JP2003097641A - 熱可塑性エラストマーを用いて射出成型したダンパー及びそれを用いたスピーカ - Google Patents

熱可塑性エラストマーを用いて射出成型したダンパー及びそれを用いたスピーカ

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JP2003097641A
JP2003097641A JP2001297468A JP2001297468A JP2003097641A JP 2003097641 A JP2003097641 A JP 2003097641A JP 2001297468 A JP2001297468 A JP 2001297468A JP 2001297468 A JP2001297468 A JP 2001297468A JP 2003097641 A JP2003097641 A JP 2003097641A
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Shinya Tabata
信也 田端
Shinya Mizone
信也 溝根
Seikichi Wada
誠吉 和田
Joshin Kuwata
浄伸 桑田
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Du Pont Toray Co Ltd
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Du Pont Toray Co Ltd
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コルゲーションダンパーが、振動板の大振幅
時の上限及び下限において、それに追随してピストン振
動をなし、コルゲーションダンパーのコンプライアンス
によって振動板の不正振動を助長し、剛性によって振動
を抑制制限することにより振動板の正常な振動を抑止す
る。 【解決手段】 ダンパー本体を熱可塑性エラストマーを
用いて射出成型により成形したダンパー、及び前記のダ
ンパーを装着したスピーカ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スピーカの振動板
の中心部を支え、磁気回路の磁気空隙内にボイスコイル
を懸垂して、振動板とボイスコイルを軸方向に自由に振
動せしめると共に、横方向の振動を抑止する機能を果た
すスピーカ用ダンパーであって、振動板とボイスコイル
の重量による慣性を制御するに適した物性を有する熱可
塑性エラストマーを射出成型によって成形したダンパー
及び、その内部に弾性を付加するために、剛性の高い線
形材をインサートモールドしたり、上記効果に加えて防
塵効果と可撓性を有せしめるために繊維状態に編組した
メッシュをインサートモールドして成型したダンパー
と、それらを使用したスピーカに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図9〜図14に示す従来例のダンパーの
説明図について説明する。図9は、従来の電磁型磁気回
路を有するスピーカ1’の断面図である。図10は、従
来のコルゲーションダンパー4sの一部切欠した斜視図
である。図11は、従来のコルゲーションダンパー4s
を装着したスピーカ1’の振動板7がピストン振動して
いる態様を示す断面図である。図12は、従来のコルゲ
ーションダンパー4sを装着したスピーカ1’の振動板
7が分割振動している態様を示す断面図である。図13
は、従来の蝶形ダンパー34の平面図である。図14
は、従来の蝶形ダンパー34の断面図である。
【0003】すなわち、従来では、図13,図14にそ
の平面図と断面図を示すダンパー34の一例について説
明すると、ダンパー34として、フェノール樹脂を熱硬
化させたシート材を、透かし窓32と、サスペンション
レバー10を打ち抜いて形成して、フェノール樹脂シー
ト材の有する剛性を利用した図9に示す電磁型磁気回路
18’を有するスピーカ1’用の所謂蝶形ダンパー34
が盛んに使用されていた。しかし、前記透かし窓32を
通過する微細な塵埃、鉄粉等が磁気空隙8に吸引されて
空隙擦れ等の不良を発生するので、前記蝶形ダンパー3
4の上面に防塵用の薄い綿布35を、透かし窓32を覆
って貼り付けて磁気空隙8への防塵効果を図る工夫がな
されたが、これとて彌縫策を出でず、フェノール樹脂シ
ート材の均質保持、煩瑣な外形打ち抜き工程、綿布35
の貼付等の煩雑な手数の作業性の困難さから蝶形ダンパ
ー34としての確実かつ均質な品質を得ることは困難で
あった。そのような経過から蝶形ダンパー34のダンピ
ング効果の良好さと発生音の歯切れの良さは置き忘れら
れて、大量生産による製作の容易な図10に示すような
コルゲーションダンパー4sに取って代わられ、図1
1,図12に示すような振動をする構成のスピーカ1’
として盛んに使用されている。
【0004】従来この種のコルゲーションダンパー4s
を装着したスピーカの構造の一例を前記の図11,図1
2について説明すると、16bは成形されたフレームで
あり、一対の入力端子9,9および磁性材からなる磁気
回路18を一体に成形している。磁気回路18は、フレ
ーム16bに取り付けられたプレート13と、その下部
に装着された円環状のマグネット14と、このマグネッ
ト14下面に装着されたヨーク15と、該ヨーク15の
中心部に取り付けた中心磁極17によって構成されてい
る。8はこのように上記プレート13と中心磁極17間
に形成された円環状の狭隘な磁気空隙であり、この磁気
空隙8には先端を振動板7に固着したボイスコイルボビ
ン6に卷着されたボイスコイル5が遊嵌入されてある。
【0005】前記ボイスコイル5の両巻終端5aは導入
線5bを経て入力端子9に接続されている。上記フレー
ム16bにコルゲーションダンパー4sの外周部23を
接着して貼着し、ボイスコイル5は、前記磁気空隙8内
に懸垂保持されている。以上のように構成されたスピー
カは、上記入力端子9から導入線5bを経て入力された
電気音響信号を前記ボイスコイル5に入力して、このボ
イスコイル5と磁気空隙8の磁束との電磁誘導によって
生ずる上下動により上記振動板7を振動させて放音す
