JP3903304B2 - 空洞部付分別回収用キャップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は打栓式注出口として形成された合成樹脂製の分別回収用キャップに係り、使用後に容器からキャップを切り離し、容器とキャップを分別して廃棄できるようにした空洞部付分別回収用キャップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
打栓式注出口とは、容器の口部に打栓にて強固に固着された合成樹脂製の注出口を言い、この注出口に開閉自在に設けた蓋体で容器の開閉を行なう。
【0003】
この種の打栓式注出口は、合成樹脂材で形成されているので、ガラス容器やペットボトルと分別回収するには、容器の口部に強固に固定された打栓式注出口を口部から取り外す必要がある。
【0004】
そこで、このような分別回収を目的に開発された分別回収可能なキャップとして、実開平5-34151 号公報に記載されたキャップがある。このキャップは、容器に嵌合する打栓式注出口にヒンジを設け、このヒンジの上部連結部分に弱化線を形成すると共に、ヒンジの側面に沿って注出口側面の上端部から下端部にいたる弱化ラインを形成したものである。
【0005】
また、同様の出願として、特開平8- 34462号公報に記載された分別回収可能なキャップが提案されている。この出願は、前者の弱化ラインを形成したキヤップを更に改良したものである。すなわち、打栓式注出口を容器口部に打栓する際に弱化ラインが破断するおそれを解消するため、弱化ラインを設ける部分を外側から覆って二重構造に形成している。そして、ヒンジの下端部から弱化ラインを切り離すようにすることで、ヒンジがちぎれることなく打栓式注出口を切り離せるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の分別回収用キャップは、容器口部からキャップを取り外しできるように開発されているが、キャップの取り外し作業をいかに簡単にできるかが、更に重要な課題として残されている。
【0007】
打栓時の注出口が弱化ラインから損傷するおそれは、その後の研究により、注出口の厚みや強度を調整することで解消できることが明らかになっている。その一方で、注出口の一部を弱化ラインから切り離した後でも、容器の口部から注出口を取り外す作業が、未だに手間取ることが分ってきた。
【0008】
すなわち、前述した従来の技術では、いずれもヒンジに沿って打栓式注出口の側面を切り離すものである。前者はヒンジの上端部から切り離し、後者はヒンジの下端部方向から切り離すという違いはあっても、打栓式注出口は、このヒンジの幅に沿って切り離されることに違いはない。すると、打栓式注出口の一部側面は確かに切り離されることになるが、切り離し部分がヒンジの幅と同程度になっているので、容器口部に残った打栓式注出口を取り外す作業は未だに難しい作業になっている。特に、非力な高齢者や女性等にとって、僅かに切り離された部分を手掛かりとして打栓式注出口を更に広げて取り外す作業は困難であり、何等かの道具を使用しなければ注出口を取り外すことができない場合も少なくない。
【0009】
しかも、打栓時の注出口が弱化ラインから損傷するおそれを解消するために、注出口の厚みを増したり、切り離し部分の強度を高めるほど、注出口を取り外す作業が一段と困難になる。
【0010】
一方、打栓式注出口として必要不可欠な条件は、内容物が漏れないように装着することにある。しかしながら、内容物が漏れないように強固に装着すればするほど外れ難くなるので、使用後に容器からキャップを切り離す分別回収用キャップにおいては、相反する条件を兼ね備えた構成が必要になる。
【0011】
