JP3910351B2 - 固定砥粒ワイヤ工具のクリーニング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコン、水晶、石英などの硬脆材料や金属材料を切断する固定砥粒ワイヤ工具のクリーニング方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリコンインゴット、水晶、石英などの硬脆材料や金属材料の切断工具としてワイヤ工具が用いられているが、特に近年のシリコンウェーハの大口径化にともない、ワイヤ工具はシリコンウェーハのインゴットを切断する手段として注目されている。
【0003】
シリコンインゴットの切断加工には、従来は内周刃による切断方式が適用されてきた。そして近年、半導体デバイスの生産コストの低減、適正化をはかるために、シリコンウェーハは大口径化の一途をたどっているが、そうしたウェーハの大口径化に対しては、内周刃の大径化で対応してきた。しかし、特に8インチ以上のシリコンインゴットに対しては、「スループットの向上に限界がある」、「カーフロスが大きい」、「切断ジグへの内周刃のセッティングが困難である」などの理由により、シリコンインゴットの切断方法は内周刃切断方式からマルチワイヤ切断方式に置き換わりつつある。
【0004】
このマルチワイヤ切断方式によるシリコンインゴットの切断加工は、図8に示すように、ピアノ線などのワイヤ1の新線リール2から巻き取りローラ5までの所定経路中に、ダンサローラ3および複数のメインローラ4などを設けて、インゴット6に近接する所定のピッチのワイヤ列を形成するもので、スラリーノズル7から高粘度の研磨剤スラリーを供給するとともに、インゴット6をそのワイヤ列に押し付けることにより、インゴット6の切断を行う、という遊離砥粒加工であった。しかしながら、遊離砥粒加工法ゆえに、「多量の産業廃棄物(廃液)を生じる」、「作業環境が極めて悪い」、「ランニングコストが高い」、「切断後のウエーハ洗浄が難しい」、「加工能率の向上が望めない」、「切断精度が悪い」などの欠点があった。
【0005】
そこで、これらの問題を解決するものとして、ワイヤに砥粒を固着させたワイヤ工具、すなわち固定砥粒ワイヤ工具の発明・開発がなされている(例えば、特開平7−9645号公報、特開平8−126953号公報、特開平9−155631号公報、特開平10−138114号公報、特開平11−48035号公報、特願平10−032089号など)。
【0006】
しかしながら、こうした固定砥粒ワイヤ工具は、先述の遊離砥粒加工方式によるワイヤ切断加工の欠点を解決できる反面、切断加工中に切屑が工具表面上に堆積し、砥粒の突き出し高さが不十分となる、いわゆる目詰まりが生じやすいため、切断能率が急激に低下したり、切断抵抗が急増してしまうなどの問題が度々発生する。
【0007】
そこで、こうした固定砥粒ワイヤ工具の目詰まりを防ぐために、工具のクリーニング方法として、いくつかの発明がなされている。例えば、特開平11−28654号公報には、ワイヤ工具にドレッシングストーンを押しつけ、工具上に堆積した切屑などを除去する方法が開示されている。しかし、研削砥石などの一般的な固定砥粒加工工具と異なり、ワイヤ工具においては、砥粒層が極めて薄いため、ドレッシングストーンを押しつけることで、多くの砥粒が脱落してしまい、工具寿命が著しく短くなる、という問題がある。こうした問題を解決するために、特開平11−70456号公報には、洗浄液を高圧で工具に噴射する方法が開示されている。
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の特開平11−70456号公報に開示された技術では、ワイヤ表面に露出した多くの砥粒を十分にクリーニングすることが難しい、という問題がある。
【0008】
本発明は、こうした問題に着目してなされたもので、固定砥粒ワイヤ工具の目詰まりを確実に防止し、かつ過剰に工具を摩耗させず、工具の長寿命化を実現できる、固定砥粒ワイヤ工具のクリーニング装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
参考として、本発明は、ワイヤ表面に砥粒が固着された固定砥粒ワイヤ工具のクリーニング方法であって、前記固定砥粒ワイヤ工具を用いた切断加工時に、走行中のワイヤ工具にブラシを押し当てることによって、ワイヤ表面をクリーニングするものである。
【0010】
ブラシ洗浄は、機械的な作用による洗浄であるため、洗浄液による洗浄に比べ、洗浄能力に優れ、また、ドレッシングストーンといった硬質な工具に比べると、柔軟性、可撓性があるため、砥粒が固着してある砥粒層を削り落とすことなく、工具表面に堆積した切屑のみを除去することができる。こうして、ブラシをワイヤ工具に押しあてることで、ワイヤ工具表面に堆積した切屑のみを、確実かつ効果的に除去することが可能となり、安定した加工また工具の長寿命化を実現できる。
【0011】
参考として、本発明は、ワイヤ表面に砥粒が固着された固定砥粒ワイヤ工具のクリーニング方法であって、前記固定砥粒ワイヤ工具を用いた切断加工時に、走行中のワイヤ工具にブラシを当接し、このブラシを駆動することによって、ワイヤ表面をクリーニングするものである。
【0012】
ワイヤ表面にブラシを当接して回転させることにより、ワイヤ工具表面に堆積した切屑を確実かつ効果的に除去することが可能となる。
【0013】
参考として、本発明は、ワイヤ表面に砥粒が固着された固定砥粒ワイヤ工具のクリーニング方法であって、前記固定砥粒ワイヤ工具を用いた切断加工時に、走行中のワイヤ工具にブラシを当接し、このブラシを回転することによって、ワイヤ表面をクリーニングするものである。
【0014】
走行中のワイヤ工具にブラシを当接して回転することにより、前記ワイヤ工具に付着・堆積した切屑をブラシ面で掻き落とすことができる。例えば、ロール状ブラシ対で2方向(例えば、上下方向から)からワイヤ工具を挟持しながら回転駆動すると、ワイヤ表面を確実に拭い取ることができる。
【0015】
参考として、前記ブラシは、ナイロンブラシからなるものである。
【0016】
ワイヤ工具クリーニング用のブラシとして、ナイロン製ブラシは、適度な可撓性を有するとともに、繰り返しの撓み動作に対しても、容易に屈曲することがないため、長時間にわたり、同程度のクリーニング性を維持することができる。
【0017】
参考として、前記ブラシは、スポンジブラシからなるものである。
【0018】
工作物やワイヤ工具の種類に応じ、スポンジブラシを用いることで、適切な拭い取り動作を行うことができる。
【0019】
参考として、前記ブラシは、砥粒が固着された砥粒入りブラシからなるものである。
【0020】
ワイヤ工具クリーニング用のブラシとして、砥粒入りブラシを使用することで、砥粒なしの単なるブラシに比べ、より効率的に、工具上に堆積した切屑を除去することができる。砥粒なしの単なるブラシを使用した場合、切屑をより完全に除去するために、ブラシ押し当て力を強める必要が生じる場合があるが、この時、ワイヤそのものが撓んでしまい、切断精度が劣化してしまう恐れがある。これに対し、砥粒入りブラシを使用することで、砥粒なしの単なるブラシを使用する場合に比べ、より低い押し当て力で切屑を完全に除去できるため、ワイヤ撓みを発生させることがなくなり、高い切断精度を得ることができる。