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のとおり、図10
に示す従来のコルゲーションダンパー4sの構造は、布
地22の緯糸12a、経糸12b及びその交点12cに
フェノール樹脂を含浸してコルゲーション24形状に加
熱プレス成形して硬化後、中心部にボイスコイル挿入穴
11と、外周をフレーム16bに接着固定する周縁部2
3を打ち抜きプレス機によって打ち抜いて穿設する。し
かしながら、布地22にフェノール樹脂を含浸する浸漬
する容器や、加熱金型及び電熱器またはガスバーナ等の
熱源を必要とし、加熱温度を均一に一定に保つ調節が困
難で布地22の全面的に均一な加熱が容易でなく、製品
の均質化が困難で温度ムラによる製品ダンパー4sの物
性が変化するので、スピーカに組み込んだ場合、最低共
振周波数(f0)、周波数特性等において均一な性能、
品質を得難いという欠点があった。
【0007】しかして、従来のコルゲーションダンパー
4sは、図11,12に前記した断面図のようにスピー
カに組み込まれる。すなわち、振動板7の振動姿態は、
大振幅時の上限及び下限において、ピストン振動をな
し、それに追随してコルゲーションダンパー4sが、上
限、下限まで振動して、コルゲーションダンパー4sの
コンプライアンスによって振動板7の振動を助成し、剛
性によって振動を抑制制限する。
【0008】図5に、振動板7の振動(振幅)に対する
ダンパーのコンプライアンスに基づく振動姿態(変位)
を示し、前記したような構成のスピーカの振動板7の比
較的低い周波数の、大きい振幅の振動帯域でピストン振
動を呈する態様(図11に示す)において、横軸に振動
板7の±5Nの振動幅(応力)の大きさAを採り、縦軸
に応力に対応するダンパーの復原力すなわち変位(歪
み:この場合±5mm)Bを表すヒステリシス曲線であ
って、21aは本発明のダンパーのもの、21bは従来
例のダンパーのものをそれぞれ示てある。
【0009】また、振動板7が低い周波数でピストン振
動を行う場合(その従来例の一例の態様を図11に示
す)、磁気空隙8の磁力が弱くて磁気制御が効き難い場
合、振動板7とボイスコイル5の重量による慣性力のた
めに、再生音の波形は、入力電気信号に追随し得なくな
り、波形が鈍ってしまって、聞くに耐えない歪んだ低音
を再生することになる。このような場合、上述した図5
のヒステリシス曲線21b,21b(点線)は、大きな
振幅のヒステリシス曲線21(太い実線)から大きく膨
れるために、ヒステリシス損失は極めて大きくなって、
スピーカのf0 が著しく低下し、振動に対する応動性は
極めて鈍くなり音質(特に低音域)を劣化する原因とな
る態様を表している。また、ヒステリシス曲線(点線)
は従来のコルゲーションダンパー4sの変位(歪み)B
の大きさを示している。このように、従来のコルゲーシ
ョンダンパー4sにおいては、理想振幅のヒステリシス
曲線21(太い実線)に対して、ズレの大きいヒステリ
シス曲線21b(点線)となるために、振動板7の振動
を制御しきれず音質の歯切れが鈍って、特に低音域の歪
み(音の濁り)が著しいという問題があった。
【0010】また、フェノール樹脂を熱硬化させる際、
樹脂を傷めない程度の低い温度(170℃程度)で加
熱、硬化しただけであるので化学反応が十分に完結せ
ず、コルゲーション24を成形する剛性が弱化して振動
制御に必要なダンパーの剛性を得られず、大振幅に対す
る抑制力が弱いという根本的問題もあった。
【0011】すなわち、前記したフェノール樹脂の分量
が少なく、かつ硬化温度が高く取れないために、硬化し
たフェノール樹脂の固化力が、長年にわたる往復振動に
よって弱まって、本来有すべき剛性が消失し、コンプラ
イアンスが部分的に不均一となってスピーカのf0 が不
安定になったり、また、コルゲーション24の剛性が弱
いために、大振幅に対して制動しきれず、ボイスコイル
5の先端が磁気空隙8の底に当たったり、図11に示す
ような振動系の高周波帯域の振動の歪みや、ローリング
振動等の経年的変化の原因を伴う欠点があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】一方、前記図5の実線で
示す横軸の応力Aとそれに対応する復原力すなわち変位
(歪み)の大きさBのように、本願発明に用いるダンパ
ー4a〜4gは、従来の蝶形ダンパー34に比して、ヒ
ステリシス損が著しく小さいので振動板7の大きな振動
に対して、また小さな振動に対しても惰性が小さく電気
入力に極めて忠実に追随して制御し、正確な波形で振動
板7を駆動制御することができるのである。
【0013】前記したとおり、従来のコルゲーションダ
ンパー4sは、フェノール樹脂の溶液を布等に含浸させ
て熱硬化したものであるから、樹脂担持量が少なく形状
が平面的で剛性は弱い。また、従来の蝶形ダンパー34
は、濃度の濃いフェノール樹脂をシート状に加熱プレス
成形したものであるから、コルゲーションダンパーに比
較すると樹脂担持量が多く、加熱温度も高いのでダンパ
ーとしての剛性は高く、外形形状が未だ平面的であるの
で、図5に示すヒステリシス曲線21a,21a(細い
実線)は、中央の理想ヒステリシス曲線21(太い実
線)に近づくが、それとて十分でなく、本発明の立体的
な形状を射出成型によって保持せしめたダンパーに比較
するとその剛性は著しく弱い。
【0014】先行技術として、特願昭50−15206
7号(特開昭52−75312号)公報には、2枚の熱
可塑性樹脂フィルムの間に補強用線材を挟んで、加熱し
て一体化した構成が記載されたコルゲーションダンパー
が開示されている。しかし、上記の先行技術のコルゲー
ションダンパーは、熱可塑性樹脂フィルムの間に補強材
を挟持したもので構成されているので、前記した製品の
剛性、コンプライアンス、屈曲性等の弾性、材料利用率
等について、十分な値を有せず、さらには平面的なコル
ゲーション形状しか成形ができない。その点、熱可塑性
エラストマーを射出成型により成形した本発明のダンパ
ーとは構成において前記弾性特性において相違し、本件
発明の立体的な成品ダンパーとは基本的に発明の根源を
異にするものであって、本願特有の特徴効果は従来のコ
ルゲーションダンパーからは全く見いだせない。
