JP3906565B2 - チャイルドシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の座席上に設置される幼児用チャイルドシートに係り、特にシートベルト装置のベルトによって固定されるチャイルドシートに関する。詳しくは、後部の左右の側面にベルト挿通口を有したチャイルドシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
後部の左右の側面に設けたベルト挿通口にシートベルト装置のベルトを通してチャイルドシートを自動車の座席に固定するものが実開平6−71337号公報に記載されている。
【0003】
第12図は同号公報のチャイルドシートの設置状態を示すチャイルドシート背後方向からの斜視図である。自動車のセンターピラー12の下方にリトラクタ14が設けられ、このリトラクタ14から引き出されたベルト17がショルダアンカ15を介して折り返されて肩ベルトとなっている。この肩ベルトがチャイルドシート10の後部側面の開口19を通ってタング16に達し、該タング16で折り返され腰ベルトとなっている。この腰ベルトの先端はアンカ13によって車体サイドメンバに固定されている。同号公報では、ショルダアンカ15にベルトクランプ装置(図示略)を設け、ショルダアンカ15からベルトが引き出されることを阻止し、これによって、チャイルドシート10を座席11に固定している。
【0004】
同号公報のクランプ装置は、クランプアーム及びアームホルダをそれぞれショルダアンカ本体に回動可能に取り付け、該ショルダアンカ本体とクランプアームとの間で肩ベルトを挟持するように該クランプアームを回動させた後、該クランプアームの先端にアームホルダを係止させてクランプアームを固定するようにしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例にあっては、使用者が肩ベルトをロックするには、肩ベルトをショルダアンカに沿わせるように押え付けておき、この状態でクランプアームを回し、該クランプアームの先端にアームホルダを係合させるようにしているので、肩ベルトのロック作業に手間がかかる。
【0006】
また、上記従来例にあっては、ベルトクランプ装置をショルダアンカ15に設けているが、ベルトのクランプ強度を大きくするためにこのベルトクランプ装置の大きさを大きくとると、車両室内の美感が損なわれる。即ち、このショルダアンカ15は車両室内に露出するものであるから、その大きさを大きくすると美感が損なわれ、また車両室内スペースもそれだけ狭められてしまう。
【0007】
本発明は、肩ベルトのロック作業が容易であるチャイルドシートを提供することを目的とする。また、本発明は、車両室内の美感を損なうことなく座席に堅固に固定されるチャイルドシートを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のチャイルドシートは、後部の左右の側面にベルト挿通口(62)を有するチャイルドシートにおいて、該ベルト挿通口(62)に、ベルトをロックするための上下動可能なスライダを有したベルトロック装置(70)を設けたチャイルドシートであって、該ベルトロック装置(70)は、前記ベルト挿通口(62)の上部に形成された、上方ほど幅が狭くなる側面視形状が三角形形状のスリット(72)と、該スリット(72)の一方の側縁に沿って形成された、該スリット(72)内に臨むスライダガイド部(74)と、該スリット(72)の他方の側縁に沿って形成された、該スライダガイド部(74)と対面するベルト押え面(76)と、該スライダガイド部(74)に上下動可能に係合しており、該ベルト押え面(76)と対面する前面側がベルト接触面(78c)となっているスライダ(78)と、該ベルト押え面(76)に貼着されたゴムシート(80)と、該スライダ(78)の下側に配置され、該スライダ(78)を支承しており、回転により該スライダ(78)を押し上げ得る一対の偏心カム(86,88)とを備えており、該スライダガイド部(74)に、該スライドガイド部(74)を左右方向に貫通したカムシャフト(84)が設けられており、該カムシャフト(84)の両端に前記偏心カム(86,88)が固着され、該カムシャフト(84)を介して該偏心カム(86,88)が一体的に回転可能とされており、一方の偏心カム(86)から放射方向にレバー(86a)が延設されており、該カムシャフト(84)は、該偏心カム(86,88)の軸心から外れた位置に設けられており、該レバー(86a)を回動させることにより該偏心カム(86,88)が上下動し、これにより、該偏心カム(86,88)に支承された前記スライダ(78)が上下動するようになっており、該スライダ(78)は、一対の平行片(78a)を備えており、各平行片(78a)が該偏心カム(86,88)に載荷されており、該スライダ(78)の一方の平行片(78a)の側面には、一対の突起部(78d)が設けられており、前記レバー(86a)が該突起部(78d,78d)の間に入り込むことにより、前記偏心カム(86)の回転が阻止された状態となることを特徴とするものである。
