JP3906587B2 - 放電灯点灯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チョッパー回路とインバータ回路を組み合わせて商用電源から高周波電圧を得て放電灯を点灯させる放電灯点灯装置に関するものであり、特に、予熱始動時の動作制御方式に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術として図1にインバータ装置の基本構成を示す。一対のスイッチング素子Q1、Q2の直列回路と、他の一対のスイッチング素子Q3、Q4の直列回路が平滑コンデンサC0が並列に接続されており、さらに、ダイオードD1、D2の直列回路が各スイッチング素子Q1〜Q4の順方向とは逆並列となるように接続されている。スイッチング素子Q1、Q2の直列回路の接続点と、スイッチング素子Q3、Q4の直列回路の接続点との間には、放電灯FLと共振インダクタLの直列回路が接続されており、放電灯FLの両フィラメントの非電源側端子間には共振コンデンサCが並列に接続されている。また、ダイオードD1、D2の接続点と、スイッチング素子Q1、Q2の接続点の間には、チョッパーチョークとして作用するインダクタL0と交流電源ACとの直列回路が接続されている。なお、各スイッチング素子Q1〜Q4は逆方向の寄生ダイオードを内蔵している。
【0003】
この放電灯点灯装置では、交流電源ACからの入力電流Iinの方向が図1中の矢印で示す方向(以後、「正の方向」とする)の期間には、スイッチング素子Q2がチョッパー兼用のスイッチング素子として高周波動作して平滑コンデンサC0に電力を供給すると同時に、スイッチング素子Q1〜Q4を高周波動作することにより放電灯FLに高周波電力を供給する。また、入力電流Iinの電流方向が図1中の矢印で示す方向と反対方向(以後、「負の方向」とする)の期間には、スイッチング素子Q1がチョッパー兼用のスイッチング素子として高周波動作して平滑コンデンサC0に電力を供給すると同時に、スイッチング素子Q1〜Q4を高周波動作することにより放電灯FLに高周波電力を供給するものであり、また、先行予熱時には、フィラメント電流、ランプ両端間電圧の条件を充分満足するように、スイッチング素子Q1〜Q4の駆動信号S1〜S4の周波数及びオンデューティを制御回路1により変化させるものである。
【0004】
以下、定格点灯時の本回路の動作を図2及び図3により説明する。図2において、(a)〜(d)はスイッチング素子Q1〜Q4の駆動信号S1〜S4、(e)は交流電源ACからの入力電流Iin、(f)〜(i)はスイッチング素子Q1〜Q4の電流IQ1〜IQ4、(j)は端子B−A間の電圧、(k)は放電灯FLのフィラメントに流れる予熱電流If、(l)は放電灯FLに流れるランプ電流Ilaをそれぞれ示している。図3に交流電源ACの一周期分の回路動作を示す。図中、(a)は交流電源ACの電圧Vac、(b)は交流電源ACからの入力電流Iin、(c)〜(f)はスイッチング素子Q1〜Q4の電流IQ1〜IQ4、(g)は放電灯FLのフィラメントに流れる予熱電流If、(h)は放電灯FLに流れるランプ電流Ilaをそれぞれ示している。
【0005】
まず、入力電流Iinの方向が正の方向で、交流谷部の期間T1の回路動作を図2により説明する。時刻t1で、図2(a)、(d)より駆動信号S1、S4がローレベルとなり、スイッチング素子Q1、Q4がオフし、図2(b)、(c)より駆動信号S2、S3がハイレベルとなり、スイッチング素子Q2、Q3がオンする。これにより、図2(e)より、交流電源ACを電源として、スイッチング素子Q2、ダイオードD2、インダクタL0の経路で図2(e)に示す入力電流Iinが流れる。また、インダクタLに蓄積されている磁気エネルギーにより、インダクタLから、スイッチング素子Q3の寄生ダイオード、平滑コンデンサC0、スイッチング素子Q2の寄生ダイオード、放電灯FLもしくは共振コンデンサCを介して、図2(l)に示すランプ電流Ila、図2(k)に示すフィラメント電流Ifが流れ、インダクタLの磁気エネルギーが放出された時点で、平滑コンデンサC0を直流電源として、スイッチング素子Q3、インダクタL、放電灯FLもしくは共振コンデンサC、スイッチング素子Q2の経路で負荷に電力を供給し、図2(l)に示すランプ電流Ila、図2(k)に示すフィラメント電流Ifが流れる。
