JP3909982B2 - インキ組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主にスタンプ台や、浸透印に使用するためのインキ組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現行のスタンプ台や浸透印用インキとしては、揮発性のインキと不揮発性のインキが知られている。更に、不揮発性のインキとしては、水性インキと油性インキが知られている。
水性インキは溶剤として水を使用するが、水単独では蒸発乾燥してしまうので、通常グリセリン等の保湿剤を混合して乾燥を防いでいる。しかし、外界が乾燥している時期にはインキがかすれ、外界の湿度が高い時期には吸湿しすぎてべとついてしまう欠点があった。
一方、油性インキとしては、グリセリン、ひまし油、ひまし油誘導体、グリセリン誘導体などの不揮発性有機溶剤を用いたインキが知られている。しかし、グリセリンは前記の通り吸湿性があるので、外界の湿度が高い時期は、吸湿しすぎてべとついてしまう欠点があった。また、ひまし油は吸湿・乾燥はしないものの、粘度が高すぎて、押印後の印影の乾燥速度が極めて遅く、他の書類や手を汚す欠点があった。また、ひまし油誘導体、例えばリシノール酸メチルエステルなどは、天然ゴムで作られているゴム印を膨潤させてしまうし、特開昭50−41606、特開昭50−155322等に開示されているような感光性樹脂印を膨潤してしまう欠点があった。また、グリセリン誘導体、例えば特開平7−247453に開示されているようなポリオキシプロピレントリオールは、水との相溶性が低いので、当該インキが付着した印章の印面を水で洗浄してもインキを除去できず、他の種類のインキを使用したくても使用できなかった。
そこで、本出願人は前記種々欠点を解決したインキを発明し、これを出願した(特開平9−67532)。
しかし、当該インキは高チキソトロピー性を有するため、当該インキに流動性を与えずにスタンプ台や浸透印に含浸させることは困難であって、特に使用者がインキを補充する場合は顕著であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者はインキ自体が吸湿、乾燥せず、天然ゴム製ゴム印や感光性樹脂印を変質させず、かつ、印面に付着したインキの除去が容易で、更に、インキ補充が容易なインキ組成物を見い出した。
【0004】
【課題を解決するための手段】
式(1)で表されるポリオキシエチレンオキシプロピレントリオール、着色剤、スチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体を含有するインキ組成物。また、前記インキ組成物にアクリル樹脂粉末、アクリル樹脂水溶液、アクリル樹脂コロイダルディスパージョン、アクリル樹脂エマルジョン、体質顔料から選ばれる1又は2以上の物質を配合してなるインキ組成物。
【化2】
【0005】
以下、本発明を詳細に説明する。
溶剤には、少なくとも式(1)で表される化合物を用いる。式(1)で表される化合物は、グリセリンをベースにしたポリオキシエチレンオキシプロピレントリオールであって、更に詳しくは、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体とグリセリンの三官能基がエーテル結合したもの、または、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのランダム共重合体とグリセリンの三官能基がエーテル結合したものである。従って、l,m,nはそれぞれ任意の値とすることができるが、本発明では平均分子量が200〜6200のものが好ましく使用される。
特に、オキシエチレンの数平均重合度が1〜60、かつ、オキシプロピレンの数平均重合度が1〜60のものが好ましく用いられ、オキシエチレンの数平均重合度/オキシプロピレンの数平均重合度=1〜2となるものが最も好ましい結果を与える。例えば、
オキシエチレンの数平均重合度:オキシプロピレンの数平均重合度=60:45オキシエチレンの数平均重合度:オキシプロピレンの数平均重合度=30:25オキシエチレンの数平均重合度:オキシプロピレンの数平均重合度=15:15などを挙げることができ、これらはいずれも良好な結果を与える。
なぜ、この割合のものが最も好ましい結果が得られるのかは定かではないが、親水性基であるオキシエチレン基と親油性基であるオキシプロピレン基がバランスよく共重合しているので、天然ゴム印や感光性樹脂印を侵さないといった水性溶剤の利点と吸湿・乾燥しないといった油性溶剤の利点を併せ持つことができたためと思われる。
この溶剤は、インキ全量に対して50〜95重量%を配合することができるが、特に好ましい範囲は55〜90重量%である。
また、本発明では、一般に市販されている平均分子量が200〜6200のポリプロピレングリコール、及び/又は、一般に市販されている平均分子量が200〜6200のポリエチレングリコールを補助溶剤として追加することもでき、この場合、インキ全量に対して0.5〜30重量%程度を配合することができる。