【0021】
参考として、前記走行中のワイヤ工具に対して洗浄液を供給するものである。
【0022】
ブラシ洗浄のみでワイヤ工具表面をクリーニングすると、切屑がブラシに付着し、ブラシによるクリーニング性が徐々に低下していくが、洗浄液洗浄を重畳させることにより、切屑をブラシからも除去でき、クリーニング性を維持することができる。また、切屑の除去に効果的な洗浄液を用いることで、洗浄液の供給で除去容易になった切屑を、ブラシにより完全に洗浄除去することができる。
【0023】
参考として、前記洗浄液は、アルコールからなるものである。
【0024】
切断対象が、例えばシリコンである場合、工具表面に堆積する切屑は、シリコンとその酸化物である。アルコールは、いずれに対しても洗浄効果に優れるため、ワイヤ工具の目詰まり防止に、極めて有効である。さらに洗浄効果の強いものとして、アセトンやメチルエチルケトンなどが挙げられるが、これら溶剤は、ワイヤ工具がレジンボンドワイヤ工具である場合、その結合材樹脂をも軟化あるいは溶解させてしまう恐れがあるため、使用することはできない。
【0025】
請求項1に記載の発明は、ワイヤ表面に砥粒が固着された固定砥粒ワイヤ工具のクリーニング装置であって、工作物の切断加工時に、前記固定砥粒ワイヤ工具を走行させるワイヤ走行手段と、工作物の切断加工でワイヤ表面に付着した汚れをクリーニングするためのブラシと、このブラシを移動して走行中のワイヤ表面に押し当てるための移動手段と、前記固定砥粒ワイヤ工具の走行方向に対し、前記ブラシの長手方向が直交した状態で、前記ブラシがワイヤ走行方向に往復動するよう、前記ブラシを揺動する揺動手段と、を備えたことに特徴がある。
ここでは、ブラシがワイヤ工具と接離可能なので、ブラシによるワイヤ工具のクリーニングを、自動的かつ確実に行うことができ、さらには、工具の目詰まり状態に応じた、クリーニングの実施、例えば、クリーニングをある時間間隔で、不連続に行うこともでき、クリーニングを効果的に実施できる。
また、ブラシの揺動方向として、ワイヤ工具の長手方向(走行方向)に直交する方向にした方が、クリーニング性能は高くなるが、ワイヤ工具を振動させる恐れがある。そこで、ワイヤ走行方向と平行する方向にブラシを揺動させることで、ワイヤ工具に振動を発生させず、クリーニングを行うことができる。
【0026】
請求項2に記載の発明は、ワイヤ表面に砥粒が固着された固定砥粒ワイヤ工具のクリーニング装置であって、工作物の切断加工時に、前記固定砥粒ワイヤ工具を走行させるワイヤ走行手段と、工作物の切断加工でワイヤ表面に付着した汚れをクリーニングするためのブラシと、このブラシを移動して走行中のワイヤ表面に押し当てるための移動手段と、前記ブラシが、走行中のワイヤ表面に当接しながら水平面上で楕円動するよう、前記ブラシを揺動する揺動手段と、を備えたことに特徴がある。
ここでは、ブラシがワイヤ工具と接離可能なので、ブラシによるワイヤ工具のクリーニングを、自動的かつ確実に行うことができ、さらには、工具の目詰まり状態に応じた、クリーニングの実施、例えば、クリーニングをある時間間隔で、不連続に行うこともでき、クリーニングを効果的に実施できる。
また、ブラシの揺動方向として、ワイヤ工具の長手方向(走行方向)に直交する方向にした方が、クリーニング性能は高くなるが、ワイヤ工具を振動させる恐れがある。そこで、ブラシが楕円運動するように揺動することで、ワイヤ工具に振動を発生させず、クリーニングを行うことができる。
【0027】
なお、参考として、本発明は、前記固定砥粒ワイヤ工具の走行方向に対し、前記ブラシの長手方向が直交した状態で、前記ブラシがその長手方向に往復動するよう、前記ブラシを揺動する揺動手段を備えたものである。
【0028】
ブラシの揺動手段をさらに設けたことで、ワイヤ工具のクリーニングを、より確実に行えるとともに、ブラシに付着した切屑などがブラシより払い落とされ、あるいは掻き落とされるので、ブラシのクリーニング効果を長時間にわたり安定して保つことができる。
【0033】
参考として、本発明は、ワイヤ表面に砥粒が固着された固定砥粒ワイヤ工具のクリーニング装置であって、工作物の切断加工時に、前記固定砥粒ワイヤ工具を走行させるワイヤ走行手段と、ワイヤ走行方向に対して長手方向が直交するように軸支されたロール状ブラシと、このロール状ブラシを移動してワイヤ表面に当接させるための移動手段と、前記ロール状ブラシを回転駆動するための駆動手段とを備え、前記移動手段で前記ロール状ブラシを移動してワイヤ表面に当接させ、前記ワイヤ走行手段で前記固定砥粒ワイヤ工具を走行させながら、前記駆動手段で前記ロール状ブラシを回転させることで、工作物の切断加工時にワイヤ表面に付着した汚れをクリーニングするものである。
【0034】
ロール状ブラシによっても、ワイヤ工具のクリーニングを自動的かつ確実に行うことができ、さらには、工具の目詰まり状態に応じた、クリーニングの実施、例えば、クリーニングをある時間間隔で、不連続に行うこともでき、クリーニングを効果的に実施できる。
【0035】
参考として、本発明は、ワイヤ表面に砥粒が固着された固定砥粒ワイヤ工具のクリーニング装置であって、工作物の切断加工時に、前記固定砥粒ワイヤ工具を走行させるワイヤ走行手段と、ワイヤ走行方向に対して長手方向が直交するように軸支され、前記固定砥粒ワイヤ工具を挟持可能なロール状ブラシ対と、このロール状ブラシ対を回転駆動するための駆動手段とを備え、前記ワイヤ走行手段で前記固定砥粒ワイヤ工具を走行させながら、前記ロール状ブラシ対で前記固定砥粒ワイヤ工具を挟持し、前記駆動手段で前記ロール状ブラシ対を回転させることで、工作物の切断加工時にワイヤ表面に付着した汚れをクリーニングするものである。
【0036】
ロール状ブラシ対でワイヤ工具を挟持しながら回転駆動すると、前記ワイヤ工具の外周に付着・堆積した切屑を、工作物やワイヤ工具の種類に応じ、適切な拭い取り動作で確実に拭い取り、あるいは掻き落とすことができる。
【0037】
また、参考として、前記ワイヤ表面にクリーニング用の洗浄液を供給する洗浄液供給手段を備えたものである。
【0038】
ブラシおよび洗浄液によるワイヤ工具のクリーニングを、自動的かつ確実に行うことができ、さらには、工具の目づまり状態に応じた、クリーニングの実施、例えば、ブラシクリーニングや洗浄液供給をある時間間隔で、不連続に行うこともでき、クリーニングを効果的に実施できる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、固定砥粒ワイヤ工具を走行しながら、クリーニング用のブラシをワイヤ表面に押し当てることによって、ワイヤ表面の汚れをクリーニングする固定砥粒ワイヤ工具のクリーニング方法および装置の広範囲な応用を含むものである。
【0040】
[第1の実施形態]
図1に、本発明の第1の実施の形態に係るワイヤ工具のクリーニング装置の概略構成を示し、図2にそのクリーニング部を示す。
【0041】