そこで、本発明は分別回収用のキャップにおいて、取り外し作業を容易に行えるように創出されたもので、内容物が漏れないように装着することができると共に、使用後は、注出口を極めて容易に取り外すことができる空洞部付分別回収用キャップの提供を目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解消するため本発明の第1の手段は、容器Pの口部P1外側に打栓される打栓式の注出口1と、この注出口1を施蓋する蓋体2と、これら蓋体2と注出口1とを揺動自在に連結するヒンジ3とを一体に設けた分別回収用キャップにおいて、注出口1の外側面に連結したヒンジ3の付け根部両端から注出口1の下端部近傍に至る左右一対の縦弱化ライン4を設け、注出口1のヒンジ3付け根部から縦弱化ライン4の相互間に沿って開口する空洞部6を注出口1の側壁内部に形成し、縦弱化ライン4の両外側に、ヒンジ3の幅よりも幅広に開口する一対の弱化開口ライン7を注出口1の側面下端部から容器Pの口部P1上端近傍まで形成し、該弱化開口ライン7相互の上端部から注出口1の左右両側壁を略水平に切り離す一対の横縦弱化ライン5を設け、蓋体2をヒンジ3より下方に引き下げることで縦弱化ライン4が切り離され、蓋体2を縦弱化ライン4下端部から上方に引上げることで弱化開口ライン7から横弱化ライン5が順次切り離されるように形成したことにある。
【0013】
第2の手段は、一対の横弱化ライン5を、ヒンジ3を中心とする左右対称の位置で、注出口1の中心から120°の角度を成す位置を両端とし、該両端から更に注出口1の直径位置方向に向けて夫々45°の範囲に形成したものである。
【0014】
第3の手段において、縦弱化ライン4及び弱化開口ライン7を、注出口1側壁の外面がわに設けたことを課題解消のための手段とする。
【0015】
本発明によると、空洞部6により、縦弱化ライン4の切り離し操作が容易になる。続いて弱化開口ライン7から横弱化ライン5を順次切り離すことで、注出口1は、注出口1の直径位置に至る部分まで大きく切り離され、口部P1の中に挿入された注出口1のインナー部分を直接持ち上げることになり、注出口1が口部P1から簡単に外れるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
本発明キャップは、容器Pの口部P1外側に打栓される打栓式の注出口1と、この注出口1を施蓋する蓋体2と、これら蓋体2と注出口1とを揺動自在に連結するヒンジ3とを一体に設けた合成樹脂製のキャップである(図1参照)。
【0018】
注出口1は、容器Pの口部P1上端部に打栓することで被着されている(図2参照)。更に、注出口1の側面に揺動自在なヒンジ3を一体に設け、該ヒンジ3に連結した蓋体2で注出口1を施蓋する。
【0019】
蓋体2は、ヒンジ3によって注出口1の側面に揺動自在に連結されている。このとき、注出口1の開口部に周設した係止リング9に係合する係止部や、注口8の内部に嵌合する嵌合突起(図示せず)を蓋体2の下面に突設して施蓋時に注口8を密封する。
【0020】
ヒンジ3は、注出口1側面の口部P1近傍と、蓋体2側面の下端部とに一体に連結している。そして、このヒンジ3の付け根部両端から注出口1の下端部近傍に至る左右一対の縦弱化ライン4を設けている。更に、注出口1のヒンジ3付け根部から縦弱化ライン4の相互間に沿って開口する空洞部6を注出口1の側壁内部に形成している(図4参照)。この空洞部6は、縦弱化ライン4を切り離し容易にする。また、空洞部6を設けた注出口1の側壁部分は、他の側壁部分より薄く延びやすい状態になっているので、注出口1を、容器Pの口部P1上端部に打栓する際に、該縦弱化ライン4等の破損を防止している。
【0021】
縦弱化ライン4の両外側に、ヒンジ3の幅よりも幅広に開口する一対の弱化開口ライン7を注出口1に形成する(図2参照)。この弱化開口ライン7は、注出口1の側面下端部から容器Pの口部P1上端近傍まで形成した肉薄状のもので、縦弱化ライン4の両外側に、ヒンジ3よりも幅広に開口するように設けている。そして、これら縦弱化ライン4及び弱化開口ライン7を、注出口1側壁の外面がわに位置するように設けている。これは、例えば弱化開口ライン7を注出口1側壁の内側に設けた場合に比べて、注出口1側壁の厚み分だけ弱化開口ライン7の直径が大きくなり、肉薄部の弧の長さが大きくなる。すると、肉薄部の長さが増した分の弾性力が増加するので、打栓時に力が逃げやすくなるものである。
