JP4154877B2 - スチレンの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエチルベンゼンを脱水素してスチレンを製造する方法の改良に関するものである。本発明によれば、長時間に渡り、高収率かつ高選択率を維持してスチレンを製造することができる。
【0002】
【従来の技術】
エチルベンゼンの脱水素によりスチレンを製造する方法は、一般的に、エチルベンゼンと水蒸気とを混合して、脱水素触媒の充填床を通過させることにより行なわれている。エチルベンゼンの脱水素反応は、吸熱反応であるため、反応の進行に伴い温度は低下する。また、脱水素反応により水素が生成するため、生成ガス中の水素濃度が上昇する。これらはいずれも脱水素反応に不利な方向への変化なので、反応の進行に伴い、反応速度は漸次低下する。
【0003】
上記した問題を解決するため、従来、脱水素触媒の充填床から流出した反応生成ガスに酸素を混合して酸化触媒の充填床を通過させ、反応生成ガス中の水素を選択的に燃焼させたのち、再び脱水素触媒の充填床を通過させる方法が提案されている(特開昭60−130531号、61−225140号公報参照)。
この方法によれば、酸化触媒の充填床から流出する反応生成ガスは、水素の濃度が低下しており、かつ水素の燃焼熱により温度が上昇しているので、再び高い反応速度で脱水素反応を行わせることができる。従って、この脱水素触媒の充填床と酸化触媒の充填床とを交互に配置した反応装置を用いると、最終的に極めて高いエチルベンゼンの反応率を達成することができる。
【0004】
しかしながら、この脱水素反応と酸化反応との組合せから成る、エチルベンゼンの脱水素によるスチレンの製造法の問題点の一つは、長時間の反応により、スチレンの収率が大きく低下することである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、脱水素反応と酸化反応との組合せから成るエチルベンゼンからのスチレンの製造法において、長時間に渡り、高い収率でスチレンを製造することのできる方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題に鑑み、鋭意検討を行なった結果、脱水素工程での二酸化炭素生成率を、反応初期と比べ2.1倍未満に維持することにより、長時間に渡り、安定的に、高い収率でスチレンを製造することができることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0007】
即ち、本発明の要旨は、エチルベンゼンの脱水素によるスチレンの製造方法であって、(i)エチルベンゼンと水蒸気とを含む原料ガスを第1の脱水素工程に供給し、脱水素触媒存在下、エチルベンゼン、スチレン及び水素を含む反応ガスを生成させ、(ii)第1の脱水素工程で得られた反応ガスを酸化工程に供給し、酸化触媒存在下、水素の少なくとも一部を燃焼させ、(iii)酸化工程で得られた反応ガスを第2の脱水素工程に供給し、脱水素触媒存在下、エチルベンゼンからスチレンを生成させる工程を含み、第1の脱水素工程に供給される原料ガス中のエチルベンゼンの水蒸気に対するモル比が0.1〜1.0であり、その第2の脱水素工程での二酸化炭素生成率を、反応初期と比べ2.1倍未満に維持することを特徴とする方法にある。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の、エチルベンゼンを脱水素してスチレンを製造する方法に用いられる工程としては、脱水素工程が2以上直列に連結されているものである。具体的には例えば、脱水素工程が2、3及び4工程直列に連結されているものであれば、並列の脱水素工程を備えていてもよい。また、連結された任意の脱水素工程の間に酸化工程を備えていてもよい。好ましくは、連結された任意の脱水素工程の間に酸化工程を備えている態様である。
【0010】
脱水素工程では、エチルベンゼンが脱水素され、スチレン及び水素が生成する。第1の脱水素工程に導入されるエチルベンゼンは、通常、水蒸気と混合されて用いられる。エチルベンゼンに対する水蒸気の混合割合は、通常、モル比で、好ましくは1〜10の範囲である。
脱水素工程に用いられる装置としては、通常、脱水素触媒を充填した固定床装置が用いられる。
【0011】
従って、本発明の好適な脱水素反応としては、固定床触媒反応器に、上記原料をガスとして通過させる、固定床流通反応である。
反応温度は、通常、500℃以上、好ましくは550℃以上であり、通常、700℃以下、好ましくは670℃以下である。上記の反応温度を達成させる手段としては、通常、原料混合ガスを予め反応温度程度に加熱した後、反応器に導入する方法が採用される。圧力は、通常、0.0049〜0.98MPaの範囲である。エチルベンゼンの脱水素反応は、吸熱反応であるため、反応の進行に伴って、反応器内の温度が低下する。
