JPH07258777A - コネクタ用銅基合金およびその製造法 - Google Patents

コネクタ用銅基合金およびその製造法

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JPH07258777A
JPH07258777A JP7399394A JP7399394A JPH07258777A JP H07258777 A JPH07258777 A JP H07258777A JP 7399394 A JP7399394 A JP 7399394A JP 7399394 A JP7399394 A JP 7399394A JP H07258777 A JPH07258777 A JP H07258777A
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章 菅原
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Naoki Tsunoda
直樹 角田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 強度と導電率のバランス、耐食性、耐応力腐
食割れ性、耐応力緩和特性等の諸特性すべてに優れ、軽
量化された高信頼性かつ低コストの新規なコネクタ用銅
基合金材料およびその製造方法を提供すること。 【構成】 図1の多角形の内部の点の座標で表される濃
度でZnおよびSnを含有する銅基合金を高周波誘導溶
解炉で溶製し、Arガス雰囲気中で鋳塊に鋳造した後、
直ちに水冷し、次いで冷間圧延と焼鈍を繰り返して厚さ
0.6mmまで冷間圧延する。次に450℃で30分間熱
処理後水急冷し、さらに酸洗を施して得た熱処理材を厚
さ0.25mmまで冷間圧延して所望のコネクタ用合金材
を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コネクタ等の電気・電
子部品用材料として好適な中強度・中導電性銅基合金お
よびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年のエレクトロニクスの発達により、
種々の機械の電気配線の複雑化・高集積化が進み、これ
に伴ってコネクタ等の電気・電子部品用伸銅品材料の需
要が増加している。
【0003】また、コネクタ等の電気・電子部品には、
より一層の軽量化、高信頼化、低コスト化が要求される
ようになり、これらの要求を満たすものとなるようにす
るために、コネクタ用銅基合金材料は薄肉化され、ま
た、複雑な形状にプレスされるため、強度、弾性、導電
性およびプレス成形性が良好でなければならないとされ
ている。
【0004】具体的には、端子について、挿抜時や曲げ
に対して座屈しない強度、電線の加締め、保持に対する
強度等の改善が望まれ、したがって引張強さは、450
N/mm2 以上であることが好ましく、さらに通電によるジ
ュール熱発生を抑えるため導電率は、39%IACS 以上で
あることが好ましいとされている。
【0005】また、端子の小型化によりプレス成形性の
要求も厳しくなり、曲げ部半径(R)と板厚(t)との
比R/tが1以下を満足する加工性が必要である。更
に、耐食性、耐応力腐食割れ性に優れていることが必要
であり、またメス端子に至っては、熱的負荷が加わるこ
とから、耐応力緩和特性にも優れていなければならな
い。
【0006】従来、コネクタ材としては黄銅等が低コス
トの材料として使用されていたが、これらは強度と導電
率のバランス、耐食性、耐応力腐食割れ性、耐応力緩和
特性等の点では劣っていた。このように、上記の諸特性
を同時に兼備し、しかも安価なコネクタ用合金材料は得
られていなかった。
【0007】一般にコネクタ等の電気・電子部品はSn
めっきされることが多いため、プレス工程で生じたプレ
スくずを溶解原料として再使用するためには、脱脂、め
っき剥離等の予備処理が必要であった。またプレスくず
を直接原料として使用した場合には、プレス油の燃焼
(酸化)や蒸発の過程で炉壁を痛めたり、水素の吸蔵に
よるインゴットのブローホール発生があったりして、歩
留まり低下等、コストアップの要因となっていた。
【0008】さらに、従来のめっき材の製造工程におい
ては母材となる材料の製造工程とSnめっき等の表面処
理工程とが各々独立して実施されており、熱処理等をは
じめとした工程短縮等によるコストダウンの余地が残さ
れていた。
【0009】また、母材の材質によって、Cu下地めっ
きの有無や厚さ等が検討されているが、これはめっき加
熱剥離の見地から検討されたものであり、耐応力緩和特
性、はんだ付け性、接触抵抗、ばね性などコネクタ端子
