JP3902251B2 - 画像形成装置およびこれを用いた画像形成方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、画像形成装置およびこれを用いた画像形成方法に関し、特に、二成分系現像剤を用いる画像形成装置およびこれを用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、画像形成装置には、電子写真複写機や、プリンタあるいはファクシミリ装置等がある。
【0003】
画像形成装置に用いられる画像形成方式のひとつに、像担持体として感光体を用いる方式がある。この方式は、一様帯電された感光体上に露光あるいは光書込み等によって静電潜像を形成し、この静電潜像を、現像材により可視像処理した画像を記録紙等の記録媒体に転写して複写物が得られる。この場合の可視像処理に用いられる現像剤としては、一例として、磁性キャリアとトナーとを混合した二成分系現像剤が用いられる。
【0004】
可視像処理に用いられるトナーは、その全てが記録紙に転写されることが理想であるが、実際には、その一部が感光体上に残留していることがある。
【0005】
従来、このような残留トナーを除去するためにクリーニング工程が設けられている。この工程では、感光体表面に当接するブレードあるいはブラシ部材を用いて残留トナーが機械的に掻き取られるようになっている。
【0006】
感光体上から掻き取られたトナーは、回収タンク等に収容されて廃棄されているのが現状であったが、近年、資源の節約が要望されるようになってきている。排トナーも同じように、リサイクルの対象とされている。
【0007】
そこで、従来では、クリーニング工程において感光体上から一旦排除したトナーを感光体上に再付着させ、そのトナーを可視像処理に用いられる現像装置内に回収してそのトナーを再利用する構成が提案されている。
【0008】
このような構成を備えた装置の一例としては、
(1)特開平5ー61388号公報
(2)特公昭61ー30274号公報
(3)特開平6ー51672号公報
に記載されたものがある。
【0009】
(1)の公報に記載された構成では、図28に示すように、像担持体である感光体ドラム100の周囲に、その感光体ドラム100の回転方向(図示矢印方向)に沿って電子写真複写プロセスを実行するための、帯電部101、露光部102、複数の現像器103、中間転写ドラム104、回転ブラシ105がそれぞれ配置され、さらに、中間転写ドラム104の外周に転写器106および回転ブラシ105に接触する回収ローラ107とこの回収ローラ107に接続されたバイアス電源108を備えている。
【0010】
上記構成が有するクリーニング装置は、回転ブラシ105、バイアス電源108が該当している。
【0011】
上記構成において、感光体ドラム100に接触して回転可能な回転ブラシ105は、感光体ドラムに接触して回転することにより摩擦帯電を起こし、感光体上での残留トナーの極性を反転させて掻き取り、掻き取られたトナーを、バイアス電源108によりトナーと反対極性に設定されている回収ローラ107に転移させるようになっている。特に、回転ブラシ105の材質として、掻き取られた時点で反転されているトナーの極性に対してトナーの仕事関数に大小関係を持たせたものが選択されるようになっている。
【0012】
(2)の公報に記載された構成では、図29に示すように、感光体ドラム100の周囲に感光体ドラム100の回転方向に沿って電子写真複写プロセスを実行するための帯電部・露光部とで構成された潜像形成部110、現像部111、転写部112、転着ローラ113がそれぞれ配置されている。転着ローラ113には、切り換えスイッチ114を介してバイアス電源115が接続されている。
【0013】
上記構成が有するクリーニング装置は、転着ローラ113および切り換えスイッチ114を含むバイアス電源115が該当している。
【0014】
上記構成において、1回の複写プロセス中で感光体ドラム100上に残留するトナーの極性と反対極性のバイアス電圧を印加された転着ローラ113は、感光体ドラム100上に残留しているトナーを一旦吸着し、感光体ドラム100の表面のうちで画像形成に影響しない領域に対して上記したバイアス電圧とは逆極性のバイアス電圧を印加されることにより、いままで吸着していたトナーを感光体ドラム100上に再付着させて現像部に移送するようになっている。
【0015】
(3)の公報に記載された構成では、その構成を図示しないが、感光体に当接する導電性部材を設け、感光体上での画像形成領域に相当する通紙部が導電性部材と接触する場合には導電性部材に残留トナーを吸着し、感光体上での非画像部に相当する非通紙部が導電性部材に接触する場合には導電性部材に吸着されていたトナーを感光体上に再付着させ、現像装置に移送し、同装置での静電気力によって、感光体上に再付着している残留トナーを回収するようになっている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記各公報に記載の構成では、いずれも、クリーニング工程において感光体上に残留しているトナーを静電的に吸着し、再度、感光体上に付着させて現像部に向けトナーを移送し、現像部において回収して再利用することを原理としている。
【0017】
しかし、これら公報に記載の構成には、次のような問題があった。
【0018】
一般に、転写工程において記録紙に転写される感光体上のトナーは、転写バイアスにより、いままで保有していた電荷の極性が反転するものもあり、所謂、正・負両極性を帯びていることが多い。
【0019】
このため、(2)、(3)の公報に記載の構成では、クリーニング工程において感光体上から吸着されるトナーが一方の極性のもののみとなり、他方の極性を帯びたトナーは感光体上に依然として残留している。このため、感光体上から全てのトナーを除去することが期待できない。
【0020】
しかも、(2)の公報に記載の構成では、クリーニングの一工程である除電工程を実施するためにコロナ放電とランプとを用いているために、構造の複雑化に加えてオゾンの発生という問題を招く。
【0021】
これら各公報に記載の構成に対して(1)の公報に記載された構成では、クリーニング工程において吸着される極性が摩擦帯電によって一様化されるものの、そのための構成としてファーブラシを用いている。このため、トナーとブラシとの接触確率が低い。従って、トナーの極性を反転させるに充分な摩擦力が得にくく、完全に残留トナーを回収することができないという問題がある。しかも、ファーブラシに加えて、このファーブラシに吸着されたトナーを回収するための回収部材をさらに付設することが必要になることから、構造が複雑化することは否めない。
【0022】
クリーニングの際に感光体上に残留しているトナーに対し、一様な帯電電荷を保有させ、この帯電電荷と逆極性のバイアスを付与することにより残留トナーの吸引を確実に行うようにすることが可能であるが、この場合には、そのバイアスの極性に影響されて一様な帯電電荷を保有する残留トナーの一部の極性が反転してしまうことがある。特に、現像装置において印加される現像バイアスの極性と逆極性のバイアスを用いる転写処理においてその転写バイアスの極性にトナーの帯電電荷が変化し、吸引の際に用いるバイアスと同極性になってしまうことがある。
【0023】
このため、感光体への再付着のために、クリーニングの際にバイアスの極性をトナーの帯電電荷の極性と同極性とし、トナーの反発による感光体上への転移に必要な高い電圧を印加した場合でも、極性が変化して再付着の際のバイアス極性と逆極性になっているトナーは、感光体上へ転移しないで、そのままクリーニング部材に付着したままとなり、これにより、トナーを現像装置によって回収する際の回収効率が低下するという虞れがある。
【0024】
さらに加えて、この場合には、これら変化した極性をもつトナーを含めクリーニング工程において感光体上から吸着された残留トナーを感光体に向け反発により転移させて再付着させるためには、トナー全ての極性を一様化するためにそれなりの帯電方式が必要になる。
【0025】
従来、クリーニング工程においてクリーニング部材に吸着保持されたトナーを一様な極性に揃えて帯電させる方式として、摩擦帯電が用いられている。これは、感光体とクリーニング部材とを接触させ、その接触している領域をトナーのニップ部とし、そのニップ部での感光体とクリーニング部材との移動速度を異ならせることにより、摩擦帯電させるようになっている。
【0026】
しかし、摩擦帯電による極性揃えを良好に行うには、ニップ部がかなり大きくなり、これによって、クリーニング部材も大型化してしまい、装置構造の大型化を招く結果となる。
【0027】
しかも、クリーニング部材におけるニップ部を大きくすると、クリーニング部材で残留トナーを吸着する領域が少なくなり、感光体からの残留トナーの回収が良好に行えなくなる場合もある。さらに加えて、クリーニング部材をローラで構成した場合には、ニップ部が大きくなるにつれ、周長方向での残留トナーの吸着領域が少なくなることにより、クリーニング部材に吸着保持されているトナーがニップ部近傍に接近する確率が高くなる。この場合、転写工程に用いられる転写バイアスは、クリーニング部材での残留トナーの吸引バイアスに比べてかなりの高電位が用いられているので、感光体に近接したクリーニング部材上のトナーは、バイアス電位の差によって感光体の画像域側に吸引されて逆転移してしまうことになる。
【0028】
従って、感光体上の画像域にトナーが逆転移した場合には、ニップ部で摩擦帯電されるトナーの量が異常に増加することによって摩擦帯電に対する負荷を増大させてしまうことになり、摩擦帯電による極性変換が一律に行えなくなり、感光体上からの残留トナーの全てをクリーニング部材に吸着保持することが困難になる虞れがある。
【0029】
また、クリーニング部材により感光体表面から吸着保持されたトナーを再度感光体に再付着させる場合、感光体に対するクリーニング部材の移動方向の如何に拘らず、クリーニング部材の移動方向長さ未満の領域でトナーの吸着保持を行うと、常にその部分のみがトナーの吸着保持および再付着に用いられてしまうことになる。このため、例えば、クリーニング部材をローラによって構成した場合には、周方向で局部的な接触が繰り返されることになり、その部分での摩耗が顕著となり、トナーの吸着保持および再付着によるクリーニング特性が低下して残留しているトナーの全てを回収することができなくなる虞れがある。
【0030】
感光体は、その材質によっては、転写工程時および、クリーニング工程時に印加されるバイアス電圧の影響を受けて帯電する。通常、このような感光体の帯電は、次回の画像形成前に除電されるが、感光体の材質によっては、除電できない場合がある。除電のための構成としては、感光体として用いられる光導電性層の特性から、ランプを用いた光除電が行われるが、この光による除電が有効とされる電荷の極性は負極性である。しかし、近年、OPC等の有機体を光導電性層として用いた場合には、正極性電荷が残留することがあり、この場合には光除電が行えない場合がある。このため、次回での帯電工程で設定される表面電位が一様でなくなり、静電潜像の電位が変化し、現像した際の画像濃度に悪影響を及ぼすことにもなりかねない。
【0031】
画像形成プロセスに用いられる工程の一つである転写工程では、感光体と接触可能な導電性部材が用いられ、給送されてくる転写紙を挾持搬送しながら、転写バイアスを印加して感光体上の画像を転写紙上に静電転写するようになっている。しかし、このような転写に用いられる導電性部材は、転写紙の挟持搬送が終了すると同時に転写バイアスも停止されるのが普通であるが、転写紙の後端付近では、感光体と導電性部材とが近接していることにより転写バイアスの影響が感光体上の残留トナーに及び、感光体上に残留するトナーを導電性部材の表面に向け静電吸着されてしまう場合がある。このため、導電性部材の表面に付着したトナーが、次に搬送されてくる転写紙の裏面に転移し、所謂、転写紙の汚れの原因となることがある。
【0032】
さらに、クリーニング工程において感光体上に残留しているトナーを回収する場合として、画像形成装置を始動した直後あるいはウォーミングアップ時等の初期化を実行する時、さらには、何かの原因、例えば、紙詰り(ジャム)等が原因して転写前に装置が停止した後、再度、感光体を回転させて感光体の初期化のためにクリーニングを実行する場合がある。
【0033】
後者の場合、感光体上には転写のために担持されているトナーを含め、かなりの量のトナーが付着している。このため、クリーニング部材によるトナーの吸着を行なおうにも、トナーの量が多過ぎて全てを吸着することができず、その一部が感光体上に残留したままとなることがある。このため、例えば、帯電装置として感光体上に接触する接触式の帯電装置を用いた場合には、帯電装置と感光体表面との間に残留トナーが入りこんでしまい、これによって、一様な帯電処理が実行できなくなる。一様な帯電処理が行なわれない場合には、感光体上での白スジの発生の原因となり、不良画像が得られてしまう。
【0034】
この不具合を解消する目的で、上記(3)の公報に記載されているように、クリーニング部材に作用する電界の強度を高めるために電圧を制御することが考えられる。しかし、このような場合には、クリーニング部材へのトナーの吸着時および感光体上への再付着時に作用する電界の強度に対応して電界の作用方向の切り換えされることおよび比較的高い除電電位の付加が繰返されることになるので、感光体での光導電性層の静電疲労が顕著になることがあり、感光体の寿命を短くしてしまう虞れがある。
【0035】
また、クリーニング工程に用いられるクリーニング部材は、感光体に接触して感光体上に残留しているトナーを除去する機能を備えているが、常に感光体表面に接触した状態を維持されている場合には、感光体の停止時、感光体表面の同じ位置に接触していることになる。このため、クリーニング部材としてクリーニングローラが用いられている場合を対象としている場合には、感光体表面がクリーニングローラに含有されている成分の析出あるいは感光体の感光層を構成する材料とクリーニングローラに含有されている成分との間に化学反応が起り、感光体の表面の一部が他の部分よりも変態することになり、これによって、次の感光体始動時に得られる画像の一部に画像抜けによる白スジが発生してしまうという問題があった。
【0036】
さらに、感光体が停止した場合には、クリーニングローラとの対向位置において形成されるニップ部にトナーが残留していると、経時的にトナーが変質してしまうことがある。特に、高温高湿な環境条件下においては、トナーが固形化してしまい、その部分でのクリーニングローラの特性である弾性機能を失いやすくなり、感光体表面からのトナーの排除機能が低下する虞れがあった。
【0037】
上記のようなクリーニング不良が発生すると、クリーニング工程後に実施される帯電工程において、帯電部材が感光体に接触して電荷注入を行う方式を用いている場合、帯電部材に残留トナーが付着してしまい、結果として、一様帯電を行うことができなくなる。
【0038】
そこで、本発明の第1の目的は、簡単な構成で、像担持体上の転写後の残留トナーの全てをクリーニング部材に完全に吸着できる構成を備えた画像形成装置を提供することにある。
【0039】
本発明の第2の目的は、像担持体上に残留しているトナーの全てを回収するための構成を装置の大型化を招くことなく可能にすることができる構成を備えた画像形成装置を提供することにある。
【0040】
本発明の第3の目的は、感光体上の残留トナーのクリーニング性能の向上及び感光体上の残留トナーを現像部で回収して再利用するトナーリサイクルを図ることができる画像形成装置を提供することにある。
【0041】
本発明の第4の目的は、像担持体の初期化処理を含め、クリーニング工程に至る前に画像形成装置が停止した後、再度、装置を始動する時あるいはウォーミングアップ時に像担持体上に残留する多量のトナーによるクリーニング不良を防止して不良画像の形成や像担持体の寿命を損ねることを防止できる画像形成装置を提供することにある。
【0042】
本発明の第5の目的は、画像上での白スジ等の発生を防止することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【0043】
本発明の第6の目的は、感光体等の像担持体と対向するクリーニング部材との間に形成されるニップ部内での残留トナーの排除を確実に行うことによって均一帯電が可能な画像形成装置を提供することにある。
【0044】
本発明の第7の目的は、次回の画像形成に際しての一様帯電を可能にすることができる画像形成方法を提供することにある。
【0045】
本発明の第8の目的は、画像形成プロセスに用いられる構成部品、特に像担持体と接触する転写装置から転写紙へのトナーの転移を防止して転写紙の裏汚れを防ぐことができる画像形成方法を提供することにある。
【0046】
本発明の第9の目的は、像担持体上に残留しているトナーの全てを回収することができる画像形成方法を提供することにある。
【0047】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、請求項1記載の発明は、像担持体と、その像担持体の表面に押圧させた状態で配置されている回転可能な導電性ローラからなるクリーニング部材とを備え、上記像担持体に対する1回の画像形成プロセス中に一方向への電界を付与して上記像担持体表面に付着している残留トナーを上記クリーニング部材に吸着保持し、次いで、上記電界の方向を切り換えて、上記吸着保持されているトナーを上記像担持体上における次回の画像形成に影響しない領域に再付着させて上記画像形成プロセスに用いられる現像部に移送して、現像部において上記移送されたトナーを静電的に回収する画像形成装置において、上記クリーニング部材は、上記像担持体に接触して配置され、像担持体と速度差を有して回転し、像担持体とのニップ部で転写後に像担持体に付着している残留トナーを摩擦帯電し、そのトナーを同一極性に帯電させるクリーニングローラと、上記クリーニングローラに電圧を印加し、同一極性に帯電した上記像担持体上の残留トナーを上記クリーニングローラに吸着させる電圧印加手段とを具備し、上記クリーニングローラは、上記像担持体との当接部にニップ部を形成して残留トナーを擦ることにより摩擦帯電するときに上記電圧印加手段による同一極性に帯電したトナーと逆極性の電圧印加によって、残留トナーを吸引し、吸引した残留トナーを像担持体に戻す際には上記電圧印加手段による印加される電圧の極性を切り換えられることを特徴としている。
【0048】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、上記クリーニング部材が具備している電圧印加手段に加えて、上記画像形成プロセスに用いられる現像装置に電圧印加手段を備え、上記クリーニング部材が具備している電圧印加手段は、クリーニングローラに付着して回収されたトナーを再使用する時、上記クリーニングローラによる回収時とは逆向きの電圧を印加し、クリーンニングローラ上に付着して回収されたトナーを像担持体上で次の画像形成が行なわれる領域以外の領域に再付着させるとともに、上記現像装置に備えられている電圧印加手段は、上記像担持体上に再付着したトナーを吸着可能な電極の電圧を上記現像装置に印加することを特徴としている。
【0049】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、上記クリーニング部材が具備している電圧印加手段および上記現像装置に備えられている電圧印加手段に加えて、上記画像形成プロセスに用いられる転写装置に電圧印加手段を備え、上記転写装置に備えられている電圧印加手段は、クリーニングローラに付着して回収されたトナーを再使用する時、上記クリーニングローラによる回収時とは逆向きの電圧を像担持体に印加して像担持体の表面を帯電させることにより、クリーンニングローラ上に付着して回収されたトナーを像担持体上で次の画像形成が行なわれる領域以外の領域に再付着させるとともに、上記現像装置に備えられている電圧印加手段は、上記像担持体上に再付着したトナーを吸着可能な電極の電圧を上記現像装置に印加することを特徴としている。
【0051】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、上記クリーニング部材は、残留トナーを上記像担持体上に再付着させる際の電界方向の切り換え順序として、最初に、上記像担持体上から残留トナーを吸引できる方向の電界が形成され、次いで吸引した残留トナーを上記像担持体上に向け転移させる方向の電界が形成される順序に設定されていることを特徴としている。
【0052】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の画像形成装置において、上記クリーニング部材は、最初に形成される電界の電圧が、クリーニング部材と像担持体との接触による摩擦帯電によってトナーに生起される帯電電荷の極性と反対極性で、かつ像担持体から吸引する際に用いられる電圧よりも高い電圧に設定されていることを特徴としている。
【0055】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、上記クリーニング部材は、硬度がアスカC20〜38度に設定されたゴムで構成され、上記像担持体に対しての押圧力が3g/cm以上、上記像担持体との線速比が1未満に設定されて上記像担持体の移動方向と順方向に移動することを特徴としている。
【0056】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、上記クリーニング部材は、硬度がアスカC20〜38度に設定されたゴムで構成され、上記像担持体に対しての押圧力が3g/cm以上に設定されて上記像担持体の移動方向と逆方向に移動することを特徴としている。
【0058】
請求項8記載の発明は、請求項4記載の画像形成装置において、上記クリーニング部材は、像担持体から回収されて付着しているトナーを像担持体に向け転移させることが可能な電圧を印加するための複数の電圧制御手段を備え、
上記複数の電圧制御手段は、上記クリーニングローラに保持されているトナーが感光体に向かうような電界の強さが異なることを特徴としている。
【0059】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の画像形成装置において、電源オン直後またはウォームアップ中に感光体上のトナーを除去するために、現像後のトナーがクリーニングローラに向かうような電界を形成する電圧制御手段を働かせ、次にクリーニングローラ上のトナーを感光体上に再付着させ、かつその時の電圧制御手段が作像中の電圧制御手段より強い電界を形成することを特徴としている。
【0060】
請求項10記載の発明は、請求項8記載の画像形成装置において、作像停止の一定時間経過後、感光体上にトナーを再付着させ、かつその時の電圧制御手段が作像中の電圧制御手段より強い電界を形成することを特徴としている。
【0061】
請求項1 1記載の発明は、請求項8記載の画像形成装置において、一定枚数に1度通常と異なった強い電界の電圧制御手段で感光体上にトナーを再付着させることを特徴としている。
【0076】
【作用】
請求項1記載の発明では、記録時、像担持体とともにクリーニングローラが回転し、それらの間で、転写後、像担持体上に残留しているトナーを擦り、それを同一極性に帯電してクリーニング部材にて静電的に吸着する一方、同時に電圧印加手段によりクリーニング部材に電圧を印加し、同一極性に帯電した像担持体上の残留トナーをクリーニング部材にて吸着し、像担持体表面をクリーニングする。
【0077】
請求項2記載の発明では、クリーニング部材にて吸着した回収トナーを再使用するとき、電圧印加手段でクリーニング部材に吸着時と逆向きの極性を持つ電圧を印加し、クリーニング部材に付着しているトナーを次の画像が形成される領域以外の領域に再付着させ、その再付着したトナーを現像装置に印加されている吸着可能な極性の電圧により現像装置側に向け戻すことにより回収する。
【0078】
請求項3記載の発明では、クリーニング部材により吸着されている回収トナーを再利用する時、転写装置で像担持体表面を帯電させ、クリーニング部材に吸着されているトナーを次の画像形成が行なわれる領域以外の領域に再付着させると共に、その再付着しているトナーを現像装置に印加されている電圧の極性を利用して現像装置側に向け吸着させて戻すことにより回収する。
【0079】
請求項4および5記載の発明では、クリーニング部材に吸引保持された残留トナーのうちの一部のものが吸着保持に必要な極性と反対極性に極性を反転させて付着していても、印加される電界の方向が切り換えられることにより、像担持体上に向け転移する。
【0081】
請求項6記載の発明では、像担持体の移動方向と順方向にクリーニング部材が移動する場合においても、像担持体の摩耗が最も少ない臨界硬度が得られると共に、トナーの摩擦帯電が最も有効に行なわれる臨界圧力および摺擦速度が得られる。
【0082】
請求項7記載の発明では、像担持体の移動方向と逆方向にクリーニング部材を移動させてトナーの摩擦帯電に必要な摺擦状態が得られる。
【0084】
請求項8記載の発明では、クリーニングローラに吸着・保持したトナーの量等に応じて前記複数の電圧制御手段により前記電界の強さを最適に設定することが可能となり、確実に感光体上にトナーを再付着させることができ、現像部に移送して回収することができる。
【0085】
