JP3475229B2 - スピーカ用ダンパ及びその製造方法 - Google Patents

スピーカ用ダンパ及びその製造方法

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JP3475229B2 JP2001180438A JP2001180438A JP3475229B2 JP 3475229 B2 JP3475229 B2 JP 3475229B2 JP 2001180438 A JP2001180438 A JP 2001180438A JP 2001180438 A JP2001180438 A JP 2001180438A JP 3475229 B2 JP3475229 B2 JP 3475229B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、それぞれ性質の異
なる新規な3種の素材繊維すなわち、耐熱性高弾性率繊
維、高融点ポリエステル繊維及び、低融点ポリエステル
と高融点ポリエステルとを一体に組み合わせた繊維とを
ミックスして形成して混紡した混紡紡績糸を用いて、製
織もしくは編成した編織繊維体を形成して、加熱加工す
ることによって低融点ポリエステルを溶融し、該溶融し
た低融点ポリエステルで被覆して固着して成形する、従
来にない優れた剛性、ダンピング特性、耐久性と、耐熱
性等を有せしめたスピーカのコルゲーションダンパ及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種スピーカ用コルゲーション
ダンパの構成を、図18について説明すると、綿布布地
22に、フェノール樹脂を含浸して、コルゲーション形
状の曲面を雄雌型に形取った加熱成形金型で加熱押圧し
て、フェノール樹脂を熱硬化せしめて、コルゲーション
形状を形成したものである。
【0003】図18は、従来例のスピーカのコルゲーシ
ョンダンパ10の構成を示す一部切欠斜視図、図19
は、従来例の綿布を貼付した蝶形ダンパを使用したスピ
ーカ1’の断面図、図20は、従来例の蝶形ダンパ34
の平面図、図21は、従来例の蝶形ダンパ34のD−D
断面図である。
【0004】図19に示す従来例のスピーカ1’の電磁
型磁気回路18’は、フレーム16に取り付けられた上
部プレート13と、その下部に装着されたヨーク15
と、その中心に装着された中心磁極17’の回りにフィ
ールドコイルを円筒状に巻回した電磁コイル14’とに
よって構成され、8は前記上部プレート13と中心磁極
17’間に形成された磁気空隙であり、この磁気空隙8
にはボイスコイル5を巻着されたボイスコイルボビン6
の上端が振動板7に固着されている構成である。しかし
て、前記した磁気回路18’を有するスピーカ1’にお
いて使用するダンパ34は、図20に平面図を、図21
に断面図をそれぞれ示すような形状を有して、フェノー
ル樹脂を熱硬化させた平板を、透かし窓32と、コンプ
ライアンスレバー33を打ち抜いて蝶の羽形に形成さ
れ、フェノール樹脂を硬化したベーク板本来の剛性によ
る良好なダンピング効果を呈し、このような形状の蝶形
ダンパ34がダイナミックスピーカが出現して以来、長
期間に亙り使用されて来た。
【0005】しかしながら、図1に示すようなマグネッ
ト14を使用した磁気回路18が普及するようになっ
て、一時、図19に示す前記蝶形ダンパ34の上面にマ
グネット14の吸着作用によって吸い寄せられる鉄粉等
に対する磁気空隙8の防塵用の薄い綿布35を貼り付け
て防塵効果を図ったが、それとて彌縫策を出でず、ベー
ク板の焼成時の均質保持、打ち抜き工程の煩瑣、綿布3
5の貼付の煩雑さ等の作業性の困難さからダンパ34と
しての均質な品質を得ることの困難さから、本来的に蝶
形ダンパ34が有するダンピング効果の良好さは置き忘
れられて、大量生産による製作の容易なコルゲーション
ダンパ10に取って代わられた。
【0006】そして、図18に一部切欠断面斜視図を示
すこの種の代替の従来例のスピーカのコルゲーションダ
ンパ10において、繊維12a,12bを経緯に製織し
た綿布布地22に、フェノール樹脂を含浸し、コルゲー
ション形状の曲面を雄雌型に形取った加熱成形金型で加
熱押圧して、フェノール樹脂を熱硬化せしめて、経、緯
繊維12a,12bと、布地22の経、緯繊維糸12
a,12bの交差する交点12cを硬化したフエノール
樹脂で固めて、布地22の平面的剛性を保持し、小さい
振幅の振動に対して、コルゲーション形状の曲線のスパ
ンの弾性コンプライアンスでもって、図1に示すボイス
コイル5の上下方向の振動の大きい振幅(A)に順応し
て抑制し、振動板7のエッジ部7aと協動してボイスコ
イル5の磁気空隙8からの脱出を抑制防止して、振動板
7の振動を入力信号波形に従って振動せしめるととも
に、鉄粉、塵埃等の通過を阻止するという機能を有する
ものである。
【0007】次に、スピーカの振動板の振動について説
明する。スピーカ1の側断面図を示す図1において、振
動板7のピストン振動の大振幅(A)時の上限及び下限
をそれぞれ細い一点鎖線で示し、それに付随したコルゲ
ーションダンパ4,(10)の運動の上限、下限をそれ
ぞれ細い実線で示す。また、図2において、比較的高い
周波数の小さい振幅の振動において分割振動を呈する振
動板7の態様の断面を細い鎖線で示す。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】而して、従来のこの種
スピーカ用コルゲーションダンパにあっては、図18に
示す綿布布地22の振幅ズレが大きく、復原力も弱いの
で、特に、図2に示すように、振動板7が分割振動をす
る高い周波数で駆動されて分割振動を呈するスピーカ1
において、振動板7の断面の山状の膨出部は、振動の振
幅の腹の部分であり、谷状の部分は振動の振幅の節とな
るような小さい振幅の場合、磁気回路18の磁気空隙8
の磁束密度が小さいと、小さい振幅に対して、振動板7
とボイスコイル5と振動板7の振動重量による慣性のた
めに、布地22にフェノール樹脂を含浸固化したダンパ
10の剛性のみでは、振動板7、ボイスコイル5の振動
勢力を十分に制御し切れず、信号入力波形に無い歪音振
動を誘発して、高音部の歪んだ歯切れの悪い歪音を放声
するという問題があった。
【0009】また、振動板7がピストン振動を行う低い
周波数で振動するとき、前記と同様に、コンプライアン
スレバー33のスパンの振動コンプライアンスが弛緩し
て、低音域の大振幅に対する制動が効かないので、復元
力が弱く、f(スピーカの基本共振周波数)が低下し
て、再生音の波形は、入力電気信号に追随し得なくな
り、出力する音波の波形が鈍って、歪みを多く含んだ低
音を再生するとともに、ボイスコイル5の磁気空隙8の
底当たり不良を発生する恐れがあるという問題もあっ
た。さらに、製造工程において、図18のようにコルゲ
ーション形状を加熱成形後に、中心部のボイスコイル挿
入穴11と、周縁部を打ち抜いて設けるが、フェノール
樹脂に浸漬する容器や、加熱金型、及び電熱器またはガ
スバーナ等の熱源の装置を必要とし、また、加熱温度の
調節が困難で、綿布を全面的に均一に加熱する作業が容
易でないので、製品の均質化が困難となり、部分的な温