として要求される特性について、総合的には検討されて
おらず、このためCuやSnの最適膜厚の検討は不十分
であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、エレクトロ
ニクスの発達にともない、コネクタ等の電気、電子部品
用材料に要求される上記のような諸特性を兼備した銅基
合金、すなわち強度、弾性、導電率、プレス成形性等に
優れたコネクタ用銅基合金およびその製造法を提供する
ものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は斯かる課題
を解決するために鋭意研究した結果、銅に添加する成分
の種類を極めて少なくするとともに、銅材より安価な成
分を添加することにより低コスト化を図ることによって
コネクタ等の電気・電子部品の製造用材料に要求される
強度・弾性・導電率・プレス成形性等に優れた諸特性を
兼備したコネクタ用銅合金を開発することができた。
【0012】さらにまた、Snで表面処理した合金のプ
レスくずを直接溶解原料として再使用することが可能と
なるようにするとともに、本合金のSn表面処理材をよ
り有利に得るための製造法の提供を目的とする。
【0013】すなわち本発明は、第1に、添加成分元素
の含有量がZn:3.0〜7.0wt% 、Sn:0.2〜
1.0wt% であり、且つそれらの添加量が次式(1) で表
わされる関係を満たし、 1.0≦0.2X+Y≦1.8 (1) [但し、XはZnの添加量(wt% )であり、YはSnの
添加量(wt% )である。]不純物の合計が0.2wt% 以
下である銅基合金であって、引張強さが450N/mm2
上、導電率が39%IACS 以上であることを特徴とするコ
ネクタ用銅基合金に関し;第2に、添加成分元素の含有
量がZn:3.0〜7.0wt% 、Sn:0.2〜1.0
wt% であり、且つそれらの添加量が次式(1) で表わされ
る関係を満たし、 1.0≦0.2X+Y≦1.8 (1) [但し、XはZnの添加量(wt% )であり、YはSnの
添加量(wt% )である。]不純物の合計が0.2wt% 以
下である銅基合金に、Snで表面処理した材料を添加し
て、コネクタ用銅基合金を製造するに際し、予めSnで
表面処理した材料を300〜600℃の温度で0.5〜
24時間、大気中または不活性雰囲気中で熱処理を行な
った後、上記銅基合金を溶解して鋳塊となし、次いで該
鋳塊を熱間圧延、冷間圧延および焼鈍することを繰返し
てコネクタ用銅基合金薄板とすることを特徴とするコネ
クタ用銅基合金の製造法に関し;第3に、添加成分元素
の含有量がZn:3.0〜7.0wt% 、Sn:0.2〜
1.0wt% であり、且つそれらの添加量が次式(1) で表
わされる関係を満たし、 1.0≦0.2X+Y≦1.8 (1) [但し、XはZnの添加量(wt% )であり、YはSnの
添加量(wt% )である。]不純物の合計が0.2wt% 以
下である銅基合金を原材料として用い、350〜750
℃の温度で1〜360分の熱処理後、加工率40%以上
で冷間加工して得た材料の表面に、Cu下地を0.3〜
1.0μm、SnをCu下地上に0.5〜2.0μmの
厚さに表面処理し、次いで100〜280℃の温度で1
〜180分の熱処理を施すことを特徴とするコネクタ用
銅基合金の製造法に関する。
【0014】
【作用】本発明の銅基合金におけるZnおよびSnの成
分量限定理由は以下に基づく。
【0015】Zn: Znを添加することにより、強
度、弾性が向上する。Cuより安価であるため多量に添
加することが望ましいが、7wt% を越えると耐食性、耐
応力腐食割れ性、導電率および耐応力緩和特性が低下す
る。さらにめっき性、はんだ付け性が低下する。一方、
3wt% より少ないと強度、弾性が不足する。さらにSn
で表面処理したスクラップを原料とした場合に、溶解時
の水素ガス吸蔵量が多くなり、インゴットのブローホー
ルが発生しやすくなる。また、安価なZnが少ないので
あるから、経済的にも不利になる。したがって、Znは
3.0〜7.0wt% の範囲であることが好ましい。
【0016】Sn: Snは微量で強度、弾性をはじめ
とした機械的特性を向上させる効果がある。また、Sn
めっき材等のSnで表面処理した材料の再利用の点から
も添加元素として含有されるのが好ましい。しかしなが
ら、Sn含有量が増すと導電率が急激に低下し、また熱
間加工性も低下する。このため導電率39%IACS を確保
するためには、1.0wt% を越えない範囲でなければな
らず、また逆に0.2wt% より少ないと以上のような効
果を得られないことから、Snの添加量は0.2〜1.
