JP3911184B2 - 銅合金圧延箔 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は,微量のSnを含有するCuの鋳塊から加工した圧延銅箔に関するものである。この銅箔は,フレキシブル基板(FPC),テープキャリアパッケージ(TCP,TAB),チップオンフレックス(COF),リチウムイオン二次電池の負極集電体,マイクロモーターのコイル用電線,電線被覆材等に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
圧延銅箔はフレキシブル基板(FPC),テープキャリアパッケージ(TCP,TAB),チップオンフレックス(COF),リチウムイオン二次電池の負極集電体,マイクロモーターのコイル用電線,電線被覆材等の様々な用途で用いられている。銅箔の素材には,タフピッチ銅,無酸素銅といった純銅が用いられることが多い。
近年,電子部品の小型化に伴い,FPC,TCP,TAB,COF等に用いられる銅箔には,より微細な加工が施されるようになった。これに応じて,より薄い銅箔が求められるようになり,12μm,9μmといった極薄銅箔も開発されるに到った。銅箔が薄肉化すると,取り扱いの際に,変形や破断が生じやすくなる。純銅銅箔の耐熱性は低く,部品の製造工程における熱履歴で軟化する。軟化して強度が低下すると,さらに取り扱いが困難になる。また,リチウムイオン電池においては,近年,自動車用のバッテリーとしても用いられるようになり,従来よりも高温の環境下に晒されるようになった。
【0003】
以上の背景により,純銅レベルの導電率を保持し,高い強度および高い耐熱性を有する銅合金箔が注目されるようになった。このニーズを満たす銅合金箔として,無酸素銅に微量のSnを添加した素材(以下Cu-Sn合金)を用いた銅箔がある(特開平5-138206)。しかし,この合金が含有するSnはCuより活性であり,また,Snの融点は非常に低いため,この合金を箔まで加工することは難しく,その品質についても満足できるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
Snを含有するCuを素材とする銅合金箔について,その製造性,品質および特性を改善することである。
【0005】
【課題を改善するための手段】
圧延銅箔の製造では,インゴットを溶製し,これを熱間圧延で板にした後,再結晶焼鈍と冷間圧延を繰り返し,最後に冷間圧延で所望の厚みの箔に仕上げる。この一連の工程において,合金中の水素および酸素濃度を低く調整することが,優れた製造性,品質および特性を得るためのポイントであることを見出した。
【0006】
(1)水素
溶解の際に,溶湯中の水素濃度が高くなると,鋳造の際に水素が気泡として析出し,鋳塊中にブローホールが発生する。
また,銅および銅合金では,温度がそれほど高くない中間の温度領域(例えば600℃)において,異常に延性を失い,粒界で割れが発生する現象が認められ,この現象は中間温度脆性と呼ばれている(泉修:日本金属学会会報,第18巻,第1号(1979年),p.15‐22.)。合金中の水素は,中間温度脆性を助長する。したがって,水素濃度が高いと,鋳塊の熱間圧延または/および冷間圧延材の焼鈍において,鋳造や冷間圧延の際に導入された残留応力が駆動力となり,粒界割れが発生する。
上記のブローホールおよび粒界割れは,銅箔の製造工程において,仕上げ圧延の際の箔の破断,箔を貫通する微小な穴(ピンホール)の発生等の弊害を引き起こす。また,ブローホールまたは粒界割れが,銅箔の製造工程で顕在化せず,銅箔中に内在する場合においても,銅箔を部品に加工する工程において,電気回路の断線,銅箔の破断等の問題が生じる。
【0007】
銅箔の製造工程で水素に起因するブローホールや粒界割れが生じなかったとしても,その後に弊害が生じることもある。リチウム二次電池に組み込まれた銅箔では,充電時の温度上昇の繰り返しにより水素が粒界に移動して銅箔の粒界強度が低下し,電池寿命が低下することが知られている(特開2001-11550)。同様に,FPCに組み込まれた銅箔に,比較的高い温度環境下で屈曲変形を与えると,水素が粒界に移動して銅箔の粒界強度が低下し,屈曲寿命が低下する。
【0008】
銅溶湯にSnを添加すると,固溶水素がガスとして析出する際の挙動が変化する。これは,熱力学データ(加藤栄一,折茂尚夫:日本金属学会誌,第33巻,第10号(1969年),p.1165-1170.)で示されているように,Snを含有すると溶Cu中の水素溶解度が低下するためである。また,Snを含有するCuではSnが粒界に偏析するが,Snの融点は低いため高温での粒界強度が低下し,純Cuと比較して,熱間圧延や焼鈍の際に粒界割れが発生しやくなる。以上のことから,Snを含有するCuにおいては,純Cuよりも厳密に水素濃度を管理する必要がある。
