JP3903555B2 - エンボス化粧シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンボスの施された化粧シートおよびその製造方法に関し、木質系ボード類、無機系ボード類、金属板等の表面に接着剤で貼り合わせて化粧板として用いる化粧シートおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、前記の用途に用いられる化粧シートとしては塩化ビニル樹脂を積層したシートが最も一般的であった。しかし、塩化ビニル樹脂は焼却時の塩化水素ガス発生や酸性雨、ダイオキシン発生の要因となるとも言われており、近年、環境問題の観点から塩化ビニル樹脂シートを使用しない化粧シートが要求されつつある。しかしながら塩化ビニル樹脂以外の樹脂シートでは塩化ビニル樹脂シートの持つ適度な柔軟性、耐摩耗性、耐薬品性、耐汚染性、耐候性等のバランスのとれた性質を満足するものはなかった。
【0003】
また、製造法から、従来の塩化ビニル樹脂化粧シートでは熱圧によりエンボス付与を機械的に行うために付与されたエンボスがエンボス版の70%程度しか再現しておらず、そのエンボスも100℃程度の雰囲気に長時間放置すると消失してしまう欠点があった。
【0004】
そこで、発明者等は先に塩化ビニル樹脂を用いずにエンボス再現性に優れた化粧シートの製造方法として、熱可塑性樹脂をエンボスの施された冷却ロールとゴムロールの間に着色基材を介して押出し、エンボス加工、貼り合わせ、冷却固化を同時に行う方法を提案した。
【0005】
しかし、この方法では、熱可塑性樹脂と着色基材との密着強度、耐久性を満足するために、共押出しした接着性樹脂を介して熱可塑性樹脂と着色基材との密着強度を向上させる方法、さらに該接着性樹脂の接着面にオゾン処理等の表面処理を施したり、着色基材シートの接着面にアンカーコート剤を塗工する等の方法によって熱可塑性樹脂と着色基材との密着強度を向上させる必要があった。従って、工程上コスト高の要因になっていた。
【0006】
また、前記熱可塑性樹脂としてオレフィン樹脂を使用していたが、密着強度を満足するためにある程度の厚さが必要であり、さらに耐久性を満足するために表面層にトップコートを施す必要があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、塩化ビニル樹脂以外の材料を用いて、後加工性に適した適度な柔軟性を有し、エンボス再現性に優れ、なおかつ耐傷性、切削性を有する化粧シートおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は下記の手段によって解決できる。
請求項1記載の発明は、
熱可塑性樹脂をエンボスの施された冷却ロールとゴムロールの間に押出し、エンボス加工を施したエンボスシートと隠蔽性のある着色基材シートとの何れかのシートの貼り合わせる面に任意の印刷模様を施し、貼り合わせたエンボス化粧シートにおいて、前記エンボスシートがテレフタル酸とエチレングリコールと1,4−シクロへキサンジメタノールとを共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートを主成分とする熱可塑性樹脂からなり、かつ前記着色シートがテレフタル酸とエチレングリコールを重合したポリエチレンテレフタレートを主成分とする熱可塑性樹脂からなることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1に本発明に係わるエンボス化粧シートの断面図の一例を示す。
図2に本発明に係わるエンボス化粧シートの製造工程の一例を示す。
先ず、図1に基づいて、本発明のエンボス化粧シートの構成の一例を示す。
ポリエチレンテレフタレートを主成分とする熱可塑性樹脂をエンボスの施された冷却ロールとゴムロールの間に押出し、エンボス加工を施した透明樹脂層(3)と隠蔽性のあるポリエチレンテレフタレートを主成分とする熱可塑性樹脂からなる着色基材シート(1)との何れかのシートの貼り合わせる面に任意の印刷模様(2)を施し、貼り合わせた後、エンボス凹部(4)に導管インキ(5)を埋め込み、その最外表面にトップコート保護層(6)を設けた構成からなるエンボス化粧シートである。
【0011】
次に、図2に基づいて、本発明のエンボス化粧シートの製造工程の一例を示す。
エンボスの施された冷却ロール(7)と加圧ロール(8)との間に、Tダイ(11)より溶融した熱可塑性樹脂(3)を押出してエンボス付与、冷却固化を同時に行う。エンボスの施されたシートはエンボスロールの外周に沿って移動し剥離ロール(10)によって剥離される。その後、エンボス付与されていない面にコロナ処理機(12)にて表面処理を施し、意匠性を付与するために印刷工程(13)にてエンボスシートの貼り合わせ面に任意の印刷模様を施した後、加圧ロール(14)、(15)によって着色基材シート(1)と貼り合わせて化粧シートを得る。また、化粧シートにより一層の意匠性を付与するための任意の印刷模様を予め着色基材シート(1)に施しても良い。その後、エンボス凹部に充填インキを埋め込み、その最外表面にトップコート保護層を設ける。
【0012】
エンボスロール(7)、加圧ロール(8)、剥離ロール(10)はいずれも内部に冷却機構を備え、溶融した樹脂の温度を下げて固化させる効果を持つ。通常はエンボスロールを金属製、加圧ロール、剥離ロールは表面をゴムとする。また、加圧ロールについては、内部に冷却機構を備えた金属製のバックアップロール(9)を付け、加圧、冷却を補助するものが一般的である。
【0013】
本発明で使用されるエンボスシートの樹脂としては、Tダイによる押出加工のできる熱可塑性樹脂ならば特に限定されるものではないが、化粧シートに求められる耐久性、耐傷性、耐熱性、耐薬品性、折り曲げ加工性等を考慮すると、ポリエチレンテレフタレート、特にテレフタル酸とエチレングリコールの他に例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール等を共重合したいわゆる共重合ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
