JP3902505B2 - ドラムブレーキ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の制動に用いられるドラムブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車に制動装置の一つとしてあげられるドラムブレーキ装置は、自動車のタイヤホイールに固定されたドラムとの間で乾式摩擦を発生させることで制動動作を行わせるものである。
このうち、サービスブレーキ時にドラムの回転方向に拡開するブレーキシュウをリーディングシュウとし、その反対側のブレーキシュウをトレイリングシュウと称しているLT型のブレーキ装置において、パーキングブレーキ時においてデュオサーボ効果が得られるように構成したものがある。このようなドラムブレーキ装置しては、例えば特許第3245768号公報や、特開平10−110758号公報に記載されたものがある。このドラムブレーキ装置は、他端をアンカブロックに当接させるようにして一対のブレーキシュウを対向して配置し、このブレーキシュウの一端側をサービスブレーキの操作により拡開させるホイールシリンダと、ブレーキシュウの他端側をパーキングブレーキの操作により拡開させるアクチュエータとを備えている。また、アクチュエータの作動により回転してブレーキシュウの一端側を拡開させるための長尺状リンクが、一方のブレーキシュウに回転可能に枢着されている。
【0003】
さらに、ドラムブレーキ装置は、一対のブレーキシュウを縮径方向(ドラムブレーキ装置の中心方向)に付勢するための複数のスプリングが掛け渡されている。このスプリングのうち、ブレーキシュウの一端側どうしを縮径方向に付勢するものはアッパーリターンスプリングと呼ばれ、ブレーキシュウの他端側どうしを縮径方向に付勢するものはロアリターンスプリングと呼ばれている。ここで、初期状態におけるスプリングの特性として、ロアリターンスプリングがブレーキシュウの他端側間に作用させる付勢力は、アッパーリターンスプリングがブレーキシュウの一端側間に作用させる付勢力よりも常に大きくなるように設定されている。これは、パーキングブレーキの操作時に、ブレーキシュウの他端側よりも一端側を先に拡開させることで、ブレーキシュウの他端側とアンカブロックとの間に隙間が発生することを防止するためである。これにより、ブレーキシュウがドラムに当接しながらドラムの回転方向に移動した際に、ブレーキシュウの他端側とアンカブロックとが衝突して、異音が発生することを防止できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のドラムブレーキ装置を使用してライニングが摩耗した状態においても、前記したようにロアリターンスプリングが、アッパーリターンスプリングよりも大きな付勢力を得るようにすると、ロアリターンスプリングをブレーキシュウ間に掛け渡すことは困難であり、特に組立時に作業者に大きな力が要求されるという問題があった。これに加えて、ロアリターンスプリングは、一対のブレーキシュウにまたがって掛け渡されるために長い部品であるので、組み付けの作業性を低下させる原因となっていた。ドラムブレーキ装置は、車体に組み付けられた後にもメンテナンスのために一部の部品の着脱をする必要があるので、ロアリターンスプリングなどの各部品は着脱が容易な構造であることが望ましい。
また、異音の発生の原因としては、ストラットと、ブレーキシュウとの間に隙間が発生したり、揺動したりすることもあげられ、このような隙間を防止したり、揺動を防止したりする構成の開発が望まれていた。
したがって、本発明は、異音の発生を防止することを目的とする。また、そのような場合に組立作業性の良好なドラムブレーキ装置を提供することを目的とする。
【0005】
前記の課題を解決する本発明の請求項1に係る発明は、バッキングプレートに拡開可能に配設された一対のブレーキシュウと、前記ブレーキシュウの一端側に配置されたホイールシリンダおよび第一ストラットと、前記ブレーキシュウの他端側に配置されたアンカブロックおよびパーキングブレーキ用のアクチュエータと、前記第一ストラットと前記アクチュエータにそれぞれ係合して、前記アクチュエータが作動したときに、前記第一ストラットを押圧して一方の前記ブレーキシュウの一端を押し開かせてその反力で他方の前記ブレーキシュウを押し開かせるピボットレバーと、を備え、前記ピボットレバーが前記ブレーキシュウに対して回動または揺動可能に配設されたドラムブレーキ装置であって、前記一方のブレーキシュウに回動可能に取り付けられたリンクブラケットと、前記リンクブラケットと前記他方のブレーキシュウとの間に掛け渡されたリンクプレートと、前記リンクブラケットと前記一方のブレーキシュウとの間に掛け渡されたスプリングと、を備え、前記スプリングの付勢力は、前記リンクブラケットの、前記スプリングが取り付けられる取付部と、前記リンクブラケットの回動支点とを結ぶ直線よりも前記アンカブロックから離れる方向に付勢され、前記アクチュエータが作動したときに、前記一方のブレーキシュウの一端が最初に押し開かれ、制動力がさらに大きくなった場合には前記一方のブレーキシュウの他端が押し開かれるとともに前記リンクブラケットが回動して、前記リンクプレートには、前記他方のブレーキシュウを前記アンカブロック側に引っ張る力が作用するように構成され、前記スプリングの長手方向の中心軸から前記リンクブラケットの回動支点までの距離よりも、前記回動支点からリンクプレートまでの距離のほうが短くなるように構成されているドラムブレーキ装置とした。