【0006】
時刻t2で、図2(a)、(d)より駆動信号S1、S4がハイレベルとなり、スイッチング素子Q1、Q4がオンし、図2(b)、(c)より駆動信号S2、S3がローレベルとなり、スイッチング素子Q2、Q3がオフする。これにより、図2(e)より、インダクタL0に蓄積された磁気エネルギーと交流電源ACを電源として、スイッチング素子Q1の寄生ダイオード、平滑コンデンサC0、ダイオードD2、インダクタL0の経路で図2(e)に示す入力電流Iinが流れる。そして、インダクタL0の磁気エネルギーが放出されると、チョッパー回路動作は停止し、入力電流Iinはゼロとなる。
【0007】
また、インダクタLに蓄積されている磁気エネルギーにより、インダクタLから放電灯FLもしくは共振コンデンサC、スイッチング素子Q1の寄生ダイオード、平滑コンデンサC0、スイッチング素子Q4の寄生ダイオードを介して、図2(l)に示すランプ電流Ila、図2(k)に示すフィラメント電流Ifが流れる。そして、インダクタLの磁気エネルギーが放出されると、平滑コンデンサC0を電源としてスイッチング素子Q1、放電灯FLもしくは共振コンデンサC、インダクタL、スイッチング素子Q4の経路で負荷に電力を供給し、図2(l)に示すランプ電流Ila、図2(k)に示すフィラメント電流Ifが流れる。時刻t3以降は上述の時刻t1〜t3の回路動作と同様の動作を行う。
【0008】
次に、交流電源ACが正の方向で、交流山部の期間T2の回路動作を説明する。時刻t4〜t6の回路動作は基本的に時刻t1〜t3の回路動作とほぼ同一であるが、交流電源ACの電圧値Vacが谷部と比較して高いため、スイッチング素子Q1とQ2の扱う電流値IQ1,IQ2が高くなる。本回路構成において、入力電流Iinの方向が正の期間には、スイッチング素子Q2がチョッパー回路とインバータ回路とで兼用される素子となる。
【0009】
次に、入力電流Iinの方向が負の方向で、交流谷部の期間T3の回路動作を図2により説明する。時刻t7で、図2(a)、(d)より駆動信号S1、S4がハイレベルとなり、スイッチング素子Q1、Q4がオンし、図2(b)、(c)より駆動信号S2、S3がローレベルとなり、スイッチング素子Q2、Q3がオフする。これにより、図2(e)より、交流電源ACを電源として、インダクタL0、ダイオードD1、スイッチング素子Q1の経路で図2(e)に示す入力電流Iinが流れる。また、インダクタLに蓄積されている磁気エネルギーにより、インダクタLから、放電灯FLもしくは共振コンデンサC、スイッチング素子Q1の寄生ダイオード、平滑コンデンサC0、スイッチング素子Q4の寄生ダイオードを介して、図2(l)に示すランプ電流Ila、図2(k)に示すフィラメント電流Ifが流れ、インダクタLの磁気エネルギーが放出された時点で、平滑コンデンサC0を直流電源として、スイッチング素子Q1、放電灯FLもしくは共振コンデンサC、インダクタL、スイッチング素子Q4の経路で負荷に電力を供給し、図2(l)に示すランプ電流Ila、図2(k)に示すフィラメント電流Ifが流れる。
【0010】
時刻t8で、図2(a)、(d)より駆動信号S1、S4がローレベルとなり、スイッチング素子Q1、Q4がオフし、図2(b)、(c)より駆動信号S2、S3がハイレベルとなり、スイッチング素子Q2、Q3がオンする。これにより、図2(e)より、インダクタL0に蓄積された磁気エネルギーと交流電源ACを電源として、交流電源AC、インダクタL0、ダイオードD1、平滑コンデンサC0、スイッチング素子Q2の寄生ダイオードの経路で図2(e)に示す入力電流Iinが流れる。そして、インダクタL0の磁気エネルギーが放出されると、チョッパー回路動作は停止し、入力電流Iinはゼロとなる。
【0011】
また、インダクタLに蓄積されている磁気エネルギーにより、インダクタLからスイッチング素子Q3の寄生ダイオード、平滑コンデンサC0、スイッチング素子Q2の寄生ダイオード、放電灯FLもしくは共振コンデンサCを介して、図2(l)に示すランプ電流Ila、図2(k)に示すフィラメント電流Ifが流れる。そして、インダクタLの磁気エネルギーが放出されると、平滑コンデンサC0を電源としてスイッチング素子Q3、インダクタL、放電灯FLもしくは共振コンデンサC、スイッチング素子Q2の経路で負荷に電力を供給し、図2(l)に示すランプ電流Ila、図2(k)に示すフィラメント電流Ifが流れる。時刻t9以降は上述の時刻t7〜t9の回路動作と同様の動作を行う。
