JP3905344B2 - 自動車用ホイールの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用ホイールの製造方法に係り、詳しくは、そのディスクを軽量化し得る成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用ホイールは、リムの内周面に形成されたドロップ部に、ディスクのフランジ部を溶接して構成される、いわゆる2ピースタイプのものが主流となっている。この2ピースタイプの自動車用ホイールの製造方法における、ディスクの成形工程としては、略正方形の平板状材料を、その四角部を円弧状に切り落として形成する円弧状縁と、成形凹縁を生ずることとなる線状縁とが連成してなる周端縁を有する板状基材を用いる。この板状基材を、押し圧加工にて絞り加工することによりディスク形状を形成した後、ディスクフランジ部を形成することにより、所望のディスクを成形していることが一般的に知られている。
【0003】
このようなディスク成形工程では、絞り加工によって材料が延伸又は収縮することとなるから、形成されたディスクには比較的薄肉な部分と、厚肉な部分とが混在していた。なかでも、ディスクフランジ部にあっては、板状基材の線状縁から成形凹縁を生ずる部分の肉厚が、円弧状縁から一般周縁を生ずる部分の肉厚に比べ厚肉化することとなる。これは、ディスクフランジ部の、成形凹縁が形成される部分の領域が、一般周縁が形成される部分の領域に比べ、狭い領域であるために生じている。
【0004】
このようなディスクフランジ部は、リムとの嵌合面を形成する部分であるから、強度と剛性、及び嵌合領域が必要とされるものの、ディスクフランジ部に加わる負荷は、ディスクの他の部分に比べ小さいため、強度及び剛性は充分に確保されている。ここで、上記のように絞り加工によって厚肉化する成形凹縁が形成される部分では、必要以上の肉厚を有することとなっているため、無用な重量をディスクが有していることとなっていた。これに対し、成形凹縁を大きくすることで軽量化を図ると、この部分の嵌合高さが短くなるため、ディスクが座屈し易くなったり、リムとの組み立ての際に適正に嵌合されず、自動車用ホイールの性能が低下する原因となり得る等の問題が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、成形凹縁の部分における嵌合高さを確保しつつ、薄肉化による軽量化が従来より検討されてきた。例えば、特開平11−227401公報に開示されているように、このディスクの成形工程において、ディスクフランジ部をしごき加工することにより、ディスクフランジ部を薄肉化して、ディスクの軽量化を行う方法が提案されている。
【0006】
ところが、このようにディスクフランジ部をしごき加工することは、加工に要するエネルギーが多く、それに伴ってディスクフランジ部に蓄えられる加工歪みも大きくなる。そのため、ディスクフランジ部の損耗が進展し易く、比較的早期に自動車の走行安定が損なわれる場合が生じることも考えられる。また、このようなしごき加工を行う工程には、多くの時間を必要とすること、さらには、しごき加工に使用する冶具への負担が大きく、早いサイクルで冶具を交換する必要があること等、ディスク成形工程が複雑化することとなり得るため、ディスク成形工程を合理化することが難しく、製造費用を低減させることに限界が生じていた。
【0007】
本発明は、ディスクフランジ部の軽量化を実現できると共に、製造費用を低減でき得る自動車用ホイールの製造方法を提案することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するための本発明にかかる第一の手段としては、内周面にドロップ部が形成されたリムと、該リムのドロップ部に、円周方向に沿って間欠的に複数の成形凹縁が形成されたディスクフランジ部を内嵌してなるディスクとからなる自動車用ホイールの製造方法において、円弧状縁と、成形凹縁を生ずることとなる線状縁とが連成してなる周端縁を有する板状基材から、ディスクを成形加工するディスク成形工程として、ディスクフランジ部となる領域内で、線状縁の内側に、波方向が該線状縁と直交することとなる鋸歯状波部を形成する波部成形工程と、鋸歯状波部を延伸して、延伸した部分を他のディスクフランジ部となる領域に比べて薄肉とする延伸工程とを備えたことを特徴とする自動車用ホイールの製造方法である。
