JP3910158B2 - 衝撃緩衝装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、好ましくは家具の扉又は引出しの衝撃を緩衝する衝撃緩衝装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
この種の衝撃緩衝装置として、ピストンを有するシリンダと、該シリンダの出口側領域に設けられ、ピストンロッドを案内するガイドブシュと、ピストンとシリンダの底面との間に張り渡された圧縮バネと、ピストンロッドが挿通される軸方向孔を備えたシリンダ閉止用の蓋とからなるものがある（例えば、特許文献１参照）。上記ピストンロッドは、隙間のないきつい状態でシリンダの片側から引き出されて衝撃吸収ラムを形成する。ピストンは、緩衝液が充填されるシリンダ空間を２つのチャンバに分割している。ピストンに緩衝液の流路が設けられているか、その代わりに或いはそれに加えて、シリンダの壁に貫通空隙又は貫通流路が形成されている。上記ガイドブシュは、圧縮可能な弾性材料からなる管状部材が嵌着された小径の中間シャフト部と拡径の端部とを有している。
【０００３】
このような緩衝装置は、静穏動作時には、緩衝液中に存在する気泡を、ガイドブシュの小径とされた中間シャフト部が形成する環状空間に押し出すことによって、緩衝液中の気泡によって発生する気になる騒音をなくすか、或いは少なくとも低下させることができる。そして、環状空間内の気泡は、一種の蓄積スリーブを形成する管状部材に吸収、すなわち無害化される。
【０００４】
【特許文献１】
独国特許発明第２００１０２８２．６号明細書
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公知の緩衝装置が非常に良好に作動していたとしても、それは、多数の部品からなっているという問題がある。そこで、本発明は、緩衝装置の構成を簡素化することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、本発明に従ってガイドブシュとシリンダ閉止用の蓋を一体型の部品から作ることによって、実現される。
【０００７】
蓋及びガイドブシュの構成を一体型にすることによって、部品個数が少なくなる。さらに、この一体型の構成によれば、ガイドブシュを挿入するだけでシリンダを封止して完成させることができ、何等かの特別な装置を設けて、別の蓋とシリンダとの間にガイドブシュを保持する必要がないので、組立てを容易にすることができる。
【０００８】
上記一体型部品の蓋部分の出口側に、拡径された円筒状の止まり穴が設けられ、その止まり穴に、ピストンロッド上に配置された円筒状部材が挿入されている。緩衝液が、ガイドブシュ内のピストンロッドを囲む空隙から外部へ流出したとしても、その緩衝液は、拡径された止まり穴の下部領域に貯留することになる。そして、円筒状部材が、この止まり穴に挿入されるピストンとして形成されているので、緩衝液が止まり穴から流出することはない。
【０００９】
ガイドブシュと蓋との一体型の部品（蓋付きガイドブシュ）は、プラスチック射出成形部品からなることが好ましい。圧縮可能な管状部材は、セルラーラバー又はフォームラバーからなるか、或いは、発泡エラストマ系プラスチックから形成することが可能であり、ガイドブシュの直径が中間シャフト部において小さくなることによって形成された環状空間に挿入される。
【００１０】
ガイドブシュの拡径端部には、拡径されたボアホール部が設けられており、そのボアホール部には、ピストンロッドを封止するリップシールが収められていることが好ましい。
【００１１】
円筒状部材の上端は、静穏に衝撃を吸収する柔軟性及び／又は弾性の材料からなるキャップを保持することが最も好ましい。
【００１２】
蓋部分は、シリンダより上方に延出させてもよい。この延出された部分に、その部分を家具に取り付ける手段、例えば輪溝を設けてもよい。
【００１３】
本発明に係るさらなる発展形態では、シリンダは、ピストンが押し込まれた状態で、緩衝液が下部チャンバから上部チャンバに自由又は略自由に流れるようにする領域を有する。このように緩衝液を溢流させることができるため、ピストンが押込み位置に到達する直前に緩衝効果が低減するか、或いは略打ち消される。そのため、緩衝装置が扉やフラップ等の閉鎖装置と連係している場合に、緩衝される家具の閉鎖位置、すなわち押込み位置の領域における閉鎖力は影響を受けない。
【００１４】