【0022】
横弱化ライン5は、弱化開口ライン7相互の上端部から注出口1の左右両側壁を略水平に切り離すように設け、注出口1の上部を略水平に開口する肉薄状の部分で、弱化開口ライン7の上端部から続いて切り離されるように形成する(図3参照)。すなわち、弱化開口ライン7を下端部から切り離すように、蓋体2を持ち上げると、弱化開口ライン7から横弱化ライン5が順次切り離される構造になっている。
【0023】
また、一対の横弱化ライン5を、ヒンジ3を中心とする左右対称の位置で、注出口1の中心から120°の角度を成す位置を両端とし、該両端から更に注出口1の直径位置方向に向けて夫々45°の範囲に形成する(図3参照)。このように設定することで、取り外し作業に余計な力を使わずに済み、しかも、横弱化ライン5が切り離された後は、容器Pの口部P1から注出口1が完全に外れる寸前の状態になり、誰でも簡単に注出口1を除去することができる。尤も、この角度は、注出口1の材質やサイズ等の変更により、適宜変更してもよい。
【0024】
このように、注出口1のヒンジ3の付け根部から下方に切り離される縦弱化ライン4と、注出口1の下端部近傍から上方へ切り離される弱化開口ライン7と、弱化開口ライン7相互の上端部から注出口1の左右両側壁を略水平に切り離される横弱化ライン5とは、いずれも簡単な操作で切り離すことができる。すなわち、蓋体2をつかんで蓋体2をヒンジ3より下方に引き下げることで前記縦弱化ライン4を切り離す(図5参照)。次に、蓋体2を縦弱化ライン4下端部から上方に引上げることで弱化開口ライン7から横弱化ライン5を順次切り離すように形成している(図6参照)。このように、蓋体2を上下に操作するだけで、縦弱化ライン4、弱化開口ライン7、横弱化ライン5の順に切り離されるものである。尚、分別をスピーディーに行いたい、あるいは、分別方法を誤ったなどの理由により、縦弱化ライン4を切り裂かずに蓋体2を上へ強く引き上げた場合でも、弱化開口ライン7を切り離して取り外すことができる。
【0025】
【発明の効果】
本発明は上述の如く構成したことにより当初の目的を達成した。
【0026】
すなわち、容器Pの口部P1外側に打栓される打栓式の注出口1と、この注出口1を施蓋する蓋体2と、これら蓋体2と注出口1とを揺動自在に連結するヒンジ3とを一体に設けた分別回収用キャップにおいて、注出口1の外側面に連結したヒンジ3の付け根部両端から注出口1の下端部近傍に至る左右一対の縦弱化ライン4を設け、注出口1のヒンジ3付け根部から縦弱化ライン4の相互間に沿って開口する空洞部6を注出口1の側壁内部に形成し、縦弱化ライン4の両外側に、ヒンジ3の幅よりも幅広に開口する一対の弱化開口ライン7を注出口1の側面下端部から容器Pの口部P1上端近傍まで形成し、該弱化開口ライン7相互の上端部から注出口1の左右両側壁を略水平に切り離す一対の横弱化ライン5を設けたことによって、空洞部6が縦弱化ライン4の切り離し操作を容易にし、続く弱化開口ライン7から横弱化ライン5を簡単に切り離すことができるから、注出口1の各部を切り離す力を合理的に分散してヒンジ部にかかる力が軽減され極めて簡単に取り外すことができる。したがって、使用後は、注出口1を極めて容易に取り外すことができるようになった。また、空洞部6を設けた注出口1の側壁部分は、他の側壁部分より薄く延びやすい状態になっているので、注出口1を、容器Pの口部P1上端部に打栓する際に、該縦弱化ライン4等の破損を防止している。
【0027】
また、蓋体2をヒンジ3より下方に引き下げることで前記縦弱化ライン4を切り離し、蓋体2を縦弱化ライン4下端部から上方に引上げることで弱化開口ライン7から横弱化ライン5を順次切り離すように形成しているので、注出口1を取り外す一連の操作が極めて分かりやすい操作になる。
