JP3008427B2 - 火力発電設備の所内単独運転移行装置 - Google Patents

火力発電設備の所内単独運転移行装置

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JP3008427B2 JP2045013A JP4501390A JP3008427B2 JP 3008427 B2 JP3008427 B2 JP 3008427B2 JP 2045013 A JP2045013 A JP 2045013A JP 4501390 A JP4501390 A JP 4501390A JP 3008427 B2 JP3008427 B2 JP 3008427B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、運転中の火力発電設備の発電機を送電ラ
インから切り離して発電機の出力を発電設備を含む発電
所内の電気負荷のみに消費させる所内単独運転への移行
の要否を決定する装置、すなわち所内単独運転移行の条
件に関するものである。
〔従来の技術〕
所内単独運転への移行は、発電所からの送電が、発電
所の外部系統に生じた事故により継続不可能と判断され
たときに一時的に発電機と送電ラインとを結んでいる遮
断器を開き、発電機の出力を発電所内の電気負荷のみで
消費させることにより発電機の負荷を制限しつつ外部系
統事故の復旧による再送電を待機するものである。
外部系統事故(以下、外部事故と省略する)の検出
は、本来、外部系統に配された複数の保護継電器を事故
点の位置に応じて互いに主保護,後備保護の関係で動作
させて行うのが建前であるが、万一外部事故が除去され
ない場合にも、発電設備の運転に支障を与えることなく
安定に所内単独運転に移行できるよう、従来、大半の外
部事故や著しい需給不均衡の結果として現れる発電機周
波数の低下が、予め設定された許容限を超えたか、ある
いは発電機巻線の比率差動保護を仕損じた場合の後備保
護用として設けられたインピーダンス継電器の動作条件
を満たす事故が発生したか否かにより行われている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、これら2つの動作条件のみでは捕促できない
外部事故が生じうることが判明した。すなわち、例え
ば、周波数は低下量が許容限界までの範囲内にあって
も、発電機の出力端子に直接あるいは変圧器を介して接
続された所内母線あるいは発電所主変圧器の高圧側端子
に接続された系統母線の電圧が発電機から送電ラインへ
の送電を不可能にするほど低下したり、外部事故が短絡
事故であり発電所の遮断器を開かなければならないよう
な場合にもその事故の事故点が発電機の後備保護用イン
ピーダンス継電器の動作領域外にあったり、発電機と結
ばれた送電ラインが、この送電ラインと連係されている
別系統から切り離されたときなどの電力動揺が大きく、
周波数の低下速度が著しく大きくなるような場合に周波
数自体が許容限界までの範囲内にあるとき、などの場合
には、従来の周波数低下保護継電器や発電機後備保護継
電器では外部事故や系統状態の変化に対応できず、所内
単独運転への移行ができなくなり、発電機の負荷制限が
不可能になる。
この発明の目的は、大半の外部事故の結果として現わ
れる周波数の低下や、発電機後備保護継電器の動作領域
内の事故の検出のみでは捕捉不可能な外部事故であって
発電機の送電ラインからの切離しを必要とする外部事故
を漏れなく検出しうる所内単独運転移行装置を提供する
ことである。
〔課題を解決するための手段〕
上記課題を解決するために、この発明においては、所
内単独運転移行装置を、周波数低下保護継電器および発
電機後備保護継電器の少なくとも何れか1つの第1継電
器と、不足電圧保護継電器,電圧抑制付き過電流継電器
および周波数低下率保護継電器の少なくともといずれか
1つの第2継電器とを用いて構成し、第1または第2継
電器のいずれかの動作を条件として、前記切り離しを行
う構成とする。
〔作用〕
この発明は、従来構成の所内単独運転移行装置の実地
運用経験に基づいてなされたものである。すなわち、従
来の周波数低下保護継電器または発電機後備保護継電器
に加え、不足電圧保護継電器,電圧抑制付き過電流保護
継電器および周波数低下率保護継電器の少なくともいず
れか1つを用いて所内単独運転移行装置を構成すること
により、周波数が許容限界を超えて低下しない場合や、