0wt% の範囲であればよい。
【0017】また上述のように限定された成分の範囲で
あれば、Cuの固溶限を越えない範囲であるため均一な
組成の合金が得られ、尚且つ以下の式(1) により限定さ
れる範囲(図1に示す斜線部が、本発明銅基合金の組成
範囲である)で、Zn、Snを母合金のCuに添加する
ことで引張強さ450N/mm2 以上、導電率が39%IACS
以上、さらにコネクタ材として必要な諸特性、具体的に
は耐食性、耐応力腐食割れ性(アンモニア蒸気中での割
れ寿命が黄銅1種の10倍以上)、耐応力緩和特性(1
20〜150℃における緩和率が黄銅1種の半分以
下)、成形加工性(R/t≦1.0の90°W曲げにも
クラック発生無し)等を満足する銅基合金を作製でき
る。 1.0≦0.2X+Y≦1.8 (1) [但し、XはZnの添加量(wt% )であり、YはSnの
添加量(wt% )である。]さらに、その他の不純物はで
きるだけ少ないほうが望ましい。特に一般的に含有され
やすいFe、Siは少量の含有で導電率の低下や、熱処
理時の硬度のばらつきを大きくし、また再結晶時におけ
る結晶粒の制御が難しくなるため、Feは0.1wt% 以
下、さらに好ましくは0.05wt% 以下、Siは0.0
5wt% 以下、さらに好ましくは0.03wt% 以下とす
る。
【0018】また、不純物の合計が0.2wt% を越える
と導電率の低下以外に、不純物含有の影響による成形加
工性の低下や酸化皮膜の影響による接触抵抗の増大、は
んだ付け性の低下を生じ、また製造上も歩留まりや特性
にばらつきが発生しやすくなることから、不純物の合計
は0.2wt% 以下とする。
【0019】本発明法において製造条件を限定する理由
は、以下の通りである。すなわち、合金製造の溶解原料
としてSnで表面処理した材料のプレス打ち抜きくずを
用いる場合には、溶解に際し、予め300〜600℃の
温度で0.5〜24時間大気中または不活性雰囲気中で
熱処理を行なった後に溶解する。
【0020】これは300℃未満の温度では、プレスく
ずに付着したプレス油の燃焼が不十分であり、また保管
中に吸着した水分の乾燥が不十分である場合には、この
後急激に温度を上昇させて溶解作業に入ると、分解によ
り生成した水素を溶湯中に吸収しブローホール発生の原
因となるからである。逆に600℃を越える温度では、
酸化が急激に進みドロス発生の原因となるが、このドロ
スは溶湯の粘性を高め鋳造性を低下させる因となる。し
たがって上記熱処理温度としては、300〜600℃の
範囲が好ましい。
【0021】熱処理時間として、0.5時間未満の時間
では、プレス油の燃焼や水分の乾燥が充分でなく、24
時間を越える時間では母材のCuがSn表面処理層に拡
散して酸化することによってCu−Sn−O系の酸化物
を形成してドロス発生の因となり、また経済的にも問題
がある。
【0022】熱処理雰囲気としては、大気中で充分であ
るが、不活性ガスでシールした方が酸化防止の面からも
好ましい。逆に還元ガス中では高温になると水分の分解
による水素の拡散によって不利になることが判明してい
る。
【0023】また、本発明の銅合金材料を350〜75
0℃の温度で1〜360分熱処理後、加工率40%以上
で冷間加工した材料の表面に、Cu下地を0.3〜1.
