JP3902960B2 - 防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、火災発生時に防火区画を形成するための閉鎖動作を行う防火用閉鎖装置における閉鎖体の閉鎖側先端部の構造に係り、例えば、防火用シャッター装置におけるシャッターカーテンの座板部分や、防火戸装置における防火戸本体の先端部等に利用できるものである。
【0002】
【背景技術】
建物には、建物内で火災が発生した際に建物内に防火区画を形成するための防火用閉鎖装置である防火用シャッター装置を設置することが求められている。この防火用シャッター装置では、火災が発生すると、天井裏に配置された巻取軸に巻き取られているシャッターカーテンが巻取軸から繰り出されることにより閉鎖動作を行い、シャッターカーテンの閉鎖側先端部となっている座板が、この座板の相手部材である床に接触することにより、防火性、防煙性を有する閉鎖体となっているシャッターカーテンによって防火区画が形成される。
【0003】
座板は、一般的には、化粧材となっている金属製の第1部材と、この第1部材の内側に配置され、芯材となっている金属製の第2部材との組み合わせで形成され、共に座板の長さ方向に延びる第1部材と第2部材は連結されている。より具体的に説明すると、座板は、シャッターカーテンの閉鎖方向と座板の長さ方向とに角度をなすシャッターカーテンの厚さ方向における火災発生側の加熱面が露出している第1部材と、座板の化粧材となっているこの第1部材と連結され、第1部材によって加熱側の少なくとも一部が覆われ、座板の芯材となっている第2部材とを含んで形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、火災が発生すると、シャッターカーテンの閉鎖動作により座板が床に接触して防火区画が形成されるが、このときの火災発生場所がシャッターカーテンに近い場所であったり、火災の火力が強い場合には、座板が加熱されて高温になる。これによると、座板は第1部材と第2部材の連結構造や火災発生側に向いた第1部材の面積等の各種状況、条件に応じた熱変形を生じ、この熱変形の状態によっては、座板と、この座板が接触している相手部材である床との間に許容できない大きさの隙間が発生する場合がある。
【0005】
これと同様な問題は、防火用シャッター装置と同じく建物内に防火用閉鎖装置として設置される防火戸装置等についても生ずる。
【0006】
本発明の目的は、防火用閉鎖装置における閉鎖側先端部が加熱されても、この閉鎖側先端部が接触する相手部材との間で許容できない大きさの隙間が発生するのを抑制できるようになる防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造を提供するところにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造は、閉鎖動作を行う閉鎖体を有し、この閉鎖体の閉鎖側先端部が相手部材に接触することにより防火区画を形成するとともに、前記閉鎖側先端部が、前記閉鎖方向と前記閉鎖側先端部の長さ方向とに角度をなす加熱面が露出している第1部材と、この第1部材と連結されているとともに、第1部材によって加熱側の少なくとも一部が覆われた第2部材とを含んで形成されている防火用閉鎖装置において、前記閉鎖側先端部が、加熱による第1部材の前記閉鎖方向への湾曲変形強度よりも第2部材の前記閉鎖方向への曲げ強度が大きい曲げ強度強大構造となって形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
この防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造によると、閉鎖方向と閉鎖側先端部の長さ方向とに角度をなしている第1部材の加熱面が加熱されることにより、加熱初期において、この第1部材が第2部材に対して閉鎖方向に凸形状又は凹形状に湾曲変形しようとした場合に、この湾曲変形強度よりも同方向への第2部材の曲げ強度が大きくなっているため、閉鎖側先端部全体では閉鎖方向に凸形状又は凹形状に変形することが抑えられることになり、これにより、火災発生からある時間が経過するまでの間、例えば、避難時間を確保するまでの間は、閉鎖側先端部と、この閉鎖側先端部が接触した相手部材との間で防火上許容できない大きさの隙間が発生するのを抑制できる。
【0009】
また、本発明に係る防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造は、閉鎖動作を行う閉鎖体を有し、この閉鎖体の閉鎖側先端部が相手部材に接触することにより防火区画を形成するとともに、前記閉鎖側先端部が、前記閉鎖方向と前記閉鎖側先端部の長さ方向とに角度をなす加熱面が露出して配置された第1部材と、この第1部材と連結されているとともに、第1部材によって加熱側の少なくとも一部が覆われた第2部材とを含んで形成されている防火用閉鎖装置において、前記閉鎖側先端部に、前記閉鎖方向と前記閉鎖側先端部の長さ方向とに角度をなす方向への曲げ強度を低下させる曲げ強度低下手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
この防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造によると、閉鎖方向と閉鎖側先端部の長さ方向とに角度をなしている第1部材の加熱面が加熱されることにより、加熱初期において、第1部材が第2部材に対して閉鎖側先端部の長さ方向に伸び変形しようとし、これに対して第1部材と連結されている第2部材はこの伸びを抑え込もうとし、このため、これらの互いに逆方向となった伸び力と抑制力の関係で第1部材が部分的に座屈して閉鎖側先端部は複雑に変形しようとするが、閉鎖側先端部には、閉鎖方向と閉鎖側先端部の長さ方向とに角度をなす方向への閉鎖側先端部全体の曲げ強度を低下させる曲げ強度低下手段が設けられているため、第1部材の上記加熱によって閉鎖側先端部は閉鎖方向と閉鎖側先端部の長さ方向とに角度をなす方向へ湾曲変形することになる。
【0011】
この結果、火災発生からある時間が経過するまでの間、例えば、避難時間を確保するまでの間において、第1部材に部分的な座屈が生ずることが防止され、閉鎖側先端部と、この閉鎖側先端部が接触する相手部材との間に許容できない大きさの隙間が生ずるのを抑制できることになる。