【0006】
本発明に用いることのできる着色剤は、顔料、染料のどちらでも使用することができる。
顔料としては、特に制限されることなく従来公知の有機顔料及び無機顔料を単独又は混合して使用することができ、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジゴ・チオインジゴ系、ベリノン・ベリレン系、イソインドレノン系、アゾメチレンアゾ系などの有機顔料や、カーボンブラック、マイカ、チタン白、パール顔料、酸化鉄・アルミニウム粉・真鍮等金属顔料などの無機顔料を用いることができる。これらの顔料は通常、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−アクリル酸共重合体等のアクリル樹脂などや、当該アクリル樹脂の金属塩・アンモニウム塩・アミン塩などや、ポリビニルブチラール樹脂などの他の公知の樹脂などに練り込んで加工顔料としておくと、溶剤と混合する際に容易に分散するので便利である。また、既に分散剤中に顔料を練り込んである市販の加工顔料を用いてもよい。
これらの顔料は色合いを勘案しながら単独又は混合して使用でき、インキ全量に対し1〜30重量%の顔料分が使用できる。
染料としては、モノアゾ系、ジスアゾ系、金属錯塩型モノアゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系、トリアリルメタン系など従来公知の油溶性染料を特に制限されることなく使用することができる。
これらの油溶性染料は色合いを勘案しながら単独又は混合でき、インキ全量に対し1〜30重量%を使用することができる。
【0007】
本発明はスチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体を必須添加剤としている。スチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体は、スチレンとアクリル樹脂とαメチルスチレンを重合させたコポリマーであって、本発明では酸価100〜500、平均分子量2000〜30000のものが好ましく用いられ、特に好ましい範囲は酸価200〜300、平均分子量5000〜20000である。当該スチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体は、着色剤に染料を用いる場合は印影の固着剤、着色剤に顔料を用いる場合は顔料の分散剤、印影の固着剤として作用する。
【0008】
他に本発明には、アクリル樹脂粉末、アクリル樹脂水溶液、アクリル樹脂コロイダルディスパージョン、アクリル樹脂エマルジョン、体質顔料から選ばれる1又は2以上の物質をチキソトロピー性付与剤兼顔料分散剤として前記インキ組成物に配合することができる。
本発明で用いることのできるアクリル樹脂粉末は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−メタクリル酸−メチルメタアクリレート共重合体、スチレン−アクリル酸−2エチルヘキシルアクリレート共重合体、スチレン−アクリル酸−エチルアクリレート共重合体等の樹脂、及び、それらのアルカリ金属塩・アンモニウム塩・アミン塩からなる樹脂の粉末であって、酸価80以下、ガラス転移温度(Tg)が80℃以下のものが特に好ましく用いられる。
本発明で用いることのできるアクリル樹脂水溶液は、前記アクリル樹脂粉末を水に溶解させて水溶液としたものを用いることができ、固形分20〜60%(アクリル樹脂分:水分=20〜60%:40〜80%)とするのが好ましい。
本発明で用いることのできる水溶性アクリル樹脂コロイダルディスパージョンは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−メタクリル酸−メチルメタアクリレート共重合体、スチレン−アクリル酸−2エチルヘキシルアクリレート共重合体、スチレン−アクリル酸−エチルアクリレート共重合体などのアルカリ金属塩・アンモニウム塩・アミン塩を水溶液中で分散安定化したコロイド溶液であって、固形分20〜60%(アクリル樹脂分:水分=20〜60%:40〜80%)、酸価80以下、ガラス転移温度(Tg)が80℃以下のものが特に好ましく用いられる。
本発明で用いることのできる水溶性アクリル樹脂エマルジョンは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−メタクリル酸−メチルメタアクリレート共重合体、スチレン−アクリル酸−2エチルヘキシルアクリレート共重合体、スチレン−アクリル酸−エチルアクリレート共重合体などをアルカリ金属・アンモニウム・アミン等によって水溶性とした自己乳化型アクリル樹脂を水溶液中で分散安定化した乳化液であって、固形分20〜60%(アクリル樹脂分:水分=20〜60%:40〜80%)、酸価80以下、ガラス転移温度(Tg)が80℃以下のものが特に好ましく用いられる。