0μm、Snを0.5〜2.0μmの厚さで表面被覆し
た後に、100〜280℃の温度で1〜180分熱処理
を施すとさらにコネクタ用材料としての特性が向上する
ことを見い出した。
【0024】この場合、最終冷間加工前の焼鈍におい
て、結晶粒径を5〜20μmに制御すればプレス成形性
が向上するが、この時の処理温度は350〜750℃が
好ましい。これは350℃未満の温度では再結晶に必要
な温度としては低すぎ、処理時間が長くなるため経済的
でなく、逆に750℃を越える温度では短時間で結晶粒
が粗大化し、粒径の制御が難しい。
【0025】処理時間は、1〜360分が好ましい。こ
れは処理時間が短かすぎると再結晶による結晶粒の制御
が十分でなく、長すぎると結晶粒の成長、粗大化が起こ
りやすく、また経済的にも不利となるからである。
【0026】最終冷間加工率は40%以上であることが
好ましい。40%未満では加工硬化による強度、硬度等
の向上が十分でない。但し、加工率が大きすぎると加工
性が低下するので、より好ましい範囲としては40〜8
0%の範囲である。
【0027】このようにして得られた材料に、表面処理
としてCu下地を0.3〜1.0μm、Snの表面処理
被覆を0.5〜2.0μm施す。Cu下地が0.3μm
未満では、合金中のZnが表面処理層および表面に拡散
し酸化することによる接触抵抗の増加や、はんだ付け性
の低下を防止する効果が少なく、1.0μmを越えても
効果が飽和し、また経済的でもなくなる。
【0028】Sn表面処理層は、0.5μm未満では耐
食性、特に耐硫化水素性が不十分であり、逆に2.0μ
mを越えても効果が飽和し、経済的に不利となる。
【0029】さらに、これらの表面処理は電気めっきに
よって実施すれば、膜厚の均一性、経済性の面から好ま
しく、尚、より好ましくは表面処理後に光沢を出すため
にリフロー処理を施すとよい。
【0030】これらの表面処理後に熱処理を行うとさら
にウィスカ対策をはじめとした特性の向上が図れること
が判明した。すなわち、上記表面処理材を100〜28
0℃の温度で1〜180分熱処理することによって、材
料のばね限界値、耐応力緩和特性が向上し、ウィスカ対
策が実現できる。100℃未満の温度ではこのような効
果が十分でなく、280℃を越えると拡散や酸化によ
り、接触抵抗、はんだ付け性、加工性が低下する。ま
た、熱処理時間が1分未満では効果が十分でなく180
分を超えると拡散や酸化による前述の特性低下が起こり
経済的でない。
【0031】以下、実施例をもって詳細に説明するが、
本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0032】
【実施例1】表1に化学成分(wt% )を示す銅基合金N
o.1〜11を高周波誘導溶解炉を用いて溶製し、40
×40×150(mm)の鋳塊に鋳造した。ただし溶解鋳造
時の雰囲気はArガス雰囲気とした。鋳造後直ちに水冷
し、各鋳塊について冷間圧延と焼鈍を繰り返し、厚さ
0.6mmまで冷間圧延した。
【0033】次いで、450℃の温度で30分間熱処理
後、水急冷を行い、さらに酸洗を施して得た熱処理材を
厚さ0.25mmまで冷間圧延し、試験材とした。
【0034】尚、表1に示した本発明合金No.1〜8
中の不純物は、それぞれ合計0.2wt% 以下であり、特
にFe、Siは共に0.05wt% 以下であった。
【0035】以上のようにして得られた試験材を用いて
硬さ、引張強さおよび導電率の測定を行なった。測定方
法はそれぞれJIS Z 2244、JIS Z 22
41、JIS H 0505に従った。また、曲げ加工
性は、90°W曲げ試験(CES−M−0002−6、
R=0.2mm、圧延方向および垂直方向)を行ない、中
央部の山表面が良好なものを○印、しわの発生したもの