【0009】
かかるチャイルドシートにあっては、ベルトロック装置がチャイルドシートの後部側面のベルト挿通口に設けられており、ベルトロック装置を大きくしてもベルトロック装置が全く目立たず、車両室内の美感が良好である。また、このベルトロック装置を大きくすることによりベルトをしっかりとクランプし、チャイルドシートを座席に堅固に固定することができる。さらに、このロック装置はスライダを上下させてベルトをロック及びアンロックするものであり、使用方法が簡単明瞭である。
【0010】
本発明においては、ベルトロック装置は、該ベルト挿通口に沿うスライダガイド面に案内されて上下動しうるスライダと、上方ほど該スライダガイド面に接近するベルト押え面と、該ベルト押え面に対峙するように押し上げられたスライダを係止するスライダ係止部とからなる。
【0012】
本発明にあっては、該スライダ係止部は、該スライダの下側に配置され、該スライダを支承しており、回転により該スライダを押し上げ得る偏心カムと、該偏心カムから延設されたレバーと、該レバーを係止するレバー係止部とからなる。このレバー係止部は前記スライダの外面に設けられた1対の突起部よりなり、レバーが該1対の突起部の間に入り込むことによりレバーが係止される。左右の偏心カムはシャフトで連結されている。
【0013】
以下図面を参照して参考例及び本発明の実施の形態について説明する。第1図は参考例に係るチャイルドシートの側面図、第2図は第1図のII部分の拡大図、第3図は第2図のIII線に沿う断面図、第4図はこのチャイルドシートの背後方向からの斜視図、第5図はベルトロック装置の構成を示す分解斜視図である。
【0014】
このチャイルドシート20の後部の左右の側面には、肩ベルト22及び腰ベルト24を通すためのベルト挿通口26が設けられており、このベルト挿通口26の上部に、肩ベルト22をロックするためのベルトロック装置30が設けられている。肩ベルト22及び腰ベルト24よりなるシートベルトはタング28に挿通されており、このタング28はバックル29にラッチ可能となっている。
【0015】
このベルトロック装置30は、該ベルト挿通口26の上部に形成された、上方に向って間隔が狭くなる側面視形状が三角形形状のスリット32と、該スリット32に臨むスライダガイド部34と、該スライダガイド部34と対向しているベルト押え面36と、該スライダガイド部34に上下方向スライド可能に係合しているスライダ38と、ベルト押え面36に貼着されたゴムシート40等を備えて構成されている。
【0016】
第5図に明瞭に示される通り、このスライダ38は、後方に向って延在する一対の平行片38aと、この平行片38aに設けられたピン孔38bと、平行片38a同士をつないでおり、前記肩ベルト22に接触するベルト接触面38cと、一方の平行片38aに設けられた把手38dとを備えている。このベルト接触面38cには縦方向の凸条が設けられ、肩ベルト22を挟んだときのベルトの滑りを防止している。
【0017】
このスライダ38が係合したスライダガイド部34は、ベルト押え面36に対面するスライダガイド面43と、一対の平行片44とを備えており、この平行片44にそれぞれ上下方向に延在するスロット46が設けられている。このスロット46の上部の後面側には、ピン退避溝46aが設けられている。
【0018】
スライダ38は、その平行片38a,38aがこのスライダガイド部34の平行片44,44の外側に配置するように該スライダガイド部34に係合する。そして、ピン50をスロット46及びピン孔38bに挿通した後、該ピン50の先端にEリング52を装着し、これによってスライダ38をスライダガイド部34に対し上下方向スライド可能に取り付ける。
【0019】
前記ベルト押え面36のゴムシート40よりも下側部分には、凹部56と、該凹部56の直下の凸部54とが設けられている。この凸部54及び凹部56は、前記スライダ38の下部に設けられた突起38eが係合するものである。
【0020】
このように構成されたチャイルドシート20のベルトロック装置の作動について次に説明する。
【0021】
先ず、チャイルドシート20のスライダ38を、第2図の二点鎖線で示すように下方に下げておく。この状態で、チャイルドシート20を自動車の座席上に乗せ、肩ベルト22及び腰ベルト24が挿通されているタング28を一方のベルト挿通口26から他方のベルト挿通口26に通し、該タング28をバックル29に係合させる。そして、肩ベルト22を、ゴムシート40に沿わせたのち、スライダ38を上方に引き上げる。この場合、指先をスライダ38の把手38dに引っ掛け、該スライダ38を強く上方に押す。