【0012】
脱水素触媒の構成成分としては、特に限定されないが、通常、特開昭60−130531号公報等に記載されたもの、即ち、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む鉄系触媒、あるいはこの鉄系触媒に、更にジルコニウム、タングステン、モリブデン、バナジウム、クロム等の他の金属を含有させたものを用いることができる。これらの中でも、酸化鉄を主体とし、これに酸化カリウム及び所望により上記した又はそれ以外の金属を含有させた、カリウム含有鉄系触媒が好ましい。その一例としては、特開平4−277030号公報等に記載されたもの、即ち、酸化鉄及び酸化カリウムを主成分とし、助触媒成分として酸化チタンを含むもの等が挙げられる。
【0013】
脱水素反応の継続に伴い、経時的に触媒が劣化する。この場合の劣化とは、例えば、カリウム含有鉄系触媒の場合、カリウムが飛散することである。即ち、カリウムが触媒から脱離し、反応ガスに同伴して飛散することである。
経時的に劣化した触媒は、反応活性を低下させるばかりでなく、スチレン選択率をも低下させる。この現象の要因のひとつは、経時的に劣化した触媒が、スチームリフォーミング反応により、スチレン等の炭化水素を二酸化炭素に変換することである。また、別の要因としては、発生した二酸化炭素が触媒を被毒することである。
【0014】
スチームリフォーミング反応は、脱水素工程の反応器入口付近、即ち、高温部の触媒層において発生する。
本発明のスチレンの製造方法に、上記のカリウム含有鉄系触媒を用いる場合、脱水素触媒としては、反応器内の触媒充填床において、反応ガス流通の上流側に、カリウムの飛散速度が低いものを用いることが好ましい。具体的には例えば、カリウムの飛散速度が低い脱水素触媒を1種類用いてもよく、上流側にカリウムの飛散速度が低い触媒を用いて、下流側に該触媒に比して相対的にカリウムの飛散速度が高い触媒を1種類又はそれ以上用いてもよい。
【0015】
また、カリウムの飛散速度が異なる2種類以上の脱水素触媒を用いる場合、該2種類以上の脱水素触媒は、相対的に低活性の方を上流側に用い、相対的に高活性の方を下流側に用いることが、更に好ましい。
上記した触媒を用いることにより、長期間に渡り、高活性、高選択性を維持しながらスチレンの製造を継続することができる。
【0016】
ここで、カリウムの飛散速度及び活性とは、以下の方法で測定できる。
カリウムの飛散速度の測定方法:
内径21mmの反応管に外径4mmの熱伝対挿入管を装着したのち、粒径約3mmの酸化触媒24mlを充填し、その下流側に粒径約3〜4mmの脱水素触媒7mlを充填する。酸化触媒としては、特開昭61−225140号公報の実施例1に記載の方法で調製したアルミナを担体とし、白金0.2重量%、錫0.5重量%及びリチウム0.2重量%を含有するものを用いる。
【0017】
この反応管を電気炉に収容し、窒素を20ml/minで流通させながら加熱する。脱水素触媒層の入口温度が550℃に達した時点で、窒素を水蒸気(1.5g/min)に切替える。
次いで脱水素触媒層の入口温度が600℃に達した時点で、更にエチルベンゼン、スチレン及び水素の混合ガス及び空気と窒素の混合ガスをそれぞれ反応管に供給して、酸化触媒層における水素の酸化反応、及び後続する脱水素触媒層におけるエチルベンゼンの脱水素反応を行わせる。供給ガスの組成は、モル比で、エチルベンゼン:スチレン:水蒸気:水素:酸素:窒素=1.0:0.43:11.4:0.39:0.14:1.6である。反応は、脱水素触媒層の温度が640℃、圧力0.065MPa、酸化触媒に対するエチルベンゼンとスチレンとの合計LHSV=3.5hr-1で、2000時間行う。反応終了後、脱水素触媒を取出す。反応に供する前後の脱水素触媒の鉄に対するカリウムの原子比率を原子吸光法により測定する。カリウムの飛散速度は、下記式(1):
カリウムの飛散速度=(X−Y)/X×100(%) (1)
(式中、Xは反応に供する前の脱水素触媒の鉄に対するカリウムの原子比率(%)を示し、Yは反応に供した後の脱水素触媒の鉄に対するカリウムの原子比率(%)を示す)
により算出される。
【0018】
活性の測定方法:
内径21mmの反応管に外径4mmの熱伝対挿入管を装着したのち、粒径約3〜4mmの脱水素触媒70mlを充填する。反応管を電気炉に収容し、窒素を20ml/minで流通させながら加熱する。脱水素触媒層の入口温度が550℃に達した時点で窒素を水蒸気(1.5g/min)に切替える。更に脱水素触媒層の入口温度が600℃に達した時点で、水蒸気をエチルベンゼンと水蒸気との混合ガス(エチルベンゼン:水蒸気=1:8(モル比))に切替えて、圧力0.07MPa、エチルベンゼンのLHSV=1hr-1、触媒層の温度を600℃に維持して反応を行わせる。反応開始から300時間経過した時点で、反応生成ガスの組成をガスクロマトグラフィーで分析し、下記式(2):