【0012】
また、本発明に係る防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造は、閉鎖動作を行う閉鎖体を有し、この閉鎖体の閉鎖側先端部が相手部材に接触することにより防火区画を形成するとともに、前記閉鎖側先端部が、前記閉鎖方向と前記閉鎖側先端部の長さ方向とに角度をなす加熱面が露出している第1部材と、この第1部材と連結されているとともに、第1部材によって加熱側の少なくとも一部が覆われた第2部材とを含んで形成されている防火用閉鎖装置において、前記閉鎖側先端部が、加熱による第1部材の前記閉鎖方向への湾曲変形強度よりも第2部材の前記閉鎖方向への曲げ強度が大きい曲げ強度強大構造となって形成され、かつ、前記閉鎖側先端部に、前記閉鎖方向と前記閉鎖側先端部の長さ方向とに角度をなす方向への曲げ強度を低下させる曲げ強度低下手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
この防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造は、前述した本発明に係る2つの防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造を組み合わせたものである。したがって、第1部材の加熱面が加熱されることにより、加熱初期において、言い換えると、火災発生からある時間が経過するまでの間、例えば、避難時間を確保するまでの間において、第1部材が第2部材に対して閉鎖方向に凸形状又は凹形状に湾曲変形しようとするとともに、閉鎖側先端部の長さ方向に伸び変形しようとした場合に、閉鎖側先端部と、この閉鎖側先端部が接触する相手部材との間に許容できない大きさの隙間が生ずるのを抑制できることになる。
【0014】
以上の本発明において、閉鎖側先端部を、加熱による第1部材の閉鎖方向への湾曲変形強度よりも第2部材の閉鎖方向への曲げ強度が大きい曲げ強度強大構造とするための構成は任意であり、例えば、第2部材の閉鎖方向への曲げ強度を大きくすることにより、閉鎖側先端部を、加熱による第1部材の閉鎖方向への湾曲変形強度よりも第2部材の閉鎖方向への曲げ強度が大きい曲げ強度強大構造としてもよく、第1部材の閉鎖方向への湾曲変形強度を低下させることにより、閉鎖側先端部を、加熱による第1部材の閉鎖方向への湾曲変形強度よりも第2部材の閉鎖方向への曲げ強度が大きい曲げ強度強大構造としてもよい。
【0015】
これらの具体的な第1例は、閉鎖方向と閉鎖側先端部の長さ方向とに角度をなす方向における第2部材の厚さを第1部材よりも大きくすることを含むものとすることである。
【0016】
具体的な第2例は、閉鎖方向と閉鎖側先端部の長さ方向とに角度をなす方向に複数並設された第2部材の個数を第1部材よりも多くすることを含むものとすることである。
【0017】
具体的な第3例は、第1部材に閉鎖方向への長さ成分を有するスリットを形成することを含むものとすることである。
【0018】
具体的な第4例は、第1部材を閉鎖側先端部の長さ方向に分割された複数の分割片で形成することを含むものとすることである。
【0019】
これらの第1例〜第4例は、それぞれを単独で採用することもでき、これらのうちの少なくとも2つを複合して採用することもできる。
【0020】
また、以上の本発明において、閉鎖側先端部に、閉鎖方向と閉鎖側先端部の長さ方向とに角度をなす方向への曲げ強度を低下させる曲げ強度低下手段を設けるための構成は任意であり、この曲げ強度低下手段は、第1部材だけに設けてもよく、第2部材だけに設けてもよく、第1部材と第2部材の両方に設けてもよい。
【0021】
曲げ強度低下手段の具体的な第1例は、第2部材を閉鎖側先端部の長さ方向に分割された複数の分割片で形成することを含むものとすることである。
【0022】
具体的な第2例は、第2部材が閉鎖方向と閉鎖側先端部の長さ方向とに角度をなす方向に複数並設されている場合には、これらの第2部材のうちの少なくとも1個を閉鎖側先端部の長さ方向に分割された複数の分割片で形成することを含むものとすることである。
【0023】
具体的な第3例は、第1部材と第2部材の連結がこれらの第1部材と第2部材に挿入された挿入部材によってなされている場合には、この挿入部材が貫通する第1部材の孔を前記閉鎖側先端部の長さ方向の成分を有する長孔とすることを含むものとすることである。
【0024】
具体的な第4例は、第3例と同じく、第1部材と第2部材の連結がこれらの第1部材と第2部材に挿入された挿入部材によってなされている場合には、この挿入部材が貫通する第2部材の孔を閉鎖側先端部の長さ方向の成分を有する長孔とすることを含むものとすることである。
【0025】
具体的な第5例は、第2部材に閉鎖方向への長さ成分を有するスリットを形成することを含むものとすることである。そして、この第5例の場合において、第2部材が閉鎖方向と閉鎖側先端部の長さ方向とに角度をなす方向に複数並設されている場合には、これらの第2部材のうちの少なくとも1個にスリットを形成することが含まれる。
【0026】
これらの第1例〜第5例も、それぞれを単独で採用することもでき、これらのうちの少なくとも2つを複合して採用することもできる。
【0027】
なお、第1部材と第2部材とを連結するための挿入部材は、第1部材と第2部材に挿入されてこれらの第1部材と第2部材を連結できるものであれば任意なものでよく、例えば、ボルト、ピン、リベット、ねじ等でもよい。
【0028】
以上説明した本発明において、閉鎖方向と閉鎖側先端部の長さ方向とに角度をなす方向に複数の第2部材を並設する場合には、それぞれの第2部材の閉鎖方向に延びる寸法を同じにしてもよく、これらの第2部材のうちの少なくとも1個の同方向に延びる寸法を他の第2部材の寸法と異ならせてもよい。
【0029】
また、閉鎖方向と閉鎖側先端部の長さ方向とに角度をなす方向に複数の第2部材を並設する場合には、それぞれの第2部材の閉鎖方向と閉鎖側先端部とに角度をなす方向における厚さを異ならせてもよく、これらの第2部材のうちの少なくとも1個の厚さを他の第2部材の厚さと異ならせてもよい。
【0030】