請求項9記載の発明では、現像後のトナーがクリーニングローラに向かうような電界を形成する電圧制御手段を働かせ、次にクリーニングローラ上のトナーを感光体上に再付着させ、かつその時の電圧制御手段が作像中の電圧制御手段より強い電界の電圧制御手段で感光体上にトナーを再付着させるので、ジャム後、現像後のM/Aの多いトナーを除去するためクリーニングローラ上に増加し保持されたトナーをも感光体上に全て再付着させることができ、現像部に移送して回収することができる。
【0086】
請求項10記載の発明では、例えば、A3原稿でA4転写紙を通紙した時のように異常な量の入力トナーが発生した時にも、クリーニングローラ上に増加したトナーを全て感光体上に再付着させることができ、現像部に移送して回収することができる。
【0087】
請求項11記載の発明では、紙厚や環境等で転写率が低下し転写残トナー量が増え、そのトナーを除去して増加したクリーニングローラ上のトナーを全て感光体上に再付着させることができ、現像部に移送して回収することができる。
【0099】
【実施例】
以下図面に示した実施例により本発明の詳細を説明する。
【0100】
図1は、本発明の実施例を示す画像形成装置の基本的構成を示す模式図である。
【0101】
図1において画像形成装置1は、像担持体として、感光体ドラム2を備えている。以下、像担持体が感光体ドラム2である場合を対象としてい説明する。
【0102】
感光体ドラム2は、表面にOPC等の有機体からなる感光層を有し、図示しない駆動装置により、図示矢印方向に回転可能に設けらているものであり、その周囲には、回転方向に沿って、画像形成プロセスを実行するための帯電装置3、露光装置4、現像装置5、転写装置6、クリーニング装置7および除電装置11がそれぞれ配置されている。
【0103】
帯電装置3は、感光体ドラム2に対して接離可能に設けられており、そのための構成は図2に示されている。
【0104】
図2において、帯電装置3は、感光体ドラム2に対し接触して電荷注入する方式が用いられている。このため、帯電装置3は、感光体ドラム2の表面に当接可能な導電性部材からなる帯電ローラ3Aを備え、この帯電ローラ3Aは、昇降可能なブラケット3Bに対して昇降可能な支持坂3A2に嵌合している回転軸3A1により回転自在に支持されている。これにより、帯電ローラ3Aは、感光体ドラム2に当接すると、感光体ドラム2の回転に連れ回ることができるようになっている。回転軸3A1は、ブラケット3Bの支持板3A2との間に配置されたコイルバネ3Cにより通常、感光体ドラム2側に向け移動することができる習性を付与されている。
【0105】
ブラケット3Bは、アングル片で構成され、その上片が昇降軸3Dに固定されている。
【0106】
昇降軸3Dは、ブラケット3Bの固定部が平坦面に形成されたロッド部材であり、後述する昇降駆動片3Eの昇降動作に応じてブラケット3Bを昇降させて帯電ローラ3Aを感光体ドラム2に対して接離させることができる。
【0107】
昇降駆動片3Eは、ソレノイド3Fのアクチュエータ3F1に連結されている。ソレノイド3Fは、その本体とアクチュエータ3F1との間に配置されたコイルバネ3F2を備えており、通常時、非励磁状態を維持され、この状態でコイルバネ3F2の付勢によりアクチュエータ3F1を上昇させている。従って、ソレノイド3Fの通常時には、帯電ローラ3Aが感光体ドラム2から離される向きに移動することができる。
【0108】
ソレノイド3Fの非励磁状態は、帯電工程時以外の期間に設定されている。これにより、帯電ローラ3Aは、帯電工程時のみ感光体ドラム2に当接して感光体ドラム2の感光層を一様帯電することができる。
【0109】
図1において、帯電装置3は、帯電ローラ3Aに接続されている電源3Gを備えており、この電源3Gは帯電ローラ3Aに対して、―850Vの帯電電位を付与する回路と接地回路とが設けられている。これら各回路に対しては、帯電ローラ3Aが感光体ドラム2に当接している時に上記帯電電位を付与できる回路が接続されるようにスイッチ3Hが設けられている。
【0110】
スイッチ3Hは、図示しないアクチュエータなどによって手動あるいは自動操作されて作動するマイクロスイッチやトランジスタなどの電子部品が適用される。このスイッチの構成は、以下に述べる各装置に装備されているスイッチに対しても同様である。
【0111】
露光装置4は、画像読み取り装置からの画像書込み信号によりレーザ光を用いた光書込み形式が用いられ、感光体ドラム2の感光層に静電潜像を形成するようになっている。なお、露光装置4の構成としては、結像光学系を用いて原稿載置台上の原稿を露光する形式を用いることも可能である。
【0112】
現像装置5は、磁気ブラシ現像装置が用いられている。本実施例での磁気ブラシ現像装置は、摩擦帯電しているトナーを磁性キャリアに磁性的に吸着させた二成分系現像剤が用いられる。このため、現像装置5には、現像槽5A内において、感光体ドラム2の表面に近接して回転可能な現像スリーブ5Bとトナーの摩擦帯電用撹拌スクリュウ5Cとが設けられている。
【0113】
現像スリーブ5Bは、感光体ドラム2と対向する内部に配置された現像主極をなす磁極および現像剤を搬送するための搬送磁極をそれぞれ配置されて表面に磁気ブラシを担持することができる。
【0114】
磁気ブラシは、ドクター部材5Dによって現像スリーブ5B表面での担持量を規制されたうえで感光体ドラム2に形成されている静電潜像に接触することで潜像の可視像処理を行なうことができる。
【0115】
現像スリーブ5Bには、表面に担持した現像剤中のトナーを感光体ドラム2の静電潜像に対して静電的に吸着させやすくするための現像バイアスを付与する電源5Eが接続されている。電源5Eは、現像スリーブ5Bに対して―600Vの電圧を付与する回路と+150Vの電圧を付与する回路とが設けられ、これら各回路に対しては、スイッチ5Fによって切り換え設定されるようになっている。
【0116】
現像装置5における現像スリーブ5Bへの電圧の切り換えは、現像時と、後で詳しく説明するが、感光体ドラム2上に残留付着して現像時と逆極性に反転させられているトナーを吸引する時とに行なわれるようになっている。図1に示す構成では、現像時に、―600Vの電圧が、そして、トナーの吸引時には、+150Vの電圧が選択されるようになっている。これにより、現像時には、現像スリーブ5Bから感光体ドラム2に向けてトナーの反発転移が容易に行なわれ、またトナー吸引時には、極性が反転しているトナーの吸引転移が容易に行なわれることになる。
【0117】
転写装置6は、ウレタンゴム中にカーボン等の導電材を混入して感光体ドラム2に当接可能な半導電性ローラにより構成されており、転写バイアスを付与するための電源6Aに接続されている。
【0118】
電源6Aは、転写バイアスとしての電圧である+950Vを付与する回路と、接地回路と、図示しないが、転写バイアス電位以上の電圧を付与する回路とを備え、これら各回路に対してはスイッチ6Bにより切り換えられるようになっている。
【0119】
転写バイアスは、給紙装置8から給送される転写紙Sに対して感光体ドラム2上に担持された可視像を静電的に転写させる時に付与される。転写バイアス電位以上の電圧を付与する回路は、感光体ドラム2における残留トナーの再付着領域が対面した時に接続されるようになっている。
【0120】
転写バイアス以上の電圧を付与する理由は次の通りである。
つまり、現像装置5における現像バイアスによって―極性に帯電しているトナーの一部が感光体ドラム2の画像形成域後端近傍に残留し、そのトナーが転写バイアス(+950V)により転写装置6の半導電性ローラに吸引されて付着し、正極に帯電してしまっている場合、そのトナーを感光体ドラム2の再付着領域に向け転移させるためである。
【0121】
給紙装置8は、転写紙Sを収容している給紙カセットから繰り出される転写紙Sを感光体ドラム2上の画像先端位置と整合させて給送するための一対のレジストローラ8Aを備えている。
【0122】
クリーニング装置7は、感光体ドラム2に対して接離可能に設けられており、そのための構成は図3に示されている。
【0123】
図3において、クリーニング装置7は、後述する接離手段70によって感光体ドラム2に対し接離可能に支持されているクリーニングローラ7Aを備えている。
【0124】
クリーニングローラ7Aは、回転軸7A1を有し、この回転軸7A1が、ローラ7Aの周面の一部を露出させることができる形状に形成されているクリーニングケース7Bにより摺動自在に設けられている支持板7Cによって回転可能に支持されている。支持板7Cは、クリーニングケース7Bとの間に配置されているコイルバネ7Dによってクリーニングローラ7Aを感光体ドラム2に向け移動させる習性が付与されている。
【0125】
クリーニングローラ7Aは、転写後、感光体ドラム2に当接して、感光体ドラム2との接触位置で同ドラム2と同一方向に移動することができる回転方向を設定されているが、その回転速度は、感光体ドラム2の周速よりも僅かに速い速度に設定され、感光体ドラム2に付着している残留トナーを擦るようになっている。図1に示した構成では、上記クリーニングローラ7Aの回転速度が、感光体ドラム2の回転速度の1.4倍程度に設定されている。
【0126】
クリーニングケース7Bは、図3に示すように、上片部に支軸7B1が挿通されており、この支軸7B1を支点として揺動することができるようになっている。
クリーニングケース7Bは、クリーニングローラ7Aを感光体ドラム2に当接させる方向とクリーニングローラ7Aを感光体ドラム2から離す方向とに揺動することができるようになっている。クリーニングローラ7Aを感光体ドラム2から離すために、下片と不動部との間に引張バネ7Eが設けられている。
【0127】
クリーニングローラ7Aは、感光体ドラム2に対して接離可能に設けれているが、そのための接離手段70は、クリーニングケース7Bの揺動を行わせるために設けられている揺動駆動部7Fによって構成されている。
【0128】
揺動駆動部7Fは、偏心カム7F1、カム軸7F2、一方向回転クラッチ7F3、ソレノイド7F4、クラッチレバー7F5を備えている。
【0129】
偏心カム7F1はカム軸7F2に固定され、カム軸7F2は一方向回転クラッチ7F3に連結されている。
【0130】
一方向回転クラッチ7F3には、その胴部の相対位置に係止突起7F3Aが形成されている。この係止突起7F3Aには、ソレノイド7F4のアクチュエータ7F4Aに連結されて揺動可能なクラッチレバー7F5の一方の揺動端が対向するようになっている。
【0131】
一方向回転クラッチ7F3は、偏心カム7F1の大径部がクリーニングケース7Bの背面に当接するときと少径部がクリーニングケース7Bの背面に当接するときとでカム軸7F2の回転を停止させるようになっている。このため、一方向回転クラッチ7F3は、胴部に有する係止突起7F3Aが180度の位相を以て設けられている。
【0132】
ソレノイド7F4は、図示しない制御部によって駆動制御されるようになっており、通常時に相当する非励磁状態として、アクチュエータ7F4Aを突出させる状態に維持されている。このため、クラッチレバー7F5は、図において反時計方向に揺動し、一方向回転クラッチ7F3の係止突起7F3Aに係合することができるようになっている。ソレノイド7F4が励磁される時は、偏心カム7F1とクリーニングケース7Bとの当接関係を変更する場合である。
【0133】
偏心カム7F1の大径部がクリーニングケース7Bの背面に当接した時には、クリーニングローラ7Aが感光体ドラム2の表面に当接し、偏心カム7F1の小径部がクリーニングケース7Bの背面に当接した時には、クリーニングローラ7Aが感光体ドラム2の表面から離間することができる。
【0134】
図1において、クリーニングローラ7Aには、クリーニング用電源7Gが接続されている。
【0135】
クリーニング電源7Gは、+300Vと−500Vと図示しないが+500Vとを付与する回路が設けられており、これら各回路に対してはスイッチ7Hを介してクリーニングローラ7Aと接続されている。これら各回路は、いずれもトナーの転移に寄与する電界を形成するために設けられているものである。
【0136】
+300Vを付与する回路は、感光体ドラム2上に残留しているトナーを吸引するための電界を形成する場合に選択され、−500Vおよび+500Vを付与する回路は、クリーニングローラ7Aにより、感光体ドラム2上の画像形成領域に存在している残留トナーの吸引が終了した時点で、吸引した残留トナーを感光体ドラム2に向け転移させるための電界を形成する場合に切り換え選択される。
このようなバイアス電圧の切り換えは、次の理由による。
【0137】
現像装置5により可視像処理された感光体ドラム2上での画像には、現像バイアスにより負極に帯電したトナーが付着している。
【0138】
転写工程において転写紙Sに転写される際の画像中のトナーに対しては、転写バイアスにより、正極の帯電が生じる。このため、転写工程後に感光体ドラム2上に残留しているトナーは、正・負両極性のものが混在している。図4はこの状態を示している。
【0139】
一方、転写工程後にクリーニングローラ7Aと接触するトナーは、図5に示すように、クリーニングローラ7Aと感光体ドラム2との接触位置に相当するニップ部において、両者間での周速の違いにより摩擦帯電される。摩擦帯電により生起される極性は、図5に示すように、全てを負極に設定される。このため、負極に転じた残留トナーは、クリーニングローラ7Aに付与されている電源回路7Gからの電圧である+300Vの電圧により形成される一方向への電界によって吸引される方向に転移し、感光体ドラム2上から除去される。クリーニングローラ7Aの材質としては、バイアス電圧を印加できる導電性を備え、かつ、摩擦帯電によりトナーの極性を負極に設定できるものが選択される。
【0140】
他方、クリーニングローラ7A上に転移したトナーは、感光体ドラム2における画像形成領域がクリーニングローラ7Aを通過し終わった時点で、クリーニングローラ7Aに付与される電源回路7Gからの電圧である−500Vの電圧により形成される他方向への電界によってクリニングローラ7Aの表面から反発し、感光体ドラム2の表面に再付着することになる。
【0141】
感光体ドラム2上に再付着したトナーは、感光体ドラム2の回転に伴い、現像装置5における現像スリーブ5Bに対向した時、現像バイアスの極性が正極に切り換えられていることにより、吸引されて回収される。
【0142】
図1に示す構成では、このようなクリーニング装置7でのバイアス制御により、感光体ドラム2上に残留しているトナーの除去と現像装置5によるトナーの回収を実現している。
【0143】
なお、図1中、符号9は、転写紙Sに残留している電荷を除電する除電針、符号10は、図示しない定着装置に向け転写紙Sを搬送するための搬送装置を、また、符号11は、感光体ドラム2の移動中に点灯しているランプで構成された除電装置をそれぞれ示している。
【0144】
以下に、各請求項に記載された発明の実施例を説明する。
【0145】
図6は、請求項1乃至3記載の発明の実施例を説明するためのタイミングチャートである。なお、以下に説明する画像形成工程では、ネガ画像からポジ画像を形成する場合を対象としている。
図1および図6において、画像形成開始のために図示しない操作部においてプリントボタンがオン(ON)されると、感光体ドラム2が回転を開始する。このとき、帯電装置3では、ソレノイド3Fが励磁されることにより帯電ローラ3Aが感光体ドラム2に当接するとともに、電源3Gでスイッチ3Hが切り換えられることにより、「−850V」の負極電圧により一様帯電が実行される。
【0146】
一様帯電された感光体ドラム2は、帯電工程後、露光装置4により光書込が行われて静電潜像が形成される。潜像のうち、黒ベタ画像に対応する箇所での感光体ドラム2の表面電位は「−150V」になっている。
【0147】
静電潜像が形成された感光体ドラム2は、その表面を現像装置5の現像スリーブ5Bに対向させ、静電潜像の可視像処理が行われる。このとき、現像装置5では、現像スリーブ5Bに対し、電源5Eから「−600V」の現像バイアスが印加されている。従って、現像スリーブ5Bに担持されている現像剤中のトナーは、静電潜像に向け転移し、静電潜像の可視像化を可能にする。
【0148】
静電潜像が可視像化された可視画像を担持している感光体ドラム2は、転写装置6に対向する。
【0149】
転写装置6では、電源6Aから「+950V」の転写バイアスが印加されており、これによって、感光体ドラム2上に担持されている可視画像中のナーは、給紙装置8から繰り出される転写紙Sに対して吸引付着される。
【0150】
転写紙Sは、感光体ドラム2から剥離され搬送装置10により図示しない定着装置に向け搬送され、定着装置において、転写されたトナーが加熱融着させられる。
【0151】
転写工程を終了した感光体ドラム2は、クリーニング装置7に向け移動し、感光体ドラム2における画像域に残留しているトナーを吸引して現像装置5により回収させるクリーニング工程が実行されるが、その表面には、転写工程において転写されなかった残留トナーが存在している。
【0152】
残留トナーは、図4において説明したように、印加された転写バイアスによって正・負両極性のものが混在がしているが、実際には、転写バイアスと現像バイアスとの差により、正極に帯電しているトナーの残留量がきわめて多い。
【0153】
クリーニング装置7では、感光体ドラム2における画像形成領域に相当する1枚目の画像域への画像形成が開始される時点を含む、プリントボタンがONされた時点からクリーニングローラ7Aが感光体ドラム2の表面に当接させられている。
【0154】
なお、帯電装置3は、画像域後端が帯電工程を終了した時点で、感光体ドラム2の表面から離され、感光体ドラム2上での帯電電位が「0V」にされる。
【0155】
クリーニングローラ7Aの当接動作は、図3において説明した接離手段70が備えているソレノイド7F4の励磁状態が切り換えられることにより行われる。
ソレノイド7Fの励磁状態が切り換えられると、偏心カム7F1の大径部がクリーニングケース7Bの背面に当接する状態が設定される。これにより、感光体ドラム2の表面とクリーニングローラ7Aとの当接範囲がニップ部を構成し、そのニップ部内にて残留トナーが摩擦帯電されることにより負極に帯電する。このとき、クリーニングローラ7Aに対し、電源7Gから「+300V」の電圧が印加され、摩擦帯電により負極に転じた残留トナーをクリーニングローラ7Aに吸引することができる。
【0156】
一方、感光体ドラム2上から画像域後端での残留トナーを吸引したクリーニングローラ7Aは、電源7Gからの印加電圧が、上記したトナーの吸引用としての「+300V」から、現像装置5において印加される現像バイアスの極性である負極の「−500V」に切り換えられ、感光体ドラム2とクリーニングローラ7Aとの間の電界の方向が変化させられる。
【0157】
クリーニングローラ7Aに対する「−500V」への電圧切り換え期間は、クリーニングローラ7Aによる感光体ドラム2の1枚目の画像域後端が通過し、次の画像域先端に至るまでの間の領域が通過する期間に相当させてある。これにより、感光体ドラム2の表面には、画像形成に関係しない領域に対してクリーニングローラ7Aに吸引されたトナーが反発転移して再付着することができるようになっている。
【0158】
クリーニングローラ7Aにより1枚目の画像域に残留するトナーが吸引された感光体ドラム2は、クリーニング装置7を通過して除電装置11により表面電位を「0V」に設定されたうえで帯電装置3に対向するが、帯電装置3は感光体ドラム2から離れ、かつ電源3Gからの電圧の印加が行われない状態に設定されているので、帯電工程を実施されることなく現像装置5に向け移動する。
【0159】
感光体ドラム2上での1枚目の画像域後端が帯電装置3を通過した時点で感光体ドラム2の表面電位が「0V」に設定されるが、実際には、転写バイアスおよびクリーニングローラ7Aからの印加電圧による影響を受けて、転写後には「+20V」、クリーニング工程終了後には「−50V」程度に帯電する。しかし、これら感光体ドラム2上での表面電位は、感光体ドラム2が除電装置11を通過する際に一応表面電位を低減されて除電されるので、感光体ドラム2とトナーとの間の静電的な関係が除外される。
【0160】
現像装置5は、感光体ドラム2上での1枚目の画像域後端が現像スリーブ5Bを通過した時点で、電源からの5Eからの印加電圧が切り換えられる。印加電圧は、現像バイアスとして機能する「−600V」から「+150V」に切り換えられる。
【0161】
現像装置5では、現像スリーブ5Bに対する印加される電圧の極性が現像時と反転されているので、感光体ドラム2上に担持されて移送されてきたトナーの極性と反対極性となる関係であることから、感光体ドラム2上の残留トナーが現像スリーブ5Bに向け転移して回収される。
【0162】
クリーニング装置7でのクリーニングローラ7Aは、感光体ドラム2上での1枚目の画像域後端が通過した時点から感光体ドラム2上にトナーを再付着させることができる移動量に相当する1回転に至るまでの間、回転し、1回転を経過した後に感光体ドラム2から離される。これにより、感光体ドラム2における画像域に対してトナーの逆転移を行わせないようにして、地肌汚れを防止できるようになっている。
【0163】
現像装置5を通過した感光体ドラム2は、クリーニング装置7と対向するも、クリーニングローラ7Aと非接触な状態にあるので、そのまま除電装置11により残留する表面電位を除電されて次回の帯電工程に備えられる。
【0164】
図7は、上記した残留トナーの回収工程を複数枚の転写紙が給送される間で実行されるときのタイミングチャ−トを示している。図7において、複数枚の転写紙が給送される間でのトナーの回収は、1枚目に実施された工程と同じであるが、感光体ドラム2からの残留トナーの吸着保持後に実施される再付着時での回転速度を、前述した線速比において1未満とするのでなく、1以上に設定することにより、次回の画像形成に用いられる工程である給紙工程期間(図中では、紙間と称する)での感光体ドラム2へのトナーの再付着に要する時間を短くすることができるので、2枚目の画像形成までの時間を短縮することができる。
【0165】
次に、請求項4および5記載の発明の実施例について説明する。
【0166】
上記した構成において、クリーニングローラ7Aにて吸引したトナーが転写バイアスの影響を受けてニップ部での摩擦帯電によっても正極に反転したままである場合があり、この場合には、上記した再付着用の負極の電圧を付与してもクリーニングローラ7A上に付着したままとなる。
【0167】
そこで、このような場合に対処するため、ニップ部において摩擦帯電しているトナーの吸引に用いられるバイアス電圧と同極性でその電圧よりも高い値である+500Vの電圧が用いられ、この電圧の付与によって、正極に帯電しているトナーを感光体ドラム2の再付着領域に転移させるようになっている。
【0168】
このため、クリーニングローラ7Aは、感光体ドラム2の画像形成域後端を開始位置として、次回の画像形成域に影響しない領域に相当するトナーの再付着領域に対面した時、2回転するようになっており、最初の回転時には、感光体ドラム2からのトナーの吸引を行える極性の電圧のうちで、正極に帯電しているトナーを感光体ドラム2に向け反発転移させて再付着させることができる電圧(+500V)の付与による電界が形成され、次回の回転時には、トナーの摩擦帯電による極性と同極性であって吸着保持されているトナーを感光体ドラム2に向けて反発転移させることにより再付着させることのできる電圧(−500V)の付与による電界が形成されるようになっている。
【0169】
本実施例は以上のような構成であるから、その動作を説明を図1に示した構成および図8及至図11に示すタイミングチャートを基にして説明すると、次の通りである。なお、以下に説明する画像形成工程では、ネガ原稿からポジ画像を形成する場合を対象としている。
【0170】
感光体ドラム2上からのトナーを回収するための基本的な動作は、請求項1乃至3記載の発明の実施例と同様である。
【0171】
本実施例では、次の点に特徴を有する。
感光体ドラム2からクリーニングローラ7Aに向け残留トナーを吸引する場合および感光体ドラム2に向け再付着させる場合には、クリーニングローラ7Aに印加される電圧の極性が重要となるが、このバイアス電圧が付与される残留トナーは、図5に示すニップ部において摩擦帯電されて負極性になるものの、一部が転写時でのバイアス電圧の極性により反転することもある。正極に反転したクリーニングローラ7A上のトナーは、感光体ドラム2への再付着時にクリーニングローラ7Aに印加される負極のバイアス電圧である「−500V」の影響によりクリーニングローラ7A上に付着したままとなる。
【0172】
そこで、本実施例では、このような反転した極性をもつトナーを含め、クリーニングローラ7A上に吸引された全てのトナーを感光体ドラム2に向け再付着させることを特徴としている。
【0173】
図8は、図6および図7に示した基本的な動作に対して上記した反転極性を有するトナーをクリーニングローラ7Aから感光体ドラム2に対して再付着させる場合の実施例を示すタイミングチャートである。
【0174】
図8において、クリーニングローラ7Aは、感光体ドラム2での再付着領域に対面した時、2回転し、その最初の回転時に感光体ドラム2からのトナーの吸引用バイアス電圧である「+300V」よりも高い「+500V」の電圧が付与され、2回転時には、トナーの吸引用バイアス電圧と極性を反転させた「−500V」の電圧が付与される。最初に付与される電圧は、前述したように、ニップ部での摩擦帯電しているトナーの吸引に用いられるバイアス電圧と同極性で、かつ、それよりも高い電圧に相当させてある。