【0012】
次に、交流電源ACが負の方向で、交流山部の期間T4の回路動作を説明する。時刻t10〜t12の回路動作は基本的に時刻t7〜t9の回路動作とほぼ同一であるが、交流電源ACの電圧値Vacが谷部と比較して高いため、スイッチング素子Q1とQ2の扱う電流値IQ1,IQ2が高くなる。これら時刻t1〜t12の動作を繰り返すことにより、放電灯FLを安定点灯すると同時に入力電流歪を抑制することを可能とする。
【0013】
また、先行予熱時においては、ランプインピーダンスが無限大となるため、平滑コンデンサC0の電圧上昇を抑制するために、入力電力と負荷回路の出力のバランスを保つように、且つランプのフィラメントの予熱電流を十分供給するために、スイッチング素子Q1〜Q4の制御信号を、安定点灯時に対して周波数変調もしくはデューティ変調等の制御手段を用いることにより変化させる。尚、先行予熱時の回路動作は、基本的には安定点灯時と同様で、ランプインピーダンスが無限大のため、ランプ電流Ilaがゼロとなる点が異なる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記回路構成において、始動予熱時に、フィラメントに流れる先行予熱電流値、入力電力とフィラメントによって消費される出力電力等のバランスをとり、直流電源の電圧上昇を抑制する制御方法の一つとして、各スイッチング素子の周波数とデューティの変調をかける方法があるが、先行予熱時と定格点灯時とで制御信号の周波数、デューティを大きく変調しなければならず、制御しにくくなるという問題が生じていた。
【0015】
本発明は、上記問題点の解決を目的とするものであり、定格点灯時と先行予熱時とで制御信号の周波数、デューティの変調範囲を狭くし、直流電源の電圧上昇を抑制し、充分なフィラメント電流を供給することを可能とする制御方式を提供しようとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記目的を達成するために、図1に示すように、直流電源となるコンデンサC0の両端間に、第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2の直列回路と、第3及び第4のスイッチング素子Q3,Q4の直列回路を順方向が一致するように並列接続すると共に、第1及び第2のダイオードD1,D2の直列回路を各スイッチング素子Q1〜Q4の順方向と逆方向となるように並列接続し、第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2の接続点と第1及び第2のダイオードD1,D2の接続点の間に、商用交流電源ACとチョッパーチョークL0の直列回路を接続し、第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2の接続点と第3及び第4のスイッチング素子Q3,Q4の接続点の間に、放電灯FLを含む負荷回路を接続し、放電灯FLの定常点灯時には、第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2のうち高電位側のスイッチング素子Q1と第3及び第4のスイッチング素子Q3,Q4のうち低電位側のスイッチング素子Q4がオンする期間と、第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2のうち低電位側のスイッチング素子Q2と第3及び第4のスイッチング素子Q3,Q4のうち高電位側のスイッチング素子Q3がオンする期間とを高周波で交番させることにより、商用交流電源ACから前記チョッパーチョークL0を経て前記コンデンサC0に電力を供給するチョッパー動作と、前記コンデンサC0から前記負荷回路に高周波電力を供給する電力変換動作とを同時に行う制御手段を備える放電灯点灯装置において、少なくとも放電灯FLの予熱時に前記電力変換動作とチョッパー動作を兼用する第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2の動作を停止させる共に、フィラメントに適切な予熱電流Ifが供給されるように第3及び第4のスイッチング素子Q3,Q4を交互に高周波でオンオフ動作させることを特徴とするものである。