【0015】これらの従来のコルゲーションダンパー4
sを用いたスピーカの欠点を挙げると、通常のスピーカ
の試験として行われる耐久試験(1,000時間)の信
頼性試験後、樹脂が振動疲労して、ダンパーの柔軟度が
低下して、スピーカのf0 の変化率が大きいので製品の
品質のバラツキが大きくなる欠点がある。また、スピー
カの耐水(シャワー)試験及び耐湿試験の後において、
同様に、水分と含浸したフェノール樹脂とが反応して耐
湿性が失われ、スピーカのf0 の変化率が従来品におい
ては−30%と大きくなる欠点がある。しかるところ、
本発明品では−4%に減少する利点がある。(表1参
照)
【表1】
【0016】
【発明の実施の形態】このように、従来のフェノール樹
脂の熱硬化性によって、布等に含浸したフェノール樹脂
を熱硬化性によって硬化して得たコルゲーションダンパ
ー4sは、加熱成形時、加熱温度が全面的に均一となら
ないで、部分的に剛性、コンプライアンスが不均一とな
り、振動的に不安定になる欠点があった。また、従来の
蝶形ダンパー34にあっても、フェノール樹脂の平面的
な外形形状に基づく剛性、コンプライアンスの弱さは回
避できない。本発明のダンパー4a〜4gは、このよう
な従来のコルゲーションダンパー4s、蝶形ダンパー3
4の欠点を解消して、物性の安定した熱可塑性エラスト
マーを主材料として立体的に射出成型により成形して本
体4となし、その材質の剛性をそのまま保持して、弾力
に富み、強い耐湿性と、耐候性を長期間に亙り保持する
耐久性に優れたダンピング効果を一段と高めたスピーカ
ダンパーの本体4を得ることを目的とする。
【0017】しかして、さらにダンパーの剛性を高める
ために、前記本願発明のダンパー4a〜4gの本体4を
射出成型時、中心部のボイスコイル接着部11’と、フ
レーム16に貼着する辺部23との間を弾性をもって橋
絡するサスペンションレバー10と、透かし窓32を成
形したダンパー本体4の内部に、ダンパー4d〜4gに
おいて、剛性の高い、伸縮性に富む繊維からなるメッシ
ュ3aを挟持してインサートモールド成形して内蔵する
ことにより、本体4の振幅特性に影響を与えることな
く、ダンパーとして機能的に備えていなければならない
必須要件である柔軟度、振幅(ヒステリシス)特性をス
ピーカ1に適合するように、立体的に形状を特定して自
由に剛性を選定し、コンプライアンスを調節できるダン
パー本体4を形成することができるとともに、優れた防
塵効果と、従来期待し得なかった耐湿性、耐熱性、耐久
性、耐大入力性を保有するダンパー4a〜4gとなるも
のである。
【0018】
【実施例】該目的を達成するための本発明の構成を、実
施例に対応する図1〜図4を用いて説明すると、第1発
明は、図1,2,3に示すような、ダンパー本体4を熱
可塑性エラストマーを用いて射出成型により成形したダ
ンパー4aである。第2発明は、図1,2,3に示すよ
うな、ダンパー本体4を熱可塑性エラストマーのポリエ
ステルエラストマーを用いて射出成型により成形したダ
ンパー4bである。第3発明は、図1,2,3に示すよ
うな、ダンパー本体4を熱可塑性エラストマーのポリエ
ーテルエステルエラストマーを用いて射出成型により成
形したダンパー4cである。第4発明は、ダンパー本体
4を熱可塑性エラストマーを射出成型により、中心部の
ボイスコイル接着部11’と、フレーム16に貼着する
周辺部との間を弾性をもって橋絡するサスペンションレ
バー10と、透かし窓32を本体4に設けて成形して、
該本体4を2枚重ねた中間に、剛性の高い、伸縮性に富
む繊維からなるメッシュ3aを介在挟持してインサート
モールド成形して成るダンパー4dである。第5発明
は、ダンパー本体4を熱可塑性エラストマーを射出成型
により、中心部のボイスコイル接着部11’と、フレー
ム16に貼着する周辺部との間を弾性をもって橋絡する
サスペンションレバー10と、透かし窓32を本体4に
設けて成形して、該本体4を2枚重ねた中間に、剛性の
高い、伸縮性に富むポリアミド繊維からなるメッシュ3
aを介在挟持してインサートモールド成形して成るダン
パー4eである。
【0019】第6発明は、ダンパー本体4を熱可塑性エ
ラストマーのポリエステルエラストマーを射出成型によ
り、中心部のボイスコイル接着部11’と、フレーム1
6に貼着する周辺部との間を弾性をもって橋絡するサス
ペンションレバー10と、透かし窓32を本体4に設け
て成形して、該本体4を2枚重ねた中間に、剛性の高
い、伸縮性に富むポリアミド繊維からなるメッシュ3a
を介在挟持してインサートモールド成形して成るダンパ
ー4fである。第7発明は、ダンパー本体4を熱可塑性
エラストマーのポリエーテルエステルエラストマーを射
出成型により、中心部のボイスコイル接着部11’と、
フレーム16に貼着する周辺部との間を弾性をもって橋
絡するサスペンションレバー10と、透かし窓32を本
体4に設けて成形して、該本体4を2枚重ねた中間に、
剛性の高い、伸縮性に富むポリアミド繊維からなるメッ
シュ3aを介在挟持してインサートモールド成形して成
るダンパー4gである。第8発明は、第1発明乃至第7
発明のダンパー4a,4b,4c,4d,4e,4f,
4gのいずれかを装着したスピーカ1である。
【0020】本発明の実施例を図1〜図8について説明
すると、図1は、本第1〜3発明の、射出成型により成
形した熱可塑性エラストマーからなるダンパー本体4の
構成を示す分解図の斜視図である。すなわち、熱可塑性
エラストマー材をもって射出成型時に、サスペンション
レバー10と透かし窓32を形成したダンパー本体4か
らなるダンパー4a〜4gのいずれかの形状の分解図で
ある。図2は、前記本件発明の熱可塑性エラストマーか
らなるダンパー本体4を2枚重ねた中間に、熱可塑性エ
ラストマーと親和性の良好な(剛性の高い、伸縮性に富
む)繊維からなるメッシュ3をインサートモールドして
介在挟持して成形したダンパー4a〜4gの外形を示す
斜視図を示す。
【0021】図3は、前記図2のダンパー4a〜4gの
いずれかの断面図である。図4は、前記図2のダンパー
4a〜4gのいずれかを取り付けたスピーカ1の態様を
示す一部切欠外観図である。すなわち、前記した図2の
各ダンパー4a〜4gの中心穴11にボイスコイルボビ
ン6を挿入接着して、磁気空隙8を構成する磁気回路1