本発明に用いられるアクリル樹脂粉末を具体的に列挙すると「ジョンクリル J−683・J−68・J−586(以上、ジョンソン(株)製)、ウルトラホールド8・ルビマー100P(以上、BASFジャパン(株)製)、レオジック830L・835H・250H・ジュリマーAC−10P(以上、日本純薬(株)製)」 等を挙げることができ、本発明に用いられる水溶性アクリル樹脂コロイダルディスパージョンを具体的に列挙すると「ジョンクリル J−61J・354・501(以上、ジョンソン(株)製)」等を挙げることができ、本発明に用いられる水溶性アクリル樹脂エマルジョンを具体的に列挙すると「ジョンクリル J−61・J−62・J−68・J−537(以上、ジョンソン(株)製)、Carboset XL−30(BF Goodrich(株)製)、ジュリマー ET−410・ET−510(以上、日本純薬(株)製)、APPRETAN 3700、モビニール 771H(以上、ヘキスト(株)製)、プライマル(ロ−ム(株)製)」 等を挙げることができる。
これらのアクリル樹脂粉末、アクリル樹脂水溶液、水溶性アクリル樹脂コロイダルディスパージョン、水溶性アクリル樹脂エマルジョンは、前記溶剤との相溶性に極めて優れており、例えば両者を混合撹拌後80℃の状態で5日間放置した場合や30℃の状態で5日間放置した場合においても、樹脂が析出することは全くなく、顔料を完全に分散させたままの状態を長期に渡って保つことができる。
また、本発明で用いることのできる体質顔料は、沈降性硫酸バリウム、表面処理した沈降性硫酸バリウム、疎水性シリカ、親水性シリカ、シランカップリング剤で処理したシリカ、ポリエチレン粉末、架橋タイプのアクリル樹脂粉末から選ぶことができる。
上記アクリル樹脂粉末、アクリル樹脂水溶液、水溶性アクリル樹脂コロイダルディスパージョン、水溶性アクリル樹脂エマルジョン、体質顔料は、それぞれ単独で用いてもよいし、もちろん複数を混合して用いてもよく、インキ全量に対して0.1〜30重量%が使用できる。
【0009】
本発明では、上記物質以外にも押印後の印影の浸透乾燥を若干早めるため、浸透補助剤として、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテルを少量配合してもよい。
【0010】
以上の添加物の他に、1,3,5−ヘキサハイドロトリアジン、2−メトキシカルボニルアミノベンズイミダゾール−4’−Nドデシルベンゾールスルフォン酸塩、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、ベンゾチアゾール、ジメチベンジルアルキルアンモニウムクロライドなどの防腐防かび剤や、ジブチルヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤を使用することができるが、できれば使用しない、又は、使用しても極く少量にすることが好ましい。
【0011】
【作用】
本発明の溶剤は、水性と油性の利点を併せもっており、吸湿・乾燥をしない、天然ゴム等の印材を侵しにくい、紙等の被捺印物に対して浸透力がある、といった性質があり、この溶剤に適した着色剤及び樹脂を配合することによって、スタンプインキとして有用なインキが得られる。
【0012】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
カーボンブラック 7重量%
ポリオキシエチレンオキシプロピレントリオール(A) 80重量%
スチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体(D) 13重量%
上記のカーボンブラックとスチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体(D)7重量%を三本ロールに投入し混合した後、これをプロペラ撹拌機にて残りの物質と混合して、25℃・20rpmにおける粘度が2400mPa・sの黒色インキを得た。
(実施例2)
カーボンブラック 7重量%
スチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩 6重量%
ポリオキシエチレンオキシプロピレントリオール(A) 80重量%
スチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体(D) 5重量%
固形分30%の水溶性アクリル樹脂エマルジョン 2重量%
上記のカーボンブラックとスチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩を三本ロールに投入し混合した後、これをプロペラ撹拌機にて残りの物質と混合して、25℃・20rpmにおける粘度が2000mPa・sの黒色インキを得た。
(実施例3)
C.I.Pigment Red 166 7重量%
スチレン−アクリル酸共重合体アミン塩 7重量%