図1において、ワイヤ列20は、少なくともダイヤモンドなどの砥粒が結合剤でワイヤ表面に固着された、ワイヤ工具によって形成され、前記ワイヤ列20を双方向あるいは1方向に高速走行させることで、シリコンインゴッドなどの工作物24を多数枚に切断加工するものである。前記ワイヤ工具は、一対のワイヤロール(巻取り側および送出し側)21a、21bに巻きまわされ、複数のガイドローラを介して一対のワイヤロール21a、21b間を走行しながら、一対のワイヤロール21a、21b間に配設された複数のメインローラ23a〜23cに巻き掛けられることで、水平なワイヤ列20を形成する。
【0042】
昇降機構25は、工作物24がその下部に装着されたテーブルを垂直に昇降移動するもので、例えばボールネジ機構および直線ガイド機構からなる。具体的には、メインローラ23a、23b間のワイヤ列20に対して垂直に配設したベースの前面に一対のガイドレールを設け、このガイドレール上を前記テーブルがスライド可能なように構成する。さらに、前記ガイドレールに沿ってボールネジを配設するとともに、前記テーブルにナット部を形成し、前記ボールネジに前記ナット部を螺合させ、前記ボールネジを駆動モータの駆動で正逆回転させることにより、工作物24を装着した前記テーブルが前記ガイドレールに沿って昇降移動する。なお、昇降機構25には、本実施形態に限らず、ラックアンドピニオン機構などを用いてもよい。
【0043】
ここで、一対のワイヤロール21a、21bが駆動モータの駆動で回転することにより、ワイヤ列20が設定方向に走行し、昇降機構25の駆動で工作物24が下降して、メインローラ23a、23b間に送り込まれると、前記ワイヤ工具でマルチ切断加工がなされる。前述のように、前記ワイヤ工具は、一方向のみでなく双方向に走行可能なので、双方向に走行する場合には、一対のワイヤロール21a、21bが走行方向に応じて巻取り側または送出し側として使用されることとなる。
【0044】
前記メインローラ23a、23b間のワイヤ列20の上方で、工作物24の下流(各メインローラ側)には、2基の洗浄ノズル27a、27bを設け、工作物24を切断加工した後のワイヤ列20に対して、洗浄液槽26に貯蔵された洗浄液31をポンプ機構(図示せず)で洗浄ノズル27a、27bから噴射、供給するように構成している。この洗浄ノズル27a、27bの長手方向は、ワイヤ列20の走行方向と直交しており、洗浄ノズル27a、27bの下面(ワイヤ列20と対向する側)には、図3(a)に示すように、多数の噴射孔27′が穿設されている。また、前記洗浄液31としては、アルコール、水、油などを用いることができるが、特に、洗浄効果の高いアルコールが好ましい。
【0045】
また、前記メインローラ23a、23b間のワイヤ列20の上方には、工作物24を挟むように清掃部材30a、30bを平行に配設し、切断加工でワイヤ工具に付着した切屑を除去するように構成している。また、清掃部材30a、30bのブラシ軸(長手方向)は、ワイヤ列20の走行方向と直交し、一端側が直線ガイド機構を有するアクチュエータ29a、29bに連結されている。このアクチュエータ29a、29bは、所定の周波数(振動数)で駆動し、清掃部材30a、30bに対してワイヤ走行方向と直交する方向の直線振動を与えるものであり、好ましくは、電磁または超音波リニアモータ、ラックアンドピニオン機構、カム機構、ボールネジ機構のいずれかで構成する。清掃部材30a、30bは、アクチュエータ29a、29bの直線振動で、図2に示す矢印方向に往復運動を行うこととなる。また、清掃部材30a、30bおよびアクチュエータ29a、29bは、昇降機構28によって昇降移動することで、ワイヤ列20と接離可能に構成されている。ここで、昇降機構28は、前記昇降機構25に準じ、例えばボールネジ機構および直線ガイド機構からなる。
【0046】
また、図3(b)に示すように、清掃部材30a、30bを構成するブラシ30′は、ワイヤ列20の各ワイヤ20a〜20gと一部交差しながら、前記メインローラ23a、23bのローラ面に接触するように構成されている。また、ブラシ30′には、適度な可撓性を有し、ワイヤ工具を傷つけることなく、工具表面に堆積した切屑のみを除去するとともに、繰り返しの撓み動作にも容易に屈曲することがない材質を使用する必要がある。例えば、ナイロンブラシを用いることが好ましい。さらに、ナイロンブラシに限らず、砥粒の固着した、砥粒入りブラシを使用することもできる。この場合、砥粒を含まないブラシに比べ、効率的に、工具表面に堆積した切屑を除去できる。ここで、ブラシ30′に固着する砥粒としては、ダイヤモンドといった超砥粒をはじめ、炭化珪素、酸化アルミニウムといった一般砥粒を使用できる。
【0047】
なお、ブラシ30′などの清掃部材30a、30bを配設する場所は、本実施形態に限らず、工作物24が送り込まれないメインローラ23a、23c間またはメインローラ23b、23c間、あるいは、メインローラ23a〜23c以外の箇所であってもよい。特に、ブラシ30′をメインローラ23a〜23c上に配設することが好ましい。ここで、各ローラ間でブラシ30′をワイヤ工具に押し当てた場合、その押圧力により、ワイヤ工具が振動を起こす恐れがあるが、メインローラ23a〜23c上で押し当てることにより、この問題を解決することができる。また、本実施形態では、一対の清掃部材30a、30bを配設しているが、これに限らず、ブラシ30′などの清掃部材を1本のみ配設するようにしてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、清掃部材30a、30bのブラシ近傍に洗浄液の供給装置(洗浄ノズル27a、27b)を設けているが、これに限らず、装置の設置スペースに応じて清掃部材30a、30bのブラシ30′と洗浄ノズル27a、27bの間隔を、適宜調整してもよい。また、清掃部材30a、30bと洗浄ノズル27a、27bの駆動タイミングについて、両者の間隔に応じ、切断加工に使用したワイヤ工具が洗浄液の供給とブラシ洗浄を同時あるいは前後して施されるように適宜調整してもよい。なお、前記駆動タイミングは、ワイヤロール21a、21bの駆動モータの駆動量(例えば、「ステッピングモータの1パルス当りの駆動量」×「駆動パルス数」で算出できる。)や駆動時間に基づいて決定してもよい。
【0049】
なお、本実施形態に係るクリーニング装置の制御部は、コントローラ(CPU、RAM/ROMなど)、操作表示部などで構成され、この操作表示部には、スタートボタンやテンキーなどの各種ボタンキー、LCD表示器などを有し、動作モードの設定/表示や動作開始/停止指示がユーザの操作で可能なように構成されている。
【0050】
次に、1方向にワイヤ工具を走行させる場合のクリーニング方法について説明する。
【0051】
本実施形態のワイヤクリーニング方法は、前記ワイヤ工具に洗浄液31を供給して洗浄する洗浄液洗浄工程と、洗浄液31が供給されたワイヤ工具をブラシ洗浄するブラシ洗浄工程とからなる。
【0052】
洗浄液洗浄工程においては、例えば、ワイヤロール21aからワイヤロール21bに向かってワイヤ工具が走行している場合、切断加工開始と同時に前記ポンプ機構を駆動し、ワイヤ列20の走行方向に対して工作物24の下流側にある洗浄ノズル27bから洗浄液を供給する。この方法により、1方向走行による工作物24の切断加工時、前記ワイヤ工具の表面に付着・堆積した切屑が洗浄液31によって洗浄され、ワイヤ表面がクリーニングされることとなる。