エチルベンゼン反応率=(L−M)/L×100(%) (2)
(式中、Lは反応管に導入したエチルベンゼンのモル数を示し、Mは反応管から流出したエチルベンゼンのモル数を示す)
により算出したエチルベンゼンの反応率をもって触媒の活性とする。
【0019】
カリウムの飛散速度の低い触媒の飛散速度としては、上記の方法により測定及び算出された値が、通常、15%以下、好ましくは10%以下、更に好ましくは8%以下である。該カリウムの飛散速度の低い触媒は、好ましくは、上記の方法により測定及び算出した活性の値が、60%以上、更に好ましくは65%以上である。
【0020】
脱水素工程を出た反応ガスは、通常、エチルベンゼン、スチレン、水素及び水蒸気を含有し、脱水素工程入口に比べ、温度が低い。スチレンに対する水素のモル比は、通常、1.0〜1.3の範囲である。
上記脱水素工程を出た反応ガスは、別の脱水素工程に導入されてもよく、酸化工程に導入されてもよい。
【0021】
本発明のスチレンの製造方法において、連結された任意の脱水素工程の間に酸化工程を備えている場合、即ち、第1の脱水素工程、酸化工程及び第2の脱水素工程が直列に連結されている場合、第1の脱水素工程を出た反応ガスは、酸化工程に導入される。
ここで、酸化工程とは、水素を選択的に燃焼する工程である。水素を燃焼するために、酸化工程に供給される混合物は、酸素を含有する。酸素の供給源としては、酸素を含有するガスであれば特に限定されないが、例えば、空気、希釈空気、酸素富化空気、不活性ガスで希釈された酸素等が挙げられる。酸素含有ガスの供給方法としては、特に制限されないが、例えば、脱水素工程を出た反応ガスに該酸素含有ガスを供給して、その混合ガスを酸化工程に導入してもよく、酸化工程に酸素含有ガスを供給してもよい。
【0022】
酸化工程に用いられる装置としては、特に限定されないが、通常、固体の酸化触媒を充填した固定床反応装置が用いられる。
酸化触媒としては、スチレン及びエチルベンゼンの共存下、水素を選択的に燃焼させることができるものであれば、任意のものを用いることができる。通常は、貴金属系酸化触媒が用いられる。具体的には、例えば、特開昭60−130531号公報に記載されている触媒、即ち、白金とカリウム、又は白金、錫及びカリウムを含んで成る触媒、特開昭61−225140号公報に記載されている触媒、即ち、アルカリ金属又はアルカリ土類金属、ゲルマニウム、錫又は鉛等の第4A族、及び貴金属を含んで成る触媒等が挙げられる。また、特開平6−298678号公報に記載されている触媒、即ち、錫触媒又は錫及びアルカリ金属を含んで成る触媒、特開平11−322303号公報に記載されている触媒、即ち、白金と、ニオブ又はタンタルを含んで成る触媒を用いることもできる。
【0023】
酸化工程を出た反応ガスは、水素の酸化反応熱により加熱されている。このガスの温度は通常、550〜670℃の範囲である。
酸化工程を出た反応ガスは、第2の脱水素工程に導入される。
第2の脱水素工程の装置、触媒及び反応条件等は、上記脱水素工程に記載した条件から任意に選択でき、第1の脱水素工程とは互いに独立して実施できる。
【0024】
上記の脱水素触媒は、通常、酸素により劣化する。従って、酸化工程を出たガスには、酸素が実質的に含有されていないことが好ましい。そのための手段としては、例えば、酸化工程で供給される酸素量を調節することが挙げられる。
また、第2の脱水素工程においても、経時的な触媒劣化に伴い、スチームリフォーミング反応が進行する。スチームリフォーミング反応は、上記同様、反応器の入り口付近、即ち、高温部の触媒層において著しい。更に、スチレンに対する水素の量が、モル比で0.8倍以下、特に0.5倍以下において、スチームリフォーミング反応の進行は、より著しい。
【0025】
従って、スチームリフォーミング反応は、第2の脱水素工程において特に著しく引き起こされる。
上記したとおり、スチームリフォーミング反応により、スチレン等の炭化水素類が二酸化炭素に変換されることから、スチレンの選択率が低下する。また、発生した二酸化炭素は、脱水素触媒を被毒するため、エチルベンゼンの転化率が低下する。
【0026】
本発明によれば、二酸化炭素生成率を一定の範囲内に維持することで、長時間に渡り、反応初期の活性及び選択性を維持しながらスチレンの製造を継続することができる。二酸化炭素生成率としては、反応初期の2.1倍未満、好ましくは、2.0倍未満、更に好ましくは、1.9倍未満に維持することである。
ここで、反応初期とは、脱水素工程の反応器にエチルベンゼン供給を開始し、脱水素触媒の活性が安定した時点のことをいう。なお、通常では、エチルベンゼンの供給開始直後は脱水素触媒の活性変化が大きく、活性が安定するのはエチルベンゼンを供給して1000〜2000時間経過した後である。