【0009】
(2)酸素
SnはCuより活性であるため,合金を溶製する際には,溶銅の酸素濃度を十分に低くしてからSnを添加しなければならない。O濃度が高いままSnを添加すると,Snが酸化物となるため,Sn添加による強度および耐熱性の改善効果が得られない。また,Snの酸化物は,銅箔を仕上げ圧延する際の破断や銅箔の表面傷の原因となる。
さらに上述した水素による粒界割れは,酸素の存在によって,さらに助長される(大川睦:伸銅技術研究会誌,第12巻(1973年),p.175.)。したがって,この点からも酸素濃度を低く抑える必要がある。
【0010】
(3)製造方法
酸素および水素濃度の増加を防止するためには,溶解工程および焼鈍工程に留意する必要がある。
溶解は通常の無酸素銅の溶解法に準じて行えばよい。反応原理的には,水素の吸収を防止しながら,CおよびCOの脱酸反応を利用してO濃度を低下させる。溶銅の酸素濃度を十分に低下させてからSnを添加する。溶解原料としては,電気銅の他,純銅スクラップを用いることもできるが,酸素および水素の混入源となる酸化スケール,油分,水分等の付着を避ける必要がある。
酸素および水素が,焼鈍中に合金中に溶解することもある。したがって,焼鈍中に材料を高濃度の酸素ガスおよび水素ガスと接触させることは避けるべきであり,CO/CO2といった還元雰囲気で焼鈍を行うことが望まれる。また,酸素および水素の混入源となる圧延油等が焼鈍前の材料表面に付着しないようにすることが肝要である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の限定理由を以下に示す。
(1)Sn濃度
Snが500 mass ppm未満では所望の強度と耐熱性が得られない。Snが2500 mass ppmを超えると,導電率が低下する。また,箔を製造する際に,熱間圧延割れ,圧延中の材料破断等が発生しやすくなる。そこで,Snを500〜2500 mass ppmの範囲に規定する。
【0012】
(2)HおよびO濃度
溶解の際のブローホール防止するために水素濃度を2 mass ppm以下に規定し,Sn酸化物生成を防止するために酸素濃度を20 mass ppm以下に規定する。
また,中間温度脆性に伴う粒界割れの発生ならびに銅箔特性に対する水素の弊害を防止するために,水素濃度を次式で規定する。
[O]×[H]2×[Sn]1/2 ≦1000
([M]はMのmass ppm単位の濃度)
この式は,OおよびSnがHによる脆化を助長することを考慮した経験式である。
【0013】
【実施例】
溶解雰囲気を変化させることにより,種々の酸素および水素濃度の溶銅を溶製し,これにSnを添加した後,幅が500 mm,厚みが200 mmの鋳塊に鋳造した。その後,次の工程で厚さ18μmの箔とした。▲1▼850℃で3時間加熱後,板厚10 mmまで熱間圧延,▲2▼表面を研削して酸化スケールを除去,▲3▼厚さ2 mmまで冷間圧延,▲4▼連続焼鈍炉を用いCO含有雰囲気中で650℃の温度で15秒間加熱する再結晶焼鈍,▲5▼厚さ0.15 mmまで冷間圧延(加工度92.5%),▲6▼連続焼鈍炉を用い種々の雰囲気中で650℃の温度で8秒間加熱する再結晶焼鈍,▲7▼厚さ18μmまでの冷間圧延(加工度88%)。
【0014】
溶解雰囲気を変化させるために,Snを添加する直前の銅箔に対し次の操作を行った。
(A)木炭によるシール:良好雰囲気
(B)木炭被覆を除去し大気と接触:溶湯の酸素濃度を増加させ,また水素濃度も若干増加させた。
(C)木炭被覆した状態で,水蒸気(pH2O=0.04 atm,露点30℃)を含有する窒素ガスを溶湯中に吹き込んだ:溶湯の水素および酸素濃度を増加させた。
また,最後の焼鈍(▲6▼)での加熱雰囲気を次のように変化させた。
(a)ブタン燃焼ガス(CO=30 vol%,残CO2):良好雰囲気
(b)大気:材料中の酸素濃度を増加させた。
(c)水素:材料中の水素濃度を増加させた。
【0015】
18μmまで加工した銅箔について,Sn,HおよびO濃度を次の方法で分析した。Sn:ICP−発光分光法
水素:不活性ガス溶融−熱伝導度法(JIS-Z2614)。
酸素:不活性ガス溶融−赤外線吸収法(JISH1607)。
水素および酸素の分析において,試料表面の酸化膜,試料表面に吸着した水膜等は,酸素および水素分析値を増加させる要因となる。試料が薄くなると試料体積(質量)に対する試料表面積の比が大きくなるため,この表面性状にかかわる分析誤差が大きくなる。そこで,次の方法によりこの分析誤差を小さくした。