また、以上説明した本発明に係る防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造は、閉鎖体がシャッターカーテンとなっている防火用シャッター装置のそのシャッターカーテンの座板にも適用でき、閉鎖体が防火戸本体となっている防火戸装置のその防火戸本体の先端部にも適用でき、任意な防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部に適用できる。本発明に係る防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造が、防火戸装置の防火戸本体の先端部に適用される場合には、この先端部が接触する相手部材は、防火戸が開閉自在に配置される開口部をその内部に形成する外枠組みとなる。
【0031】
本発明に係る防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造が防火用シャッター装置のシャッターカーテンの座板に適用される場合において、座板を除くそのシャッターカーテンの全部又は主要部は、防火性と防煙性のうちの少なくとも防火性を有するシートで形成されていてもよく、スラットの連設で形成されていてもよく、パネルの連設で形成されていてもよく、その構成部材は任意であり、また、少なくとも2つの異種構成部材の複合で形成されていてもよい。
【0032】
また、本発明に係る防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造が防火用シャッター装置のシャッターカーテンの座板に適用される場合には、シャッターカーテンが閉鎖しているときでも避難者がシャッターカーテンを通過して避難できるようにする脱出口がシャッターカーテンに設けられていてもよく、設けられていなくてもよい。
【0033】
また、防火用シャッター装置の座板を除くシャッターカーテンのカーテン本体が、開口面積を有する脱出口やスリットタイプの脱出口が形成されたカーテン本体主部材と、この脱出口の全体を覆いかつ少なくとも座板側の部分がカーテン本体主部材からめくり自在となっている脱出口覆い部材とを有しており、この脱出口覆い部材をめくることにより脱出口を通ってシャッターカーテンを通過できるようになっている場合には、閉鎖方向と座板の長さ方向とに角度をなす方向、すなわち座板の厚さ方向に複数並設されている第2部材のうちの少なくとも1個、好ましくは複数並設されている第2部材のうちの中央に配置されている1個についての脱出口覆い部材側への寸法を大きくし、これにより、第2部材と脱出口覆い部材とが、座板の厚さ方向に対面するように構成することが望ましい。
【0034】
これによると、少なくとも座板側の部分がカーテン本体主部材からめくり自在となっている脱出口覆い部材におけるその座板側の部分を、めくるとき以外は脱出口覆い部材側への寸法が大きくなった第2部材に対面させておくことができ、これにより、カーテン本体主部材の脱出口を通ってシャッターカーテンを通過するとき以外は、脱出口覆い部材で脱出口を塞いでおくことができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る防火用閉鎖装置は防火用シャッター装置であり、初めにこの防火用シャッター装置の全体構造を、この装置の全体正面図である図1によって説明する。
【0036】
防災用シャッター装置の巻取軸1は、天井部材2で室内空間3から仕切られた天井裏空間4に水平方向を軸方向として配置され、巻取軸1の軸方向両端部は保持部材である左右一対のブラケット5で回転自在に保持されている。これらのブラケット5は、天井裏空間4に存在する建物躯体6に結合されている。巻取軸1にはシャッターカーテン7の上端部が結合されており、このシャッターカーテン7は、カーテン本体7Aと、このカーテン本体の下端に閉鎖側先端部として設けられた金属製の座板20とを有する。カーテン本体7Aの全部又は大部分は、ガラスクロス又はシリカクロスによる防火性と防煙性を有するシート又はこのシートに耐火塗料等を塗布及び/又は含侵させて形成され、このようにシート式となっているシャッターカーテン7は、平常時には巻取軸1に巻き取られている。
【0037】
巻取軸1からのシャッターカーテン7の繰り出し、巻き取りは巻取軸1の正逆回転によってなされ、シャッターカーテン7の幅方向両端部は、室内空間3の左右両側に形成された柱、壁等の建物躯体8に取り付けられているガイドレール9に図示しない抜け止め部材で抜け止めされて摺動自在に挿入されているため、巻取軸1の正逆回転によって天井部材2に配設されているまぐさ10を通過して閉鎖、開放の上下動を行うシャッターカーテン7の移動は、これらのガイドレール9で案内されながら行われる。
【0038】
左右一対のブラケット5のうち一方のブラケット5には、モータとブレーキの組み合わせからなる開閉機11が取り付けられ、この開閉機11は巻取軸1とチェーン、スプロケット等からなる伝動手段12を介して連結されている。火災発生によって図示しない手動レバーが操作されることにより、又は図示しないセンサが煙あるいは熱等を検出してこの検出信号が開閉機11の制御装置に送られることにより、開閉機11のブレーキが解除され、これによりシャッターカーテン7は座板20の重量を含む自重で巻取軸1を回転させながら下降する閉鎖動作を行い、座板20が相手部材である床13に接触することにより、閉鎖体となっているシャッターカーテン7により室内空間3に防火区画が形成される。
【0039】
また、図示しないスイッチを操作すると、開閉機11のモータが駆動され、これにより、巻取軸1の回転でシャッターカーテン7が巻取軸1に巻き取られる。
【0040】
図2は、シャッターカーテン7の閉鎖側先端部である座板20の構造を示す断面斜視図である。座板20は、第1部材である化粧部材21と、第2部材である3個の芯部材22〜24との組み合わせからなる。化粧部材21はステンレス又はスチールの板金の折り曲げ品であり、芯部材22〜24はスチールの厚板材又は角材からなる。また、3個の芯部材22〜24は、シャッターカーテン7の閉鎖方向と座板20の長さ方向とに角度をなす方向、すなわちこの実施形態ではシャッターカーテン7の厚さ方向に並設されている。
【0041】
化粧部材21は、上部が開口した上向きのチャンネル形状であるとともに、上部に設けられた一対の立上部21Aの下部には、段部21Bを介して一対の立上部21Cが設けられ、これらの立上部21Cの下端部同士は底面部21Dで結合されている。この実施形態の化粧部材21はビス等の止着具21Eで連結された2つの部材で形成されているが、化粧部材21を一つの部材による一体品として形成してもよい。