【0006】
このように構成したドラムブレーキ装置は、スプリングの長手方向の中心軸から回動支点までの距離よりも、回動支点からリンクプレートまでの距離を短くすることで、リンクプレートに大きな力を作用させて、パーキングブレーキ作動時のブレーキシュウのウエブとアンカブロックとの衝突による異音の発生を確実に防止することができる。
【0007】
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載のドラムブレーキ装置において、リンクブラケットを付勢するスプリングの付勢力は、一対のブレーキシュウの一端側に掛け渡されているリターンスプリングが一対のブレーキシュウの一端側を縮径方向に付勢する付勢力よりも小さくなるように構成した。
【0008】
このように構成したドラムブレーキ装置は、従来に比べてスプリングの付勢力を充分に小さくすることができるので、スプリングの着脱を容易に行うことが可能になる。
【0009】
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載のドラムブレーキ装置において、リンクブラケットがピボットレバーの配設されているブレーキシュウに対向して配設されるブレーキシュウのバッキングプレート側の面に取り付けられている構成にした。
【0010】
このように構成したドラムブレーキ装置は、リンクブラケットとピボットレバーとが異なるブレーキシュウに取り付けられるので、両者の取り付けが容易になる。
【0011】
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1に記載のドラムブレーキ装置において、リンクプレートが、その着脱時に工具を挿入してリンクプレートをスライド移動させるための貫通孔を備えている構成にした。
【0012】
このようにして構成したドラムブレーキ装置は、貫通孔に挿通させた工具でリンクプレートを引っ張ることで、その着脱を容易にすることができる。また、リンクプレートに係合するリンクブラケットの着脱および調整が容易になる。
【0013】
本発明の請求項5に係る発明は、請求項4に記載のドラムブレーキ装置において、リンクプレートをスライド移動させる際の支点とすべく工具を挿通する支点用孔が形成されたリテイニングプレートがアンカブロックに取り付けられている構成にした。
【0014】
このように構成したドラムブレーキ装置は、リンクプレートの着脱にあたって、てこの原理を利用して工具がリンクプレートに及ぼす力を増大させることにより、少ない力でリンクプレートの着脱を行わせる。
【0015】
本発明の請求項6に係る発明は、請求項1に記載のドラムブレーキ装置において、第一ストラットにおけるブレーキシュウとの係合部、および/または、ブレーキシュウの浮き上がり防止のためにアンカブロックに取り付けられたガイド部に、ブレーキシュウを引き起こしてからバッキングプレートから取り外せるように傾斜面が形成されている構成にした。
【0016】
このように構成したドラムブレーキ装置は、第一ストラットやアンカブロックを取り付けた状態であっても、ブレーキシュウを斜めにすることで容易に着脱することが可能である。
【0017】
本発明の請求項7に係る発明は、請求項1に記載のドラムブレーキ装置において、第一ストラットが一対のブレーキシュウの配設間隔を自動的に調整するために第一ストラットとピボットレバーとに掛け渡されるアジャストレバーを支持する切欠き部を備え、アジャストレバーは、切欠き部との接触面積を減ずるように突起を備えている構成にした。
【0018】
このように構成したドラムブレーキ装置は、アジャストレバーと第一ストラットの切欠き部との接触面積を減ずることで、アジャストレバーの動きを滑らかに行わせることができる。
【0019】
本発明の請求項8に係る発明は、請求項1に記載のドラムブレーキ装置において、第一ストラットとブレーキシュウとの係合部において、第一ストラットがブレーキシュウに当接する面に傾斜面を有する溝を形成した構成とした。
【0020】
第一ストラットに形成した溝は、係合部における第一ストラットの位置決めに役立つ。第一ストラットがブレーキシュウに対して揺動することがなくなり、間隙調整機構の作動を安定させる。
【0021】
本発明の請求項9に係る発明は、請求項1に記載のドラムブレーキ装置において、リンクプレートとブレーキシュウとの係合部において、リンクプレートが前記ブレーキシュウに当接する面に傾斜面を有する溝を形成した構成とした。
【0022】
