに、水蒸気を含有させてもよい。
【0020】
なお、酸素を全て消費させた場合には、触媒上にコーキングが起こることがあるが、水素を選択的に酸化する性能に影響を及ぼすことはない。
本発明に係る触媒を用いる水素の選択的酸化反応を含む炭化水素の脱水素方法は、以下の3工程を含むものである。
第1工程では、脱水素触媒を充填した第1段反応器で、原料炭化水素を脱水素触媒と接触させて脱水素反応を行う。第2工程では、第1段反応器で生成したガスと酸素含有ガスとを混合して、本発明に係る触媒を充填した第2段反応器に供給し、水素を選択的に酸化する。このとき、酸化反応によりガス温度は上昇する。第3工程では、第2段反応器で生成したガスを、脱水素触媒を充填した第3段反応器に供給し、残存している原料炭化水素を脱水素する。なお、第3段反応器で生成したガスを再び上記の第2工程及び第3工程を経由させることにより、原料炭化水素の反応率を向上させることもできる。また、脱水素反応では、通常、水蒸気を共存させるが、このプロセスでも、水蒸気を共存させることができる。
【0021】
脱水素反応に供する原料炭化水素には、脱水素によりオレフィン性不飽和結合を形成し得る任意のものを用いることができる。中でも、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、エチルナフタレン、ジエチルナフタレン等の脱水素可能な炭化水素基を有する芳香族炭化水素が好ましく、エチルベンゼンが特に好ましい。
本発明に係る脱水素方法をエチルベンゼンからスチレンを製造するプロセスにより、具体的に説明する。鉄とアルカリ金属を主要活性成分とした鉄系触媒を充填した第1段反応器で、エチルベンゼンと水蒸気との混合ガスを鉄系触媒と接触させ、500℃〜800℃、0.05〜10気圧の圧力で脱水素反応を行う。次いで、第1段反応器から流出するガスと酸素含有ガスとを混合し、本発明に係る触媒を充填した第2段反応器に供給することにより、ガス中の水素を選択的に酸化する。最後に、第2段反応器から流出するガスを、鉄系触媒を充填した第3段反応器に供給することにより、残存するエチルベンゼンを脱水素してスチレンを得る。この方法によれば、第2段反応器において脱水素反応の進行の障害となる水素を選択的に酸化することができ、かつ水素酸化により高温になったガスを第3段反応器に供給することができるため、従来の脱水素反応よりも遥かに高い収率でスチレンを得ることができる。
【0022】
【実施例】
以下に示す実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
得られた水素選択的酸化触媒の構造は、電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA;島津製作所製EPMA−1600)を用いて確認した。すなわち、触媒をエポキシ樹脂に包埋し、研磨して触媒球の中心を通るような断面を出した後、ニオブ及びアルミニウムを対象元素として、電子線エネルギー;15KV、100nA、ビームサイズ;2μm、ステップサイズ;2μmでX方向、Y方向の2方面の線分析を行い、アルミナからなる層と五酸化ニオブからなる層の断面積を求め、それぞれが触媒全体に占める容積を算出した。
【0023】
また、水素選択的酸化触媒中のアルミニウム及びニオブの含有量は、蛍光X線(XRF)分析により求めた。すなわち、試料0.5g、融剤5g、及び剥離剤0.05gを混合後加熱してガラスビードを作製した。このXRF強度を理学電機工業製ZSX100eで測定し、検量線法により各元素の含有量を求めた。
実施例1
(触媒調製)
γ−アルミナ粉末100重量部、セルロール(アビセル、旭化成社製)5重量部、及び少量の水を混練した。これを傾斜皿形転動造粒機に投入し、水を噴霧状に振りかけながら造粒し、ふるいを用いて直径3mm程度に整粒した。得られた粒状物を前記造粒機に投入し、水を噴霧状に振りかけながら、平均粒径2μmの五酸化ニオブ粉末400重量部を少量ずつ添加しながら造粒し、ふるいを用いて直径4.5mmに整粒した。
【0024】
得られた球状物を120℃で3時間乾燥後、マッフル炉に入れ、900℃で3時間焼成した。この焼成品100gをとり、白金0.2gを含有する塩化白金酸水溶液30mLに含浸した。これをロータリーエバポレーターにより、減圧下、60℃で1時間、次いで乾燥機中、120℃で3時間乾燥した後、大気中、650℃で3時間焼成することにより、白金0.2重量%を含む選択的水素酸化触媒を得た。得られた触媒をEPMAで分析したところ、直径3mmのアルミナ核の回りに厚み0.75mmの五酸化ニオブの層が形成されていた。また、得られた触媒の重量組成は五酸化ニオブ72.0重量%、酸化アルミニウム27.8重量%、白金0.2重量%であり、容量組成は五酸化ニオブ70.4容量%、酸化アルミニウム29.6容量%であった。
(反応)
内径15.75mmの石英製反応管に、触媒とほぼ同じ粒径の石英チップ44mLを充填し、その上に上記で得られた選択的水素酸化触媒8mLを充填し、更にその上に上記の石英チップ42mLを充填した後、10%の水素を含有する水素−窒素混合ガスを600℃で1時間導入して、触媒の還元処理を施した。次いで、反応管にエチルベンゼン、スチレン、水、水素、酸素及び窒素を1:0.4:11.5:0.43:0.18:0.69(モル比)で含むガスを、630℃で、SV=6550hr-1(0℃、1気圧換算)、LHSV(エチルベンゼン+スチレン)=3.5hr-1の空間速度で導入して、水素を選択的に酸化した。
【0025】
反応管流出ガス及びこれを冷却して得た凝縮液をガスクロマトグラフィーで分析した。反応開始8時間後の分析結果は、酸素転化率100%、水素転化率74.4%、スチレン及びエチルベンゼン燃焼率0.86%であった。なお、スチレン及びエチルベンゼン燃焼率とは、反応管に供給したスチレン及びエチルベンゼンの合計モル数に対する反応で消失したスチレン及びエチルベンゼンの合計モル数の百分率である。