上記緩衝効果がなくなる領域において、シリンダの内周壁を、円錐台状にするか或いは一段拡張してもよい。この領域のシリンダの壁に、軸方向の長さがピストンの厚みより長い溝を設けてもよい。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図１〜図８に示す緩衝装置は、特許文献１の図１１〜図１４に基づいて記載された緩衝装置の第２の実施の形態に対応するものである。但し、上記特許文献１に係る緩衝装置においては、ガイドブシュ及びシリンダ閉止蓋は２つの個別部品であり、これら両部品によって、ブシュを、シリンダの環状傾斜段と、蓋の凹部に設けられた環状段との間に固定させている。しかし、本発明においては、ガイドブシュ及び蓋は１つの部品から作られ、好ましくはプラスチック製の一体型射出成形部品から形成されている。従って、シリンダ、及びピストンロッドより下方に位置する部材について説明するために、特許文献１の図１１〜図１４に係る実施の形態の記載を参照する。ピストンロッドの部分の下端に位置するフランジ状延出部は、ピストンに支えられている。
【００１６】
図１〜図８に示すように、シリンダ１には部品２が挿入されており、この部品２は、シリンダを閉止する蓋を形成している。部品２は、その下部に、ピストンロッド５を案内するための中心ボアホールを有するブシュ状部３（中間シャフト部）を備えている。ブシュ状部３は、環状段６によって、蓋を形成する蓋状部５′（蓋部分）と分けられている。ブシュ状部３の下端領域には、環状段７を介して拡径部８が設けられている。このブシュ状のシャフト部は環状段６と環状段７との間で直径が小さくなり、環状空間９を形成している。この環状空間９には、セルラーラバー、フォームラバー又は発泡エラストマ系プラスチックからなる管状部材１０が挿入されている。
【００１７】
上記ブシュ状部の拡径部８には、ボアホール４に隣接する拡径されたボアホール部１１が環状段を介して設けられている。このボアホール部１１にはリップシール１２が挿入されている。蓋状部５′は、その直径がシリンダ１の直径に相当する部分１３を備えている。蓋状部５′は、上記部分１３に隣接して小径とされた環状段１４を備えており、この環状段１４によって、相補形のボアホール部がシリンダ１の上端に係合される。
【００１８】
図示の実施の形態では、蓋付きのブシュ状部及びシリンダがプラスチックでできているため、蓋を例えば超音波溶接によってシリンダと接続することができる。蓋状部５′そのものは円筒状止まり穴１６（ボアホール部）を備え、止まり穴１６は環状段を経てブシュ状部３のボアホール４に通じている。ピストンロッド５の上端には円筒状部材１７が設けられ、その直径は、円筒状部材１７が略摩擦なく円筒状止まり穴１６に案内されるのに十分な隙間を止まり穴１６との間に残しつつ、止まり穴１６に入り込んだ緩衝液の流出を防止するように調整されている。円筒状部材１７は、ピストンロッド５の端部を収容するボアホール１９を備えている。ボアホール１９の基部はジャーナル２０を有しており、ジャーナル２０はピストンロッド５の前部のボアホールと係合する。
【００１９】
円筒状部材１７の上端は、キャップ２２が嵌め込まれる凹部２１を備えている。キャップ２２を保持するために、凹部２１は、キャップ２２の輪溝２４と係合する環状突起２３を有している。
【００２０】
ピストン２５から追い出された緩衝液は、ブシュ状部の拡径部８から溢れ出て、環状空間９に流入することができる。また、それにより、環状空間９内で管状部材１０が図２に示すように圧縮される。緩衝液の溢流を可能にするために、ブシュ状部の拡径部８又はシリンダの壁に、環状空隙又は任意の穴を設けてもよい。
【００２１】
蓋状部５′は、家具等への取付手段を備えていることが最も好ましい。図示の実施形態では、蓋状部５′が、取付けのために用いられる輪溝２８を有している。
【００２２】
図９〜図１１に係る実施の形態は、シリンダ１の下部領域に、ピストン２５が緩衝動作の後に進入する部分３０が設けられており、この部分がシリンダ底面に向かって円錐台状に拡径している点で、図１〜図８の実施形態と異なっている。このように円錐台状に拡径することによって、緩衝液が、シリンダの下部チャンバからシリンダの上部チャンバに略自由に溢流することができるため、ピストン２５が円錐台状領域３０に入り次第、緩衝効果を低減させるか、或いは略打ち消すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 ピストンが上端位置にある場合の、本発明に係る緩衝装置の第１の実施の形態を示す縦断面図である。