リンクプレートに形成した溝は、リンクプレートとブレーキシュウとの位置決めに役立つ。リンクプレートがブレーキシュウに対して揺動することがなくなり、異音の発生を防止する。
【0023】
本発明の請求項10に係る発明は、請求項5に記載のドラムブレーキ装置において、リテイニングプレートには、ブレーキシュウをホイールシリンダ側に移動させる際の支点として働く溝を有する構成とした。
【0024】
ブレーキシュウを移動させることで、ブレーキシュウ間の距離を短くすることが可能になる。この距離を短くすることで、リンクプレートの着脱が容易になる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本実施形態におけるドラムブレーキ装置の正面図であり、図2は図1のA−A線矢視図でドラムブレーキ装置が自動車に取り付けられた状態を示す図である。図3は図1のB−B線断面図であり、図4は図1の一部の構成要素を模式的に示した図である。
図2に示すように、ドラムブレーキ装置1は、自動車の車軸100に固定されたドラム101の内面に当接して、乾式摩擦により自動車を制動させる一対のブレーキシュウ2,3を備えている。図1に示すように、このブレーキシュウ2,3は、ドラムブレーキ装置1の中心軸に対して対称に配され、バッキングプレート4に拡開可能に支持されている。ブレーキシュウ2,3の一端2a,3aには、サービスブレーキのペダルに連動して作動するホイールシリンダ5が配設されており、他端2b,3bはアンカブロック6に当接している。また、他端2b、3b側には、パーキングブレーキのブレーキレバーに連動して作動するアクチュエータ7が配設されている。この他にも、一対のブレーキシュウの間には、一端2a,3a側にアッパーリターンスプリング9、および、第一ストラット10が掛け渡されており、他端2b,3b側にはリンクプレート11が配置されている。さらに、ブレーキシュウ2側には、アクチュエータ7と第一ストラット10に係合するピボットレバー8が配されている。
【0026】
図1および図4に示すようにブレーキシュウ2は、細長形状のウエブ21を有し、ウエブ21の外側面には摩擦要素であるライニング22が貼設されている。ウエブ21は、ピボットレバー8を独立に回動させるためにピボットレバー8から立設するロッドピン81を挿通させる貫通孔23を備え、他端2b側にアクチュエータ7を挿通させるための角窓24が形成されている。また、一端2a側には、その内側面に第一ストラット10を係合させるための切欠き21aが形成されており、外側面にはアッパーリターンスプリング9を掛け渡すための切欠き21bを備えている。他端2b側には、外側面にリンクプレート11を掛け渡すための切欠き21cを備えている。さらに、一端2aから他端2bに至る中間の内側面には、ピボットレバー8と当接する曲面を有する凹部25が形成されている。なお、このブレーキシュウ2は、図1に示す公知の保持機構12によりバッキングプレート4に揺動可能に支持されている。
【0027】
ブレーキシュウ3は、前記したブレーキシュウ2とほぼ対称な構成を有している。すなわち、ライニング32が貼設されたウエブ31を有し、一端3a側の内側面には、第一ストラット10と係合する切欠き31aを備え、外側面にはアッパーリターンスプリング9を掛け渡す切欠き31bを備えている。他端3b側は、アクチュエータ7を挿通させるための角窓34が形成されている。ここで、本実施形態におけるブレーキシュウ3には、他端3b側に、後に詳細を説明するリンクブラケット13の回動支点を挿通させる貫通孔35が形成されている。なお、このブレーキシュウ3は公知の保持機構12によりバッキングプレート4に揺動可能に支持されており、支持位置の近傍のウエブ31の内側面には、リンクブラケット13の回動を可能にするための窪み36が形成されている。
【0028】
ピボットレバー8は、ブレーキシュウ2の凹部25に線接触する曲面を有する凸部82を備え、ウエブ21と重なるように配置される。ピボットレバー8の一端8aは、第一ストラット10と係合し、他端8bは角窓83によりアクチュエータ7に係合可能になっている。前記したウエブ21の貫通孔23に挿通させるロッドピン81は、凸部82から一端8aに至る中間に配設されている。また、凸部82の一部が立設して係合部84を形成している。この係合部84は、ピボットレバー8とブレーキシュウ2とを係合させるために設けられている。本実施形態のピボットレバー8は、ウエブ21の凹部25よりも曲率半径の小さい曲面を有する凸部82を有し、ロッドピン81はウエブ21の貫通孔23は遊慣するので、凸部82と凹部25の線接触する位置を移動させながら、ブレーキシュウ2に対して独立に回動または揺動できる構成になっている。なお、ピボットレバー8は、アクチュエータ7の作動により回動して第一ストラット10を押圧する構成であれば、ブレーキシュウ2に一体的に回動する構造など、その他のいかなる構造を有しても良い。
【0029】