【0026】
比較例1
特開平11−322303号公報実施例1に記載されている方法で、触媒組成が白金0.2重量%、五酸化ニオブ5重量%、酸化アルミニウム94.8重量%の触媒を調製した。この触媒を用いた以外は、実施例1と同様にして水素の酸化反応を行った。反応開始8時間後に反応管出口ガス及び受器の凝縮液をガスクロマトグラフィーで分析した。その結果、、酸素転化率100%、水素転化率68.8%、スチレン及びエチルベンゼン燃焼率1.07%であった。
【0027】
実施例2
内径21mmのSUS316製反応管に外径4mmの熱伝対挿入管を装着し、特開平4−277030号公報実施例6に記載されている方法で調製した酸化鉄−酸化カリウム系脱水素触媒23.3mL、及び実施例1の選択的水素酸化触媒20mLを順次充填して、上流側より脱水素触媒層と酸化触媒層からなる充填床を形成した。なお、両触媒層の間に空間を設け、ここに空気供給管を開口させた。この反応管を電気炉に収容し、窒素ガスを流通させながら加熱し、脱水素触媒層の入口温度が550℃に達したとき、窒素ガスを窒素ガスと水蒸気との混合ガスに替え、エチルベンゼンを供給すると共に、空気供給管から空気を供給した。酸化触媒層の温度が630℃、酸化触媒層への供給ガスが、エチルベンゼン、スチレン、水、水素、酸素、及び窒素を1:0.4:11.5:0.43:0.18:0.69(モル比)の組成、SV=6550hr-1(0℃、1気圧換算)、LHSV(エチルベンゼン+スチレン)=3.5hr-1の空間速度となるように脱水素触媒層の温度、供給ガスを調節した。
【0028】
反応を770時間継続した後、エチルベンゼンの供給を停止し、窒素パージをしながら冷却した。その後、酸化触媒層を10層に分け、各層から40容量%の触媒を抜き出した。内径15.75mmの石英製反応管に、触媒とほぼ同じ粒径の石英チップ44mLを充填し、その上に抜き出した選択的水素酸化触媒8mLを充填し、更にその上に上記の石英チップ42mLを充填した後、実施例1と同様の方法で選択的水素酸化反応を実施した。
【0029】
反応開始8時間後に反応管流出ガス及びこれを冷却して得た凝縮液をガスクロマトグラフィーで分析した。その結果、酸素転化率100%、水素転化率75.3%、スチレン及びエチルベンゼン燃焼率0.89%であった。
比較例2
実施例2において、実施例1の選択的水素酸化触媒に代えて比較例1で調製した触媒を用いた以外は、実施例2と同様にして水素酸化反応を行った。
【0030】
反応開始8時間後に反応管流出ガス及びこれを冷却して得た凝縮液をガスクロマトグラフィーで分析した。その結果、酸素転化率100%、水素転化率38.4%、スチレン及びエチルベンゼン燃焼率0.78%であった。
Claims (10)
- 耐熱性無機化合物を酸化ニオブ及び/又は酸化タンタルで被覆してなる担体に、白金族の元素を担持させたことを特徴とする、水素及び炭化水素を含有するガス中の水素を酸素で接触酸化するための触媒。
- 耐熱性無機化合物が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、及び酸化ジルコニウムからなる群より選ばれたものであることを特徴とする請求項1記載の触媒。
- 触媒全体に占める酸化ニオブ及び/又は酸化タンタルの割合が、20〜80重量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の触媒。
- 担体が、20〜80容量%の酸化ニオブ及び/又は酸化タンタルで被覆されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の触媒。
- 触媒全体に占める白金族の元素の割合が、0.001〜10重量%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の触媒。
- 白金族の元素が、白金又はパラジウムであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の触媒。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の触媒に、水素、炭化水素及び酸素を含有するガスを接触させてガス中の水素を酸化することを特徴とする、水素及び炭化水素を含有するガス中の水素の酸化方法。
- 300〜800℃で、炭化水素、水素及び酸素を含有するガスを接触させることを特徴とする請求項7記載の酸化方法。
- 原料炭化水素を脱水素触媒と接触させることにより、脱水素された炭化水素、未反応の原料炭化水素、及び水素を含有するガスを生成させる第1工程、第1工程で生成したガスを酸素含有ガスと混合した後、請求項1乃至6のいずれかに記載の触媒と接触させることによりガス中の水素を酸化する第2工程、及び第2工程で生成したガスを脱水素触媒と接触させることによりガス中の原料炭化水素を脱水素する第3工程、を含むことを特徴とする炭化水素の脱水素方法。
- エチルベンゼンを脱水素触媒と接触させることにより、スチレン、エチルベンゼン、及び水素を含有するガスを生成させる第1工程、第1工程で生成したガスを酸素含有ガスと混合した後、請求項1乃至6のいずれかに記載の触媒と接触させることによりガス中の水素を酸化する第2工程、及び第2工程で生成したガスを脱水素触媒と接触させることによりガス中のエチルベンゼンをスチレンに脱水素する第3工程、を含むことを特徴とするエチルベンゼンの脱水素方法。
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