【0017】
このように、本発明は、先行予熱時にフルブリッジ回路構成の少なくとも電源側のチョッパー兼用スイッチング素子Q1,Q2の動作を停止させ、非電源側の直列スイッチング素子Q3,Q4を交互にオンオフ動作させることにより、フィラメントに適切な予熱電流を供給するものであり、このとき、非電源側の直列スイッチング素子Q3,Q4の制御信号のデューティもしくは周波数を制御することにより、フィラメント電流Ifを制御できる。また、放電灯負荷FLの非電源側に並列にコンデンサCを接続し、さらに、予熱始動時のフィラメント電流検出手段を具備することが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1に本実施例の基本構成を示す。本回路構成は従来例と同様である。本実施例の基本的な回路動作を図4と図5に示す動作説明図により詳細に説明する。図4に交流電源ACの一周期分の回路動作を示す。図中、(a)は交流電源ACの電圧Vac、(b)は交流電源ACからの入力電流Iin、(c)〜(f)はスイッチング素子Q1〜Q4の電流IQ1〜IQ4、(g)は放電灯FLのフィラメントに流れる予熱電流If、(h)は放電灯FLに流れるランプ電流Ilaをそれぞれ示している。図5において、(a)〜(d)はスイッチング素子Q1〜Q4の駆動信号S1〜S4、(e)は交流電源ACからの入力電流Iin、(f)〜(i)はスイッチング素子Q1〜Q4の電流IQ1〜IQ4、(k)は放電灯FLのフィラメントに流れる予熱電流If、(l)は放電灯FLに流れるランプ電流Ila、(m),(n)はダイオードD1,D2を流れる電流ID1,ID2をそれぞれ示している。
【0019】
本実施例において、先行予熱時には、図5(a),(b)に示すように、スイッチング素子Q1とQ2は停止し続ける。まず、交流電源ACからの入力電流Iinの方向が正の方向で、交流谷部の期間T1の回路動作を図5により説明する。時刻t1で、制御回路1からの駆動信号S3が図5(c)に示すようにハイレベルになり、駆動信号S4が図5(d)に示すようにローレベルになり、スイッチング素子Q3がオン、スイッチング素子Q4がオフとなる。このとき、交流電源ACとインダクタL及びインダクタL0に蓄積された磁気エネルギーより、交流電源AC、共振コンデンサC、インダクタL、スイッチング素子Q3の寄生ダイオード、平滑コンデンサC0、ダイオードD2、インダクタL0を介してフィラメントに電流を供給する。そして、インダクタL0、インダクタLに蓄積されたエネルギーがゼロとなると、コンデンサCを電源として、共振コンデンサC、スイッチング素子Q1の寄生ダイオード、スイッチング素子Q3、インダクタLの経路で放電灯FLのフィラメントに図5(k)に示すような予熱電流Ifを供給する。
【0020】
時刻t2で、制御回路1からの駆動信号S3が図5(c)に示すようにローレベルになり、駆動信号S4が図5(d)に示すようにハイレベルになり、スイッチング素子Q3がオフとなり、スイッチング素子Q4がオンとなる。このとき、共振コンデンサCとインダクタLに蓄積された磁気エネルギーにより、共振コンデンサC、スイッチング素子Q1の寄生ダイオード、平滑コンデンサC0、スイッチング素子Q4の寄生ダイオード、インダクタLを介してフィラメントに電流を供給する。そして、インダクタL0、インダクタLに蓄積されたエネルギーがゼロとなると、交流電源ACを電源とし、交流電源AC、共振コンデンサC、インダクタL、スイッチング素子Q4、ダイオードD2、インダクタL0を介して、放電灯FLのフィラメントに図5(k)に示すような予熱電流Ifを供給する。時刻t3以降は時刻t1〜t3の回路動作と同様の動作を行う。
【0021】
次に、交流電源が正の方向で、交流山部の期間T2について説明すると、時刻t4〜t6の回路動作は基本的に時刻t1〜t3の回路動作とほぼ同一であり、交流電源の電圧値が谷部と比較して高いため、スイッチング素子Q3とQ4の扱う電流値IQ3,IQ4が高くなり、フィラメント電流Ifも大きくなる。
【0022】
