JP3905631B2 - スピーカ用ダンパーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はスピーカの振動板を振動可能に支持するスピーカ用ダンパーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スピーカ用のダンパーは各種繊維材料からなる織布あるいは不織布にフェノール樹脂、メラミン樹脂等を含侵した後、加熱成形加工して製造している。
【0003】
上記の製造方法においては、樹脂の含侵工程を必須としているため、製造が煩雑であり、また、フェノール樹脂を扱っており、このフェノール樹脂はホルムアルデヒドを含有しているため、人によってはめまいや吐き気、喘息などの人体への悪影響があり、かつ環境汚染をも招来している。このため、工程の簡略化、人体への悪影響や環境汚染の防止などの観点から、この含浸工程を要しない製造方法が強く要望されるようになってきている。
【0004】
特公昭57−20760号公報、実公昭63−36793号公報には、糸を構成する熱可塑性樹脂の熱融着を利用することにより含浸工程を省略し工程の簡素化を図ったものが提案されているが、単一の樹脂材料によるこれらの製造においては、変形、収縮が著しく、形状の安定した一定の品質を維持したものが得にくいという問題があった。
【0005】
この問題を解決すべく特開平7−274284号公報には、融点の異なる二つの樹脂材料からなる芯鞘構造の繊維を織布としたものを用いたダンパーが示され、低融点の鞘材の熱融着による繊維間の結合が従来の含侵樹脂材の役目を果たすとともに、これより融点の高い芯材が構造を保持することにより収縮、変形の少ないダンパーを実現している。
【0006】
しかしながら、上記の特開平7−274284号公報の発明にあっては、鞘材としてポリエステル繊維を用いているため、成形時の金型温度を180℃と比較的高い温度に設定する必要があり、熱サイクルの管理が容易でない(1サイクルに要する所用時間が長くなったり、あるいは大きなパワーのヒーター及び冷却装置が必要となる。)という問題があり、さらにダンパーとして要求される耐屈曲性や耐薬品性も充分でない、という課題があった。
【0007】
このような観点から、本願出願人は、先に特願平9−299491号として異なる融点を有する二種の熱可塑性樹脂にて構成される芯鞘構造系によりなる織布を加熱成形して得られるスピーカ用ダンパーを提案した。
【0008】
このダンパーは加熱成形時にフィラメントの交点が自己融着により結合されるので、従来の如き煩雑な含侵処理を必要とせず工程の簡略化、コスト低減が図れる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このダンパーは上記利点を有する反面、基材の種類、形状、寸法等により物性が固定されてしまいダンパーとして要求される変位の調整の自由度がなくなってしまう、という問題点がある。また、その材質に起因して接着性が悪い、という課題もあった。
【0010】
すなわち、従来の含侵処理による製造方法の場合は含侵する樹脂の種類や樹脂の量によってコントロールが可能であるが、本願出願人が先に提案したダンパーでは、形状、寸法を変えて調整するしかなく、この場合にはそれに合わせて金型などを製造しなければならず不利である。
【0011】
また、ボイスコイルボビンやフレームなど他の部材との接着性が充分でなく、熱溶着による接着も試みられているものの、接着面積が充分確保できないという問題がある。
【0012】
この発明は上記のことを鑑み提案され、本願出願人が先に提案したダンパーの改良を図ったもので、その目的とするところは、変位のコントロールの自由度を高め、かつ他部材との接着性、接着強度も良好としたスピーカ用ダンパーの製造方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金型を用いてダンパー用の基材をホットコールド成形加工によりプレスするスピーカ用ダンパーの製造方法において、ポリエチレンテレフタレートを芯材1aとし、かつポリプロピレンを鞘材1bとする芯鞘構造のフィラメントによる織布にてなる基材およびこの基材の片面または両面の全面または一部に配置し、この基材より接着性が良好でダンパー変位を調整可能とする物性の織布または不織布からなる補助材1cを用意する工程と、金型を芯材の融点より低く鞘材の融点より高い所定温度に昇温する工程と、昇温された金型内に前記基材と補助材を挿入してプレスし、前記フィラメントの交点を鞘材の熱融着により結着させるとともに、補助材1cを前記基材の片面または両面の全面または一部に積層一体化する工程と、プレスのまま前記金型を所定の温度に冷却する工程と、冷却後に金型から成形されたダンパーを開放する工程とよりなることを特徴とすることにより、上記目的を達成している。
【0014】
また、上記において、上記補助材1cの素材としては、アクリルまたは綿を用いている。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に用いられるダンパー素材1の断面を示す。図中1aはポリエチレンテレフタレート(PET)からなる芯材、1bはその外周に被覆された鞘材であり、その材料としてはポリエステルよりも融点の低いポリプロピレン(PP)を用いており、このダンパー素材1は上記2重構造体にて形成されている。
【0016】
図2はこのダンパー素材1をネット状に編んで基材とした状態の平面図を示す。具体例としては、芯材1aが融点260℃のポリエチレンテレフタレート、鞘材1bが融点140℃のポリプロピレンのモノフィラメントからなるダンパー素材1を図2に示すようにネット状に編んだ。
【0017】
しかして、ネット状に編まれたダンパー素材1からなる基材を周知の成形機を用いて所定の条件でホットコールド成形を行うが、この場合、本発明では、片面もしくは両面の全面、または部分的に接着性が良好であって、かつ変位のコントロールも可能であってダンパー自体の変位のコントロールを可能とする織布または不織布からなる補助材を成形時に融着し積層一体化したことに特徴を有している。