【0009】
かかる波部成形工程によって、板状基材のディスクフランジ部となる領域内で、線状縁の内側に、波方向が線状縁と直交するように鋸歯状波部を形成することにより、鋸歯状波部の長さは、見かけ上ほとんど変化しないが、実質的に鋸歯状波部の基材長は長くなる。これと共に、鋸歯状波部の肉厚も薄肉化される。その後、延伸工程によって、鋸歯状波部を延伸することにより、この部分の全長が長くなり、かつ、他のディスクフランジ部となる領域に比べて薄肉化された部分を生じる。而して、ディスク成形工程により、ディスクフランジ部の成形凹縁を生ずる部分で材料が収縮されても、他のディスクフランジ部と同程度、又は、薄い肉厚とすることができ得る。以上より、予め、この線状縁が外側に延伸することを考慮して、基材幅を短縮した板状基材を用いてディスクを成形加工することもできる。この場合でも、鋸歯状波部の形成により線状縁が外側に伸びることにより、成形凹縁における嵌合高さが充分確保されることとなるから、リムとディスクとを適切に嵌合することができ得る。そして、基材幅の短縮分だけ投入材料の使用量を少なくできるから、材料費を低減することができると共に、軽量化に寄与できるという優れた利点がある。
【0010】
また、このようなディスク成形工程にあっては、ディスクと車軸とを固定するハブ取り付け面の肉厚を均一なものとできるように、押し圧加工を行う絞り加工工程を複数回に分けて実行している場合がある。板状基材を受け皿形状に成形する第一絞り加工工程、その後、ディスク形状を成形する第二絞り加工工程、その後、ディスク形状を整え、ハブ孔を開口する工程、ディスクフランジ部を形成する工程等、複数の成形工程が行われることが一般的に知られている。ここで、第一絞り加工工程で波部成形工程を行うことが提案される。また、第二絞り加工工程で延伸工程を行うことも提案される。これにより、波部成形工程及び/又は延伸工程を新たに設ける必要がないから、従来からの成形工程内で鋸歯状波部の形成と、その延伸とが実行されるので、ディスク成形工程が繁雑化することもない。
【0011】
このような波部成形工程では、鋸歯状パンチを用いて鋸歯状波部を成形することが提案される。鋸歯状パンチを使用することにより、押し圧加工に要する加圧力が比較的小さくてすむから、鋸歯状波部をほぼ均一な肉厚に成形することが、容易に行い得る。また、延伸工程にあっても、例えば、平面状パンチを用いて鋸歯状波部を押し圧成形するようにして、延伸加工を容易に行うようにしても良い。これにより、鋸歯状波部の形成と、延伸とが容易かつ迅速に行い得ると共に、ディスク個体間の差をほぼなくすことができるため、安定してディスクを成形することができ得るという優れた利点が生じる。
【0012】
一方、本発明にかかる第二の手段としては、内周面にドロップ部が形成されたリムと、該リムのドロップ部に、円周方向に沿って間欠的に複数の成形凹縁が形成されたディスクフランジ部を内嵌してなるディスクとからなる自動車用ホイールの製造方法において、円弧状縁と、成形凹縁を生ずることとなる線状縁とが連成してなる周端縁を有する板状基材から、ディスクを成形加工するディスク成形工程であって、板状基材を、開口屈曲縁を有する受け皿形状に成形する絞り加工工程に際して、開口屈曲縁の、線状縁に対向する部位を、他の部位に比して相対的に小さい屈曲率となるようにしたことを特徴とする自動車用ホイールの製造方法である。
【0013】
かかる手段にあっては、板状基材を受け皿形状に成形する絞り加工工程に際して、その受け皿形状が有する開口屈曲縁の、線状縁に対向する部位を、他の部位に比して相対的に小さい屈曲率となるように形成するものであるから、線状縁に対向する開口屈曲縁の部位の、絞り加工による変形量を、他の部位に比べて小さくできるため、線状縁が板状基材の中心に向かって引張られる変動量を比較的小さくでき得る。このため、線状縁により生ずる成形凹縁の凹部深さが大きくなることを防ぎ得るから、結果として、ディスクフランジ部の嵌合高さが長くなり、リムとディスクとが適切に嵌合することができ得る。ここで、線状縁が内側に引張られる変動量を小さくできることを考慮して、予め、基材幅を短縮した板状基材を用いて成形することもできる。この場合でも、成形凹縁における嵌合高さを必要分確保でき得るから、リムとディスクとが適切に嵌合される。これに伴って、基材幅の短縮分だけ材料の使用量を少なくできるから、材料費を低減できると共に、ディスクの軽量化に寄与できる。
