JP3909967B2 - バックアップ用保護継電装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、送電線の事故を検出する送電線保護継電装置のバックアップ用として用いるのに適したバックアップ用保護継電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
送電線システムの保護継電装置としては、一般的に距離継電装置が使用されており、この距離継電装置を適用する方式として例えば、電気事業連合会工務部保護制御担当課長会議発行の系統保護継電方式の標準的な考え方(ディジタル編)の「距離継電方式」に開示されている方式がある。
【0003】
この距離保護継電装置が何らかの都合により運用不能になる場合に備えて、バックアップ用として別装置による2系列化の構成がとられることがあるが、変電所の全ての送電線毎にこの2系列化システムを備えることは経済性の面から採用できぬことがある。特に77kV以下の下位系統においては、この傾向が強い。この様な場合には、変電所に各送電線に対して共用のバックアップ用保護継電装置を1個(もしくは数個)準備しておき、常時運用していた送電線保護継電装置が何らかの都合で運用できない事態になった場合、この専用のバックアップ用保護継電装置を用いるようにしている。そしてこのバックアップ用保護継電装置を用いるときは、該当送電線の電圧、電流取り込みのための接続作業と、該当送電線の遮断器に対する開放信号を出力するための接続作業を行い、接続状態のチェックなどの健全性の確認を実施した後、バックアップ用保護継電装置を使用状態としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のバックアップ用保護継電装置は、その使用に際しては、電圧、電流取り込み及び遮断器へ開放信号を出力するための接続作業と、その作業の確認など多くの工数を必要とし、例えば0.5〜1日くらいの時間をかけての作業となっていた。
【0005】
本発明の目的は、複数の送電線保護継電装置のどれに対してもバックアップが可能で、かつその使用時には簡単な操作で系統との接続が行えるようにしたバックアップ用保護継電装置を提供することにある。
【0006】
本発明は、複数の送電線を保護する保護継電装置をバックアップするためのバックアップ用保護継電装置であって、
各送電線の電流をディジタル化して取り込むための電流検出手段と、
各送電線の電圧をディジタル化して取り込むための電圧検出手段と、
どの送電線を保護対象とするかを指定するための送電線指定手段と、
この送電線指定手段により指定された送電線に対応する前記電流検出手段の出力を選択するための第1のセレクタと、
前記送電線指定手段により指定された送電線に対応する前記電圧検出手段の出力を選択するための第2のセレクタと、
前記各送電線を当該送電線の異常信号が入力されたとき電気所の母線から遮断する遮断器に取り外し信号を出力するための、各送電線対応に設けられた駆動手段と、
前記第1及び第2のセレクタにより選択された電流及び電圧情報を入力として保護要素演算を行うためのリレー要素と、
このリレー要素から異常を示す異常信号が出力されたとき、前記送電線指定手段により指定された送電線に対応する前記駆動手段を選択して前記異常信号を入力するための第3のセレクタと、
を備えると共に、
前記電流検出手段、前記電圧検出手段、及び前記駆動手段は、各送電線が接続された電気所の母線を保護するために設けられた母線保護継電装置で用いるものと共用して構成したことを特徴とするバックアップ用保護継電装置を開示する。
【0008】
更に本発明は、前記送電線指定手段と前記第1、第2及び第3のセレクタとの間を通信回線を介して接続して成ることを特徴とするバックアップ用保護継電装置を開示する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明になるバックアップ用保護継電装置の構成例を示すブロック図で、保護対象としての送電線Lj(j=1〜n、以下同様)は、遮断器CBjを介して電気所の母線A又はBに接続されている。どちらの母線に接続されているかは各遮断器の接点情報Lsja、Lsjbに示されている。各送電線Ljの電流は変流器CTjにより検出され、AD変換器6でディジタル化されて電流セレクタ3へ入力されている。また、各母線A、Bの電圧は変圧器PTa、PTbで検出され、AD変換器7でディジタル化され、電圧セレクタ4へ入力されている。また、リレー要素1の出力は遮断器セレクタ5へ入力され、遮断器セレクタ5は、保護対象送電線を遮断するための遮断器を選択する。遮断器駆動回路8は、送電線Ljに設けられた遮断器CTjを引き外すための駆動信号を生成するもので、リレー要素1が対象送電線の異常を検出したとき、遮断器セレクタ5を介してその異常信号を受けとり、該当する遮断器へ引き外し信号を出力する。
【0010】