また、本発明で使用される着色基材シートとの樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムが使用される。
【0014】
また、上記エンボスシートと着色基材シートの貼り合わせ強度をより高いものとするため、着色基材シートの貼り合わせ面にアンカーコート剤を塗工してもよい。
【0015】
エンボスシートの貼り合わせ面に施すコロナ放電処理も通常のコロナ放電処理機でよく、何ら限定されるものではない。
【0016】
エンボスシートあるいは着色基材シートの貼り合わせ面のいずれかに施す任意の印刷模様も通常のグラビア法でよく、何ら限定されるものではない。
【0017】
最終的に前記化粧シートのエンボス部に導管インキを埋め込み、さらにトップコート層を設ける。なお、このワイピング処理、トップコート処理は従来のの塩化ビニル樹脂の処理方法を使用できる。
【0018】
【実施例】
<実施例1>
テレフタル酸とエチレングリコールと1,4シクロヘキサンジメタノールとを共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートを、エンボスの施された冷却ロールと加圧ロールとの間にTダイより押出し、厚さ30μmの透明エンボスシートを得た。このシートのエンボスが施されていない面にコロナ処理を施し、グラビア法によりウレタン系のインキを用いて木目模様を施した。
【0019】
これとは別にテレフタル酸とエチレングリコールを重合したポリエチレンテレフタレートに無機顔料を6重量%添加して隠蔽性を付与した厚さ25μmの着色基材シートにグラビア法によりウレタン系のアンカーコート剤を1μm塗工、乾燥し、上記透明エンボスシートと貼り合わせた。
【0020】
このエンボスシートのエンボス面にワイピングインキを埋め込み、さらに表面物性、艶調整のためウレタン系トップコートを施した。
【0021】
<比較例1>
基材シートとしてランダム重合ポリプロピレンに低密度ポリエチレンを15重量%、無機顔料を6重量%添加した厚さ70μmの着色シートを準備し、その表面にコロナ処理を施した後、グラビア法によりウレタン系のインキを用いて木目模様を施した。該印刷シート上にグラビア法によりウレタン系のアンカーコート剤を約1μm塗工、乾燥した後、上記基材シートの無機顔料を除いた他は同じ樹脂組成の透明樹脂とポリオレフィン系の接着性樹脂を接着性樹脂が基材シート側に来るように、さらに上記接着性樹脂面にオゾン処理装置によりオゾンガスを吹き付け、エンボスの施された冷却ロールと加圧ロールとの間に前記基材シートを介して厚さ70μmとなるように共押出し、エンボス付与とラミネートを同時に行い、実施例1と同様にワイピングインキを埋め込み、トップコートを施した。
【0022】
<比較例2>
着色された厚さ70μmの塩化ビニル樹脂シート上にグラビア法により塩酢ビ系のインキを用いて模様を印刷したシートと厚さ70μmの透明の塩化ビニルシートをダブリングエンボス法によりエンボス付与と同時に熱によりラミネートし、実施例1と同様にワイピングインキを埋め込み、トップコートを施した。
【0023】
このようにして得られた化粧シートに施されたエンボスの深さを表面粗さ計により測定しエンボス版の深さに対して何%入っているかを評価した。また、着色基材シートと透明エンボスシートとの貼り合わせ強度を180度T型剥離に供して評価した。
また、化粧シートを木質ボードに貼り、2kgf の負荷を施して、コインで引っ掻いたときの傷の有無及びボードを切断したときの切断面の有無を評価した。
結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
表1からも明らかなように、本発明のようにして得られたシートは脱塩化ビニル化粧シートであることは言うまでもなく、施されたエンボスの再現性もよく、耐久性に優れたものであった(実施例1)。
【0026】
これに対して、比較例1で得られたシートは工程が多くコスト的に不利である。また、比較例2で得られたシートはエンボス再現性に難点がある。
【0027】
【発明の効果】
塩化ビニル樹脂以外の材料を用いて、環境問題の心配もなく、後加工性に適した適度な柔軟性を有し、エンボス再現性に優れ、なおかつ耐傷性、切削性を有する化粧シートおよびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるエンボス化粧シートの一例を示す断面図である。
【図2】本発明に係わるエンボス化粧シートの製造工程の一例を示す慨略図である。
【符号の説明】
1 着色基材シート
2 任意の印刷模様
3 透明樹脂層
4 エンボス凹部
5 導管インキ
6 トップコート層
7 エンボスロール
8 加圧ロール
9 バックアップロール
10 剥離ロール
11 Tダイ(押出機)
12 コロナ放電処理機
13 印刷工程
14 加圧ロール
15 加圧ロール
Claims (1)
- 熱可塑性樹脂をエンボスの施された冷却ロールとゴムロールの間に押出し、エンボス加工を施したエンボスシートと隠蔽性のある着色基材シートとの何れかのシートの貼り合わせる面に任意の印刷模様を施し、貼り合わせたエンボス化粧シートにおいて、前記エンボスシートがテレフタル酸とエチレングリコールと1,4−シクロへキサンジメタノールとを共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートを主成分とする熱可塑性樹脂からなり、かつ前記着色シートがテレフタル酸とエチレングリコールを重合したポリエチレンテレフタレートを主成分とする熱可塑性樹脂からなることを特徴とするエンボス化粧シート。
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JP32674997A JP3903555B2 (ja) | 1997-11-27 | 1997-11-27 | エンボス化粧シートおよびその製造方法 |
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