【0014】
また、開口屈曲縁の、線状縁に対向する部位の屈曲率を、他の部位の屈曲率に対し40%〜90%とすることが提案される。かかる範囲においては、適正にディスクフランジ部に成形凹縁を形成できると共に、板状基材の基材幅を短縮してディスクを成形する場合にあっても、成形凹縁における嵌合高さが必要分確保でき得る。
【0015】
このような本発明にかかる自動車用ホイールの製造方法において、ディスク成形工程として、波成形工程と延伸工程とからなる絞り加工工程と、上記の開口屈曲縁の、線状縁に対向する部位の屈曲率を、他の部位の屈曲率に対し小さくする絞り加工工程とを併用することもできる。これにより、ディスクフランジ部の成形凹縁が形成された部位にあって、適正な嵌合高さを確保できると共に、その肉厚を効率的に薄肉化することができる。而して、基材幅を短くした板状基材で成形でき、この場合でも必要な嵌合高さを確保できる。これに伴い、材料使用量を少なくできるため、製造コストを低減でき得る。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を添付図面に従って説明する。
図1は自動車用スチールホイールAの縦断面図である。この自動車用スチールホイールAは、リム1と、ハブ孔3をその中央に具備するディスク5とからなる。かかる自動車用スチールホイールAは、リム1のドロップ部2の内周面に、ディスク5のディスクフランジ部11を内嵌させて、一体化される。さらに嵌合されたリム1とディスク5は、隅肉溶接又はスポット溶接により接合することにより一体化される。なお、隅肉溶接には、アーク溶接、レーザー溶接等の公知技術を用いることができる。
【0017】
図2は、自動車用スチールホイールAのディスク5の斜視図である。このディスク5は、中心にハブ孔3を有し、その半径方向外側に位置し周方向に互いに均等間隔で五個のボルト孔6が形成されている。さらに、ボルト孔6の半径方向外側から、外方向に向かって隆起する形状となる隆起部8が形成され、この隆起部8の外側に周方向に複数個の飾り孔9が備えられている。この隆起部8及び飾り孔9は、意匠性の向上、剛性の向上、軽量化、放熱性の向上等の役割を果たしている。なお、この隆起部8及び飾り孔9は、ホイールの種類により配設されないものもあり得る。
【0018】
さらに、この飾り孔9の外側には、ディスク5の軸方向と略平行となるディスクフランジ部11が形成されている。このディスクフランジ部11には、凹形状の円弧状に形成される成形凹縁14と、線形状に形成される一般周縁15とが夫々四カ所づつ設けられ、互いに円周方向で均等間隔となるように間欠的に配設されてなる周端縁13を形成している。
【0019】
このような自動車用スチールホイールAの材料としては、鉄を主成分とする鋼材料にNi、Cr、Si、Mn、Ti等の合金元素を添加してなる合金鋼を好適に用いることができる。
【0020】
そして、本発明にかかる自動車用スチールホイールAは、リム1とディスク5とをそれぞれ別々に成形した後、リム1のドロップ部2にディスク5のディスクフランジ部11を上述の隅肉溶接又はアーク溶接により嵌合されることによって製造されるものである。
【0021】
次に本発明の要部にかかるディスク5の成形工程について、図3〜図10に従って説明する。
ディスク5は、板状基材Bを加工することにより成形される。図3のように、所定の略正方形状とした平板の合金鋼の四つの角部18を、夫々同じ形状となるように、板状基材Bの外側方向に凸形状となる円弧状に打抜き加工を行う。この板状基材Bには、四つの円弧状縁17と、線状縁16とが互いに連成された外周縁が形成される。
【0022】
こうして得られた板状基材Bを、押し圧加工によって絞り加工を行い、ディスク5のハブ取り付け部10の形状を成形し、その後リストライク工程により、ディスクフランジ部をディスク5の軸方向となるように成形する。そして、飾り孔9等を形成して、所望のディスク5を得る。ここで、絞り加工は三回の工程に分けて実行される。