【0042】
シャッターカーテン7のカーテン本体7Aの下部には袋部7Bが形成され、この袋部7Bに3個の芯部材22〜24のうちの中央の芯部材23が挿入配置されており、この芯部材23のシャッターカーテン7の厚さ方向両側に2個の芯部材22,24が配置されている。
【0043】
化粧部材21における上部の一対の立上部21Aの間には、シャッターカーテン7の閉鎖方向の寸法、すなわち上下方向の寸法がこれらの立上部21Aと同じ又は略同じとなっている3個の芯部材22〜24が組み込まれ、一方の立上部21Aからボルト25が、一対の立上部21Aと3個の芯部材22〜24と上記袋部7Bとに貫通形成されている孔に挿入され、上記一方の立上部21Aに頭部25Aが露出するこのボルト25の軸部の先端は他方の立上部21Aから突出し、この突出した軸部の先端にナットを螺合して締め付ける(図11参照)ことにより、化粧部材21と芯部材22〜24が連結されるとともに、これらの化粧部材21と芯部材22〜24からなる座板20は、シャッターカーテン7の閉鎖側先端部となってシャッターカーテン7のカーテン本体7Aと一体化される。
【0044】
このため、ボルト25は化粧部材21と芯部材22〜24とに挿入されてこれらを連結する挿入部材となっており、この挿入部材は、座板20の長さ方向に等間隔で複数設けられている。
【0045】
以上の構造により、化粧部材21のそれぞれの立上部21A,21Cは、火災が発生したときに加熱される露出した加熱面となっており、また、芯部材22〜24のうちの両側の芯部材22,24の加熱側の面となっている外側面22A,24Aの大部分は、一対の立上部21Aで覆われている。
【0046】
また、それぞれの芯部材22〜24の厚さ、すなわちシャッターカーテン7の厚さ方向における寸法は、化粧部材21の同方向における寸法よりも大きくなっている。
【0047】
以上において、火災26が発生し、シャッターカーテン7が閉鎖動作を行うことにより座板20が図1で示した床13に接触して防火区画が形成されると、化粧部材21の露出面となっているそれぞれ一対設けられている立上部21Aと21Cのうち、火災26側に向いている一方の立上部21Aと21Cが加熱される。この加熱による熱は、この一方の立上部21Aを介して加熱側の面となっている芯部材22の外側面22Aにもいずれは伝達されるが、この立上部21Aにも厚さがあるため短時間にこの外側面22Aに伝達されないこと、これらの立上部21Aと外側面22Aとの間に僅かではあるが断熱層となっている隙間があること、芯部材22の厚さは立上部21Aの厚さよりも大きいこと、厚さが大きい芯部材は3個22〜24あること、中央の芯部材23は断熱効果を有するシャッターカーテン7のカーテン本体7Aの材料であるシートによる袋部7Bに収納されていて芯部材22,24と直接接触していないことのため、加熱初期では、上記一方の立上部21A,21Cが高温になり、芯部材22〜24の温度はそれ程上昇しない。
【0048】
このため、加熱初期において、火災26による加熱量が多い箇所が化粧部材21における上部の立上部21Aか、下部の立上部21Cかに応じて、化粧部材21は下向きに凸形状又は下向きに凹形状に湾曲変形しようとする(図2の2点鎖線は、上部の立上部21Aの加熱量が多いため、化粧部材21が下向きに凹形状に湾曲変形しようとすることを示している。)が、芯部材22〜24はこの湾曲変形を抑えるように働く。
【0049】
そして、それぞれの芯部材22〜24の厚さは化粧部材21の厚さよりも大きく、かつ、これらの芯部材が3個22〜24並設されているため、これらの芯部材22〜24についてのシャッターカーテン7の厚さ方向に延びる水平軸を中心とする断面2次モーメントは大きくなっており、このため、加熱による化粧部材21のシャッターカーテン閉鎖方向への湾曲変形強度よりも、芯部材22〜24のシャッターカーテン閉鎖方向への曲げ強度は大きくなっている。
【0050】
したがって、この実施形態に係る座板20の構造は、加熱による化粧部材21のシャッターカーテン閉鎖方向への湾曲変形強度よりも芯部材22〜24のシャッターカーテン閉鎖方向への曲げ強度が大きくなっている曲げ強度強大構造になっている。
【0051】
このため、加熱初期では、言い換えると、火災発生からある時間が経過するまでの間、例えば、避難時間を確保するまでの間では、化粧部材21が加熱されても座板20全体は大きくシャッターカーテン閉鎖方向に変形することはなく、これにより、座板20と床13との間に許容できない大きさの隙間が発生することはなく、シャッターカーテン7による所定の防火性能が確保された防火区画を形成できることになる。
【0052】
図3は、第2実施形態に係る曲げ強度強大構造を備えた座板30を示す。この座板30の第1部材である化粧部材31は、一対の立上部31Aと、これらの立上部31Aの下端同士を連結する底面部31Bとからなる上向きに開口したチャンネル材からなる。一対の立上部31Aの間に、シャッターカーテン7の厚さ方向に並設された3個の第2部材である芯部材22〜24が挿入配置され、化粧部材31と芯部材22〜24は、これらの化粧部材31と芯部材22〜24に貫通挿入されたボルト25で連結されている。
【0053】
座板30の長さ方向に複数設けられているボルト25同士の間において、それぞれの立上部31Aには、上端からシャッターカーテン閉鎖方向へ延びる1個のスリット31Cが形成されている。このため、これらのスリット31Cによって化粧部材31のシャッターカーテン閉鎖方向への曲げ強度は、図2の実施形態よりも低下しており、この実施形態では、化粧部材31は上下方向へ湾曲変形しやすくなっている。
【0054】
また、この実施形態でも、化粧部材31の立上部31Aよりもそれぞれの厚さが大きくなった3個の芯部材22〜24がその厚さ方向に並設されているため、座板30の構造は、加熱による化粧部材31のシャッターカーテン閉鎖方向への湾曲変形強度よりも芯部材22〜24のシャッターカーテン閉鎖方向への曲げ強度が大きくなっている曲げ強度強大構造になっているとともに、この曲げ強度強大構造には、スリット31Cによって化粧部材31の湾曲変形強度を芯部材22〜24の曲げ強度に対して相対的に低下させたという構造が含まれている。ボルト25の軸部と、この軸部が貫通挿入された化粧部材31の立上部31Aの孔や芯部材22〜24の孔との間に隙間があって、化粧部材31の立上部31Aにこの化粧部材31の曲げ強度を低下させるスリット31Cが形成されているため、火災の発生で立上部31Aが加熱されたときには、立上部31Aは下向きに凸形状又は下向きに凹形状に湾曲変形するが、この湾曲変形は芯部材22〜24に伝達されない又は殆ど伝達されない。