事故点が発電機の後備保護範囲内にない場合の外部事故
をも漏れなく捉えることができ、火力発電設備の運転を
安定に継続しつつ所内単独運転に移行させることができ
る。すなわち、不足電圧保護継電器が検出する不足電圧
は、発電機の出力端子に直接もしくは所内変圧器を介し
て接続された所内母線の対地電圧および発電機から給電
される主変圧器の高圧側端子に接続された系統母線の対
地電圧におけるものとし、この不足電圧が例えば中性点
が直接接地されていない系統の場合には三相中2相以上
に検出されたとき、外部系統に短絡電流もしくは過電流
が生じているものとして発電機が送電ラインから切り離
され、また、電圧抑制付き過電流保護継電器は、継電器
内で電流により生じる接点駆動トルクと、電圧または電
圧と電流との組合わせにより生じる,前記接点駆動トル
クと反対方向の抑制トルクとの平衡点を電流値のいずれ
の大きさの点に置くかによりきまる継電器の動作インピ
ーダンス領域が発電機後備保護継電器の動作領域と重畳
しつつさらに広い領域を含むように設定される。そし
て、周波数低下率保護継電器は、発電機と結ばれた送電
ラインを、この送電ラインと連系されている別系統を切
り離した場合などの電力動揺すなわちその送電ラインを
通過する電力の変化により生じる周波数低下率が設定値
より大きい場合に、周波数自体は許容限界以内にある場
合にも、この周波数低下率を検出して発電機を送電ライ
ンから切り離し、発電設備の安定な運転を継続させ、再
送電に備えさせる。
このように、本発明によれば、従来の周波数低下保護
継電器が検出する,許容限界を超えた周波数低下につな
がらないような外部系統の短絡電流もしくは過電流や、
発電機の後備保護範囲外の事故点や、系統の安定な運用
上必要となる系統分離の場合などにみられる電力動揺に
基づく,許容値を超えた周波数低下率、などに応動して
発電機を送電ラインから切り離し、発電設備の運転を安
定に保ちつつ所内単独運転に移行させることができる。
従って発電所が属する系統の状況もしくは性格に応じ、
不足電圧保護継電器,電圧抑制付き過電流保護継電器,
周波数低下率保護継電器中の少なくともいずれか1つを
従来の周波数低下保護継電器あるいは発電機後備保護継
電器に加えて所内単独運転移行装置を構成することによ
り、外部事故に漏れなく対応して発電設備を所内単独運
転に移行させることができる。
〔実施例〕
第1図に火力発電所内主回路の一構成例における本発
明の一実施例を示す。2次側に中性点抵抗を有する変圧
器の1次巻線を介して中性点が接地された発電機4は、
主変圧器3と高圧遮断器2とを介して系統母線1に接続
され、また、所内変圧器6と中圧遮断器14とを介して所
内母線5に接続されている。系統母線1には送電線11,1
2の2回線が接続され、所内母線5には、発電所内電気
負荷の開閉,保護に用いられる複数の中圧遮断器15が接
続されている。
主回路がこのように構成された火力発電所における所
内単独運転移行装置を構成する継電器として、発電機周
波数が設定された許容限界を超えて低下したときに動作
する発電機周波数継電器7が適宜の電気量変換手段を介
して発電機4の出力端子側主回路に接続され、また、所
内母線5の対地電圧が設定された許容限界を超えて低下
したときに動作する所内母線不足電圧継電器8と,この
不足電圧継電器8と動作点設定値(動作電圧と動作時
間)を異にする第2段の所内母線不足電圧継電器9とが
所内母線5の3相に、系統母線1の対地電圧が設定され
た許容限界を超えて低下したときに動作する系統母線不
足電圧継電器10が系統母線1の3相にそれぞれ適宜の電
気量変換手段を介して接続されている。
このように構成された所内単独運転移行装置におい
て、例えば不足電圧の検出に基づく所内単独運転への移
行は第2図のように行われる。いま、発電所が属する系
統が中性点非直接接地の系統であると仮定すると、発電
機を系統から切り離す必要が生じるのは、2相短絡電流
あるいは3相短絡電流が生じる2相地絡あるいは3相地
絡(地絡を伴わない相間短絡すなわち送電線導体の空中
短絡は実際上ほとんど起らないことが統計的に確認され
ているが、この場合にも主回路のインピーダンス降下に
より対地電圧は地絡時と同程度に低下する)時であるか
ら、系統母線1,所内母線5のそれぞれ3相中少なくとも
2相の不足電圧継電器が動作したときに遮断器2を開路
動作させるようにし、まず、系統母線不足電圧継電器10