度ムラによってダンパのコンプライアンス等の物性が変
化するので、スピーカに組み込んだ場合、fその他周
波数特性の均一な品質、性能を得難い欠点があった。
【0010】また、従来のコルゲーションダンパ10
は、布地22の経緯繊維の接合点に含浸したフェノール
樹脂を固化させて繊維の柔軟性を補っているが、コルゲ
ーション形状に加熱成形時、通常の繊維が延伸するため
の脆弱さを保持したまま成形され、低温度での加熱硬化
のために、反応時間が長くかかって生産性が悪いという
問題もあった。そして、図3に表示するヒステリシス曲
線のように、従来のコルゲーションダンパ10のヒステ
リシス曲線21b,21bは、入力曲線21から大きく
膨れてヒステリシス損失は極めて大きくなって、スピー
カのfが著しく低下し、振動に対する応動性は極めて
鈍くなり、ボイスコイル5の底当たりの不良原因になっ
たり、特に低音域での歪みを多く含んで、音質を劣化す
る原因となるという欠点があった。このように、従来例
のコルゲーションダンパ10を装着したスピーカの非直
線歪みは、本発明品に比して図4に示すように、低音域
の非直線歪みは大きく、スピーカのfにおいて10d
Bも高くなり、高音域においても歪む欠点がある。
【0011】また、スピーカ1’の信頼性という面か
ら、従来のコルゲーションダンパは、前記したコルゲー
ションを形成するフェノール樹脂の反応が十分に完結し
ていないので、布地22は水分を含み易く、熱に対して
も耐熱性が弱いので変形し易いので、スピーカの耐久試
験(1,000時間)の信頼性試験後、あるいは、耐水
(シャワー)試験、耐湿試験後、スピーカのfが大き
く変化して、製品の品質のバラツキが大きくなったり、
また、水分と含浸したフェノール樹脂とが反応してコル
ゲーションの柔軟度が低下して、形状が変化し易く、さ
らにスピーカのf も変化率が大きくなる欠点がある。
また、従来のコルゲーションダンパは、ダンパ10の布
地22の経緯繊維12a,12bどうしの接着交点12
cにおけるフェノール樹脂の固化力が、経年的に往復振
動によって弱まって、繊維12a,12bどうしの結合
力が弱くなって本来の剛性が消失してズレが発生してガ
サついて再生音が歪んだり、コンプライアンスが不均一
となってスピーカ1’のfが低下したり、また、コル
ゲーションのスティフネスが劣化してボイスコイル5の
振動を抑制できずに、磁気回路18の磁気空隙8の底に
当たるいわゆる底当たり不良を発生したり、高音帯域の
振動の歪みやローリング振動等の原因になる欠点があっ
た。
【0012】本発明は、このような従来の布体22をフ
ェノール樹脂で熱硬化する従来のコルゲーションダンパ
10の諸欠点を解消したもので、それぞれ融点の異なる
3種の素材繊維、すなわち耐熱高弾性率繊維2aと、高
融点ポリエステル繊維3a’及び、低融点ポリエステル
4aと高融点ポリエステル3aが一体となった繊維4
c,4c’をミックスして形成して混紡した混紡紡績糸
Kを、メッシュ形状に製織もしくは編成して編織繊維体
25を形成し、その編織繊維体25に最も低融点の繊維
材料の前記低融点ポリエステル4aが溶融し得る低温度
で加熱プレスを掛けて、溶融した低融点ポリエステル4
a’で編織繊維体25の表裏面と、素材繊維編織交点5
cを被覆して融着し、冷却して固着することにより、溶
融しない耐熱高弾性率繊維2a,高融点ポリエステル繊
維3a’の性質はそのまま変化なく、固着して成形し、
繊維組織の繊維ズレが生じない構成とすることにより、
コルゲーションのコンプライアンス弾力に富み、ダンパ
4としての剛性を保持して、強い耐湿性と、耐候性に優
れたスピーカ用ダンパ4を得ることを目的とし、従来期
待できなかった耐疲労屈曲性すなわち耐久性を増大する
とともに、耐熱性、耐大入力性に優れたダンパ4として
のダンピング効果の良好なコルゲーションダンパ4を提
供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に講じた本発明にいうスピーカ用ダンパの構成及び製造
方法を説明する。第1発明は、それぞれ融点の異なる3
種の素材すなわち、耐熱性高弾性率繊維2aと高融点ポ
リエステル繊維3a’及び、低融点ポリエステル4aと
高融点ポリエステル3aとが一体となった繊維4cもし
くは4c’をミックスして形成して混紡した混紡紡績糸
Kを、メッシュ形状に編成もしくは製織して編織繊維体
25を形成し、当該編織繊維体25に低融点ポリエステ
ル4aが溶融し得る低い温度で加熱した熱金型で押圧プ
レスを掛けて、溶融した低融点ポリエステル4a’によ
り、当該編織繊維体25の表裏両面を被覆して硬化する
とともに、メッシュ状に編織した編織交点5cを融着し
て固着し成形したことを特徴とするスピーカ用ダンパ4
である。
【0014】また、第2発明は、それぞれ融点の異なる
3種の素材すなわち、耐熱性高弾性率繊維2aと高融点
ポリエステル繊維3a’及び、低融点ポリエステル4a
と高融点ポリエステル3aが一体となった繊維4cもし
くは4c’をミックスして形成して混紡した混紡紡績糸
Kを、メッシュ形状に編成もしくは製織して編織繊維体
25を形成し、当該編織繊維体25に、低融点ポリエス
テル4aが溶融し得る低い温度で電磁誘導加熱機により
低融点ポリエステル4aが溶融し得る低い温度で加熱し
て押圧プレスを掛けて、溶融した低融点ポリエステル4
a’により、当該編織繊維体25の表裏両面を被覆して
硬化するとともに、メッシュ状に編織した編織交点5c
を融着して固着して成形することを特徴とするスピーカ
用ダンパ4の製造方法である。
【0015】第3発明は、それぞれ融点の異なる3種の
素材すなわち、耐熱性高弾性率繊維2aを芯線として、
高融点ポリエステル繊維3a’及び、低融点ポリエステ
ル4aと高融点ポリエステル3aが一体となった繊維4
cもしくは4c’を、耐熱性高弾性率繊維2aを芯線と
してミックスして形成して混紡した混紡紡績糸K’を、
メッシュ形状に編成もしくは製織して編織繊維体25を
形成し、当該編織繊維体25に低融点ポリエステル4a
が溶融し得る低い温度で加熱した熱金型で押圧プレスを
掛けて、溶融した低融点ポリエステル4a’により、当
該編織繊維体25の表裏両面を被覆して硬化するととも
に、メッシュ状に編織した編織交点5cを融着して固着
して成形したことを特徴とする第1発明のスピーカ用ダ
ンパ4である。
【0016】第4発明は、前記耐熱性高弾性率繊維2a
が、パラ系全芳香族ポリアミド繊維である第1発明のス
ピーカ1用ダンパ4である。
【0017】第5発明は、前記耐熱性高弾性率繊維2a
が、パラ系全芳香族ポリアミド繊維である第2発明のス
ピーカ1用ダンパ4の製造方法である。
【0018】第6発明は、それぞれ融点の異なる3種の
素材すなわち、耐熱性高弾性率繊維2aと高融点ポリエ
ステル繊維3a’及び、低融点ポリエステル4aと高融
点ポリエステル3aとが一体となった繊維4cもしくは
4c’を、前記耐熱性高弾性率繊維2aを芯線としてミ
ックスして形成して混紡した混紡紡績糸K’を、メッシ
ュ形状に編成もしくは製織して編織繊維体25を形成
し、当該編織繊維体25に低融点ポリエステル4aが溶
融し得る低い温度で加熱した熱金型で押圧プレスを掛け