【0053】
また、ブラシ洗浄工程においては、切断加工開始前に昇降機構28を駆動してアクチュエータ29a、29bおよび清掃部材30a、30bを所定位置まで下降させる。この所定位置では、図3(b)に示すように、ブラシ30′とワイヤ工具が一部交差する。次いで、切断加工開始と同時にアクチュエータ29bを駆動し、ワイヤ列20の走行方向に対して工作物24の下流側にある清掃部材30bを、ワイヤ列20の走行方向と直交するように往復駆動させる。この方法により、1方向走行による工作物24の切断加工時、前記ワイヤ工具の表面に付着・堆積した切屑は、前述のように洗浄液31によって洗浄されるとともに、ブラシ30′によって除去されることとなる。すなわち、洗浄液の供給後に残留した切屑についても、洗浄液の供給で除去容易となっており、ブラシ洗浄で完全に除去されることとなり、ワイヤ表面が確実にクリーニングされる。
【0054】
こうして、ワイヤロール21aからワイヤロール21bへ前記ワイヤ工具が全て巻き取られ、1方向の切断加工が終了すると、次いで、前記ワイヤ工具の走行方向をワイヤロール21bからワイヤロール21aへ向かうように切り換える。ここで、ワイヤ列20の走行方向に対して工作物24の下流側にある洗浄ノズル27aから洗浄液を供給するとともに(洗浄液洗浄工程)、アクチュエータ29aを駆動して、ワイヤ列20の走行方向と直交するように清掃部材30aを往復駆動させる(ブラシ洗浄工程)。
【0055】
次に、双方向にワイヤ工具を走行させる場合のクリーニング方法について説明する。この場合、予め双方向におけるワイヤ工具の走行量が異なるように設定して、前記ワイヤ工具を往復走行することにより、いずれかのワイヤロールにて前記ワイヤ工具を巻き取る。
【0056】
例えば、ワイヤロール21aからワイヤロール21bへ向けたワイヤ工具の送り量をS1mとし、ワイヤロール21bからワイヤロール21aへ向けたワイヤ工具の送り量をS2mとする(S1>S2)。この送り量での往復走行を1サイクルとすると、前記ワイヤ工具は、1サイクル当り(S1−S2)mだけ、ワイヤロール21bに巻き取られることとなる。
【0057】
前記洗浄液洗浄工程においては、ワイヤ列20の走行方向に対して工作物24の下流側にある洗浄ノズル27bまたは27aから洗浄液31を供給するように、1サイクルに1回、往走行と復走行で洗浄ノズルを切り換える。あるいは、各サイクルとも同時に洗浄ノズル27a、27bから洗浄液を供給するように制御してもよい。
【0058】
また、前記ブラシ洗浄工程においては、切断加工開始前に昇降機構28を駆動してアクチュエータ29a、29bおよび清掃部材30a、30bを前記所定位置まで下降させる。次いで、切断加工開始と同時にアクチュエータ29bを駆動し、ワイヤ列20の走行方向に対して工作物24の下流側にある清掃部材30bまたは30aのブラシ30′を、ワイヤ列20の走行方向と直交するように往復駆動させる。あるいは、各サイクルとも同時にアクチュエータ29a、29bを駆動し、清掃部材30a、30bのブラシ30′を、ワイヤ列20の走行方向と直交するように往復駆動させてもよい。
【0059】
いずれの方法によっても、双方向走行による工作物24の切断加工時、前記ワイヤ工具の表面に付着・堆積した切屑は、前述のように洗浄液31によって洗浄されるとともに、ブラシ30′によって除去され、ワイヤ表面が確実にクリーニングされることとなる。
【0060】
本実施形態では、ワイヤ工具による工作物24の切断加工を行いながら、前記ワイヤ工具の使用部分に洗浄液31を供給する洗浄ノズル27a、27bなどの洗浄液供給機構と、前記ワイヤ工具の使用部分を清掃する清掃部材30a、30bなどのブラシ洗浄機構とを設け、前記ワイヤ工具の使用部分に対してブラシ洗浄に洗浄液洗浄を重畳させので、切断加工直後に、速やかにクリーニングを行い、前記ワイヤ工具の表面に付着・堆積した切屑を確実に除去することができる。さらに、工具のクリーニングとともに、ブラシ30′の洗浄も併せて行うことができる。
【0061】
また、本実施形態では、ナイロンブラシ(ブラシ30′)が、その適度な可撓性で繰り返しの撓み動作にも耐え得ることから、長期間にわたり適切なクリーニング効果を得ることができる。なお、洗浄液31として、アルコールを用いることにより、水、油などと比べて高いクリーニング効果が得られる。
【0062】
さらに、本実施形態に限らず、クリーニング動作(前述の洗浄液洗浄工程、ブラシ洗浄工程を含む)を予め設定した間隔で不連続に行い、あるいは予め設定した期間に行うようにしてもよい。この場合、前記間隔や期間の設定は、前記操作表示部のキー操作などでユーザが設定可能としてもよい。さらに、前述のクリーニング動作を示す動作モードを前記操作表示部から設定可能とし、クリーニングモードが設定されている場合は切断加工時にクリーニング動作を行い、クリーニングモードが設定されていない場合には、ブラシ30′などの清掃部材30a、30bおよび洗浄ノズル27a、27bなどをワイヤ列20から離間して、所定位置に退避させるように制御してもよい。なお、前記操作表示部からユーザが設定入力した内容は、前記コントローラのRAMなどに更新可能に記憶する。
【0063】
[第2の実施形態]
図4に、本発明の第2の実施の形態に係るワイヤ工具のクリーニング装置の概略構成を示す。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付与して説明を省略する。
【0064】
本実施形態は、第1の実施形態とは、ワイヤ工具による工作物24の切断加工を行いながら、前記ワイヤ工具の使用部分に洗浄液31を供給する洗浄ノズル27a、27bなどの洗浄液供給機構と、前記ワイヤ工具の使用部分を清掃するブラシ30′などの清掃部材30a、30b、およびブラシ30′をワイヤ走行方向と平行に往復させ、あるいは楕円運動させるロボット部33を含むブラシ洗浄機構とを設けた点が相違している。この構成により、前記ワイヤ工具の状態や工作物24に応じ、適切なブラシ洗浄動作を行って前記ワイヤ工具に付着・堆積した切屑を確実に除去することができる。
【0065】
図4において、制御部32は、A/D変換回路、CPU、RAM/ROMなどのメモリ、入出力装置などからなり、ロボット部33のアーム34a、34bに取り付けた清掃部材30a、30bのブラシの位置情報を、位置センサ(図示せず)などからの信号として入力し、A/D変換して解析して、予めROMに格納したプログラムに従い、所定の動作条件でロボット部33を作動させる。
【0066】
ロボット部33は、例えば、直交制御多関節型(5軸自由度)のロボットおよびコントローラからなり、このコントローラは制御部32と結合されている。したがって、前記コントローラは、予め制御部32のROMに入力された動作条件により、直交制御多関節型ロボットのアーム34a、34bを動作させ、それに取り付けた清掃部材30a、30bのブラシに楕円運動、あるいはワイヤ走行方向と平行な直線往復運動などを所望の運動速度で行わせる。