ポリオキシエチレンオキシプロピレントリオール(B) 60重量%
分子量300のポリプロピレングリコール 15重量%
スチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体(D) 5重量%
固形分30%の水溶性アクリル樹脂エマルジョン 1重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 5重量%
上記の顔料とスチレン−アクリル酸共重合体アミン塩を三本ロールに投入し混合した後、これをプロペラ撹拌機にて残りの物質と混合して、25℃・20rpmにおける粘度が1300mPa・sの赤色インキを得た。
(実施例4)
C.I.Pigment Blue 15:3 7重量%
スチレン−アクリル酸共重合体 3重量%
ポリビニルブチラール樹脂 3重量%
ポリオキシエチレンオキシプロピレントリオール(C) 40重量%
分子量300のポリエチレングリコール 35重量%
スチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体(E) 5重量%
固形分30%の水溶性アクリル樹脂コロイダルディスパージョン 2重量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5重量%
上記の顔料とスチレン−アクリル酸共重合体を三本ロールに投入し混合した後、これをプロペラ撹拌機にて残りの物質と混合し、25℃・20rpmにおける粘度が1000mPa・sの青色インキを得た。
(実施例5)
C.I.Solvent Black 27 7重量%
スチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩 7重量%
ポリオキシエチレンオキシプロピレントリオール(C) 75重量%
スチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体(E) 6重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 5重量%
上記の物質をプロペラ攪拌機にて混合し、25℃・20rpmにおける粘度が800mPa・sの黒色インキを得た。
(実施例6)
カーボンブラック 8重量%
ポリオキシエチレンオキシプロピレントリオール(A) 60重量%
分子量300のポリエチレングリコール 20重量%
スチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体(E) 10重量%
沈降性硫酸バリウム 2重量%
上記のカーボンブラックとスチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体(H)を三本ロールに投入し混合した後、これをプロペラ撹拌機にて残りの物質と混合して、25℃・20rpmにおける粘度が1500mPa・sの黒色インキを得た。
(実施例7)
カーボンブラック 7重量%
スチレン−アクリル酸共重合体アミン塩 7重量%
ポリオキシエチレンオキシプロピレントリオール(B) 60重量%
分子量300のポリプロピレングリコール 15重量%
スチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体(E) 5重量%
固形分30%の水溶性アクリル樹脂エマルジョン 3重量%
沈降性硫酸バリウム 3重量%
上記の顔料とスチレン−アクリル酸共重合体アミン塩を三本ロールに投入し混合した後、これをプロペラ撹拌機にて残りの物質と混合して、25℃・20rpmにおける粘度が1300mPa・sの黒色インキを得た。
【0013】
(比較例1)
実施例1のスチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体をスチレン−アクリル酸共重合体に変更する以外は同様に配合し、黒色インキを作成した。
(比較例2)
実施例2からスチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体を除く以外は同様に配合し、黒色インキを作成した。
(比較例3)
実施例3からスチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体は同様に配合し、赤色インキを作成した。
(比較例4)
実施例4からスチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体を除く以外は同様に配合し、青色インキを作成した。
(比較例5)
実施例5からスチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体を除く以外は同様に配合し、黒色インキを作成した。
(比較例6)
実施例6からスチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体をスチレン−アクリル酸共重合体に変更する以外は同様に配合し、黒色インキを作成した。