【0023】
第一の絞り加工工程について詳細に説明する。
この第一絞り加工工程では、図4のように、上面が平面である環状の絞りダイス30と、円筒状の絞りパンチ31とによって、板状基材Bを押し圧加工することにより、受け皿部20と環状受け部21とからなる受け皿状品Cを成形する(図5、図6参照)。
図4(a)のように、絞りダイス30の上に板状基材Bを置く。この時、板状基材Bの線状縁の内側の、ディスクフランジ部となる領域が、絞りダイス30に設けられた四個の鋸歯状ダイス部34に対向するように、板状基材Bを配置する。ここで鋸歯状ダイス部34は、絞りダイス30の中心から、板状基材Bの基材幅の1/2長よりも若干短い距離にあり、かつ、絞りダイス30の環周をほぼ四等分する位置に設けられている。そして、板状基材Bの上部側から、環状の皺押さえブロック32を押し当て、絞りダイス30と共に板状基材Bを挟圧する。この皺押さえブロック32には、絞りダイス30の鋸歯状ダイス部34に対向する位置に、先端が鋸歯状である鋸歯状パンチ33が配設されており、この鋸歯状パンチ33が、板状基材Bに押し圧されると、鋸歯状波部19が形成されることとなる。
【0024】
そして、図4(b)のように、負荷ブロック36を下降して、絞りパンチ31を板状基材Bに押し圧することにより、板状基材Bを受け皿形状に成形加工していく。ここで、絞りダイス30は、その内環縁が縦断面方向で円弧形状である内環円弧縁35を有しており、この内環円弧縁35に沿って板状基材Bが押し圧加工されると、開口屈曲縁22が形成されることとなる。この内環円弧縁35の、鋸歯状ダイス部34に対向する部位は、他の部位に比して相対的に曲率が小さい円弧により形成されている。この鋸歯状ダイス部34に対向する内環円弧縁35の部位は、曲率が約1/60であり、その他の部位の曲率は約1/35としている。
【0025】
その後、図4(c)のように、負荷ブロック36に配設した波部形成ブロック37により、鋸歯状パンチ33が押し圧されて、板状基材Bのディスクフランジ部11となる領域内で、線状縁の内側に、波方向が該線状縁と直交することとなる鋸歯状波部19が形成される(図5参照)。同時に絞りパンチ31が押し圧加工の下死点に達する。この鋸歯状波部19では、その基材長が実質的に長くなると共に、肉厚が薄肉化される。さらに、絞りダイス30の内環円弧縁35に従って形成された、開口屈曲縁22は、屈曲率約1/60に形成された線状縁16に対向する部位と、約1/35の屈曲率で形成された部位とにより連成される。このように、板状基材Bが絞り加工されることにより、線状縁16が内側に引張られて成形凹縁14aが形成される。ここで、開口屈曲縁22の、成形凹縁14aに対向する部位における変形量が、その他の部位における変形量に比べると小さいことから、成形凹縁14aの凹部が深くなることを抑制している。
【0026】
また、第一絞り加工工程では、次からの工程での材料の位置基準とするハブ基孔23が開けられる。絞り加工での板状基材Bを変形を支持する座面ブロック38の中央に、孔開けパンチ39が設けられ、第一絞り加工工程終了前に孔開けブロック41により、孔開けパンチ39を上昇させて、板状ブロックに四角形のハブ基孔23が形成される。ここで、絞りパンチ31には、中央に四角形の穴が開けられ、孔開けパンチ39のダイスとなる孔開けダイス40が形成されている。
【0027】
次に第二絞り加工工程について詳細に説明する。
第二絞り加工工程では、第一絞り加工工程で形成した受け皿状品Cを押し圧加工により、図7及び図8のようなディスク状品Dを成形する。
図9(a)のように、下ディスク型42にもうけられたディスクジョイント凸部43に受け皿状品Cのハブ基孔23を配置する。その後、環上ディスク型44を、その中央に設けられたディスクジョイント凹部47に挿入されるディスクジョイント凸部43をガイドとして、受け皿基材Cを押し圧成形する。そして、図9(b)のように所望の形状のディスク状品Dを形成する。これに伴って、上ディスク型44に平面上に突設した上延伸圧部45と、下ディスク型42に平面状に突設した下延伸圧部46とにより、鋸歯状波部19を挟圧して延伸する。而して、成形凹縁14aが外側に延びることとなる。
【0028】