【0067】
なお、ロボット部33のコントローラと、第1の実施形態のクリーニング装置の制御部とを結合し、この制御部からロボット部33を制御するように構成してもよい。
【0068】
次に、1方向にワイヤ工具を走行させる場合のクリーニング方法について説明する。
【0069】
本実施形態のワイヤクリーニング方法は、第1の実施形態に準じ、前記洗浄液洗浄工程と前記ブラシ洗浄工程とからなる。
【0070】
洗浄液洗浄工程においては、前述のように、切断加工開始と同時に前記ポンプ機構を駆動し、ワイヤ列20の走行方向に対して工作物24の下流側にある洗浄ノズルから洗浄液(アルコール)を供給する。この方法により、1方向走行による工作物24の切断加工時、前記ワイヤ工具の表面に付着・堆積した切屑が洗浄液によって洗浄され、ワイヤ表面がクリーニングされることとなる。
【0071】
また、ブラシ洗浄工程においては、切断加工開始前にロボット部33を駆動してアーム34a、34bを前記所定位置まで移動させる。次いで、切断加工開始と同時にロボット部33駆動し、ワイヤ列20の走行方向に対して工作物24の下流側にある清掃部材のブラシを、ワイヤ列20の走行方向と平行に往復駆動させる。この方法により、1方向走行による工作物24の切断加工時、前記ワイヤ工具の表面に付着・堆積した切屑は、前述のように洗浄液31によって洗浄されるとともに、ブラシによって除去されることとなる。
【0072】
こうして、前記ワイヤ工具が全て巻き取られて1方向の切断加工が終了すると、次いで、前記ワイヤ工具の走行方向を逆方向に切り換える。ここで、ワイヤ列20の走行方向に対して工作物24の下流側にある洗浄ノズルから洗浄液を供給するとともに(洗浄液洗浄工程)、ロボット部33を駆動して、ワイヤ列20の走行方向と平行にブラシを往復駆動させる(ブラシ洗浄工程)。
【0073】
次に、双方向にワイヤ工具を走行させる場合のクリーニング方法について説明する。この場合、第1の実施形態に準じ、予め双方向におけるワイヤ工具の走行量が異なるように設定して、前記ワイヤ工具を往復走行することにより、いずれかのワイヤロールにて前記ワイヤ工具を巻き取る。
【0074】
前記洗浄液洗浄工程においては、ワイヤ列20の走行方向に対して工作物24の下流側にある洗浄ノズルから洗浄液を供給するように、1サイクルに1回、往走行と復走行で洗浄ノズル27a、27bを切り換える。あるいは、各サイクルとも同時に洗浄ノズル27a、27bから洗浄液を供給するように制御する。
【0075】
また、前記ブラシ洗浄工程においては、切断加工開始前にロボット部33を駆動してアーム34a、34bを前記所定位置まで移動させる。次いで、切断加工開始と同時にロボット部33を駆動し、ワイヤ列20の走行方向に対して工作物24の下流側にある清掃部材のブラシを、ワイヤ列20の走行方向と平行に往復駆動させる。あるいは、各サイクルとも同時にロボット部33を駆動し、清掃部材30a、30bのブラシをワイヤ列20の走行方向と平行に往復駆動させる。
【0076】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、洗浄液の供給後、ワイヤ表面に残留した切屑は、洗浄液の供給で除去容易となっているため、ブラシ洗浄で確実に除去され、また、ブラシ自体も洗浄されることとなる。
【0077】
さらに、本実施形態に限らず、清掃部材30a、30bのブラシが、ワイヤ列20と一部交差した状態で楕円運動するように制御してもよい。この方法によっても、洗浄液洗浄とブラシ洗浄を重畳することで、ワイヤ表面に付着・堆積した切屑を確実に除去することができる。
【0078】
また、本実施形態に限らず、前述のようにクリーニング動作(前述の洗浄液洗浄工程、ブラシ洗浄工程を含む)を予め設定した間隔で不連続に行い、あるいは予め設定した期間に行うようにしてもよい。あるいは、前述のようにクリーニング動作を示す動作モードを前記操作表示部から設定可能とし、クリーニングモードが設定されている場合は切断加工時にクリーニング動作を行い、クリーニングモードが設定されていない場合には、ブラシなどの清掃部材30a、30bおよび洗浄ノズル27a、27bなどをワイヤ列20から離間して、所定位置に退避させるように制御してもよい。
【0079】
[第3の実施形態]
図5に、本発明の第3の実施の形態に係るワイヤ工具のクリーニング装置の一部構成を示す。なお、全体構成については、ブラシおよびアクチュエータを除き、第1の実施形態と概ね同様であるため、図1を用いるとともに、同一構成には同一符号を付与して説明を省略する。
【0080】
本実施形態は、第1の実施形態とは、ワイヤ工具による工作物24の切断加工を行いながら、前記ワイヤ工具の使用部分に洗浄液31を供給する洗浄ノズル27a、27bなどの洗浄液供給機構と、前記ワイヤ工具の使用部分を回転清掃するロール状ブラシ(円筒状本体の周壁に毛状部材を有し、本体の中心軸周りに回転可能なもの)35a、35bなどのブラシ洗浄機構とを設け、このロール状ブラシ35a、35bの軸方向(長手方向)とワイヤ走行方向とが直交するように配置した点が相違している。この構成により、前記ワイヤ工具に付着・堆積した切屑を洗浄液31の供給で洗浄しながら、ロール状ブラシ35a、35bを回転させて適切なブラシ洗浄動作を行うことで、前記ワイヤ工具の表面を確実にクリーニングすることができる。
【0081】
図5において、ロール状ブラシ35aの駆動軸は、ローラ駆動部36aの駆動モータ(図示せず)の駆動軸に連結され、ロール状ブラシ35bの駆動軸は、ローラ駆動部36bの駆動モータ(図示せず)の駆動軸に連結されて、これらの駆動モータの駆動により、クリーニング動作時、ロール状ブラシ35a、35bはそれぞれ図中矢印方向に回転する。また、ロール状ブラシ35a、35bおよびローラ駆動部36a、36bなどのブラシ洗浄機構は、昇降機構28によって上下方向に移動可能に構成されている。
【0082】
また、ロール状ブラシ35a、35bは、ワイヤ列20の各ワイヤと一部交差しながら、メインローラ23a、23bのローラ面に接触するように配設されている。また、ロール状ブラシ35a、35bには、適度な可撓性を有し、ワイヤ工具を傷つけることなく、工具表面に堆積した切屑のみを除去するとともに、繰り返しの撓み動作にも容易に屈曲することがない材質(ナイロンなど)を使用する。さらに、ナイロンブラシに限らず、砥粒の固着した、砥粒入りブラシでロール状ブラシ35a、35bを構成してもよい。この場合、砥粒を含まないロール状ブラシに比べ、効率的に、工具表面に堆積した切屑を除去できる。ここで、ロール状ブラシ35a、35bに固着する砥粒としては、ダイヤモンドといった超砥粒をはじめ、炭化珪素、酸化アルミニウムといった一般砥粒を使用できる。
【0083】