【0028】
しかも、一対の横弱化ライン5を、ヒンジ3を中心とする左右対称の位置で、注出口1の中心から120°の角度を成す位置を両端とし、該両端から更に注出口1の直径位置方向に向けて夫々45°の範囲に形成しているので、弱化開口ライン7から横弱化ライン5を順次切り離すことで、注出口1は、注出口1の直径位置に至る部分まで大きく切り離されることになる。したがって、口部P1から使用後の注出口1を簡単に取り外すことができ、非力な高齢者や女性等でも道具を使用せずに簡単に取り外すことが可能になった。
【0029】
更に、本発明回収用キャップは、ワンピースキャップとして容易に成型可能であり、また、注出口1を取り外すために、余計なつまみや突起物を必要としていないので、外観形状もすっきりとしたデザインに形成することができる。
【0030】
また、縦弱化ライン4及び弱化開口ライン7を、注出口1側壁の外面がわに設けたことにより、注出口1側壁の内面がわに設けた場合に比べて肉薄部の弧の長さが大きくなるため、他の部分より弾性力に富んで打栓時に力が逃げやすくなる。この結果、容器P口部P1に打栓する際の注出口1破損を防止することができ、内容物が漏れないように注出口1を強固に装着することができる。しかも、縦弱化ライン4及び弱化開口ライン7を、注出口1側壁の外面がわに設けることにより、外観形状のすっきりとしたデザインに形成することができる。
【0031】
このように、本発明によると、内容物が漏れないように装着することができると共に、使用後は、注出口を極めて容易に取り外すことができるなどといった効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明キャップにおける施蓋状態を示す斜視図である。
【図2】 本発明キャップにおける横弱化ラインと弱化開口ラインとを示す一部切欠き斜視図である。
【図3】 本発明キャップにおける密閉突条を示す底面図である。
【図4】 本発明キャップの空洞部を示す縦断面図である。
【図5】 本発明キャップの縦弱化ラインを切り離す状態を示す斜視図である。
【図6】 本発明キャップの弱化開口ラインから横弱化ラインを切り離す状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
P 容器 P1 口部
P2 係合凹部
1 注出口
2 蓋体
3 ヒンジ
4 縦弱化ライン
5 横弱化ライン
6 空洞部
7 弱化開口ライン
8 注口
9 係止リング
10 係止部
11 嵌合突起
Claims (3)
- 容器の口部外側に打栓される打栓式の注出口と、この注出口を施蓋する蓋体と、これら蓋体と注出口とを揺動自在に連結するヒンジとを一体に設けた分別回収用キャップにおいて、注出口の外側面に連結したヒンジの付け根部両端から注出口の下端部近傍に至る左右一対の縦弱化ラインを設け、注出口のヒンジ付け根部から縦弱化ラインの相互間に沿って開口する空洞部を注出口の側壁内部に形成し、縦弱化ラインの両外側に、ヒンジの幅よりも幅広に開口する一対の弱化開口ラインを注出口の側面下端部から容器の口部上端近傍まで形成し、該弱化開口ライン相互の上端部から注出口の左右両側壁を略水平に切り離す一対の横弱化ラインを設け、蓋体をヒンジより下方に引き下げることで縦弱化ラインが切り離され、蓋体を縦弱化ライン下端部から上方に引上げることで弱化開口ラインから横弱化ラインが順次切り離されるように形成したことを特徴とする空洞部付分別回収用キャップ。
- 前記弱化開口ラインは、ヒンジを中心とする左右対称の位置で、注出口の中心から120°の角度を成す位置を両端とし、該両端から更に注出口の直径位置方向に向けて夫々45°の範囲に形成した請求項1記載の空洞部付分別回収用キャップ。
- 前記縦弱化ライン及び弱化開口ラインは、注出口側壁の外面がわに設けられている請求項1又は2記載の空洞部付分別回収用キャップ。
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