【0175】
極性の切り換えは、クリーニングローラ7Aに吸引保持されているトナーのうちで、正極に反転しているトナーを反発させることにより感光体ドラム2に向け再付着させた後、負極を有するトナーを感光体ドラム2に向け再付着させる順序が設定されている。
【0176】
一方、現像装置5では、通常の回収時に印加されるバイアス電圧に対し、正極に反転したトナーが感光体ドラム2に再付着された場合に対処するために、図中、一点鎖線で示すタイミングにより負極を有するトナーを回収する際に付与される正極のバイアス電圧である「+150V」よりも低い電圧が設定され、この電圧とクリーニングローラ7A側でのバイアス電圧との差により、正極に反転しているトナーが現像装置5側に向け転移しやすい状態が設定されている。このように、正極に反転しているトナーを先に感光体ドラム2上に再付着させて現像装置5に回収するのは、現像装置5内で摩擦帯電した際の極性変更に要する時間を確保するためである。
【0177】
正極に反転したトナーの回収を終えた現像装置5では、負極に帯電しているトナーの回収を可能にするためのバイアス電圧である「+150V]に切り換えられ、感光体ドラム2上に再付着しているトナーの回収を可能にしている。
【0178】
ところで、上記した実施例においては、転写工程時およびクリーニング工程時において、感光体ドラム2は、バイアス電圧を印加されることにより帯電する。具体的には、転写工程後には「−20V」に、また、クリーニング工程後には「+50V」に帯電している。本実施例に用いられる除電装置11は、光除電方式であるので、感光体ドラム2の材質としてOPCなどの有機体を用いた場合には負極帯電に対してのみ有効である。従って、正極に帯電した感光体ドラム2の表面電位の極性を負極に反転させたり、あるいは、負極であっても、除電しやすい表面電位にまで下げることが必要となる。
【0179】
図9および図10は、この場合の実施例を示しており、図9では、感光体ドラム2の移動過程において、トナーの再付着が行われた後、そのトナーが現像装置5により回収されてから感光体ドラム2が対面する転写装置6において、感光体ドラム2の表面電位の極性が負極に反転されて帯電を行うようになっている。
【0180】
図10では、感光体ドラム2に再付着されたトナーが現像装置5により回収された後、クリーニング装置7に対面したとき、クリーニング装置7により表面電位の極性が負極に反転されて帯電させられている。
【0181】
転写装置6あるいはクリーニング装置7によって極性を負極に設定された感光体ドラム2は、除電装置11に対向したとき、光除電により表面電位を「0V」に設定され、次回の帯電工程での一様帯電を可能にすることができるようになっている。
【0182】
本実施例によれば、除電装置による除電処理の負担を軽減することにより、画像形成プロセス中での除電工程に要する時間を短縮することができる。
【0183】
本実施例においては、クリーニング装置7による感光体ドラム2上からの残留トナーの吸引保持および感光体ドラム2への再付着を行うにあたり、これと同じ手法を用いて転写装置のクリーニングを行うようになっている。
【0184】
転写装置6は、感光体ドラム2に対し、転写紙Sを挾持搬送する以外の間は接触している。このため、感光体ドラム2上における画像域後端近傍は、この位置に近接する転写装置6の半導電性ローラからの転写バイアスの影響を受ける。従って、感光体ドラム2上において現像装置5により回収されなかったトナーが存在している場合には、転写バイアスにより転写装置6にトナーが転移して付着し、この付着したトナーが次に挾持搬送される転写紙Sの裏面に転移して、所謂、転写紙Sの裏汚れを招くことがある。
【0185】
そこで、本実施例では、転写装置6を構成する転写ローラに対するバイアス制御を行うことにより、ローラ表面に付着しているトナーを感光体ドラム2に再付着させて転写装置6での自己クリーニングが行えるようになっている。
【0186】
図11は、この場合の実施例を示すタイミングチャートであり、同図において、感光体ドラム2におけるトナーの再付着が行われる領域が転写ローラに対向したとき、転写装置7では、クリーニング装置7において実施される電界方向の反転切り換えと同様な手順により再付着領域間内で電界方向の反転切り換えが実行される。これにより、転写ローラ表面に付着しているトナーの極性に拘らず、全ての付着トナーを感光体ドラム2におけるトナーの再付着領域に付着させることができる。
【0187】
なお、帯電装置3の構成としては、図1に示した接触形式に限らず、図12に示すようにコロナ放電方式や針状電極を接触させて帯電を行える構成とすることも可能であり、また、クリーニング装置7に関しても、接離可能なものではなく、感光体ドラム2の表面に対してトナーに接触可能で電荷注入が行える程度の隙間を設けてクリーニングローラを不動状態に設けることも可能である。さらに、クリーニングローラへのバイアス電位の極性を切り換えて電界の方向を変化させることに限らず、バイアス電圧および極性を一定とし、感光体側での極性及び表面電位の設定によって電界の方向を切り換えるようにしてもよい。
【0188】
次に請求項6および7に記載された発明の実施例を説明する。
【0189】
図1において、クリーニング装置7が有するクリーニングローラ7Aは、アスカCが20〜38度、好ましくは38度に設定されたゴムからなる導電性弾性部材で構成され、感光体ドラム2に対する押圧力が3g/cmに設定されて感光体ドラム2の回転方向と順方向に回転するようになっている。
【0190】
クリーニングローラ7Aのこのような特性のうち、感光体ドラム2に対する押圧力は、図13に示すように、ニップ領域を少なくしても摩擦帯電が充分に行えクリーニングローラ7Aに付与されている吸引用のバイアス電位によって最も多くのトナーが吸引できるための極性に摩擦帯電できる臨界値であり、また、硬度は、図14に示すように、上記圧力による感光体ドラム2の摩耗が抑制される臨界値である。これにより、感光体ドラム2の摩耗を促進することなく少ないニップ領域を設定した場合でも、吸引される残留トナーに対する一様な極性の設定が行え、クリーニングローラ7A側へのトナーの転移を良好に行わせることができるようになっている。
【0191】
クリーニングローラ7Aは、感光体ドラム2に当接して、感光体ドラム2との接触位置で同ドラム2と同一方向に移動することができる回転方向を設定されているが、その回転速度は、感光体ドラム2の周速に対し、線速比において1未満の関係となる速度に設定されている。これにより、感光体ドラム2の移動方向と順方向に移動、つまり回転するクリーニングローラ7Aは、ニップ部において同方向に移動した場合での摺擦を良好に行うことができ、感光体ドラム2との間に形成されるニップ部でのトナーに対する摩擦帯電が効率よく行われる。従って、ニップ部では、感光体ドラム2に残留しているトナーの全てを同じ極性、この場合には負極に摩擦帯電させることができる。しかも、クリーニングローラ7Aは、その周長未満の領域に感光体ドラム2の画像域に残留しているトナーを吸引する関係を設定されている。これにより、一旦、クリーニングローラ7Aに吸引されて吸着保持されたトナーは、再度、感光体ドラム2の画像域に対向することがない。
【0192】
このような構成において、クリーニング装置7では、図6および図7に示した場合と同様な作用が得られるが、感光体ドラム2における画像形成領域に相当する1枚目の画像域への画像形成が開始される時点を含む、プリントボタンがONされた時点からクリーニングローラ7Aが感光体ドラム2の表面に当接させられていること、この場合の感光体ドラム2に対するクリーニングローラ7Aの押圧力は、クリーニングローラ7Aが感光体ドラム2の回転方向と同じ順方向に回転する場合であるので、前述したように、3g/cmであり、そして、線速比が1未満に設定されていること、および、感光体ドラム2の回転方向に沿った画像域の長さがクリーニングローラ7Aの周長未満となる関係に設定されていることを理由として、一旦、クリーニングローラ7Aに吸着されたトナーは、再度、感光体ドラム2の画像域と対向する位置に達することがない。従って、クリーニングローラ7Aにより残留トナーを吸引された感光体ドラム2の画像域後端がクリーニングローラ7Aに吸着保持されたトナーと対向することがないので、クリーニングローラ7Aに吸着保持された残留トナーは、画像域での帯電電荷の影響を受けることがなく、これにより、感光体ドラム2の画像域へ逆転移を起こすことがない。
【0193】
ところで、感光体ドラム2における画像域に残留しているトナーを吸引するクリーニングローラ7Aは、その周長と画像域との関係を次の関係とすることも可能である。
【0194】
上記実施例では、画像域に残留しているトナーがクリーニングローラ7Aの周長未満の領域において吸引されるようになっているが、単に、周長を基準とした場合には、感光体ドラム2の回転方向に沿った画像域の長さを、転写に供される領域である感光体ドラム2の回転方向に沿った静電潜像形成領域の長さに応じて変化させなければならない。このため、本実施例では、クリーニングローラ7Aの周長を、画像域における最大画像域の長さを含むことができる長さに設定されている。これにより、最大画像域の長さに達しない画像域を対象として残留トナーの吸引を行う場合には、クリーニングローラ7Aを1回転させるまでもなく、残留トナーの全てを吸引し、かつ、吸引したトナーを画像域に逆転移させることがない。
【0195】
また、上記静電潜像形成領域の長さに応じて感光体ドラム2の画像域から残留トナーを吸引するために、感光体ドラム2の回転速度に対するクリーニングローラ7Aの回転量を変更することもできる。この場合には、転写紙のサイズ検知を行い、転写紙のサイズ、特に感光体ドラム2の回転方向に沿った転写紙の長さを検知し、この検知結果に応じて、クリーニングローラ7Aの回転速度を変更し、回転量を制御するようにすればよい。これにより、最大画像域の長さからその長さに達しない画像域の全てを対象としてクリーニングローラ7Aによる画像域からの残留トナーの吸引を行う場合、画像域の長さに関係なく、クリーニングローラ7Aの周長未満、特に、1周未満で画像域からの残留トナーの吸引が行えるとともに、吸引したトナーを画像域に逆転移させるような事態が防止される。
【0196】
上記ニップ部での摩擦帯電は、上記した実施例における感光体ドラム2とクリーニングローラ7Aとの回転方向を異ならせることによっても行なえるようになっている。
【0197】
この場合、クリーニングローラ7Aは、アスカC20〜38度、好ましくは、図14に示したように、感光体の摩耗量が最小となる38度の硬度を設定されたゴムによって構成され、感光体ドラム2に対する押圧力が3g/cmに設定されている。この設定条件とする理由は、上記実施例と同様である。
【0198】
感光体ドラム2の回転速度に対するクリーニングローラ7Aの回転速度は、線速比において1未満とすることに限らず、等比に設定され、クリーニングローラ7Aの回転方向は感光体ドラム2との対向位置であるニップ部において感光体ドラム2の移動方向と逆方向になる回転方向に設定されている。
【0199】
このような構成によれば、感光体ドラム2とクリーニングローラ7Aとが相反する方向に移動するので、ニップ部での摺擦度合いが強められ、トナーの摩擦帯電が効率よく行える。なお、クリーニングローラ7Aの周長に対して、画像域の長さが極端に短い場合には、上記線速比を1以上として回転数を増加させ、ニップ部での摺擦度合いを高めて摩擦帯電効率を向上させるようにしてもよい。この場合においても、クリーニングローラ7Aの周長未満の領域で感光体ドラム2の画像域に残留しているトナーを吸引することが前提となっていること勿論である。
【0200】
このような実施例によれば、少ないニップ領域とした場合においても、摩擦帯電に必要な条件、特に、残留トナーの極性を一律化させるための条件を満足させることができる。
【0201】
また、感光体ドラム2の画像域からの残留トナーの吸引は、クリーニングローラ7Aの周長未満の領域で実行されるので、吸引されたトナーが再度、画像域に達することがなく、画像域に残っているバイアス電位の影響を受けることがない。これにより、感光体ドラム2の画像域に向けて吸引されたトナーが逆転移するような事態が阻止される。
【0202】
ところで、上記した実施例においては、感光体ドラム2の回転方向とクリーニング装置7におけるクリーニングローラ7Aとの回転方向が順方向に設定されていた。
【0203】
この場合には、図4において示したように、転写後、感光体ドラム2上に残留しているトナーの極性がクリーニングローラ7Aと感光体ドラム2との周速差による摩擦帯電によって極性を一律化されるのが本来の目的であるが、残留しているトナーの全ての極性が一律化されるように帯電しているとは限らず、残留しているトナーの全体での極性の傾向が一律化されているのが現状である。このため、残留トナーには、摩擦帯電による極性と逆極性のままのものや極性をもたないもの(以下、これを不摩擦トナーという)も含まれている。従って、感光体ドラム2上の残留トナーがクリーニングローラ7Aによりニップ部において機械的に掻き取られるが、逆極性のままのトナーや不摩擦トナーは、ニップ部での間隙において作用している静電気力によって感光体ドラム2に対して逆転移することになり、クリーニング不良が発生する虞れがある。
【0204】
このような不具合は、感光体ドラム2とクリーニングローラ7Aとの回転方向に原因があり、感光体ドラム2表面からクリーニングローラ7A側に掻き取られたトナーが感光体ドラム2の移動と同じ方向に移動して感光体ドラム2の表面に対向したままであるためである。
【0205】
そこで、感光体ドラム2の回転方向に対して、ニップ部で相対方向に移動する方向にクリーニングローラ7Aの回転方向を設定する。これにより、図5に示すように、残留トナーをクリーニングローラ7A側に掻き取られた感光体ドラム2の表面がクリーニングローラ7A側に吸着保持されたトナーと対向することがないので、クリーニングローラ7Aに吸着保持された残留トナーが感光体ドラム2に逆転移することがない。
【0206】
しかし、このようなクリーニングローラ7Aの回転方向の設定を行い、かつ、残留トナーの吸着保持、および、感光体ドラム2への再付着をクリーニングローラ7Aの周長以下の長さにおいて繰り返した場合には、感光体ドラム2から吸着保持されるべき残留トナーの一部が残ってしまい、完全に回収することができない場合がある。以下にその理由を説明する。
【0207】
図16は、クリーニングローラ7Aの周長未満の長さの領域でトナーの吸着保持および再付着を行う場合の模式図である。
【0208】
図16において、感光体ドラム2から残留トナーを吸着保持するクリーニングローラ7Aの領域として、周長の1/3の領域を設定した場合で説明すると、クリーニングローラ7Aが感光体ドラム2とニップ部において逆方向(図中、符号CWで示す方向)に移動する方向に回転し、感光体ドラム2の表面に残留しているトナーを吸着保持する場合には、吸着保持用のバイアスが印加される。
【0209】
この場合のバイアス極性は、(+)極である。これにより、感光体ドラム2上に残留しているトナーT1が、図16(A)(B)に示すように、符号P1およびP0で示す周方向での領域(図中、ハッチングで示す領域)において吸着され、クリーニングローラ7A上に保持される(図中、符号T2で示す状態のトナー)。
【0210】
感光体ドラム2に対して吸着保持したトナーを再付着させる場合には、クリーニングローラ7Aが感光体ドラム2の回転方向に対して順方向(図中、符号CCWで示す方向)に回転する。したがって、クリーニングローラ7Aでの周長部P1、P0に吸着保持されているトナーは、クリーニングローラ7A側から反発することができる極性のバイアスを印加されることにより、図16(C)に示すように、感光体ドラム2に向け再付着することになる。
【0211】
感光体ドラム2へのトナーの再付着を終えたクリーニングローラ7Aでの対向位置は、周長部P1、P0のうちの当初対向していた位置である符号P0で示す位置である。この状態において、再度、クリーニングが開始されると、上記位置P0からP1に至る範囲がトナーの吸着保持のために用いられる。このため、クリーニングローラ7Aにおける周長部の同じ領域が感光体ドラム2と対向当接していることになり、これによって、クリーニングローラ7Aの周方向で局部的な摩耗が顕著となり、クリーニング効率が低下しやすくなる。
【0212】
そこで、本実施例では、図15に示すように、クリーニングローラの回転量を、トナーの吸着保持時と再付着時とで異ならせるようになっている。
【0213】
図15において、クリーニングローラ7Aの回転は、図16に示した場合と同じとされている。
【0214】
当初、感光体ドラム2に対向するクリーニングローラ7Aの周長部での位置は、符号P0′で示す位置に設定されている(図15(A)参照)。
【0215】
感光体ドラム2から残留トナーを吸着保持する場合には、図15(B)において符号P0′、P1′で示すクリーニングローラ7Aの周長部が感光体ドラム2に対向し、残留トナーを吸着保持することにより回収する(図中、符号T2で示す状態のトナー)。
【0216】
吸着保持したトナーを感光体ドラム2に再付着される場合には、図15(C)に示すように、トナーの吸着保持時での周長部(P0′〜P1′)の長さよりも長い周長部が得られる位置に相当するP2位置が感光体ドラム2に対向するまで移動する。
【0217】
次いで、次回のトナー吸着保持に際しては、図15(D)に示すように、当初の周長部(P0′〜P1′)の長さに相当する長さを位置P2から移動させる(P0′〜P1′=P2〜P3)。これにより、感光体ドラム2に対向するクリーニングローラ7Aのトナー回収開始位置が順次ずれていくことになるので、クリーニングローラ7Aでの局部的な対向関係が維持されなくなり、局部的な摩耗が抑制されることになる。
【0218】
このような構成によれば、クリーニングローラ7Aの周方向での摩耗状態が均一化され、局部的に摩耗が顕著となるようなことがないので、クリーニングローラの寿命を延ばしてクリーニング効果を安定化させることができる。
【0219】
次に、請求項12乃至15に記載された発明の実施例を説明する。
【0220】
本実施例では、画像形成中断後に画像形成が再開されるときの残留トナーのクリーニングを可能にしている。
【0221】
通常の作像が行なわれている時の場合の説明を行なったが、次に本発明の画像形成装置における異常時についての逆転移工程の説明を行なう。
【0222】
通常の作像時においても転写残トナー量は多少変化するが、転写残トナー量が極端に増加するのは大きく分けて、(1)紙詰りを意味するジャムの発生時、(2)A3原稿でA4転写紙を通紙しトナー像を作りながら転写しないでクリーニング部に入力するトナーが有る時、(3)紙厚や環境の変化で転写効率が低下して転写残トナー量が増加する場合、が有る。
【0223】
ここで、異常発生後の動作の一例として、ジャム発生後のタイミングチャートを図17に示す。
【0224】
ジャム時は、図示しない検知装置が作動して機械が停止し、電源がOFFになる。この場合、ジャム発生場所より転写紙を取り除きリセットすることにより機械の電源が再び立ち上がる。一方、ジャムの発生場所によっては、機械が停止した時、現像部位置から転写位置までか、あるいは現像位置からクリーニング位置までの感光体ドラム上には転写前のトナー像が残っている。このまま次の作像工程が始まれば前記転写前のトナー像はクリーニング部へ突入し、クリーニングローラ7Aではトナー量が多すぎるため全て除去できず下流に通過してしまい、帯電ローラ3Aの様な接触帯電装置であれば帯電装置の汚れの発生となり画像上で白スジとなる。従ってこれを防止するため、次の作像工程の前に前記トナー像を感光体ドラム2上から除去しなければならない。
【0225】
図17のタイミングチャートに示すように、ジャム後、機械の電源が再び立ち上がると、感光体ドラム2は回転し始めクリーニングローラ7Aには、先に記載したように感光体ドラム上のトナーを除去するため「+300V」の電圧が印加され、除電ランプ11は「ON」、帯電ローラ3Aは離反し、現像バイアスは「+150V」が印加され、転写ローラ6の印加電圧は「OFF」となり、前記トナー像の除去を行なう。この時、トナーは大部分は除去されるが、通常よりは多く残りクリーニングローラ7Aを通過する。クリーニングローラ7Aを通過したトナーは現像後の−極性トナーで有るので現像部で回収される。そして現像位置がクリーニングローラ7Aを通過したら(感光体ドラム2の約1/2回転分)、クリーニング用電源7Gの電圧制御手段により、クリーニングローラ7Aには逆転移工程の通常より強い電界を形成するような電圧が印加される(例えば−800V)。これにより通常より多いトナーを保持したクリーニングローラ7A上のトナーは全て感光体ドラム2上に逆転移し再付着されるため、現像部に移送して現像ローラ5Bで回収することができる。
【0226】
ここで、クリーニングローラ7A上の保持トナー量と逆転移量の関係は図18に示すようにクリーニングローラ22上のトナー量が多くなればなる程強い電界でなければならない。また、一般的には「450Vから500V」の電圧印加から放電により感光体ドラム2は帯電される。感光体ドラム2はクリーニングローラ7Aに「−800V」の電圧が印加されると「−400V」に帯電される。従って通常時もクリーニングローラ7Aの印加電圧を起こり得る最大の入力トナーに合わせた電圧、つまり「−800V」に設定すれば良い訳だが、逆転移時に感光体ドラム2が「−400V」に帯電し、この電位を除電しなければならない。この結果、感光体ドラム1には静電疲労が発生し寿命が短くなる。しかし、本実施例の画像形成装置では、ジャム発生時のような異常時の後の電源「ON]直後に感光体ドラム2上にトナーを再付着させる時に、通常の作像時の電界(−500V)よりも強い電界(−800V)をクリーニングローラ7Aに与えるように印加電圧を制御しているので、通常の逆転移時は感光体ドラム2の帯電は0〜50V程度であり、静電疲労の問題を解消できる。
【0227】
よって、本実施例の画像形成装置においては、静電疲労を最小限にし、ジャム時の異常な入力トナーに対してもトナー除去性能を低下させることなく感光体ドラム2の寿命も長くできる。
【0228】
次に本実施例の画像形成装置の別の制御手段としては、作像停止の一定時間経過後、感光体ドラム2上にトナーを再付着させ、かつその時のクリーニングローラ7Aに対する電圧制御手段が作像中の電圧制御手段より強い電界とする。すなわち、作像停止の一定時間経過後、作像中にクリーニング用電源7Gによりクリーニングローラ7Aに印加される電圧より強い電圧をクリーニングローラ7Aに印加して、通常の作像時よりも強い電界で感光体ドラム1上にトナーを再付着させるので、例えば、A3原稿でA4転写紙を通紙した時のように異常な量の入力トナーが発生した時にも、クリーニングローラ上に増加したトナーを全て感光体ドラム上に再付着させることができ、現像部に移送して現像ローラ5で回収することができる。従って、クリーニングローラのトナー除去性能の劣化を防止することができ、かつ、感光体ドラム1の寿命低下も防止できる。
【0229】
また、本実施例の画像形成装置のさらに別の制御手段としては、一定枚数に1度通常と異なった強い電界の電圧制御手段で感光体ドラム2上にトナーを再付着させる。すなわち、一定枚数に一度、作像中にクリーニング用電源7Gによりクリーニングローラ7Aに印加される電圧より強い電圧をクリーニングローラ7Aに印加して、通常とは異なった強い電界で感光体ドラム2上にトナーを再付着させるので、紙厚や環境等で転写率が低下し転写残トナー量が増えた場合にも、そのトナーを除去して増加したクリーニングローラ7A上のトナーを全て感光体ドラム1上に再付着させることができ、現像部に移送して現像ローラ5Bで回収することができる。従って、クリーニングローラ7Aのトナー除去性能の劣化を防止することができ、かつ、感光体の寿命低下も防止できる。
【0230】
以上、本実施例の画像形成装置におけるクリーニングの電界及び逆転移のための電界の形成をクリーニングローラ7Aへのバイアス電圧の切り替えで行なう例を示したが、もちろん感光体側の条件、例えばバイアス電圧一定で逆転移工程では感光体表面を転写チャージャー(または転写ローラ等)で逆極性に帯電し電界を切り替えるようにしてもよい。
【0232】
本実施例では、感光体ドラム2に対するクリーニングローラ7Aの接離動作が次の条件によって実行されるようになっている。
【0233】
第1に、感光体ドラム2を用いて画像形成動作を行なわない時には、感光体ドラム2からクリーニングローラ7Aが離間するようになっている。
【0234】
第2に、感光体ドラム2を用いて画像形成を行なうのに先立ち、感光体ドラム2が画像形成時とは逆方向に回転した後にクリーニングローラ7Aが接触するようになっている。
【0235】
第3に、感光体ドラム2が画像形成開始時に正転を開始するよりも先に感光体ドラム2にクリーニングローラ7Aが接触する。
【0236】
本実施例は以上のような構成であるから、その動作は、図6に示したタイミングチャートと同じであるが、上記クリーニングローラ7Aの離間タイミングに関しては、感光体ドラム2へのトナーの再付着後として、図19に示すように、クリーニングローラ7Aから感光体ドラム2へのトナーの再付着を行わせるための電圧の印加が終了したと同時としてもよい。この場合には、クリ−ニング装置7に有する電源7GでのスイッチHが中立状態に保持され、トナ−の再付着のための電圧の印加が停止される。
【0237】