【図２】 ピストンが下端位置にある場合の図１相当図である。
【図３】 ピストンロッド上に配置される円筒状部材を示す縦断面図である。
【図４】 図３に係る円筒状部材の凹部に係止されるキャップを示す縦断面図である。
【図５】 蓋と一体型の部品として設計されたガイドブシュを示す縦断面図である。
【図６】 ガイドブシュ下端の拡径部の凹部に収容されるシールを示す断面図である。
【図７】 多孔質の弾性材料からなる管状部材を示す縦断面図である。
【図８】 シリンダを示す縦断面図である。
【図９】 緩衝装置の第２の実施の形態を示す、図１相当図である。
【図１０】 緩衝装置の第２の実施の形態を示す、図２相当図である。
【図１１】 図９及び図１０に係る緩衝装置のシリンダを示す縦断面図である。
【符号の説明】
１ シリンダ
２ 一体型の部品
３ ブシュ状部
４ ボアホール
５ ピストンロッド
５′ 蓋状部
６ 環状段
７ 環状段
８ 拡径部
９ 環状空間
１０ 管状部材
１１ ボアホール部
１２ リップシール
１３ 直径がシリンダの直径に相当する部分
１４ 環状段
１６ 円筒状止まり穴
１７ 円筒状部材
１９ ボアホール
２０ ジャーナル
２１ 凹部
２２ キャップ
２３ 環状突起部
２４ 輪溝
２５ ピストン
２８ 輪溝
３０ 円錐台状領域

Claims (9)

1. ピストン（２５）を有するシリンダ（１）と、
   上記シリンダ（１）の出口側領域に設けられ、ピストンのピストンロッド（５）を案内するガイドブシュと、
   上記ピストン（２５）と上記シリンダの底面との間に張り渡された圧縮バネと、
   上記ピストンロッドが挿通される軸方向孔を備えたシリンダ閉止用の蓋とからなり、
   上記ピストンロッド（５）は、上記シリンダの出口側から隙間のない状態で引き出されて衝撃吸収ラムを形成しており、
   上記ピストンは、緩衝液が充填されるシリンダ空間を２つのチャンバに分割しており、
   上記ピストンには緩衝液の流路が設けられているか、その代わりに、又はそれに加えて上記シリンダの壁に貫通空隙もしくは貫通流路が形成されており、
   上記ガイドブシュは、圧縮可能な弾性材料からなる管状部材（１０）が嵌着された小径の中間シャフト部と、拡径された端部（８）とを有しており、
   上記ガイドブシュと上記蓋とが一体型の部品（２）からなり、
   上記一体型部品の蓋部分（５′）の出口側に、拡径された円筒状の止まり穴（１６）が設けられており、
   上記止まり穴（１６）には、上記ピストンロッド（５）上に設けられた円筒状部材（１７）が挿入されていることを特徴とする衝撃緩衝装置。
2. 請求項１に記載の衝撃緩衝装置において、
   上記ガイドブシュと蓋との一体型の部品は、プラスチック製の射出成形部品（２）からなることを特徴とする衝撃緩衝装置。
3. 請求項１又は請求項２に記載の衝撃緩衝装置において、
   上記ガイドブシュの拡径端部（８）の端部には、拡径されたボアホール部（１１）が設けられており、
   上記ボアホール部（１１）には、上記ピストンロッド（５）を封止するリップシール（１２）が収められていることを特徴とする衝撃緩衝装置。
4. 請求項１に記載の衝撃緩衝装置において、
   上記円筒状部材（１７）は上端に、柔軟性及び／又は弾性の材料からなるキャップ（２２）を有していることを特徴とする衝撃緩衝装置。
5. 請求項１に記載の衝撃緩衝装置において、
   上記蓋部分（５′）は、上記シリンダ（１）を越えて延出していることを特徴とする衝撃緩衝装置。
6. 請求項５に記載の衝撃緩衝装置において、
   上記蓋部分のシリンダから延出した部分には、該延出部分を家具に取り付けるための取付手段が設けられていることを特徴とする衝撃緩衝装置。
7. 請求項１ないし請求項６のいずれか１つに記載の衝撃緩衝装置において、
   上記シリンダ（１）は、上記ピストン（２５）が押し込まれた状態で、緩衝液が下部シリンダチャンバから上部シリンダチャンバに自由又は略自由に溢流させるようにする領域（３０）を有することを特徴とする衝撃緩衝装置。
8. 請求項７に記載の衝撃緩衝装置において、
   上記シリンダの溢流領域の内周壁が、円錐台状（３０）とされ、或いは一段拡径されていることを特徴とする衝撃緩衝装置。
9. 請求項７に記載の衝撃緩衝装置において、
   上記溢流領域のシリンダの壁に、軸方向の長さがピストンの厚みより長い溝が設けられていることを特徴とする衝撃緩衝装置。

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