8を同心的に取り付けたフレーム16の天部に設けた段
部16eに、前記ダンパー4a〜4gの外周部23を嵌
め込んで接着して固定し、ボイスコイル5を磁気空隙8
に遊嵌入して保持する。ボイスコイル5の巻端5aをボ
イスコイルボビン6の側壁に添わせて引き出し、その先
端を導入線5bの一端に接続して、導入線5bの他端を
フレーム16に固定した外部端子9に接続する。ボイス
コイルボビン6の先端を振動板7の中心に接着して、振
動板7の外周部をフレーム16の周縁部に接着して完成
する。
【0022】しかして、図5は、振動板7の振動(振
幅)に対するダンパーのコンプライアンスに基づく振動
姿態(変位)を示す。すなわち、前記したような構成の
スピーカの振動板7の比較的低い周波数の、大きい振幅
の振動帯域でピストン振動を呈する態様において、横軸
に振動板7の±5Nの振動幅(応力)の大きさAを採
り、縦軸に応力に対応するダンパーの復原力すなわち変
位B(歪み:この場合±5mm)を示すヒステリシス曲
線21a,21bを示す図である。図6は、本発明ダン
パーと、従来コルゲーションダンパー4sの非直線歪み
の大きさを表す。縦軸に音圧(dB)を、横軸に周波数
(Hz)をそれぞれ示す。図7は、熱可塑性エラストマ
ーと親和性の良好な繊維からなるメッシュ3をインサー
トモールドした図1、図2、図3に示すダンパー4a〜
4gのいずれかを装着したスピーカ1の断面図である。
図8は、図7に示すスピーカ1の一部拡大断面図であ
る。
【0023】すなわち、本発明におけるスピーカのダン
パー本体4は、熱可塑性エラストマーで作られる。熱可
塑性エラストマーとしては、オレフィン系エラストマ
ー、スチレン系エラストマー、熱可塑性ポリウレタンエ
ラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエ
ラストマー等が挙げられるが、成形性、耐屈曲疲労性、
金属との接着性、耐熱性を考慮すると、ポリエステルエ
ラストマーが好ましい。また、ポリエステルエラストマ
ーは、ゴム弾性を持ちつつエンジニアリングプラスチッ
クのダンパーに適した特徴としての剛性、良好な成形加
工性を有している。ポリエステルエラストマーは、ジュ
ロメータで測定したショアD硬度は、30〜80の広範
囲をカバーしているが、一般的な加硫ゴムは40以下で
あり、また他の熱可塑性エラストマーも65以下であっ
て、ポリエステルエラストマーは、剛性の点でも有利で
ある。ポリエステルエラストマーとしては、ショアD硬
度50〜80のグレードを選択することがより好まし
い。
【0024】上記熱可塑性エラストマー(ポリエステル
・エラストマー)としては、ポリエステルブロック共重
合体が好ましい。かかるポリエステルブロック共重合体
としては、主として結晶性ポリエステル単位からなる高
融点結晶性重合体セグメントと、主として脂肪族ポリエ
ーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位から
なる低融点重合体セグメントを主たる構成成分とするポ
リエステルブロック共重合体が好ましい。
【0025】ポリエステルエラストマーのうちでも特に
脂肪族ポリエーテル単位を低融点重合体セグメントとす
るポリエーテルエステルエラストマーが、低温特性に優
れるため、より好ましい。このポリエーテルエステルエ
ラストマーとしては、例えば東レ・デュポン株式会社製
の商品名「ハイトレル」(登録商標)が好適に使用でき
る。このポリエーテルエステルエラストマーは、テレフ
タル酸を主体とする芳香族ジカルホン酸もしくはそのエ
ステル形成性誘導体、1,4−ブタンジオールを主体と
する脂肪族ジオール、およびポリテトラメチレングリコ
ールなどのポリアルキレングリコールを重縮合せしめる
ことにより製造される。
【0026】また、このポリエーテルエステルに成形性
やダンパーとしての機能を高めるため、各種の配合物を
添加することもできる。かかる配合剤としては、離型
剤、結晶核剤、かみ込み安定剤、耐熱安定剤、耐候剤、
耐加水分解防止剤、難燃剤、着色剤、繊維状補強材や各
種充填材、硬質ポリエステル等の他種ポリマーなどが挙
げられる。
【0027】図1に示す請求項1に記載のダンパー4a
(第1発明)は、射出成型により成形した熱可塑性エラ
ストマーからなるダンパー4aの構成を示す分解図の斜
視図である。ダンパー4aは熱可塑性エラストマー材を
射出成型により、サスペンションレバー10と透かし窓
32を形成しており、その間に熱可塑性エラストマーと
親和性の良好な繊維からなるメッシュ3を介在挟持して
インサートモールドして内蔵して成形して成る。
【0028】すなわち、該ダンパー4aのダンパー本体
4は、熱可塑性エラストマー材を射出成型により、成形
時、中心部に形成されて円環状のボイスコイルボビン6
に接着してボイスコイル5を支持する接着部11’と、
フレーム16に貼着してダンパー4a〜4gを支持する
円環状の周辺部23とを形成してある。しかして、その
ボイスコイル接着部11’と周辺部23との間を、弾性
を持って橋絡して、コンプライアンスを保持するサスペ
ンションレバー10を形成する。
【0029】このように、第1発明のダンパー4aのダ
ンパー本体4は、容易に射出成型して成形できる熱可塑
性エラストマー材を基材として使用して、立体的に外形
形状を特定しており、その材質特有の弾力性、接着性、
耐湿性、耐熱性、耐久性、耐大入力性はダンパーとして
他に比類を見ない最適のものである。しかして、サスペ
ンションレバー10は、そのまま剛性と弾性コンプライ
アンスを保持して、ダンパー4aのダンピング効果をさ
らに一段と良好ならしめ、さらに一段と生産性を向上せ
しめるとともに、ダンパーとして備えていなければなら
ない必須要件である柔軟度、振幅(ヒステリシス)特性
(図5,6参照)をスピーカに適合するように、縦横寸
法、厚さ、メッシュ3の種類等を変更することにより自
由に調節できるダンパー4aを形成することができる。
【0030】第1発明のダンパー4aは、このような構
造としたものであるから、熱可塑性エラストマーの成形
容易性、耐屈曲疲労性、動的弾性率、接着力、離型性等
の優れた物性を利用して、通常の射出成型に最適であ
り、従来どおりに用いればよい。従って、本発明のダン