トナ−の再付着が終了すると同時にクリ−ニングロ−ラ7Aが感光体ドラム2から離れることにより、感光体ドラム2への静電的な影響をなくすとともに、クリーニングローラ7A上に仮にトナーが残っていた場合、そのトナーが感光体ドラム2上に擦り込まれて付着するのを防止して感光体ドラム2の地肌汚れを防止することができる。
【0238】
さらに、図20は、クリーニングローラ7Aに対する電圧の印加状態の変形例を示しており、この例では、クリーニングローラ7Aの回転による感光体ドラム2からの残留トナーの吸引が終了した時点で、それまでクリーニングローラ7Aに印加されていた電圧が極性反転されて「−500V」から「+300V」に設定される。この場合のクリ−ニングロ−ラ7Aは、図6に示した場合と同様に、トナ−の再付着のための極性変換が終了した後に感光体ドラム2から離れるタイミングが設定されている。このように、トナ−の再付着処理が終了したあとでクリ−ニングロ−ラ7Aを感光体ドラム2から離す場合には、感光体ドラム2でのトナ−の再付着領域に再付着させたトナーの一部が感光体ドラム2における画像域に誤って付着しているような場合でも、そのトナーをクリーニングローラ7Aに吸引して画像域での地肌汚れを防止することが可能になる。
【0239】
また、クリーニングローラ7Aに対する感光体ドラム2へのトナーの再付着を行うための電圧印加は、図21に示すように、感光体ドラム2による画像形成から現像剤の回収、つまり、帯電工程から現像装置5による残留トナーの回収までの間の移動期間のうちで、クリーニングローラ7Aに吸引されたトナーを感光体ドラム2に再付着させる時点から上記感光体ドラム2の移動終了時まで継続することも可能である。この場合のクリーニングローラ7Aの離間タイミングは、その継続期間中に設定することができる。これにより、クリ−ニングロ−ラ7Aが感光体ドラム2から離れるまでの間、画像域での帯電電位の極性が負極化される。これは、感光体ドラム2の感光層がOPC等の有機体で構成されている場合、除電装置11による光除電の効果が低くなるのを防止するために光除電による除電効果が大きい負極帯電傾向とするためである。したがって、光除電による除電が効率よく行なわれることになり、次回の画像形成時での帯電装置3による一様帯電が行なえることになる。
【0240】
ところで、通常、クリーニングローラ7Aにより感光体ドラム2上に残留しているトナーを吸引する場合には、感光体ドラム2の移動速度に対して摩擦帯電を阻害しない程度で略近似した移動速度を以てクリーニングローラ7Aを回転させると、当然のことではあるが、現像装置5による回収までの時間が長くなる。このため、次回の複写作業までの待機時間が長くなり、複写作業のスピードアップを図ることができなくなる虞れがある。
【0241】
そこで、感光体ドラム2の移動速度に対してクリーニングローラ7Aの移動速度を速めるようにする。
【0242】
図22は、この場合のタイミングチャートであり、クリーニングローラ7Aの移動速度に相当する周速度は、感光体ドラム2の再付着領域において2n回転(n≧1)が行なえる周速度に設定されている。これにより、クリーニングローラ7Aが感光体ドラム2と対面する機会が増加するので、クリーニングローラ7Aに吸引されている残留トナーを感光体ドラム2に再付着させるに要する時間を短縮することができる。
【0243】
従って、図23に示すように、次回の画像形成に用いられる工程である給紙工程期間(図中では、紙間と称する)での感光体ドラム2へのトナーの再付着に要する時間を短くすることができるので、2枚目の画像形成までの時間を短縮することができる。
【0244】
ところで、画像形成時、例えば、紙詰り等の事故によって画像形成が中断されることがある。この場合、始動時やウォーミングアップ時と同様に、中断原因を解消して画像形成装置を再始動したとき、感光体ドラム2の画像域が転写装置6に至る前やクリーニング装置7に至る前に相当する場合がある。このような状態で装置を再始動すると、感光体ドラム2は初期化のために、表面に付着しているトナーを除去することが行われる。
【0245】
しかし、クリーニング装置7により感光体ドラム2上に残留しているトナーを除去しようとした場合、中断したことにより転写されなかったトナーなども含まれており、クリーニング装置7による感光体ドラム2からの除去量が、通常のクリーニング工程の場合に比較して多くなっていることがある。このため、クリーニングローラ7Aによって感光体ドラム2から吸引したトナーを感光体ドラム2に向け再付着させる場合には、図18に示したように、バイアス電圧に応じて、感光体ドラム2への再付着割合が変化し、再付着を確実にするには、高電圧を必要とする。
【0246】
高電圧によるバイアスを用いて感光体ドラム2へのトナーの再付着を行うと、感光体ドラム2での残留電位も上昇し、これに伴う除電電位も高くなる。この場合の除電電位は、除電装置11での発光量ということになる。従って、感光体ドラム2では、クリーニングローラ7Aへのトナーの吸引のためおよび感光体ドラム2へのトナーの再付着のための高電圧の印加、そして除電の繰り返しによる静電疲労が顕著となり、感光体ドラム2の寿命を縮めてしまうことにもなりかねない。
【0247】
そこで、本発明の別実施例では、図24に示すように、クリーニングローラ7Aに印加される電圧を高くしないで、感光体ドラム2への再付着に要する時間を長くして感光体ドラム2の静電疲労を軽減するようにしている。
【0248】
図24は、紙詰り(ジャム)が発生した場合の再始動を行う場合のタイミングチャートであり、ジャム発生時には、画像形成に関する各装置が停止する。このため、帯電装置をはじめとしてバイアスを用いる装置でのバイアスは停止される。
【0249】
装置内での中断原因である、ジャムを起こした紙が取り除かれ、装置のドアが閉じられると、感光体ドラム2が回転を再開するとともに、帯電装置3を除いて、現像装置5では、感光体ドラム2上のトナーを回収するための極性をもつバイアス電圧が、また、クリーニング装置7では、感光体ドラム2上からの残留トナーの吸引に必要な極性のバイアス電圧および吸引したトナーを感光体ドラム2に向け再付着させるに必要な極性をもつバイアス電圧がそれぞれ印加される。なお、除電装置11に関しては前述した実施例と同様に、感光体ドラム2が回転を再開し始めた時点から作像可能な状態になるまでの間、除電処理を実行するようになっている。
【0250】
図24において、感光体ドラム2の回転が再開された時点でクリーニング装置による感光体ドラム2上での画像域からの残留トナーの吸引が実行され、感光体ドラム2の画像域がクリーニングローラ7Aの1回転以上に相当する量を移動した時点で、クリーニング装置7から感光体ドラム2に向けたトナーの再付着が実行される。トナーの再付着に要する時間は、通常の画像形成時に実行される再付着に要する時間よりも長く設定されており、本実施例では、通常時の再付着時間の整数倍に相当する2倍の時間に設定されている。この場合のクリーニング装置7に印加されるバイアス電圧は、通常実行される画像形成時での印加電圧と同じ値が選択されている。
【0251】
本実施例では、感光体ドラム2に対するトナーの再付着に要するバイアス電圧を通常実行される画像形成時でのクリーニング工程での感光体ドラム2への再付着時と同じバイアス電圧を用いることができるので、感光体ドラム2の静電疲労を増大させることがなく、クリーニングローラ7Aによって吸引されたトナーの全てを感光体ドラム2に再付着させることが可能になる。
【0252】
図25は、複数枚(2枚)の転写紙に対する画像形成を行うために紙間を設定した場合を対象として、クリーニングローラ7Aへの残留トナーの吸引および感光体ドラム2へのトナーの再付着を実行するにあたり、2枚目の画像域においてジャムが発生した場合の各装置の動作状態を示すタイミングチャートである。
【0253】
図25において、上述したトナーの回収および感光体ドラム2の初期化がそれぞれ実行されているので、図中において、説明を行い、詳細な説明は省く。
【0254】
ところで、画像形成装置に用いられる感光体には、その感光層上にトナーが推積するフィルミング現象を生起する場合がある。このフィルミングにおいて、トナーが必要以上に推積してしまうと、帯電効率および静電潜像の形成に支障がでてきてしまい、感光体の寿命にも影響することがあり、抑止することが必要である。
【0255】
そこで、本実施例においては、フィルミングの発生を防止するようにもなっている。
【0256】
本実施例では、クリーニングローラ7Aの回転速度を、ある期間に限って通常、実行される感光体ドラム2からのトナーの吸引および感光体ドラム2へのトナーの再付着の際の回転速度よりも高速に設定することにより、感光体ドラム2の表面との間での摩擦力を増加させて推積しているトナーを除去するようにしている。
【0257】
図26において、画像形成装置の電源投入後に実施される感光体ドラム2の初期化である、感光体ドラム2に対するトナ−の吸引および再付着のためのクリ−ニングロ−ラ7Aへのバイアス電圧の極性反転が終了した時点で、クリーニングローラ7Aの回転速度を高速化し、1回転させる。これにより、感光体ドラム2との間での摩擦力が増加することにより、感光体ドラム2の表面に推積しているトナーが擦り取られる。
【0258】
次に、図27において、本実施例の変形例を説明する。
【0259】
図27に示す例は、感光体ドラム2およびこれに対して接離可能なクリーニングローラ7Aとの接離関係に特徴をもっている。
【0260】
図27において、プリントボタンがオン(ON)されると、感光体ドラム2は、画像形成時の回転方向とは逆方向に回転(図27中、「逆転」で示してある)する。この場合の逆転量は、感光体ドラム2の周方向に沿って、前記したように、図5に示したニップ部の長さ以上に相当する量に設定されているので、次回の画像形成のために感光体ドラム2が正転した場合、ニップ部がその全ての領域をクリーニングローラ7Aに対向させることができ、これにより、感光体ドラム2の表面に残留しているトナーは正転時でのクリーニングローラ7Aの位置を通過するときに全てを除去されることになる。
【0261】
クリーニングローラ7Aは、感光体ドラム2を用いた画像形成が行なわれない画像形成非実行時には感光体ドラム2から離間する状態を維持されている。この状態は、上記した感光体ドラム2の逆転時も含まれるので、図27に示すように、感光体ドラム2から離間しているが、感光体ドラム2の正転が開始される時期にあわせて行なわれる各バイアスのオン(ON)時よりも先に感光体ドラム2にクリーニングローラ7Aは接触する。これにより、感光体ドラム2が停止状態から正転方向に回転を開始すると、ニップ部に残留しているトナーがクリーニングローラ7Aによって掻き取られることになる。
【0262】
さらに、感光体ドラム2からのクリーニングローラ7Aの離間時期は、図27に示すように、感光体ドラム2が正転方向の回転を行なうことで実行される画像形成が終了してから一定時間(図中、符号Tで示す期間)を経過した時点とされている。これにより、感光体ドラム2上に残留するトナーが殆ど全てが掻き取られた状態で感光体ドラム2が停止状態を維持することができる。また、これとともにクリーニングローラ7Aも感光体ドラム2から離間しているので、感光体ドラム2の表面状態の変態を来すことがない。
【0263】
このような感光体ドラム2に対するクリーニングローラ7Aの接離動作を設定することにより、感光体ドラム2の表面に残留しているトナーが殆ど全てクリーニングローラ7Aと対向することにより排除されることになり、しかも、画像形成非実行時には、感光体ドラム2からクリーニングローラ7Aが離間する状態を維持しているので、次回の画像形成のために感光体ドラム2が正転した際には、その表面にトナーが存在していない状態を得ることができる。これによって、次回の画像形成のために感光体ドラム2に接触する帯電ローラ3Aへのトナーの付着が生じるようなことがないので、帯電ローラ3Aの周面の一部がトナーの付着によって均一帯電を妨げられてしまうようなことを防止できる。
【0264】
なお、本発明においては、上記実施例に限るものではなく、要旨の範囲内において種々、変更することも可能である。例えば、図1に示した実施例においては、クリーニングローラ7Aに吸着した回収トナーを再使用する時、クリーニングローラ7Aに−極性のバイアス電圧を印加してクリーニングローラ7Aから感光体ドラム2に向け回収トナーを付着させたが、これに代えて、転写ローラ6に+極性のバイアス電圧を印加して感光体ドラム2表面を帯電し、クリーニングローラ7Aに付着した回収トナーを感光体ドラム2に付着させるようにしてもよい。
【0265】
さらに、クリーニングローラ7Aを弾性体をなす発泡性部材によって形成し、表面の気泡径を50μm以下で、その内部の気泡径よりも小さくする用にしてもよい。このような構成により、クリーニングの際に発泡成形体の内部に残留トナーが入り込むことが防止される。
【0266】
さらに、感光体ドラム2に代えて、ベルト状の感光体により像担持体を構成するようにしてもよい。また、像担持体をカラー複写機に用いるようにしてもよい。この場合には、像担持体の構成として、中間転写ベルトのような中間転写体を用いることができる。
【0267】
さらに加えて、クリーニングローラへのバイアス電圧の極性を切り換えて電界の方向を変化させることに限らず、バイアス電圧の極性を一定とし、像担持体側での極性および表面電位の設定によって電界の方向を切り換えるようにしてもよい。この場合には、転写装置を用いることで上記像担持体側での極性および表面電位の設定が行なえる。
【0268】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1記載の発明によれば、記録時、像担持体とともにクリーニングローラが回転し、それらの間で、転写後、像担持体上に残留しているトナーを擦り、それを同一極性に帯電してクリーニング部材にて静電的に吸着する一方、同時に電圧印加手段によりクリーニング部材に電圧を印加し、同一極性に帯電した像担持体上の残留トナーをクリーニング部材にて吸着し、像担持体表面をクリーニングするので、像担持体上に+・−両極性のトナーが残留していても、簡単な構成によりそれらトナーの全てを完全に吸着して像担持体表面をクリーニングすることが可能になる。
【0269】
請求項2記載の発明によれば、クリーニング部材にて吸着した回収トナーを再使用するとき、電圧印加手段でクリーニング部材に吸着時と逆向きの極性を持つ電圧を印加し、クリーニング部材に付着しているトナーを次の画像が形成される領域以外の領域に再付着させ、その再付着したトナーを現像装置に印加されている吸着可能な極性の電圧により現像装置側に向け戻すことにより回収するので、回収トナーの再使用を確実に行なうことが可能となる。
【0270】
請求項3記載の発明によれば、クリーニング部材により吸着されている回収トナーを再利用する時、転写装置で像担持体表面を帯電させ、クリーニング部材に吸着されているトナーを次の画像形成が行なわれる領域以外の領域に再付着させると共に、その再付着しているトナーを現像装置に印加されている電圧の極性を利用して現像装置側に向け吸着させて戻すことにより回収するので、回収トナーの再使用を確実に行なうことが可能になる。
【0271】
請求項4および5記載の発明によれば、クリーニング部材に吸引保持された残留トナーのうちの一部のものが吸着保持に必要な極性と反対極性に極性を反転させて付着していても、印加される電界の方向が切り換えられることにより、像担持体上に向け転移するので、像担持体上での画像域に残留していたトナーの全てを現像装置により完全に回収させることができ、これによって回収トナーの再使用が可能になる。
【0273】
請求項6記載の発明によれば、像担持体の移動方向と順方向にクリーニング部材が移動する場合においても、像担持体の摩耗が最も少ない臨界硬度が得られると共に、トナーの摩擦帯電が最も有効に行なわれる臨界圧力および摺擦速度が得られるニップ領域を少なくしてもクリーニング部材によって吸引されたトナーの極性を一律化することができ、クリーニング部材に付与される吸引用バイアスによって像担持体の画像域からの残留トナーの転移を良好に行わせることが可能であるので、クリーニング部材のニップ領域を少なくしてクリーニング部材を含む装置の大型化を抑制することができる。
【0274】
請求項7記載の発明によれば、像担持体の移動方向と逆方向にクリーニング部材を移動させてトナーの摩擦帯電に必要な摺擦状態が得られるので、ニップ領域を少なくしてもクリーニング部材に吸引されるトナーの極性を容易に一律化する事が可能になることにより、ニップ部領域を少なくしてクリーニング部材を含む装置の小型化を実現することができる。
【0276】
請求項8記載の発明によれば、クリーニングローラに吸着・保持したトナーの量等に応じて前記複数の電圧制御手段により前記電界の強さを最適に設定することが可能となり、確実に感光体上にトナーを再付着させることができ、現像部に移送して回収することができるので、トナー除去性能の劣化を防止することができ、かつ像担持体の寿命低下を防止することが可能になる。
【0277】
請求項9記載の発明によれば、現像後のトナーがクリーニングローラに向かうような電界を形成する電圧制御手段を働かせ、次にクリーニングローラ上のトナーを感光体上に再付着させ、かつその時の電圧制御手段が作像中の電圧制御手段より強い電界の電圧制御手段で感光体上にトナーを再付着させるので、ジャム後、現像後のM/Aの多いトナーを除去するためクリーニングローラ上に増加し保持されたトナーをも感光体上に全て再付着させることができ、現像部に移送して回収することができる。これにより、トナー除去性能の劣化や像担持体の寿命低下をそれぞれ防止することが可能になる。
【0278】
請求項10記載の発明によれば、例えば、A3原稿でA4転写紙を通紙した時のように異常な量の入力トナーが発生した時にも、クリーニングローラ上に増加したトナーを全て感光体上に再付着させることができ、現像部に移送して回収することができる。これにより、トナー除去性能の劣化や像担持体の寿命低下をそれぞれ防止することが可能になる。
【0279】
請求項11記載の発明によれば、紙厚や環境等で転写率が低下し転写残トナー量が増え、そのトナーを除去して増加したクリーニングローラ上のトナーを全て感光体上に再付着させることができ、現像部に移送して回収することができる。これによっても、トナー除去性能の劣化や像担持体の寿命低下をそれぞれ防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に用いられる帯電装置の構成を示す斜視図である。
【図3】図1に示した画像形成装置に用いられるクリーニング装置の構成を示す斜視図である。
【図4】図1に示した画像形成装置における転写後の像担持体上に残留するトナーの状態を説明するための模式図である。
【図5】図1に示した画像形成装置におけるクリーニング装置と対向したときの像担持体上に残留するトナーの状態を説明するための模式図である。
【図6】図1に示した画像形成装置における一動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】図1に示した画像形成装置における他の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】図1に示した画像形成装置におけるさらに他の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】図1に示した画像形成装置における別の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図10】図1に示した画像形成装置におけるさらに別の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図11】図1に示した画像形成装置における動作の変形例を説明するためのタイミングチャートである。
【図12】図1に示した画像形成装置の要部変形例を示す断面図である。
【図13】図3に示したクリーンニング装置に用いられるクリーニングローラの特性の一つを説明するための線図である。
【図14】図3に示したクリーニング装置に用いられるクリーニングローラの他の特性を説明するための線図である。
【図15】図1に示した画像形成装置におけるクリーニング装置でのクリーニングローラと像担持体との対向関係を説明するための模式図である。
【図16】画像形成装置におけるクリーニング装置でのクリーニングローラと像担持体との対向関係上での不具合を説明するための模式図である。
【図17】図1に示した画像形成装置におけるジャム発生後の動作を示すタイミングチャートである。
【図18】印加電圧をパラメータとしクリーニングローラ上の保持トナー量と感光体への再付着量の関係を示す図である。
【図19】図1に示した画像形成装置におけるさらに他の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図20】図1に示した画像形成装置における他の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図21】図1に示した画像形成装置における別の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図22】図1に示した画像形成装置におけるさらに別の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図23】図1に示した画像形成装置における動作の変形例を説明するためのタイミングチャートである。
【図24】図1に示した画像形成装置における動作のさらなる他の変形例を説明するためのタイミングチャートである。
【図25】図1に示した画像形成装置における動作の別な変形例を説明するためのタイミングチャートである。
【図26】図1に示した画像形成装置における動作のさらなる別の変形例を説明するためのタイミングチャートである。
【図27】図1に示した画像形成装置におけるさらに別の実施例を説明するためのタイミングチャートである。
【図28】画像形成装置の従来例の一つを説明するための模式図である。
【図29】画像形成装置の従来例の他の一つを説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 画像形成装置
2 像担持体をなす感光体ドラム
3 帯電装置
5 現像装置
5E 電源
6 転写装置
7 クリーニング装置
7A クリーーニングローラ
7G 電源
【産業上の利用分野】
本発明は、画像形成装置およびこれを用いた画像形成方法に関し、特に、二成分系現像剤を用いる画像形成装置およびこれを用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、画像形成装置には、電子写真複写機や、プリンタあるいはファクシミリ装置等がある。
【0003】
画像形成装置に用いられる画像形成方式のひとつに、像担持体として感光体を用いる方式がある。この方式は、一様帯電された感光体上に露光あるいは光書込み等によって静電潜像を形成し、この静電潜像を、現像材により可視像処理した画像を記録紙等の記録媒体に転写して複写物が得られる。この場合の可視像処理に用いられる現像剤としては、一例として、磁性キャリアとトナーとを混合した二成分系現像剤が用いられる。
【0004】
可視像処理に用いられるトナーは、その全てが記録紙に転写されることが理想であるが、実際には、その一部が感光体上に残留していることがある。
【0005】
従来、このような残留トナーを除去するためにクリーニング工程が設けられている。この工程では、感光体表面に当接するブレードあるいはブラシ部材を用いて残留トナーが機械的に掻き取られるようになっている。
【0006】
感光体上から掻き取られたトナーは、回収タンク等に収容されて廃棄されているのが現状であったが、近年、資源の節約が要望されるようになってきている。排トナーも同じように、リサイクルの対象とされている。
【0007】
そこで、従来では、クリーニング工程において感光体上から一旦排除したトナーを感光体上に再付着させ、そのトナーを可視像処理に用いられる現像装置内に回収してそのトナーを再利用する構成が提案されている。
【0008】
このような構成を備えた装置の一例としては、
(1)特開平5ー61388号公報
(2)特公昭61ー30274号公報
(3)特開平6ー51672号公報
に記載されたものがある。
【0009】
(1)の公報に記載された構成では、図28に示すように、像担持体である感光体ドラム100の周囲に、その感光体ドラム100の回転方向(図示矢印方向)に沿って電子写真複写プロセスを実行するための、帯電部101、露光部102、複数の現像器103、中間転写ドラム104、回転ブラシ105がそれぞれ配置され、さらに、中間転写ドラム104の外周に転写器106および回転ブラシ105に接触する回収ローラ107とこの回収ローラ107に接続されたバイアス電源108を備えている。
【0010】
上記構成が有するクリーニング装置は、回転ブラシ105、バイアス電源108が該当している。
【0011】
上記構成において、感光体ドラム100に接触して回転可能な回転ブラシ105は、感光体ドラムに接触して回転することにより摩擦帯電を起こし、感光体上での残留トナーの極性を反転させて掻き取り、掻き取られたトナーを、バイアス電源108によりトナーと反対極性に設定されている回収ローラ107に転移させるようになっている。特に、回転ブラシ105の材質として、掻き取られた時点で反転されているトナーの極性に対してトナーの仕事関数に大小関係を持たせたものが選択されるようになっている。