また、この第二絞り加工工程により、第一絞り加工工程で形成された、屈曲率が部分的に異なる開口屈曲縁22は、周方向に同じ形状に加工される。この時、屈曲率が小さい部位は、屈曲率が大きい部位に比して変形量が大きくなるため、この成形凹縁14aが形成された、ディスクフランジ部11となる領域は、薄肉化されることとなる。これにより、この後のリストライク工程にてディスクフランジ部11が形成される際に、成形凹縁14が生じる領域が厚肉化されても、周辺領域とほぼ同等な肉厚とできる。
【0029】
このように、第一絞り加工工程で、線状縁16に対向する開口屈曲縁22の屈曲率を、その他の部位より小さくしたから、板状基材Bの線状縁16が中心に向かって変形する変形量を抑制することができる。さらに第二絞り加工工程により、第一絞り加工工程で形成した鋸歯状波部19を延伸することによって、成形凹部14が外側に延びることとなる。而して、基材幅を短縮した板状基材Bで成形した場合でも、ディスクフランジ部11の嵌合高さは必要量確保でき得る。
【0030】
このように第二絞り加工工程で成形したディスク状品Dは、第三絞り工程(図示せず)でディスク5の寸法精度を整えると共に、ハブ孔3及びボルト孔6の孔開け加工を行う。その後、リストライク工程(図示せず)により、ディスクフランジ部11をディスク5の軸方向とほぼ平行となるように曲げ加工を行い、リム1のドロップ部12に内嵌でき、所定の嵌合長を有するディスクフランジ部11形状とする。この時、成形凹縁14が形成された部分が厚肉化されることとなるが、上記の第一絞り加工工程及び第二絞り加工工程により薄肉化されているから、ディスクフランジ部11の、その他の部位と比べても同程度の肉厚となる。また、このリストライク工程では、ハブ孔3のハブ孔フランジ部4を形成する。そして、飾り孔9の形成工程を実行して、ディスク5の成形工程が終了する。
【0031】
このように本発明にあっては、ディスクフランジ部11の成形凹縁14を適正に形成できると共に、成形凹縁14が形成された部位の肉厚が厚肉化されることを防ぎ得る。また、基材幅を短縮した板状基材Bを用いてディスク5を成形することができ、これに伴い投入材料の使用量の低減化と、軽量化を実現でき、さらにはディスクフランジ部の嵌合高さを確保できて、自動車の走行安定性を保全できる。また、本発明の製造方法では、新たに新規な加工工程を設けることなく、ディスク5が形成できるという優れた利点も生じる。
【0032】
【発明の効果】
本発明の自動車用ホイールの製造方法として、ディスク成形工程で、波部成形工程によって、板状基材のディスクフランジ部となる領域内で、線状縁の内側に、波方向が線状縁と直交するように鋸歯状波部を形成し、延伸工程によって、鋸歯状波部を延伸するようにしたから、鋸歯状波部が形成された部分の全長が長くなり、かつ、他のディスクフランジ部となる領域に比べて薄肉化される。このため、予め、基材幅を短縮した板状基材を用いてディスクを成形することができ、この場合であっても、成形凹縁における嵌合高さを充分確保できるから、リムとディスクとを適切に嵌合することができる。そして、投入材料を少なくできるから、材料費を抑え、製造コストを低減することが可能となる。同時に基材幅の短縮分だけ軽量化に寄与できる。
【0033】
ディスク成形工程において、板状基材を受け皿形状に成形する第一絞り加工工程で波部成形工程を行うようにした。また、ディスク形状を成形する第二絞り加工工程で延伸工程を行うようにした。これにより、波部成形工程及び/又は延伸工程を新たに設ける必要がないから、従来からの成形工程内で鋸歯状波部の形成及び延伸とが実行できるので、ディスク成形工程が繁雑化することもないという利点がある。
【0034】
また、波部成形工程で、鋸歯状パンチを用いて鋸歯状波部を成形するようにしたから、押し圧加工に要する加圧力が比較的小さくてすむので、容易に鋸歯状波部を成形するできる。これにより、鋸歯状波部の形成が容易かつ迅速に行い得ると共に、安定してディスクを成形することができ得る。
【0035】