て、溶融した低融点ポリエステル4a’により、当該編
織繊維体25の表裏両面を被覆して硬化するとともに、
メッシュ状に編織した編織交点5cを融着して固着し成
形することを特徴とする請求項2に記載のスピーカ用ダ
ンパ4を製造する方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】スピーカの構成を示す図1、図2
において、16は成形されたフレームであり、一対の入
力端子9,9および磁性材からなる磁気回路18を一体
に成形している。磁気回路18は、フレーム16に取り
付けられた上部プレート13と、その下部に装着された
円環状のマグネット14と、このマグネット14下面に
装着されたヨーク15と、該ヨーク15の中心部に取り
付けたセンタポール17によって構成されている。8は
上記上部プレート13と中心磁極17間に形成された磁
気空隙であり、この磁気空隙8内にはボイスコイルボビ
ン6に巻着されたボイスコイル5が嵌入されている。し
かして、ボイスコイル5を巻着されたボイスコイルボビ
ン6の上端が振動板7に固着され、ボイスコイル5の巻
き始め端及び巻き終り端が入力端子9,9に接続されて
いる。上記振動板7のエッジ部7aと、ボイスコイルボ
ビン6に取り付けたコルゲーションダンパ4,(10)
の外周部23とが、それぞれフレーム16に装着される
ことによって、上記ボイスコイル5は前記磁気空隙8内
に懸垂保持されている。
【0020】以上のように構成されたスピーカ1は、上
記入力端子9から入力される電気信号を上記ボイスコイ
ル5に入力し、このボイスコイル5に発生する磁気と磁
気空隙8の磁気との電磁誘導によって発生する振動に応
じた上下動により上記振動板7を振動させて放音するも
のである。このようにして、スピーカ用ダンパ4は、ス
ピーカ1の振動板7の中心部を支え、磁気空隙8内にボ
イスコイル5を懸垂して、振動系を軸方向に自由に振動
せしめ、横方向の振動を抑止する機能を果たすものであ
る。
【0021】従って、本発明はこのような構成としたも
のであるから、図20に示すような従来の蝶形コルゲー
ションダンパ34と全く同様に、スピーカ組み立て工程
に入力して、スピーカ1に組み込むことができる。そし
て、本発明コルゲーションダンパ4は、スピーカ1にダ
ンパとしてのダンピング、安定した周波数特性、f
を付与するとともに、優れた耐水、耐湿、耐熱、耐候特
性を有せしめることができる。その結果、スピーカのコ
ストの抑制に好都合なばかりでなく、その品質性能の向
上を図ることができる。
【0022】本発明のダンパ4に使用するの耐熱性高弾
性率繊維2aは、熱によって溶けることが無く、高温で
熱分解する性質を有しており、数種の繊維があるがそれ
らの内、パラ系全芳香族ポリアミド繊維として、ポリパ
ラフェニレンテレフタラミド繊維(東レ・デュポン株式
会社製商品名ケブラー(R))が、引張弾性率が高く、
また530℃という高い熱分解点を有し熱安定性がある
ので熱融着を利用する本発明の素材として望ましい。
【0023】ここで、メッシュ形状に製織もしくは編成
した編織繊維体25とは、織機で製織したメッシュ状の
織物でも良いし、もしくは経編み機、丸編み機などで編
成してニット状物となしたメッシュの編み物でもよい。
なかでもメッシュ状織物はニット状物に比べて厚さが薄
いので望ましい。
【0024】本発明のコルゲーションダンパ4は、図6
に示すような、それぞれ融点の異なる繊維耐熱性高弾性
率繊維2aと、高融点ポリエステル繊維3a’及び、高
融点ポリエステル3aの外周に低融点ポリエステル4a
を被覆又は添わせて鞘状に形成した繊維4cを混合し
て、図7に示すように直線状に束ねて、あるいは図8,
9に示すように撚って混紡した混紡紡績糸Kとなし、そ
の混紡した紡績糸Kを図13又は図14に示すように、
経緯メッシュ状に製織もしくは編成した編織繊維体25
を形成する。次いで、前記編織繊維体25を、コルゲー
ション形状の曲面を雄雌型に形取った加熱成形金型で、
低融点ポリエステル4aの融点(140〜180℃)程
度の低い温度で加熱成形プレスを行う。しかるときは、
図12及び図14に示すように、最も融点の低い低融点
ポリエステル4aが先ず溶融して、溶融した低融点ポリ
エステル4a’が、親和性によって耐熱性高弾性率繊維
2aおよび高融点ポリエステル繊維3a’及び、高融点
ポリエステル3aと融合して、図12に切り口断面を示
すように、それらの周囲を被覆して接着するとともに、
それらの交点5cを、前記の溶融した低融点ポリエステ
ル4a’が各構成繊維2a,3a’を互いに接着被覆
し、その付着力によりそれらの交点5cに低融点ポリエ
ステル4a’が盛り上がりを生じて付着し固着する。低
融点ポリエステル4aは、芯が高融点ポリエステル3
a、鞘が低融点ポリエステル4aであるような芯鞘構造
の繊維であっても良いし、高融点ポリエステル3aに低
融点ポリエステル4aがバイメタル状に添って形成され
ても良い。
【0025】すなわち、混紡した混紡紡績糸Kは、耐熱
性高弾性率繊維2a、高融点ポリエステル繊維3a’及
び、高融点ポリエステル3aと低融点ポリエステル4a
の一体になった繊維4c又は4c’の3種のそれぞれ融
点の異なる繊維を織成して形成して成り、図12に示
すように、高融点ポリエステル繊維3a’と低融点ポリ
エステル4aを被覆した高融点ポリエステル3aを耐熱
性高弾性率繊維2aを芯線として、長さ方向に揃えて束
ねて混紡紡績糸K’を形成し、あるいは、図7,図8
又は図9に示すように、耐熱性高弾性率繊維2aと、高
融点ポリエステル繊維3a’と、低融点ポリエステル4
aを鞘状に被覆した高融点ポリエステル3aをアトラン
ダムに束ねて、または互いに撚って束ねてミックスして
混紡紡績糸Kを織成して形成する。しかして、図1
0,図12または図14に示すように、熱成形金型で加
熱して、溶融した低融点ポリエステル4a’が、構成繊
維の組織内部に浸透して、混紡した混紡紡績糸Kの繊維
の表面を覆って低融点ポリエステル4aの皮膜を形成す
るとともに、交差する繊維同士の交点5cに溜まって、
そのまま冷却乾燥して固化する。このように溶融した低
融点ポリエステル4a’の凝結力によって、混紡した混
紡紡績糸Kは、繊維自体及び繊維自体と編織した繊維体
25の交点を固化するので、繊維体25は剛性に富ん
だ、かつ大きなコンプライアンスを有するダンパ4にな
る。
【0026】このように、コルゲーション形状に加熱金
型を成形した場合、構成する高弾性率繊維2aの剛性、
弾性率が大(表1参照)であるのに付加して、溶融した
低融点ポリエステル4a’によって接着、被覆され、包
埋されて固着された交点5cの強度は、剛性、弾性率が
極めて強大となり、しかも柔軟であるので、本発明ダン
パ4は、図3に示すヒステリシス曲線において、振動板
7の振動ヒステリシス曲線21に対して21a,21a
の振動ヒステリシス曲線を呈し、振動板7の大振幅に
も、又は小振幅にも忠実に適応して制御して、スピーカ
のfの低下や、不安定さが解消できる。
【0027】東レ・デュポン株式会社製全芳香族ポリア
ミド繊維のステーブル(商品名ケブラー(R)1.7d
Tex−51mm(限界酸素指数28、引張強度20.