【0012】
(2)の公報に記載された構成では、図29に示すように、感光体ドラム100の周囲に感光体ドラム100の回転方向に沿って電子写真複写プロセスを実行するための帯電部・露光部とで構成された潜像形成部110、現像部111、転写部112、転着ローラ113がそれぞれ配置されている。転着ローラ113には、切り換えスイッチ114を介してバイアス電源115が接続されている。
【0013】
上記構成が有するクリーニング装置は、転着ローラ113および切り換えスイッチ114を含むバイアス電源115が該当している。
【0014】
上記構成において、1回の複写プロセス中で感光体ドラム100上に残留するトナーの極性と反対極性のバイアス電圧を印加された転着ローラ113は、感光体ドラム100上に残留しているトナーを一旦吸着し、感光体ドラム100の表面のうちで画像形成に影響しない領域に対して上記したバイアス電圧とは逆極性のバイアス電圧を印加されることにより、いままで吸着していたトナーを感光体ドラム100上に再付着させて現像部に移送するようになっている。
【0015】
(3)の公報に記載された構成では、その構成を図示しないが、感光体に当接する導電性部材を設け、感光体上での画像形成領域に相当する通紙部が導電性部材と接触する場合には導電性部材に残留トナーを吸着し、感光体上での非画像部に相当する非通紙部が導電性部材に接触する場合には導電性部材に吸着されていたトナーを感光体上に再付着させ、現像装置に移送し、同装置での静電気力によって、感光体上に再付着している残留トナーを回収するようになっている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記各公報に記載の構成では、いずれも、クリーニング工程において感光体上に残留しているトナーを静電的に吸着し、再度、感光体上に付着させて現像部に向けトナーを移送し、現像部において回収して再利用することを原理としている。
【0017】
しかし、これら公報に記載の構成には、次のような問題があった。
【0018】
一般に、転写工程において記録紙に転写される感光体上のトナーは、転写バイアスにより、いままで保有していた電荷の極性が反転するものもあり、所謂、正・負両極性を帯びていることが多い。
【0019】
このため、(2)、(3)の公報に記載の構成では、クリーニング工程において感光体上から吸着されるトナーが一方の極性のもののみとなり、他方の極性を帯びたトナーは感光体上に依然として残留している。このため、感光体上から全てのトナーを除去することが期待できない。
【0020】
しかも、(2)の公報に記載の構成では、クリーニングの一工程である除電工程を実施するためにコロナ放電とランプとを用いているために、構造の複雑化に加えてオゾンの発生という問題を招く。
【0021】
これら各公報に記載の構成に対して(1)の公報に記載された構成では、クリーニング工程において吸着される極性が摩擦帯電によって一様化されるものの、そのための構成としてファーブラシを用いている。このため、トナーとブラシとの接触確率が低い。従って、トナーの極性を反転させるに充分な摩擦力が得にくく、完全に残留トナーを回収することができないという問題がある。しかも、ファーブラシに加えて、このファーブラシに吸着されたトナーを回収するための回収部材をさらに付設することが必要になることから、構造が複雑化することは否めない。
【0022】
クリーニングの際に感光体上に残留しているトナーに対し、一様な帯電電荷を保有させ、この帯電電荷と逆極性のバイアスを付与することにより残留トナーの吸引を確実に行うようにすることが可能であるが、この場合には、そのバイアスの極性に影響されて一様な帯電電荷を保有する残留トナーの一部の極性が反転してしまうことがある。特に、現像装置において印加される現像バイアスの極性と逆極性のバイアスを用いる転写処理においてその転写バイアスの極性にトナーの帯電電荷が変化し、吸引の際に用いるバイアスと同極性になってしまうことがある。
【0023】
このため、感光体への再付着のために、クリーニングの際にバイアスの極性をトナーの帯電電荷の極性と同極性とし、トナーの反発による感光体上への転移に必要な高い電圧を印加した場合でも、極性が変化して再付着の際のバイアス極性と逆極性になっているトナーは、感光体上へ転移しないで、そのままクリーニング部材に付着したままとなり、これにより、トナーを現像装置によって回収する際の回収効率が低下するという虞れがある。
【0024】
さらに加えて、この場合には、これら変化した極性をもつトナーを含めクリーニング工程において感光体上から吸着された残留トナーを感光体に向け反発により転移させて再付着させるためには、トナー全ての極性を一様化するためにそれなりの帯電方式が必要になる。
【0025】
従来、クリーニング工程においてクリーニング部材に吸着保持されたトナーを一様な極性に揃えて帯電させる方式として、摩擦帯電が用いられている。これは、感光体とクリーニング部材とを接触させ、その接触している領域をトナーのニップ部とし、そのニップ部での感光体とクリーニング部材との移動速度を異ならせることにより、摩擦帯電させるようになっている。
【0026】
しかし、摩擦帯電による極性揃えを良好に行うには、ニップ部がかなり大きくなり、これによって、クリーニング部材も大型化してしまい、装置構造の大型化を招く結果となる。
【0027】
しかも、クリーニング部材におけるニップ部を大きくすると、クリーニング部材で残留トナーを吸着する領域が少なくなり、感光体からの残留トナーの回収が良好に行えなくなる場合もある。さらに加えて、クリーニング部材をローラで構成した場合には、ニップ部が大きくなるにつれ、周長方向での残留トナーの吸着領域が少なくなることにより、クリーニング部材に吸着保持されているトナーがニップ部近傍に接近する確率が高くなる。この場合、転写工程に用いられる転写バイアスは、クリーニング部材での残留トナーの吸引バイアスに比べてかなりの高電位が用いられているので、感光体に近接したクリーニング部材上のトナーは、バイアス電位の差によって感光体の画像域側に吸引されて逆転移してしまうことになる。
【0028】
従って、感光体上の画像域にトナーが逆転移した場合には、ニップ部で摩擦帯電されるトナーの量が異常に増加することによって摩擦帯電に対する負荷を増大させてしまうことになり、摩擦帯電による極性変換が一律に行えなくなり、感光体上からの残留トナーの全てをクリーニング部材に吸着保持することが困難になる虞れがある。
【0029】
また、クリーニング部材により感光体表面から吸着保持されたトナーを再度感光体に再付着させる場合、感光体に対するクリーニング部材の移動方向の如何に拘らず、クリーニング部材の移動方向長さ未満の領域でトナーの吸着保持を行うと、常にその部分のみがトナーの吸着保持および再付着に用いられてしまうことになる。このため、例えば、クリーニング部材をローラによって構成した場合には、周方向で局部的な接触が繰り返されることになり、その部分での摩耗が顕著となり、トナーの吸着保持および再付着によるクリーニング特性が低下して残留しているトナーの全てを回収することができなくなる虞れがある。
【0030】
感光体は、その材質によっては、転写工程時および、クリーニング工程時に印加されるバイアス電圧の影響を受けて帯電する。通常、このような感光体の帯電は、次回の画像形成前に除電されるが、感光体の材質によっては、除電できない場合がある。除電のための構成としては、感光体として用いられる光導電性層の特性から、ランプを用いた光除電が行われるが、この光による除電が有効とされる電荷の極性は負極性である。しかし、近年、OPC等の有機体を光導電性層として用いた場合には、正極性電荷が残留することがあり、この場合には光除電が行えない場合がある。このため、次回での帯電工程で設定される表面電位が一様でなくなり、静電潜像の電位が変化し、現像した際の画像濃度に悪影響を及ぼすことにもなりかねない。
【0031】
画像形成プロセスに用いられる工程の一つである転写工程では、感光体と接触可能な導電性部材が用いられ、給送されてくる転写紙を挾持搬送しながら、転写バイアスを印加して感光体上の画像を転写紙上に静電転写するようになっている。しかし、このような転写に用いられる導電性部材は、転写紙の挟持搬送が終了すると同時に転写バイアスも停止されるのが普通であるが、転写紙の後端付近では、感光体と導電性部材とが近接していることにより転写バイアスの影響が感光体上の残留トナーに及び、感光体上に残留するトナーを導電性部材の表面に向け静電吸着されてしまう場合がある。このため、導電性部材の表面に付着したトナーが、次に搬送されてくる転写紙の裏面に転移し、所謂、転写紙の汚れの原因となることがある。
【0032】
さらに、クリーニング工程において感光体上に残留しているトナーを回収する場合として、画像形成装置を始動した直後あるいはウォーミングアップ時等の初期化を実行する時、さらには、何かの原因、例えば、紙詰り(ジャム)等が原因して転写前に装置が停止した後、再度、感光体を回転させて感光体の初期化のためにクリーニングを実行する場合がある。
【0033】
後者の場合、感光体上には転写のために担持されているトナーを含め、かなりの量のトナーが付着している。このため、クリーニング部材によるトナーの吸着を行なおうにも、トナーの量が多過ぎて全てを吸着することができず、その一部が感光体上に残留したままとなることがある。このため、例えば、帯電装置として感光体上に接触する接触式の帯電装置を用いた場合には、帯電装置と感光体表面との間に残留トナーが入りこんでしまい、これによって、一様な帯電処理が実行できなくなる。一様な帯電処理が行なわれない場合には、感光体上での白スジの発生の原因となり、不良画像が得られてしまう。
【0034】
この不具合を解消する目的で、上記(3)の公報に記載されているように、クリーニング部材に作用する電界の強度を高めるために電圧を制御することが考えられる。しかし、このような場合には、クリーニング部材へのトナーの吸着時および感光体上への再付着時に作用する電界の強度に対応して電界の作用方向の切り換えされることおよび比較的高い除電電位の付加が繰返されることになるので、感光体での光導電性層の静電疲労が顕著になることがあり、感光体の寿命を短くしてしまう虞れがある。
【0035】
また、クリーニング工程に用いられるクリーニング部材は、感光体に接触して感光体上に残留しているトナーを除去する機能を備えているが、常に感光体表面に接触した状態を維持されている場合には、感光体の停止時、感光体表面の同じ位置に接触していることになる。このため、クリーニング部材としてクリーニングローラが用いられている場合を対象としている場合には、感光体表面がクリーニングローラに含有されている成分の析出あるいは感光体の感光層を構成する材料とクリーニングローラに含有されている成分との間に化学反応が起り、感光体の表面の一部が他の部分よりも変態することになり、これによって、次の感光体始動時に得られる画像の一部に画像抜けによる白スジが発生してしまうという問題があった。
【0036】
さらに、感光体が停止した場合には、クリーニングローラとの対向位置において形成されるニップ部にトナーが残留していると、経時的にトナーが変質してしまうことがある。特に、高温高湿な環境条件下においては、トナーが固形化してしまい、その部分でのクリーニングローラの特性である弾性機能を失いやすくなり、感光体表面からのトナーの排除機能が低下する虞れがあった。
【0037】
上記のようなクリーニング不良が発生すると、クリーニング工程後に実施される帯電工程において、帯電部材が感光体に接触して電荷注入を行う方式を用いている場合、帯電部材に残留トナーが付着してしまい、結果として、一様帯電を行うことができなくなる。
【0038】
そこで、本発明の第1の目的は、簡単な構成で、像担持体上の転写後の残留トナーの全てをクリーニング部材に完全に吸着できる構成を備えた画像形成装置を提供することにある。
【0039】
本発明の第2の目的は、像担持体上に残留しているトナーの全てを回収するための構成を装置の大型化を招くことなく可能にすることができる構成を備えた画像形成装置を提供することにある。
【0040】
本発明の第3の目的は、感光体上の残留トナーのクリーニング性能の向上及び感光体上の残留トナーを現像部で回収して再利用するトナーリサイクルを図ることができる画像形成装置を提供することにある。
【0041】
本発明の第4の目的は、像担持体の初期化処理を含め、クリーニング工程に至る前に画像形成装置が停止した後、再度、装置を始動する時あるいはウォーミングアップ時に像担持体上に残留する多量のトナーによるクリーニング不良を防止して不良画像の形成や像担持体の寿命を損ねることを防止できる画像形成装置を提供することにある。
【0042】
本発明の第5の目的は、画像上での白スジ等の発生を防止することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【0043】
本発明の第6の目的は、感光体等の像担持体と対向するクリーニング部材との間に形成されるニップ部内での残留トナーの排除を確実に行うことによって均一帯電が可能な画像形成装置を提供することにある。
【0044】
本発明の第7の目的は、次回の画像形成に際しての一様帯電を可能にすることができる画像形成方法を提供することにある。
【0045】
本発明の第8の目的は、画像形成プロセスに用いられる構成部品、特に像担持体と接触する転写装置から転写紙へのトナーの転移を防止して転写紙の裏汚れを防ぐことができる画像形成方法を提供することにある。
【0046】
本発明の第9の目的は、像担持体上に残留しているトナーの全てを回収することができる画像形成方法を提供することにある。
【0047】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、請求項1記載の発明は、像担持体と、その像担持体の表面に押圧させた状態で配置されている回転可能な導電性ローラからなるクリーニング部材とを備え、上記像担持体に対する1回の画像形成プロセス中に一方向への電界を付与して上記像担持体表面に付着している残留トナーを上記クリーニング部材に吸着保持し、次いで、上記電界の方向を切り換えて、上記吸着保持されているトナーを上記像担持体上における次回の画像形成に影響しない領域に再付着させて上記画像形成プロセスに用いられる現像部に移送して、現像部において上記移送されたトナーを静電的に回収する画像形成装置において、上記クリーニング部材は、上記像担持体に接触して配置され、像担持体と速度差を有して回転し、像担持体とのニップ部で転写後に像担持体に付着している残留トナーを摩擦帯電し、そのトナーを同一極性に帯電させるクリーニングローラと、上記クリーニングローラに電圧を印加し、同一極性に帯電した上記像担持体上の残留トナーを上記クリーニングローラに吸着させる電圧印加手段とを具備し、上記クリーニングローラは、上記像担持体との当接部にニップ部を形成して残留トナーを擦ることにより摩擦帯電するときに上記電圧印加手段による同一極性に帯電したトナーと逆極性の電圧印加によって、残留トナーを吸引し、吸引した残留トナーを像担持体に戻す際には上記電圧印加手段による印加される電圧の極性を切り換えられることを特徴としている。
【0048】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、上記クリーニング部材が具備している電圧印加手段に加えて、上記画像形成プロセスに用いられる現像装置に電圧印加手段を備え、上記クリーニング部材が具備している電圧印加手段は、クリーニングローラに付着して回収されたトナーを再使用する時、上記クリーニングローラによる回収時とは逆向きの電圧を印加し、クリーンニングローラ上に付着して回収されたトナーを像担持体上で次の画像形成が行なわれる領域以外の領域に再付着させるとともに、上記現像装置に備えられている電圧印加手段は、上記像担持体上に再付着したトナーを吸着可能な電極の電圧を上記現像装置に印加することを特徴としている。
【0049】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、上記クリーニング部材が具備している電圧印加手段および上記現像装置に備えられている電圧印加手段に加えて、上記画像形成プロセスに用いられる転写装置に電圧印加手段を備え、上記転写装置に備えられている電圧印加手段は、クリーニングローラに付着して回収されたトナーを再使用する時、上記クリーニングローラによる回収時とは逆向きの電圧を像担持体に印加して像担持体の表面を帯電させることにより、クリーンニングローラ上に付着して回収されたトナーを像担持体上で次の画像形成が行なわれる領域以外の領域に再付着させるとともに、上記現像装置に備えられている電圧印加手段は、上記像担持体上に再付着したトナーを吸着可能な電極の電圧を上記現像装置に印加することを特徴としている。
【0051】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、上記クリーニング部材は、残留トナーを上記像担持体上に再付着させる際の電界方向の切り換え順序として、最初に、上記像担持体上から残留トナーを吸引できる方向の電界が形成され、次いで吸引した残留トナーを上記像担持体上に向け転移させる方向の電界が形成される順序に設定されていることを特徴としている。
【0052】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の画像形成装置において、上記クリーニング部材は、最初に形成される電界の電圧が、クリーニング部材と像担持体との接触による摩擦帯電によってトナーに生起される帯電電荷の極性と反対極性で、かつ像担持体から吸引する際に用いられる電圧よりも高い電圧に設定されていることを特徴としている。
【0055】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、上記クリーニング部材は、硬度がアスカC20〜38度に設定されたゴムで構成され、上記像担持体に対しての押圧力が3g/cm以上、上記像担持体との線速比が1未満に設定されて上記像担持体の移動方向と順方向に移動することを特徴としている。
【0056】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、上記クリーニング部材は、硬度がアスカC20〜38度に設定されたゴムで構成され、上記像担持体に対しての押圧力が3g/cm以上に設定されて上記像担持体の移動方向と逆方向に移動することを特徴としている。
【0058】
請求項8記載の発明は、請求項4記載の画像形成装置において、上記クリーニング部材は、像担持体から回収されて付着しているトナーを像担持体に向け転移させることが可能な電圧を印加するための複数の電圧制御手段を備え、
上記複数の電圧制御手段は、上記クリーニングローラに保持されているトナーが感光体に向かうような電界の強さが異なることを特徴としている。
【0059】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の画像形成装置において、電源オン直後またはウォームアップ中に感光体上のトナーを除去するために、現像後のトナーがクリーニングローラに向かうような電界を形成する電圧制御手段を働かせ、次にクリーニングローラ上のトナーを感光体上に再付着させ、かつその時の電圧制御手段が作像中の電圧制御手段より強い電界を形成することを特徴としている。
【0060】
請求項10記載の発明は、請求項8記載の画像形成装置において、作像停止の一定時間経過後、感光体上にトナーを再付着させ、かつその時の電圧制御手段が作像中の電圧制御手段より強い電界を形成することを特徴としている。
【0061】
請求項1 1記載の発明は、請求項8記載の画像形成装置において、一定枚数に1度通常と異なった強い電界の電圧制御手段で感光体上にトナーを再付着させることを特徴としている。
【0076】
【作用】
請求項1記載の発明では、記録時、像担持体とともにクリーニングローラが回転し、それらの間で、転写後、像担持体上に残留しているトナーを擦り、それを同一極性に帯電してクリーニング部材にて静電的に吸着する一方、同時に電圧印加手段によりクリーニング部材に電圧を印加し、同一極性に帯電した像担持体上の残留トナーをクリーニング部材にて吸着し、像担持体表面をクリーニングする。
【0077】
請求項2記載の発明では、クリーニング部材にて吸着した回収トナーを再使用するとき、電圧印加手段でクリーニング部材に吸着時と逆向きの極性を持つ電圧を印加し、クリーニング部材に付着しているトナーを次の画像が形成される領域以外の領域に再付着させ、その再付着したトナーを現像装置に印加されている吸着可能な極性の電圧により現像装置側に向け戻すことにより回収する。
【0078】
請求項3記載の発明では、クリーニング部材により吸着されている回収トナーを再利用する時、転写装置で像担持体表面を帯電させ、クリーニング部材に吸着されているトナーを次の画像形成が行なわれる領域以外の領域に再付着させると共に、その再付着しているトナーを現像装置に印加されている電圧の極性を利用して現像装置側に向け吸着させて戻すことにより回収する。
【0079】
請求項4および5記載の発明では、クリーニング部材に吸引保持された残留トナーのうちの一部のものが吸着保持に必要な極性と反対極性に極性を反転させて付着していても、印加される電界の方向が切り換えられることにより、像担持体上に向け転移する。
【0081】
請求項6記載の発明では、像担持体の移動方向と順方向にクリーニング部材が移動する場合においても、像担持体の摩耗が最も少ない臨界硬度が得られると共に、トナーの摩擦帯電が最も有効に行なわれる臨界圧力および摺擦速度が得られる。
【0082】
請求項7記載の発明では、像担持体の移動方向と逆方向にクリーニング部材を移動させてトナーの摩擦帯電に必要な摺擦状態が得られる。
【0084】
請求項8記載の発明では、クリーニングローラに吸着・保持したトナーの量等に応じて前記複数の電圧制御手段により前記電界の強さを最適に設定することが可能となり、確実に感光体上にトナーを再付着させることができ、現像部に移送して回収することができる。
【0085】
請求項9記載の発明では、現像後のトナーがクリーニングローラに向かうような電界を形成する電圧制御手段を働かせ、次にクリーニングローラ上のトナーを感光体上に再付着させ、かつその時の電圧制御手段が作像中の電圧制御手段より強い電界の電圧制御手段で感光体上にトナーを再付着させるので、ジャム後、現像後のM/Aの多いトナーを除去するためクリーニングローラ上に増加し保持されたトナーをも感光体上に全て再付着させることができ、現像部に移送して回収することができる。
【0086】
請求項10記載の発明では、例えば、A3原稿でA4転写紙を通紙した時のように異常な量の入力トナーが発生した時にも、クリーニングローラ上に増加したトナーを全て感光体上に再付着させることができ、現像部に移送して回収することができる。
【0087】
請求項11記載の発明では、紙厚や環境等で転写率が低下し転写残トナー量が増え、そのトナーを除去して増加したクリーニングローラ上のトナーを全て感光体上に再付着させることができ、現像部に移送して回収することができる。
【0099】
【実施例】
以下図面に示した実施例により本発明の詳細を説明する。
【0100】
図1は、本発明の実施例を示す画像形成装置の基本的構成を示す模式図である。
【0101】
図1において画像形成装置1は、像担持体として、感光体ドラム2を備えている。以下、像担持体が感光体ドラム2である場合を対象としてい説明する。
【0102】
感光体ドラム2は、表面にOPC等の有機体からなる感光層を有し、図示しない駆動装置により、図示矢印方向に回転可能に設けらているものであり、その周囲には、回転方向に沿って、画像形成プロセスを実行するための帯電装置3、露光装置4、現像装置5、転写装置6、クリーニング装置7および除電装置11がそれぞれ配置されている。
【0103】
帯電装置3は、感光体ドラム2に対して接離可能に設けられており、そのための構成は図2に示されている。
【0104】
図2において、帯電装置3は、感光体ドラム2に対し接触して電荷注入する方式が用いられている。このため、帯電装置3は、感光体ドラム2の表面に当接可能な導電性部材からなる帯電ローラ3Aを備え、この帯電ローラ3Aは、昇降可能なブラケット3Bに対して昇降可能な支持坂3A2に嵌合している回転軸3A1により回転自在に支持されている。これにより、帯電ローラ3Aは、感光体ドラム2に当接すると、感光体ドラム2の回転に連れ回ることができるようになっている。回転軸3A1は、ブラケット3Bの支持板3A2との間に配置されたコイルバネ3Cにより通常、感光体ドラム2側に向け移動することができる習性を付与されている。
【0105】
ブラケット3Bは、アングル片で構成され、その上片が昇降軸3Dに固定されている。
【0106】
昇降軸3Dは、ブラケット3Bの固定部が平坦面に形成されたロッド部材であり、後述する昇降駆動片3Eの昇降動作に応じてブラケット3Bを昇降させて帯電ローラ3Aを感光体ドラム2に対して接離させることができる。
【0107】
昇降駆動片3Eは、ソレノイド3Fのアクチュエータ3F1に連結されている。ソレノイド3Fは、その本体とアクチュエータ3F1との間に配置されたコイルバネ3F2を備えており、通常時、非励磁状態を維持され、この状態でコイルバネ3F2の付勢によりアクチュエータ3F1を上昇させている。従って、ソレノイド3Fの通常時には、帯電ローラ3Aが感光体ドラム2から離される向きに移動することができる。