【0027】
また、脱水素工程の反応器での二酸化炭素生成率は、脱水素反応器の入口と出口でそれぞれのガスをサンプリングし、それらのサンプルをガスクロマトグラフィーで分析し、下記式により算出される。
二酸化炭素生成率=(Q−P)/(R+S)×100 (%)
P:脱水素工程の反応器入口から流入した二酸化炭素のモル数
Q:脱水素工程の反応器出口から流出した二酸化炭素のモル数
R:脱水素工程の反応器入口から流入したエチルベンゼンのモル数
S:脱水素工程の反応器入口から流入したスチレンのモル数
本発明において、二酸化炭素の生成量を一定の範囲内に維持する方法としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、以下の態様を採用することが好ましい。
【0028】
第2の脱水素工程内に導入される反応ガスの水素量としては、スチレンに対するモル比で、下限が0.8倍、好ましくは0.9倍、上限が2.0倍、好ましくは1.3倍であり、好ましい範囲としては0.8〜2.0倍、より好ましくは0.9〜1.3倍の範囲である。これを達成する手段としては、例えば、酸化工程から流出した反応ガスに水素を供給すること、酸化工程に導入される反応ガスに水素を供給すること又は第2の脱水素工程に水素を導入すること等が挙げられ、これらの手段は単独でも複合して用いてもよい。好ましくは、酸化工程に導入される反応ガスに水素を供給することである。酸化工程に導入される反応ガスに水素を供給すれば、酸化工程における水素の燃焼反応の選択率を向上させることもできる。
【0029】
触媒が劣化すると活性が低下するが、生成物収量を維持するために、通常、例えば、反応温度を高くすること等で対応する。上記した水素の供給時期としては、反応温度が620℃以上、好ましくは630℃以上となった時点が好ましい。
二酸化炭素の生成量を一定の範囲内に維持するための別の態様としては、脱水素触媒が、上記のカリウム含有鉄系触媒であって、反応ガス流通の上流側に、カリウムの飛散速度が低いものを用いることが好ましい。具体的には、カリウムの飛散速度が低い脱水素触媒を1種類用いること、及び、上流側にカリウムの飛散速度が低い触媒を用いて、下流側に該触媒に比して相対的にカリウムの飛散速度が高い触媒を1種類又はそれ以上用いること等が挙げられる。
【0030】
また、カリウムの飛散速度が異なる2種類以上の脱水素触媒を用いる場合、該2種類以上の脱水素触媒は、相対的に低活性の方を上流側に用い、相対的に高活性の方を下流側に用いることが、特に好ましい。
ここで、カリウムの飛散速度の低い触媒の飛散速度としては、上記の方法により測定及び算出した値が、通常、15%以下、好ましくは10%以下、更に好ましくは8%以下である。該カリウムの飛散速度の低い触媒は、好ましくは、上記の方法により測定及び算出した活性の値が、60%以上、更に好ましくは65%以上である。
【0031】
上記した態様は、各々単独で実施してもよく、複数を組み合わせてもよい。これらの中で、単独で実施する態様としては、カリウムの飛散速度の低い触媒を1種類用いること又は第2の脱水素工程内に導入される反応ガスの水素量が、スチレンに対してモル比で0.8〜2.0倍の範囲であることが好ましい。
上記した好ましい態様またはそれらの組み合わせにより、スチームリフォーミング反応が大きく抑制され、二酸化炭素の生成量が減少する。その結果、スチレンの製造を長時間継続しても、活性及び選択性の低下が著しく抑制される。本発明の方法は、工業的に極めて有利なスチレンの製造法である。
【0032】
本発明の第2の脱水素工程とは、上記したとおり、酸化工程の下流にある脱水素工程のことである。即ち、酸化工程にて水素が選択的に酸化された後の反応ガスを導入する脱水素工程であれば、本発明の第2の脱水素工程と同義である。従って、脱水素工程が3工程以上ある場合、例えば、第2の酸化工程及び第3の脱水素工程を有する場合でも、上記した条件に合致する態様であれば、本願発明の範囲内であることを理解すべきである。
【0033】
第2の脱水素工程から流出した反応ガスは、製品回収系に導入され、エチルベンゼンとスチレンが回収され、エチルベンゼンは循環使用することができる。また、所望により水素も回収され循環使用することができる。
【0034】
【実施例】
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、酸化触媒及び脱水素触媒は以下のものを用いた。
酸化触媒(a):特開昭61−225140号公報の実施例1に準拠して製造した0.2重量%Pt−0.5重量%Sn−0.2重量%Li/Al23触媒を用いた。
【0035】