図2に示すようにアクチュエータ7は、パーキングブレーキのハンドレバーにワイヤなどで接続される操作レバー71と、操作レバー71にピン72で連結される第二ストラット73とから構成されている。操作レバー71は、湾曲した腕部にワイヤを固定する孔71aを備え、ピン72を挟んだ反対の端部はブレーキシュウ3の角窓34を挿通し、ブレーキシュウ3を押圧可能な突起部71bになっている。第二ストラット73は、ブレーキシュウ2の角窓24に挿通する第一突起部73aと、ピボットレバー8の他端8bの背面に沿う第二突起部73bを備えている。操作レバー71と第二ストラット73との間には、操作レバー71の突起部71bと、第二ストラット73の第一突起部73aとを近接させるように作用するストラットスプリング74が掛け渡されている。
【0030】
リンクプレート11は、図1に示すようにアクチュエータ7よりもアンカブロック6側に配置されている。このリンクプレート11は、ブレーキシュウ2の切欠き21cと、ブレーキシュウ3に回動可能に配置されるリンクブラケット13との間に掛け渡され、ブレーキシュウ2をアンカブロック6側に引き付ける役割を担っている。リンクプレート11は、所定の傾斜角度を有して配置されることが望ましい。傾斜方向は、ブレーキシュウ2側がホイールシリンダ5側(図1において上側)に、ブレーキシュウ3側がアンカブロック6側(図1において下側)になるように方向である。このような傾斜を有することで、ブレーキシュウ2の引き摺りを防止することができる。なお、図2に示すように、ブレーキシュウ2側は、切欠き21cに爪部11aが係合し、ブレーキシュウ3側は、屈曲部11bが、ウエブ31の角窓34およびリンクブラケット13を貫通して、係合している。なお、爪部11aにおいて切欠き21に当接する当接面11cは、傾斜面を有する溝で略V字型を有している。これは、ブレーキシュウ2からリンクプレート11が浮き上がることを防止し、リンクプレート11がブレーキシュウ2に対して揺動することを防止し、揺動による異音の発生を防止するためである。なお、底部11cの深さは、0.3mmから1.0mm程度が望ましい。
【0031】
リンクプレート11と係合するリンクブラケット13は、図4に示すように、リンクプレート11を挿通させる開口部41を有し、ウエブ31の貫通孔35に遊嵌する回動支点部42の回動中心点RCを中心にして、ブレーキシュウ3に対して回動可能に構成されている。このリンクブラケット13は、ブレーキシュウ3のウエブ31の裏面に沿って配置されるが、回動支点部42から離れた位置にある先端部分がウエブ31の表側に引き起こされて図1に示すブラケットスプリング15の取付部43になっている。
【0032】
図5に示すように、ブラケットスプリング15は、回転中心点RCと取付部43とを結ぶ直線L3(図4参照)よりも、外側(アンカブロック6よりも離れる方向)に形成されたウエブ31の掛け部37と取付部43との間に掛け渡されている。これにより、リンクブラケット13は、取付部43が直線L3よりも外側に向くように付勢される。また、リンクプレート11との係合部44(図4参照)は、前記した取付部43と回転支点部42とを結ぶ直線L3よりも、内側(ブレーキシュウ2に近接する方向)である。なお、リンクブラケット13をウエブ31の裏面に沿って配置し、かつ、取付部43はウエブ31の表側に引き起こさせることで、他の部品との干渉を防ぎ、特に、ブラケットスプリング15の着脱を容易にしている。
【0033】
このようなリンクブラケット13は、ブラケットスプリング15の付勢力を回動中心点RCを中心とする係合部44の回転させる力に変換している。これにより、リンクプレート11にはブレーキシュウ2をアンカブロック6側に引っ張るような力が作用する。この力は、図5に示すリンクブラケット13の回動中心点RCからブラケットスプリング15の長手方向の中心軸までの距離L1と、回動中心点RCからリンクプレート11までの距離L2の比であるレバー比に応じて、ブラケットスプリング15の付勢力を変化させることにより発生するものである。本実施形態では、リンクブラケット13のレバー比を設定することにより、リンクブラケット13に大きな力を発生させ、確実にブレーキシュウ2をアンカブロック6側に引き付けることが可能になっている。
【0034】
なお、レバー比を「2.0」以上にすると、従来のように他端2b,3bにスプリングを掛け渡すことでブレーキシュウ2,3を縮径方向に付勢する場合に比べて、ブラケットスプリング15の取付荷重を半分以下にすることができる。特に、アッパーリターンスプリング9がブレーキシュウ2,3を縮径方向に付勢する力よりも、ブラケットスプリング15が取付部43を付勢する力の方が小さくなるようにレバー比を設定すると、ブラケットスプリング15の取付荷重を充分に小さくすることができるので、ブラケットスプリング15の組付作業がさらに容易になる。また、ブラケットスプリング15の長さは、ブレーキシュウ2,3間に掛け渡されるスプリング(例えば、アッパーリターンスプリング9)に比べて短いが、このことも、ブラケットスプリング15の組付作業を容易にする効果をもたらす。
【0035】