【0022】
そうすると、突起38eが凸部54を乗り越え、凹部56に係合する。尚、突起38eが凸部54を乗り越えるに際しては、ピン50がスロット46のピン退避溝46aに係合することにより、スライダ38がチャイルドシート後方側に若干退動し、突起38eが凸部54を乗り越えることができる。
【0023】
突起38eが凸部54を乗り越えた後は、ピン50がピン退避溝46aよりも上側のスロット46上端部に係合し、スライダ38がチャイルドシート後方に退動することが阻止され、肩ベルト22がスライダ38のベルト接触面38cとゴムシート40との間に強力に挟持され、肩ベルト22がロックされる。これによりチャイルドシート20が自動車の座席にしっかりと装着される。
【0024】
チャイルドシート20を取り外す場合には、上記と逆にスライダ38を押し下げると共に、タング28とバックル29との係合を解除し、タング28を双方のベルト挿通口26から抜き出せば良い。
【0025】
このように、この参考例に係るチャイルドシート20にあっては、スライダ38を上下させるだけで肩ベルト22のロック及びロック解除を行うことができる。このスライダ38は、チャイルドシートの側面部分に設けられており、その操作が容易であると共に、肩ベルト22をゴムシート40との間で極めて強力に挟持し、チャイルドシート20を堅固に座席に対し固定することが可能である。
【0026】
第6図は本発明の実施の形態に係るチャイルドシート60の側面図、第7図は第6図のVII部分の拡大図、第8図は第7図のVIII-VIII線に沿う断面図、第9図はベルトロック装置の構成を示す分解斜視図、第10図は偏心カムとスライダガイド部との係合関係を示す分解斜視図、第11図はこのチャイルドシート60の背後方向からの斜視図である。
【0027】
この実施の形態に係るチャイルドシート60にあっては、側面にそれぞれベルト挿通口62が設けられており、肩ベルト22及び腰ベルト24が挿通される。この肩ベルト22をロックするためのベルトロック装置70が該ベルト挿通口62の上部に設けられている。
【0028】
このベルトロック装置70は、ベルト挿通口62の上部に形成された、上方ほど幅が狭くなる側面視形状が三角形形状のスリット72と、該スリット72に臨むスライダガイド部74と、このスライダガイド部74と対面するベルト押え面76と、スライダガイド部74に上下動可能に係合したスライダ78と、ベルト押え面76に貼着されたゴムシート80と、スライダ78を上下動させるための偏心カム86,88とを備えて構成されている。
【0029】
スライダガイド部74は、第8,10図に明瞭に示される通り、後方に向って延在する一対の平行片74aを備えており、この平行片74aにそれぞれカムシャフト84の挿通用の孔82が穿設されている。
【0030】
このカムシャフト84の一端に第1偏心カム86が固着され、他端側に第2偏心カム88が係合される。カムシャフト84の先端84aは十字形状となっており、第2偏心カム88には該先端84aが係合した十字形の溝88a(第9図)が設けられており、第1偏心カム86の回転力が第2偏心カム88に伝達されるよう構成されている。第1偏心カム86からは放射方向にレバー86aが延設されている。
【0031】
カムシャフト84は、偏心カム86,88の軸心から外れた位置に設けられており、レバー86aを操作することにより、偏心カム86,88に支承されたスライダ78が上下動する。
【0032】
このスライダ78は、一対の平行片78aを備えており、各平行片78aが偏心カム86,88に載荷されている。各平行片78aの先端側に前記スライダガイド部の平行片74aの後端側を回り込むフック部78bが設けられている。
【0033】
なお、スライダガイド部74の下部には、このスライダ78を係合させるためのスライダ装着部90が設けられており、スライダ78を先ずこの装着部90に係合させたのち上方に移動させ、その後、カムシャフト84によって偏心カム86をスライダガイド部74に装着する。
【0034】
スライダ78の前面側はベルト接触面78cとなっている。一方の平行片78aの側面には、一対の突起部78dが設けられており、レバー86aが該突起部78d,78dの間に入り込むことにより、偏心カム86の回転が阻止された状態となる。なお、レバー86aを強く押すことにより、該レバー86aが突起部78dを乗り越えることが可能である。
【0035】