なお、ロール状ブラシ35a、35bを配設する場所は、本実施形態に限らず、工作物24が送り込まれないメインローラ23a、23c間またはメインローラ23b、23c間、あるいは、メインローラ23a〜23c以外の箇所であってもよい。特に、ロール状ブラシ35a、35bをメインローラ23a〜23c上に配設することが好ましい。これは、各ローラ間でロール状ブラシ35a、35bをワイヤ工具に押し当てた場合、その押圧力により、ワイヤ工具が振動を起こす恐れがあるが、メインローラ23a〜23c上で押し当てることにより、この問題を解決することができる。また、本実施形態では、一対のロール状ブラシ35a、35bを配設しているが、これに限らず、1本のみ配設するようにしてもよい。
【0084】
また、本実施形態に係るクリーニング装置の制御部は、前述のように、コントローラ、操作表示部などで構成され、この操作表示部の操作で、動作モードの設定/表示や動作開始/停止指示が可能なように構成されている。
【0085】
次に、1方向にワイヤ工具を走行させる場合のクリーニング方法について説明する。
【0086】
本実施形態のワイヤクリーニング方法は、第1の実施形態に準じ、前記洗浄液洗浄工程と前記ブラシ洗浄工程とからなる。
【0087】
洗浄液洗浄工程においては、前述のように、切断加工開始と同時に前記ポンプ機構を駆動し、ワイヤ列20の走行方向に対して工作物24の下流側にある洗浄ノズルから洗浄液(アルコール)を供給する。この方法により、1方向走行による工作物24の切断加工時、前記ワイヤ工具の表面に付着・堆積した切屑が洗浄液によって洗浄され、ワイヤ表面がクリーニングされることとなる。
【0088】
また、ブラシ洗浄工程においては、切断加工開始前に昇降機構28を駆動して前記ロール状ブラシ35a、35bなどのブラシ洗浄機構を前記所定位置まで下降させる。次いで、切断加工開始と同時に前記駆動モータを駆動し、ワイヤ列20の走行方向に対して工作物24の下流側にあるロール状ブラシを、ワイヤ列20の走行方向と対向する方向(図中、矢印方向)に回転させる。この方法により、1方向走行による工作物24の切断加工時、前記ワイヤ工具の表面に付着・堆積した切屑は、前述のように洗浄液によって洗浄されるとともに、ロール状ブラシによって除去されることとなる。
【0089】
こうして、前記ワイヤ工具が全て巻き取られて1方向の切断加工が終了すると、次いで、前記ワイヤ工具の走行方向を逆方向に切り換える。ここで、ワイヤ列20の走行方向に対して工作物24の下流側にある洗浄ノズルから洗浄液を供給するとともに(洗浄液洗浄工程)、前記駆動モータを駆動して、ワイヤ列20の走行方向と対向する方向(図中、矢印方向)にロール状ブラシを回転させる(ブラシ洗浄工程)。
【0090】
次に、双方向にワイヤ工具を走行させる場合のクリーニング方法について説明する。この場合、第1の実施形態に準じ、予め双方向におけるワイヤ工具の走行量が異なるように設定して、前記ワイヤ工具を往復走行することにより、いずれかのワイヤロールにて前記ワイヤ工具を巻き取る。
【0091】
前記洗浄液洗浄工程においては、ワイヤ列20の走行方向に対して工作物24の下流側にある洗浄ノズルから洗浄液を供給するように、1サイクルに1回、往走行と復走行で洗浄ノズル27a、27bを切り換える。あるいは、各サイクルとも同時に洗浄ノズル27a、27bから洗浄液を供給するように制御する。
【0092】
また、前記ブラシ洗浄工程においては、切断加工開始前に昇降機構28を駆動して前記ブラシ洗浄機構を前記所定位置まで下降させる。次いで、切断加工開始と同時に前記駆動モータを駆動し、ワイヤ列20の走行方向に対して工作物24の下流側にあるロール状ブラシを、ワイヤ列20の走行方向と対向する方向(図中、矢印方向)に回転させる。あるいは、各サイクルとも同時に前記駆動モータを駆動し、ロール状ブラシ35a、35bをワイヤ列20の走行方向と対向する方向(図中、矢印方向)に回転させる。
【0093】
本実施形態においても、洗浄液の供給後、ワイヤ表面に残留した切屑がロール状ブラシ35a、35bによる洗浄で確実に除去され、また、ロール状ブラシ自体も洗浄されることとなる。
【0094】
なお、本実施形態に限らず、1駆動モータの駆動をロール状ブラシ35a、35bに伝達し、ロール状ブラシ35a、35bの回転軸にワンウェイクラッチを設けて、それぞれ1方向(図中、矢印方向)のみの駆動伝達がなされるように構成してもよい。この場合、ワイヤ走行方向に応じて前記1駆動モータを正逆切り替えて駆動することになる。
【0095】
また、本実施形態に限らず、前述のようにクリーニング動作(前述の洗浄液洗浄工程、ブラシ洗浄工程を含む)を予め設定した間隔で不連続に行い、あるいは予め設定した期間に行うようにしてもよい。あるいは、前述のようにクリーニング動作を示すクリーニングモードを前記操作表示部から設定可能とし、クリーニングモードが設定されている場合は切断加工時にクリーニング動作を行い、クリーニングモードが設定されていない場合には、ロール状ブラシ35a、35bおよび洗浄ノズル27a、27bなどをワイヤ列20から離間して、所定位置に退避させるように制御してもよい。
【0096】
また、本実施形態に限らず、ロール状ブラシ35a、35bを軟質弾性部材で構成してもよい。例えば、円筒状本体の周壁に複数の突起を有するスポンジ部材を有し、本体の中心軸周りに回転可能なスポンジブラシを用いる。この場合、前記ブラシ洗浄工程では、前記スポンジブラシをワイヤ走行速度よりも低速で回転させることにより、前記スポンジブラシによってワイヤ表面の切屑を拭い取るように掻き落とすこととなる。この構成により、少なくとも切断加工中は、ワイヤ表面に供給した洗浄液をスポンジブラシで保持しながら、ワイヤ工具に付着・堆積した切屑を容易に掻き落とすことができる。
【0097】
[第4の実施形態]
図6に、本発明の第4の実施の形態に係るワイヤ工具のクリーニング装置の要部構成を示す。なお、本実施形態の全体構成は、ブラシの昇降機構を除いて第1の実施形態と概ね同様であるため、図1を用いるとともに、同一構成には同一符号を付与して説明を省略する。
【0098】
本実施形態は、第1の実施形態とは、ワイヤ工具による工作物24の切断加工を行いながら、前記ワイヤ工具の使用部分を挟持して拭き取るスポンジブラシ対36a、37a、36b、37bと、前記ワイヤ工具の使用部分およびワイヤ清掃用のスポンジブラシ対36a、37a、36b、37bに洗浄液31を供給する洗浄ノズル27a、27bなどの洗浄液供給機構とを設け、このスポンジブラシ対36a、37a、36b、37bの軸方向とワイヤ走行方向とが直交するように配置した点が相違している。この構成により、前記ワイヤ工具に洗浄液31の供給しながら、スポンジブラシ対36a、37a、36b、37bのリップ部を通過させて適切な拭き取り洗浄動作を行うことで、前記ワイヤ工具の表面に付着・堆積した切屑を確実にクリーニングすることができる。
【0099】
図6において、従動側のスポンジブラシ36a、36bは、円筒状本体の周壁に軟質弾性部材の層(スポンジ層)を形成したもので、回転可能に軸支されるとともに、駆動側のスポンジブラシ37a、37bにそれぞれ当接して連れ回りするように構成されている。また、駆動側のスポンジブラシ37a、37bも、スポンジ層を軸周りに形成したものである。このスポンジブラシ37aの支持軸は、駆動モータ(図示せず)の回転軸に連結され、スポンジブラシ37bの支持軸は、他の駆動モータ(図示せず)の回転軸に連結されている。これらの駆動モータの駆動により、クリーニング動作時、スポンジブラシ対36a、37a、36b、37bはそれぞれ図中矢印方向に回転する。なお、各スポンジブラシ36a、36b、37a、37bは、それぞれ図示しない接離機構(例えば、スプリングやソレノイド機構)により、ワイヤ列20および対向スポンジブラシと接離可能に構成され、加工時以外はワイヤ列20および対向スポンジブラシと離間、退避している。