図6に示すように、第一ストラット10は、ブレーキシュウ3の切欠き31aに係合するチューブ部材16と、ブレーキシュウ2の切欠き21aなどに係合するソケット部材17とをボルト部材18で連結させた構成を有している。ライニング22,32の摩耗などによりブレーキシュウ2,3間の距離を調整する必要が生じた際には、ボルト部材18が所定角度だけ回転し、第一ストラット10の全体長を長くする。
【0036】
チューブ部材16は、ブレーキシュウ3の切欠き31aに係合する係合溝54を有し、係合溝54の底部54aは、傾斜面を有する溝で略V字型になっている。これは、第一ストラット10とブレーキシュウ3との位置決めを確実に行うことで、第一ストラット10の揺動を防止する。これにより、アジャストレバー19の爪部19cとボルト部材18の歯車18aとの係合状態を安定させることができるので、シュウ間隙の調整機構の作動を安定させられる。なお、底部54aの深さは、0.3mmから1.0mm程度が望ましい。
【0037】
ソケット部材17は、中心軸上にウエブ21の切欠き21aを係合するための係合溝である第一段差部51と、第一段差部51を挟むように形成された第二段差部52および第三段差部53を有している。この第二段差部52は、ブレーキシュウ2の裏面に配置されるピボットレバー8を係合させるために用いられ、第三段差部53はブレーキシュウ2の表面に配置されるアジャストレバー19を係合させるために用いられる。また、第一段差部51は、開口幅を減ずるような勾配を持つ傾斜面51aを有している。この傾斜面51aは、後に説明するブレーキシュウ2の着脱作業の際に、斜めにブレーキシュウ2を差し込むために利用されるものであり、その勾配は、第一段差部51の最深部で、切欠き21aに当接する当接面51bから第二段差部52および第三段差部53に連なる開口にかけて、0度を超え30度以下の角度範囲内である。なお、そのような傾斜に相当するような段差を設けても同様の作用・効果を得ることができる。
【0038】
また、図1に示すようにアジャストレバー19は、ピボットレバー8のロッドピン81から第一ストラット10にかけて湾曲した形状を有しており、その途中において第一ストラット10の第三段差部53に係合するための係合部19aが分岐するように形成されている。ここにおいてアジャストレバー19は、ロッドピン81を貫通孔19bに挿通させ、第一ストラット10にはボルト部材18の歯車18aに爪部19cを係合させている。サービスブレーキ作動時にホイールシリンダ5の作動によりブレーキシュウ2,3の切欠き21a,31aの間隔が広がった際には、第一ストラット10はブレーキシュウ2に対して相対的に左に移動し、アジャストレバー19はピボットピン81を中心にして反時計回りに回動する。このときに回動量が所定量を超えた場合には、爪部19cが歯車18aを回動させる。これにより、前記したようにボルト部材18が所定角度だけ回転し、第一ストラット10の全体長が長くなる。
【0039】
なお、本実施形態においては、アジャストレバー19の係合部19aには突起19dが形成されている。この突起19dは、アジャストレバー19と第三段差部53との接触面積を減少させることで、アジャスタスプリング92の荷重の分力によりアジャストレバー19の爪部19cがボルト部材18の歯車18aを押さえる力を適正値に安定させ、ブレーキシュウ2の拡開時にアジャストレバー19が滑らかに作動させる効果を奏するものである。仮に突起がない場合には、第三段差部53の側壁53aとアジャストレバー19とが大きな接触面積を有することになるので、アジャストレバー19の爪部19cが歯車18aを押さえる力が不足して爪部19cが滑って空回りする可能性が生じる。そして、爪部19cが空回りしてしまうと第一ストラット10の自動間隙調整機能の発現を妨げることになる。なお、突起19dは平坦な係合部19aの一部を突出させるか、係合部19aを屈曲させることで形成されており、主な形成手法としてプレス加工があげられる。
【0040】
図1のC矢視図である図7に示すように、アンカブロック6は、一対のブレーキシュウ2,3の他端2b,3bが当接する当接面6a,6bを有している。当接面6a,6bは、リンクプレート11の傾斜角に合わせて、ブレーキシュウ2がアンカブロック6側にずり落ちるのを防止するために、ドラムブレーキ装置の中心軸に対して10度以下の傾斜角度を有することが望ましいが、そのような傾斜角度を有さない構造であっても良い。なお、中心軸とは、ホイールシリンダ5の中心と、アンカブロック6の中心を結ぶ線であり、傾斜角度の向きは、ドラムブレーキ装置1の外側に向かって、アンカブロック6の幅が増加する向きである。
【0041】