酸化触媒(b):特開平09−029095の実施例8に準拠して製造した0.2重量%Pt/Nb2O5触媒を用いた。
脱水素触媒(a):特開平4−277030号公報の実施例6の方法に従って調製したものを用いた。劣化した脱水素触媒としては、この脱水素触媒を反応管に充填し、これにエチルベンゼンと水蒸気との混合ガス(モル比1:9)を、640℃、LHSV10hr-1で3000時間通過させることにより、カリウムの含有量を原子吸光法による分析で8.2重量%から0.17重量%に低下させたものを用いた。
【0036】
脱水素触媒(b):カリウム−鉄系の脱水素触媒で、助触媒成分としてMo、Ceなどを含有。粒径約4mm。Fe23含有量37.7重量%、K/Fe=0.96(原子比)。カリウム飛散速度8%、エチルベンゼン反応率65%。
脱水素触媒(c);カリウム−鉄系の脱水素触媒で、助触媒成分としてMo、Ceなどを含有。粒径約3mm。Fe23含有量52.5重量%、K/Fe=0.44。カリウム飛散速度26%、エチルベンゼンの反応率66%。
【0037】
脱水素触媒(d):カリウム−鉄系の脱水素触媒で、助触媒成分として、Mo、Ce、Tiなどを含有。粒径約3mm。Fe23含有量67重量%、K/Fe=0.58(原子比)。カリウムの飛散速度23%、エチルベンゼンの反応率71%。
脱水素触媒層におけるエチルベンゼンの反応率、スチレンの選択率、二酸化炭素の生成率及びベンゼンの生成率は、それぞれ下記により算出した。
【0038】
エチルベンゼン反応率=(A−B)/A×100(%)
スチレン選択率=(C−D)/(A−B)×100(%)
二酸化炭素生成率=(E−F)/(A+D)×100(%)
ベンゼン生成率=(H−J)/(A+D)×100(%)
A:脱水素触媒層に流入したエチルベンゼン(モル)
B:反応器から流出したエチルベンゼン(モル)
C:反応器から流出したスチレン(モル)
D:脱水素触媒層に流入したスチレン(モル)
E:反応器から流出した二酸化炭素(モル)
F:脱水素触媒層に流入した二酸化炭素(モル)
H:反応器から流出したベンゼン(モル)
J:脱水素触媒層に流入したベンゼン(モル)
実施例1
内径21mmの反応管に外径4mmの熱伝対挿入管を装着したのち、上流側から酸化触媒(a)24ml、劣化した脱水素触媒(a)24ml及び正常な脱水素触媒(a)36mlを順次充填して、酸化触媒層と脱水素触媒層から成り、かつ脱水素触媒層が劣化した触媒層と正常な触媒層から成る充填床を形成した。なお、酸化触媒層と脱水素触媒層との間に空間を設け、ここに水素供給管を開口させた。この反応管を電気炉内に設置し、窒素ガスを20ml/min供給しながら加熱した。脱水素触媒層の入口部分の温度が550℃に達した時点で、窒素ガスを水蒸気(1.5g/min)に切替えた。次いで脱水素触媒層の入口部分の温度が600℃に達した時点で、供給ガスをエチルベンゼン、スチレン、水蒸気、水素及び二酸化炭素の混合ガスと、空気と窒素の混合ガスとの同時供給に切替え、かつ水素供給管から水素を供給して、酸化触媒による水素の選択的燃焼反応及び脱水素触媒によるエチルベンゼンの脱水素反応を行わせた。反応中、脱水素触媒層の入口温度を640℃、脱水素触媒層の出口温度を610℃に維持した。酸化触媒層への供給ガス組成は、エチルベンゼン:スチレン:水蒸気:水素:酸素:窒素:二酸化炭素=1.0:0.43:11.4:0.44:0.16:1.8:0.01(モル比)であった。供給ガスは圧力0.065MPa、エチルベンゼンとスチレンの合計の脱水素触媒に対するLHSV=1.2hr-1で反応管に供給した。また水素供給管からは、脱水素触媒層へ流入するガスのスチレンに対する水素のモル比が1.06になるように、水素を供給した。
【0039】
反応を開始してから100時間経過後の酸化触媒層出口及び反応器出口ガスを分析し、表1に示した。
反応初期データ取得方法としては、次の通り実施した。即ち、内径21mmの反応管に外径4mmの熱伝対挿入管を装着したのち、上流側から酸化触媒(a)24ml、正常な脱水素触媒(a)60mlを順次充填して、酸化触媒層と脱水素触媒層から成る充填床を形成した。なお、酸化触媒層と脱水素触媒層との間に空間を設け、ここに水素供給管を開口させた。この反応管を電気炉内に設置し、窒素ガスを20ml/min供給しながら加熱した。脱水素触媒層の入口部分の温度が550℃に達した時点で、窒素ガスを水蒸気(1.5g/min)に切替えた。次いで脱水素触媒層の入口部分の温度が600℃に達した時点で、供給ガスをエチルベンゼン、スチレン、水蒸気、水素及び二酸化炭素の混合ガスと、空気と窒素の混合ガスとの同時供給に切替え、かつ水素供給管から水素を供給して、酸化触媒による水素の選択的燃焼反応及び脱水素触媒によるエチルベンゼンの脱水素反応を行わせた。反応中、脱水素触媒層の入口温度を640℃、脱水素触媒層の出口温度を610℃に維持した。酸化触媒層への供給ガス組成は、エチルベンゼン:スチレン:水蒸気:水素:酸素:窒素:二酸化炭素=1.0:0.43:11.4:0.44:0.16:1.8:0.01(モル比)であった。供給ガスは圧力0.065MPa、エチルベンゼンとスチレンの合計の脱水素触媒に対するLHSV=10hr-1で反応管に供給した。また水素供給管からは、脱水素触媒層へ流入するガスのスチレンに対する水素のモル比が1.06になるように、水素を供給した。