【0055】
これにより、火災発生からある時間が経過するまでの間、例えば、避難時間を確保するまでの間において、化粧部材31が加熱されても座板30全体は大きくシャッターカーテン閉鎖方向に変形せず、座板30と床13との間に許容できない大きさの隙間が発生することを防止できる。
【0056】
図4は、第3実施形態に係る曲げ強度強大構造を備えた座板40を示す。この座板40の第1部材である化粧部材41も、一対の立上部41Aと、これらの立上部41Aの下端同士を連結する底面部41Bとからなる上向きに開口したチャンネル材からなる。そして、一対の立上部41Aの間に、シャッターカーテン7の厚さ方向に並設された3個の第2部材である芯部材22〜24が挿入配置され、化粧部材41と芯部材22〜24は、これらの化粧部材41と芯部材22〜24に貫通挿入されたボルト25で連結されている。
【0057】
化粧部材41は、座板40の長さ方向に連続する長寸法のものとなっておらず、座板40の長さ方向に分割された複数の分割片45によって形成されており、それぞれの分割片45についてのボルト25の個数は、1個となっている。このため、化粧部材41のシャッターカーテン閉鎖方向への曲げ強度は、実質的に零になっている。
【0058】
また、この実施形態でも、化粧部材41の立上部41Aよりもそれぞれの厚さが大きくなった3個の芯部材22〜24がその厚さ方向に並設されているため、座板40の構造には、化粧部材41を複数の分割片45で形成することにより化粧部材41の湾曲変形強度が実質的に零になっているという構造と、加熱による化粧部材41のシャッターカーテン閉鎖方向への湾曲変形強度よりも芯部材22〜24のシャッターカーテン閉鎖方向への曲げ強度が大きくなっている構造とが含まれ、これらの構造により、座板40の構造は、加熱による化粧部材41のシャッターカーテン閉鎖方向への湾曲変形強度よりも芯部材22〜24のシャッターカーテン閉鎖方向への曲げ強度が大きい曲げ強度強大構造となっていることになる。そして、火災の発生で立上部41Aが加熱されても、立上部41Aは湾曲変形しないため、芯部材22〜24が湾曲変形することはない。
【0059】
これにより、少なくとも火災発生からある時間が経過するまでの間、例えば、避難時間を確保するまでの間において、化粧部材41が加熱されても座板40全体はシャッターカーテン閉鎖方向に変形せず、座板40と床13との間に許容できない大きさの隙間が発生することを防止できる。
【0060】
以上は、シャッターカーテンの閉鎖方向についての座板の曲げ強度強大構造の実施形態であったが、次に、図5〜図8により、シャッターカーテンの閉鎖方向と座板の長さ方向とに角度をなす方向、すなわちシャッターカーテンの厚さ方向についての座板の曲げ強度低下手段の各実施形態を説明する。
【0061】
すなわち、このような曲げ強度低下手段が、ボルトで連結された第1部材である化粧部材と第2部材である芯部材との組み合わせによる座板に設けられていない場合には、化粧部材の露出している加熱面が火災の発生で加熱されたとき、化粧部材は座板の長さ方向に伸びようとするが、この伸びが、化粧部材と芯部材とを連結するために座板の長さ方向に間隔を開けて複数配設されかつ化粧部材と芯部材とに挿入されているボルトを介して芯部材で阻止されることになり、このため、ボルトとボルトとの間において化粧部材の加熱面が充分に伸び変形できずに座屈する現象が生じ、この結果、座板が外観上複雑に変形することにより、座板の長さ方向において、座板が床と接触する部分と接触しない部分とができ、床に接触しない部分において許容できない大きさの隙間が発生するおそれがあるため、図5〜図8の実施形態は、座板にシャッターカーテンの厚さ方向についての曲げ強度低下手段を設けることにより、化粧部材の加熱面が加熱されたときに、座板をシャッターカーテンの厚さ方向へ積極的に湾曲変形させることにより、座板と床との間に許容できない大きさの隙間が発生するのを抑制しようとするものである。
【0062】
図5は、第1実施形態に係る曲げ強度低下手段が設けられた座板50を示す。化粧部材51は、一対の立上部51Aと、これらの立上部51Aの下端同士を連結する底面部51Bとからなる上向きに開口したチャンネル材からなる。そして、一対の立上部51Aの間に、シャッターカーテン7の厚さ方向に並設された3個の芯部材52〜54が挿入配置され、化粧部材41と芯部材52〜54は、これらの化粧部材51と芯部材52〜54に貫通挿入され、座板50に長さ方向に複数設けられたボルト25で連結されている。化粧部材51の立上部51Aは、火災発生時に加熱される露出した加熱面であり、芯部材52,54の外側面52A,54Aは、これらの立上部51Aで少なくとも一部が覆われた芯部材52,54における加熱側の面となっている。
【0063】
3個の芯部材52〜54のうち、シャッターカーテン7のカーテン本体7Aの袋部7Bに収納された中央の芯部材53は、座板50の長さ方向に連続する長さを有しているが、両側の芯部材52,54は、座板50の長さ方向に分割された複数の分割片55からなる。それぞれ1個の分割片55についてのボルト25の個数は、1個である。
【0064】
この実施形態によると、火災が発生することにより化粧部材51における火災発生側の一方の立上部51Aが加熱され、この結果、この一方の立上部51Aが座板50の長さ方向に伸び変形して、化粧部材51がシャッターカーテン7の厚さ方向に湾曲変形しようとしたとき、芯部材52〜54のうち、芯部材52と54は座板50の長さ方向に分割された複数の分割片55からなるため、これらの芯部材52〜54の部分において、座板50にはシャッターカーテン7の厚さ方向への曲げ強度を低下させた曲げ強度低下手段が設けられていることになり、したがって、加熱初期に、座板50の全体は、図6の2点鎖線で示すように、化粧部材51における火災26の発生側の立上部51Aが凸面となるように大きな曲率半径でシャッターカーテン7の厚さ方向に湾曲する。
【0065】
これにより、少なくとも火災発生からある時間が経過するまでの間、例えば、避難時間を確保するまでの間において、座板50が複雑に変形することが防止され、座板50と床13との間に許容できない大きさの隙間が発生するのを抑制できる。