リレー要素1は距離継電器として動作するもので、入力された電流情報I及び電圧情報Vを用いて保護動作を行うが、どの送電線を対象とするかは送電線指定装置2により指定する。即ち、例えば臨時保護の対象とする全送電線に予め番号を割り付けておき(例えば1、2、3…のように)、臨時保護の対象とする送電線の番号を送電線指定装置2より入力する。送電線指定装置2はこの入力番号を読み取り、電流セレクタ3、電圧セレクタ4及び遮断器セレクタ5を制御して、電流セレクタ3が選択された送電線の電流情報を、電圧セレクタ4が指定された送電線の電圧情報をそれぞれリレー要素1へ取り込み、またリレー出力を送出する遮断器を遮断器セレクタ5が選択するように制御する。ここで電圧セレクタ4は、臨時保護対象として指定された送電線をLkとすると、遮断器の接点情報LSka、LSkbをみて、「オン」となっている方の母線電圧を選択し、これを電圧情報Vとする。
【0011】
以上のようにして、図1の構成によれば、リレー要素の入出力情報を送電線指定装置2を操作するだけで自動的に切り換えることによって臨時に保護したい送電線の事故判定を行うことが可能となり、従来のような接続作業や確認作業を必要としないので、作業能率を大幅に向上できる。また、図1で示したような電力系統では、図示は省略しているが、母線保護継電装置が設けられている。そしてこの母線保護継電装置は、一般に電流差動原理による方式が適用されているが、このために各送電線の電流を変流器を用いて取り込み、また、各母線の電圧を変圧器を用いて取り込んでいる。従って、この母線保護継電装置のために設けられている変流器、変圧器及びAD変換器を、図1の変流器CT1〜CTn、変圧器PTa、PTb、及びAD変換器6、7として共用することができ、また、遮断器引き外しのための駆動信号を生成する遮断器駆動回路8も同様に母線保護継電装置のものを利用できる。このため、本発明のバックアップ用保護継電装置は極めて経済的に構成することができる。
【0012】
さらに、図1の送電線指定装置2は電気所から離れた制御室等に設置し、各セレクタ3〜5への指示信号を通信回線を経由して伝える構成とすることも容易で、緊急時の対応を容易とすることができる。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果が期待できる。
臨時に送電線を保護したい際には、当該送電線番号を入力することで所定の保護動作を行うため、従来のように臨時保護装置を当該送電線に設置しかつ接続の健全性確認に要していた工数の削減に寄与するほか、安全性においても極めて優れる装置を実現可能である。さらに、この送電線番号を遠方からの制御指令で実現可能であり、緊急の対応にも迅速に処理されることから極めて信頼度の高い装置を提供できる。
【0014】
また、母線保護装置用として備えた電圧電流回路および遮断器引き外し回路を共用して送電線の臨時保護を可能とするため、最近の母線保護装置のディジタルハード適用装置においては、特段に臨時保護装置用ハードウエアを追加することなく機能を実現可能であり、母線保護装置として盤面数を増加することなくきわめて経済性のすぐれた装置を実現可能である。また、このように母線保護装置と多くの部分を共用すれば、その部分の保守も母線保護装置と共用でき、保守費用の削減に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になるバックアップ用保護継電装置の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 リレー要素
2 送電線指定装置
3 電流セレクタ
4 電圧セレクタ
5 遮断器セレクタ
6、7 AD変換器
8 遮断器駆動回路
CT1〜CTn 変流器
PTa、PTb 変圧器
CB1〜CBn 遮断器

Claims (2)

  1. 複数の送電線を保護する保護継電装置をバックアップするためのバックアップ用保護継電装置であって、
    各送電線の電流をディジタル化して取り込むための電流検出手段と、
    各送電線の電圧をディジタル化して取り込むための電圧検出手段と、
    どの送電線を保護対象とするかを指定するための送電線指定手段と、
    この送電線指定手段により指定された送電線に対応する前記電流検出手段の出力を選択するための第1のセレクタと、
    前記送電線指定手段により指定された送電線に対応する前記電圧検出手段の出力を選択するための第2のセレクタと、
    前記各送電線を当該送電線の異常信号が入力されたとき電気所の母線から遮断する遮断器に取り外し信号を出力するための、各送電線対応に設けられた駆動手段と、
    前記第1及び第2のセレクタにより選択された電流及び電圧情報を入力として保護要素演算を行うためのリレー要素と、
    このリレー要素から異常を示す異常信号が出力されたとき、前記送電線指定手段により指定された送電線に対応する前記駆動手段を選択して前記異常信号を入力するための第3のセレクタと、
    を備えると共に、
    前記電流検出手段、前記電圧検出手段、及び前記駆動手段は、各送電線が接続された電気所の母線を保護するために設けられた母線保護継電装置で用いるものと共用して構成したことを特徴とするバックアップ用保護継電装置。
  2. 前記送電線指定手段と前記第1、第2及び第3のセレクタとの間を通信回線を介して接続して成ることを特徴とする請求項1に記載のバックアップ用保護継電装置。
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