3cN/dTex、引張弾性率490cN/dTex、
伸度3.8%)を用いた。使用した繊維の物性を下記の
表1に示す。
【表1】 上記のように、高融点ポリエステル繊維と低融点ポリエ
ステルを被覆した繊維との融点の温度差は、80℃以上
が望ましい。
【0028】これらの混紡率の繊維を用いて、太さ26
5dTex(デシテックス、綿番手20/1相当)を混
紡した混紡紡績糸Kを作成した。それを表に現すと表2
の通りである。
【表2】
【0029】次いで、この混紡糸を用いて次の織物構造
の編織繊維体25を製織した。この織物は単位巾当たり
のたて・よこ糸の本数(織物密度という)が少なく、メ
ッシュ状の構造である。その使用糸の本数は、表3の通
りである。
【表3】
【0030】それぞれ融点の異なる3種の素材をミック
スする方法は、ステープルのミックスに限らず、長繊維
をミツクスすることもできる。3種の繊維が長繊維の場
合は、図7に示すごとく繊維をまっすぐ束ねて、撚りを
加えることなくミックスした糸条を形成することもでき
る。
【0031】本発明のコルゲーションダンパ4は、この
ような構成によって、低融点ポリエステル樹脂4aの溶
融温度程度の温度の加熱プレスを掛けて、加熱溶融した
低融点ポリエステル4a’を、繊維2a、高融点ポリエ
ステル樹脂3a’、高融点ポリエステル3aの表面と、
それらの繊維の交点5cを被覆して固化するものである
から、スピーカ1の製造工程においては、図18に示す
従来のコルゲーションダンパ10と同様の組み立て工程
で同様に取り扱うことができる。その結果、製造設備、
工程を変更することなく、自動組み立て工程による生産
に好都合なばかりでなく、また、本発明のコルゲーショ
ンダンパ4は、従来のコルゲーションダンパ10に比し
て、弾性、剛性、ヒステリシス特性、耐熱性、耐湿性、
耐候性の諸点で優れ、それを装着したスピーカのf
性、周波数特性等の品質の向上を図ることができる。
【0032】前記したとおり、本発明のダンパ4は、図
3のダンパのヒステリシス曲線中、ダンパの変位(歪
み)の大きさ(B)は、21a,21aの細い実線のヒ
ステリシスのように、大きな振幅のヒステリシス曲線2
1に近い曲線を示すが、従来のコルゲーションダンパ1
0のヒステリシスは、点線21b,21bのように、2
1から大きく膨れて推移する態様を表す。このように、
本願発明のダンパ4は、従来のコルゲーションダンパ1
0に比してヒステリシス損が著しく小さいので、振動板
7の大きな振動、また小さな振動に対して惰性が小さく
電気入力に極めて忠実に追随して制御し、正確な波形で
振動板7の振動を制御して、ダンピング特性を良好なら
しめることができることが明瞭にわかる。
【0033】すなわち、従来のコルゲーションダンパ1
0は、前述したとおり、雄雌型熱金型で押圧してコルゲ
ーション形状に延長した、基本的に延伸した繊維12
a,12bを、含浸したフェノール樹脂が繊維を傷めな
い程度の低い温度(120〜150℃)で固化しただけ
であるので、その剛性は、繊維の線的な強さよりも、十
分に反応を完結していない固化したフェノール樹脂の物
性に頼るしかない。したがって、図3の内の小さな振幅
のヒステリシス曲線21から、稍膨れたヒステリシス曲
線21b’,21b’のように推移する態様を表す。し
たがって、従来のコルゲーションダンパ10は、この小
振幅振動の態様は、図2の振動板7の高音域における分
割振動のような小さな振幅の振動であるが、前記したと
同様の理由で振幅に対する制動力は弱く、振幅ズレが大
きくなり、復元力が弱く、高音域の制動が効き難いの
で、再生高音域限界が低くなって、特に高音域の音質の
歯切れよさが無くなるという欠点から免れることができ
ないのである。
【0034】また、従来のコルゲーションダンパ10
は、布地22の経緯繊維の接合点に含浸したフェノール
樹脂を固化させて繊維の柔軟性を補っているが、コルゲ
ーション形状に加熱成形時、通常の繊維が延伸するため
の脆弱さを保持したまま成形され、低温度での加熱硬化
するために、反応時間が長くかかって生産性が悪いとい
う問題もあったに対して、本発明のコルゲーションダン
パ4のヒステリシス曲線は、前記の従来例のコルゲーシ
ョンダンパ10のそれに比して、図3に示すヒステリシ
ス曲線のように、入力曲線21から外れる範囲が少ない
ので、ヒステリシス損失は極めて小さく、スピーカのf
は安定して、振動に対する応動性は極めて敏感にな
り、ボイスコイルの底当たりは解消する。図4に示す非
直線歪み曲線のように、特に低音域での歪みは抑制され
るので、スピーカの非直線歪みは極めて小さく高音域に
おいても歪むことはない。
【0035】本発明ダンパの非直線歪みの従来例との比
較すると、図4に示すごとく、低音域、高音域におい
て、従来品よりもfにおいて10dBの歪みの減少が
見られた。また、スピーカの信頼性という面からみる
と、従来のコルゲーションダンパ10の布地22に含浸
固化したフェノール樹脂は、固化温度が低いために十分
に反応が完結していないので、布地22は水分を含み易
いが、本発明のコルゲーションダンパ4は、前記したと
おり、それぞれ融点の異なる3種の繊維、すなわち、耐
熱性高弾性率繊維2aと、高融点ポリエステル繊維3
a’及び、低融点ポリエステル4aと高融点ポリエステ
ル3aをミックスして混紡した混紡紡績糸Kとなし、メ
ッシュ状に製織もしくは編成した編織繊維体25として
製織され、熱プレス等により加熱加圧されて構成する耐
熱性高弾性率繊維2a,高融点ポリエステル繊維3
a’,高融点ポリエステル3aの表面及びそれらの繊維
の交点5cが溶融された低融点ポリエステル4a’によ
って周囲が被覆され、接着固着されるので、構成する繊
維の内部の一本一本及びその組織の空間まで溶融された
低融点ポリエステル4a’が浸透して固化するので、編
織繊維体25はそれぞれ表2に示すように、優れた耐水
性を有し、ダンパとして下記に示す表4のような耐水性
を保有する。すなわち、ダンパが耐水性がないと、極端
にfが低下する。耐水性は、下記表4に示すとおり、
従来品では湿潤時約50%低下するが、本発明品では湿
潤時において約2.5%の低下に過ぎず安定したスピー
カの性能を保持できる。
【表4】
【0036】また、本発明ダンパは、耐久性においても
浸透して固化した低融点ポリエステル4a’の効果によ
り、スピーカ振動時のダンパの復元力が強くなり、変形
し難いので、表4に示すように、スピーカの耐久試験
(1,000時間)の信頼性試験後、あるいは、耐水
(シャワー)試験、耐湿試験後においても、コルゲーシ
ョンダンパの柔軟度が低下せず、スピーカのfの変化
率が小さいので、製品のダンパとしての品質のバラツキ
が大きくならず、従来のダンパのように水分と含浸した
フェノール樹脂とが反応してスピーカのf変化率は大
きくならないので安定したスピーカの性能を保持でき
る。(表5参照)
【表5】
【0037】
【実施例】スピーカの構造を、下記の図に基づいて説明
する。該目的を達成するための本発明の構成を、実施例
に対応する前記図1〜図4及び以下に説明する図5〜図
17を用いて説明する。図1は、スピーカ1の側断面図
であって、振動板7のピストン振動の大振幅時の上限及
び下限と、それに対応するダンパ4,(10)の運動の
上限、下限をそれぞれ示す。図2は、振動板7の比較的