パー4aと、それを用いたスピーカは、従来のスピーカ
組み立て方式をそのまま使用することができるので、設
備の新設、補修等のメインテナンスを行う必要なく、そ
のまま流れ作業による大量生産に好都合なばかりでな
く、その製品の品質の均一性の向上を図ることができ
る。
【0031】請求項2に記載のダンパー4b(第2発
明)は、射出成型により成形した熱可塑性エラストマー
のポリエステルエラストマーからなるダンパー4bであ
って、その構成の分解図の斜視図を図1に示す。ダンパ
ー4bは熱可塑性エラストマーのポリエステルエラスト
マー材を射出成型することにより、中心部のボイスコイ
ル接着部11’と、フレーム16に貼着する周辺部23
との間を弾性を持って橋絡するサスペンションレバー1
0と透かし窓32を形成してある。
【0032】すなわち、該ダンパー4bのダンパー本体
4は、熱可塑性エラストマーのポリエステルエラストマ
ー材を射出成型により、成形時、中心部に形成されて円
環状のボイスコイルボビン6に接着してボイスコイル5
を支持する接着部11’と、フレーム16に貼着してダ
ンパー4bを支持する円環状の周辺部23とを形成して
ある。しかして、そのボイスコイル接着部11’と周辺
部23との間を、弾性を持って橋絡して、コンプライア
ンスを保持するサスペンションレバー10を形成する。
【0033】このように、第2発明のダンパー4bのダ
ンパー本体4は、容易に射出成型して成形できる熱可塑
性エラストマーのポリエステルエラストマー材を基材と
して使用して、立体的に外形形状を特定しており、その
材質特有の弾力性、接着性、耐湿性、耐熱性、耐久性、
耐大入力性はダンパーとして熱可塑性エラストマーの中
では他に比類を見ない最適のものである。しかして、サ
スペンションレバー10は、そのまま剛性と弾性コンプ
ライアンスを保持して、ダンパー4bのダンピング効果
をさらに一段と良好ならしめ、さらに一段と生産性を向
上せしめるとともに、ダンパーとして備えていなければ
ならない必須要件である柔軟度、振幅(ヒステリシス)
特性(図5,6参照)をスピーカに適合するように、縦
横寸法、厚さ等を変更することにより自由に調節できる
ダンパー4bを形成することができる。
【0034】本第2発明のダンパー4bは、このような
構造としたものであるから、熱可塑性エラストマーの成
形容易性、耐屈曲疲労性、動的弾性率、接着力、離型性
等の優れた物性を利用して、通常の射出成型に最適であ
り、従来どおりに用いればよい。従って、本発明のダン
パー4bと、それを用いたスピーカは、従来のスピーカ
組み立て方式をそのまま使用することができるので、設
備の新設、補修等のメインテナンスを行う必要なく、そ
のまま流れ作業による大量生産に好都合なばかりでな
く、その製品の品質の均一性の向上を図ることができ
る。
【0035】請求項3に記載のダンパー4c(本第3発
明)は、射出成型により成形した熱可塑性エラストマー
のポリエーテルエステルエラストマーからなるダンパー
4cであって、その構成の分解図の斜視図を図1に示
す。ダンパー4cは熱可塑性エラストマーのポリエーテ
ルエステルエラストマー材を射出成型することにより、
中心部のボイスコイル接着部11’と、フレーム16に
貼着する周辺部23との間を弾性を持って橋絡するサス
ペンションレバー10と透かし窓32を形成してある。
【0036】すなわち、該ダンパー4cのダンパー本体
4は、熱可塑性エラストマーのポリエーテルエステルエ
ラストマー材を射出成型により、成形時、中心部に形成
されて円環状のボイスコイルボビン6に接着してボイス
コイル5を支持する接着部11’と、フレーム16に貼
着してダンパー4cを支持する円環状の周辺部23とを
形成してある。しかして、そのボイスコイル接着部1
1’と周辺部23との間を、弾性を持って橋絡して、コ
ンプライアンスを保持するサスペンションレバー10を
形成する。
【0037】このように、第3発明のダンパー4cのダ
ンパー本体4は、容易に射出成型して成形できる熱可塑
性エラストマーのポリエーテルエステルエラストマー材
を基材として使用して、立体的に外形形状を特定してお
り、その材質特有の弾力性、接着性、耐湿性、耐熱性、
耐久性、耐大入力性はダンパーとして熱可塑性エラスト
マーの中では他に比類を見ない最適のものである。しか
して、ポリエーテルエステルエラストマー材は、サスペ
ンションレバー10は、そのまま剛性と弾性コンプライ
アンスを保持して、ダンパー4cのダンピング効果をさ
らに一段と良好ならしめ、さらに一段と生産性を向上せ
しめるとともに、ダンパーとして備えていなければなら
ない必須要件である柔軟度、振幅(ヒステリシス)特性
(図5,6参照)をスピーカに適合するように、縦横寸
法、厚さ等を変更することにより自由に調節できるダン
パー4cを形成することができる。
【0038】本第3発明のダンパー4cは、このような
構造としたものであるから、熱可塑性エラストマーの成
形容易性、耐屈曲疲労性、動的弾性率、接着力、離型性
等の優れた物性を利用して、通常の射出成型に最適であ
り、従来どおりに用いればよい。従って、本発明のダン
パー4cと、それを用いたスピーカは、従来のスピーカ
組み立て方式をそのまま使用することができるので、設
備の新設、補修等のメインテナンスを行う必要なく、そ
のまま流れ作業による大量生産に好都合なばかりでな
く、その製品の品質の均一性の向上を図ることができ
る。
【0039】請求項4に記載のダンパー4d(第4発
明)は、ダンパー本体4を熱可塑性エラストマーを射出
成型により成形時、図1,図2,図3に示すように、中
心部のボイスコイル接着部11’と、フレーム16に貼
着する周辺部23との間を弾性をもって橋絡するサスペ
ンションレバー10と、透かし窓32をダンパー本体4
に設けて成形して、該本体4を2枚重ねた中間に、熱可
塑性エラストマーと親和性の良好な剛性の高い、伸縮性
に富むメッシュ3aを介在挟持してインサートモールド
成形して成るダンパー4dである。
【0040】請求項5に記載のダンパー4e(第5発
明)は、ダンパー本体4を熱可塑性エラストマーを射出
成型により成形時、図1,図2,図3に示すように、中
心部のボイスコイル接着部11’と、フレーム16に貼