【0100】
また、スポンジブラシ対36a、37a、36b、37bは、ワイヤ列20の各ワイヤを挟持しながら、メインローラ23a、23bのローラ面と接触しないように離間、配設されている。なお、本実施形態に限らず、砥粒入りスポンジブラシを用いてもよい。この場合、砥粒を含まないスポンジブラシに比べ、効率的に、工具表面に堆積した切屑を除去できる。ここで、前記砥粒としては、ダイヤモンドといった超砥粒をはじめ、炭化珪素、酸化アルミニウムといった一般砥粒を使用できる。また、本実施形態に限らず、前記スポンジ層の表面に凹凸(複数の突起)を形成し、ワイヤ列20の各ワイヤ間とスポンジ層の凹凸部が交差するようにしてもよい。この構成により、前述のようにワイヤ工具に供給した洗浄液31をスポンジ層で保持しながら、ワイヤ外周を確実に拭い取ることができる。
【0101】
なお、スポンジブラシ対36a、37a、36b、37bを配設する場所は、本実施形態に限らず、工作物24が送り込まれないメインローラ23a、23c間またはメインローラ23b、23c間、あるいは、メインローラ23a〜23c以外の箇所であってもよい。また、本実施形態では、2対のスポンジブラシ対36a、37a、36b、37bを配設しているが、これに限らず、1対のみ配設するようにしてもよい。さらに、従動側のスポンジブラシ対36a、36bの支持軸に1方向クラッチを設け、スポンジブラシ対36a、36bが加工後のワイヤ工具の巻取り方向と反対方向にのみ回転するようにしてもよい。
【0102】
また、第1の実施形態に準じ、前記ワイヤ工具は、一対のワイヤロール(巻取り側および送出し側)21a、21bに巻きまわされ、複数のガイドローラを介して一対のワイヤロール21a、21b間を走行しながら、複数のメインローラ23a〜23cに巻き掛けられることで、水平なワイヤ列20を形成している。また、昇降機構25は、工作物24がその下部に装着されたテーブルを垂直に昇降移動するもので、例えばボールネジ機構および直線ガイド機構からなる。ここで、一対のワイヤロール21a、21bが駆動モータの駆動で回転することにより、ワイヤ列20が設定方向に走行し、昇降機構25の駆動で工作物24が下降して、メインローラ23a、23b間に送り込まれると、前記ワイヤ工具でマルチ切断加工がなされる。
【0103】
また、第1の実施形態に準じ、工作物24を切断加工した後のワイヤ列20に対して、前記ポンプ機構により、洗浄液槽26に貯蔵されたアルコールなどの洗浄液31を、多数の噴射孔を有する2基の洗浄ノズル27a、27bから供給するように構成している。この洗浄ノズル27a、27bの長手方向は、ワイヤ列20の走行方向と直交している。
【0104】
次に、1方向にワイヤ工具を走行させる場合のクリーニング方法について説明する。
【0105】
本実施形態のワイヤクリーニング方法は、第1の実施形態に準じ、前記洗浄液洗浄工程と前記ブラシ洗浄工程に替わるスポンジ洗浄工程とからなる。
【0106】
洗浄液洗浄工程においては、前述のように、切断加工開始と同時に前記ポンプ機構を駆動し、ワイヤ列20の走行方向に対して工作物24の下流側にある洗浄ノズルから洗浄液(アルコール)31を供給する。この方法により、1方向走行による工作物24の切断加工時、前記ワイヤ工具の表面に付着・堆積した切屑が洗浄液31によってクリーニングされることとなる。
【0107】
また、スポンジ洗浄工程においては、切断加工開始と同時に前記駆動モータを駆動し、ワイヤ列20の走行方向に対して工作物24の下流側にあるスポンジブラシを、ワイヤ列20の走行方向と対向する方向(図中、矢印方向)に回転させる。この方法により、1方向走行による工作物24の切断加工時、前述のように洗浄液31が供給された前記ワイヤ工具が、スポンジブラシ対で挟持されながら巻き取られる際、前記ワイヤ工具の表面に付着・堆積した切屑(洗浄液31の供給のみでは除去しきれなかったもの)が前記スポンジブラシ対のニップ部で拭い取られて除去されることとなる。
【0108】
こうして、前記ワイヤ工具が全て巻き取られて1方向の切断加工が終了すると、次いで、前記ワイヤ工具の走行方向を逆方向に切り換える。ここで、ワイヤ列20の走行方向に対して工作物24の下流側にある洗浄ノズルから洗浄液31を供給するとともに(洗浄液洗浄工程)、前記駆動モータを駆動して、ワイヤ列20の走行方向と対向する方向(図中、矢印方向)にスポンジブラシ対を回転させる(スポンジ洗浄工程)。
【0109】
次に、双方向にワイヤ工具を走行させる場合のクリーニング方法について説明する。この場合、第1の実施形態に準じ、予め双方向におけるワイヤ工具の走行量が異なるように設定して、前記ワイヤ工具を往復走行することにより、いずれかのワイヤロールにて前記ワイヤ工具を巻き取る。
【0110】
洗浄液洗浄工程においては、ワイヤ列20の走行方向に対して工作物24の下流側にある洗浄ノズルから洗浄液を供給するように、1サイクルに1回、往走行と復走行で洗浄ノズルを切り換える。あるいは、各サイクルとも同時に洗浄ノズル27a、27bから洗浄液31を供給するように制御する。
【0111】
また、スポンジ洗浄工程においては、切断加工開始と同時に前記駆動モータを駆動し、ワイヤ列20の走行方向に対して工作物24の下流側にあるスポンジブラシを、ワイヤ列20の走行方向と対向する方向(図中、矢印方向)に回転させる。あるいは、各サイクルとも同時に前記駆動モータを駆動し、スポンジブラシ対36a、37a、36b、37bをワイヤ列20の走行方向と対向する方向(図中、矢印方向)に回転させる。
【0112】
本実施形態においては、洗浄液31の供給のみでは除去しきれず、ワイヤ表面に残留した切屑が、洗浄液31を含んだスポンジブラシ対36a、37a、36b、37bの拭き取り動作で確実に除去され、また、スポンジブラシ自体も洗浄液31で洗浄されることとなる。
【0113】
なお、本実施形態に限らず、1駆動モータの駆動を駆動側のスポンジブラシ37a、37bに伝達し、スポンジブラシ37a、37bの駆動軸に1方向クラッチを設けて、それぞれ1方向(図中、矢印方向)のみの駆動伝達がなされるように構成してもよい。この場合、ワイヤ走行方向に応じ、前記1駆動モータを正逆切り替えて駆動することとなる。また、本実施形態に限らず、前記駆動モータを間欠駆動し、駆動側のスポンジブラシ37a、37bが予め設定した間隔で1方向(図中、矢印方向)に回転するようにしてもよい。この方法により、消費電力を低減しつつ、ワイヤ表面を拭き取るローラ面を適宜変更することができる。
【0114】
さらに、前述の各実施形態で、洗浄液31を供給する際、高圧状態で噴射、供給するようにしてもよい。この方法により、ワイヤ工具の表面に付着・堆積した切屑を高圧洗浄液で吹飛ばすことができ、洗浄液洗浄工程での洗浄能力が向上する。