また、このアンカブロック6には、ブレーキシュウ2,3の浮き上がりを防止するためのリテイニングプレート61が装着されている。リテイニングプレート61は、ウエブ21,31と重なるようにアンカブロック6から突出するガイド部62と、アンカブロック6から立設するように延びる立設部63とを含む構成になっている。ガイド部62は、ウエブ21,31と略平行に延びて、ブレーキシュウ2,3の浮き上がりを防止する第一の部分62aと、ウエブ21,31から離れるように第一の部分62aに対して所定の角度を有する傾斜面を構成する第二の部分62bとを有する。第二の部分62bの傾斜角度は、第一の部分62aおよびウエブ21,31に対して、0度を超え30度以下の範囲内であり、この傾斜は後に説明するブレーキシュウ2,3の着脱の際に活用されるので、前記の第一ストラット10の傾斜面51aと同じ角度であることが望ましい。また、立設部63には、細長形状の貫通孔が形成されている。この貫通孔はリンクプレート11の着脱用の工具に、てこの力を作用させるための支点用孔64となる。
【0042】
次に、このようなドラムブレーキ装置1の動作について説明する。
まず、運転者がサービスブレーキのペダルを踏んだ場合には、図1に示すホイールシリンダ5が作動し、ブレーキシュウ2、3の一端2a、3aをそれぞれ押し開き、ライニング22,32をタイヤのドラム101(図2参照)に押し当てて、車体を制動させる。
【0043】
一方、運転者がパーキングブレーキのレバーを操作した場合には、アクチュエータ7が作動し、ピボットレバー8の他端8b(図4参照)とブレーキシュウ3の他端3bとが押し開かれる。この際に、ピボットレバー8は、ウエブ21との線接触部を移動させながら回動して、第一ストラット10を押圧し、ブレーキシュウ3の一端を押し開かせ、ピボットレバー8の凸部82はその反力でブレーキシュウ2を押し開く。この状態で、制動力がさらに大きくなった場合には、ブレーキシュウ3の一端3aがドラム101に押し戻されて、第一ストラット10を逆方向に押圧する。第一ストラット10は図6に示す第一段差部51の当接面51bが切欠き21aに当接するまで移動する。その後は、ブレーキシュウ3が第一ストラット10をアンカとして拡開し、デュオサーボ効果を発現する。この際において、リンクブラケット13は、そのレバー比によりブラケットスプリング15の付勢力を増幅させることで大きな力を発生させ、この力をリンクプレート11に作用させることで、ブレーキシュウ2をアンカブロック6側に引っ張っているので、ブレーキシュウ2の他端2b側が先に拡開せずに、一端2a側から拡開する。したがって、ブレーキシュウ2の他端部2bがアンカブロック6に衝突する際の異音の発生を防止できる。
【0044】
また、このようなドラムブレーキ装置1の組立時や、メンテナンス時におけるブレーキシュウ2の着脱、および、リンクプレート11の着脱について説明する。
ブレーキシュウ2およびリンクプレート11を装着する際には、最初にブレーキシュウ2を装着する。ブレーキシュウ2は、角窓24にアクチュエータ7の第一突起部73aを挿通させるようにして、斜めにアンカブロック6および第一ストラット10に差し込まれる。ここで、斜めに差し込むとは、図8(a)、(b)に示すように、前記した第一ストラット10の第一段差部51の傾斜面51aや、アンカブロック6のリテイニングプレート61のガイド部62の第二の部分62bに倣うようにウエブ21を差し込むことをいう。そして、その後に、ウエブ21をバッキングプレート4に対して平行になるように押し倒すと、ブレーキシュウ2の装着が完了する。
【0045】
同様にして、リンクブラケット13の予備組立を終えたブレーキシュウ3を装着したら、続いてリンクプレート11を装着する。図9(a),(b)に示すように、リンクプレート11を装着する際には、最初に屈曲部11bをウエブ31の角窓34およびリンクブラケット13の開部41に差し込む。この状態で、屈曲部11bを支点としてリンクプレート11を押し倒す。すると、リンクプレート11に形成されている長孔91の形成位置と、アンカブロック6のリテイニングプレート61の立設部63の支点用孔64の形成位置とが近接するので、作業者は、支点用孔64、長孔91の順番に補助時具W、例えばドライバを挿入する。そして、支点用孔64を支点として、工具Wを矢印方向に動かして、リンクプレート11をブレーキシュウ2側に押す。これにより、リンクプレート11の爪部11aがウエブ21の切欠き21cに嵌まり込む。この際に、リンクプレート11を移動させようとする力は、てこの原理により、支点用孔64を支点として増大されるので、作業者は少ない力でリンクプレート11を移動させることができる。
【0046】
一方、リンクプレート11を取り外すときは、支点用孔64、長孔91の順番に補助時具Wを挿入する。そして、支点用孔64を支点として、工具Wを矢印に動かして、リンクプレート11をブレーキシュウ2側に押す。これにより、リンクプレート11の爪部11aとウエブ21の切欠き21cとの係合が解かれる。そして、リンクプレート11の屈曲部11bをリンクブラケット13の開部41およびブレーキシュウ3の角窓34から抜き出すと、リンクプレート11が取り外される。この際においても、リンクプレート11を移動させようとする力は、てこの原理により、支点用孔64を支点として増大されるので、作業者は少ない力でリンクプレート11を移動させることができる。
【0047】