【0066】
なお、3個の芯部材52〜54のうちの1個の芯部材53は座板50の長さ方向に連続する長さを有するものとなっているとともに、この芯部材53の厚さは化粧部材51の立上部51Aの厚さよりも大きいため、この実施形態の座板50の構造は、シャッターカーテン7の閉鎖方向への大きな曲げ強度を有する曲げ強度強大構造ともなっている。
【0067】
図7は、第2実施形態に係る曲げ強度低下手段が設けられた座板60を示す。この実施形態の化粧部材61も、一対の立上部61Aと、これらの立上部61Aの下端同士を連結する底面部61Bとからなる上向きに開口したチャンネル材からなる。そして、図5の実施形態と同じく、一対の立上部61Aの間に、シャッターカーテン7の厚さ方向に並設された3個の芯部材62〜64が挿入配置され、化粧部材61と芯部材62〜64は、これらの化粧部材61と芯部材62〜64に貫通挿入されていて座板60に長さ方向に複数設けられたボルト25で連結されている。化粧部材61の立上部61Aは、火災発生時に加熱される露出した加熱面であり、芯部材62,64の外側面62A,64Aは、これらの立上部61Aで少なくとも一部が覆われた芯部材62,64における加熱側の面となっている。
【0068】
3個の芯部材62〜64の全部は、座板50の長さ方向に連続する長さを有している。また、ボルト25が挿入された化粧部材61の立上部61Aの孔65は、座板60の長さ方向に長い長孔となっている。
【0069】
この実施形態によると、火災が発生した場合、化粧部材61における火災発生側の一方の立上部61Aが加熱され、この結果、この一方の立上部61Aが座板60の長さ方向に伸び変形して、化粧部材61がシャッターカーテン7の厚さ方向に湾曲変形しようとしたとき、長孔65によって化粧部材61と芯部材62〜64とは座板60の長さ方向に拘束されていないため、長孔65により、座板60にはシャッターカーテン7の厚さ方向への曲げ強度を低下させた曲げ強度低下手段が設けられていることになり、したがって、加熱初期に、座板60の全体は、図6の2点鎖線で示したと同様に、化粧部材61における火災の発生側の立上部61Aが凸面となるように大きな曲率半径でシャッターカーテン7の厚さ方向に湾曲する。これにより、図5と同様の効果を達成できることになる。
【0070】
図8は、第3実施形態に係る曲げ強度低下手段が設けられた座板70を示す。この実施形態における化粧部材は図5の化粧部材51と同じである。また、並設されている3個の芯部材72〜74は座板70の長さ方向連続する長さを有するとともに、これらの芯部材72〜74におけるそれぞれのボルト25を挿入する箇所において、座板70の長さ方向に長い長孔75が形成され、これらの長孔75に挿入されたボルト25によって化粧部材51の立上部51Aと芯部材72〜74とが連結されている。
【0071】
この実施形態では、長孔75が図7の実施形態の長孔65の代わりとなって、座板70にシャッターカーテン7の厚さ方向への曲げ強度を低下させる曲げ強度低下手段が設けられていることになり、これにより、図7と同じ作用効果を達成できることになる。
【0072】
以上説明した図2〜図4の第1、第2、第3の各実施形態に係る曲げ強度強大構造と、図5〜図8で示した第1、第2、第3の各実施形態に係る曲げ強度低下手段は、それぞれ任意な組み合わせで座板に適用できる。
【0073】
図9〜図11は、シャッターカーテン7に脱出口を設けることにより、シャッターカーテン7の閉鎖動作で防火区画が形成されているときに、この脱出口によってシャッターカーテン7を通過して避難できるようにした場合の実施形態を示す。
【0074】
図9で示すように、この実施形態に係るシャッターカーテン7のカーテン本体7Aは、シャッターカーテン7の閉鎖動作によって防火区画が形成されているときにおいてカーテン本体7Aを通過できるようにするための脱出口91Aが形成されたカーテン本体主部材91と、シャッターカーテン7の座板80まで下端が達しているこの脱出口91Aの全体を覆い、かつ、上辺のみがカーテン本体主部材91と結合されてカーテン本体主部材91からめくり自在となっている脱出口覆い部材92とにより形成されている。脱出口覆い部材92の材料は、カーテン本体主部材91と同じく、ガラスクロス又はシリカクロスによる防火性と防煙性を有するシート又はこのシートに耐火塗料等を塗布及び/又は含侵させたものである。
【0075】
図10は図9の一部拡大図で、図11は図10のS11−S11線断面図である。図11で示すとおり、座板80の化粧部材81は、一対の立上部81Aと、これらの立上部81Aの下端同士を連結する底面部81Bとからなる上向きに開口したチャンネル材からなる。そして、一対の立上部81Aの間に、シャッターカーテン7の厚さ方向に並設された3個の芯部材82〜84が挿入配置され、化粧部材81と芯部材82〜84は、これらの化粧部材81と芯部材82〜84に貫通挿入されて座板80の長さ方向に複数設けられたボルト25で連結されている。
【0076】
3個の芯部材82〜84のうちの中央の芯部材83はカーテン本体主部材91の下部の袋部91Bに収納されており、この袋部91Bは脱出口91Aの部分で切除されているため、この芯部材83は脱出口91Aの部分では露出している。また、中央の芯部材83は他の芯部材82,84よりも上下寸法が大きくなっている。すなわち、3個の芯部材82〜84の下端同士は同じ高さ位置となっているが、中央の芯部材83の上端は他の芯部材82,84よりも上方の位置に達し、言い換えると、中央の芯部材83は他の芯部材82,84よりも脱出口覆い部材92側へ延びる長さを有している。このため、カーテン本体主部材91の厚さ方向両側に設けられている脱出口覆い部材92の下部と、中央の芯部材83の上部は、脱出口91Aが脱出口覆い部材92で覆われているときに、言い換えると、脱出口91Aが脱出口覆い部材92で閉じられているときに、シャッターカーテン7の厚さ方向に対面している。
【0077】
このため、脱出口覆い部材92がめくり上げられないときには脱出口91Aは脱出口覆い部材92で塞がれており、この脱出口覆い部材92の下部が対面している芯部材83は、シャッターカーテン7の厚さ方向に3個並設されている芯部材82〜84のうちの中央の芯部材83であって、この芯部材83は、脱出口覆い部材92が取り付けられているカーテン本体主部材91の下端に配置されているため、脱出口覆い部材92は芯部材83に近接しており、このため、脱出口91Aを脱出口覆い部材92でより確実に塞ぐことができる。