【0108】
ソレノイド3Fの非励磁状態は、帯電工程時以外の期間に設定されている。これにより、帯電ローラ3Aは、帯電工程時のみ感光体ドラム2に当接して感光体ドラム2の感光層を一様帯電することができる。
【0109】
図1において、帯電装置3は、帯電ローラ3Aに接続されている電源3Gを備えており、この電源3Gは帯電ローラ3Aに対して、―850Vの帯電電位を付与する回路と接地回路とが設けられている。これら各回路に対しては、帯電ローラ3Aが感光体ドラム2に当接している時に上記帯電電位を付与できる回路が接続されるようにスイッチ3Hが設けられている。
【0110】
スイッチ3Hは、図示しないアクチュエータなどによって手動あるいは自動操作されて作動するマイクロスイッチやトランジスタなどの電子部品が適用される。このスイッチの構成は、以下に述べる各装置に装備されているスイッチに対しても同様である。
【0111】
露光装置4は、画像読み取り装置からの画像書込み信号によりレーザ光を用いた光書込み形式が用いられ、感光体ドラム2の感光層に静電潜像を形成するようになっている。なお、露光装置4の構成としては、結像光学系を用いて原稿載置台上の原稿を露光する形式を用いることも可能である。
【0112】
現像装置5は、磁気ブラシ現像装置が用いられている。本実施例での磁気ブラシ現像装置は、摩擦帯電しているトナーを磁性キャリアに磁性的に吸着させた二成分系現像剤が用いられる。このため、現像装置5には、現像槽5A内において、感光体ドラム2の表面に近接して回転可能な現像スリーブ5Bとトナーの摩擦帯電用撹拌スクリュウ5Cとが設けられている。
【0113】
現像スリーブ5Bは、感光体ドラム2と対向する内部に配置された現像主極をなす磁極および現像剤を搬送するための搬送磁極をそれぞれ配置されて表面に磁気ブラシを担持することができる。
【0114】
磁気ブラシは、ドクター部材5Dによって現像スリーブ5B表面での担持量を規制されたうえで感光体ドラム2に形成されている静電潜像に接触することで潜像の可視像処理を行なうことができる。
【0115】
現像スリーブ5Bには、表面に担持した現像剤中のトナーを感光体ドラム2の静電潜像に対して静電的に吸着させやすくするための現像バイアスを付与する電源5Eが接続されている。電源5Eは、現像スリーブ5Bに対して―600Vの電圧を付与する回路と+150Vの電圧を付与する回路とが設けられ、これら各回路に対しては、スイッチ5Fによって切り換え設定されるようになっている。
【0116】
現像装置5における現像スリーブ5Bへの電圧の切り換えは、現像時と、後で詳しく説明するが、感光体ドラム2上に残留付着して現像時と逆極性に反転させられているトナーを吸引する時とに行なわれるようになっている。図1に示す構成では、現像時に、―600Vの電圧が、そして、トナーの吸引時には、+150Vの電圧が選択されるようになっている。これにより、現像時には、現像スリーブ5Bから感光体ドラム2に向けてトナーの反発転移が容易に行なわれ、またトナー吸引時には、極性が反転しているトナーの吸引転移が容易に行なわれることになる。
【0117】
転写装置6は、ウレタンゴム中にカーボン等の導電材を混入して感光体ドラム2に当接可能な半導電性ローラにより構成されており、転写バイアスを付与するための電源6Aに接続されている。
【0118】
電源6Aは、転写バイアスとしての電圧である+950Vを付与する回路と、接地回路と、図示しないが、転写バイアス電位以上の電圧を付与する回路とを備え、これら各回路に対してはスイッチ6Bにより切り換えられるようになっている。
【0119】
転写バイアスは、給紙装置8から給送される転写紙Sに対して感光体ドラム2上に担持された可視像を静電的に転写させる時に付与される。転写バイアス電位以上の電圧を付与する回路は、感光体ドラム2における残留トナーの再付着領域が対面した時に接続されるようになっている。
【0120】
転写バイアス以上の電圧を付与する理由は次の通りである。
つまり、現像装置5における現像バイアスによって―極性に帯電しているトナーの一部が感光体ドラム2の画像形成域後端近傍に残留し、そのトナーが転写バイアス(+950V)により転写装置6の半導電性ローラに吸引されて付着し、正極に帯電してしまっている場合、そのトナーを感光体ドラム2の再付着領域に向け転移させるためである。
【0121】
給紙装置8は、転写紙Sを収容している給紙カセットから繰り出される転写紙Sを感光体ドラム2上の画像先端位置と整合させて給送するための一対のレジストローラ8Aを備えている。
【0122】
クリーニング装置7は、感光体ドラム2に対して接離可能に設けられており、そのための構成は図3に示されている。
【0123】
図3において、クリーニング装置7は、後述する接離手段70によって感光体ドラム2に対し接離可能に支持されているクリーニングローラ7Aを備えている。
【0124】
クリーニングローラ7Aは、回転軸7A1を有し、この回転軸7A1が、ローラ7Aの周面の一部を露出させることができる形状に形成されているクリーニングケース7Bにより摺動自在に設けられている支持板7Cによって回転可能に支持されている。支持板7Cは、クリーニングケース7Bとの間に配置されているコイルバネ7Dによってクリーニングローラ7Aを感光体ドラム2に向け移動させる習性が付与されている。
【0125】
クリーニングローラ7Aは、転写後、感光体ドラム2に当接して、感光体ドラム2との接触位置で同ドラム2と同一方向に移動することができる回転方向を設定されているが、その回転速度は、感光体ドラム2の周速よりも僅かに速い速度に設定され、感光体ドラム2に付着している残留トナーを擦るようになっている。図1に示した構成では、上記クリーニングローラ7Aの回転速度が、感光体ドラム2の回転速度の1.4倍程度に設定されている。
【0126】
クリーニングケース7Bは、図3に示すように、上片部に支軸7B1が挿通されており、この支軸7B1を支点として揺動することができるようになっている。
クリーニングケース7Bは、クリーニングローラ7Aを感光体ドラム2に当接させる方向とクリーニングローラ7Aを感光体ドラム2から離す方向とに揺動することができるようになっている。クリーニングローラ7Aを感光体ドラム2から離すために、下片と不動部との間に引張バネ7Eが設けられている。
【0127】
クリーニングローラ7Aは、感光体ドラム2に対して接離可能に設けれているが、そのための接離手段70は、クリーニングケース7Bの揺動を行わせるために設けられている揺動駆動部7Fによって構成されている。
【0128】
揺動駆動部7Fは、偏心カム7F1、カム軸7F2、一方向回転クラッチ7F3、ソレノイド7F4、クラッチレバー7F5を備えている。
【0129】
偏心カム7F1はカム軸7F2に固定され、カム軸7F2は一方向回転クラッチ7F3に連結されている。
【0130】
一方向回転クラッチ7F3には、その胴部の相対位置に係止突起7F3Aが形成されている。この係止突起7F3Aには、ソレノイド7F4のアクチュエータ7F4Aに連結されて揺動可能なクラッチレバー7F5の一方の揺動端が対向するようになっている。
【0131】
一方向回転クラッチ7F3は、偏心カム7F1の大径部がクリーニングケース7Bの背面に当接するときと少径部がクリーニングケース7Bの背面に当接するときとでカム軸7F2の回転を停止させるようになっている。このため、一方向回転クラッチ7F3は、胴部に有する係止突起7F3Aが180度の位相を以て設けられている。
【0132】
ソレノイド7F4は、図示しない制御部によって駆動制御されるようになっており、通常時に相当する非励磁状態として、アクチュエータ7F4Aを突出させる状態に維持されている。このため、クラッチレバー7F5は、図において反時計方向に揺動し、一方向回転クラッチ7F3の係止突起7F3Aに係合することができるようになっている。ソレノイド7F4が励磁される時は、偏心カム7F1とクリーニングケース7Bとの当接関係を変更する場合である。
【0133】
偏心カム7F1の大径部がクリーニングケース7Bの背面に当接した時には、クリーニングローラ7Aが感光体ドラム2の表面に当接し、偏心カム7F1の小径部がクリーニングケース7Bの背面に当接した時には、クリーニングローラ7Aが感光体ドラム2の表面から離間することができる。
【0134】
図1において、クリーニングローラ7Aには、クリーニング用電源7Gが接続されている。
【0135】
クリーニング電源7Gは、+300Vと−500Vと図示しないが+500Vとを付与する回路が設けられており、これら各回路に対してはスイッチ7Hを介してクリーニングローラ7Aと接続されている。これら各回路は、いずれもトナーの転移に寄与する電界を形成するために設けられているものである。
【0136】
+300Vを付与する回路は、感光体ドラム2上に残留しているトナーを吸引するための電界を形成する場合に選択され、−500Vおよび+500Vを付与する回路は、クリーニングローラ7Aにより、感光体ドラム2上の画像形成領域に存在している残留トナーの吸引が終了した時点で、吸引した残留トナーを感光体ドラム2に向け転移させるための電界を形成する場合に切り換え選択される。
このようなバイアス電圧の切り換えは、次の理由による。
【0137】
現像装置5により可視像処理された感光体ドラム2上での画像には、現像バイアスにより負極に帯電したトナーが付着している。
【0138】
転写工程において転写紙Sに転写される際の画像中のトナーに対しては、転写バイアスにより、正極の帯電が生じる。このため、転写工程後に感光体ドラム2上に残留しているトナーは、正・負両極性のものが混在している。図4はこの状態を示している。
【0139】
一方、転写工程後にクリーニングローラ7Aと接触するトナーは、図5に示すように、クリーニングローラ7Aと感光体ドラム2との接触位置に相当するニップ部において、両者間での周速の違いにより摩擦帯電される。摩擦帯電により生起される極性は、図5に示すように、全てを負極に設定される。このため、負極に転じた残留トナーは、クリーニングローラ7Aに付与されている電源回路7Gからの電圧である+300Vの電圧により形成される一方向への電界によって吸引される方向に転移し、感光体ドラム2上から除去される。クリーニングローラ7Aの材質としては、バイアス電圧を印加できる導電性を備え、かつ、摩擦帯電によりトナーの極性を負極に設定できるものが選択される。
【0140】
他方、クリーニングローラ7A上に転移したトナーは、感光体ドラム2における画像形成領域がクリーニングローラ7Aを通過し終わった時点で、クリーニングローラ7Aに付与される電源回路7Gからの電圧である−500Vの電圧により形成される他方向への電界によってクリニングローラ7Aの表面から反発し、感光体ドラム2の表面に再付着することになる。
【0141】
感光体ドラム2上に再付着したトナーは、感光体ドラム2の回転に伴い、現像装置5における現像スリーブ5Bに対向した時、現像バイアスの極性が正極に切り換えられていることにより、吸引されて回収される。
【0142】
図1に示す構成では、このようなクリーニング装置7でのバイアス制御により、感光体ドラム2上に残留しているトナーの除去と現像装置5によるトナーの回収を実現している。
【0143】
なお、図1中、符号9は、転写紙Sに残留している電荷を除電する除電針、符号10は、図示しない定着装置に向け転写紙Sを搬送するための搬送装置を、また、符号11は、感光体ドラム2の移動中に点灯しているランプで構成された除電装置をそれぞれ示している。
【0144】
以下に、各請求項に記載された発明の実施例を説明する。
【0145】
図6は、請求項1乃至3記載の発明の実施例を説明するためのタイミングチャートである。なお、以下に説明する画像形成工程では、ネガ画像からポジ画像を形成する場合を対象としている。
図1および図6において、画像形成開始のために図示しない操作部においてプリントボタンがオン(ON)されると、感光体ドラム2が回転を開始する。このとき、帯電装置3では、ソレノイド3Fが励磁されることにより帯電ローラ3Aが感光体ドラム2に当接するとともに、電源3Gでスイッチ3Hが切り換えられることにより、「−850V」の負極電圧により一様帯電が実行される。
【0146】
一様帯電された感光体ドラム2は、帯電工程後、露光装置4により光書込が行われて静電潜像が形成される。潜像のうち、黒ベタ画像に対応する箇所での感光体ドラム2の表面電位は「−150V」になっている。
【0147】
静電潜像が形成された感光体ドラム2は、その表面を現像装置5の現像スリーブ5Bに対向させ、静電潜像の可視像処理が行われる。このとき、現像装置5では、現像スリーブ5Bに対し、電源5Eから「−600V」の現像バイアスが印加されている。従って、現像スリーブ5Bに担持されている現像剤中のトナーは、静電潜像に向け転移し、静電潜像の可視像化を可能にする。
【0148】
静電潜像が可視像化された可視画像を担持している感光体ドラム2は、転写装置6に対向する。
【0149】
転写装置6では、電源6Aから「+950V」の転写バイアスが印加されており、これによって、感光体ドラム2上に担持されている可視画像中のナーは、給紙装置8から繰り出される転写紙Sに対して吸引付着される。
【0150】
転写紙Sは、感光体ドラム2から剥離され搬送装置10により図示しない定着装置に向け搬送され、定着装置において、転写されたトナーが加熱融着させられる。
【0151】
転写工程を終了した感光体ドラム2は、クリーニング装置7に向け移動し、感光体ドラム2における画像域に残留しているトナーを吸引して現像装置5により回収させるクリーニング工程が実行されるが、その表面には、転写工程において転写されなかった残留トナーが存在している。
【0152】
残留トナーは、図4において説明したように、印加された転写バイアスによって正・負両極性のものが混在がしているが、実際には、転写バイアスと現像バイアスとの差により、正極に帯電しているトナーの残留量がきわめて多い。
【0153】
クリーニング装置7では、感光体ドラム2における画像形成領域に相当する1枚目の画像域への画像形成が開始される時点を含む、プリントボタンがONされた時点からクリーニングローラ7Aが感光体ドラム2の表面に当接させられている。
【0154】
なお、帯電装置3は、画像域後端が帯電工程を終了した時点で、感光体ドラム2の表面から離され、感光体ドラム2上での帯電電位が「0V」にされる。
【0155】
クリーニングローラ7Aの当接動作は、図3において説明した接離手段70が備えているソレノイド7F4の励磁状態が切り換えられることにより行われる。
ソレノイド7Fの励磁状態が切り換えられると、偏心カム7F1の大径部がクリーニングケース7Bの背面に当接する状態が設定される。これにより、感光体ドラム2の表面とクリーニングローラ7Aとの当接範囲がニップ部を構成し、そのニップ部内にて残留トナーが摩擦帯電されることにより負極に帯電する。このとき、クリーニングローラ7Aに対し、電源7Gから「+300V」の電圧が印加され、摩擦帯電により負極に転じた残留トナーをクリーニングローラ7Aに吸引することができる。
【0156】
一方、感光体ドラム2上から画像域後端での残留トナーを吸引したクリーニングローラ7Aは、電源7Gからの印加電圧が、上記したトナーの吸引用としての「+300V」から、現像装置5において印加される現像バイアスの極性である負極の「−500V」に切り換えられ、感光体ドラム2とクリーニングローラ7Aとの間の電界の方向が変化させられる。
【0157】
クリーニングローラ7Aに対する「−500V」への電圧切り換え期間は、クリーニングローラ7Aによる感光体ドラム2の1枚目の画像域後端が通過し、次の画像域先端に至るまでの間の領域が通過する期間に相当させてある。これにより、感光体ドラム2の表面には、画像形成に関係しない領域に対してクリーニングローラ7Aに吸引されたトナーが反発転移して再付着することができるようになっている。
【0158】
クリーニングローラ7Aにより1枚目の画像域に残留するトナーが吸引された感光体ドラム2は、クリーニング装置7を通過して除電装置11により表面電位を「0V」に設定されたうえで帯電装置3に対向するが、帯電装置3は感光体ドラム2から離れ、かつ電源3Gからの電圧の印加が行われない状態に設定されているので、帯電工程を実施されることなく現像装置5に向け移動する。
【0159】
感光体ドラム2上での1枚目の画像域後端が帯電装置3を通過した時点で感光体ドラム2の表面電位が「0V」に設定されるが、実際には、転写バイアスおよびクリーニングローラ7Aからの印加電圧による影響を受けて、転写後には「+20V」、クリーニング工程終了後には「−50V」程度に帯電する。しかし、これら感光体ドラム2上での表面電位は、感光体ドラム2が除電装置11を通過する際に一応表面電位を低減されて除電されるので、感光体ドラム2とトナーとの間の静電的な関係が除外される。
【0160】
現像装置5は、感光体ドラム2上での1枚目の画像域後端が現像スリーブ5Bを通過した時点で、電源からの5Eからの印加電圧が切り換えられる。印加電圧は、現像バイアスとして機能する「−600V」から「+150V」に切り換えられる。
【0161】
現像装置5では、現像スリーブ5Bに対する印加される電圧の極性が現像時と反転されているので、感光体ドラム2上に担持されて移送されてきたトナーの極性と反対極性となる関係であることから、感光体ドラム2上の残留トナーが現像スリーブ5Bに向け転移して回収される。
【0162】
クリーニング装置7でのクリーニングローラ7Aは、感光体ドラム2上での1枚目の画像域後端が通過した時点から感光体ドラム2上にトナーを再付着させることができる移動量に相当する1回転に至るまでの間、回転し、1回転を経過した後に感光体ドラム2から離される。これにより、感光体ドラム2における画像域に対してトナーの逆転移を行わせないようにして、地肌汚れを防止できるようになっている。
【0163】
現像装置5を通過した感光体ドラム2は、クリーニング装置7と対向するも、クリーニングローラ7Aと非接触な状態にあるので、そのまま除電装置11により残留する表面電位を除電されて次回の帯電工程に備えられる。
【0164】
図7は、上記した残留トナーの回収工程を複数枚の転写紙が給送される間で実行されるときのタイミングチャ−トを示している。図7において、複数枚の転写紙が給送される間でのトナーの回収は、1枚目に実施された工程と同じであるが、感光体ドラム2からの残留トナーの吸着保持後に実施される再付着時での回転速度を、前述した線速比において1未満とするのでなく、1以上に設定することにより、次回の画像形成に用いられる工程である給紙工程期間(図中では、紙間と称する)での感光体ドラム2へのトナーの再付着に要する時間を短くすることができるので、2枚目の画像形成までの時間を短縮することができる。
【0165】
次に、請求項4および5記載の発明の実施例について説明する。
【0166】
上記した構成において、クリーニングローラ7Aにて吸引したトナーが転写バイアスの影響を受けてニップ部での摩擦帯電によっても正極に反転したままである場合があり、この場合には、上記した再付着用の負極の電圧を付与してもクリーニングローラ7A上に付着したままとなる。
【0167】
そこで、このような場合に対処するため、ニップ部において摩擦帯電しているトナーの吸引に用いられるバイアス電圧と同極性でその電圧よりも高い値である+500Vの電圧が用いられ、この電圧の付与によって、正極に帯電しているトナーを感光体ドラム2の再付着領域に転移させるようになっている。
【0168】
このため、クリーニングローラ7Aは、感光体ドラム2の画像形成域後端を開始位置として、次回の画像形成域に影響しない領域に相当するトナーの再付着領域に対面した時、2回転するようになっており、最初の回転時には、感光体ドラム2からのトナーの吸引を行える極性の電圧のうちで、正極に帯電しているトナーを感光体ドラム2に向け反発転移させて再付着させることができる電圧(+500V)の付与による電界が形成され、次回の回転時には、トナーの摩擦帯電による極性と同極性であって吸着保持されているトナーを感光体ドラム2に向けて反発転移させることにより再付着させることのできる電圧(−500V)の付与による電界が形成されるようになっている。
【0169】
本実施例は以上のような構成であるから、その動作を説明を図1に示した構成および図8及至図11に示すタイミングチャートを基にして説明すると、次の通りである。なお、以下に説明する画像形成工程では、ネガ原稿からポジ画像を形成する場合を対象としている。
【0170】
感光体ドラム2上からのトナーを回収するための基本的な動作は、請求項1乃至3記載の発明の実施例と同様である。
【0171】
本実施例では、次の点に特徴を有する。
感光体ドラム2からクリーニングローラ7Aに向け残留トナーを吸引する場合および感光体ドラム2に向け再付着させる場合には、クリーニングローラ7Aに印加される電圧の極性が重要となるが、このバイアス電圧が付与される残留トナーは、図5に示すニップ部において摩擦帯電されて負極性になるものの、一部が転写時でのバイアス電圧の極性により反転することもある。正極に反転したクリーニングローラ7A上のトナーは、感光体ドラム2への再付着時にクリーニングローラ7Aに印加される負極のバイアス電圧である「−500V」の影響によりクリーニングローラ7A上に付着したままとなる。
【0172】
そこで、本実施例では、このような反転した極性をもつトナーを含め、クリーニングローラ7A上に吸引された全てのトナーを感光体ドラム2に向け再付着させることを特徴としている。
【0173】
図8は、図6および図7に示した基本的な動作に対して上記した反転極性を有するトナーをクリーニングローラ7Aから感光体ドラム2に対して再付着させる場合の実施例を示すタイミングチャートである。
【0174】
図8において、クリーニングローラ7Aは、感光体ドラム2での再付着領域に対面した時、2回転し、その最初の回転時に感光体ドラム2からのトナーの吸引用バイアス電圧である「+300V」よりも高い「+500V」の電圧が付与され、2回転時には、トナーの吸引用バイアス電圧と極性を反転させた「−500V」の電圧が付与される。最初に付与される電圧は、前述したように、ニップ部での摩擦帯電しているトナーの吸引に用いられるバイアス電圧と同極性で、かつ、それよりも高い電圧に相当させてある。
【0175】
極性の切り換えは、クリーニングローラ7Aに吸引保持されているトナーのうちで、正極に反転しているトナーを反発させることにより感光体ドラム2に向け再付着させた後、負極を有するトナーを感光体ドラム2に向け再付着させる順序が設定されている。
【0176】
一方、現像装置5では、通常の回収時に印加されるバイアス電圧に対し、正極に反転したトナーが感光体ドラム2に再付着された場合に対処するために、図中、一点鎖線で示すタイミングにより負極を有するトナーを回収する際に付与される正極のバイアス電圧である「+150V」よりも低い電圧が設定され、この電圧とクリーニングローラ7A側でのバイアス電圧との差により、正極に反転しているトナーが現像装置5側に向け転移しやすい状態が設定されている。このように、正極に反転しているトナーを先に感光体ドラム2上に再付着させて現像装置5に回収するのは、現像装置5内で摩擦帯電した際の極性変更に要する時間を確保するためである。
【0177】
正極に反転したトナーの回収を終えた現像装置5では、負極に帯電しているトナーの回収を可能にするためのバイアス電圧である「+150V]に切り換えられ、感光体ドラム2上に再付着しているトナーの回収を可能にしている。
【0178】
ところで、上記した実施例においては、転写工程時およびクリーニング工程時において、感光体ドラム2は、バイアス電圧を印加されることにより帯電する。具体的には、転写工程後には「−20V」に、また、クリーニング工程後には「+50V」に帯電している。本実施例に用いられる除電装置11は、光除電方式であるので、感光体ドラム2の材質としてOPCなどの有機体を用いた場合には負極帯電に対してのみ有効である。従って、正極に帯電した感光体ドラム2の表面電位の極性を負極に反転させたり、あるいは、負極であっても、除電しやすい表面電位にまで下げることが必要となる。
【0179】
図9および図10は、この場合の実施例を示しており、図9では、感光体ドラム2の移動過程において、トナーの再付着が行われた後、そのトナーが現像装置5により回収されてから感光体ドラム2が対面する転写装置6において、感光体ドラム2の表面電位の極性が負極に反転されて帯電を行うようになっている。
【0180】
図10では、感光体ドラム2に再付着されたトナーが現像装置5により回収された後、クリーニング装置7に対面したとき、クリーニング装置7により表面電位の極性が負極に反転されて帯電させられている。
【0181】
転写装置6あるいはクリーニング装置7によって極性を負極に設定された感光体ドラム2は、除電装置11に対向したとき、光除電により表面電位を「0V」に設定され、次回の帯電工程での一様帯電を可能にすることができるようになっている。
【0182】
本実施例によれば、除電装置による除電処理の負担を軽減することにより、画像形成プロセス中での除電工程に要する時間を短縮することができる。
【0183】
本実施例においては、クリーニング装置7による感光体ドラム2上からの残留トナーの吸引保持および感光体ドラム2への再付着を行うにあたり、これと同じ手法を用いて転写装置のクリーニングを行うようになっている。
【0184】