ブレーキシュウ2を取り外すときは、リンクプレート11が取り外されている状態で、図1に示す保持機構12を解除してからブレーキシュウ2を引き起こす。ブレーキシュウ2は、一端2a側が第一ストラット10の第一段差部51の傾斜面51aに当接するまで、他端2b側がアンカブロック6のリテイニングプレート61の第二の部分62bに当接するまで、引き起こすことができる。このように引き起こした後に、ブレーキシュウ2を斜めに取り外す。一旦、引き起こしてからブレーキシュウ2を取り外すことで、ドラムブレーキ装置1が車体に取り付けられた状態であっても、容易にブレーキシュウ2を取り外すことが可能である。
【0048】
ここで、リンクプレート11の着脱をさらに容易にするために、ブレーキシュウ2またはブレーキシュウ3をホイールシリンダ5側に移動させることで、ブレーキシュウ2,3間の距離を縮めても良い。この場合は、アンカブロック6のリテイニングプレート61の立設部63に形成された溝65(図7参照)を用いることが望ましい。この溝65をてこの支点としてドライバなどの工具を用いて、ブレーキシュウ2,3を押すことにより、ブレーキシュウ2,3が容易に移動する。特に、ブレーキシュウ2,3の他端2b,3bがガイド部62から外れると、ブレーキシュウ2,3がアンカブロック6から外れることになるので、ブレーキシュウ2,3間の距離を容易に変化させることが可能になり、リンクプレート11の着脱が容易になる。
【0049】
このような構成を有するドラムブレーキ装置1は、リンクブラケット13が発生させる力でブレーキシュウ2をアンカブロック6に引き付けることが可能になる。リンクブラケット13を付勢するスプリング(ブラケットスプリング15)の力は充分に小さいので、組み立てが容易である。また、ブレーキシュウ2を一旦傾斜させてバッキングプレート4に着脱させることができることも組み立てを容易にする効果を奏する。
【0050】
なお、本発明は前記の実施形態に限定されずに広く応用することができる。
例えば、リンクブラケット13をブレーキシュウ3に、ピボットレバー8をブレーキシュウ2に配置するとして説明したが、リンクブラケット13とピボットレバー8とをブレーキシュウ2またはブレーキシュウ3のどちらか一方に配置しても良い。この場合のリンクプレート11は、リンクブラケット13と、リンクブラケット13が配設されていない方のブレーキシュウ2,3との間に掛け渡される。
【0051】
また、リンクブラケット13のレバー比は、大きい程、付勢力の小さいブラケットスプリング15を使用することができるが、図2に示す車軸100や、図1に示すボルトなど、他の部材との衝突を避けるためには、レバー比の上限が3以下であることが望ましい。レバー比の下限は、前記した付勢力の削減による効果の実効を得るために、2以上であることが望ましい。
【0052】
【発明の効果】
請求項1によれば、レバー比に応じてブレーキシュウを引っ張る力を増幅することで、ブレーキシュウとアンカブロックとにより異音が発生することを確実に防止することができる。
請求項2によれば、スプリングの付勢力を充分に小さくすることができるので、スプリングの着脱を容易に行うことが可能になる。
請求項3によれば、リンクブラケットとピボットレバーとを異なるブレーキシュウに取り付けることにより、組立作業が容易になる。
【0053】
請求項4によれば、貫通孔に工具を挿通させてリンクプレートを引っ張ることでリンクプレートの着脱を容易にすることができる。
請求項5によれば、リンクプレートの着脱にあたって、てこの原理を利用することにより、少ない力でリンクプレートの着脱を行うことが可能になり、作業効率を向上させることができる。
請求項6によれば、第一ストラットやアンカブロックを取り付けた状態であっても、ブレーキシュウを斜めにすることで容易に着脱することが可能になる。
請求項7によれば、アジャストレバーと第一ストラットの切欠き部との接触面積を減ずることで、アジャストレバーの爪部が第一ストラットのボルト部材の歯車を押さえる力を安定させ、アジャストレバーの作動を滑らかに行わせることができる。
【0054】
請求項8によれば、ブレーキシュウの間隙調整機構の作動を安定させることが可能になる。
請求項9によれば、リンクプレートとブレーキシュウの揺動に起因する異音の発生を防止できる。
請求項10によれば、リンクプレートの着脱を容易に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態におけるドラムブレーキ装置を示す図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】ドラムブレーキ装置の構成要素の一部を模式的に示した図である。
【図5】ドラムブレーキ装置の一部拡大図である。
【図6】図1のC−C線断面図である。
【図7】図1のD矢視図である。
【図8】(a)、(b)はブレーキシュウの着脱を説明する説明図である。
【図9】(a)、(b)はリンクプレートの着脱を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 ドラムブレーキ装置
2,3 ブレーキシュウ