【0078】
脱出口91Aを通って避難するときは、脱出口覆い部材92をめくり上げ、これにより露出した脱出口91Aを通って避難する。
【0079】
3個の芯部材82〜84のうちの2個の芯部材82,84は、芯部材82について示している図10のとおり、座板80の長さ方向に分割された複数の分割片85からなり、ボルト25の個数は1個の分割片85について1個となっている。
【0080】
このため、この実施形態でも、芯部材82,84が複数の分割片85で形成されていることから、座板80には、シャッターカーテン7の厚さ方向への曲げ強度を低下させた曲げ強度低下手段が設けられていることになる。また、3個の芯部材82〜84のうちの中央の芯部材83は座板80の長さ方向に連続した長さを有するとともに、この芯部材83の厚さは化粧部材81の立上部81Aの厚さよりも大きいため、座板80の構造は、加熱による化粧部材81のシャッターカーテン閉鎖方向への湾曲変形強度よりも芯部材83のシャッターカーテン閉鎖方向への曲げ強度が大きい曲げ強度強大構造となっている。そして、この芯部材83の上下寸法は大きいため、シャッターカーテン7の厚さ方向に延びる水平軸を中心する断面2次モーメントは大きく、したがって座板80の構造は大きな曲げ強度を備えたものとなっている。
【0081】
【発明の効果】
本発明によると、防火用閉鎖装置における閉鎖側先端部が加熱されても、この閉鎖側先端部が接触する相手部材との間で許容できない大きさの隙間が発生するのを抑制できるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る防火用閉鎖装置となっている防火用シャッター装置の全体を示す正面図である。
【図2】シャッターカーテンの閉鎖側先端部である座板の曲げ強度強大構造についての第1実施形態を示す断面斜視図である。
【図3】シャッターカーテンの閉鎖側先端部である座板の曲げ強度強大構造についての第2実施形態を示す断面斜視図である。
【図4】シャッターカーテンの閉鎖側先端部である座板の曲げ強度強大構造についての第3実施形態を示す断面斜視図である。
【図5】シャッターカーテンの閉鎖側先端部である座板の曲げ強度低下手段についての第1実施形態を示す断面斜視図である。
【図6】図5の座板が火災発生による加熱でシャッターカーテンの厚さ方向に曲げ強度低下手段で湾曲変形することを示す平面図である。
【図7】シャッターカーテンの閉鎖側先端部である座板の曲げ強度低下手段についての第2実施形態を示す断面斜視図である。
【図8】シャッターカーテンの閉鎖側先端部である座板の曲げ強度低下手段についての第3実施形態を示す断面斜視図である。
【図9】脱出口が設けられているシャッターカーテンの実施形態を示す正面図である。
【図10】図9の一部拡大図である。
【図11】図10のS11−S11線断面図である。
【符号の説明】
1 巻取軸
7 閉鎖体であるシャッターカーテン
7A カーテン本体
13 相手部材である床
20,30,40,50,60,70,80 シャッターカーテンの閉鎖側先端部である座板
21,31,41,51,61,81 第1部材である化粧部材
21A,31A,41A,51A,61A 第1部材の加熱面
22〜24,52〜54,62〜64,72〜74,82〜84 第2部材である芯部材
25 挿入部材であるボルト
26 火災
45,55,85 分割片
65,75 長孔
91 カーテン本体主部材
91A 脱出口
92 脱出口覆い部材
Claims (9)
- 閉鎖動作を行う閉鎖体を有し、この閉鎖体の閉鎖側先端部が相手部材に接触することにより防火区画を形成するとともに、前記閉鎖側先端部が、前記閉鎖体の厚さ方向に向いている加熱面が露出している第1部材と、この第1部材と連結されているとともに、第1部材によって加熱側の少なくとも一部が覆われた第2部材とを含んで形成されている防火用閉鎖装置において、
前記閉鎖体は下方向が閉鎖方向になっているシャッターカーテンであり、前記閉鎖側先端部はこのシャッターカーテンの座板であり、前記相手部材は床であり、
前記座板が、加熱による第1部材の前記閉鎖方向への湾曲変形強度よりも第2部材の前記閉鎖方向への曲げ強度が大きい曲げ強度強大構造となって形成され、
この曲げ強度強大構造は、前記シャッターカーテンの厚さ方向に複数並設された第2部材の個数が第1部材よりも多くなっていることを含む構造であることを特徴とする防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造。 - 閉鎖動作を行う閉鎖体を有し、この閉鎖体の閉鎖側先端部が相手部材に接触することにより防火区画を形成するとともに、前記閉鎖側先端部が、前記閉鎖体の厚さ方向に向いている加熱面が露出している第1部材と、この第1部材と連結されているとともに、第1部材によって加熱側の少なくとも一部が覆われた第2部材とを含んで形成されている防火用閉鎖装置において、
前記閉鎖体は下方向が閉鎖方向になっているシャッターカーテンであり、前記閉鎖側先端部はこのシャッターカーテンの座板であり、前記相手部材は床であり、
前記座板に、前記シャッターカーテンの厚さ方向への曲げ強度を低下させる曲げ強度低下手段が設けられ、
この曲げ強度低下手段は、第2部材が前記座板の長さ方向に分割された複数の分割片で形成されていることを含む手段であることを特徴とする防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造。 - 閉鎖動作を行う閉鎖体を有し、この閉鎖体の閉鎖側先端部が相手部材に接触することにより防火区画を形成するとともに、前記閉鎖側先端部が、前記閉鎖体の厚さ方向に向いている加熱面が露出している第1部材と、この第1部材と連結されているとともに、第1部材によって加熱側の少なくとも一部が覆われた第2部材とを含んで形成されている防火用閉鎖装置において、
前記閉鎖体は下方向が閉鎖方向になっているシャッターカーテンであり、前記閉鎖側先端部はこのシャッターカーテンの座板であり、前記相手部材は床であり、
前記座板が、加熱による第1部材の前記閉鎖方向への湾曲変形強度よりも第2部材の前記閉鎖方向への曲げ強度が大きい曲げ強度強大構造となって形成され、かつ、前記座板に、前記シャッターカーテンの厚さ方向への曲げ強度を低下させる曲げ強度低下手段が設けられ、