着する周辺部23との間を弾性をもって橋絡するサスペ
ンションレバー10と、透かし窓32をダンパー本体4
に設けて成形して、該本体4を2枚重ねた中間に、熱可
塑性エラストマーと親和性の良好な剛性の高い、伸縮性
に富むポリアミド繊維からなるメッシュ3aを介在挟持
してインサートモールド成形して成るダンパー4eであ
る。
【0041】請求項6に記載のダンパー4f(第6発
明)は、ダンパー本体4を、熱可塑性エラストマーのポ
リエステルエラストマーを射出成型により成形時、図
1,図2,図3に示すように、中心部のボイスコイル接
着部11’と、フレーム16に貼着する周辺部23との
間を弾性をもって橋絡するサスペンションレバー10
と、透かし窓32をダンパー本体4に設けて成形して、
該本体4を2枚重ねた中間に、熱可塑性エラストマーと
親和性の良好な剛性の高い、伸縮性に富むポリアミド繊
維からなるメッシュ3aを介在挟持してインサートモー
ルド成形して成るダンパー4fである。
【0042】請求項7に記載のダンパー4g(第7発
明)は、ダンパー本体4を熱可塑性エラストマーのポリ
エーテルエステルエラストマーを射出成型により成形
時、図1,図2,図3に示すように、中心部のボイスコ
イル接着部11’と、フレーム16に貼着する周辺部2
3との間を弾性をもって橋絡するサスペンションレバー
10と、透かし窓32をダンパー本体4に設けて成形し
て、該本体4を2枚重ねた中間に、熱可塑性エラストマ
ーと親和性の良好な剛性の高い、伸縮性に富むポリアミ
ド繊維からなるメッシュ3aを介在挟持してインサート
モールド成形して成るダンパー4gである。
【0043】請求項8に記載のスピーカ1(第8発明)
は、請求項1乃至請求項7に記載の熱可塑性エラストマ
ーを射出成型して、ポリアミド繊維2を編組したメッシ
ュ3aをインサートモールドして成形したダンパー4a
〜4gのいずれかを用いたスピーカであって、ポリアミ
ド繊維2を織編したメッシュ3aの、延伸性、破れ難い
性質によって、ダンパー4a〜4gの抑制振動に何ら負
荷を掛けることなく、寄生振動の抑制の効いた、かつ防
塵効果を有するスピーカとなる。
【0044】以上述べた本発明のダンパーの特徴を詳細
に下記する。本発明のダンパー4a〜4gは、短繊維状
態に切断した弾力性に富むポリアミド繊維2(アラミド
繊維)を編組した目の細かい、伸縮性に富むメッシュ3
aをインサートモールドして、ダンパーの振幅特性に影
響を与えることなく、優れた防塵効果と、従来期待し得
なかった耐湿性、耐熱性、耐久性、耐大入力性を保有す
るダンパーとなるものである。このようにメッシュ3a
は、ダンパー本体4の熱可塑性エラストマー材とメッシ
ュ材のポリアミド繊維2との親和性は良好で、強固に融
着してインサートモールドでき、一体化できるので、経
年的に剥離したり、乖離したりすることはない。
【0045】このダンパー4a〜4gの内部にインサー
トモールドされた短繊維状態に切断した弾力性に富んだ
ポリアミド繊維2を編組したメッシュ3aが、細い繊維
径のデニール値の短繊維長の繊維複数本をメリヤス編み
に編組したものであるので、軽量で、伸延性に富み、耐
候性を有し、熱可塑性エラストマーとの馴染み(親和
性)もよく、よく融合することができるので激しい振動
に対しても両者は乖離することなく安定である。また、
ポリアミド繊維2のメッシュ3aは柔軟性を有するの
で、サスペンションレバー10の弾性に影響を与えるこ
となく、かつ、防塵効果にも優れて、耐久性のあるダン
パーとなる。
【0046】本発明におけるポリアミド繊維2として
は、特に全芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)が好
ましい。アラミド繊維は、耐熱性に優れ、引っ張り強さ
が高く(210〜280kgf/mm2)、比重が小さ
く(1.44〜1.84)、弾性率が高く(6,480
〜40,000kgf/mm2)、高剪断下でフィブリ
ル化する特性を有して、いずれもダンパーの構成物質と
して好適である。
【0047】そして、本発明スピーカに使用するダンパ
ーの熱可塑性エラストマー材は、融点が160〜227
℃で、射出成型に適しており、また、親和性に富み他の
物質との融合性が良好で、金属製のフレーム面との接
着、弾力性に富んだ短繊維状態に切断したポリアミド繊
維2で編組されたメッシュ3a等との融接着も簡単にか
つ強固にできるので、射出成型機の中で容易に融着して
インサートモールドできて、大なる振幅の激しい振動に
対しても剥離することはない。
【0048】メッシュ3としては、上述したとおりポリ
アミド繊維2が最も好ましいが、その一部又は全部をポ
リエステル繊維で代替することもできる。なお、ポリエ
ステル繊維とはポリアルキレンテレフタレートを主成分
とする繊維である。
【0049】図5中、実線は本発明に関わるショアD硬
度75のポリエーテルエステルエラストマーを成形して
得られたダンパーのヒステリシス曲線で、点線は従来の
コルゲーションダンパーのヒステリシス曲線であって、
それぞれ弾力(歪み)の大きさを縦軸に表し、横軸に、
応力に対応する復原力(歪み)の大きさBをそれぞれ示
す。このように、本願発明のダンパーは、従来のコルゲ
ーションダンパーに比して、ヒステリシス損が著しく小
さいので、振動板7の大小の振動の振幅に対して惰性小
さく応動でき、電気入力波形に極めて忠実に振動板7を
制御できるものである。さらに、本願発明のダンパーに
あっては、サスペンションバー10の形状から、その厚
さ、幅、長さ等をそれぞれ微細に調節して選ぶことがで
きるので、ダンパーとしての剛性、ダンピング特性等の
諸特性を自由に特定できて、ヒステリシス特性も各種の
スピーカに適応した曲線に選定することができる。
【0050】図6は、本発明のダンパー4a〜4gと従
来のコルゲーションダンパー4sとを比較したスピーカ
の非直線歪みを表す周波数特性である。低音域と高音域
とにおいて、それぞれ約10dBの歪みの減少が見られ
ることを示す。
【0051】また、従来のコルゲーションダンパー4s
は、布地22の縦横繊維の接合点に含浸したフェノール
樹脂を固化させて繊維の柔軟性を補っているが、コルゲ
ーション形状に加熱成形時、通常の繊維が延伸するため
の脆弱さを保持したまま成形され、低温度で加熱硬化す