次に、交流電源ACからの入力電流Iinの方向が負の方向で、交流谷部の期間T3の回路動作を図5により説明する。時刻t7で、制御回路1からの駆動信号S3が図5(c)に示すようにローレベルになり、駆動信号S4が図5(d)に示すようにハイレベルになり、スイッチング素子Q3がオフ、スイッチング素子Q4がオンとなる。このとき、交流電源ACとインダクタL及びインダクタL0に蓄積された磁気エネルギーより、交流電源AC、インダクタL0、ダイオードD1、平滑コンデンサC0、スイッチング素子Q4の寄生ダイオード、インダクタL、共振コンデンサCを介してフィラメントに予熱電流Ifを供給する。そして、インダクタL0及びインダクタLに蓄積されたエネルギーがゼロとなると、コンデンサCを電源として、共振コンデンサC、インダクタL、スイッチング素子Q4、スイッチング素子Q2の寄生ダイオードの経路で放電灯FLのフィラメントに図5(k)に示すような予熱電流Ifを供給する。
【0023】
時刻t8で、制御回路1からの駆動信号S3が図5(c)に示すようにハイレベルになり、駆動信号S4が図5(d)に示すようにローレベルになり、スイッチング素子Q3がオン、スイッチング素子Q4がオフとなる。このとき、共振コンデンサCとインダクタLに蓄積された磁気エネルギーにより、共振コンデンサC、インダクタL、スイッチング素子Q3の寄生ダイオード、平滑コンデンサC0、スイッチング素子Q2の寄生ダイオードを介してフィラメントに予熱電流Ifを供給する。そして、インダクタL0、インダクタLに蓄積されたエネルギーがゼロとなると、交流電源ACを電源とし、交流電源AC、インダクタL0、ダイオードD1、スイッチング素子Q3、インダクタL、共振コンデンサCを介して、図5(k)に示すようにフィラメントに予熱電流Ifを供給する。時刻t9以降は時刻t7〜t9の回路動作と同様の動作を行う。
【0024】
次に、交流電源が負の方向で、交流山部の期間T4について説明すると、時刻t10〜t12の回路動作は基本的に時刻t7〜t9の回路動作とほぼ同一であり、交流電源の電圧値が谷部と比較して高いため、スイッチング素子Q3とQ4の扱う電流値IQ3,IQ4が高くなり、フィラメント電流Ifも大きくなる。
【0025】
これら時刻t1〜t12の一連の動作を繰り返すことにより、先行予熱時にフィラメント電流Ifを供給し、また平滑コンデンサC0の電圧上昇を抑制することを可能とする。つまり、このインバータ装置では、先行予熱時に、スイッチング素子Q1、Q2を停止し、スイッチング素子Q3、Q4の制御周波数を点灯周波数と比較して大きく変化させることなく、高周波で交互にオン、オフ動作させることにより、フィラメントに充分な予熱電流を供給し、平滑コンデンサC0の電圧上昇を軽減するものである。
【0026】
(実施例2)
本実施例の回路構成は実施例1と同様であり、基本的な回路動作も同様である。本実施例では、スイッチング素子Q1、Q2を停止し、スイッチング素子Q3、Q4のデューティを変調することにより、先行予熱時に、フィラメントに充分な予熱電流を供給し、平滑コンデンサC0の電圧上昇を軽減するように、フィラメント電流量を制御することを特徴とするものである。
【0027】
(実施例3)
本発明の実施例3の回路図を図6に示す。本実施例は、先行予熱時に、実施例1もしくは実施例2に示した制御方式で回路動作しているとき、負荷回路に直列接続された検出回路2により、フィラメント電流Ifを検出し、フィラメント電流Ifの上限を超えれば、スイッチング周波数を高くする、もしくはデューティを絞り、下限を下回れば、スイッチング周波数を低くするか、もしくはデューティを長くするように制御することにより、フィラメント電流Ifをより安定に供給することを特徴とするものである。
【0028】
(実施例4)
本発明の実施例4の回路図を図7に示す。本実施例は、実施例1の回路構成にコンデンサC3、C4、トランスT、インダクタL1、L2から構成される入力フィルタを交流電源ACに並列に接続したものである。本実施例の回路動作は、基本的に実施例1と同様であるが、本実施例は、入力フィルタを設けたことにより、ランプ点灯時に入力電流Iinを略正弦波とすることができる。
【0029】
【発明の効果】