高い周波数の小さい振幅の振動において分割振動を呈す
る断面の態様を示す。図3は、横軸に振動板7の振動幅
(応力)の大きさ(A)を示し、縦軸に応力にそれぞれ
対応するダンパ4,(10)の復原力すなわち変位(歪
み)の大きさ(B)を示すヒステリシス曲線を示す図で
ある。図4は、従来品と本発明品を使用したスピーカの
非直線歪みの周波数特性を示す図である。
【0038】図5は、本発明のコルゲーションダンパ4
の構成を示す一部切欠斜視図である。図6は、本発明の
コルゲーションダンパ4を構成する3種の繊維すなわ
ち、図6(a)図に示す耐熱性高弾性率繊維2aと、図
6(b)に示す高融点ポリエステル繊維3a’と、図6
(c)図に示す低融点ポリエステル4aと高融点ポリエ
ステル3aとからなる繊維4c、又は図6(d)図に示
す4c’(3aと4aのバイメタル構造)による構成の
断面を示す外観図である。低融点ポリエステル4aと高
融点ポリエステル3aとは、図6(c)図に示すように
繊維の断面において、同心円状に鞘状に配置されていて
も良いし、たとえば図6(d)図の4c’に示すバイメ
タル状の配置でもよいし、またその他の形状において隣
り合わせに配置されていれば良い。断面積における(低
融点ポリエステル):(高融点ポリエステル)の割合
は、(50〜100):(50〜0)であるが、通常5
0:50が望ましい。図7は、図6に示す本発明のコル
ゲーションダンパ4を構成する3種の繊維すなわち、耐
熱性高弾性率繊維2aと、高融点ポリエステル繊維3
a’と、低融点ポリエステル4aと高融点ポリエステル
3aとが一体となった繊維4cとをアトランダムにミッ
クスして真っ直ぐ束ねて形成した混紡紡績糸Kの断面及
び外観を示す。
【0039】図8は、本発明のコルゲーションダンパ4
を構成する3種の繊維すなわち、耐熱性高弾性率繊維2
aと、高融点ポリエステル繊維3a’と、低融点ポリエ
ステル4aと高融点ポリエステル3aとが一体となった
繊維4cとをアトランダムにミックスして,撚つて束ね
て混紡して形成した混紡紡績糸Kの一例の加熱加工前の
断面拡大外観図である。図9は、本発明のコルゲーショ
ンダンパを構成する3種の繊維すなわち、耐熱性高弾性
率繊維2aと、高融点ポリエステル繊維3a’と、低融
点ポリエステル4aと高融点ポリエステル3aが一体と
なった繊維4cをアトランダムにミックスして少しく撚
って束ねて混紡して形成した混紡紡績糸Kの一例の加熱
加工前の外観をさらに拡大した図である。図10は、図
9に示す本発明のコルゲーションダンパを構成する3種
の繊維すなわち、耐熱性高弾性率繊維2aと、高融点ポ
リエステル繊維3a’と、低融点ポリエステル4aと高
融点ポリエステル3aが一体となった繊維4cをアトラ
ンダムにミックスして少しく撚って束ねて混紡して形成
した混紡紡績糸Kの一例の加熱加工後の溶融した低融点
ポリエステル4a’が繊維組織に浸透した態様を示す断
面の端面拡大外観図である。
【0040】図11は、高融点ポリエステル繊維3a’
と、低融点ポリエステル4aと高融点ポリエステル3a
が一体となった繊維4cを、耐熱性高弾性率繊維2aを
芯線にして、ミックスして混紡した混紡紡績糸K’を編
成もしくは製織して形成した編織繊維体25の一例の加
熱加工前の外観を示す。図12は、図11に示す混紡紡
績糸K’をメッシュ形状に編成もしくは製織して形成し
た編織繊維体25に熱プレスを掛けたときに、低融点ポ
リエステル4aが溶融した態様の一例を示す断面の端面
拡大外観図である。図13は、本発明のコルゲーション
ダンパ4を構成する3種の繊維すなわち、耐熱性高弾性
率繊維2aと、高融点ポリエステル繊維3a’及び、低
融点ポリエステル4aと高融点ポリエステル3aが一体
となった繊維4cを、アトランダムにミックスして混紡
した混紡紡績糸Kを、平織りメッシュ形状に編成もしく
は製織して形成した編織繊維体25の加熱加工前の一例
の外観図である。図14は、図13に示す本発明のコル
ゲーションダンパ4を構成する3種の繊維すなわち、高
融点ポリエステル繊維3a’、低融点ポリエステル4a
及び高融点ポリエステル3aとが一体となった繊維4c
を、アトランダムにミックスして混紡して形成した混紡
紡績糸Kを、平織りメッシュ形状に編成もしくは製織し
て形成した編織繊維体25の表面と、素材繊維2a,4
cとの編織交点5cに熱プレスを掛けて、溶融した低融
点ポリエステル4a’が繊維組織25に浸透して、融着
固着した態様の一例を示す拡大外観図である。
【0041】図15は、本発明のコルゲーションダンパ
を構成する3種の繊維すなわち、耐熱性高弾性率繊維2
aと、高融点ポリエステル繊維3a’及び、低融点ポリ
エステル4aと高融点ポリエステル3aが一体となった
繊維4cを、耐熱性高弾性率繊維2aを芯線にして、ミ
ックスして混紡した混紡紡績糸K’を、平織りメッシュ
形状に編成もしくは製織して形成した編織繊維体25の
加熱加工前の一例の拡大外観図である。図16は、図1
3に示す混紡紡績糸K’を、平織りメッシュ形状に編成
もしくは製織して形成した編織繊維体25の表面と、素
材繊維2a,4cの編織交点5cに熱プレスを掛けて、
溶融した低融点ポリエステル4a’が繊維組織25に浸
透して、融着固着した態様の一例を示す拡大外観図であ
る。図17は、本発明のダンパ4を構成する図12、図
14に示す編織繊維体25の繊維の表面及び交点5c
が、溶融された低融点ポリエステル繊維4a’により接
着固着された態様の拡大顕微鏡写真図である。
【0042】第1発明のダンパの組成は、図6〜図7に
示すとおり、それぞれ融点の異なる3種の素材すなわ
ち、耐熱性高弾性率繊維(パラ系全芳香族ポリアミド繊
維)2aと、高融点ポリエステル繊維3a’と、低融点
ポリエステル4aと高融点ポリエステル3aが一体とな
った繊維4cもしくは4c’とをミックスして混紡した
混紡紡績糸Kとなし、図11〜図16に示すように、該
混紡した紡績糸Kをメッシュ形状に編織して編織繊維体
25を形成してある。而して、当該編織繊維体25の表
面と、前記耐熱性高弾性率繊維2a、高融点ポリエステ
ル繊維3a’とを混紡した混紡紡績糸Kの編織交点5c
に、コルゲーション形状を形成した加熱金型によって、
熱プレスを掛けて、低温度で低融点ポリエステル4aを
溶融し、溶融した低融点ポリエステル4a’を、編織繊
維体25の表面と、素材繊維、耐熱性高弾性率繊維2
a,高融点ポリエステル繊維3a’と、低融点ポリエス
テル4aと高融点ポリエステル3aが一体となった繊維
4cもしくは4c’の編織交点5cに融着し、冷却する
と、編織繊維体25となり、前記の熱金型のコルゲーシ
ョンの形状に形成されたスピーカ用ダンパ4となる。
【0043】このように形成したダンパ4は、構成する
素材の内の耐熱性高弾性率繊維(パラ系全芳香族ポリア
ミド繊維)2aを芯材に、高融点ポリエステル3aの表
面に低温度で溶融する低融点ポリエステル4aで被覆し
て鞘状に形成した繊維4cもしくは、バイメタル状に密
着した繊維4c’をミックスして形成してあるので、芯
材の耐熱性高弾性率繊維2a、高融点ポリエステル繊維
3a’、高融点ポリエステル3aの高い剛性によって、
高いスティフネスを持ったコンプライアンスが形成でき
て、スピーカに組み込んだ場合、振動板7の振動に忠実
に適応して制御でき、繊維ズレが生じないから長期に亙