るために、反応時間が長くかかって生産性が悪いという
問題もあったが、本発明のダンパーのヒステリシス曲線
は、前記の従来例のコルゲーションダンパー4sのそれ
に比して、図5に示すように、入力曲線21から外れる
ことが少ないので、ヒステリシス損失は極めて小さく、
スピーカ1のf 0 は安定して、振動に対する応動性は極
めて敏感になり、ボイスコイル5の底当たり不良の発生
は解消する。そして、図6に示すように、特に低音域に
おける歪みは抑制されるので、スピーカ1の非直線歪み
は、極めて小さく、高音域においても歪むことはない。
【0052】本発明ダンパー4a〜4gの非直線歪み
を、従来例のそれと比較すると、図6に示すごとく、低
音域、高音域において、従来品よりも約5〜10dBの
歪みの減少が見られた。
【0053】また、本発明ダンパー4a〜4gは、溶融
した熱可塑性エラストマーが、温度が下がって硬化する
と、熱に対して耐熱性が強くなり、変形し難いので、表
1に示すように、スピーカの耐久試験(1,000時
間)の信頼性試験後、あるいは、耐水(シャワー)試
験、耐湿試験後、従来のコルゲーションダンパー4sの
ように、柔軟度が低下して、スピーカ1のf0 の変化率
が大きい(約−30%)ために製品の品質のバラツキが
大きくなったり、水分と含浸したフェノール樹脂とが反
応してスピーカのf0の変化率は大きくなったりしない
(約−4%)ので、安定したスピーカの性能を保持でき
る。(前記表1を参照)
【0054】以上本発明の代表的と思われる実施例につ
いて説明したが、本発明は必ずしもこれらの実施例構造
のみに限定されるものではなく、本発明にいう前記の構
成要件を備え、かつ、本発明にいう目的を達成し、以下
にいう効果を有する範囲内において適宜改変して実施す
ることができるものである。
【0055】
【発明の効果】以上の説明から既に明らかなように、本
発明ダンパーは、熱可塑性エラストマーを射出成型する
ことにより、中心部のボイスコイル接着部と、フレーム
に貼着する周辺部との間を弾性を持って橋絡するサスペ
ンションレバーと透かし窓を成形したダンパー本体と、
それに伸縮性に富む繊維からなるメッシュをインサート
モールド成形して設けたダンパーであるから、耐久性の
良好な軟らかいグレードで自由に振幅特性、柔軟度を実
現できて、密な防塵効果を有するという従来のダンパー
には期待することが出来ない顕著な効果を有し、また、
そのような優れた特性を有するダンパーを装着したスピ
ーカは、ダンパーの剛性、ダンピング特性コンプライア
ンス等の諸特性によって、均一な周波数特性と、平均し
た音圧レベルを保持し得て、磁気空隙擦れ、底当たり不
良等の発生は解消した製品となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本件発明のダンパーの外形を示す斜視図であ
る。サスペンションレバーと透かし窓を、形成したダン
パーの形状の分解図を示す。
【図2】本件発明のダンパーのに繊維のメッシュをイン
サートモールドしたダンパーの外形を示す斜視図であ
る。
【図3】図2のダンパーの断面図である。
【図4】図2のダンパーをスピーカに取り付けた態様を
示す一部切欠外観図である。
【図5】縦軸に振動板の振動幅(応力)の大きさAを示
し、横軸に応力にそれぞれ対応するダンパーの復原力す
なわち変位(歪み)の大きさBを示すヒステリシス曲線
を示す図である。
【図6】本発明品ダンパーと、従来品コルゲーションダ
ンパーの非直線歪みの大きさを表す。
【図7】ポリアミド繊維からなるメッシュをインサート
モールドした熱可塑性エラストマー製ダンパーを装着し
たスピーカの断面図である。
【図8】図7に示すスピーカの一部拡大断面図である。
【図9】従来の電磁型磁気回路を有するスピーカの断面
図である。
【図10】従来のコルゲーションダンパーの一部切欠し
た斜視図である。
【図11】従来のコルゲーションダンパーを装着したス
ピーカの振動板がピストン振動している態様を示す断面
図である。
【図12】従来のコルゲーションダンパーを装着したス
ピーカの振動板が分割振動している態様を示す断面図で
ある。
【図13】従来の蝶形ダンパーの平面図である。
【図14】図13の従来の蝶形ダンパーの断面図であ
る。
【符号の説明】
1,1’ スピーカ 2 ポリアミド繊維 3 メッシュ 3a 高剛性、高伸縮性のポリアミド繊維を編組したメ
ッシュ 4 ダンパー本体 4a 熱可塑性エラストマーを用いて射出成型したダン
パー 4b ポリエステルエラストマーを用いて射出成型した
ダンパー 4c ポリエーテルエステルエラストマーを用いて射出
成型したダンパー 4d 高剛性、高伸縮性の繊維からなるメッシュをイン
サートモールド成型した熱可塑性エラストマー製ダンパ
ー 4e 熱可塑性エラストマーを用いて射出成型により本
体を成形し、(高剛性、高伸縮性の繊維)ポリアミド繊
維からなるメッシュをインサートモールド成型したした
ダンパー 4f ポリエステルエラストマーを用いて射出成型によ
り本体を成形し、(高剛性、高伸縮性の繊維)ポリアミ
ド繊維からなるメッシュをインサートモールド成型した
したダンパー 4g ポリエーテルエステルエラストマーを用いて射出
成型により本体4を成形し、ポリアミド繊維を編組して
構成したメッシュをインサートモールド成型したたダン
パー 4s 従来のコルゲーションダンパー 5 ボイスコイル 5a 巻端 5b 導入線 6 ボイスコイルボビン 7 振動板 8 磁気空隙 9 外部端子 10 サスペンションレバー 11 中心穴 11’ ボイスコイル接着部 12a 緯糸 12b 経糸 12c 交点 13 プレート 14 マグネット 15 ヨーク 16 フレーム 16a,16b 従来のフレーム 16e フレームの天部に設けた段部 17 中心磁極 18,18’ 磁気回路 21 ヒステリシス曲線 22 布地 23 ダンパー周縁部 24 コルゲーション部 25 ダストキャップ 32 透かし窓 34 従来の蝶形ダンパー 35 綿布 37 従来の蝶形ダンパーを装着した電磁型スピーカ 3b 熱可塑性エラストマーを編組したメッシュ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年11月6日(2001.11.