【0040】
反応開始後100時間経過した時点で、脱水素触媒活性が安定したので、反応初期の二酸化炭素生成率を測定するため、温度、圧力は同一に保ったままでエチルベンゼンとスチレンの合計の脱水素触媒に対するLHSVだけを1.2hr-1に変更した。変更後100時間経過した時点で、酸化触媒層流出ガス及び反応管出口ガスを採取し、その組成をガスクロマトグラフィーにより分析した。結果を表2に示した。
【0041】
比較例1
水素供給管からの水素の供給を行わなかった以外は、実施例1と同様にして反応を行った。結果を表1に示した。なお、脱水素触媒層に流入するガスの、スチレンに対する水素のモル比は0.6であった。
反応初期データ取得方法としては、次の通り実施した。即ち、水素供給管からの水素の供給を行わなかった以外は、実施例1の反応初期データ取得と同様にして反応を行った。結果を表2に示した。なお、脱水素触媒層に流入するガスのスチレンに対する水素のモル比は0.6であった。
【0042】
比較例2
酸化触媒層へ供給するガス中の酸素量を増加させ、かつ水素供給管からの水素の供給を行わなかった以外は、実施例1と同様にして反応を行った。結果を表1に示した。なお脱水素触媒層に流入するガスの、スチレンに対する水素のモル比は0.28であった。
【0043】
反応初期データ取得方法としては、次の通り実施した。即ち、酸化触媒層へ供給するガス中の酸素量を増加させ、かつ水素供給管からの水素の供給を行わなかった以外は、実施例1の反応初期データ取得と同様にして反応を行った。結果を表2に示した。なお、脱水素触媒層に流入するガスのスチレンに対する水素のモル比は0.28であった。
【0044】
【表1】
Figure 0004154877
(注)「ブランク」とは、脱水素触媒の代わりに3mm径の磁性ラッシヒリングを充填し、水素供給管からの水素供給を行わなかった以外は、実施例1と同様の操作を行ったときの結果である。また、「反応初期に対する二酸化炭素生成率比」は、ブランクでの生成量を除いて計算した値である。例えば、実施例1の反応初期に対する二酸化炭素生成率比は、(3.3−2.2)/(3.0−2.2)により算出される。
【0045】
【表2】
Figure 0004154877
実施例2
酸化触媒(a)の代わりに酸化触媒(b)を用い、また水素供給管からは、脱水素触媒層へ流入するガスのスチレンに対する水素のモル比が1.0になるように、水素を供給した以外は、実施例1と同様にして反応を行った。結果を表3に示した。
【0046】
反応初期データ取得方法としては、次の通り実施した。即ち、酸化触媒(a)の代わりに酸化触媒(b)を用い、また水素供給管からは、脱水素触媒層へ流入するガスのスチレンに対する水素のモル比が1.0になるように、水素を供給した以外は、実施例1の反応初期データ取得と同様にして反応を行った。結果を表4に示した。
【0047】
比較例3
酸化触媒(a)の代わりに酸化触媒(b)を用いた以外は、比較例1と同様にして反応を行った。結果を表3に示した。なお、脱水素触媒層へ流入するガスのスチレンに対する水素のモル比は0.59であった。
反応初期データ取得方法としては、次の通り実施した。即ち、酸化触媒(a)の代わりに酸化触媒(b)を用いた以外は、比較例1の反応初期データ取得と同様にして反応を行った。結果を表4に示した。なお、脱水素触媒層へ流入するガスのスチレンに対する水素のモル比は0.59であった。
【0048】
比較例4
酸化触媒(a)の代わりに酸化触媒(b)を用いた以外は、比較例2と同様にして反応を行った。結果を表3に示した。なお、脱水素触媒層へ流入するガスのスチレンに対する水素のモル比は0.29であった。
反応初期データ取得方法としては、次の通り実施した。即ち、酸化触媒(a)の代わりに酸化触媒(b)を用いた以外は、比較例2の反応初期データ取得と同様にして反応を行った。結果を表4に示した。なお、脱水素触媒層へ流入するガスのスチレンに対する水素のモル比は0.29であった。
【0049】
【表3】
Figure 0004154877
【0050】
【表4】
Figure 0004154877
実施例3