を△印、割れの発生したものを×印として評価し、これ
らの結果を表1に併せて示した。
【0036】
【表1】 表1に示した結果から、本発明に係わるNo.1〜8の
銅合金は引張強さ、導電率のバランスに優れ、また曲げ
加工性も良好であることがわる。従ってこれらはコネク
タ等の電気・電子部品用材料として非常に優れた特性を
有する銅合金である。これに対して、Zn含有量の多い
No.9、Fe不純物の多いNo.10、Fe,Si不
純物の多いNo.11は、導電率、曲げ加工性に劣って
いることがわかる。
【0037】
【実施例2】実施例1の表1に示す本発明合金No.1
と市販の黄銅1種(C2600−EH,C2600−H
材)について、硬さ、引張強さ、ばね限界値、導電率、
耐応力腐食割れ性、耐熱温度を試験測定した。この場
合、硬さ、引張強さおよび導電率の測定試験は、実施例
1と同様の測定法であり、ばね限界値の測定は、JIS
H 3130にしたがって行なった。応力腐食割れ時間
は試料に約400N/mm2 の曲げ応力を負荷し、12.5
%アンモニア水の入ったデシケータ内に暴露して割れが
発生した時間である。耐熱温度は、30分加熱保持後の
硬さが、初期硬さの90%となる温度とした。このよう
にして得た結果を表2に併せて示した。
【0038】
【表2】 表2に示す結果から、本発明の銅基合金は、従来の代表
的なコネクタ等の電気・電子部品用材料である黄銅に比
較して、導電率、耐応力腐食割れ性、耐熱性が向上して
いることがわかる。従って、本発明の銅基合金は、耐環
境性、信頼性に優れていることが明らかである。
【0039】
【実施例3】
【0040】
【表3】
【0041】表3に示す組成の本発明合金条材を作製
後、Cu下地めっきを0.5μm、Snめっきを1.1
μm施した後、プレス打ち抜きした材料を溶解鋳造用の
原料として準備した。鋳造における目標組成は第3表と
し、また、溶解用の原料としてプレスくずを約1t、残
りは電気Cu、Znにより成分調整し約2tのインゴッ
トを6本得た。得られたインゴットの成分はほぼ表3に
示すものと同一であった。
【0042】これらの得られたインゴットのうち3本
は、原料のプレスくずを450℃で、3時間大気中で加
熱処理して用いたものであり、残りの3本は何ら処理を
せずに用いたものである。各インゴットを急速に溶解
し、2tのインゴットを鋳造して、熱間圧延、冷間圧
延、焼鈍を繰り返し、0.25mmに仕上げた。このよう
にして得られた材料の全長を検査し、インゴットのブロ
ーホールに起因した欠点の個数を数え、その結果を表4
に示した。
【0043】
【表4】
【0044】表4に示す結果から、本発明法に従ってプ
レスくずを熱処理して用いたものは欠陥がなく優れてい
たのに対し、熱処理をしないで用いた製品には欠陥が発
生しており、歩留まりに問題があることがわかる。
【0045】
【実施例4】実施例1によって得られた本発明合金N
o.1にCu下地めっき0.5μm、Snめっき1.1
μmを施した後、150℃の温度で60分の熱処理を実
施したものと、めっき処理後熱処理しなかったものの特
性を比較し、その結果を表5に示した。ただし、応力緩
和率は、試験片の中央部の応力が、400N/mm2 になる
ようにアーチ状に曲げ150℃の温度で500時間保持
後の曲げぐせを応力緩和率として次式により算出した。
【0046】応力緩和率(%)=[(L1 −L2 )/
(L1 −L0 )]×100 L0 :治具の長さ(mm) L1 :開始前の試料長さ(mm) L2 :処理後の試料端間の水平距離(mm)
【0047】
【表5】
【0048】表5に示す結果より、めっき処理後本発明
法によって熱処理した材料は、熱処理をしなかった材料
に比べて諸特性に優れ、コネクタ用として適しているこ