前記曲げ強度強大構造は、前記シャッターカーテンの厚さ方向に複数並設された第2部材の個数が第1部材よりも多くなっていることを含む構造であることを特徴とする防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造。 - 閉鎖動作を行う閉鎖体を有し、この閉鎖体の閉鎖側先端部が相手部材に接触することにより防火区画を形成するとともに、前記閉鎖側先端部が、前記閉鎖体の厚さ方向に向いている加熱面が露出している第1部材と、この第1部材と連結されているとともに、第1部材によって加熱側の少なくとも一部が覆われた第2部材とを含んで形成されている防火用閉鎖装置において、
前記閉鎖体は下方向が閉鎖方向になっているシャッターカーテンであり、前記閉鎖側先端部はこのシャッターカーテンの座板であり、前記相手部材は床であり、
前記座板が、加熱による第1部材の前記閉鎖方向への湾曲変形強度よりも第2部材の前記閉鎖方向への曲げ強度が大きい曲げ強度強大構造となって形成され、かつ、前記座板に、前記シャッターカーテンの厚さ方向への曲げ強度を低下させる曲げ強度低下手段が設けられ、
この曲げ強度低下手段は、第2部材が前記座板の長さ方向に分割された複数の分割片で形成されていることを含む手段であることを特徴とする防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造。 - 閉鎖動作を行う閉鎖体を有し、この閉鎖体の閉鎖側先端部が相手部材に接触することにより防火区画を形成するとともに、前記閉鎖側先端部が、前記閉鎖体の厚さ方向に向いている加熱面が露出している第1部材と、この第1部材と連結されているとともに、第1部材によって加熱側の少なくとも一部が覆われた第2部材とを含んで形成されている防火用閉鎖装置において、
前記閉鎖体は下方向が閉鎖方向になっているシャッターカーテンであり、前記閉鎖側先端部はこのシャッターカーテンの座板であり、前記相手部材は床であり、
前記座板が、加熱による第1部材の前記閉鎖方向への湾曲変形強度よりも第2部材の前記閉鎖方向への曲げ強度が大きい曲げ強度強大構造となって形成され、
この曲げ強度強大構造は、第1部材に前記閉鎖方向への長さ成分を有するスリットが形成されていることを含む構造であることを特徴とする防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造。 - 閉鎖動作を行う閉鎖体を有し、この閉鎖体の閉鎖側先端部が相手部材に接触することにより防火区画を形成するとともに、前記閉鎖側先端部が、前記閉鎖体の厚さ方向に向いている加熱面が露出している第1部材と、この第1部材と連結されているとともに、第1部材によって加熱側の少なくとも一部が覆われた第2部材とを含んで形成されている防火用閉鎖装置において、
前記閉鎖体は下方向が閉鎖方向になっているシャッターカーテンであり、前記閉鎖側先端部はこのシャッターカーテンの座板であり、前記相手部材は床であり、
前記座板が、加熱による第1部材の前記閉鎖方向への湾曲変形強度よりも第2部材の前記閉鎖方向への曲げ強度が大きい曲げ強度強大構造となって形成され、かつ、前記座板に、前記シャッターカーテンの厚さ方向への曲げ強度を低下させる曲げ強度低下手段が設けられ、
前記曲げ強度強大構造は、第1部材に前記閉鎖方向への長さ成分を有するスリットが形成されていることを含む構造であることを特徴とする防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造。 - 請求項2又は4に記載の防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造において、第2部材は前記シャッターカーテンの厚さ方向に複数並設され、これらの第2部材のうちの少なくとも1個が前記複数の分割片で形成されていることを特徴とする防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造。
- 閉鎖動作を行う閉鎖体を有し、この閉鎖体の閉鎖側先端部が相手部材に接触することにより防火区画を形成するとともに、前記閉鎖側先端部が、前記閉鎖体の厚さ方向に向いている加熱面が露出している第1部材と、この第1部材と連結されているとともに、第1部材によって加熱側の少なくとも一部が覆われた第2部材とを含んで形成されている防火用閉鎖装置において、
前記閉鎖体は下方向が閉鎖方向になっているシャッターカーテンであり、前記閉鎖側先端部はこのシャッターカーテンの座板であり、前記相手部材は床であり、
前記座板に、前記シャッターカーテンの厚さ方向への曲げ強度を低下させる曲げ強度低下手段が設けられ、
第1部材と第2部材の連結はこれらの第1部材と第2部材に挿入された挿入部材によってなされ、前記曲げ強度低下手段は、この挿入部材が貫通する第2部材の孔が前記座板の長さ方向の成分を有する長孔となっていることを含む手段であることを特徴とする防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造。 - 閉鎖動作を行う閉鎖体を有し、この閉鎖体の閉鎖側先端部が相手部材に接触することにより防火区画を形成するとともに、前記閉鎖側先端部が、前記閉鎖体の厚さ方向に向いている加熱面が露出している第1部材と、この第1部材と連結されているとともに、第1部材によって加熱側の少なくとも一部が覆われた第2部材とを含んで形成されている防火用閉鎖装置において、
前記閉鎖体は下方向が閉鎖方向になっているシャッターカーテンであり、前記閉鎖側先端部はこのシャッターカーテンの座板であり、前記相手部材は床であり、
前記座板が、加熱による第1部材の前記閉鎖方向への湾曲変形強度よりも第2部材の前記閉鎖方向への曲げ強度が大きい曲げ強度強大構造となって形成され、かつ、前記座板に、前記シャッターカーテンの厚さ方向への曲げ強度を低下させる曲げ強度低下手段が設けられ、
第1部材と第2部材の連結はこれらの第1部材と第2部材に挿入された挿入部材によってなされ、前記曲げ強度低下手段は、この挿入部材が貫通する第2部材の孔が前記座板の長さ方向の成分を有する長孔となっていることを含む手段であることを特徴とする防火用閉鎖装置の閉鎖側先端部構造。
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