内径21mmの反応管に外径4mmの熱伝対挿入管を装着し、上流側から酸化触媒(a)24ml、脱水素触媒(b)60mlを充填して2層構造の触媒床を形成した。なお、酸化触媒層と脱水素触媒層との間には、若干の間隙を設け、酸化触媒層からの流出ガスを採取できるようにした。この反応管を電気炉内に設置し、窒素ガスを20ml/minで流しながら加熱した。脱水素触媒層の入口部分の温度が550℃に達した時点で窒素ガスを水蒸気(1.5g/min)に切替えた。次いで脱水素触媒層の入口部分の温度が600℃に達した時点で、供給ガスをエチルベンゼン:スチレン:水蒸気:水素:酸素:窒素:二酸化炭素=1.0:0.43:11.4:0.44:0.16:1.8:0.01(モル比)の混合ガスに切替えて、エチルベンゼンの脱水素反応を開始した。混合ガスは圧力0.065MPa、エチルベンゼンとスチレンの合計の脱水素触媒に対するLHSV=10hr-1で反応管に供給し、脱水素触媒層は入口温度640℃、出口温度610℃に維持した。
【0051】
反応開始後100時間経過した時点で、脱水素触媒活性が安定したので、反応初期の二酸化炭素生成率を測定するため、温度、圧力は同一に保ったままでエチルベンゼンとスチレンの合計の脱水素触媒に対するLHSVだけを1.2hr-1に変更した。変更後100時間経過した時点で、酸化触媒層流出ガス及び反応管出口ガスを採取し、その組成をガスクロマトグラフィーにより分析した。結果を表6に示した。
【0052】
ガスの採取後、LHSVを10hr-1に戻し、反応を継続した。反応開始後3000時間経過した時点で、再びエチルベンゼンとスチレンの合計の脱水素触媒に対するLHSVだけを1.2hr-1に変更した。変更後100時間経過した時点で、酸化触媒層流出ガス及び反応管出口ガスを採取し、その組成をガスクロマトグラフィーにより分析した。結果を表5に示した。
比較例5
実施例3において、脱水素触媒(b)の代りに脱水素触媒(c)を用いた以外は、実施例3と全く同様にしてエチルベンゼンの脱水素反応を行った。結果を表5及び表6に示した。
【0053】
【表5】
Figure 0004154877
【0054】
【表6】
Figure 0004154877
実施例4
内径21mmの反応管に外径4mmの熱伝対挿入管を装着し、上流側から酸化触媒(a)24ml、脱水素触媒(b)24ml及び脱水素触媒(d)36mlを充填して3層構造の触媒床を形成した。なお、酸化触媒層と脱水素触媒層との間には、若干の間隙を設け、酸化触媒層からの流出ガスを採取できるようにした。この反応管を電気炉に収容し、窒素ガスを20ml/minで流しながら加熱した。脱水素触媒層の入口部分の温度が550℃に達した時点で窒素ガスを水蒸気(1.5g/min)に切替えた。次いで脱水素触媒層の入口部分の温度が600℃に達した時点で、供給ガスをエチルベンゼン:スチレン:水蒸気:水素:酸素:窒素:二酸化炭素=1.0:0.43:11.4:0.44:0.16:1.8:0.01(モル比)の混合ガスに切替えて、エチルベンゼンの脱水素反応を開始した。混合ガスは圧力0.065MPa、エチルベンゼンとスチレンの合計の脱水素触媒に対するLHSV=10hr-1で反応管に供給し、脱水素触媒層は入口温度640℃、出口温度610℃に維持した。
【0055】
反応開始後100時間経過した時点で、脱水素触媒活性が安定したので、反応初期の二酸化炭素生成率を測定するため、温度、圧力は同一に保ったままでエチルベンゼンとスチレンの合計の脱水素触媒に対するLHSVだけを1.2hr-1に変更した。変更後100時間経過した時点で、酸化触媒層流出ガス及び反応管出口ガスを採取し、その組成をガスクロマトグラフィーにより分析した。結果を表8に示した。
【0056】
ガスの採取後、LHSVを10hr-1に戻し、反応を継続した。反応開始後3000時間経過した時点で、再びエチルベンゼンとスチレンの合計の脱水素触媒に対するLHSVだけを1.2hr-1に変更した。変更後100時間経過した時点で、酸化触媒層流出ガス及び反応管出口ガスを採取し、その組成をガスクロマトグラフィーにより分析した。結果を表7に示した。
【0057】
比較例6
実施例4において、脱水素触媒として脱水素触媒(b)24ml及び(d)36mlを用いる代りに(d)60mlを用いて形成した2層構造の触媒床を有する反応管を用いた以外は、実施例4と全く同様にしてエチルベンゼンの脱水素反応を行った。結果を表7及び表8に示した。
【0058】
【表7】
Figure 0004154877
【0059】
【表8】
Figure 0004154877
実施例5
脱水素工程が3工程あり、第1と第2及び第2と第3の脱水素工程の間に酸化工程を備えているスチレンの製造工程において、第2と第3の脱水素工程での二酸化炭素生成率が反応初期の2倍未満に維持するように、酸化工程に導入される反応ガスへ水素を供給する効果を、シミュレーションによる計算で確認した。なお、ソルバーはProcess Systems Enterprise Limited製「gPROMS」を使用し、全ての脱水素工程の反応器には、劣化させていない正常な脱水素触媒(a)及び酸化触媒(a)が充填されていることを想定した。