(比較例7)
実施例7からスチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体を除く以外は同様に配合し、黒色インキを作成した。
【0014】
ここで、上記実施例中の物質について説明する。
(A):オキシエチレンの数平均重合度60、オキシプロピレンの数平均重合度45であるポリオキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合体とグリセリンとのポリオキシエチレンオキシプロピレントリオール。
(B):オキシエチレンの数平均重合度30、オキシプロピレンの数平均重合度25であるポリオキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合体とグリセリンとのポリオキシエチレンオキシプロピレントリオール。
(C):オキシエチレンの数平均重合度15、オキシプロピレンの数平均重合度15であるポリオキシエチレンオキシプロピレンランダム共重合体とグリセリンとのポリオキシエチレンオキシプロピレントリオール。
(D):酸価300、平均分子量20000のスチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体。
(E):酸価200、平均分子量8000のスチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体。
【0015】
各実施例、及び、各比較例のインキをスタンプ台に含浸させ、市販の天然ゴム印、市販の感光性樹脂印(商品名:クリアソフト(旭化成社製ARP樹脂印))をもって上質紙に押印した。その結果を以下に示す。
【0016】
【0017】
(試験方法及び評価基準)
▲1▼天然ゴム印の変化
…スタンプ台盤面に印面を接触させたまま、室温中で10日間放置した後、上質紙に押印して、その印影を観察した。
○:全く変化なし。△:文字の周囲がややぼやけていた。
×:文字の周囲がぼやけており、細かい文字がつぶれた。
▲2▼感光性樹脂印の変化
…スタンプ台盤面に印面を接触させたまま、室温中で10日間放置した後、上質紙に押印して、その印影を観察した。
○:全く変化なし。△:文字の周囲がややぼやけていた。
×:文字の周囲がぼやけており、細かい文字がつぶれた。
▲3▼印影の乾燥時間
…温度20℃、湿度65%の状態で、上質紙に押印後、上質紙を重ねて1kg/cm2の力を加え、転写しなくなるまでの時間を計測した。
▲4▼吸湿・乾燥性の試験
…湿度80%・温度50℃、湿度80%・温度30℃、湿度40%・室温の条件下でそれぞれ1ヶ月間放置した後、上質紙に押印して、その印影を観察した。
A:鮮明。 B:べとつきがある。 C:かすれる。
▲5▼印影の濃さ
…1kg/cm2の力でスタンプ台盤面に印面を接触させてインキを転写させ、上質紙に押印し、その印影を観察した。
○:濃い。 ×:薄い。
▲6▼インキ補充性
…スタンプ台に5mlのインキを滴下し吸収されるまでの時間を計測した。
【0018】
【効果】
本発明は、インキが乾燥・吸湿しないのでスタンプ台の蓋を閉め忘れても盤面が乾燥して使用不能となったり、逆に空気中の水分を吸収してべとついてしまうことがなく、1年を通して使用状態が変化しない。また、天然ゴム製ゴム印や感光性樹脂印等を変質させることがなく、更に、紙等の吸収紙に対する浸透力が優れているので、押印後の印影の浸透乾燥が早い。また、水に容易に溶解するので、捺印作業終了後のゴム印の洗浄が容易であり、また、同じゴム印を使用する所謂「色替え」もスムーズにできる。
更に、顔料を多く配合した場合でも上記効果を維持したままインキ粘度を低下させることができるので、印材へのインキ転写付着量が減少することはなく、鮮明で濃い印影が得られる。また、インキが乾燥した後は耐水性を有するので、水がかかっても滲まず、インキ静止時の粘度が低いのでインキ補充性が向上している。
Claims (2)
- エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体とグリセリンの三官能基がエーテル結合したポリオキシエチレンオキシプロピレントリオール、または、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのランダム共重合体とグリセリンの三官能基がエーテル結合したポリオキシエチレンオキシプロピレントリオールと、
着色剤と、
スチレン−アクリル酸−αメチルスチレン共重合体を含有するスタンプ台又は浸透印用インキ組成物。 - アクリル樹脂粉末、アクリル樹脂水溶液、アクリル樹脂コロイダルディスパージョン、アクリル樹脂エマルジョン、体質顔料から選ばれる1又は2以上の物質を更に配合してなる請求項1に記載のスタンプ台又は浸透印用インキ組成物。
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