り振動系のコンプライアンス、剛性が変化せず、耐久、
耐湿に優れた性質を持ったスピーカ用コルゲーションダ
ンパ4である。
【0044】本第2発明は、第1発明のダンパ4を製造
する方法において、それぞれ融点の異なる3種の素材す
なわち、耐熱性高弾性率繊維(パラ系全芳香族ポリアミ
ド繊維)2aと、高融点ポリエステル繊維3a’及び、
低融点ポリエステル4aと高融点ポリエステル3aが一
体となった繊維4cもしくは4c’をミックスして混紡
した混紡紡績糸Kとなし、メッシュ状に製織もしくは編
成して編織繊維体25を形成し、当該製織繊維体25の
表面と、素材繊維2a,3a’,3a,4aの編織交点
5cとを熱プレスにより低融点ポリエステル4aを溶融
するのに、電磁誘導加熱機(図示せず)を用いて、熱の
伝播を均一にするように、温度の微調節が容易にでき、
清潔を保ち得て、設備コストの軽微な加熱成形する製造
方法である。したがって、均一な性質のダンパが大量生
産できコストが低減する。
【0045】そして、前記編織繊維体25は、耐熱性高
弾性率繊維2aを例えば東レ・デュポン製ケブラー(登
録商標)とし、高融点ポリエステル3a、低融点ポリエ
ステル4aのそれぞれ融点の異なる3種の繊維をミック
スして混紡しメッシュ状に製織したものである。
【0046】以上述べたごとく、本発明は、耐熱性高弾
性率繊維を用いて構成したスピーカ用ダンパと、それを
製造する方法である。ここに、耐熱性高弾性率繊維と
は、限界酸素指数25以上の難燃性を有し、TG(熱天
秤)による熱分解温度が400℃以上である繊維であっ
て、編織物の中核をなす。一般に耐熱性高弾性率繊維は
熱によって溶けることが無く、高温で熱分解する。例え
ば、耐熱性高弾性率繊維には、パラ系全芳香族ポリアミ
ド繊維、全芳香族ポリエステル(クラレ株式会社製商品
名・ベクトラン)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキ
サゾール繊維(東洋紡績株式会社製商品名・ザイロ
ン)、などがある。パラ系全芳香族ポリアミド繊維に
は、ポリパラフェニレンテレフタラミド繊維(東レ・デ
ュポン株式会社製商品名ケブラー(登録商標))、およ
びコポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレ
ンテレフタラミド繊維(帝人株式会社製商品名・テクノ
ーラ)がある。中でもポリパラフェニレンテレフタラミ
ド繊維は、引張弾性率が高く、また熱分解点が高く熱安
定性があるので熱融着を利用する本発明の素材として望
ましい。
【0047】また、高融点ポリエステル3aの溶融点
は、255℃であり、低融点ポリエステル4aの溶融点
は、140〜180℃であるから、低融点ポリエステル
4aの溶融温度の例えば電磁誘導加熱プレス機で加熱成
形することにより、低融点ポリエステル4aが先に溶融
して、溶融した低融点ポリエステル4a’となり、他の
構成繊維2a,3a’,3aの表面を万遍に覆うととも
に、各構成繊維2a,3a,3a’,4aのメッシュ状
に製織した各交点5cを覆って、冷却工程を経て前記の
溶融した低融点ポリエステル4a’が固化する。
【0048】かくして、製織した編織繊維体25は、構
成する各繊維の耐熱性高弾性率繊維2a、高融点ポリエ
ステル繊維3a’、高融点ポリエステル3a、低融点ポ
リエステル4aの各交点5c部分が、溶融した低融点ポ
リエステル4a’によって接着固定され包埋された一個
の固体となるので、繊維どうしの緊締力が極めて強く、
繊維糸が交点5cで遊離して振動中にカサついたりする
ことはなく、ダンパ4としてのコンプライアンスと剛性
を保持して、振動板7の振動を入力に忠実に支持して、
振動板の大振幅にも、小振幅にも忠実に適応して制御し
て、fを正確に保持し、共振のQを狂わすようなこと
はない優れたダンピング特性を保有し、非直線歪みが極
めて少ないので、低音域から高音域までスピーカ1の歪
音の原因となることはない。
【0049】第3発明のダンパの組成は、図面に示すと
おり、それぞれ融点の異なる3種の素材すなわち、耐熱
性高弾性率繊維(パラ系全芳香族ポリアミド繊維)2a
と、高融点ポリエステル繊維3a’と、高融点ポリエス
テル3a、及び低融点ポリエステル4aにおいて、その
内の耐熱性高弾性率繊維2aが引張弾性率が高く、また
熱分解温度が400℃以上と高く、熱安定性があって熱
融着に強い特性を利用して芯線として、融点の高く、剛
性の高い高融点ポリエステル3aの外周表面を低温度で
溶融する低融点ポリエステル4aで鞘状に被覆形成した
繊維4cを、又はバイメタル状に密着した繊維4c’
を、ミックスして混紡した混紡紡績糸K’となし、該混
紡紡績糸K’をメッシュ形状に編織して編織繊維体25
を形成してある。而して、当該編織繊維体25の表面
と、前記耐熱性高弾性率繊維2a、高融点ポリエステル
繊維3a’と、高融点ポリエステル3aを混紡した紡績
繊維Kの編織交点5cに、コルゲーション形状を形成し
た加熱金型によって、熱プレスを掛けて、低温度で低融
点ポリエステル4aを溶融し、溶融した低融点ポリエス
テル4a’を、編織繊維体25の表面と、素材繊維2
a,4c,4c’の編織交点5cに融着し、冷却する
と、編織繊維体25となり、前記の熱金型のコルゲーシ
ョンの形状に形成されたスピーカ用ダンパ4となる。
【0050】本第4発明は、第1発明のダンパ4を構成
する耐熱性高弾性率繊維2aが、パラ系全芳香族ポリア
ミド繊維であるダンパ4であって、当該パラ系全芳香族
ポリアミド繊維が、限界酸素指数25以上の難燃性を有
し、TG(熱天秤)による熱分解温度が400℃以上で
ある編織物の中核をなす繊維であって、一般に耐熱性高
弾性率繊維は熱によって溶けることが無く、高温で熱分
解するという難燃性を有する熱に強い特性を利用して、
耐熱性高弾性率繊維2aとしてパラ系全芳香族ポリアミ
ド繊維を芯線に使用することによって、ダンパ4が高融
点ポリエステル3aの剛性と相俟って、芯線に高いステ
ィフネスを持ったコンプライアンスが形成できて、スピ
ーカに組み込んで、振動板7の振動に忠実に適応して制
御でき、しかも繊維ズレが生じないから長期に亙り振動
系のコンプライアンス、剛性が変化せず、耐久、耐湿に
優れた性質を持ったスピーカ用コルゲーションダンパ4
である。
【0051】第5発明は、それぞれ融点の異なる3種の
素材、耐熱性高弾性率繊維2aと、高融点ポリエステル
繊維3a’及び、低融点ポリエステル4aと高融点ポリ
エステル3aをミックスして混紡した混紡紡績糸Kとな
しメッシュ状に製織もしくは編成して編織繊維体25を
形成し、当該製織繊維体25の表面と、素材繊維2a,
3a’,3a,4aの編織交点5cとを熱プレスにより
低融点ポリエステル4aを溶融するのに、電磁誘導加熱
機を用いて、熱の伝播を均一にし、温度の微調節が容易
にでき、清潔を保ち得て、設備コストの軽微な加熱成形
する第3発明のダンパ4の製造方法において、耐熱性高
弾性率繊維2aがパラ系全芳香族ポリアミド繊維である
ダンパ4の製造方法である。特に、パラ系全芳香族ポリ
アミド繊維を芯線に使用することによって、ダンパ4を
加熱時、温度変化等の性質の変化がほとんどなく、高融
点ポリエステル3aの耐熱性による剛性と相俟って、芯
線に高いスティフネスを持った安定したコンプライアン