【0060】
想定した反応条件による計算では、運転時間が7500時間になった時点で、第2と第3の脱水素工程での二酸化炭素生成率が反応初期の2倍以上となったため、それぞれの工程の上流側にある酸化工程に導入される反応ガスへの水素供給を開始した。また、運転時間が9500時間、11500時間、13000時間となった時点で再び第2と第3の脱水素工程での二酸化炭素生成率が反応初期の2倍以上となったため、酸化工程に導入される反応ガスへの水素供給量を増加させた。結果を表9に示した。
【0061】
比較例7
実施例5において、酸化工程に導入される反応ガスへの水素供給を行わない以外は、実施例5と全く同様にしてシミュレーションを行った。結果を表9に示した。
二酸化炭素生成率を反応初期の2.1倍未満とすることにより、運転時間7500時間以降も、高収率かつ高選択率を維持してスチレンを製造することができる。
【0062】
【表9】
Figure 0004154877

Claims (12)

  1. エチルベンゼンの脱水素によるスチレンの製造方法であって、(i)エチルベンゼンと水蒸気とを含む原料ガスを第1の脱水素工程に供給し、脱水素触媒存在下、エチルベンゼン、スチレン及び水素を含む反応ガスを生成させ、(ii)第1の脱水素工程で得られた反応ガスを酸化工程に供給し、酸化触媒存在下、水素の少なくとも一部を燃焼させ、(iii)酸化工程で得られた反応ガスを第2の脱水素工程に供給し、脱水素触媒存在下、エチルベンゼンからスチレンを生成させる工程を含み、第1の脱水素工程に供給される原料ガス中のエチルベンゼンの水蒸気に対するモル比が0.1〜1.0であり、その第2の脱水素工程での二酸化炭素生成率を、反応初期と比べ2.1倍未満に維持することを特徴とする方法。
  2. 二酸化炭素生成率を、反応初期と比べ2.0倍未満に維持することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 第2の脱水素工程に供給される反応ガスが、スチレンに対する水素のモル比で0.8〜2.0であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 第2の脱水素工程に供給される反応ガスが、スチレンに対する水素のモル比で0.9〜1.3であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  5. 第1の脱水素工程で生成した反応ガスに、酸素及び水素を混合して酸化工程に供給することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 酸化工程で生成した反応ガスに、水素を混合して第2の脱水素工程に供給することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  7. 第2の脱水素工程の触媒が、カリウム含有鉄系触媒であって、反応器の入口部分の5重量%の触媒の鉄に対するカリウムの比率が、残りの部分の触媒の鉄に対するカリウムの比率の15%以下である触媒であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  8. 第2の脱水素工程の触媒が、カリウム含有鉄系触媒であって、反応器の入口部分の10重量%の触媒の鉄に対するカリウムの比率が、残りの部分の触媒の鉄に対するカリウムの比率の15%以下である触媒であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  9. 第2の脱水素工程に供給する反応ガスの温度が620℃以上であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の方法。
  10. 脱水素触媒が、カリウム含有鉄系触媒であって、カリウム飛散速度の低いものを、反応器内触媒充填床の上流側に用いることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の方法。
  11. 第2の脱水素工程以降の脱水素工程に供給される脱水素触媒として、カリウム飛散速度が異なる2種の触媒を用い、相対的に該カリウム飛散速度が低い方を上流側に、高い方を下流側に配置することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の方法。
  12. 第2の酸化工程及び第3の脱水素工程を有することを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の方法。
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