とがわかった。
【0049】
【発明の効果】上述のように本発明に係る銅基合金また
は本発明法によって得られた材料は、従来合金である黄
銅等に比較して、引張強さ、導電率のバランスや成形加
工性をはじめ、耐環境性、耐熱性、耐応力緩和率保持性
等に優れるため、黄銅に代わる安価なコネクタ等の電気
・電子部品材料として最適なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明銅基合金の組成範囲を示す分布図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田辺 郁 東京都千代田区丸の内1丁目8番2号 同 和鉱業株式会社内 (72)発明者 加藤 哲男 静岡県榛原郡榛原町布引原206−1 矢崎 部品株式会社内 (72)発明者 太田 幸男 静岡県榛原郡榛原町布引原206−1 矢崎 部品株式会社内 (72)発明者 角田 直樹 静岡県榛原郡榛原町布引原206−1 矢崎 部品株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 添加成分元素の含有量がZn:3.0〜
    7.0wt% 、Sn:0.2〜1.0wt% であり、且つそ
    れらの添加量が次式(1) で表わされる関係を満たし、 1.0≦0.2X+Y≦1.8 (1) [但し、XはZnの添加量(wt% )であり、YはSnの
    添加量(wt% )である。]不純物の合計が0.2wt% 以
    下である銅基合金であって、引張強さが450N/mm2
    上、導電率が39%IACS 以上であることを特徴とするコ
    ネクタ用銅基合金。
  2. 【請求項2】 添加成分元素の含有量がZn:3.0〜
    7.0wt% 、Sn:0.2〜1.0wt% であり、且つそ
    れらの添加量が次式(1) で表わされる関係を満たし、 1.0≦0.2X+Y≦1.8 (1) [但し、XはZnの添加量(wt% )であり、YはSnの
    添加量(wt% )である。]不純物の合計が0.2wt% 以
    下である銅基合金に、Snで表面処理した材料を添加し
    て、コネクタ用銅基合金を製造するに際し、 予めSnで表面処理した材料を300〜600℃の温度
    で0.5〜24時間、大気中または不活性雰囲気中で熱
    処理を行なった後、上記銅基合金と共に溶解して鋳塊と
    なし、次いで該鋳塊を熱間圧延、冷間圧延および焼鈍す
    ることを繰返してコネクタ用銅基合金薄板とすることを
    特徴とするコネクタ用銅基合金の製造法。
  3. 【請求項3】 添加成分元素の含有量がZn:3.0〜
    7.0wt% 、Sn:0.2〜1.0wt% であり、且つそ
    れらの添加量が次式(1) で表わされる関係を満たし、 1.0≦0.2X+Y≦1.8 (1) [但し、XはZnの添加量(wt% )であり、YはSnの
    添加量(wt% )である。]不純物の合計が0.2wt% 以
    下である銅基合金を原材料として用い、 350〜750℃の温度で1〜360分の熱処理後、加
    工率40%以上で冷間加工して得た材料の表面に、 Cu下地を0.3〜1.0μm、SnをCu下地上に
    0.5〜2.0μmの厚さで表面処理層として形成し、 次いで100〜280℃の温度で1〜180分の熱処理
    を施すことを特徴とするコネクタ用銅基合金の製造法。
JP06073993A 1994-03-18 1994-03-18 コネクタ用銅基合金の製造法 Expired - Lifetime JP3105392B2 (ja)

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