本発明は、上述のように、直流電源となるコンデンサの両端間に、第1及び第2のスイッチング素子の直列回路と、第3及び第4のスイッチング素子の直列回路を順方向が一致するように並列接続すると共に、第1及び第2のダイオードの直列回路を各スイッチング素子の順方向と逆方向となるように並列接続し、第1及び第2のスイッチング素子の接続点と第1及び第2のダイオードの接続点の間に、商用交流電源とチョッパーチョークの直列回路を接続し、第1及び第2のスイッチング素子の接続点と第3及び第4のスイッチング素子の接続点の間に、放電灯を含む負荷回路を接続し、放電灯の定常点灯時には、第1及び第2のスイッチング素子のうち高電位側のスイッチング素子と第3及び第4のスイッチング素子のうち低電位側のスイッチング素子がオンする期間と、第1及び第2のスイッチング素子のうち低電位側のスイッチング素子と第3及び第4のスイッチング素子のうち高電位側のスイッチング素子がオンする期間とを高周波で交番させることにより、商用交流電源から前記チョッパーチョークを経て前記コンデンサに電力を供給するチョッパー動作と、前記コンデンサから前記負荷回路に高周波電力を供給する電力変換動作とを同時に行う制御手段を備える放電灯点灯装置において、少なくとも放電灯の予熱時に前記電力変換動作とチョッパー動作を兼用する第1及び第2のスイッチング素子の動作を停止させると共に、フィラメントに適切な予熱電流が供給されるように第3及び第4のスイッチング素子を交互に高周波でオンオフ動作させるものであるから、放電灯の定格点灯時と先行予熱時とでスイッチング素子の制御信号の周波数やデューティの変調範囲を狭くし、また、直流電源となるコンデンサの電圧上昇を抑制し、且つ放電灯のフィラメントに適切な予熱電流を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の回路図である。
【図2】従来例の高周波的な動作を説明するための動作波形図である。
【図3】従来例の交流電源の1周期分の動作を示す動作波形図である。
【図4】本発明の実施例1の交流電源の1周期分の動作を示す動作波形図である。
【図5】本発明の実施例1の高周波的な動作を説明するための動作波形図である。
【図6】本発明の実施例3の回路図である。
【図7】本発明の実施例4の回路図である。
【符号の説明】
1 制御回路
2 検出回路
AC 交流電源
FL 放電灯
L,L0 インダクタ
C,C0 コンデンサ
D1,D2 ダイオード
Q1,Q2 スイッチング素子
Q3,Q4 スイッチング素子
Claims (4)
- 直流電源となるコンデンサの両端間に、第1及び第2のスイッチング素子の直列回路と、第3及び第4のスイッチング素子の直列回路を順方向が一致するように並列接続すると共に、第1及び第2のダイオードの直列回路を各スイッチング素子の順方向と逆方向となるように並列接続し、第1及び第2のスイッチング素子の接続点と第1及び第2のダイオードの接続点の間に、商用交流電源とチョッパーチョークの直列回路を接続し、第1及び第2のスイッチング素子の接続点と第3及び第4のスイッチング素子の接続点の間に、放電灯を含む負荷回路を接続し、放電灯の定常点灯時には、第1及び第2のスイッチング素子のうち高電位側のスイッチング素子と第3及び第4のスイッチング素子のうち低電位側のスイッチング素子がオンする期間と、第1及び第2のスイッチング素子のうち低電位側のスイッチング素子と第3及び第4のスイッチング素子のうち高電位側のスイッチング素子がオンする期間とを高周波で交番させることにより、商用交流電源から前記チョッパーチョークを経て前記コンデンサに電力を供給するチョッパー動作と、前記コンデンサから前記負荷回路に高周波電力を供給する電力変換動作とを同時に行う制御手段を備える放電灯点灯装置において、少なくとも放電灯の予熱時に前記電力変換動作とチョッパー動作を兼用する第1及び第2のスイッチング素子の動作を停止させると共に、フィラメントに適切な予熱電流が供給されるように第3及び第4のスイッチング素子を交互に高周波でオンオフ動作させることを特徴とする放電灯点灯装置。
- 請求項1記載の放電灯点灯装置において、第3及び第4のスイッチング素子の制御信号のデューティを制御することにより、フィラメント電流を制御することを特徴とする放電灯点灯装置。
- 請求項1記載の放電灯点灯装置において、放電灯のフィラメントの非電源側端子間に予熱電流の通電経路となるコンデンサを並列接続したことを特徴とする放電灯点灯装置。
- 請求項1記載の放電灯点灯装置において、予熱始動時のフィラメント電流を検出する手段を具備し、先行予熱時に適切な予熱電流を供給するようにスイッチング素子の制御信号を制御することを特徴とする放電灯点灯装置。
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