ス品質を有するダンパ4をコスト安く大量生産できる製
造方法である。
【0052】第6発明は、それぞれ融点の異なる3種の
素材、すなわち、耐熱性高弾性率繊維2aと、高融点ポ
リエステル繊維3a’及び、低融点ポリエステル4aと
高融点ポリエステル3aが一体となった繊維4cもしく
は4c’を、前記耐熱性高弾性率繊維2aを芯線として
ミックスして形成した混紡紡績糸K’を、メッシュ形状
に編成もしくは製織して編織繊維体25を形成し、当該
編織繊維体25に低融点ポリエステル4aが溶融し得る
低い温度で加熱して押圧プレスを掛けて、溶融した低融
点ポリエステル4a’により、当該編織繊維体26の表
裏両面を被覆して硬化するとともに、メッシュ状に編織
した編織交点5cを融着して固着して成形することを特
徴とする請求項2に記載のスピーカ用ダンパ4を製造す
る方法である。
【0053】従って、本発明は、このような構成とした
ものであるから、従来のコルゲーションダンパと全く同
様に、スピーカ組み立て工程に入力して、スピーカに組
み込むことができる。そして、本発明コルゲーションダ
ンパは、スピーカに、安定した周波数特性及びf等を
付与するとともに、優れた対水、対湿、耐熱、耐候特性
を有することができる。その結果、スピーカのコストの
抑制に好都合なばかりでなく、その性能の向上を図るこ
とができる。
【0054】以上本発明の代表的と思われる実施例につ
いて説明したが、本発明は必ずしもこれらの実施例構造
のみに限定されるものではなく、本発明にいう前記の構
成要件を備え、かつ、本発明にいう目的を達成し、以下
にいう効果を有する範囲内において適宜改変して実施す
ることができるものである。
【0055】
【発明の効果】以上の説明から既に明らかなように、本
発明は、それぞれ融点の異なる3種の素材、すなわち、
耐熱性高弾性率繊維と、高融点ポリエステル繊維と、低
融点ポリエステルと高融点ポリエステルが一体となった
繊維もしくはとをミックスして混紡した混紡紡績糸とを
編成もしくは製織して形成した編織繊維体に熱プレスを
掛けて、融和し易い溶融した低融点ポリエステルで他の
素材繊維の表面と、それらの製織交点を融着して固着し
たので、コルゲーションダンパとしての優れたコンプラ
イアンス、剛性を有し、振動板の振動に忠実に適応して
制御でき、繊維ズレが生じないから長期に亙りコンプラ
イアンス、剛性が変化せず、耐久、耐湿に優れたスピー
カ用コルゲーションダンパである。
【0056】また、それぞれ融点の異なる3種の繊維、
すなわち、耐熱性高弾性率繊維と、高融点ポリエステル
繊維と、低融点ポリエステルと高融点ポリエステルとが
一体となった繊維をミックスして混紡した混紡紡績糸と
を、編成もしくは製織して形成した編織繊維体を、熱プ
レスを掛けて、溶融した低融点ポリエステルで他の素材
繊維の表面と、それらの製織交点を融着して固着すると
いう従来存在しなかった方法を、電磁誘導加熱機を用い
て、熱の伝播を均一にし、温度の微調節が容易にでき、
清潔を保ち得て、設備コストの軽微な加熱成形すること
により実現し、コルゲーションダンパとしての優れたコ
ンプライアンス、剛性を有し、振動板7の振動に忠実に
適応して制御でき、繊維ズレが生じないから長期に亙り
コンプライアンス、剛性が変化せず、耐久、耐湿に優れ
たスピーカ用コルゲーションダンパを製造する方法であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】スピーカの側断面図であって、振動板のピスト
ン振動の大振幅A時の上限及び下限と、それに対応する
ダンパの運動の上限、下限をそれぞれ細い実線で示す。
【図2】振動板の比較的高い周波数の小さい振幅の振動
において分割振動を呈する断面の態様を細い点線で示
す。
【図3】横軸に振動板の振動幅(応力)の大きさ(A)
を示し、縦軸に応力にそれぞれ対応するダンパの復原力
すなわち変位(歪み)の大きさ(B)を示すヒステリシ
ス曲線を示す図である。
【図4】それぞれ従来品と本発明ダンパを使用したスピ
ーカの非直線歪みの周波数特性を示す図面である。
【図5】本発明のコルゲーションダンパの構成を示す一
部切欠斜視図である。
【図6】本発明のコルゲーションダンパを構成する3種
の繊維すなわち、耐熱性高弾性率繊維と、高融点ポリエ
ステル繊維と、高融点ポリエステル及び、鞘状に低融点
ポリエステルを同心円状に構成した繊維の構造を示す断
面を示す外観図、及び高融点ポリエステル、低融点ポリ
エステルをバイメタル状に配して構成した繊維の構造を
示す断面を示す外観図をそれぞれ示す図である。
【図7】図6に示す本発明のコルゲーションダンパを構
成する3種の繊維すなわち、耐熱性高弾性率繊維と、高
融点ポリエステル繊維及び、低融点ポリエステルと高融
点ポリエステルが一体となった繊維をアトランダムにミ
ックスして真っ直ぐ束ねて形成した混紡紡績糸Kの加工
前の外観を示す。
【図8】本発明のコルゲーションダンパを構成する3種
の繊維すなわち、耐熱性高弾性率繊維と、高融点ポリエ
ステル繊維及び低融点ポリエステルと高融点ポリエステ
ルが一体となった繊維をアトランダムにミックスして撚
って束ねて混紡して形成した混紡紡績糸Kの加工前の外
観を示す。
【図9】本発明のコルゲーションダンパを構成する3種
の繊維すなわち、耐熱性高弾性率繊維と、高融点ポリエ
ステル繊維及び、低融点ポリエステルと高融点ポリエス
テルが一体となった繊維をアトランダムにミックスして
混紡して形成した混紡紡績糸Kの加熱加工前の断面拡大
外観図である。
【図10】図9に示す本発明のコルゲーションダンパを
構成する3種の繊維すなわち、耐熱性高弾性率繊維と、
高融点ポリエステル繊維及び低融点ポリエステルと高融
点ポリエステルが一体となった繊維をアトランダムにミ
ックスして混紡して形成した混紡紡績糸の加熱加工後の
溶融した低融点ポリエステルが繊維組織に浸透した断面
拡大外観図である。
【図11】耐熱性高弾性率繊維及び高融点ポリエステル
繊維及び低融点ポリエステルと高融点ポリエステルが一
体となった繊維を、耐熱性高弾性率繊維を中心にしてミ
ックスして混紡した混紡紡績糸をメッシュ形状に編成も
しくは製織して形成した編織繊維体25の加熱前の拡大
外観図である。
【図12】図11に示す耐熱性高弾性率繊維と、高融点
ポリエステル繊維及び低融点ポリエステルと高融点ポリ
エステルが一体となった繊維を耐熱性高弾性率繊維を中
心にしてミックスしてメッシュ形状に編成もしくは製織
して形成した編織繊維体の加熱後の断面拡大外観図であ
る。
【図13】本発明のコルゲーションダンパを構成する3
種の繊維すなわち耐熱性高弾性率繊維と、高融点ポリエ
ステル繊維及び低融点ポリエステルと高融点ポリエステ
ルが一体となった繊維をアトランダムにミックスして混
紡して形成した混紡紡績糸をメッシュ状に編成もしくは
製織した編織繊維体の加熱加工前の一部断面外観図であ
る。
【図14】図13に示す本発明のコルゲーションダンパ
を構成する3種の繊維すなわち耐熱性高弾性率繊維と、
高融点ポリエステル繊維及び低融点ポリエステルと高融
点ポリエステルが一体となった繊維をアトランダムにミ
ックスして混紡して形成した混紡紡績糸をメッシュ状に
編成もしくは製織した編織繊維体の加熱加工後の一部断
面外観図である。
【図15】本発明のコルゲーションダンパを構成する3