転写装置6は、感光体ドラム2に対し、転写紙Sを挾持搬送する以外の間は接触している。このため、感光体ドラム2上における画像域後端近傍は、この位置に近接する転写装置6の半導電性ローラからの転写バイアスの影響を受ける。従って、感光体ドラム2上において現像装置5により回収されなかったトナーが存在している場合には、転写バイアスにより転写装置6にトナーが転移して付着し、この付着したトナーが次に挾持搬送される転写紙Sの裏面に転移して、所謂、転写紙Sの裏汚れを招くことがある。
【0185】
そこで、本実施例では、転写装置6を構成する転写ローラに対するバイアス制御を行うことにより、ローラ表面に付着しているトナーを感光体ドラム2に再付着させて転写装置6での自己クリーニングが行えるようになっている。
【0186】
図11は、この場合の実施例を示すタイミングチャートであり、同図において、感光体ドラム2におけるトナーの再付着が行われる領域が転写ローラに対向したとき、転写装置7では、クリーニング装置7において実施される電界方向の反転切り換えと同様な手順により再付着領域間内で電界方向の反転切り換えが実行される。これにより、転写ローラ表面に付着しているトナーの極性に拘らず、全ての付着トナーを感光体ドラム2におけるトナーの再付着領域に付着させることができる。
【0187】
なお、帯電装置3の構成としては、図1に示した接触形式に限らず、図12に示すようにコロナ放電方式や針状電極を接触させて帯電を行える構成とすることも可能であり、また、クリーニング装置7に関しても、接離可能なものではなく、感光体ドラム2の表面に対してトナーに接触可能で電荷注入が行える程度の隙間を設けてクリーニングローラを不動状態に設けることも可能である。さらに、クリーニングローラへのバイアス電位の極性を切り換えて電界の方向を変化させることに限らず、バイアス電圧および極性を一定とし、感光体側での極性及び表面電位の設定によって電界の方向を切り換えるようにしてもよい。
【0188】
次に請求項6および7に記載された発明の実施例を説明する。
【0189】
図1において、クリーニング装置7が有するクリーニングローラ7Aは、アスカCが20〜38度、好ましくは38度に設定されたゴムからなる導電性弾性部材で構成され、感光体ドラム2に対する押圧力が3g/cmに設定されて感光体ドラム2の回転方向と順方向に回転するようになっている。
【0190】
クリーニングローラ7Aのこのような特性のうち、感光体ドラム2に対する押圧力は、図13に示すように、ニップ領域を少なくしても摩擦帯電が充分に行えクリーニングローラ7Aに付与されている吸引用のバイアス電位によって最も多くのトナーが吸引できるための極性に摩擦帯電できる臨界値であり、また、硬度は、図14に示すように、上記圧力による感光体ドラム2の摩耗が抑制される臨界値である。これにより、感光体ドラム2の摩耗を促進することなく少ないニップ領域を設定した場合でも、吸引される残留トナーに対する一様な極性の設定が行え、クリーニングローラ7A側へのトナーの転移を良好に行わせることができるようになっている。
【0191】
クリーニングローラ7Aは、感光体ドラム2に当接して、感光体ドラム2との接触位置で同ドラム2と同一方向に移動することができる回転方向を設定されているが、その回転速度は、感光体ドラム2の周速に対し、線速比において1未満の関係となる速度に設定されている。これにより、感光体ドラム2の移動方向と順方向に移動、つまり回転するクリーニングローラ7Aは、ニップ部において同方向に移動した場合での摺擦を良好に行うことができ、感光体ドラム2との間に形成されるニップ部でのトナーに対する摩擦帯電が効率よく行われる。従って、ニップ部では、感光体ドラム2に残留しているトナーの全てを同じ極性、この場合には負極に摩擦帯電させることができる。しかも、クリーニングローラ7Aは、その周長未満の領域に感光体ドラム2の画像域に残留しているトナーを吸引する関係を設定されている。これにより、一旦、クリーニングローラ7Aに吸引されて吸着保持されたトナーは、再度、感光体ドラム2の画像域に対向することがない。
【0192】
このような構成において、クリーニング装置7では、図6および図7に示した場合と同様な作用が得られるが、感光体ドラム2における画像形成領域に相当する1枚目の画像域への画像形成が開始される時点を含む、プリントボタンがONされた時点からクリーニングローラ7Aが感光体ドラム2の表面に当接させられていること、この場合の感光体ドラム2に対するクリーニングローラ7Aの押圧力は、クリーニングローラ7Aが感光体ドラム2の回転方向と同じ順方向に回転する場合であるので、前述したように、3g/cmであり、そして、線速比が1未満に設定されていること、および、感光体ドラム2の回転方向に沿った画像域の長さがクリーニングローラ7Aの周長未満となる関係に設定されていることを理由として、一旦、クリーニングローラ7Aに吸着されたトナーは、再度、感光体ドラム2の画像域と対向する位置に達することがない。従って、クリーニングローラ7Aにより残留トナーを吸引された感光体ドラム2の画像域後端がクリーニングローラ7Aに吸着保持されたトナーと対向することがないので、クリーニングローラ7Aに吸着保持された残留トナーは、画像域での帯電電荷の影響を受けることがなく、これにより、感光体ドラム2の画像域へ逆転移を起こすことがない。
【0193】
ところで、感光体ドラム2における画像域に残留しているトナーを吸引するクリーニングローラ7Aは、その周長と画像域との関係を次の関係とすることも可能である。
【0194】
上記実施例では、画像域に残留しているトナーがクリーニングローラ7Aの周長未満の領域において吸引されるようになっているが、単に、周長を基準とした場合には、感光体ドラム2の回転方向に沿った画像域の長さを、転写に供される領域である感光体ドラム2の回転方向に沿った静電潜像形成領域の長さに応じて変化させなければならない。このため、本実施例では、クリーニングローラ7Aの周長を、画像域における最大画像域の長さを含むことができる長さに設定されている。これにより、最大画像域の長さに達しない画像域を対象として残留トナーの吸引を行う場合には、クリーニングローラ7Aを1回転させるまでもなく、残留トナーの全てを吸引し、かつ、吸引したトナーを画像域に逆転移させることがない。
【0195】
また、上記静電潜像形成領域の長さに応じて感光体ドラム2の画像域から残留トナーを吸引するために、感光体ドラム2の回転速度に対するクリーニングローラ7Aの回転量を変更することもできる。この場合には、転写紙のサイズ検知を行い、転写紙のサイズ、特に感光体ドラム2の回転方向に沿った転写紙の長さを検知し、この検知結果に応じて、クリーニングローラ7Aの回転速度を変更し、回転量を制御するようにすればよい。これにより、最大画像域の長さからその長さに達しない画像域の全てを対象としてクリーニングローラ7Aによる画像域からの残留トナーの吸引を行う場合、画像域の長さに関係なく、クリーニングローラ7Aの周長未満、特に、1周未満で画像域からの残留トナーの吸引が行えるとともに、吸引したトナーを画像域に逆転移させるような事態が防止される。
【0196】
上記ニップ部での摩擦帯電は、上記した実施例における感光体ドラム2とクリーニングローラ7Aとの回転方向を異ならせることによっても行なえるようになっている。
【0197】
この場合、クリーニングローラ7Aは、アスカC20〜38度、好ましくは、図14に示したように、感光体の摩耗量が最小となる38度の硬度を設定されたゴムによって構成され、感光体ドラム2に対する押圧力が3g/cmに設定されている。この設定条件とする理由は、上記実施例と同様である。
【0198】
感光体ドラム2の回転速度に対するクリーニングローラ7Aの回転速度は、線速比において1未満とすることに限らず、等比に設定され、クリーニングローラ7Aの回転方向は感光体ドラム2との対向位置であるニップ部において感光体ドラム2の移動方向と逆方向になる回転方向に設定されている。
【0199】
このような構成によれば、感光体ドラム2とクリーニングローラ7Aとが相反する方向に移動するので、ニップ部での摺擦度合いが強められ、トナーの摩擦帯電が効率よく行える。なお、クリーニングローラ7Aの周長に対して、画像域の長さが極端に短い場合には、上記線速比を1以上として回転数を増加させ、ニップ部での摺擦度合いを高めて摩擦帯電効率を向上させるようにしてもよい。この場合においても、クリーニングローラ7Aの周長未満の領域で感光体ドラム2の画像域に残留しているトナーを吸引することが前提となっていること勿論である。
【0200】
このような実施例によれば、少ないニップ領域とした場合においても、摩擦帯電に必要な条件、特に、残留トナーの極性を一律化させるための条件を満足させることができる。
【0201】
また、感光体ドラム2の画像域からの残留トナーの吸引は、クリーニングローラ7Aの周長未満の領域で実行されるので、吸引されたトナーが再度、画像域に達することがなく、画像域に残っているバイアス電位の影響を受けることがない。これにより、感光体ドラム2の画像域に向けて吸引されたトナーが逆転移するような事態が阻止される。
【0202】
ところで、上記した実施例においては、感光体ドラム2の回転方向とクリーニング装置7におけるクリーニングローラ7Aとの回転方向が順方向に設定されていた。
【0203】
この場合には、図4において示したように、転写後、感光体ドラム2上に残留しているトナーの極性がクリーニングローラ7Aと感光体ドラム2との周速差による摩擦帯電によって極性を一律化されるのが本来の目的であるが、残留しているトナーの全ての極性が一律化されるように帯電しているとは限らず、残留しているトナーの全体での極性の傾向が一律化されているのが現状である。このため、残留トナーには、摩擦帯電による極性と逆極性のままのものや極性をもたないもの(以下、これを不摩擦トナーという)も含まれている。従って、感光体ドラム2上の残留トナーがクリーニングローラ7Aによりニップ部において機械的に掻き取られるが、逆極性のままのトナーや不摩擦トナーは、ニップ部での間隙において作用している静電気力によって感光体ドラム2に対して逆転移することになり、クリーニング不良が発生する虞れがある。
【0204】
このような不具合は、感光体ドラム2とクリーニングローラ7Aとの回転方向に原因があり、感光体ドラム2表面からクリーニングローラ7A側に掻き取られたトナーが感光体ドラム2の移動と同じ方向に移動して感光体ドラム2の表面に対向したままであるためである。
【0205】
そこで、感光体ドラム2の回転方向に対して、ニップ部で相対方向に移動する方向にクリーニングローラ7Aの回転方向を設定する。これにより、図5に示すように、残留トナーをクリーニングローラ7A側に掻き取られた感光体ドラム2の表面がクリーニングローラ7A側に吸着保持されたトナーと対向することがないので、クリーニングローラ7Aに吸着保持された残留トナーが感光体ドラム2に逆転移することがない。
【0206】
しかし、このようなクリーニングローラ7Aの回転方向の設定を行い、かつ、残留トナーの吸着保持、および、感光体ドラム2への再付着をクリーニングローラ7Aの周長以下の長さにおいて繰り返した場合には、感光体ドラム2から吸着保持されるべき残留トナーの一部が残ってしまい、完全に回収することができない場合がある。以下にその理由を説明する。
【0207】
図16は、クリーニングローラ7Aの周長未満の長さの領域でトナーの吸着保持および再付着を行う場合の模式図である。
【0208】
図16において、感光体ドラム2から残留トナーを吸着保持するクリーニングローラ7Aの領域として、周長の1/3の領域を設定した場合で説明すると、クリーニングローラ7Aが感光体ドラム2とニップ部において逆方向(図中、符号CWで示す方向)に移動する方向に回転し、感光体ドラム2の表面に残留しているトナーを吸着保持する場合には、吸着保持用のバイアスが印加される。
【0209】
この場合のバイアス極性は、(+)極である。これにより、感光体ドラム2上に残留しているトナーT1が、図16(A)(B)に示すように、符号P1およびP0で示す周方向での領域(図中、ハッチングで示す領域)において吸着され、クリーニングローラ7A上に保持される(図中、符号T2で示す状態のトナー)。
【0210】
感光体ドラム2に対して吸着保持したトナーを再付着させる場合には、クリーニングローラ7Aが感光体ドラム2の回転方向に対して順方向(図中、符号CCWで示す方向)に回転する。したがって、クリーニングローラ7Aでの周長部P1、P0に吸着保持されているトナーは、クリーニングローラ7A側から反発することができる極性のバイアスを印加されることにより、図16(C)に示すように、感光体ドラム2に向け再付着することになる。
【0211】
感光体ドラム2へのトナーの再付着を終えたクリーニングローラ7Aでの対向位置は、周長部P1、P0のうちの当初対向していた位置である符号P0で示す位置である。この状態において、再度、クリーニングが開始されると、上記位置P0からP1に至る範囲がトナーの吸着保持のために用いられる。このため、クリーニングローラ7Aにおける周長部の同じ領域が感光体ドラム2と対向当接していることになり、これによって、クリーニングローラ7Aの周方向で局部的な摩耗が顕著となり、クリーニング効率が低下しやすくなる。
【0212】
そこで、本実施例では、図15に示すように、クリーニングローラの回転量を、トナーの吸着保持時と再付着時とで異ならせるようになっている。
【0213】
図15において、クリーニングローラ7Aの回転は、図16に示した場合と同じとされている。
【0214】
当初、感光体ドラム2に対向するクリーニングローラ7Aの周長部での位置は、符号P0′で示す位置に設定されている(図15(A)参照)。
【0215】
感光体ドラム2から残留トナーを吸着保持する場合には、図15(B)において符号P0′、P1′で示すクリーニングローラ7Aの周長部が感光体ドラム2に対向し、残留トナーを吸着保持することにより回収する(図中、符号T2で示す状態のトナー)。
【0216】
吸着保持したトナーを感光体ドラム2に再付着される場合には、図15(C)に示すように、トナーの吸着保持時での周長部(P0′〜P1′)の長さよりも長い周長部が得られる位置に相当するP2位置が感光体ドラム2に対向するまで移動する。
【0217】
次いで、次回のトナー吸着保持に際しては、図15(D)に示すように、当初の周長部(P0′〜P1′)の長さに相当する長さを位置P2から移動させる(P0′〜P1′=P2〜P3)。これにより、感光体ドラム2に対向するクリーニングローラ7Aのトナー回収開始位置が順次ずれていくことになるので、クリーニングローラ7Aでの局部的な対向関係が維持されなくなり、局部的な摩耗が抑制されることになる。
【0218】
このような構成によれば、クリーニングローラ7Aの周方向での摩耗状態が均一化され、局部的に摩耗が顕著となるようなことがないので、クリーニングローラの寿命を延ばしてクリーニング効果を安定化させることができる。
【0219】
次に、請求項12乃至15に記載された発明の実施例を説明する。
【0220】
本実施例では、画像形成中断後に画像形成が再開されるときの残留トナーのクリーニングを可能にしている。
【0221】
通常の作像が行なわれている時の場合の説明を行なったが、次に本発明の画像形成装置における異常時についての逆転移工程の説明を行なう。
【0222】
通常の作像時においても転写残トナー量は多少変化するが、転写残トナー量が極端に増加するのは大きく分けて、(1)紙詰りを意味するジャムの発生時、(2)A3原稿でA4転写紙を通紙しトナー像を作りながら転写しないでクリーニング部に入力するトナーが有る時、(3)紙厚や環境の変化で転写効率が低下して転写残トナー量が増加する場合、が有る。
【0223】
ここで、異常発生後の動作の一例として、ジャム発生後のタイミングチャートを図17に示す。
【0224】
ジャム時は、図示しない検知装置が作動して機械が停止し、電源がOFFになる。この場合、ジャム発生場所より転写紙を取り除きリセットすることにより機械の電源が再び立ち上がる。一方、ジャムの発生場所によっては、機械が停止した時、現像部位置から転写位置までか、あるいは現像位置からクリーニング位置までの感光体ドラム上には転写前のトナー像が残っている。このまま次の作像工程が始まれば前記転写前のトナー像はクリーニング部へ突入し、クリーニングローラ7Aではトナー量が多すぎるため全て除去できず下流に通過してしまい、帯電ローラ3Aの様な接触帯電装置であれば帯電装置の汚れの発生となり画像上で白スジとなる。従ってこれを防止するため、次の作像工程の前に前記トナー像を感光体ドラム2上から除去しなければならない。
【0225】
図17のタイミングチャートに示すように、ジャム後、機械の電源が再び立ち上がると、感光体ドラム2は回転し始めクリーニングローラ7Aには、先に記載したように感光体ドラム上のトナーを除去するため「+300V」の電圧が印加され、除電ランプ11は「ON」、帯電ローラ3Aは離反し、現像バイアスは「+150V」が印加され、転写ローラ6の印加電圧は「OFF」となり、前記トナー像の除去を行なう。この時、トナーは大部分は除去されるが、通常よりは多く残りクリーニングローラ7Aを通過する。クリーニングローラ7Aを通過したトナーは現像後の−極性トナーで有るので現像部で回収される。そして現像位置がクリーニングローラ7Aを通過したら(感光体ドラム2の約1/2回転分)、クリーニング用電源7Gの電圧制御手段により、クリーニングローラ7Aには逆転移工程の通常より強い電界を形成するような電圧が印加される(例えば−800V)。これにより通常より多いトナーを保持したクリーニングローラ7A上のトナーは全て感光体ドラム2上に逆転移し再付着されるため、現像部に移送して現像ローラ5Bで回収することができる。
【0226】
ここで、クリーニングローラ7A上の保持トナー量と逆転移量の関係は図18に示すようにクリーニングローラ22上のトナー量が多くなればなる程強い電界でなければならない。また、一般的には「450Vから500V」の電圧印加から放電により感光体ドラム2は帯電される。感光体ドラム2はクリーニングローラ7Aに「−800V」の電圧が印加されると「−400V」に帯電される。従って通常時もクリーニングローラ7Aの印加電圧を起こり得る最大の入力トナーに合わせた電圧、つまり「−800V」に設定すれば良い訳だが、逆転移時に感光体ドラム2が「−400V」に帯電し、この電位を除電しなければならない。この結果、感光体ドラム1には静電疲労が発生し寿命が短くなる。しかし、本実施例の画像形成装置では、ジャム発生時のような異常時の後の電源「ON]直後に感光体ドラム2上にトナーを再付着させる時に、通常の作像時の電界(−500V)よりも強い電界(−800V)をクリーニングローラ7Aに与えるように印加電圧を制御しているので、通常の逆転移時は感光体ドラム2の帯電は0〜50V程度であり、静電疲労の問題を解消できる。
【0227】
よって、本実施例の画像形成装置においては、静電疲労を最小限にし、ジャム時の異常な入力トナーに対してもトナー除去性能を低下させることなく感光体ドラム2の寿命も長くできる。
【0228】
次に本実施例の画像形成装置の別の制御手段としては、作像停止の一定時間経過後、感光体ドラム2上にトナーを再付着させ、かつその時のクリーニングローラ7Aに対する電圧制御手段が作像中の電圧制御手段より強い電界とする。すなわち、作像停止の一定時間経過後、作像中にクリーニング用電源7Gによりクリーニングローラ7Aに印加される電圧より強い電圧をクリーニングローラ7Aに印加して、通常の作像時よりも強い電界で感光体ドラム1上にトナーを再付着させるので、例えば、A3原稿でA4転写紙を通紙した時のように異常な量の入力トナーが発生した時にも、クリーニングローラ上に増加したトナーを全て感光体ドラム上に再付着させることができ、現像部に移送して現像ローラ5で回収することができる。従って、クリーニングローラのトナー除去性能の劣化を防止することができ、かつ、感光体ドラム1の寿命低下も防止できる。
【0229】
また、本実施例の画像形成装置のさらに別の制御手段としては、一定枚数に1度通常と異なった強い電界の電圧制御手段で感光体ドラム2上にトナーを再付着させる。すなわち、一定枚数に一度、作像中にクリーニング用電源7Gによりクリーニングローラ7Aに印加される電圧より強い電圧をクリーニングローラ7Aに印加して、通常とは異なった強い電界で感光体ドラム2上にトナーを再付着させるので、紙厚や環境等で転写率が低下し転写残トナー量が増えた場合にも、そのトナーを除去して増加したクリーニングローラ7A上のトナーを全て感光体ドラム1上に再付着させることができ、現像部に移送して現像ローラ5Bで回収することができる。従って、クリーニングローラ7Aのトナー除去性能の劣化を防止することができ、かつ、感光体の寿命低下も防止できる。
【0230】
以上、本実施例の画像形成装置におけるクリーニングの電界及び逆転移のための電界の形成をクリーニングローラ7Aへのバイアス電圧の切り替えで行なう例を示したが、もちろん感光体側の条件、例えばバイアス電圧一定で逆転移工程では感光体表面を転写チャージャー(または転写ローラ等)で逆極性に帯電し電界を切り替えるようにしてもよい。
【0232】
本実施例では、感光体ドラム2に対するクリーニングローラ7Aの接離動作が次の条件によって実行されるようになっている。
【0233】
第1に、感光体ドラム2を用いて画像形成動作を行なわない時には、感光体ドラム2からクリーニングローラ7Aが離間するようになっている。
【0234】
第2に、感光体ドラム2を用いて画像形成を行なうのに先立ち、感光体ドラム2が画像形成時とは逆方向に回転した後にクリーニングローラ7Aが接触するようになっている。
【0235】
第3に、感光体ドラム2が画像形成開始時に正転を開始するよりも先に感光体ドラム2にクリーニングローラ7Aが接触する。
【0236】
本実施例は以上のような構成であるから、その動作は、図6に示したタイミングチャートと同じであるが、上記クリーニングローラ7Aの離間タイミングに関しては、感光体ドラム2へのトナーの再付着後として、図19に示すように、クリーニングローラ7Aから感光体ドラム2へのトナーの再付着を行わせるための電圧の印加が終了したと同時としてもよい。この場合には、クリ−ニング装置7に有する電源7GでのスイッチHが中立状態に保持され、トナ−の再付着のための電圧の印加が停止される。
【0237】
トナ−の再付着が終了すると同時にクリ−ニングロ−ラ7Aが感光体ドラム2から離れることにより、感光体ドラム2への静電的な影響をなくすとともに、クリーニングローラ7A上に仮にトナーが残っていた場合、そのトナーが感光体ドラム2上に擦り込まれて付着するのを防止して感光体ドラム2の地肌汚れを防止することができる。
【0238】
さらに、図20は、クリーニングローラ7Aに対する電圧の印加状態の変形例を示しており、この例では、クリーニングローラ7Aの回転による感光体ドラム2からの残留トナーの吸引が終了した時点で、それまでクリーニングローラ7Aに印加されていた電圧が極性反転されて「−500V」から「+300V」に設定される。この場合のクリ−ニングロ−ラ7Aは、図6に示した場合と同様に、トナ−の再付着のための極性変換が終了した後に感光体ドラム2から離れるタイミングが設定されている。このように、トナ−の再付着処理が終了したあとでクリ−ニングロ−ラ7Aを感光体ドラム2から離す場合には、感光体ドラム2でのトナ−の再付着領域に再付着させたトナーの一部が感光体ドラム2における画像域に誤って付着しているような場合でも、そのトナーをクリーニングローラ7Aに吸引して画像域での地肌汚れを防止することが可能になる。
【0239】
また、クリーニングローラ7Aに対する感光体ドラム2へのトナーの再付着を行うための電圧印加は、図21に示すように、感光体ドラム2による画像形成から現像剤の回収、つまり、帯電工程から現像装置5による残留トナーの回収までの間の移動期間のうちで、クリーニングローラ7Aに吸引されたトナーを感光体ドラム2に再付着させる時点から上記感光体ドラム2の移動終了時まで継続することも可能である。この場合のクリーニングローラ7Aの離間タイミングは、その継続期間中に設定することができる。これにより、クリ−ニングロ−ラ7Aが感光体ドラム2から離れるまでの間、画像域での帯電電位の極性が負極化される。これは、感光体ドラム2の感光層がOPC等の有機体で構成されている場合、除電装置11による光除電の効果が低くなるのを防止するために光除電による除電効果が大きい負極帯電傾向とするためである。したがって、光除電による除電が効率よく行なわれることになり、次回の画像形成時での帯電装置3による一様帯電が行なえることになる。
【0240】
ところで、通常、クリーニングローラ7Aにより感光体ドラム2上に残留しているトナーを吸引する場合には、感光体ドラム2の移動速度に対して摩擦帯電を阻害しない程度で略近似した移動速度を以てクリーニングローラ7Aを回転させると、当然のことではあるが、現像装置5による回収までの時間が長くなる。このため、次回の複写作業までの待機時間が長くなり、複写作業のスピードアップを図ることができなくなる虞れがある。
【0241】
そこで、感光体ドラム2の移動速度に対してクリーニングローラ7Aの移動速度を速めるようにする。
【0242】
図22は、この場合のタイミングチャートであり、クリーニングローラ7Aの移動速度に相当する周速度は、感光体ドラム2の再付着領域において2n回転(n≧1)が行なえる周速度に設定されている。これにより、クリーニングローラ7Aが感光体ドラム2と対面する機会が増加するので、クリーニングローラ7Aに吸引されている残留トナーを感光体ドラム2に再付着させるに要する時間を短縮することができる。