【0018】
この補助材としてはアクリルからなる不織布または一般のダンパー用生地として用いられる織布からなる織布などが用いられる。
【0019】
すなわち、基本的な成形工程(1サイクル約4分)は、図3においてS1で示すように、金型(図示せずに)ヒーターを当て所定の温度(145℃)に昇温させる。
【0020】
次に、金型が所定の温度になったらヒーターを後退させ、金型内に、芯鞘構造のフィラメントからなるネット状の織布にてなるダンパー素材1と補助材とを挿入し、かつS2 で示すように、プレス(プレス圧力3kg/cm2 )を行う。プレス時間としては薄手の材料の場合はほぼ30秒位であるが、温度と時間は材厚により調整する。
【0021】
しかる後、S3 で示すように、プレスのまま金型を所定の温度(ほぼ75℃)になるまでエアーフローして冷却する。
【0022】
ついで、金型からコルゲーションを有する所定形状に成形されたダンパーを取り出し、振動系材料として用いれば良い。図4はフィラメントの交点が鞘材1bの熱融着により結着され、かつ成形された状態を示す。
【0023】
図5は、ダンパー素材の片面に補助材1cが融着されてなるダンパー1Aの部分断面を示す。補助材1cは片面または両面の全面、あるいは部分的に設けても良いことは勿論である。
【0024】
しかして、上記製造において、本発明では、基材の鞘材1bと芯材1aとの融点の差がより大きいので、加熱成形時の熱コントロールも容易で形状安定性もより向上する。
【0025】
これに加えて補助時1cを有するため、良好な接着性が得られる。
【0026】
また、成形時に補助材1cの面積、厚さ、材質を選択することにより変位を自在にコントロールすることができる。
【0027】
図6は上記ダンパー1Aを備えたスピーカの一例を示す。このダンパー1Aの内周部は、振動板2の首部に接続されたコイルボビン3に接着され、かつ外周部はフレーム4の所定位置に接着されるが、この場合、補助材1cを介し、容易、かつ確実・強固に接着することができる。なお、その他図中5は磁気回路、6はヨーク、7はマグネット、8はポールピース、9はダストキャップ、10はエッジである。
【0028】
以上のように、本発明のダンパーの製造方法によれば、芯材をポリエチレンテレフタレート、鞘材をポリプロピレンとする芯鞘構造のフィラメントからなる織布を補助材とともにホット−コールド成形加工するようにしており、含浸工程を省いたダンパーの製造を容易に達成することができる。また、鞘材が融点の低いポリプロピレンよりなるので、金型温度を145℃程度の低い温度に設定できるので、簡易な装置で容易に収縮、変形の少ないダンパーを得ることができ、耐屈曲性、耐薬品性にも優れたものとすることができる。
【0029】
また、これに加え、本発明では接着性を有する補助材が設けられているため、接着性が良く、かつ補助材の面積、厚さおよびもしくは材質など補助材の物性を適宜選定することによりダンパーとして要求される所望の変位を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に用いられるダンパー素材の断面図。
【図2】ネット状に編まれたダンパーの部分平面説明図。
【図3】本発明の一実施例にかかるダンパーの製造工程の説明図。
【図4】成形されたダンパーの部分平面図。
【図5】成形された本発明のダンパーの部分断面図。
【図6】本発明の一実施例のダンパーが組み込まれたスピーカの一例の断面図。
【符号の説明】
1 ダンパー素材
1a 芯材
1b 鞘材
1c 補助材
1A ダンパー
2 振動板
3 ボイスコイル
4 フレーム
5 磁気回路
6 ヨーク
7 マグネット
8 ポールピース
9 ダストキャップ
10 エッジ
Claims (2)
- 金型を用いてダンパー用の基材をホットコールド成形加工によりプレスするスピーカ用ダンパーの製造方法において、
ポリエチレンテレフタレートを芯材1aとし、かつポリプロピレンを鞘材1bとする芯鞘構造のフィラメントによる織布にてなる基材およびこの基材の片面または両面の全面または一部に配置し、この基材より接着性が良好でダンパー変位を調整可能とする物性の織布または不織布からなる補助材1cを用意する工程と、
金型を芯材の融点より低く鞘材の融点より高い所定温度に昇温する工程と、
昇温された金型内に前記基材と補助材を挿入してプレスし、前記フィラメントの交点を鞘材の熱融着により結着させるとともに、補助材1cを前記基材の片面または両面の全面または一部に積層一体化する工程と、
プレスのまま前記金型を所定の温度に冷却する工程と、
冷却後に金型から成形されたダンパーを開放する工程とよりなる
ことを特徴とするスピーカ用ダンパーの製造方法。 - 補助材1cの素材がアクリルまたは綿であることを特徴とする請求項1記載のスピーカ用ダンパーの製造方法。
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JP09945098A JP3905631B2 (ja) | 1998-04-10 | 1998-04-10 | スピーカ用ダンパーの製造方法 |
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JP09945098A JP3905631B2 (ja) | 1998-04-10 | 1998-04-10 | スピーカ用ダンパーの製造方法 |
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- 1998-04-10 JP JP09945098A patent/JP3905631B2/ja not_active Expired - Fee Related
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