4 バッキングプレート
5 ホイールシリンダ
6 アンカブロック
7 アクチュエータ
8 ピボットレバー
9 アッパーリターンスプリング
10 第一ストラット
11 リンクプレート
11c 溝
13 リンクブラケット
19d 突起
51a 傾斜面
54a 溝
62b 第二の部分 (傾斜面)
64 支点用孔
65 溝
91 長孔

Claims (10)

  1. バッキングプレートに拡開可能に配設された一対のブレーキシュウと、
    前記ブレーキシュウの一端側に配置されたホイールシリンダおよび第一ストラットと、
    前記ブレーキシュウの他端側に配置されたアンカブロックおよびパーキングブレーキ用のアクチュエータと、
    前記第一ストラットと前記アクチュエータにそれぞれ係合して、前記アクチュエータが作動したときに、前記第一ストラットを押圧して一方の前記ブレーキシュウの一端を押し開かせてその反力で他方の前記ブレーキシュウを押し開かせるピボットレバーと、を備え、
    前記ピボットレバーが前記ブレーキシュウに対して回動または揺動可能に配設されたドラムブレーキ装置であって、
    前記一方のブレーキシュウに回動可能に取り付けられたリンクブラケットと
    前記リンクブラケットと前記他方のブレーキシュウとの間に掛け渡されたリンクプレートと、
    前記リンクブラケット前記一方のブレーキシュウとの間に掛け渡されたスプリングと、を備え、
    前記スプリングの付勢力は、前記リンクブラケットの、前記スプリングが取り付けられる取付部と、前記リンクブラケットの回動支点とを結ぶ直線よりも前記アンカブロックから離れる方向に付勢され、
    前記アクチュエータが作動したときに、前記一方のブレーキシュウの一端が最初に押し開かれ、制動力がさらに大きくなった場合には前記一方のブレーキシュウの他端が押し開かれるとともに前記リンクブラケットが回動して、前記リンクプレートには、前記他方のブレーキシュウを前記アンカブロック側に引っ張る力が作用するように構成され、
    前記スプリングの長手方向の中心軸から前記リンクブラケットの回動支点までの距離よりも、前記回動支点から前記リンクプレートまでの距離のほうが短くなるように構成されていることを特徴とするドラムブレーキ装置。
  2. 前記リンクブラケットを付勢する前記スプリングの付勢力は、前記一対のブレーキシュウの一端側に掛け渡されているリターンスプリングが一対の前記ブレーキシュウの一端側を縮径方向に付勢する付勢力よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のドラムブレーキ装置。
  3. 前記リンクブラケットは、前記ピボットレバーが配設されているブレーキシュウに対向して配設されるブレーキシュウの前記バッキングプレート側の面に取り付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドラムブレーキ装置。
  4. 前記リンクプレートは、その着脱時に工具を挿入して前記リンクプレートをスライド移動させるための貫通孔を備えていることを特徴とする請求項1に記載のドラムブレーキ装置。
  5. 前記リンクプレートをスライド移動させる際の支点とすべく前記工具を挿通する支点用孔が形成されたリテイニングプレートが前記アンカブロックに取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載のドラムブレーキ装置。
  6. 前記第一ストラットにおける前記ブレーキシュウとの係合部、および/または、前記ブレーキシュウの浮き上がり防止のために前記アンカブロックに取り付けられたガイド部に、前記ブレーキシュウを引き起こしてから前記バッキングプレートから取り外せるように傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のドラムブレーキ装置。
  7. 前記第一ストラットは、一対の前記ブレーキシュウの配設間隔を自動的に調整するために前記第一ストラットと前記ピボットレバーとに掛け渡されるアジャストレバーを支持する切欠き部を備え、前記アジャストレバーは、前記切欠き部との接触面積を減ずるように突起を備えていることを特徴とする請求項1に記載のドラムブレーキ装置。
  8. 前記第一ストラットと前記ブレーキシュウとの係合部において、前記第一ストラットが前記ブレーキシュウに当接する面に傾斜面を有する溝を形成したことを特徴とする請求項1に記載のドラムブレーキ装置。
  9. 前記リンクプレートと前記ブレーキシュウとの係合部において、前記リンクプレートが前記ブレーキシュウに当接する面に傾斜面を有する溝を形成したことを特徴とする請求項1に記載のドラムブレーキ装置。
  10. 前記リテイニングプレートには、前記ブレーキシュウを前記ホイールシリンダ側に移動させる際の支点として働く溝を有することを特徴とする請求項5に記載のドラムブレーキ装置。
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