【0243】
従って、図23に示すように、次回の画像形成に用いられる工程である給紙工程期間(図中では、紙間と称する)での感光体ドラム2へのトナーの再付着に要する時間を短くすることができるので、2枚目の画像形成までの時間を短縮することができる。
【0244】
ところで、画像形成時、例えば、紙詰り等の事故によって画像形成が中断されることがある。この場合、始動時やウォーミングアップ時と同様に、中断原因を解消して画像形成装置を再始動したとき、感光体ドラム2の画像域が転写装置6に至る前やクリーニング装置7に至る前に相当する場合がある。このような状態で装置を再始動すると、感光体ドラム2は初期化のために、表面に付着しているトナーを除去することが行われる。
【0245】
しかし、クリーニング装置7により感光体ドラム2上に残留しているトナーを除去しようとした場合、中断したことにより転写されなかったトナーなども含まれており、クリーニング装置7による感光体ドラム2からの除去量が、通常のクリーニング工程の場合に比較して多くなっていることがある。このため、クリーニングローラ7Aによって感光体ドラム2から吸引したトナーを感光体ドラム2に向け再付着させる場合には、図18に示したように、バイアス電圧に応じて、感光体ドラム2への再付着割合が変化し、再付着を確実にするには、高電圧を必要とする。
【0246】
高電圧によるバイアスを用いて感光体ドラム2へのトナーの再付着を行うと、感光体ドラム2での残留電位も上昇し、これに伴う除電電位も高くなる。この場合の除電電位は、除電装置11での発光量ということになる。従って、感光体ドラム2では、クリーニングローラ7Aへのトナーの吸引のためおよび感光体ドラム2へのトナーの再付着のための高電圧の印加、そして除電の繰り返しによる静電疲労が顕著となり、感光体ドラム2の寿命を縮めてしまうことにもなりかねない。
【0247】
そこで、本発明の別実施例では、図24に示すように、クリーニングローラ7Aに印加される電圧を高くしないで、感光体ドラム2への再付着に要する時間を長くして感光体ドラム2の静電疲労を軽減するようにしている。
【0248】
図24は、紙詰り(ジャム)が発生した場合の再始動を行う場合のタイミングチャートであり、ジャム発生時には、画像形成に関する各装置が停止する。このため、帯電装置をはじめとしてバイアスを用いる装置でのバイアスは停止される。
【0249】
装置内での中断原因である、ジャムを起こした紙が取り除かれ、装置のドアが閉じられると、感光体ドラム2が回転を再開するとともに、帯電装置3を除いて、現像装置5では、感光体ドラム2上のトナーを回収するための極性をもつバイアス電圧が、また、クリーニング装置7では、感光体ドラム2上からの残留トナーの吸引に必要な極性のバイアス電圧および吸引したトナーを感光体ドラム2に向け再付着させるに必要な極性をもつバイアス電圧がそれぞれ印加される。なお、除電装置11に関しては前述した実施例と同様に、感光体ドラム2が回転を再開し始めた時点から作像可能な状態になるまでの間、除電処理を実行するようになっている。
【0250】
図24において、感光体ドラム2の回転が再開された時点でクリーニング装置による感光体ドラム2上での画像域からの残留トナーの吸引が実行され、感光体ドラム2の画像域がクリーニングローラ7Aの1回転以上に相当する量を移動した時点で、クリーニング装置7から感光体ドラム2に向けたトナーの再付着が実行される。トナーの再付着に要する時間は、通常の画像形成時に実行される再付着に要する時間よりも長く設定されており、本実施例では、通常時の再付着時間の整数倍に相当する2倍の時間に設定されている。この場合のクリーニング装置7に印加されるバイアス電圧は、通常実行される画像形成時での印加電圧と同じ値が選択されている。
【0251】
本実施例では、感光体ドラム2に対するトナーの再付着に要するバイアス電圧を通常実行される画像形成時でのクリーニング工程での感光体ドラム2への再付着時と同じバイアス電圧を用いることができるので、感光体ドラム2の静電疲労を増大させることがなく、クリーニングローラ7Aによって吸引されたトナーの全てを感光体ドラム2に再付着させることが可能になる。
【0252】
図25は、複数枚(2枚)の転写紙に対する画像形成を行うために紙間を設定した場合を対象として、クリーニングローラ7Aへの残留トナーの吸引および感光体ドラム2へのトナーの再付着を実行するにあたり、2枚目の画像域においてジャムが発生した場合の各装置の動作状態を示すタイミングチャートである。
【0253】
図25において、上述したトナーの回収および感光体ドラム2の初期化がそれぞれ実行されているので、図中において、説明を行い、詳細な説明は省く。
【0254】
ところで、画像形成装置に用いられる感光体には、その感光層上にトナーが推積するフィルミング現象を生起する場合がある。このフィルミングにおいて、トナーが必要以上に推積してしまうと、帯電効率および静電潜像の形成に支障がでてきてしまい、感光体の寿命にも影響することがあり、抑止することが必要である。
【0255】
そこで、本実施例においては、フィルミングの発生を防止するようにもなっている。
【0256】
本実施例では、クリーニングローラ7Aの回転速度を、ある期間に限って通常、実行される感光体ドラム2からのトナーの吸引および感光体ドラム2へのトナーの再付着の際の回転速度よりも高速に設定することにより、感光体ドラム2の表面との間での摩擦力を増加させて推積しているトナーを除去するようにしている。
【0257】
図26において、画像形成装置の電源投入後に実施される感光体ドラム2の初期化である、感光体ドラム2に対するトナ−の吸引および再付着のためのクリ−ニングロ−ラ7Aへのバイアス電圧の極性反転が終了した時点で、クリーニングローラ7Aの回転速度を高速化し、1回転させる。これにより、感光体ドラム2との間での摩擦力が増加することにより、感光体ドラム2の表面に推積しているトナーが擦り取られる。
【0258】
次に、図27において、本実施例の変形例を説明する。
【0259】
図27に示す例は、感光体ドラム2およびこれに対して接離可能なクリーニングローラ7Aとの接離関係に特徴をもっている。
【0260】
図27において、プリントボタンがオン(ON)されると、感光体ドラム2は、画像形成時の回転方向とは逆方向に回転(図27中、「逆転」で示してある)する。この場合の逆転量は、感光体ドラム2の周方向に沿って、前記したように、図5に示したニップ部の長さ以上に相当する量に設定されているので、次回の画像形成のために感光体ドラム2が正転した場合、ニップ部がその全ての領域をクリーニングローラ7Aに対向させることができ、これにより、感光体ドラム2の表面に残留しているトナーは正転時でのクリーニングローラ7Aの位置を通過するときに全てを除去されることになる。
【0261】
クリーニングローラ7Aは、感光体ドラム2を用いた画像形成が行なわれない画像形成非実行時には感光体ドラム2から離間する状態を維持されている。この状態は、上記した感光体ドラム2の逆転時も含まれるので、図27に示すように、感光体ドラム2から離間しているが、感光体ドラム2の正転が開始される時期にあわせて行なわれる各バイアスのオン(ON)時よりも先に感光体ドラム2にクリーニングローラ7Aは接触する。これにより、感光体ドラム2が停止状態から正転方向に回転を開始すると、ニップ部に残留しているトナーがクリーニングローラ7Aによって掻き取られることになる。
【0262】
さらに、感光体ドラム2からのクリーニングローラ7Aの離間時期は、図27に示すように、感光体ドラム2が正転方向の回転を行なうことで実行される画像形成が終了してから一定時間(図中、符号Tで示す期間)を経過した時点とされている。これにより、感光体ドラム2上に残留するトナーが殆ど全てが掻き取られた状態で感光体ドラム2が停止状態を維持することができる。また、これとともにクリーニングローラ7Aも感光体ドラム2から離間しているので、感光体ドラム2の表面状態の変態を来すことがない。
【0263】
このような感光体ドラム2に対するクリーニングローラ7Aの接離動作を設定することにより、感光体ドラム2の表面に残留しているトナーが殆ど全てクリーニングローラ7Aと対向することにより排除されることになり、しかも、画像形成非実行時には、感光体ドラム2からクリーニングローラ7Aが離間する状態を維持しているので、次回の画像形成のために感光体ドラム2が正転した際には、その表面にトナーが存在していない状態を得ることができる。これによって、次回の画像形成のために感光体ドラム2に接触する帯電ローラ3Aへのトナーの付着が生じるようなことがないので、帯電ローラ3Aの周面の一部がトナーの付着によって均一帯電を妨げられてしまうようなことを防止できる。
【0264】
なお、本発明においては、上記実施例に限るものではなく、要旨の範囲内において種々、変更することも可能である。例えば、図1に示した実施例においては、クリーニングローラ7Aに吸着した回収トナーを再使用する時、クリーニングローラ7Aに−極性のバイアス電圧を印加してクリーニングローラ7Aから感光体ドラム2に向け回収トナーを付着させたが、これに代えて、転写ローラ6に+極性のバイアス電圧を印加して感光体ドラム2表面を帯電し、クリーニングローラ7Aに付着した回収トナーを感光体ドラム2に付着させるようにしてもよい。
【0265】
さらに、クリーニングローラ7Aを弾性体をなす発泡性部材によって形成し、表面の気泡径を50μm以下で、その内部の気泡径よりも小さくする用にしてもよい。このような構成により、クリーニングの際に発泡成形体の内部に残留トナーが入り込むことが防止される。
【0266】
さらに、感光体ドラム2に代えて、ベルト状の感光体により像担持体を構成するようにしてもよい。また、像担持体をカラー複写機に用いるようにしてもよい。この場合には、像担持体の構成として、中間転写ベルトのような中間転写体を用いることができる。
【0267】
さらに加えて、クリーニングローラへのバイアス電圧の極性を切り換えて電界の方向を変化させることに限らず、バイアス電圧の極性を一定とし、像担持体側での極性および表面電位の設定によって電界の方向を切り換えるようにしてもよい。この場合には、転写装置を用いることで上記像担持体側での極性および表面電位の設定が行なえる。
【0268】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1記載の発明によれば、記録時、像担持体とともにクリーニングローラが回転し、それらの間で、転写後、像担持体上に残留しているトナーを擦り、それを同一極性に帯電してクリーニング部材にて静電的に吸着する一方、同時に電圧印加手段によりクリーニング部材に電圧を印加し、同一極性に帯電した像担持体上の残留トナーをクリーニング部材にて吸着し、像担持体表面をクリーニングするので、像担持体上に+・−両極性のトナーが残留していても、簡単な構成によりそれらトナーの全てを完全に吸着して像担持体表面をクリーニングすることが可能になる。
【0269】
請求項2記載の発明によれば、クリーニング部材にて吸着した回収トナーを再使用するとき、電圧印加手段でクリーニング部材に吸着時と逆向きの極性を持つ電圧を印加し、クリーニング部材に付着しているトナーを次の画像が形成される領域以外の領域に再付着させ、その再付着したトナーを現像装置に印加されている吸着可能な極性の電圧により現像装置側に向け戻すことにより回収するので、回収トナーの再使用を確実に行なうことが可能となる。
【0270】
請求項3記載の発明によれば、クリーニング部材により吸着されている回収トナーを再利用する時、転写装置で像担持体表面を帯電させ、クリーニング部材に吸着されているトナーを次の画像形成が行なわれる領域以外の領域に再付着させると共に、その再付着しているトナーを現像装置に印加されている電圧の極性を利用して現像装置側に向け吸着させて戻すことにより回収するので、回収トナーの再使用を確実に行なうことが可能になる。
【0271】
請求項4および5記載の発明によれば、クリーニング部材に吸引保持された残留トナーのうちの一部のものが吸着保持に必要な極性と反対極性に極性を反転させて付着していても、印加される電界の方向が切り換えられることにより、像担持体上に向け転移するので、像担持体上での画像域に残留していたトナーの全てを現像装置により完全に回収させることができ、これによって回収トナーの再使用が可能になる。
【0273】
請求項6記載の発明によれば、像担持体の移動方向と順方向にクリーニング部材が移動する場合においても、像担持体の摩耗が最も少ない臨界硬度が得られると共に、トナーの摩擦帯電が最も有効に行なわれる臨界圧力および摺擦速度が得られるニップ領域を少なくしてもクリーニング部材によって吸引されたトナーの極性を一律化することができ、クリーニング部材に付与される吸引用バイアスによって像担持体の画像域からの残留トナーの転移を良好に行わせることが可能であるので、クリーニング部材のニップ領域を少なくしてクリーニング部材を含む装置の大型化を抑制することができる。
【0274】
請求項7記載の発明によれば、像担持体の移動方向と逆方向にクリーニング部材を移動させてトナーの摩擦帯電に必要な摺擦状態が得られるので、ニップ領域を少なくしてもクリーニング部材に吸引されるトナーの極性を容易に一律化する事が可能になることにより、ニップ部領域を少なくしてクリーニング部材を含む装置の小型化を実現することができる。
【0276】
請求項8記載の発明によれば、クリーニングローラに吸着・保持したトナーの量等に応じて前記複数の電圧制御手段により前記電界の強さを最適に設定することが可能となり、確実に感光体上にトナーを再付着させることができ、現像部に移送して回収することができるので、トナー除去性能の劣化を防止することができ、かつ像担持体の寿命低下を防止することが可能になる。
【0277】
請求項9記載の発明によれば、現像後のトナーがクリーニングローラに向かうような電界を形成する電圧制御手段を働かせ、次にクリーニングローラ上のトナーを感光体上に再付着させ、かつその時の電圧制御手段が作像中の電圧制御手段より強い電界の電圧制御手段で感光体上にトナーを再付着させるので、ジャム後、現像後のM/Aの多いトナーを除去するためクリーニングローラ上に増加し保持されたトナーをも感光体上に全て再付着させることができ、現像部に移送して回収することができる。これにより、トナー除去性能の劣化や像担持体の寿命低下をそれぞれ防止することが可能になる。
【0278】
請求項10記載の発明によれば、例えば、A3原稿でA4転写紙を通紙した時のように異常な量の入力トナーが発生した時にも、クリーニングローラ上に増加したトナーを全て感光体上に再付着させることができ、現像部に移送して回収することができる。これにより、トナー除去性能の劣化や像担持体の寿命低下をそれぞれ防止することが可能になる。
【0279】
請求項11記載の発明によれば、紙厚や環境等で転写率が低下し転写残トナー量が増え、そのトナーを除去して増加したクリーニングローラ上のトナーを全て感光体上に再付着させることができ、現像部に移送して回収することができる。これによっても、トナー除去性能の劣化や像担持体の寿命低下をそれぞれ防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に用いられる帯電装置の構成を示す斜視図である。
【図3】図1に示した画像形成装置に用いられるクリーニング装置の構成を示す斜視図である。
【図4】図1に示した画像形成装置における転写後の像担持体上に残留するトナーの状態を説明するための模式図である。
【図5】図1に示した画像形成装置におけるクリーニング装置と対向したときの像担持体上に残留するトナーの状態を説明するための模式図である。
【図6】図1に示した画像形成装置における一動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】図1に示した画像形成装置における他の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】図1に示した画像形成装置におけるさらに他の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】図1に示した画像形成装置における別の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図10】図1に示した画像形成装置におけるさらに別の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図11】図1に示した画像形成装置における動作の変形例を説明するためのタイミングチャートである。
【図12】図1に示した画像形成装置の要部変形例を示す断面図である。
【図13】図3に示したクリーンニング装置に用いられるクリーニングローラの特性の一つを説明するための線図である。
【図14】図3に示したクリーニング装置に用いられるクリーニングローラの他の特性を説明するための線図である。
【図15】図1に示した画像形成装置におけるクリーニング装置でのクリーニングローラと像担持体との対向関係を説明するための模式図である。
【図16】画像形成装置におけるクリーニング装置でのクリーニングローラと像担持体との対向関係上での不具合を説明するための模式図である。
【図17】図1に示した画像形成装置におけるジャム発生後の動作を示すタイミングチャートである。
【図18】印加電圧をパラメータとしクリーニングローラ上の保持トナー量と感光体への再付着量の関係を示す図である。
【図19】図1に示した画像形成装置におけるさらに他の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図20】図1に示した画像形成装置における他の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図21】図1に示した画像形成装置における別の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図22】図1に示した画像形成装置におけるさらに別の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図23】図1に示した画像形成装置における動作の変形例を説明するためのタイミングチャートである。
【図24】図1に示した画像形成装置における動作のさらなる他の変形例を説明するためのタイミングチャートである。
【図25】図1に示した画像形成装置における動作の別な変形例を説明するためのタイミングチャートである。
【図26】図1に示した画像形成装置における動作のさらなる別の変形例を説明するためのタイミングチャートである。
【図27】図1に示した画像形成装置におけるさらに別の実施例を説明するためのタイミングチャートである。
【図28】画像形成装置の従来例の一つを説明するための模式図である。
【図29】画像形成装置の従来例の他の一つを説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 画像形成装置
2 像担持体をなす感光体ドラム
3 帯電装置
5 現像装置
5E 電源
6 転写装置
7 クリーニング装置
7A クリーーニングローラ
7G 電源
Claims (11)
- 像担持体と、その像担持体の表面に押圧させた状態で配置されている回転可能な導電性ローラからなるクリーニング部材とを備え、
上記像担持体に対する1回の画像形成プロセス中に一方向への電界を付与して上記像担持体表面に付着している残留トナーを上記クリーニング部材に吸着保持し、次いで、上記電界の方向を切り換えて、上記吸着保持されているトナーを上記像担持体上における次回の画像形成に影響しない領域に再付着させて上記画像形成プロセスに用いられる現像部に移送して、現像部において上記移送されたトナーを静電的に回収する画像形成装置において、
上記クリーニング部材は、上記像担持体に接触して配置され、像担持体と速度差を有して回転し、像担持体とのニップ部で転写後に像担持体に付着している残留トナーを摩擦帯電し、そのトナーを同一極性に帯電させるクリーニングローラと、
上記クリーニングローラに電圧を印加し、同一極性に帯電した上記像担持体上の残留トナーを上記クリーニングローラに吸着させる電圧印加手段とを具備し、
上記クリーニングローラは、上記像担持体との当接部にニップ部を形成して残留トナーを擦ることにより摩擦帯電するときに上記電圧印加手段による同一極性に帯電したトナーと逆極性の電圧印加によって、残留トナーを吸引し、吸引した残留トナーを像担持体に戻す際には上記電圧印加手段による印加される電圧の極性を切り換えられることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1記載の画像形成装置において、
上記クリーニング部材が具備している電圧印加手段に加えて、上記画像形成プロセスに用いられる現像装置に電圧印加手段を備え、
上記クリーニング部材が具備している電圧印加手段は、クリーニングローラに付着して回収されたトナーを再使用する時、上記クリーニングローラによる回収時とは逆向きの電圧を印加し、クリーンニングローラ上に付着して回収されたトナーを像担持体上で次の画像形成が行なわれる領域以外の領域に再付着させるとともに、
上記現像装置に備えられている電圧印加手段は、上記像担持体上に再付着したトナーを吸着可能な極性の電圧を上記現像装置に印加することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2記載の画像形成装置において、
上記クリーニング部材が具備している電圧印加手段および上記現像装置に備えられている電圧印加手段に加えて、上記画像形成プロセスに用いられる転写装置に電圧印加手段を備え、
上記転写装置に備えられている電圧印加手段は、クリーニングローラに付着して回収されたトナーを再使用する時、上記クリーニングローラによる回収時とは逆向きの電圧を像担持体に印加して像担持体の表面を帯電させることにより、クリーンニングローラ上に付着して回収されたトナーを像担持体上で次の画像形成が行なわれる領域以外の領域に再付着させるとともに、
上記現像装置に備えられている電圧印加手段は、上記像担持体上に再付着したトナーを吸着可能な電極の電圧を上記現像装置に印加することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1記載の画像形成装置において、
上記クリーニング部材は、残留トナーを上記像担持体上に再付着させる際の電界方向の切り換え順序として、最初に、上記像担持体上から残留トナーを吸引できる方向の電界が形成され、次いで吸引した残留トナーを上記像担持体上に向け転移させる方向の電界が形成される順序に設定されていることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項4記載の画像形成装置において、
上記クリーニング部材は、最初に形成される電界の電圧が、クリーニング部材と像担持体との接触による摩擦帯電によってトナーに生起される帯電電荷の極性と反対極性で、かつ像担持体から吸引する際に用いられる電圧よりも高い電圧に設定されていることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1記載の画像形成装置において、
上記クリーニング部材は、硬度がアスカC20〜38度に設定されたゴムで構成され、上記像担持体に対しての押圧力が3g/cm以上、上記像担持体との線速比が1未満に設定されて上記像担持体の移動方向と順方向に移動することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1記載の画像形成装置において、
上記クリーニング部材は、硬度がアスカC20〜38度に設定されたゴムで構成され、上記像担持体に対しての押圧力が3g/cm以上に設定されて上記像担持体の移動方向と逆方向に移動することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項4記載の画像形成装置において、
上記クリーニング部材は、像担持体から回収されて付着しているトナーを像担持体に向け転移させることが可能な電圧を印加するための複数の電圧制御手段を備え、
上記複数の電圧制御手段は、上記クリーニングローラに保持されているトナーが感光体に向かうような電界の強さが異なることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項8記載の画像形成装置において、
電源オン直後またはウォームアップ中に感光体上のトナーを除去するために、現像後のトナーがクリーニングローラに向かうような電界を形成する電圧制御手段を働かせ、次にクリーニングローラ上のトナーを感光体上に再付着させ、かつその時の電圧制御手段が作像中の電圧制御手段より強い電界を形成することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項8記載の画像形成装置において、
作像停止の一定時間経過後、感光体上にトナーを再付着させ、かつその時の電圧制御手段が作像中の電圧制御手段より強い電界を形成することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項8記載の画像形成装置において、
一定枚数に1度通常と異なった強い電界の電圧制御手段で感光体上にトナーを再付着させることを特徴とする画像形成装置。
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