▲1▼試料を希硫酸を用いて酸洗いした後,アセトンを用いて脱脂した。その後,乾燥したN2気流中に保持して表面水膜をできるだけ除去してから,分析機の坩堝に投入しHまたはOを抽出した。
▲2▼希硫酸で酸洗いし,アセトンで脱脂した後の試料の酸化膜厚を測定し,分析で得られるO濃度から,酸化膜が含有するO濃度を引いた。酸化膜厚の測定には,定電流電解法(小泉達也,古谷修一,黒羽敏明,前田靖男:伸銅技術研究会誌,Vol.15(1976),p.211.)を用いた。定電流電解法では酸化膜を還元するために要した電気量が測定されるが,この電気量を酸素のモル数に換算し,酸化膜が含有する酸素重量を求めた。電解液には0.1 mole/lのKCl水溶液を用い,試料の電流密度は0.03 mA/cm2とした。
【0016】
製造性として,熱間圧延での割れの発生状況および最終の冷間圧延における材料の破断回数を評価した。
18μmに加工した箔について,オンラインで,CCDカメラにより,直径が50μmを超えるピンホールの数を測定し,長さ1000mあたりのピンホール個数に換算した。
また,18μmに加工した箔について,次の特性を評価した。
導電率:四端子法により20℃での導電率を測定した。
引張強さ: IPC規格(IPC-TM-650)に準じ,室温で引張試験を行ない,引張り強さを求めた。銅箔を幅12.7 mm,長さ150 mmの短冊状に切断した。試料採取は試料の長さ方向が圧延方向と一致するように行った。この試料を,評点距離50 mm,速度50 mm/分で引張り,試料が破断するまでの過程における最大強度を求めた。
耐熱性:半軟化温度により耐熱性を評価した。半軟化温度とは引張り強さが,焼鈍前の値と完全軟化後(ここでは400℃で1時間焼鈍後)の値との中間の値になるときの焼鈍温度であり,焼鈍時間が1時間の条件で求めた。
80 ℃における屈曲性:図1に示す装置により,屈曲疲労寿命の測定を行った。この装置は,発振駆動体4に振動伝達部材3を結合した構造になっており,被試験銅箔1は,矢印で示したねじ2の部分と3の先端部の計4点で装置に固定される。振動部3が上下に駆動すると,銅箔1の中間部は,所定の曲率半径rでヘアピン状に屈曲される。試料をセットした装置駆動部を,温度を80℃に調整した加熱炉中に挿入し,屈曲変形を繰り返した時の破断までの回数を求めた。測定条件は次の通りである。試験片幅:12.7 mm,試験片長さ:200 mm,試験片採取方向:試験片の長さ方向が圧延方向と平行になるように採取,曲率半径r:5 mm,振動ストローク:25 mm,振動速度:1500回/分。
【0017】
(実施例1)
表1に請求項1に対する発明例と比較例を示す。ここで,α= [O]×[H]2×[Sn]1/2 ([M]はMのmass ppm単位の濃度)である。
【0018】
【表1】
【0019】
No.1〜7は発明例であり、Sn濃度は500〜2500ppmである。木炭によるシール雰囲気で溶解し,ブタン燃焼ガス雰囲気中で焼鈍したため,H≦2 mass ppm,O≦20 mass ppmであり,本発明の請求項1を満たしている。これらの製造性は良好であり,ピンホールは発生しなかった。また、所望の強度、耐熱性、導電性を有している。
【0020】
一方、No.8および9はそれぞれSnを添加していない場合およびSnが本発明の請求範囲より低い場合の比較例である。木炭によるシール雰囲気で溶解し,ブタン燃焼ガス雰囲気中で焼鈍したところ,製造性は良好でありピンホールも発生しなかったが、所望の強度、及び耐熱性を得ることができなかった。No.10はSnが本発明の請求範囲を超える場合の比較例であり,木炭によるシール雰囲気で溶解し,ブタン燃焼ガス雰囲気中で焼鈍したにもかかわらず,熱間圧延で微細な割れが発生し,最終圧延で破断し,ピンホールの発生も認められた。
【0021】
No.11〜13は,溶解の際に木炭被覆を除去して大気と接触させ,ブタン燃焼ガス中で焼鈍した場合の比較例である。Oが20 mass ppmを超え,Hは2 mass ppm以下であるもののNo.1〜7のHと比較して高めであり、熱間圧延割れは発生しなかったが,最終の冷間圧延で材料が破断することがあり,またかなりの頻度でピンホールが発生した。No.14〜16は,溶解の際に木炭被覆を除去して大気と接触させ,大気中で焼鈍した場合の比較例であり,No.11〜13と比較してHは同レベルであるがOが高く、No.11〜13と同様に最終の冷間圧延での材料破断及びかなりの頻度でのピンホールの発生が見られた。No.17〜19は,溶解の際に木炭被覆を除去して大気と接触させ,水素中で焼鈍した場合の比較例である。Oが20 mass ppmを超え,Hは2 mass ppmを超えており、No.11〜16よりも高い。No.17〜19では,No.11〜16と比較して破断回数およびピンホール個数が多かった。