種の繊維すなわち耐熱性高弾性率繊維と、高融点ポリエ
ステル繊維及び低融点ポリエステルと高融点ポリエステ
ルが一体となった繊維を耐熱性高弾性率繊維を芯線とし
てミックスして束ねて混紡して形成した混紡紡績糸をメ
ッシュ状に編成もしくは製織した編織繊維体の加熱加工
前の一部断面外観図である。
【図16】本発明のコルゲーションダンパを構成する3
種の繊維すなわち耐熱性高弾性率繊維と、高融点ポリエ
ステル繊維及び低融点ポリエステルと高融点ポリエステ
ルが一体となった繊維を耐熱性高弾性率繊維を芯線とし
てミックスして束ねて混紡して形成した混紡紡績糸をメ
ッシュ状に編成もしくは製織した編織繊維体の加熱加工
後の一部断面外観図である。
【図17】本発明のダンパを構成する混紡紡績糸の表面
及び交点が、溶融された繊維により接着固着された態様
の拡大顕微鏡写真図である。
【図18】従来例のスピーカのコルゲーションダンパの
構成を示す一部切欠斜視図である。
【図19】従来例の綿布を貼付した蝶形ダンパを使用し
たスピーカの断面図である。
【図20】従来例の蝶形ダンパの平面図である。
【図21】従来例の蝶形ダンパのD−D断面図である。
【符号の説明】
1 本発明のダンパを装着したスピーカ 1’ 従来のスピーカ 2a 耐熱性高弾性率繊維 3a 高融点ポリエステル 3a’ 高融点ポリエステル繊維(繊維単体) 4 本発明のコルゲーションダンパ 4a 低融点ポリエステル 4a’ 溶融した低融点ポリエステル 4c 高融点ポリエステルを芯線とし、その外周に低融
点ポリエステルを同心円状に被覆した繊維 4c’ 高融点ポリエステルに接して低融点ポリエステ
ルをバイメタル状に配置した繊維 K 繊維4cと2aと3a’を混紡した混紡紡績糸 K’ 耐熱性高弾性率繊維2aを芯線として3a’と4
cを混紡した混紡紡績糸 5 ボイスコイル 5a 巻端 5c,12c 交点 6 ボイスコイルボビン 7 振動板 7a エッジ部 8 磁気空隙 9 外部端子 10 従来のコルゲーションダンパ 11 中心穴 12a 緯糸 12b 経糸 13 上部プレート 14 マグネット 15 ヨーク 16 フレーム 17 中心磁極 18 磁気回路 21 ヒステレシス曲線 22 布地 23 周縁部 25 編織繊維体 32 透かし窓 33 コンプライアンスレバー 34 蝶形ダンパ 35 綿布
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 波多野 武 東京都中央区日本橋本町1−5−6 東 レ・デュポン株式会社内 (72)発明者 中村 英夫 東京都中央区日本橋本町1−5−6 東 レ・デュポン株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−274284(JP,A) 特開 平5−183991(JP,A) 特開 平11−122696(JP,A) 特開 平8−340596(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04R 9/02 103 D03D 9/00 D06C 7/00 D06C 15/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれ融点の異なる3種の素材すなわ
    ち、耐熱性高弾性率繊維(2a)と高融点ポリエステル繊維
    (3a')及び、低融点ポリエステル(4a)と高融点ポリエス
    テル(3a)が一体となった繊維(4c),(4c')をミックスし
    て形成した混紡紡績糸(K)を、メッシュ形状に編成もし
    くは製織して編織繊維体(25)を形成し、当該編織繊維体
    (25)に前記低融点ポリエステル(4a)が溶融し得る低い温
    度で加熱して押圧プレスを掛けて、溶融した低融点ポリ
    エステル(4a')により、当該編織繊維体(25)の表裏両面
    を被覆して硬化するとともに、メッシュ状に編織した編
    織交点(5c)を融着して固着して成形したことを特徴とす
    るスピーカ用ダンパ。
  2. 【請求項2】 それぞれ融点の異なる3種の素材すなわ
    ち、耐熱性高弾性率繊維(2a)と高融点ポリエステル繊維
    (3a')及び、低融点ポリエステル(4a)と高融点ポリエス
    テル(3a)が一体となった繊維(4c),(4c')をミックスし
    て形成した混紡紡績糸(K)を、メッシュ形状に編成もし
    くは製織して編織繊維体(25)を形成し、当該編織繊維体
    (25)に前記低融点ポリエステル(4a)が溶融し得る低い温
    度で電磁誘導加熱機により、低融点ポリエステル(4a)が
    溶融し得る低い温度で加熱して押圧プレスを掛けて、溶
    融した低融点ポリエステル(4a')により、当該編織繊維
    体(25)の表裏両面を被覆して硬化するとともに、メッシ
    ュ状に編織した編織交点(5c)を融着して固着して成形す
    ることを特徴とするスピーカ用ダンパの製造方法。
  3. 【請求項3】 それぞれ融点の異なる3種の素材すなわ
    ち、耐熱性高弾性率繊維(2a)と高融点ポリエステル繊維
    (3a')及び、低融点ポリエステル(4a)と高融点ポリエス
    テル(3a)が一体となった繊維(4c),(4c')を、前記耐熱
    性高弾性率繊維(2a)を芯線としてミックスして形成した
    混紡紡績糸(K')を、メッシュ形状に編成もしくは製織し
    て編織繊維体(25)を形成し、当該編織繊維体(25)に前記
    低融点ポリエステル(4a)が溶融し得る低い温度で加熱し
    て押圧プレスを掛けて、溶融した低融点ポリエステル(4
    a')により、当該編織繊維体(25)の表裏両面を被覆して
    硬化するとともに、メッシュ状に編織した編織交点(5c)
    を融着して固着して成形したことを特徴とする請求項1
    に記載のスピーカ用ダンパ。
  4. 【請求項4】 耐熱性高弾性率繊維(2a)が、パラ系全芳
    香族ポリアミド繊維である請求項1に記載のスピーカ用
    ダンパ。
  5. 【請求項5】 耐熱性高弾性率繊維(2a)が、パラ系全芳
    香族ポリアミド繊維である請求項2に記載のスピーカ用
    ダンパの製造方法。
  6. 【請求項6】 それぞれ融点の異なる3種の素材すなわ
    ち、耐熱性高弾性率繊維(2a)と高融点ポリエステル繊維
    (3a')及び、低融点ポリエステル(4a)と高融点ポリエス
    テル(3a)が一体となった繊維(4c),(4c')を、前記耐熱
    性高弾性率繊維(2a)を芯線としてミックスして形成した
    混紡紡績糸(K')を、メッシュ形状に編成もしくは製織し
    て編織繊維体(25)を形成し、当該編織繊維体(25)に低融
    点ポリエステル(4a)が溶融し得る低い温度で加熱して押
    圧プレスを掛けて、溶融した低融点ポリエステル(4a')
    により、当該編織繊維体(25)の表裏両面を被覆して硬化
    するとともに、メッシュ状に編織した編織交点(5c)を融
    着して固着成形することを特徴とする請求項2に記載の
    スピーカ用ダンパの製造方法。
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