本発明の自動車用ホイールの製造方法として、ディスク成形工程で、板状基材を受け皿形状に成形する絞り加工工程に際して、その受け皿形状が有する開口屈曲縁の、線状縁に対向する部位を、他の部位に比して相対的に小さい屈曲率に形成するようにしたから、線状縁に対向する開口屈曲縁の部位における、絞り加工により生じる変形量を小さくできるため、線状縁に生ずる成形凹縁の凹部が深くなることを防ぎ得るから、ディスクフランジ部の嵌合高さを充分確保でき、リムとディスクとの嵌合が安定する。これにより、予め、基材幅を短縮した板状基材を用いてディスクを成形することができる。この場合でも、成形凹縁における嵌合高さを必要分確保でき得るから、リムとディスクとが適切に嵌合できる。そして、基材幅の短縮分だけ投入材料を少なくできるから、材料費を抑え、製造コストを低減でき得る。さらにディスクの軽量化に寄与できる。
【0036】
また、開口屈曲縁の、線状縁に対向する部位の屈曲率を、他の部位の屈曲率に対し40%〜90%とすることにより、適正にディスクフランジ部に成形凹縁を形成できるから、予め、基材幅の短い板状基材を用いても、成形凹縁における嵌合高さが必要分確保でき得る。
【0037】
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車用スチールホイールAの縦断面図である。
【図2】ディスク5の斜視図である。
【図3】板状基材Bの平面図である。
【図4】第一絞り加工工程を示す工程図である。
【図5】受け皿状品Cの平面図である。
【図6】受け皿状品Cの縦断面図である。
【図7】ディスク状品Dの平面図である。
【図8】ディスク状品Dの縦断面図である。
【図9】第二絞り加工工程を示す工程図である。
【図10】波部成形工程と延伸工程における鋸歯状波部の変成図である。
【符号の説明】
A 自動車用スチールホイール
B 板状基材
1 リム
2 ドロップ部
5 ディスク
11 ディスクフランジ部
14 成形凹縁
16 線状縁
17 円弧状縁
19 鋸歯状波部
22 開口屈曲縁
Claims (6)
- 内周面にドロップ部が形成されたリムと、
該リムのドロップ部に、円周方向に沿って間欠的に複数の成形凹縁が形成されたディスクフランジ部を内嵌してなるディスクとからなる自動車用ホイールの製造方法において、
円弧状縁と、成形凹縁を生ずることとなる線状縁とが連成してなる周端縁を有する板状基材から、ディスクを成形加工するディスク成形工程として、
ディスクフランジ部となる領域内で、線状縁の内側に、波方向が該線状縁と直交することとなる鋸歯状波部を形成する波部成形工程と、
鋸歯状波部を延伸して、延伸した部分を他のディスクフランジ部となる領域に比べて薄肉とする延伸工程とを備えたことを特徴とする自動車用ホイールの製造方法。 - 板状基材を押し圧加工して、開口屈曲縁を有する受け皿形状に成形する第一絞り加工工程と、その後、再度押し圧加工することにより、ディスク形状を成形する第二絞り加工工程とを備えたディスク成形工程にあって、
波部成形工程が第一絞り加工工程で実行されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動車用ホイールの製造方法。 - 延伸工程が第二絞り加工工程で実行されるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の自動車用ホイールの製造方法。
- 波部成形工程において、鋸歯状パンチを押し圧加工することで、鋸歯状波部を形成するようにした請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の自動車用ホイールの製造方法。
- 内周面にドロップ部が形成されたリムと、
該リムのドロップ部に、円周方向に沿って間欠的に複数の成形凹縁が形成されたディスクフランジ部を内嵌してなるディスクとからなる自動車用ホイールの製造方法において、
円弧状縁と、成形凹縁を生ずることとなる線状縁とが連成してなる周端縁を有する板状基材から、ディスクを成形加工するディスク成形工程であって、
板状基材を、開口屈曲縁を有する受け皿形状に成形する絞り加工工程に際して、開口屈曲縁の、線状縁に対向する部位を、他の部位に比して相対的に小さい屈曲率となるようにしたことを特徴とする自動車用ホイールの製造方法。 - 開口屈曲縁の、線状縁に対向する部位の屈曲率が、他の部位の屈曲率に対し40%〜90%である請求項5に記載の自動車用ホイールの製造方法。
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