【0115】
前述の各実施形態では、ワイヤロール21a、21bなどが前記ワイヤ走行手段を構成し、清掃部材30a、30b(ブラシ30′)、ロール状ブラシ35a、35b、スポンジブラシ36a、37aなどが前記ブラシを構成し、昇降機構28、ロボット部33などが前記移動手段を構成し、アクチュエータ29a、29b、ロボット部33などが前記揺動手段を構成し、ローラ駆動部36a、36b、前記駆動モータなどが前記駆動手段を構成し、洗浄ノズル27a、27b、洗浄液槽26、前記ポンプ機構などが前記洗浄液供給手段を構成し、スポンジブラシ対36a、37aなどが前記ロール状ブラシ対を構成する。
【0116】
【実施例】
前述の第1の実施形態に準じたワイヤ工具クリーニング装置について、クリーニング特性評価を行った。まず、ワイヤ列20を形成するワイヤ工具としては、30m長のレジンボンドダイヤモンドワイヤ工具を用い、また工作物24には、3インチのシリコンインゴットを用い、そして切断方法としては、ワイヤ列20が双方向に往復動する方法を採用した。ここで、切断条件は、工具線速度700m/min、工具切込み速度1mm/min、工具張力30N、切断時間30minである。なお、シリコンインゴット24の切断部に対しては、加工液として純水を供給する。また、ブラシ30′としてナイロンブラシを用い、このナイロンブラシ30′および洗浄液供給装置(洗浄ノズル27a、27b)を、工作物24を挟む、メインローラ23a、23b上に1対設置する。また、洗浄ノズル27a、27bから供給する洗浄液31には、エチルアルコールを使用する。
【0117】
この構成により、切断加工開始と同時に、ナイロンブラシ30′を、マルチに張られたワイヤ列20に押し当て、同時に洗浄液31を供給する。そして、ワイヤ工具走行方向の直交方向に、ナイロンブラシ30′を、揺動距離(アクチュエータ29a、29bによるブラシ駆動量)2mm、揺動周波数(アクチュエータ29a、29bの振動数)1Hzで、往復動させる。なお、本実施例との比較対象として、シリコンインゴット24の切断部に対する加工液として純水のみを供給し、クリーニング処理は施さない切断加工を実施した。
【0118】
ここで、図7に切断加工前後のワイヤ工具断面を模式的に示す。
図7(a)は、ダイヤモンド砥粒12および添加材14を含む結合剤層13がワイヤ11の表面に形成されたレジンボンドダイヤモンドワイヤ工具の加工前の断面を示す。切断加工前なので、ダイヤモンド砥粒12の剥離や結合材層13の摩耗は見られない。
【0119】
図7(b)は、本実施例で切断加工直後に、前述の洗浄液洗浄工程およびブラシ洗浄工程からなるクリーニングを施した、レジンボンドダイヤモンドワイヤ工具の断面を示す。切断加工後にも拘わらず、ワイヤ工具は目詰まりを生じておらず、また、一部結合剤層13の摩耗が見られるものの、過剰に結合剤部分が削り取られてもおらず、良好な工具表面状態を保っている。
【0120】
図7(c)は、切断加工直後にクリーニングを実施しなかった場合のレジンボンドダイヤモンドワイヤ工具の断面を示す。クリーニングを実施せずに切断加工を行った場合、加工後のワイヤ工具表面には、切屑15が厚み5〜20μm程度堆積し、目詰まりを生じている。
【0121】
以上のワイヤ表面状態の比較にあわせて、さらに、切断加工進行にともなう、切断能率(加工能率)を測定したところ、本実施例のクリーニングを実施しない場合は、徐々に切断能率が低下するのに対し、本実施例のクリーニングを施した場合は、終始、加工初期とほぼ同じ、一定の切断能率を維持できることが確認された。
【0122】
なお、工具クリーニングの方法として、洗浄液(エチルアルコール)の供給のみにて洗浄した場合には、ワイヤ表面に付着・堆積した切屑を除去することが難しく、この場合、切断加工後のワイヤ表面の状態は図7(c)と概ね同様であった。
【0123】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、切断加工中に、固定砥粒ワイヤ工具の表面を適切にクリーニングすることで、ワイヤ工具の目詰まりを確実に防止できるとともに、安定した切断加工が実現され、また過剰に工具を摩耗させないため、工具の長寿命化を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るワイヤ工具のクリーニング装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るワイヤ工具のクリーニング装置の要部を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る洗浄ノズルの噴射孔および清掃部材のブラシの配置を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るワイヤ工具のクリーニング装置の概略構成図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係るワイヤ工具のクリーニング装置の要部を示す図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係るワイヤ工具のクリーニング装置の要部を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係るワイヤ工具のクリーニング方法によるクリーニング結果を示す図である。
【図8】マルチワイヤ切断方式を示す図である。
【符号の説明】
20 ワイヤ列(ワイヤ工具)
21a、21b ワイヤロール
23a〜23c メインローラ
24 工作物(シリコンインゴッド)
25、28 昇降機構
26 洗浄液槽
27a、27b 洗浄ノズル
29a、29b アクチュエータ
30a、30b ブラシ(ナイロンブラシ)
31 洗浄液(アルコール)
36a、37a、36b、37b ブラシ(スポンジブラシ)対
Claims (2)
- ワイヤ表面に砥粒が固着された固定砥粒ワイヤ工具のクリーニング装置であって、
工作物の切断加工時に、前記固定砥粒ワイヤ工具を走行させるワイヤ走行手段と、工作物の切断加工でワイヤ表面に付着した汚れをクリーニングするためのブラシと、このブラシを移動して走行中のワイヤ表面に押し当てるための移動手段と、前記固定砥粒ワイヤ工具の走行方向に対し、前記ブラシの長手方向が直交した状態で、前記ブラシがワイヤ走行方向に往復動するよう、前記ブラシを揺動する揺動手段と、を備えたことを特徴とする固定砥粒ワイヤ工具のクリーニング装置。 - ワイヤ表面に砥粒が固着された固定砥粒ワイヤ工具のクリーニング装置であって、
工作物の切断加工時に、前記固定砥粒ワイヤ工具を走行させるワイヤ走行手段と、工作物の切断加工でワイヤ表面に付着した汚れをクリーニングするためのブラシと、このブラシを移動して走行中のワイヤ表面に押し当てるための移動手段と、前記ブラシが、走行中のワイヤ表面に当接しながら水平面上で楕円動するよう、前記ブラシを揺動する揺動手段と、を備えたことを特徴とする固定砥粒ワイヤ工具のクリーニング装置。
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