このように構成されたチャイルドシート60を自動車の座席に取り付けるには、先ず偏心カム86,88を第7図の二点鎖線で示す位置に回転させておき、スライダ78を第7図の二点鎖線で示す下降限に位置させる。この状態で、チャイルドシート60を自動車の座席に乗せ、ベルト挿通口62,62にタング28を通し、該タング28をバックル29に係合させる。
【0036】
その後、肩ベルト22をゴムシート80に重ね合わせ、レバー86aを上向きに回動させ、該レバー86aを凸部78d,78dの間に押し込む。このレバー86aの回転操作によって偏心カム86,88が上昇し、スライダ78が第7図の実線で示される上昇限まで移動し、ベルト接触面78cとゴムシート80との間に肩ベルト22が強力に挟持され、これによってチャイルドシート60が座席に堅固に取り付けられる。
【0037】
チャイルドシート60を座席から取り外すには、上記と逆にレバー86aを第7図の反時計回り方向に回転させ、偏心カム86,88及びスライダ78を第7図の二点鎖線で示す下降限まで降下させ、その後タング28をバックル29から取り外し、ベルト挿通口62,62を通して抜き出す。これにより、チャイルドシート60が座席から取り外し可能となる。
【0038】
この実施の形態に係るチャイルドシート60においては、座席にチャイルドシートが極めて堅固に固定される。また、このチャイルドシート60の座席に対する着脱も極めて容易である。
【0039】
【発明の効果】
以上の通り、本発明のチャイルドシートは、座席に対し極めて堅固に固定することができ、この固定及び取り外しも極めて容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例に係るチャイルドシートの側面図である。
【図2】 図1のII部分の拡大図である。
【図3】 図2のIII-III線に沿う断面図である。
【図4】 図1のチャイルドシートの背後方向からの斜視図である。
【図5】 図1のチャイルドシートのベルトロック装置の分解斜視図である。
【図6】 実施の形態に係るチャイルドシートの側面図である。
【図7】 図6のVII部分の拡大図である。
【図8】 図7のVIII-VIII線に沿う断面図である。
【図9】 図6のチャイルドシートのベルトロック装置の分解斜視図である。
【図10】 偏心カムとスライダガイド部との係合関係を示す分解斜視図である。
【図11】 図6のチャイルドシートの背後方向からの斜視図である。
【図12】 従来例を示す背後方向からの斜視図である。
Claims (1)
- 後部の左右の側面にベルト挿通口(62)を有するチャイルドシートにおいて、
該ベルト挿通口(62)に、ベルトをロックするための上下動可能なスライダを有したベルトロック装置(70)を設けたチャイルドシートであって、
該ベルトロック装置(70)は、
前記ベルト挿通口(62)の上部に形成された、上方ほど幅が狭くなる側面視形状が三角形形状のスリット(72)と、
該スリット(72)の一方の側縁に沿って形成された、該スリット(72)内に臨むスライダガイド部(74)と、
該スリット(72)の他方の側縁に沿って形成された、該スライダガイド部(74)と対面するベルト押え面(76)と、
該スライダガイド部(74)に上下動可能に係合しており、該ベルト押え面(76)と対面する前面側がベルト接触面(78c)となっているスライダ(78)と、
該ベルト押え面(76)に貼着されたゴムシート(80)と、
該スライダ(78)の下側に配置され、該スライダ(78)を支承しており、回転により該スライダ(78)を押し上げ得る一対の偏心カム(86,88)と
を備えており、
該スライダガイド部(74)に、該スライドガイド部(74)を左右方向に貫通したカムシャフト(84)が設けられており、
該カムシャフト(84)の両端に前記偏心カム(86,88)が固着され、該カムシャフト(84)を介して該偏心カム(86,88)が一体的に回転可能とされており、
一方の偏心カム(86)から放射方向にレバー(86a)が延設されており、
該カムシャフト(84)は、該偏心カム(86,88)の軸心から外れた位置に設けられており、該レバー(86a)を回動させることにより該偏心カム(86,88)が上下動し、これにより、該偏心カム(86,88)に支承された前記スライダ(78)が上下動するようになっており、
該スライダ(78)は、一対の平行片(78a)を備えており、各平行片(78a)が該偏心カム(86,88)に載荷されており、
該スライダ(78)の一方の平行片(78a)の側面には、一対の突起部(78d)が設けられており、前記レバー(86a)が該突起部(78d,78d)の間に入り込むことにより、前記偏心カム(86)の回転が阻止された状態となることを特徴とするチャイルドシート。
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