6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】符号の説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【符号の説明】 1,1’ スピーカ 2 ポリアミド繊維 3 メッシュ 3a 高剛性、高伸縮性のポリアミド繊維を編組したメ
ッシュ 4 ダンパー本体 4a 熱可塑性エラストマーを用いて射出成型したダン
パー 4b ポリエステルエラストマーを用いて射出成型した
ダンパー 4c ポリエーテルエステルエラストマーを用いて射出
成型したダンパー 4d 高剛性、高伸縮性の繊維からなるメッシュをイン
サートモールド成型した熱可塑性エラストマー製ダンパ
4e 熱可塑性エラストマーを用いて射出成型により本
体を成形し、(高剛性、高伸縮性の繊維)ポリアミド繊
維からなるメッシュをインサートモールド成型したダン
パー4f ポリエステルエラストマーを用いて射出成型によ
り本体を成形し、(高剛性、高伸縮性の繊維)ポリアミ
ド繊維からなるメッシュをインサートモールド成型した
ダンパー4g ポリエーテルエステルエラストマーを用いて射出
成型により本体4を成形し、ポリアミド繊維を編組して
構成したメッシュをインサートモールド成型したダンパ
ー 4s 従来のコルゲーションダンパー 5 ボイスコイル 5a 巻端 5b 導入線 6 ボイスコイルボビン 7 振動板 8 磁気空隙 9 外部端子 10 サスペンションレバー 11 中心穴 11’ ボイスコイル接着部 12a 緯糸 12b 経糸 12c 交点 13 プレート 14 マグネット 15 ヨーク 16 フレーム 16a,16b 従来のフレーム 16e フレームの天部に設けた段部 17 中心磁極 18,18’ 磁気回路 21 ヒステリシス曲線 22 布地 23 ダンパー周縁部 24 コルゲーション部 25 ダストキャップ 32 透かし窓 34 従来の蝶形ダンパー 35 綿布 37 従来の蝶形ダンパーを装着した電磁型スピーカ 3b 熱可塑性エラストマーを編組したメッシュ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04R 9/02 H04R 9/02 103Z // B29K 21:00 B29K 21:00 B29L 31:38 B29L 31:38 (72)発明者 溝根 信也 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 和田 誠吉 愛知県名古屋市港区星崎字北3804−19 東 レ・デュポン株式会社名古屋事業場内 (72)発明者 桑田 浄伸 愛知県名古屋市港区星崎字北3804−19 東 レ・デュポン株式会社名古屋事業場内 Fターム(参考) 3J048 AA06 AC01 AD05 BD04 BD05 EA13 3J059 BA22 BA63 BD03 GA21 4F206 AA24 AA45 AD05 AD16 AD17 AH03 AH39 JA07 JB12 JL02 5D012 BA08 CA07

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダンパー本体(4)を熱可塑性エラストマ
    ーを用いて射出成型により成形したダンパー。
  2. 【請求項2】 ダンパー本体(4)を熱可塑性エラストマ
    ーのポリエステルエラストマーを用いて射出成型により
    成形したダンパー。
  3. 【請求項3】 ダンパー本体(4)を熱可塑性エラストマ
    ーのポリエーテルエステルエラストマーを用いて射出成
    型により成形したダンパー。
  4. 【請求項4】 ダンパー本体(4)を熱可塑性エラストマ
    ーを射出成型により、中心部のボイスコイル接着部(1
    1')と、フレーム(16)に貼着する周辺部との間を弾性を
    もって橋絡するサスペンションレバー(10)と、透かし窓
    (32)を本体(4)に設けて成形して、該本体(4)を2枚重ね
    た中間に、メッシュ(3)を介在挟持してインサートモー
    ルド成形して成るダンパー。
  5. 【請求項5】 ダンパー本体(4)を熱可塑性エラストマ
    ーを射出成型により、中心部のボイスコイル接着部(1
    1')と、フレーム(16)に貼着する周辺部との間を弾性を
    もって橋絡するサスペンションレバー(10)と、透かし窓
    (32)を本体(4)に設けて成形して、該本体(4)を2枚重ね
    た中間に、剛性の高い、伸縮性に富むポリアミド繊維か
    らなるメッシュ(3a)を介在挟持してインサートモールド
    成形して成るダンパー。
  6. 【請求項6】 ダンパー本体(4)を熱可塑性エラストマ
    ーのポリエステルエラストマーを射出成型により、中心
    部のボイスコイル接着部(11')と、フレーム(16)に貼着
    する周辺部との間を弾性をもって橋絡するサスペンショ
    ンレバー(10)と、透かし窓(32)を本体(4)に設けて成形
    して、該本体(4)を2枚重ねた中間に、剛性の高い、伸
    縮性に富むポリアミド繊維からなるメッシュ(3a)を介在
    挟持してインサートモールド成形して成るダンパー。
  7. 【請求項7】 ダンパー本体(4)を熱可塑性エラストマ
    ーのポリエーテルエステルエラストマーを射出成型によ
    り、中心部のボイスコイル接着部(11')と、フレーム(1
    6)に貼着する周辺部との間を弾性をもって橋絡するサス
    ペンションレバー(10)と、透かし窓(32)を本体(4)に設
    けて成形して、該本体(4)を2枚重ねた中間に、剛性の
    高い、伸縮性に富むポリアミド繊維からなるメッシュ(3
    a)を介在挟持してインサートモールド成形して成るダン
    パー。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至請求項7に記載のダンパー
    のいずれかを装着したスピーカ。
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