【0022】
No.20〜22は,溶解の際に溶湯中に水蒸気を吹き込んだ比較例であり,O,H濃度とも非常に高い。熱間圧延で割れが発生し,次工程で割れた部分を切削して除去し,加工を進めたが,最終圧延では10回以上も破断した。 また,極めて高い頻度でピンホールが発生した。
【0023】
(実施例2)表2に比較例を示す。これらの特性を,本発明の表1のNo.1〜7の特性と比較する。No.23〜25は,木炭によるシール雰囲気で溶解し,大気雰囲気中で焼鈍した場合である。H≦2 mass ppm,O≦20 mass ppmを満たすものの,Oが高めであるためα>1000である。また,No.26〜28は,木炭によるシール雰囲気で溶解し,水素雰囲気中で焼鈍した場合である。H≦2 mass ppm,O≦20 mass ppmを満たすものの,Hが高めであるためα>1000である。No.23〜28の製造性は良好であったが,長さ1000mあたりに数個の頻度でピンホールが発生した。このピンホールのレベルであれば,ピンホール部を切除することにより,電子材料等の素材として使用することができる。しかしながら80℃での屈曲寿命においてNo.1〜7が700,000回を超える高い値を示しているのに対し,No.23〜28の屈曲寿命は最大でも330,000回と低い。
【0024】
【表2】
【0025】
なお、ピンホールが発生しなかったNo.1〜7(α≦1000),ピンホールが発生したもののその頻度が許容レベルであったNo.23〜28(α>1000),およびSn濃度が発明範囲からはずれるNo.8〜9について,導電率,引張強さ,半軟化温度および80℃での屈曲寿命の結果をSn濃度に対してプロットし図2〜5に示す。
図2に示すように,Sn濃度の増加とともに導電率が低下する。Snを2500 ppmより低くすると,85 %IACSを超える導電率が得られる。導電率は85 %IACSを超えれば十分である。
図3,4に示すように,Snが0〜500 mass ppmの範囲で,引張り強さおよび半軟化温度は急激に増加する。Sn>500 mass ppmの範囲では高い引張り強さおよび高い半軟化温度が安定して得られている。α>1000の試料の引張強さおよび半軟化温度は,α≦1000の試料の引張強さおよび半軟化温度より低く,ばらつきも大きい。No.10及びNo. 23〜28の試料では,材料破断やピンホールとして顕在化しないレベルの微細な割れや穴が内在すること,Snが酸化して介在物となり強度および耐熱性向上に寄与する固溶Snが減少したこと等が原因と考えられる。低強度,低耐熱性の銅箔では,その加工工程において,電気回路の断線,銅箔の破断等が生じやすい。
図5に示すように,Snを添加すると,80℃での屈曲寿命が若干向上する。α>1000の試料の屈曲寿命は,α≦1000の試料の屈曲寿命より著しく短い。微細な割れや穴が存在すること,試験中に水素が粒界に移動して粒界が脆化すること,酸素がこの水素脆化を助長したこと等が原因と考えられる。
【0026】
【発明の効果】
Snを含有するCuを素材とする銅合金箔について,その製造性,品質および特性を改善することでフレキシブル基板(FPC),テープキャリアパッケージ(TCP,TAB),チップオンフレックス(COF),リチウムイオン二次電池の負極集電体,マイクロモーターのコイル用電線,電線被覆材等に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 屈曲寿命の測定を行うために使用した屈曲試験装置の説明図である。
【図2】 Sn濃度と導電率の関係を示すグラフである。
【図3】 Sn濃度と引張り強さの関係を示すグラフである。
【図4】 Sn濃度と半軟化温度の関係を示すグラフである。
【図5】 Sn濃度と屈曲寿命の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 銅箔
2 ねじ
3 振動伝達部材
4 発振駆動体

Claims (1)

  1. 500〜2500 mass ppmのSnを含有し,酸素含有量が20 mass ppm以下,水素含有量が2 mass ppm以下であり,
    [O]×[H]×[Sn]1/2≦1000
    ([M]はMのmass ppm単位の濃度)であり,残部Cu及び不可避的不純物からなる厚さ18μmの屈曲性に優れた銅合金圧延箔
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