の2相または3相動作と所内母線不足電圧継電器8の2
相または3相動作とが重なって生じたときにタイマ16を
介して所定の時限後に遮断器2を開路動作させる。この
とき、もしも遮断器2の開路動作が行われない場合に
は、動作点設定値の異なる第2段の所内母線不足電圧継
電器9の2相または3相動作と系統母線不足電圧継電器
10の2相または3相動作とによりタイマ17を介して所定
の時限後に遮断器2を開路動作させる。なお、発電所が
属する系統が中性点直接接地の系統の場合には、短絡電
流は1相地絡時にも生じるから、不足電圧継電器は1相
のみの動作時にも遮断器の開路動作が行われるように保
護システムを構成する。
なお、本発明による所内単独運転移行装置は、火力発
電設備のみでなく、火力発電設備と同様の負荷応答性
(負荷の変化量と、この変化量に見合った発電機出力変
化を生ぜしめるのに必要な時間との関係)をもつ原子力
発電設備にも適用可能なことはもちろんである。
〔発明の効果〕
以上に述べたように、本発明においては、運転中の火
力発電設備の発電機を送電ラインから切り離して発電機
の出力を発電設備を含む発電所内の電気負荷のみに消費
させる所内単独運転への移行の要否を決定する装置を、
周波数低下保護継電器および発電機後備保護継電器の少
なくとも何れか1つの第1継電器と、不足電圧保護継電
器,電圧抑制付き過電流継電器および周波数低下率保護
継電器の少なくともいずれか1つの第2継電器とから構
成し、第1または第2継電器のいずれかの動作を条件と
して、前記切り離しを行うようにしたので、周波数が許
容限界を超えて低下しない場合や、事故点が発電機の後
備保護範囲内にない場合の外部事故をも漏れなく捉える
ことができ、火力発電設備の運転を安定に継続しつつ所
内単独運転に移行させることができるようになった。ま
た、系統の安定運転のために行われる系統分離などの際
の電力動揺が大きく、周波数の低下率が異常に大きい場
合にも、周波数自体が所定の許容限界に到達する前に発
電機を系統から切り離すことができ、発電設備の運転に
支障を来たすことなく所内単独運転に移行させることが
できるようになった。
【図面の簡単な説明】
第1図は火力発電所の一例による主回路構成を対象とし
て本発明による火力発電設備の所内単独運転移行装置を
構成する際の,装置の構成要素である継電器の配置状況
の一実施例を示す回路図、第2図は所内単独運転移行装
置を構成した不足電圧継電器による不足電圧検出から所
内単独運転移行までのプロセスを示す説明図である。 1……系統母線、2……遮断器、4……発電機、5……
所内母線、7……発電機周波数継電器(周波数低下保護
継電器)、8,9……所内母線不足電圧継電器(不足電圧
保護継電器)、10……系統母線不足電圧継電器(不足電
圧保護継電器)、11,12……送電線(送電ライン)。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02J 9/00 - 11/00 H02H 3/00 - 7/22

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】運転中の火力発電設備の発電機を送電ライ
    ンから切り離して発電機の出力を発電設備を含む発電所
    内の電気負荷のみに消費させる所内単独運転への移行の
    要否を決定する装置であって、周波数低下保護継電器お
    よび発電機後備保護継電器の少なくとも何れか1つの第
    1継電器と、不足電圧保護継電器,電圧抑制付き過電流
    継電器および周波数低下率保護継電器の少なくともいず
    れか1つの第2継電器とを備え、第1または第2継電器
    のいずれかの動作を条件として、前記切り離しを行うこ
    とを特徴とする火力発電設備の所内単独運転移行装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS59172922A (ja) * 1983-03-18 1984-09-29 株式会社東芝 周波数検出継電装置
JPS60148345A (ja) * 1984-01-09 1985-08-05 株式会社東芝 発電プラント
JPH01114332A (ja) * 1987-10-26 1989-05-08 Hitachi Ltd 受変電設備の保護装置

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